2022年7月29日金曜日

ウクライナにA-10を供与しても実戦に役立たない理由とは....A-10神話が強すぎる?

 

  

ウクライナ戦でA-10が正しい選択にならない理由 

 

3月にウクライナで、渋滞に巻き込まれたロシアの車列が何マイルも続く衛星写真が公開され、伝説のフェアチャイルド・リパブリックA-10サンダーボルトII、通称ウォートホグのファンは、ウクライナ戦への同機投入を切望してきた。しかし、ウクライナへのA-10派遣が実施可能と思われ始めた今、大口径機関砲による威力をもとにしたレトリックを健全かつ現実面で抑制する時が来た。 

 
 

New wings to secure A-10 longevity > Air Force > Article Display


(U.S. Air Force photo) 

 
 

A-10には制空権確保が必要だ(ウクライナにない) 

A-10はもともとソ連装甲部隊と交戦するため設計されたが(後述するように、実はその効果は思ったほど高くないかもしれない)、低速のウォートホッグは20年にわたる中東での非対称戦を通じ、歩兵お気に入りの近接航空支援機となった。しかし、ウクライナ戦はまったく異なる。 


イラクやアフガニスタンでは、パイロットを守るチタン製タブと冗長システムの組み合わせで、敵攻撃を受けても空中で待機し、敵陣にまっすぐ飛び込み30mm大口径弾を毎秒65発発射し、その威力を何度も証明した。これはA-10の本来の目的ではないが、多くの点でヨーロッパ国境を越えて押し寄せるソ連軍の兵器を相手にするより、接敵中の部隊への航空支援に有効だと証明された。

 

「テロとの戦い」は、航空戦力や高度な防空能力を持たない敵を相手にするため、A-10が活躍する絶好の機会となった。A-10は強みを発揮したが、弱点は明らかにならなかった。携帯型防空システム(MANPADS)が少なく、敵軍が使用する装備はほとんど時代遅れであった。それ以上に、これまでの紛争では防空システムは実質的に存在していなかった。 


The unknown story of an A-10 CAS mission performed to support Special  Forces deployed in Afghanistan - The Aviation Geek Club 

(U.S. Air Force photo) 


高度脅威環境では、A-10が撃墜される危険性が高くなる。実際、非常に効果的な防空網に対して、アメリカ空軍と海軍の現在供用中の航空機のほとんどは、かなりのリスクで運用されることになる」。("Defining an Approach for Future Close Air Support Capability" by John Matsumura and John Gordon IV, Randall Steeb for the Rand Corporation) 


ウクライナ上空で雌雄が決まっていない。ウクライナ機は毎日出撃しており、それ自体、ロシアの優れた技術と数に対抗する上で奇跡に思えるが、ロシアの戦闘機と防空システムは依然として広く戦闘に加わっている。ロシアの防空システムは、よく言われるようほど無敵ではないとしても、被探知性が高く、低速のウォートホッグと交戦できるは確かである。 


過去に紹介したように、A-10は適切な状況下であれば、サラブレッド戦闘機と1対1で対峙することも可能だが、それを試みると絶望的な行為となる。最高速度が時速420マイルしかないA-10は、ロシアのS-300やS-400防空システム、様々なロシアの戦闘機の格好のターゲットとなる。 


ウクライナも十分承知しているようだ。 


ウクライナ国防相の顧問ユーリー・サックは、Military.comの取材に対し、「A-10は空を閉ざさないし、爆撃機やミサイルを止めることもできない」と語っている。「A-10は、ロシアのジェット戦闘機や対空防衛の標的になる。我々にはA-10を効果的にカバーする手段も、敵の対空防衛を突破する手段もない」。 


A-10は、装甲を粉砕する殺人マシンではない 

怒りのコメントが殺到してくる様子が思い浮かぶ。しかし、真実が私たちを解放してくれる。 


A-10の伝説的なGAU-8アベンジャー機関砲は、信じられない工学の塊だ。長さ約20フィート、重さ約620ポンドの油圧駆動の7バレルガトリング式自動砲は、当初低設定で毎分2,100発、高設定で4,200発の発射が可能だったが、最終的には常時3,900発に安定化された。つまり、A-10の巨大砲は毎秒65発の弾丸を発射する。 


こんな弾が65発毎秒発射されるんだよ。

 

 

