2023年1月15日日曜日

ウクライナに米陸軍のストライカー戦闘車両を投入したらどうなる?イラン、アフガニスタンで鍛えられた今日のストライカーは威力を増しているが、本領を発揮できるだろうか

 


This Is What Stryker Armored Vehicles Could Bring To The Fight In Ukraine

(Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)

 

ストライカーは、限界があるものの、他部隊と組み合わせれば、ウクライナで切実に必要とされる多くの能力を提供できる

 

 

2011年夏、ブラッド・デュプレシス陸軍大尉(当時)は、ストライカー大隊および旅団幹部として、イラクで部隊を率いて戦闘に参加していた。大尉は、ストライカーが爆発性貫通弾、即席爆発装置、RKGロケット推進対戦車手榴弾などの攻撃を受けながらも、生き残るのを目の当たりにした。

 10年以上経った今、アメリカはストライカーをウクライナに送る検討をしていると、国防総省高官が月曜日にThe War Zoneに話し、Politicoが最初に報じた話を確認した。ストライカーは、イラクやアフガニスタンで発生した致命的な事件から学んだ教訓をもとに、大幅改良され、生存性を高めた車両になった。

 2021年に大佐で退役し、カリフォーニア州アーウィン基地の国家訓練センターでストライカーの実戦訓練を監督していたデュプレシスは、ストライカーを手に入れることはウクライナの「勝利」になるだろう、と語った。

 「ウクライナと一対一で比較するのはためらわれる」とデュプレシスは水曜日にThe War Zoneに語った。「しかし、ストライカーはウクライナで見られる高強度紛争で、軽戦力と重戦力間のギャップを埋めるため作られた。ストライカーは、イラクで我が部隊が直面したように、ウクライナ軍が直面する脅威から機動性と保護を提供できるだろう」。

 

ストライカーはウクライナをどのように助けられるか

米国がウクライナに提供するストライカーの型式はまだ不明だが、米国が提供ずみのの高機動多目的車(HMMWV)またはハンビー1300両、M113装甲兵員輸送車300両、対人対車両(MRAP)527両から大きなアップグレードになると、元デュプレシスは述べた。

 「戦車より静かだし、特に都市部では戦車やブラッドレーが入れない場所でもストライカーなら入れる」と、The War Zoneに語った。今月初め、ジョー・バイデン大統領は、M2A2-ODSブラッドレー戦闘車50両をウクライナに移送することを承認した。

 ストライカーはまた、これまで米国が供給してきた3種類の車両のいずれよりも、優れた通信と状況認識システムを備え安全な機動性を提供すると、デュプレシスは言う。

 「すべてのデジタル・システムを使用できます。車内にいながら、光学系を使い50口径やMK19を発射できます。M113やMRAP、HUMVEEではできないことです。ブラッドレー戦闘車やエイブラムス戦車でなければできないことです」。

 

 

Troops dismount from a Stryker. (US Army)

ストライカーから降り立つ隊員たち。(米陸軍)

 

 デュプレシスは、ストライカーの限界も指摘する。

「戦車とは戦えません。戦車の火力はない。ブラッドレーの防御力もない。しかし、ストライカーがどのような役割を担っているのかを見なければならないのです」。

 ストライカーは、「歩兵部隊を視野に生産され、中心となっている」と言う。歩兵部隊を目標地点から1キロ、あるいは地形的に離れた場所に送り届ける設計されている」。

 また、「都市のような制限された環境で機動性を可能にします。歩兵の保護を可能にし、最後には歩兵分隊を車両に乗せたり、リーダーや装備や武器を搭載できます」。

 M1126 Infantry Carrier Vehicle(ICV)は、20種類近くあるバージョンの1つで、「ストライカーの基本形」とデュプレシスは言う。

 このほか、指揮官車(CV)、迫撃砲運搬車(MCV)、工兵隊車(ESV)、医療搬送車(MEV)などは、「陣形の歩兵を可能にする」。

 指揮統制、MCVの120mm迫撃砲による火力支援、機動性支援、そして医療搬送を提供するという。

 「この最後の役割で、MEVは、米国が提供するM113よりも保護された医療避難車両となります」。このような役割は、ウクライナが直面するロシアとの戦いにおいて、間違いなく大砲が戦場での最大の脅威となるため、非常に重要だ。ストライカーの速力、機動性、火砲からの保護は、ウクライナ軍にとって大きな資産となり得る。

 105mm砲を搭載した機動砲システム(MGS)型と、チューブ発射型光学追跡ワイヤー誘導ミサイル(TOW)を装備した対戦車誘導ミサイル(ATGM)型は、「どちらもロシアの戦車を撃破する能力がある」とデュプレッシは言う。

 しかし、ストライカーにはできないことがある、と言う。

 「ストライカーは迅速な部隊行動を可能にするが、大規模な作戦の一部で使用するのがベストです。ストライカー旅団を単独で都市環境に投入することはお勧めしませんが、......装甲車との複合戦力の一部として投入することは可能です」。ジャベリンのような対装甲システム。スナイパー 迫撃砲も戦車殺傷型も同様だという。

 「これは単体で使うより、連合部隊の一部で使うのがベストです。どちらのシステムもエイブラムス主力戦車の性能には及びません」。

 

105mm弾を発射するストライカー機動砲システム。 (Mark Miranda/U.S. Army)

 

 

ウクライナに送られる各システム同様に、ストライカーの整備保守にも懸念がある。

 デュプレシスによれば、ウクライナにはすでにジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)のスーパーバイソンという同様の車両があり、昨年の夏にはカナダから三十数台が提供されていたという。

 スーパーバイソンはストライカーと「ほとんど同じシステム」だ。「そのため、シャーシと部品が共通で、運用中の装備を提供することは、非常に理にかなっていると思います」。

 米国のストライカーが配備される際には、GDLSの技術専門家が数名同行し、整備を支援する。ウクライナでは、そのようなことはありえない。アメリカは、制服組であれ何であれ、地上には軍隊を置きたくないと繰り返し言っている。

 スーパーバイソンとストライカーの互換性、スーパーバイソンの技術者がウクライナ国内と国外のどちらで任務を遂行するのか、GDLSに照会中なので回答を得次第記事を追加する。

 ウクライナは「保守整備の熟練度を高めている」と、ローラ・クーパーLaura Cooper国防副次官補(ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当)は先週の記者会見で、The War Zoneを含む記者団に語った。

 これには、「ウクライナ国内での作業と、同盟国協力国と共に構築した新しいシステムを利用し、遠隔保守を行う」ことが含まれると、クーパーは述べた。「この時点で、ウクライナは、このシステムで訓練を受ければ、成功する設定です」。

 デュプレシスは、「重要なのは、一般的なスペアパーツの備蓄を維持し、車両の状態や必要な部品を状況に応じて認識できるシステムを開発すること」と述べた。

 最大の課題は、車両そのものではなく、車が搭載するデジタルシステムの整備かもしれない、とデュプレシスは言う。また、武器庫の部品も頻繁に壊れる。

 「デジタル・コンポーネントとリモート・ウェポン・ステーションは、このシステムを操作したことがない人には、敷居が高い課題でしょう」と彼は言う。

 ストライカーは機動性を高める設計だ温が氷点下前後で変動し続けるウクライナのラスプーチッツァと呼ばれる泥濘地では、苦戦を強いられるかもしれない。

 「ストライカーは機動性を高めていますが、それは車輪付き車両である点では事実です。オフロードのぬかるみでは、それほどうまくはいきませんし、スタックする可能性もあります。凍った砂利道や地面、ひどい道などでは。まったく問題ないと思います。ただ、トラックがないので、例えばブラッドレーや戦車と違い泥濘地でうまくいかないでしょう」。

