2023年3月17日金曜日

MQ-9が墜落前に撮影した映像を米国が公表。ロシアの嘘がまた世界に暴かれた格好だ。

 MQ-9 Sensor Video Showing Collision With Russian Su-27 Released (Updated)

DoD


国防総省は、黒海上でロシアSu-27戦闘機と超接近し墜落したMQ-9が撮影した映像を公開した



国防総省は、3月14日に黒海上空で米空軍のMQ-9リーパーとロシアのSu-27フランカー戦闘機2機が遭遇し、ドローンが行方不明になった際の一部を映した映像を公開した。Su-27の1機がドローンのプロペラに衝突したことを裏付けるものと思われるが、その行為がどの程度意図的なものか、誤判断なのかはまだ不明。

 機密解除された映像は、43秒に編集されている。予想通り、映像はMQ-9の機首下のMTS-Bセンサーボールからのもので、Su-27がドローンに接近し、ドローン後方を撮影している。右側リアクォーターから接近し、ロシア戦闘機は燃料を投棄し始めた。




ドローンの映像から静止画を見ると、Su-27がどれだけ近づいたか、また燃料投棄の様子もわかります。米国国防総省


ドローンへの2度目の接近で、空対空ミサイルを搭載したフランカーはさらに接近し、映像が途絶えている。そのため、Su-27がドローンのプロペラに衝突したとされる瞬間は、非常にわかりにくい。国防総省は、衝突の瞬間をとらえた静止画(下図)を提供しているが、やはりフランカーのどの部分がドローンに衝突したのかを正確に判断することは難しい。



U.S. Department of Defense


映像が一時的に再開すると、MQ-9の4枚のプロペラブレードのうち1枚が明らかに損傷しているように見え、Su-27の一部に衝突があったのを示している。少なくともこのアングルからは、他の損傷は見受けられない。

U.S. Department of Defense

比較のために提供された、損傷していないプロペラの図。米国国防総省


国防総省はこれまで、Su-27が衝突前に何度もMQ-9に燃料を投下しながら前方飛行し、「無謀で、環境的に不健全で、専門的でない方法で飛行していた」と発表していた。「この事件は、安全でない、プロフェッショナルでないことに加えて、能力の欠如を実証している」。

 さらに、アメリカ空軍ヨーロッパおよびアフリカ空軍の司令官であるジェームズ・B・ヘッカー米空軍大将は、「ロシア軍によるこの安全でないプロフェッショナルでない行為によって、2機とも墜落しそうになった」と述べている。MQ-9に衝突したSu-27が受けたダメージはまだ不明だが、ドローンのプロペラの1つに接触しただけだとしても、空軍基地への回復を妨げるほどではないことは明らかだが、軽微ではなかったと思われる。

 国防総省のパット・ライダー報道官は事件当日、米国防総省はMQ-9から記録された画像の機密解除に取り組んでいると発言していたことから、事件の公式発表ビデオが今になって登場したことは驚きではない。

 ロシア人パイロットがMQ-9を墜落させるつもりだったのか、あるいはダメージを与えるつもりだったのかについて、結論を出すのは難しいが、映像は「危険で専門的ではない迎撃」という米国の説明と一致するように思える。