私のオフィスには "誰も信じるな "と 書いてある いいアドバイスだ 


上の写真はA-10のGAU-8の30mm弾(左)、M2マシンガンの徹甲焼夷弾(50口径)、AR-15などライフルの223ライフル弾、X-Filesをテーマにした鉛筆のレプリカ。 


つまり、人間の限られた感覚からすれば、A-10は事実上、4,000フィート以下(多くの場合、もっと近く)の距離から劣化ウラン弾をレーザー光線を目標に発射していることになる。A-10の機関砲が、標的を悪者風味のオートミールに変えるのに効果的でないふりをするつもりはない。しかし、この兵器が強力であっても、一般に考えられているほど、ロシアの装甲に有効ではないことを認識することが重要である。 


A-10のGAU-8と30mm徹甲弾は、整備不良のT-72を中心としたロシアの年代物戦車の装甲には極めて有効だが、有効性を発揮するため、(環境が許す限り)相当なパイロット技量と効果的な作戦立案が必要となる。 


1979年、海軍大学校はA-10と強力な砲をソ連のT-62戦車に対し低角度で発射し威力を発実験した。その結果、1950年代の戦車に対し、正面からは全く歯が立たず、背後や側面への攻撃で致命的な打撃を与えることができた。 

 
 

 

 
 

報告書によると、高度200フィート以下、距離4,400フィートから1,587フィートの範囲で、T-62戦車に対し合計7回のパスを行い、A-10は合計957発を発射したが、実際に戦車に命中したのは93発だけであった。そのうち、穿孔や装甲貫通を起こしたのは17発だけであった。7回のパスのうち1回では、戦車に一発も弾が当たらなかった。 


もちろん、対戦車戦闘では装甲を貫通させることが必ずしも必要なわけではない。もちろん、装甲貫通が対戦車戦闘に必須なわけではなく、サスペンションや戦車のトレッドに十分なダメージを与え機動性を制限することも、同じように価値があり、A-10はテストでそれを実現していた。実際、テストで、A-10が1パスあたり0.43キル、つまりカーブを2回曲がるごとに1回弱の割合でT-62を破壊できることが示された。 

 

しかし、T-62の前面装甲は100mmで、性能向上のために急角度で取り付けられていたことを理解する必要がある。その結果、200mm相当の圧延均質装甲効果が得られると言われる。側面と背面では、T-62の装甲は45mmから80mmの厚さになっている。 

一方、最も一般的なロシアのT-72(通称T-72B3)は、前面装甲が200mmで、改良された層状材料で作られ、さらに傾斜を付けて防御力を高めており、500mmから600mmに相当すると言われる。側面は80mmの圧延鋼板で覆われ、ミサイルやロケット弾などの対戦車兵器を防御するためのコンタクト5爆発反応装甲も備える。

 

こうした車両を正面から攻撃することは無意味に近いが、背面や側面から攻撃する場合は、2000フィートから3000フィートの範囲で交戦すれば成功しそうだ(精度に関する評価の結論による)。これは現可能だが、複雑な戦闘環境では、特にこのプラットフォームで簡単な訓練しか受けていないパイロットには難しいだろう。 


Afghanistan Wants the US to Send the a-10 Back to Fight the Taliban 

(US Air Force photo by Senior Airman Brett Clashman) 


ウクライナでA-10は苦戦する 

A-10は確かにロシア軍に大きなダメージを与えることができるが、ウクライナのA-10パイロットは、ロシアの防空システム、MANPAD、敵機の脅威を受けながら、効果的な角度や距離から攻撃するためにタイムリーな情報を活用し機体操作する高度技術が必要となる。ウクライナ軍は、ソ連のA-10と喧伝される自軍のSu-25を紛争当初から運用しており、このことをよく理解している。 


F-16ファイティングファルコンなら、敵の戦闘機から身を守りつつ(あるいは逃れつつ)、近接航空支援任務を果たすことができる可能性がある。 


A-10サンダーボルトIIは巨大砲が特徴の素晴らしい航空機だが、ウクライナには別の機材に制空権確保を依存しなくてもいいジェット機が必要なのだ。■ 

Alex Hollings | July 28, 202 

Alex Hollings 

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University. 