 過去には極寒がストライカーで問題だった。北極圏の環境には不向きなため、アラスカの米軍兵士は同車両をほとんど信用しておらず、戦場での操作よりも修理にはるかに多くの時間を費やした。ストライカーは極寒地ではしばしば凍結する。兵士たちはアラスカでのストライカーの性能に不満を持つようになった。

 しかしデュプレシスは、ウクライナで寒さが問題になるとは考えていない。最も激しい戦闘が行われているドネツクとルハンスクの1月の平均最低気温は、それぞれ華氏20度、18度である。これに対し、ストライカーが駐屯していたウェインライト基地のあるアラスカ州フェアバンクスの1月の平均最低気温は、華氏13度だ。

 

2022年3月22日、太平洋合同多国籍軍即応センター22-02で、ドネリー訓練場の雪道を移動する第21歩兵連隊第3大隊のストライカー車輌。(John Pennell/U.S. Army)

 

 デュプレシスは、ナショナル・トレーニング・センター(NTC)での経験からストライカーについて学んだ最大の教訓の1つは、同車両が何のために設計されたかを理解し、それに沿ってミッションを調整することだと語った。

 「これはいくら強調してもしきれません」と言う。ストライカーは、歩兵部隊の機動性、保護、通信、状況認識、50口径やMk-19による火力支援プラットフォームとして設計されています」。

 NTCで「非常にうまくいった」部隊は、「限界を認識し、敵との接触がない有利な位置に部隊を移動させ、彼らの条件で接触させるのに使用できた」部隊であった。「ストライカーを装甲部隊の前に大規模交戦に参加させなかったのです」。

 

2011年8月24日、カリフォルニア州フォート・アーウィンのナショナルトレーニングセンターでパトロールする、ワシントン州フォートルイスの第3-2ストライカー旅団戦闘チーム、第1-14騎兵医療班の米軍兵士たち。兵士たちは配備前の準備として、この訓練に参加している。 (U.S. Army photo by Spc. Hanson Mendiola)

 

ストライカーが実際にウクライナに送られるかはまだ発表されていないが、送られた場合、ウクライナ軍は国防総省がドイツに新設した機動戦訓練プログラムで訓練を受ける可能性が最も高い。国防総省の最高報道官パット・ライダー空軍准将が木曜日に記者団に語ったところによると、ブラッドレーの運用部隊は来週から同地で訓練を行う予定であるとのことだ。

 また、ブラッドレーが到着した場合、ウクライナ側がどのように配備するかは未知数だ。デュプレシスは、複数集団に分散させるのではなく、同車両を中心にした部隊を作ることを勧めている。

 ウクライナは各種武器で戦っており、「提供される車両や装備にかかわらず、ウクライナの指導者が繰り返し見せてきた軍事的有効性の重要な要素は、見事な戦場適応力と意思決定です」と言う。「とはいえ、ウクライナ軍は全部のストライカーを必要としているわけではなく、CV、RV、ICV、MCV、FSV、ATGMに備わる指揮統制、偵察、射撃支援、歩兵、対装甲能力を最大限に活用できる車両を必要としていると言えます」。

 特筆すべきは、「RVの長距離先進スカウト監視システム(LRAS3)のFLIRにより、約6マイル先の目標位置座標を確認できることです」という。

 

ストライカー偵察車。 (US Army)

 

 

さらに、将来はさらなるメリットが生まれるかもしれない。IFATDSは、戦場の多様なソースから入る情報をつなぎ合わせる安全な通信システムを提供し、HIMARSの殺傷力を高め、より優れた共通運用画像と状況認識を可能にする。

 デュプレシスによれば、このシステムにより、FSVストライカーは「ウクライナ軍の火力支援システムにリンクでき、火力ミッションの探知から目標への弾丸の投下までを迅速に処理できる」。さらに、音声またはデータで火力ミッションを処理し、変化する火力支援制御手段や優先順位を把握できるため、ウクライナの指揮官が機動支援のために火力を同調させるのに役立ちます」と述べている。

 

 

 

 

2013年2月27日、アフガニスタン・ヘルマンド州のバスティオン前方作戦基地内の練習場でストライカーを運転するチームを見る米陸軍兵士たち。 (U.S. Army photo by Sgt. Richard W. Jones Jr.)

 

 

ストライカーには利点と欠点があるが、ウクライナ軍の部隊移動能力を向上させるはずだ。ストライカー ファミリーには、最前線でロシア軍を相手にするのに役立つ可能性を秘めた型式があり、これはクリミアなどさらなる領土を解放しようとする試みには欠かせない要件となるだろう。

 

ストライカーの紹介

ストライカーは、カナダのLAV III (Light Armored Vehicle III) をベースにジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムズが製造した8輪の全輪駆動装甲戦闘車 (ACV) で、2000年代に実戦投入された。

 ストライカーは、冷戦後の陸軍の暫定装甲車計画から生まれた。これは、重戦力の戦闘力と防御力に欠ける軽戦力と、展開に時間がかかり戦場での動きが鈍い重戦力の間の能力差を埋めるため、迅速展開できる新しい戦力を作ることに焦点を当てた取り組みだった。より機敏で柔軟な機械化構想で、当時は賛否両論があった。その結果、ストライカーが最初に就役したのは2002年で、ちょうど米国が世界的な対テロ戦争に身を投じることになった時期であった。

 ストライカーは、ブラッドレー戦闘車両やM-1エイブラムス主力戦車より軽量で高速であり、C-130含む空軍の主要貨物機3機種に搭載できる。

 ベトナム戦争での行動により授与されたSPCロバート・F・ストライカーと、第二次世界大戦での行動により授与されたPFCスチュアート・S・ストライカーという、戦死した名誉勲章受賞者2名に敬意を表し命名された。

 ストライカーは単体の車両ではなく、ファミリー構成だ。

当初のストライカー・ファミリー. (DoD)

現在運用中のストライカーのバリエーション。DOT&E

 

ストライカーには、ICV(Infantry Combat Vehicle)とMGS(Mobile Gun System)という2種類のシャシーがあるが、いわゆる「ダブルV」ハルの追加を考慮すれば、全部で18種類のストライカーが存在する。ダブルVは、アフガニスタンやイラクで地雷や簡易爆弾の爆発による被害を軽減するため設計された。

米陸軍によると、「ICV、MGS、偵察車(RV)、迫撃砲運搬車(MCV)、司令官車(CV)、射撃支援車(FSV)、工兵部隊車(ESV)、医療避難車(MEV)、対戦車誘導弾(ATGM)、車両、核生物化学偵察車(NBCRV)を含む10通りの平底タイプがある」。ICV、CV、MEV、MC、ATGM、FSV、ESVの7種類のダブルVハル(DVH)型、および30mm砲を搭載したICVプラットフォームの改良型だ。