 同時に、この映像は、衝突は全くなく、MQ-9は制御不能な飛行に入り黒海に落下する前に急旋回したとするロシア国防省の説明の裏付けにはならない。


更新:7:00 A.M. PST: 米軍欧州司令部(EUCOM)は、記事冒頭のペンタゴンの傍受映像で確認できる内容について、以下の公式な内訳を発表しした。

00:00: [ビデオ開始] 米空軍のMQ-9の後方にロシアのSu-27が接近している。

00:05: ロシアのSu-27が通過する際、燃料を放出し始める。

00:09 ロシアのSu-27が燃料を放出しながら米空軍のMQ-9の上空を通過する。Su-27がMQ-9の上空を通過する際、映像伝送も中断される。

00:11: アメリカ空軍のMQ-9のプロペラが見えるが、損傷はないままである。

00:22: ロシアのSu-27がMQ-9に向かって再接近を開始する。

00:26: ロシアのSu-27がMQ-9に接近する際に燃料を放出し始める。Su-27はさらに接近して通過するように進む。

00:29: ロシアのSu-27がMQ-9に衝突し、MQ-9のカメラフィードが約60秒間失われる。

00:39: MQ-9のカメラ映像は正常に戻る。この時、プロペラが再び見え、プロペラの1枚が損傷しているのが確認できる。

00:42:【動画終了】。


また、MQ-9の残骸を回収をめざすロシアの計画が明らかになった。

 ロシアの安全保障会議事務局長ニコライ・パトルシェフは、「回収できるかどうかはわからないが、そうしなければならないことは確かであり、それに対処することになるだろう」と述べた。

 米国政府は、機密技術がロシアの手に渡る危険性を軽視している。破片は深海に沈んでいるため回収は不可能で、そうでなければ情報価値はほとんど得られないと述べている。

 以前、ロシア対外情報庁(SVR)のセルゲイ・ナリシキン長官は、ロシアには海底から無人機の残骸を回収する「技術的能力」があることを示唆した。この作業は、ロシアが占領しているクリミア西海岸の国際水域に衝突地点があると噂されていることから、より容易になる可能性がある。

 しかし、トルコがボスポラス海峡とダーダネルス海峡を経由して黒海に出入りする軍艦を封鎖しているため、ロシア(あるいは米海軍)は必要な種類の深海回収船をこの地域に持ち込むことができないかもしれない。



更新:7:30 A.M. PST: ロシア占領下のクリミアを主に報道する親ロシア派ニュースサイトForPostは、ロシア海軍が「セバストポリ付近」の水深約900メートルでMQ-9の残骸を発見したと報じた。

 ロシア国防省に近いとされる情報筋がForPostに語ったとされる。「水中ロボットが海底に降下し、水深約850~900mでMQ-9リーパーを発見した。この地帯からそう遠くないところに、サウスストリーム・ガスパイプラインの深海支線がある」。

 同じ記事で、ロシア軍が回収計画を立案中で、潜水艦事故で通常使用される深海救助艇を使用するとしている。

 こうした主張は、裏付けがない。

 MQ-9の残骸の場所については、米空軍ヨーロッパとアフリカ空軍が、MQ-9の最終的な動きを示す地図を公表している。それによると、MQ-9はクリミアから約4~50海里の地点でSu-27に迎撃された後、陸地から約50~60海里の距離で攻撃された。その後、陸地から約75~85海里の地点で、日本時間の午前7時20分~7時30分頃に黒海に墜落した。



USAFE-AFAFRICA


この地図が公開される前から、ペンタゴンの映像に映し出されたドローンの位置を特定しようと、観測者たちは独自の努力を重ねており、クリミア南西部の海岸沖に位置していることも判明している。

午後2時9分(太平洋標準時)更新。

ペンタゴンのジョン・F・カービー報道官は本日、記者会見を開き、新たに公開されたMQ-9事件の映像について説明した。同報道官は、映像の公開以降、彼の知る限り、米国とロシアのカウンターパートとの間で会話が行われていないことに言及した。

「もし何もなかったとしても、私は驚かない」とカービーは言った。「このビデオは、何が起こったかについて、相当決定的なものだ。映像は、何が起こったか、あるいは何が起こらなかったかについて、ロシアの嘘を完全に打ち砕くものだ」。

 公開の背景にある意思決定プロセスについて尋ねられたカービーは、その点では国防総省に透明性があったと考えていると述べた。

 「我々は、関連画像があると透明にしていた」とカービーは言った。「画像公開が適切か確認するため、画像で作業していた。そして、映像は、何が起こったのかという私たちの物語を明確に示すものであり、映像をご覧になれば、そのことをはっきりとご理解いただける。このような傍受の画像を公開することは、まったく珍しいことではありません。これまでにも何度も行ってきました。ロシア側の嘘がどのようなものであったかを、全世界に明らかにするためです」。