 
 

2022年7月28日木曜日

初飛行から50年となったF-15。104対0と圧倒的な戦績を誇るイーグルだが、いつまで供用されるのか注目

 


F-15

 

1972年7月27日、初飛行時のF-15Aイーグルのプロトタイプ。(Photo: U.S. Air Force)

 

 

1972年7月27日、敵機に一度も撃墜されず104勝を挙げた戦闘機の初飛行で、制空権の新時代に幕が開いた。

 マクドネル・ダグラス(現ボーイング)のF-15イーグルは、50歳の誕生日を迎え、半世紀にわたり世界の空を支配してきた。試作機YF-15A(機体番号71-0280)は、1972年6月26日、F-15全機が生産されたセントルイスのマクドネル・ダグラス工場からロールアウトした。1ヵ月後の7月27日、マクドネル・ダグラスのチーフテストパイロット、アーヴィン・L・バロウズの操縦で、イーグルはエドワーズ空軍基地からカリフォーニア上空を初飛行した。

 バローズは米空軍向けの新型制空戦闘機を50分間、12,000フィート、速度250ノットで問題なく飛行させ、着陸装置のドアに小さな問題があることだけを発見した。「シミュレーターと同じだった。この機体は最初の1分から性能がよく、最初から勝者になるのが分かっていました」。

 YF-15Aプロトタイプは、アメリカ空軍の「Air Superiority Blue」のカラーリングにオレンジ色の飛行試験マーキングが施され、四角い翼端とノッチのないスタビレータが残っていた。しかし、飛行試験中に翼が大きく曲がり、バフェッティング発生が判明したため、仕様が変更された。新しい「ラック式」翼端形状の試験後、空軍はそのバフェッティング特性に完全に満足した。

 初飛行に続く1週間の間にさらに数回の飛行が行われ、マッハ1.5の速度達成や高度45,000フィートへの到達などのマイルストーンを達成した。しかし、F-15はそれ以上の性能を発揮し、ソ連のMiG-25が持っていた8つの上昇時間記録など、複数の記録更新に使用された。

 そのためにF-15は、スピードブレーキやフラップアクチュエータ、レーダー、キャノン、テールフック、発電機1基、ユーティリティ油圧システム、塗装に至るまで、飛行に無用と思われるものはすべて取り除いた。その機体は「ストリーク・イーグル」と呼ばれ、1975年1月16日から2月1日の間に8つの上昇時間世界記録を塗り替えた。8つの記録のうち最後は、離陸時のブレーキ解除からわずか3分27.8秒で高度9万8425フィートに達し、10万3000フィート近くまで「楕走」してから下降した。

 

 

 

2020年10月20日、アイスランドのケフラヴィーク空軍基地で、NATOエアポリスの作戦を支援するため、定期的に空中戦を行う第493遠征戦闘機隊所属の米空軍F-15Cイーグルス。 (U.S. Air Force photo/ Master Sgt. Matthew Plew)

 

 

 F-15は、当初TF-15、後にF-15Bと呼ばれる2機の双発機を含む計12機が先行生産され、最初の飛行試験からわずか6カ月後にアメリカ空軍の本格的な生産が承認された。1974年に最初のイーグル、F-15Bが空軍に引き渡され、1976年には戦闘飛行隊用の最初のF-15が当時の第555戦術戦闘飛行隊(現在のFS)「トリプルニッケル」に引き渡された。

 同年、イスラエルはピースフォックスプログラムのもと、現地で「バズ(ファルコン)」と名付けたイーグルの最初の輸出オペレーターとなった。1979年6月27日、イスラエルのF-15は初めて敵機を撃墜し、各種紛争を通じて敵機104機撃墜、0機損失という無類の記録を打ち立てることになる。

 F-15は、開発したマクドネル・ダグラスが期待した通り、画期的な飛躍を遂げた。ライトパターソン空軍基地でF-15部門のIPTリーダーを務めるグレッグ・"シャーロック"・ワトソンは、「F-15はエナジー操縦性を念頭に、プラット&ホイットニーのF-100エンジンを2基搭載し、空対空戦闘機に搭載可能な最大級のレーダー(ヒューズ製、後にレイセオンのAPG-63)も備えて設計されています」と述べています。「他のどの戦闘機よりも遠くへ、速く、長く飛ぶことができたのです」。

 F-15は強力で高性能な機体であるだけでなく、生存能力も高かった。最も有名な例は、イスラエルのF-15Dが片翼だけで帰還したときのものだ。1983年5月1日、F-15DはA-4スカイホークと空中衝突し、右翼が根元から60センチもげ落ちる大惨事に見舞われた。主翼を失ったことで失われた揚力を補うため、通常の2倍の速度で着陸した。