 ロジスティックスとサステナビリティを簡素化するため、23トン車両の各型は、6気筒、350馬力のキャタピラー社製ディーゼルエンジン含む主要コンポーネントを共有し、最高時速60マイル以上を実現する。この高速性がストライカーの重要な特徴だ。

 

 

ストライカーのキャタピラー社製6気筒ディーゼルエンジンは、最高速度60mph以上を実現 (U.S. Army photo)

 

 

ICV、CV、ESV、NBCRVといった遠隔兵器システムを搭載する各バリエーションには、車内の射撃統制システムに統合されたSTORM-LRFレーザー距離計が搭載されていると、元ストライカー士官のデュプレシスは説明してくれた。このレーザー距離計は、交戦時の弾道を計算し、ス移動中に安定した射撃を行うことを可能にしてくれる。

 各型の乗組員は、近くの部隊や後続部隊に報告するため、あるいは機動するため、あるいは砲撃を要請するため、範囲内の脅威を識別できる。

 「この能力は、M113や暗視装置の光学系を大幅に改善したものです」と述べています。

 陸軍によると、ストライカーはまた、インターネットベースのコマンド、制御、通信、コンピュータ、インテリジェンス、監視および偵察(C4ISR)機能を備えたデジタルコマンドおよび制御システムを備えている。

 C-5ギャラクシーで7両、C-17グローブマスターIIなら4両I、C-130ハーキュリーズ貨物機で1両を輸送できる。

 

 

C-17グローブマスターIIIは最大4台のストライカーを搭載できる (Photo by Sgt. David Nunn)

 

 

 最も一般的なICVは、M2 .50 cal機関銃またはMK 19 40mm グレネードランチャーを装備する。後部のルーフハッチと前部のコマンダーズハッチで、搭乗したまま武器を発射できる。

 乗員は指揮官と運転手の2名で、9名の兵員を収容できる。

 MGS型は105mmライフル銃、12.7mmと7.62mm機関銃、ATGM型はTOW戦車破壊ミサイル用二筒式ランチャーと7.62mm機関銃を装備している。

 陸軍は昨年、MGSの105mm砲のオートローダーに長年の問題があったことと、ダブルV車体への近代化が行われていなかったことから、MGSのフリートを切り離した。

 しかし、一部戦車を破壊する設計のMGSは、戦車のような能力を求めているウクライナにとって非常に魅力的である可能性がある。MGSは現在は退役しており、最近ではウクライナに送られるだけでなく、残存車両はスペアパーツ供給源として利用される可能性もある。

 国防総省のDOT&Eは、MGSの任務を次のように記している。

 「ストライカー旅団戦闘チームはMGSで、壁に穴を開け、バンカーや機関銃の巣を破壊し、狙撃位置や軽装甲の脅威を撃退する。主要な武器システムは、T-62戦車までの脅威に有効な設計となっている」。

 ストライカーシステムは、長年にわたりアップグレードされてきた。

 先に述べたように、デュプレシスがイラクで旧型運用していた頃、陸軍はダブルV車体設計を取り入れた再設計を開始していた。2012年までに673台が生産され、うち450台以上がアフガニスタンに配備された。

 

TOWミサイルを発射するストライカー。(Raytheon)

 

 

2017年には、ICVの50口径機関銃より重い武器を装備したロシア装甲車に対抗するため必要な、はるかに高い火力と交戦範囲を持たせる2年間の取り組みを経て、ストライカーの新型2種が実戦投入された。

 第2騎兵連隊と同じ「ドラグーン」と呼ばれる新型は、30mmブッシュマスターキャノンを装備している。また、このデザインには、待ち伏せや地雷に強いストライカーの「ダブルV」のサスペンションや成熟した戦闘システム部品など、他のストライカーモデルの最新技術が使用されている。

 

ストライカーの更新型ドラグーンは、30mmブッシュマスター・キャノンを搭載する。 (U.S. Army photo)

 

 

2021年4月、陸軍は移動式短距離防空(M-SHORAD)搭載型を実戦配備した。2021年10月、GDLSはエピルスEpirusと、高出力マイクロ波兵器(HPM)レオニダスLeonidasを車両に統合する、ドローンザッピング・ストライカーバリアントに関する正式パートナーシップ契約を発表した。

 エピルスによると、ストライカー・レオニダスと名付けられた車両は、2022年10月に重要テストに合格し、ドローンとドローンの群れを無効化した。

 

実戦記録

イラク戦の最盛期、ストライカーは「EFPやRPGの前に非常に脆弱だった」と、2008年のサドルシティでの戦闘で車両がどのように機能したかを調べた、ウエストポイントのThe Modern War Instituteによる2019年報告書は述べている。

 ダン・バーネット中佐が指揮する第2ストライカー騎兵連隊第1中隊(1-2SCR)は「6日間で6台のストライカーを失った」と報告書に記されている。「車両が生存できないだけでなく、その車幅(特にRPGケージを装着した場合)のため幹線道路の走行が制限され、潜在的な位置が予測でき待ち伏せされやすくなっていた」。

 その結果、装甲小隊にパトロールを先導させるなど、戦術を変更した。「ストライカー車両の前に、戦車を攻撃の矢面に立たせた」のである。これは、都市環境でストライカーを効果的に使用する方法に関して、デュプレシスの発言を反映している。

 

第2歩兵師団第3旅団第5大隊-20歩兵(ストライカー旅団戦闘チーム)の兵士は2003年12月15日、イラクのサマラの安定に貢献するルート偵察、存在パトロール、民生評価、戦闘作戦を実施する。第2歩兵師団第3旅団(ストライカー旅団戦闘チーム)は、第4歩兵師団の作戦統制下にある。(Stryker Brigade Combat Team) is under the operational control of the 4th Infantry Division. (U.S. Army photo by Spc. Clinton Tarzia, Released)

 

戦車や歩兵戦闘車両は「貴重な存在だと証明したが、ストライカー車両はこの環境では物足りないのがわかった」と報告されている。「ストライカーが有用でないわけではない。ストライカーはその他地上戦闘車両と異なり、速度、機動性、輸送オプションの組み合わせが可能である。しかし、この環境における車両の「鉄の三角形」考慮事項(積載量、性能、保護)において、EFPからの保護を提供せず、都市部の地形の大部分で車幅が広すぎた」。

 Combat Studies Institute Pressによる2014年レポートでは、2009年に第17歩兵連隊第1大隊とアフガニスタンに進出したストライカーの初期段階は比較的成功したと示されている。同報告書によると、「バッファロー」のニックネームを持つ同部隊の展開初期の作戦行動テンポは、旅団のアフガニスタン派遣を正当化する以上のものであった。「アルガンダブ川流域の時間と空間を、これまでの部隊では夢だった方法で縮小させ、1-17中隊は作戦地域を一掃し敵の効果を著しく低下させたが、当初の予想よりはるかに高いコストが生まれた」。

 代償は、兵員や車両の損失として時間をかけて積み重なり、ほとんどが路側爆弾の結果であった。

 

2011年6月17日、アフガニスタンのカンダハル州で、道路脇の爆弾で負傷し、避難する際に部隊のメンバーに親指を立てる、アラスカ州フォートウェインライトに拠点を置く第25歩兵師団第1ストライカー旅団戦闘チームのショーン・ウイリアムズ兵曹(米軍)。(Photo by U.S. Navy Lt.j.g. Haraz N. Ghanbari/U.S. Navy via Getty Images)