 「その流れで、ベストプラクティスに沿って、あの画像を並べたのです」とカービーは付け加えた。「しかし、その画像が一般公開に適したものであることを確認するために、適切な時間をが必要と考えていました。そして、2つ目は、私たちが提示した説明の明確かつ説得力のある証拠であることです。それだからこそ今公開されている」。

 また、報道官は、ロシアが今回の事故を「ロシア対アメリカ」の対立に仕立て上げようとする懸念はないかと聞かれた。 「ロシアが(MQ-9を)エスカレートさせるほど積極的に迎撃したと考えるかどうか、あるいはプーチンが開戦以来吐き続けている、これは本当に西側対ロシアの話なのだというレトリックを実現するかという点では、ロシア国防省や彼らの動機について語る立場にない」とカービーは言った。

 カービーは次に、同空域での米軍無人機の迎撃は今回が初めてではないことを明らかにした。

 「しかし、攻撃的な飛行、無謀な飛行であることは明らかである。よく言えば無謀であり、悪く言えば無謀で無能である。この件について最後に言っておくと、我々はロシアとの衝突を想定しておらず、何度も明確にしている」とカービーは述べた。

 米中央軍のトップであるエリック・クリラ大将は、今日、上院軍事委員会で、映像について同様のコメントを発表した。クリラは、米国は最近、ロシア空軍の危険でプロらしからぬな行動が増加していると述べ、特に3月1日以降、シリア上空で急増していると指摘した。

 クリラによると、武装した地上攻撃機を用いて、同地域の米軍基地上空を通過するロシア軍の飛行が相次いでいるとのことです。

 また、機密解除された映像の中で、ロシアのSu-27パイロットの操縦が危険なものであることを指摘する声も上がっています。A-10パイロット、デール・スタークはツイッターで、この映像から、コックピットのロシアの飛行士は経験の浅い学生パイロットだった可能性があると指摘している。

 カービーはその後、記者から、無人機の墜落地点について詳細を説明できるか尋ねられた。カービーは、国防総省が公表した地図以上の情報は提供できないが、国際海域にあったことは確かだと説明した。

 また、MQ-9が当時何を監視していたのかについても詳しく触れず、「情報、監視、偵察の収集能力、あるいは我々が何をしているのかについて具体的に話すつもりはないのは、ご理解いただけると思います」と述べた。「私たちは、黒海地域における広範な国家安全保障上の利益を支援し、ウクライナと彼らの自衛能力を支援するために、これまでも、そしてこれからも、ISR飛行を継続すると言っておく」。

 CNNによると、米国は現在、ロシアが墜落したMQ-9の破片をすでに回収していると考えているようだ。破片はグラスファイバーやドローンの「小さな断片」と説明されている。■


MQ-9 Sensor Video Showing Collision With Russian Su-27 Released (Updated)


BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAR 16, 2023 9:04 AM

THE WAR ZONE


2023年3月16日木曜日

ロシアからMQ-9への接近飛行と称するビデオが流出。事件の真相は米軍の機密解除映像公開まで不明。

 


Video Purports To Show Russian Su-27’s Close Encounter With An MQ-9

via Telegram Messenger


米軍のMQ-9とロシアのSu-27の衝突事故から1日、新たな映像が空中接近パスを示している



日、黒海上空で衝突事故を起こした米空軍のMQ-9リーパーとロシアのSu-27フランカー戦闘機の接近通過を示すとされる映像が公開され、ロイド・オースティン米国防長官がこの事件に関するコメントを追加し、「国際空域におけるロシアのパイロットによる攻撃的で危険な、安全でない行動のパターンの一部」と表現している。

 わずか4秒の動画は、親ロシア派の人気アカウント「Fighterbomber」が本日未明にTelegram Messengerサービスに初めて投稿したものらしい。フランカー・シリーズの戦闘機(第一世代のSu-27と思われるが、確認できない)のコックピットから撮影されたと思われるこのビデオには、アメリカ空軍のMQ-9が戦闘機の左側から接近飛行している様子が映っている。