 イーグルは時代とともに進化し、1979年には改良と最大離陸重量の増加を特徴とする新型F-15CおよびD型が納入された。1983年には、レーダー、中央コンピュータ、武器・火器管制、脅威警告システムなどの改良を目的とした多段式改良プログラム(MSIP)が開始された。数年後のMSIP IIでは、APG-70レーダーとAIM-120 AMRAAMに重点が置かれた。

 

 

 

2022年5月24日、北海上空の給油ミッションで、RAFレケンヒースの第48戦闘航空団所属の米空軍F-15Eストライクイーグル機が、RAFミルデンホールの第100空中給油団所属の米空軍KC-135ストラトタンカー機と並走して飛行した。(U.S. Air Force photo by Senior Airman Kevin Long)

 

 1986年、戦術戦闘機強化計画の一環として、F-111アードバークの後継機に選定されたF-15Eストライク・イーグルが初飛行した。ストライク・イーグルは、イーグルの空対空能力をそのままに、米空軍が保有するすべての空対地弾薬を使用できる能力を追加した。F-15Eは、イスラエルのF-15I「ラーム」、サウジのF-15SとF-15SA、カタール向けのF-15QA、そして最新のF-15EXイーグルIIなどの新型機開発のベースとなった。

 すでにThe Aviationistでお伝えしたように、これまでイーグルの最新鋭機であったF-15QAをベースに開発された新型イーグルIIは、国家防衛戦略によって中国やロシアからの新たな脅威に適応するためのニーズから生まれた。この機体は、QA型と非常によく似ているが、新型AN/ALQ-250 Eagle Passive Active Warning Survivability System(EPAWSS)電子戦および電子監視システム、オープン・ミッション・システム(OMS)アーキテクチャなどが米国専用の機能となっている。

 この機体は、F-15Cと比較して、多くの相違点がある。例えば、F-15EX Eagle IIは2人乗りで、パイロット1人での飛行やパイロットと武器システム担当官(WSO)の両方での飛行が可能であるのに対し、-C型は単座が中心で訓練用2人乗り-D型が用意されている。

 F-15EXは、コックピットの前後に10×19インチのタッチパネル式多機能カラーディスプレイとJHMCS II、前方にロープロファイルHUD、スタンバイディスプレイ、エンジン・燃料・油圧専用ディスプレイ、さらにコーション/ワーニングライト、スイッチ、HOTAS(Hands On Throttle-And-Stick)コントロールなどを備えたフルグラスコックピットが標準で、現行のF-15Cが近年新たに加えたディスプレイがあるもののアナログを中心に運用しているのに比べると、大きな一つ違いだ。

 

 

2021年10月19日、ネバダ州ネリス空軍基地で、エグリン空軍基地第85試験評価飛行隊に所属するF-15EXイーグルII戦闘機がミッションに向けて離陸する。(米空軍撮影、ウィリアム・R・ルイス)。

 

 2019年には、F-15Cも置き換えるために十分なF-35よりも現実的な解決策になるとして、少なくとも144機のF-15EXのうち最初の8機の予算を割り当てることが決定された。空軍は、F-35がF-15Cの一部飛行隊を代替し、その他の飛行隊をF-15EXで代替することを事実上確認した。

 2022年にはキングスレーフィールドにあるオレゴンANG第173戦闘航空団が最初のF-15EXイーグルII正式訓練部隊(FTU)となり、2023年にはポートランドにあるオレゴンANG第142戦闘航空団が最初のF-15EX運用部隊となる予定だ。

 今は50年前の機体となっても、F-15にはまだまだ多くの可能性があり、長く世界中を飛び回る姿を見ることができそうだ。アメリカ空軍は、F-15EXの機体寿命が2万時間であることから、2040年代、あるいは2050年代まで活躍できる可能性があると見ている。■

 

The F-15 Eagle Celebrates 50 Years Of Undefeated Air Dominance

July 27, 2022 Military Aviation

STEFANO D'URSO

https://theaviationist.com/2022/07/27/the-f-15-eagle-celebrates-50-years-of-undefeated-air-dominance/

 

Stefano D'Urso is a freelance journalist and contributor to TheAviationist based in Lecce, Italy. A graduate in Industral Engineering he's also studying to achieve a Master Degree in Aerospace Engineering. Electronic Warfare, Loitering Munitions and OSINT techniques applied to the world of military operations and current conflicts are among his areas of expertise.