 

しかし、先に述べたように、2011年には、装甲を強化した新型ストライカーのダブルVハル型が、爆発の衝撃から車内の兵士を遠ざけることができ、必要な仕事をこなせることが証明され始めた。

 ストライカー部隊が駐屯するルイス・マックコード統合基地を含む選挙区のワシントン州選出の有力下院議員も、この意見に同意している。

 下院軍事委員会の上級委員であるタコマ選挙区選出のアダム・スミス議員は当時、「犠牲者は大幅に減少し、これは軍や地元の軍人、ジェネラル・ダイナミクスやその従業員が非常に誇りに思うことのできる重要な成果だ」と述べてた。

 同車両に関する陸軍報告書によると、「新型ストライカーは7月、ルイスマッコードが拠点だったストライカー旅団の第25歩兵師団第1旅団アラスカ兵グループへの攻撃で、最初の主要テストに合格した。兵士たちは、過去に深刻な死傷者を出した路傍爆弾から生き延びた」。

 ストライカーは、2つの戦場で学んだ厳しい教訓の代償で、改良多数が施され、戦闘実績がある。同戦闘車両が、ウクライナの広大な平原や村や町で、その戦記に新たな章を書き加えるのを見ることになるかもしれない。

 ストライカー戦闘車両は、ロシアに直面することになっても、エイブラムスやブラッドレーと異なり、ロシアと対戦に対応する設計ではない。

 米陸軍の戦闘訓練センターでは、ロシアなどの潜在的な敵対勢力の能力を再現しているが、訓練環境以外で大規模な非反乱戦へのストライカー投入は今回が初とデュプレシスは指摘している。■


This Is What Stryker Armored Vehicles Could Bring To The Fight In Ukraine

 

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED JAN 13, 2023 2:36 PM

THE WAR ZONE


ウクライナへついに主力戦車供与か。その他ウクライナ戦の最新状況(現地時間1月13日現在)

 

Rheinmetall BAE Systems Land


 

英国のチャレンジャー2戦車、フランスのAMX-10RC装甲車がまもなくがウクライナへ到着するという発表が出そうだ

 


代的な戦車と装甲車を希望してきたウクライナに金曜日、好材料が出てきた。

 

英国がチャレンジャー2供与を決定か

 英国はチャレンジャー2戦車10両程度をウクライナに提供することを「正式発表する見込み」と、ガーディアンが金曜日に報じた。今週始めに議論が始まった契約が成立すれば、キーウが同盟国から贈られた最初の新鋭戦車となる。数カ国は、T-72含むソ連時代の戦車をウクライナに提供しており、一部は米国が費用を負担している。

「ウクライナ情報筋は、イギリスがチャレンジャー2戦車をウクライナに送ると決定済みと理解しているようだ」とガーディアンは報じている。

 しかし、この情報は変更の可能性があり、この情報の裏がとれなかった。しかし、ウクライナ側同盟国で高まっている、西側の先進的な重戦車を送る動きと一致する。

 

フランスのAMX-10装甲車両供与の日程が明らかになった

 例として、フランスは金曜日、AMX-10RC装甲車の最初の1両が今後2ヶ月以内にウクライナに到着すると発表した。105mm主砲は、約11ヶ月にわたる全面戦で装備と人員を失いつつあるキーウの武器庫に切望されていた機動力を加えるものとなる。

 「セバスチャン・ルコルヌ軍担当大臣とオレクシイ・レズニコフ国防大臣は、AMX 10-RCの納入に関し議題を設定した」と、フランス国防省は前日の電話会談内容を金曜日に発表した。ウクライナ軍は、フランス製装甲車を「2ヶ月以内に」受け取る。「両大臣はまた、これら車両の運用に関しウクライナ人兵士の訓練の迅速な組織化について行動した」。

 

ドイツはレオパード2戦車の供与へ動くか

木曜日、ドイツのロバート・ハーベック副首相は、ポーランドなどのから、ドイツ製レオパード2主力戦車をウクライナに送る要請を承認すると公に打ち出した。同戦車の販売条件では、ベルリン当局は外国からの譲渡を阻止する権限を与えられているが、ここ数週間、同盟国から譲渡を許可するよう強い政治的圧力がかかっている。ハーベック発言は、ポーランドのドゥダ大統領が、ウクライナにレオパード2を譲渡する意向を公言した翌日に行われた。

これらはすべて、フランス、ドイツ、アメリカがそれぞれAMX-10 RC、マーダー歩兵戦闘車、M2A2-ODSブラッドレー戦闘車(BFV)の供与を決定したのを受けてのことだ。

 

シリア北東部ハサカ県のスウェイディヤ油田でパトロールする米軍のブラッドレー戦闘車(BFV)(2021年2月13日撮影)。(写真:DELIL SOULEIMAN / AFP)(Photo by DELIL SOULEIMAN/AFP via Getty Images)

 

装備供与後の保守整備が重要課題だ

そして、ウクライナの武装と戦闘を維持するため活動している50人の防衛大臣によるウクライナ防衛コンタクトグループが1月20日に会合を開く。

 会議では、戦車や、レオパルド2の譲渡に難色を示すドイツへの継続的な圧力が、大きく取り上げられることは間違いない。しかし、もう一つ大きな問題がある。米国と同盟国がすでにウクライナに提供している数百億ドル規模の装備、すなわちドイツが提供するIRIS-T SLM防空システム、M142高機動砲兵ロケットシステム(HIMARS)の継続だ。

 火曜日にブリュッセルのNATO本部で行われたNATOと欧州連合の協力に関する共同宣言署名式で、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、「システムの重視は歓迎するが、システム、プラットフォーム、兵器を増やすだけではなく、提供ずみのプラットフォームや兵器が本来の機能を果たしているかどうか、つまり、弾薬、予備部品、訓練、メンテナンスも確実に提供すべきことを認識しなければならない」と述べた。

ウクライナに供与された兵器を戦場に残し続けていいのかという問題も、国防総省には重要なことである。

 米国国防総省高官は、金曜日The War Zoneに、「ウクライナへの今後の援助では、保守と維持(M&S)に焦点を当てるべきだ」と述べた。「ペイトリオットのM&Sだけで3年間で平均5億ドル(約550億円)かかる」という。これにNASAMSやBFVの費用が加わると、ロイド・オースティン国防長官や国防総省の政策担当者が「以前から懸念していた」持続可能性の大きなレベルにすぐに到達してしまう。

 

 

最新情報

ワグネルがソレダルを占領したのか、ロシア国防省が異議

ウクライナ戦の主な焦点は、ドネツク州の塩鉱山の町ソレダルSoledarのままで、ロシアは勝利を主張しているがウクライナは否定している。

 ロシア国防省は、金曜日テレグラム・チャンネルで、「ドネツク方面の攻撃作戦を成功させる上で非常に重要なソレダルの町が解放された」と発表した。

 声明は、ワグネル傭兵グループのリーダー、イェヴェゲニー・プリゴジンYevegeny Prigozhinが、ソレダルと近くのバフムートBakhmutで多大な損失を出したにもかかわらず、ワグネルが十分な評価を得ていないとした発言を考慮しているようだ。