MQ-9を追い越すフランカー・シリーズ戦闘機の翼端(手前)via Telegram Messenger


リーパーはMQ-9A後期型で、4枚羽根のプロペラ、ウィングレット、航続距離を伸ばす翼下燃料タンク、用途が不明な大型垂直翼アンテナを備えている。また、過去にルーマニアで運用されていたMQ-9Aにもこの一般的な配置が見られたが、今回の事件に巻き込まれたドローンがどこから飛んできたのかはまだわかっていない。


 この接近飛行は、昨日の米国当局の声明にほぼ一致しており、衝突に関与したSu-27がドローンを数回通過したことが確認されている。しかし、この映像は、2機目のSu-27から撮影されたものかもしれないし、まったく別の機会に撮影されたものかもしれない、ただし、実際に本物の映像であることは間違いない。

 Su-27とMQ-9の速度差は、映像からも明らかだ。Su-27パイロットがドローンの速度や飛行プロファイルを調整した際に、意図せずドローンに衝突してしまった可能性がある。MQ-9の運用に詳しい関係者がThe War Zoneに語ったところによると、MQ-9は小さな出力変化で比較的早く減速することがあるという。

ロシアのSu-27フランカーが、占領地クリミアの基地から戦闘空中哨戒を行う。ズベズダTVのスクリーンショット


一方、映像には、ロシア戦闘機が行ったとされる、攻撃的な操縦は一切映っていない。Su-27がドローンのプロペラに衝突したとされる前に、MQ-9に燃料を投下したり、MQ-9の真正面を飛行したりしたとされる。

 そのため、映像が昨日の事件のものであるかどうかは、断言できない。MQ-9は黒海上空で頻繁に目撃されており、以前からロシアの戦闘機に妨害されていても不思議ではない。

 また、この映像はCGI(コンピュータ・ジェネレーテッド・イメージ)、つまり飛行シミュレーションソフトで作成されている可能性もある。しかし、パイロットのヘルメット、手袋をはめた手、そしてコックピットのキャノピー内側にスマートフォンが映り込んでいることから、本物である可能性が高い。また、コックピットのキャノピーに何らかの汚れた跡があることが示唆されており、これもCGI作品とは必ずしも一致しない。総合的に判断して、この映像はDigital Combat Simulatorのものではなく、本物である可能性が高いと判断した。

 本誌は映像の真偽を確認するため、アメリカ欧州軍(EUCOM)および在欧米空軍(USAFE)に連絡を取り、彼らの意見を聞いている。

 一方、国防総省のパット・ライダー報道官は、米国防総省は現在、MQ-9が記録した映像の機密保持を解除しているところだと述べており、この事件の公式発表までそれほど長く待つ必要はないだろう。

さらに、事件の最初の報道後にも、さらなる情報がもたらされた。The War Zoneからの問い合わせに対し、USAFEは、衝突の結果、NATO航空機がスクランブルされていないと確認した。一方、オースティン米国防長官は、米国が「国際法が許す限り」飛行と作戦を継続すると確認した。また「ロシアには、安全かつ専門的な方法で軍用機を運用する義務がある」と付け加えた。

 一方、匿名米軍関係者は、自分たちが見たMQ-9の映像に基づき、事件のより詳細な説明を行った。同関係者は、PBSのNick Schifrinに、ジェット機とドローンの接触は「コントロールされたタップではなかった」「プロペラに衝突したとき、ロシアのパイロットはドローンに向かって突進し」「コントロール不能になった」と語った。「プロのパイロットがやるようなことではない。アマチュアのやることだ」と同関係者は付け加えた。

 一方、ロシアのタス国営通信は、衝突事故そのものから目をそらし、「米国の無人機が偵察データを収集し、キーウ軍が将来、ロシアの領土と軍隊を攻撃する際に使用する」と主張している。また、同機関は、アナトリー・アントノフAnatoly Antonov駐米ロシア大使の発言を引用している。「国境付近での米軍による容認できない行動が懸念の原因だ。我々は、このような偵察・攻撃用ドローンがどのような任務に使用されているかをよく知っている」。

