米海軍のP-8ポセイドン。インドが追加調達の意向を示している。 (US Navy)
バイデン政権はオーストラリア及びインド向けに有償海外軍事援助制度(FMS)を活用した装備品売却を4月末に承認し、総額436億ドルの商談が米企業に生まれる。
4月29日、オーストラリアは重装甲戦闘装備一式購入を16.85億ドルで承認された。またCH-47Fチヌーク輸送ヘリコプター4機購入を2.59億ドルで承認された。翌30日にはインドはP-8I海上哨戒機を24.2億ドルで6機購入できることになった。
FMSによる販売案件では国務省がまず承認し、国防安全保障協力庁(DSCA)が議会に送付する。議会通知で売却が自動的に決定するわけではない。議会が反対しなければ、該当国との協議に移り、その過程で金額と数量が変更となることがある。
案件はともに米国が重視するインド太平洋地区の二大重要同盟国向けであり、両国は「クアッド」で米国、日本と並ぶ有志連合の一部だ。
インド向け売却内容にはP-8Iの6機以外に通信装備、エンジン、航法装備、契約企業向け支援を含む。ボーイングが主契約企業となり、作業はシアトルで行う。提案内容は「米国の外交安全保障を支援すべく米印戦略提携を強化するのに役立ち、相手国の安全保障を改善することでインド太平洋及び南アジア地区の政治安定、平和、経済進歩で重要な作用を引き続き発揮する」とDSCAは案件の意義を説明している。
インドは先にP-8Iを8機2009年に一般民間取引の形で導入しており、2016年に4機追加調達した。インド海軍が同型機を2013年から運用している。
オーストラリア向け重装甲戦闘システムにはM1A1戦車の車体構造160基を米国内在庫から提供し、これを各種車両装備にする。M1A2 SEPv3エイブラムズ主力戦車75両、M1150強襲突破車両29両、M1074共用強襲橋梁車両18両、M88A2ハーキュリーズ戦闘回収車両6両、AGT150ガスタービンエンジン122基となる。
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発表内容で興味を引くのは「特化装甲装備の開発」という表現だが、内容の詳細には触れていない。ジェネラルダイナミクス・ランドシステムズ、BAEシステムズ、レオナードDRS、ハネウェルエアロスペースが関与するとある。オーストラリアはFMSで民間企業の見返りを要求するのが常である。
「M1A2 SEPv3主力戦車はオーストラリアで供用中の M1A1 SAの改修となりオーストラリア装甲軍団の戦力構造に変化は生じない」「M88A2車両の追加配備でオーストラリア戦車部隊の車両改修機能が向上する。M1150強襲突破車両(ABVs)およびM1074共用強襲橋梁車両(JAB車両はオーストラリア工兵部隊に新装備となり、架橋及び突破能力を付与し、オーストラリア工兵部隊の機能と生存性を高め、装甲部隊の機動性を高める」とDSCAは説明している。
チヌーク案件は4機が対象で、「専用改装」を施すとある。T55-GA-714A 航空機用タービンエンジン8基他ミッション装備品を含む。機体は米陸軍の備蓄から提供する。
トランプ政権で承認済みFMS案件をバイデン政権下の国務省が執行停止し内容を点検していたが、これまで15件が承認ずみで、総額は8.9兆ドルに達している。■
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India, Australia cleared to buy $4.3B in US military gear
By: Aaron Mehta 5 hours ago
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