ソレダルはドネツク州のバフムトから北東に約6マイル(約8キロ)にある。 (Google Earth photo)

 

 ロシア国防省は、「ロシア軍(部隊)集団が、ウクライナ軍(AFU)の敗北とソレダル奪取につながった攻勢作戦を実施した」と述べた。「北と南から町を封鎖し、作戦地域を隔離し、敵が近隣地域から町に予備部隊を移動するのを防ぎ、ソレダルのAFU部隊の撤退を阻止し、地上攻撃機と火砲による攻撃支援を規定した単一概念と計画に従って」起こったものである。

金曜日の午後、ウクライナはソレダル陥落を否定した。

東部ウクライナ軍報道官、セルヒイ・チェレバティSerhii Cherevatyは、AP通信に、「ソレダルにはまだウクライナ軍が残っている」と語った。

 ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、金曜日夜の演説で、その立場を繰り返した。「ドネツク地域の激戦は続いている。バフムートとソレダル、クレミンナKreminna、わが国東部の他の町や村の戦いは続いている」と述べた。「敵はこの方面に最大戦力を集中しているが、ウクライナ国軍、防衛・治安部隊が守っている」。

 

ワグネルが塩鉱山を支配する?

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、ワグネル部隊によるソレダル占拠は、ロシア国内で同グループのイメージを高めるだけでなく、財政面でも有利に働くと指摘している。

 同紙は、「ワグネルが同地で支配を固めれば、塩山は経済的な価値を持つことになる」と報じた。「ロシアはウクライナ占領地で重要な経済資産を押収しており、ワーグネルがアフリカで軍事力で鉱山を支配しているのと同じだ」。

 ソレダル塩山は「ヨーロッパ最大級で、周辺の田園地帯に125マイルも伸びるトンネルで、年間約280万トンを生産する能力がある」という。

 ウクライナへの経済的打撃以上に、ソレダルのウクライナ軍崩壊は、両陣営が数インチをめぐり戦い軍隊と装備の多大な損失を被ったバクムートBakhmutの防衛を難しくしそうだ。両都市とも戦闘で壊滅状態だ。

 米当局は、バフムートが陥落しロシアがドネツク州の支配権を回復しても、ウクライナの継戦能力に大きな影響を与えることはないだろうと述べている。

 しかし、人員、装備、領土、勢いを失い、さらにロシアの新たな攻勢も懸念されることから、自国の完全な解放をめざすウクライナに良い兆候とは言えない。

 その他前線でも、ドンバス地方を中心に戦闘は続いている。ドネツクでの戦闘のほか、ルハンスクのP-66ハイウェイ(スバトベSvatoveからクレミンナまで)でも、両陣営は領土をめぐる争いを続けている。

 Institute for the Study of Warの最新評価の主要なポイントを以下お伝えする。

  • ロシア軍とウクライナ軍は、スバトベ-クレミンナ 線に沿い攻勢を継続中。

  • ロシア軍は バクムート、アフディフカAvdiivka、ドネツク市の西側で攻勢を継続した。

  • ロシア軍はドニプロ川東(左)岸で防衛作戦を継続中。


その他のトピックス。

ウクライナは事実上NATO加盟国(レズニコフ国防相)

ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は、BBCインタビューで、「ウクライナという国、そしてウクライナの軍隊はNATOに加盟した」と発言した。「デジュール(法律)ではなく、デファクト(事実上)で。なぜなら、我々は武器を持っており、その使い方を理解しているから」。

 プーチン大統領は長い間、ウクライナに対する全面戦争を、ロシアと戦争しているわけではないと説明するのに苦しいNATO同盟に対する存亡をかけた戦いと位置づけてきた。しかし、レズニコフは、自分の発言がプーチンの主張を助長するだけではないかとの懸念を否定した。

 「なぜ論争になるのですか? 事実ですよ。事実なのだから」とレズニコフは言った。「近い将来、NATOの一員になることは間違いない」。

NATOがAWACSをルーマニアへ展開

 NATOはロシアと戦争していないかもしれないが、ロシアがウクライナと戦争していることを大いに懸念している。

 「NATOは、ルーマニアのブカレストに(E-3セントリー)空中警戒管制システム(AWACS)偵察機を配備する」と発表した。「機体は2023年1月17日に到着予定で、地域における同盟プレゼンス強化を支援し、ロシアの軍事活動を監視する」。

 「ロシアのウクライナにおける違法な戦争がヨーロッパの平和と安全を脅かし続ける中、同盟国の領土を隅々まで守り抜くNATOの決意に疑いの余地はありません」とNATO報道官Oana Lungescuは述べた。「AWACSは、数百キロメートル先の航空機を探知することができ、NATOの抑止力と防衛態勢で重要な能力となっている。早期警戒に重要な貢献をしている同機を受け入れてくれたルーマニアに感謝する」とも述べた。

 開戦前からE-3はウクライナとベラルーシの西国境沿いの空域で監視している。

「NATOのAWACSは、今後数日間、同盟国領内の上空のみで偵察飛行を開始する」と、NATOは述べている。「このミッションは数週間続く予定で同型機は、ドイツのガイレンキルヒェンを拠点とするNATO偵察機14機がある。約180名がブカレスト近郊のオトペニ空軍基地に配備され、航空機を支援する」。

 

NATOのAWACS機は今月末までルーマニアのオトペニに展開し、航空監視ミッションを実施する。(Archive photo courtesy NATO Airborne Early Warning and Control Force.)

 

ベラルーシで戦力整備するロシア

 ロシアはクライアント国ベラルーシで兵力と装備の増強を続けている。

 ベラルーシ国防省は金曜日にテレグラムチャンネルで、「ベラルーシとロシア軍の地域戦闘調整の共同活動の一環として、第11機械化別旅団の砲兵部隊が任務を遂行できるように準備されている」と述べた。

ベラルーシはまた、ロシアから新型防空システムを受領している。同国国防省は、「本日、30151部隊は、対空ミサイルシステムTor-M2Kバッテリーを受け取った」と述べた。「アンドレイ・ルキヤノビッチ大佐は、これは同旅団にとって、さらに空軍と防空軍にとって、国軍にとって重要な日だと強調した。戦略的に重要な同旅団に新兵器が引き渡されたのだ」。

 一方、あるロシア政府関係者は、ウクライナがロシアかベラルーシを攻撃した場合、両国の共同対応を呼び起こすだろうと脅した。

 ロシア外務省のアレクセイ・ポリシュチュクAlexey Polishchukは、金曜日にロシアのタス通信に、「法的には、キーウ政権による武力行使やウクライナ軍のベラルーシやロシアへの侵攻は、集団的対応の引き金として十分だ」と述べた。「しかし、どのような方法で対応するかは、両国の政治・軍事の指導者が決定することである。具体的な状況において、連合軍の使用の是非と、脅威に対する共同対処の妥当性が鍵となる」と述べた。

ビーバーがあらたな敵?