 「アメリカの武器や軍事機器の使用を伴ういかなる行動も、公然たる敵対行為と認識している」。とアントノフ大使は付け加えた。


 また、ロシア側では、外交情報局(SVR)のセルゲイ・ナリシキンSergey Naryshkin局長が、ロシアには無人機の残骸を回収する非公開の「技術的能力」があると主張したという、ホワイトハウスのジョン・カービーは、黒海から残骸が回収されていないことを確認した。ホワイトハウスはまた、墜落したMQ-9が悪人の手に渡るのを防ぐために、米国は対策を講じたと述べている(その内容はまだ不明)。

 この短い映像が本物かどうか、昨日の事件のものなのかどうか、まだ確実なことは言えませんが未公開映像で何が起こったのか、よりよく理解できるようになるのは間違いない。米側がどのような映像を提供するかによって、今回の迎撃がいかに「無謀」で「プロフェッショナルでない」ものであったか、ペンタゴンの表現を借りれば、正確に理解することができるかもしれない。

 さらに映像があれば、ロシアパイロットの動機も明らかになるかもしれない。現在のところ、米政府関係者は、ドローンを墜落させる意図的なものがあったか一方的に表明していない。「MQ-9を妨害する意図は(中略)あったが、衝突は単純な無能と思われる」と、空軍関係者が以前The War Zoneに語っていた。

 もっと多くの証拠が出てくれば、ロシアのパイロットが実際にドローンを落とそうとしていたのか、それとも操縦を見誤っただけなのか、よりよく理解できるようになるだろう。

 一方、ロシア国防省は、衝突はなく、MQ-9は制御不能な飛行に入り黒海に落下する前に急操縦をしたと発表している。詳細な映像が入手できれば、この主張の真偽が明らかになるはずである。■



Video Purports To Show Russian Su-27’s Close Encounter With An MQ-9



BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAR 15, 2023 2:27 PM

THE WAR ZONE



2023年3月15日水曜日

速報 黒海上空でSu-27がMQ-9を迎撃し、海上に墜落させた事件が発生。

U.S. Air Force photo by Senior Airman Daniel Snider/Crown Copyright


ロシア軍Su-27の2機がMQ-9を迎撃し、燃料を投下し、1機がドローンのプロペラを挟み込み、リーパーが海上に墜落した



空軍は、MQ-9リーパー無人機1機が、ロシアのSu-27フランカー戦闘機と衝突し、本日黒海に墜落したと発表した。事故は、国際空域でロシアのSu-27戦闘機が無人機を「無謀」で「プロフェッショナルでない」方法で迎撃した結果であるという。

 米欧州軍(EUCOM)のプレスリリースによると、衝突は現地時間午前7時3分ごろに発生したす。事件に関するニュースはすでに出始めており、当局がドローンが撃墜されたか判断に当たっているとの報道もあった。USAFEの声明は、それが事実でないことを明らかにしている。

 「ロシアのSu-27機がMQ-9のプロペラに衝突し、米軍は国際水域でMQ-9を墜落させなければならなくなった」とプレスリリースは説明している。「衝突前に数回、Su-27は燃料を投棄し、無謀で、環境的に不健全で、プロフェッショナルではない方法で、MQ-9の前を飛行した」。

2021年の演習で黒海の国ルーマニアの上空を飛行する米空軍のMQ-9。本日の衝突に巻き込まれたリーパーがどこから飛んできたかは不明。 USAF



ロシア人パイロットの正確な動機は不明だが、米国当局者は、無人機を墜落させる意図的な意図があったことを一方的に示す明確な兆候はないと見ている。「MQ-9を妨害する意図は(中略)あったが、衝突は技能の不在のためと思われる」と、空軍関係者はThe War Zoneに語っている。


Su-27 Flanker

イギリス機による迎撃の際に見たロシアのSu-27フランカー戦闘機。Crown Copyright


MQ-9がどこから飛んできてどの部隊に所属していたのかは不明。空軍は、黒海に面したルーマニアや、イタリアのシゴネラ海軍航空基地など、ヨーロッパにリーパーを配備している。リーパーは、ロシアが2022年2月にウクライナへ全面侵攻を開始するずっと前から、この地域で日常的に情報・監視・偵察(ISR)活動を実施していた。うちの1機、第31遠征作戦群第1分隊に所属するドローンは、2022年7月に同国でまだ理由がはっきりしないまま墜落した。