 国境越えの攻撃にビーバーという思わぬ敵がいるようだ。

 ロイターは、「ウクライナ北西部のベラルーシ国境付近では、決壊した川の土手、厚い泥、水浸しの畑が数キロにわたって見られるが、国境を越えたロシアの攻撃だと今のところ考えにくい」と報じている。

 ある部隊の広報担当はロイターに対し、ビーバーが戦場を水浸しにしていると語った。

 「通常はビーバーダムができれば、人々が破壊するが、今年は戦争のため破壊しなかったので、至る所に水がある」のだという。

火災安全違反で自ら戦車を喪失しているロシア

 「火災安全違反」がロシアを悩ませ続けているようだ。今回は、T-72戦車を破壊し、他の2台を損傷させたと報じられた火災のケースである。

 「ベルゴロド地方でT-72戦車の修理中に弾薬が爆発し、戦車1台が破壊され、他の2台が損害を受けた」とロシアのバザ通信がテレグラムチャンネルで伝えている。

 「修理・技術基地での火災は1月12日の夕方から始まった。修理中の火災安全違反により緊急事態が発生した。消防隊は火災発生の2時間後に緊急現場に到着し、30分で消火した。死傷者はなかった」。■

 


Ukraine Situation Report: Movement To Give Kyiv Western Tanks Gains Steam


BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED JAN 13, 2023 10:05 PM

THE WAR ZONE


2023年1月14日土曜日

CSISによる米中戦シミュレーション報告書の要旨部分をご紹介します。

 おそらく今年で最も重要な刊行物となったCSISの米中戦シミュレーション結果の報告書から最初の要旨部分のみ抽出してご紹介します。あらためて状況の深刻さ、抑止力の必要性(「軍拡」は開戦の準備ではありません)、合理的な防衛政策の選択の必要性がわかりますね。一方で、中共が無謀な選択をしないことを祈るばかりですが....

https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?WdEUwJYWIySMPIr3ivhFolxC_gZQuSOQ


Executive Summary


中国が台湾へ水陸両用侵攻するとどうなるのか?CSISでは、中国による台湾への水陸両用侵攻を想定したウォーゲームを開発し、24回実行した。ほとんどのシナリオで、米国/台湾/日本は中国の揚陸侵攻を撃退し、台湾は自治を維持できた。しかし、防衛には高い代償がついた。米国と同盟国は、艦船数十隻、航空機数百機、人員数万人を失った。台湾は経済的な打撃を受けた。さらに、この大きな損失は、長年にわたり米国の世界的な地位を損なうことになった。中国も大損失を被り、台湾占領に失敗すれば、中国共産党の支配が不安定になるかもしれない。したがって、勝利だけでは十分ではない。米国は直ちに抑止力を強化する必要がある。


課題  中国の指導者は、台湾を中華人民共和国に統一しようとする姿勢を強めている1。 米高官や民間専門家は、中国の意図や紛争の可能性に対し懸念を表明している。 

1 本プロジェクトでは、台湾国民が自らも中国人と考えていることを認識し、「中国」を中華人民共和国を指す言葉として使用している。



 中国の計画は不透明だが、軍事侵攻はあり得ない話ではなく、中国にとって「台湾問題」で最も危険な解決策となるため、米国の国家安全保障論で注目するのは当然だ。米軍にとって「台湾有事はペースの速いシナリオ」で、米軍に「中国」を持たせることは極めて重要である。2 冷戦時代のフルダ・ギャップについて理解を深めたように、アナリストも台湾侵攻シナリオを考慮しなければならない。この理解が重要となるのは、防衛が絶望的である場合と防衛が成功する場合とでは、米国の政策が根本的に異なるからだ。もし台湾が米国の援助なしで中国から自らを守れれば米戦略を不測の事態に合わせる理由はなくなる。逆に、米国がいくら援助しても台湾を中国の侵略から救えないのなら、米国は台湾防衛のため空想的な努力をすべきではない。

 しかし、もし米国の介入が一定の条件下で、特定の重要な能力に依存することで侵略を阻止できれば、米国の政策はそれに応じて形成されるべきだろう。それで中国が侵略を思いとどまる可能性も高くなる。しかし、このような米国の戦略形成には、政策立案者が問題意識を共有することが必要だ。ただし侵攻の作戦力学とその結果については、その重大な性質にもかかわらず、厳密な意味でオープンソースの分析は存在しない。非機密扱いの分析は、侵攻の一面のみに焦点を当ている、厳密な構造になっていない、軍事作戦に焦点を当てていないかのいずれかだ。機密扱いのウォーゲームは、一般市民にとって透明性がない。適切な分析がなければ、公開討論は固定されないままである。そこで、今回のCSISプロジェクトでは、歴史データとオペレーションズ・リサーチを用い、2026年に中国が台湾に水陸両用侵攻した場合をモデル化したウォーゲームを設計した。例えば、中国の揚陸輸送能力では、ノルマンディー、沖縄、フォークランドを分析した。また、空港を制圧するために必要な弾道ミサイル数を決定するなど、理論的な兵器性能のデータに基づき設計されたルールもある。ほとんどのルールでは、この2つの方法を組み合わせた。このように、ウォーゲームの戦闘結果は、個人判断ではなく、分析に基づいたルールで決定された。また、最初から最後まで、同じルールを適用しれ、一貫性を保った。インタビューと文献調査に基づき、本プロジェクトでは、主要な前提条件で最も可能性の高い値を組み込んだ「基本シナリオ」を想定した。プロジェクトチームは、この基本シナリオを3回実行した。


様々なケースを想定し、その効果を検証した。3 これらの想定が結果に与える影響は、台湾侵攻スコアカードに描かれている(図8参照)。合計24回の繰り返しで、紛争の輪郭が描かれ、米国が直面する大きな脅威について首尾一貫し厳密な図が作成された。


結果  侵略は常に同じように始まる。開戦直後の砲撃で台湾の海軍と空軍の大部分は破壊された。強力なロケット部隊で増強された中国海軍は台湾を包囲し、台湾への海上航空輸送を妨害した。中国兵数万人が軍の揚陸艦と民間のロールオンロールオフ船で海峡を渡り、空襲と空挺部隊が上陸地点の背後に上陸する。


2 エリー・ラトナー、上院外交委員会での証言、「台湾に対する米国の政策の将来」、第117議会、第1会期、2021、https://www.foreign.senate.gov/hearings/the-future-of-us-policy-ontaiwan120821。

3 エクスカージョンケースには、最も可能性が高いと思われないが、もっともらしいと思われる想定が含まれる。3|次の戦争の最初の戦い 


 しかし、最も可能性の高い「基本シナリオ」では、中国軍の侵攻はすぐに判明する。中国軍の大規模な砲撃にもかかわらず、台湾地上軍は海岸線に流れ込み、侵略軍は物資補給と内陸部への移動に苦心する。一方、米軍の潜水艦、爆撃機、戦闘機、攻撃機は、日本の自衛隊により強化され、中国の水陸両用艦隊を急速に麻痺させる。中国が日本の基地や米軍の水上艦船を攻撃しても、この結果を変えることはできない。台湾の自治は維持される。ここで、一つの大きな前提がある。台湾は抵抗し、屈服しないことだ。米軍の投入前に台湾が降伏してしまえば、あとは無益である。

 防衛には高い代償がついた。日米両国は、何十隻もの艦船、何百機もの航空機、何千人もの軍人を失う。このような損失は、何年にもわたって米国の世界的地位を損ねることになる。台湾の軍隊は崩壊はしないが、著しく劣化し、電気も基本的なサービスもない島で、傷ついた経済を守るため放置されている。中国もまた大きな打撃を受ける。海軍は壊滅状態、水陸両用部隊の中核は壊滅し、兵士数万名が捕虜になった。