 本日の衝突後のロシアのSu-27の状態は不明である。

 「衝突直後、ビデオ映像は数秒間カットアウトした」。空軍関係者はThe War Zoneに「Su-27がどのようなダメージを受けたかは不明だが、基地に戻った」とし、「ロシア機がどの基地から来たのか、あるいはどの基地に戻ったのかは分からない」と付け加えた。「しかし、その衝撃が跡を残したことは確かだ。あと数センチ前進すれば、ロシア機は大きく損傷し、おそらく破壊されていただろう」。

 現在、ロシアのSu-27がある程度のダメージを受けながらクリミアの基地に着陸したとの未確認情報がある。問題の基地は、Su-27SMフランカーを運用する第38戦闘航空連隊の本拠地であるベルベクの可能性が非常に高い。

 また、事件中や事件後にロシア軍のどのレベルとも接触を試みたかどうかなど、米軍が他にどのような行動をとったかも明らかではない。空軍関係者もThe War Zoneに「我々はUSAFEからロシアと直接話をしていない」と語ったが、他の米当局がしたのかどうかについては明言できない。

 今日、黒海上空で起きた事件の後に行われた定例記者会見で、国務省のネッド・プライス報道官は、アメリカ政府は同盟国協力国に状況を伝えるために関与していると述べた。プライスによれば、アメリカ政府関係者は、同国外務省を含むロシア側と関わっており、在ワシントンロシア大使を召還し、クレムリンに直接強い異議を伝える予定という。

 The War Zoneは、国防長官室、ホワイトハウスの国家安全保障会議、国務省、NATOに詳しい情報を求めている。

「MQ-9は、国際空域で日常的な運用を行っていたところ、ロシア航空機に迎撃され、衝突し、MQ-9は墜落し、完全に失われた 」と、米空軍のジェームズ・ヘッカー大将Gen. James Heckerはプレスリリースに付随する声明で述べています。「ロシア人による危険でプロフェッショナルでない行為により、2機とも墜落しそうになった」。

 ヘッカーは、空軍の在欧最高司令部US Air Forces in Europeのトップであり、Air Forces Africa(AFAFRICA)およびNATOのAllied Air Commandも兼任する。空軍は、乗員・非乗員の航空機で、黒海上空とその周辺でのISR活動を日常的に行っている。

 「米国と連合国航空機は引き続き国際空域で活動するため、ロシア側にプロとして安全行動を求める」

 「今回の事件は加えて、能力の欠如を示している」。とプレスリリースは付け加えている。「黒海上空を含む国際空域で米国および連合国の航空機と交流している間のロシア人パイロットによる危険行動のパターンを踏襲している。ロシア航空機搭乗員によるこうした攻撃的な行動は危険であり、誤算と意図せぬエスカレーションにつながる可能性がある」。

 黒海上空やその他の場所で、ロシア機と米国機、ロシア機と他のNATO加盟国の航空機の間でこのような相互作用が起こることは、ほとんど新しいことではない。

 英国国防省は以前、2022年10月に英国空軍(RAF)のRC-135Wリベットジョイント電子偵察機を迎撃した際に、ロシアSu-27フランカーがミサイルを「放出」したと発表したことがある。フランカーが実際に英国のリベットジョイントにミサイルを発射したかどうかは不明だが、ロシア戦術のエスカレートを指摘し、その他にもこのような事件における危険な誤算のリスクを浮き彫りにしている。このため、英国空軍は、少なくともその後のミッションにおいて、RC-135Wを護衛するためタイフーン戦闘機を派遣した。

 無搭乗のプラットフォームを撃墜しても、エスカレートのリスクが低いということが注目に値する。この現実は、2019年にオマーン湾上空でイランが米海軍のRQ-4N広域海上監視デモ機(BAMS-D)ドローンを撃墜したことで浮き彫りになった。この事件は、最終的に米軍からの直接的な表立った報復を引き起こさなかったが、他にもイランによる米軍無人機の積極的な迎撃が何年も続いていた。米戦闘機は、イランの航空機を追い払うために出動したことが少なくとも過去に数回ある。