成功の条件 24回繰り返したゲームの分析から、中国の侵攻を打ち負かすために必要な4つの条件が明らかになった。

1. 台湾軍が戦線を維持すること。提言 台湾の地上軍を強化する。中国軍の一部は上陸するため、台湾地上軍はkぴ陸地点をいずれも封じ込め、中国の兵站が弱まったところで強力に反撃できなければならない。

2. 台湾に「ウクライナ・モデル」は存在しない。提言:平時に米台が協力し台湾に必要な兵器を提供し、戦時には米国が台湾防衛を決定すれば、米軍は速やかに直接戦闘を行わなければならない。ウクライナ戦争では、米国と北大西洋条約機構(NATO)は、部隊を派遣していないが、大量の装備と物資をウクライナに送っている。ロシアはこの陸路の流れを阻止することができなかった。しかし、台湾では中国が数週間から数カ月にわたり台湾を孤立させることができるため、「ウクライナ・モデル」の再現はできない。台湾は必要なものをすべて持った上で戦争を始めなければならない。さらに、米国による遅延や中途半端な措置は、防衛を困難にし、米国の犠牲者を増やし、中国がより強力な宿営地を作ることを可能にし、エスカレーションのリスクを高める。


3. 米国は、日本国内の基地を戦闘に使用可能にしなければならない。提言:日本との外交・軍事関係を深める。他の同盟国(オーストラリアや韓国など)も中国との広範な競争で重要であり、台湾防衛に何らかの役割を果たすかもしれないが、日本が要だ。日本国内の米軍基地なしでは、米国の戦闘機/攻撃機は効果的に戦争に参加できない。4|カンジャン、カンジャン、ヘギンボサム 


4. 米国は、中国の防御圏外から中国艦隊を迅速かつ大量に攻撃しなければならない。提言:長距離対艦巡航ミサイルを増強する。スタンドオフ対艦兵器を発射できる爆撃機は、米国の損失を最小限に抑えつつ侵略を撃退する最速の方法となる。このようなミサイルを調達し、既存のミサイルを対艦能力にアップグレードすることが、調達の最優先事項とすべきだ。


ピュロスの勝利の回避 勝利がすべてではない。米国は勝利を収めるが、長い目で見れば「敗れた」中国より多くの苦しみを味わされるかもしれない。


 さらに、コストが高いという認識は抑止力を弱める可能性がある。もし中国が、台湾防衛の高いコストを米国が負担したくないと考えるなら、中国は侵略のリスクを冒すかもしれない。したがって、米国は、紛争が発生した場合に、勝利のコストをより低く抑える政策とプログラムを導入すべきである。その方策には以下がある。

政治と戦略 

  • 戦争計画の前提を明確にする。戦前の台湾や中立国への配備を前提とした戦争計画と、政治的現実の間には、一見してわかるギャップがある。

  • 本土攻撃の計画を立ててはならない。核保有国とのエスカレーションによる重大なリスクから、国家司令部が許可を出さない可能性がある。

  • 死傷者が多くても作戦を継続する必要性があると認識すること。米国はイラクとアフガニスタンでの20年間の戦争の約半分の死傷者を3週間で出すことになる。台湾の空軍と海兵隊を非対称にする。台湾は、「ヤマアラシ戦略」を採用するとのレトリックがあるが、防衛予算の大半を、中国がすぐ破壊してしまう高価な艦船や航空機に費やしている。

方針と姿勢

  • 日本やグアムの航空基地を強化・拡大する。分散・強化により、ミサイル攻撃の効果を薄める。米空軍のドクトリンを改訂し、航空機の地上での生存能力を高める調達を再構築する。航空機の損失の90%は地上で発生する。

  • 中国本土上空を飛行する計画を立ててはならない。中国本土の防空は強力であり、目標達成に時間がかかり、台湾周辺の航空任務が優先される。

  • 海兵隊沿岸連隊や陸軍多領域任務部隊の限界を認識し、人数に上限を設ける。これらの部隊は中国に対抗するために作られたもので、ある程度の価値はあるが、政治的、作戦的な困難から有用性には限界がある。

  • 脆弱性を生む危機的展開は避ける。軍事ドクトリンでは、危機時の抑止力強化のために前方展開を求めているが、こうした部隊は魅力的なターゲットとなる。

兵装と装備品

  • 小型かつ生存性の高い艦船にシフトし、不具合のある艦船や複数の沈没船に対応する救難機構を開発する。水上艦は非常に脆弱で、米国はゲームの反復で、通常空母2隻と大型水上戦闘艦10~20隻を失った。

  • 潜水艦やその他の海底プラットフォームを優先的に使用する。潜水艦は中国の防衛圏に進入し、中国艦隊に大打撃を与えたが、数は不十分だった。

  • 極超音速兵器の開発と配備を継続するが、ニッチ兵器であることを認識する。極超音速兵器はコストが高いので、在庫に限りがあり、膨大な数の中国空軍と海軍のプラットフォームに対抗するには数量が不足する。

  • 戦闘機より爆撃機の維持を優先させる。爆撃機の航続距離、ミサイルのスタンドオフ距離、高い搭載能力は、人民解放軍に対応困難な課題を突きつけた。

  • 戦闘機をより多く、より安く生産し、ステルス機取得と非ステルス機の生産をバランスよく行う。紛争初期に航空機多数が失われたため、空軍は戦闘機・攻撃機が不足し、損失を維持できるほどの大規模な戦力を持たない限り、紛争で二次的なプレーヤーになる危険性がある。


最後に、このプロジェクトと提言には、注意が必要である。侵略のモデル化は、侵略が不可避である、あるいは可能性が高いことを意味するものではない。中国指導部は台湾に対し、外交的孤立、グレーゾーンでの圧力、経済的強制といった戦略を取るかもしれない。仮に中国が軍事力行使を選択したとしても、完全な侵略ではなく、封鎖の形を取るかもしれない。しかし、侵攻リスクは十分に現実的であり、破壊的な結果を生む可能性があるため、分析の価値はある。本プロジェクトは、台湾防衛の利点が見込みのコストを上回るのか、あるいはコストと利点をどう比較検討するのかについて、立場を表明するものでない。むしろ、この重要な国家安全保障上の課題に対し、国民がより良い情報を得た上で意思決定できるようにするため、国民的議論を深めるのを目的にした。■



2023年1月13日金曜日

CSIS台湾戦シミュレーション結果に対する中共の反応

  中共の子飼いの環球時報英語版の社説のご紹介です。

CSISシミュレーションの結果を受け入れられず、挙句の果てに軍産複合体まで引き合いに出しているのはさすがに中共にも結果がショックだったことの裏返しでしょうか。

この記事はKnow Your Enemyhttps://knowyourenemy2022.blogspot.com/にも掲載します。

 

ご注意 以下は環球時報の主張であり、当ブログの意見ではありません。

 

 

 

メリカの軍産複合体は、長い間、戦争の恐怖を煽り、あるいは現実の戦争を煽り、武器販売に執着してきた。

 ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は月曜日、中国大陸が台湾島への全面的な攻撃を開始した想定での戦争ゲーム・シミュレーション結果を発表した。アメリカとその同盟国にとって「ピュロスの勝利」 "pyrrhic victory" *となり、中国の人民解放軍(PLA)は「ボロボロ」になるとのことだ。

 *「損害が大きく、得るものが少ない勝利」、つまり「割に合わない」という意味の慣用句である。 古代ギリシアのエペイロス王で、戦術の天才と謳われたピュロスの故事に由来する。

 

 専門家は、CSISのシミュレーションの結果は、戦場で実際に起こりうる事態を反映していないとGlobal Timesに語った。中国社会科学院アメリカ研究所で副所長兼上級研究員の袁正は、今回の戦争ゲームは主観的な判断と要素に満ちていると考えている。一国の軍事力や戦闘指揮はダイナミックに変化するもので、シミュレーション予測はそもそも困難だとする。

 中国の軍事専門家でテレビ解説者の宋中平は、今回の戦争ゲームの結果は、日米の軍事力と防衛協力の決意を過大評価し、中国共産党の総合戦闘力を過小評価した重大な誤判断であると指摘する。米海軍と空軍は遠洋で優位に立つことができるものの、中国近海では強みを発揮するのは困難であり、中国大陸で中国空軍に対して完全な軍事的優位性を築くことについては言うまでもない。米国は、不可能な任務を遂行するため、米国民の税金を浪費することになる。

 宋は、CSISの戦争シミュレーションは非常に挑発的で、「中国の軍事的脅威」説を誇張する米国の政治的姿勢に資するものと考えている。その目的は、米軍と軍産複合体への財政支援を強化し、中国共産党に対して総合的かつ非対称な軍事的優位を築くことにある。

 とはいえ、米軍と軍需産業で構成する米国の戦争マシーンは、このシミュレーション結果を利用し、自らの利益を追求する可能性が高い。より高度な武器や装備を開発するため、また、PLAへの対抗能力を強化するために同盟国を武装させるために、議会からより多くの軍事費を要求している。

 米国の軍産複合体は、台湾海峡の緊張が激化するのを喜ぶだろう。同地域で軍事衝突が発生するか、またはその可能性がある場合、ワシントンは台湾地域当局に米国製武器や装備を大量に購入するように説得するのは確実だ。同時に、米国は「中国の脅威」を誇張することで、アジア太平洋地域各国に不必要な恐怖心を与え、その結果、米国との防衛協力が強化される可能性が高い。これらの国や地域をより強固に結びつけ、恐怖を煽って利益を得ることは、米国、特にその戦争マシンにとって大きな意味を持つだろう。

 米国は、台湾海峡の状況を混乱させ、問題を引き起こしている。台湾防衛を支援するため準備を進めている。ワシントンが台湾軍の自衛能力を強化する中で、第一列島線と第二列島線双方の前方基地を強化し、統合能力を高めている、と専門家は指摘する。

 中国は、台湾問題を解決する上で、海峡両岸の平和的統一を優先している。しかし、いかなる状況下でも国家主権と領土保全の意志と決意を堅持する。

 ワシントンがいかに「中国軍事脅威論」を誇張し、北京の軍事力を軽視しても、中国は軍事強化の戦略を堅持し、軍事機械化、情報化、知能化の融合を向上させる必要がある。同時に、大陸も海峡での軍事闘争を正常化し、的を射た形で準備する必要がある。最終的に、米国は十分に準備された中国大陸に対処しなければならず、予想される「ピュロスの勝利」が「ワーテルロー」になる可能性さえあるのだ。■

 

CSIS war game stirs up tension, helps US war machine seek more funding - Global Times

OPINION / OBSERVER

By Global Times

Published: Jan 11, 2023 12:08 AM

 


2023年1月12日木曜日

沖縄駐留米海兵隊の再編に日本が了承。海兵隊沿岸連隊が生まれる。

 


2022年8月21日、沖縄・キンブルーでスモークグレネードを監視する第31海兵遠征部隊の海兵隊員。(米海兵隊撮影:ダニー・ゴンザレス軍曹)。


日本、沖縄における海兵隊の沿岸「待機」部隊計画に署名 - Breaking Defense

オースティン国防長官は、アメリカが日本の防衛に "核を含む全能力 "で取り組むと再確認



攻守に優れた武器を装備した米海兵隊の即応部隊が2025年までに沖縄に配備されると、日米当局者が本日、ワシントンで発表した。明らかにこの地域における中国の影響力を阻止することが目的の東京による外交行動の最新例だ。

 米海兵隊は昨年、沖縄駐留の第12海兵連隊を第12海兵沿岸連隊に再編成する計画を発表していた。再編成は、より機動的で即座に展開可能な部隊を立ち上げるのが目的の海兵隊構想の一部。この種のものとしては、昨年春にハワイで創設された第3海兵隊沿岸連隊が最初だ。

 海兵隊は現在も編隊設計に取り組んでいるが、各隊には1800〜2000人の海兵隊員と船員が含まれ、対艦ミサイル含む攻撃・防衛能力を持つことになりそうだ。

 ロイド・オースティン米国防長官は今日のイベントで、アントニー・ブリンケン米国務長官とそれぞれの日本側代表と並び、「我々はこの新しい編成に、現在と将来の脅威環境に関連した高度な情報、監視、偵察、対艦、輸送能力を装備する」と述べた。

 海兵隊は今日の発表や将来の第12次MLRに関する具体的な質問に答えなかったが、発表の中で「第1列島線における準備万端の待機部隊に加え、日米同盟を支援し、抑止力支援と有事への対応能力を強化する...」と述べている。この動きは、日米安全保障協議委員会(2+2)で合意された。

 海兵隊の動きだけに加え、オースティンは、台湾に近い南シナ海にある尖閣諸島(別名釣魚島)への東京の主張への支持を含め、アメリカの日本へのコミットメントをより広く東京に再確認した。米軍は以前、尖閣諸島への兵士と武器の派遣を提案したことがあるが、今のところ効果はない。

 「日米両国は中国による不安定化する行動に対する懸念で一致し、核を含むあらゆる能力で日本を防衛する米国の鉄壁の約束を再確認した。また、相互安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを強調する」とオースティンは述べた。

 一方、ブリンケン長官によれば、日米両国は今週末、二国間安全保障条約を拡張し、宇宙での攻撃を含む「10年がかりの」協定に署名するという。

 日米の発表は、日本とイギリスが、英軍の日本配備を認める画期的な防衛協定に署名したわずか数時間後に行われた。同協定は、戦闘機や高度なコンピューター技術に関する両国の共同作業をきっかけに締結された。英国政府は、「3協定はすべて、インド太平洋の安全と安定を確保する英国の揺るぎないコミットメントを強化し、英国と日本の友情の深さを例証するものです」と述べている。

 新年を迎える直前、東京は防衛費の増額計画を発表し、中国本土に到達可能な長距離「カウンターストライク」能力の獲得を含む新しい国家安全保障戦略も明らかにした。

 日本の2つの国際的な発表は、ロシアのウクライナ侵攻が1年になろうとする中で行われ、世界指導者たちは、中国の台湾支配の試みを継続的に監視し、ウォーゲーマーたちは、血生臭い交戦になるだろうと述べている。■


Japan signs off on Marines plan for new littoral 'stand-in' group in Okinawa - Breaking Defense

By   ASHLEY ROQUE and LEE FERRAN

on January 11, 2023 at 7:50 PM