 黒海は、航空機船舶にとって制約の多い環境であり、平時も戦争中も固有のリスクを抱えている。

 本日の事件は、ウクライナ紛争がこの地域に広く波及する可能性についての長年の懸念の中で起きたもので、プーチン大統領をはじめとするロシア当局は、ウクライナへの軍事支援などをめぐり、米国やNATO加盟国などに報復するとの漠然とした脅しを日常的に発している。MQ-9の損失に対して、どちらの側がどのように反応するかは、まだわからない。


更新 午後3時40分(日本時間)。

ロシア国防省は現在、衝突はなく、米空軍のMQ-9は制御不能な飛行に入り黒海に落下する前に急操作をしたとする声明を発表している。また、同省は、リーパーはトランスポンダーを装着せず飛行しており、昨年ウクライナへの全面侵攻を開始したロシア当局が宣言した制限空域を飛行していたとしている。

 ロシア国防省は今のところ、こうした主張の裏付けとなる証拠を提示していない。

 リーパーの運用と性能に詳しい複数情報筋は、出力変化で急減速することがあると指摘する。MQ-9に嫌がらせをしようとするロシアの航空機が、わずかな出力変化でMQ-9に突っ込む可能性がある。また、MQ-9の遠隔パイロットは周囲の状況認識が非常に限られているため、迎撃機があまりにも接近して飛行するリスクは高まるばかりだ。

 本日の定例記者会見で、ペンタゴン報道官パトリック・ライダー米空軍准将は、今回の事件でMQ-9が捉えた画像の機密解除に向けた取り組みが行われていることを明らかにした。もし、画像が公開されれば、何が起こったのかをより明確にすることができるだろう。

 また、ライダー准将は、米国がドローンを回収する可能性については何も話すことはないとし、ロシアがこれまでに回収しようとした試みについても知らないと述べた。ロシア軍と情報機関は、海底から物体を回収する経験や専門的な能力を持っていることは確かです。特にMQ-9が機密性の高いセンサーやその他のシステムを搭載していた可能性があることを考えると、米軍が最初にそれを行うことが必須となるはずだ。

 The War Zoneは、MQ-9を回収するためにどのような措置がすでに取られているのか、海軍に問い合わせたところ、より詳しい情報を得ている。■


Russian Su-27 Collided With U.S. MQ-9 Over Black Sea | The Drive

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BYHOWARD ALTMAN, JOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 14, 2023 2:30 PM

THE WAR ZONE

2023年3月14日火曜日

地球低周回軌道の衛星群を機能停止させる大気圏外核爆発オプションの実施に北朝鮮が踏み切る日....シミュレーションでわかった課題

 



北朝鮮の核爆発に米国がどう対応できるか...宇宙での対応にウォーゲームが疑問を投げかけている




年の夏、核不拡散政策教育センター(NPEC)は、北朝鮮が地球周回衛星を破壊するため低軌道または近傍宇宙で核兵器を使用する可能性に焦点を当てた宇宙ウォーゲームを開催した。当初、参加者はこの可能性を少しファンタスティックだと感じていた。しかし、ゲーム中盤になると、参加者理解をできるようになった。中国がこのオプションを行使する可能性を示唆する人もいた。

 これは予見的であった。NPECのシミュレーション終了から12週間後、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、人民解放軍の北西核技術研究所が、スターリンクのような両用衛星コンステレーションを破壊する核攻撃シミュレーションを行ったと報じた。このコンピュータによる模擬攻撃の目的は、台湾が軍事的に有用な商用システムを利用するのを阻止することだという。記事は、限定的核実験禁止条約が宇宙や大気圏での核兵器の爆発を禁止していることを指摘している。しかし、中国も北朝鮮もこの条約に加盟していない。また、米国も中国も包括的核実験禁止条約をまだ批准していない。

 サウスチャイナ・モーニング・ポストの記事以降、北京では航空機を使った近接空間での作戦を試みており、ワシントンとの関係はぎくしゃくし、近接空間での作戦に対する中国の攻撃戦略に対する懸念が高まっている。

 昨夏のNPECのウォーゲームは、それほど突飛なことではない。このシミュレーションの戦争が行われる10年後までには、何万という小型の商用ネットワーク衛星システムが地球低軌道を飛行していることだろう。これらの衛星は、低軌道、中軌道、静止軌道を飛行する国家安全保障システムを含む米国国防総省独自の宇宙アーキテクチャを補完することになる。北朝鮮のような敵対的な国家は、この衛星を危険にさらしたいと思っているはずだ。

最悪の場合、どのようなことが考えられるだろううか。地球低軌道上の衛星のほとんどを消し去ることができる。なぜ、ここまで極端なことを考えるのか。軍事計画者や政策立案者は、最悪の事態を回避し、それ以下の脅威に対処するために、しばしば悲惨な仮説に焦点を当てる。例えば、大規模な核戦争、地球温暖化の大惨事、パンデミックなどだ。米国の宇宙政策立案者は、間違いなく、ここまで組織的な災害をまだ想定していない。


ウォーゲームが対象としたもの

NPECが企画した戦争ゲームは、2029年の春に始まる。北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射実験を行い、不注意で意図したより遠くに飛んでしまったため、アラスカにある米国のミサイル防衛が作動してしまう。しかし、米国は北朝鮮に対し、移動式ミサイル部隊を駐留させ、さらなる挑発を回避するための誠意ある努力を示すよう要求する。ワシントンは北朝鮮付近の偵察飛行を命じ、その後、国連に北朝鮮の選択的封鎖を承認するよう要請し、米戦略軍をデフコン3状態に置く。

 北朝鮮はアメリカの要求を拒否し、動員を開始し、アメリカが警戒態勢を解除せず、韓国(朝鮮)からの撤収日程を決めないなら、戦争になるとワシントンに警告する。緊張は高まり続ける。そして6月初旬、北朝鮮は衛星を軌道に打ち上げ、米韓が手を引かなければ宇宙で核爆発を起こす可能性があると警告する。ワシントンは、中国が北朝鮮に圧力をかけて譲歩させることを期待し、北京に連絡する。中国当局は、北朝鮮がいかなる条約にも違反していないことを指摘し、平壌と直接交渉するようワシントンに助言する。米国は平壌に対する制裁決議案を持って国連安全保障理事会に臨む。ロシアと中国はその承認を阻止する。

 この危機の間、米国当局は北朝鮮の衛星が核を搭載しているかを判断しようとしたが、判断できなかった。2029年6月中旬、北朝鮮は別の衛星を北太平洋の上空に打ち上げる。軌道に乗る前に爆発し、10~20キロトンの核エネルギーが地球低軌道に放出される。爆発を目前にしたすべての衛星は、ただちに使用不能となる。米国の宇宙専門家は、地球低軌道にある世界中の衛星が数日から数週間のうちに使用不能になると予測している。爆発直後、北朝鮮は韓国に侵攻する。

 このような危機に対して、米国と宇宙に近い同盟国がどのように対処するかが、各手順で注目された。その結果、4つの収穫があった。

1. 宇宙戦争は宇宙空間にとどまり、国際的な制限によって宇宙空間での敵対行為を防ぐことができるという一般的な考え方は、間違いでもある

外交官は、十分な交通ルール、規範、外交的シグナルがあれば、宇宙での最悪の事態-軍事戦闘-は避けられると期待している。しかし、外交的な制限によって宇宙での敵対的な軍事行動を防ぐことができるとの強い信念は、私たちが持つ宇宙関連の法律や規制の曖昧さにより裏切られているのです。この点で、米国チームは北朝鮮の核爆発が宇宙条約(OST)に違反すると主張した。しかし、中国は、米国防総省の法律専門家と同様に、「核兵器が明らかに軌道上または『ステーション』にあるときに爆発したことが証明されない限り、不正行為は成立しないかもしれない」と反対した。実際、OSTの下では、核弾頭が少なくとも地球を1周しない限り、国家は合法的にミサイルで核兵器を宇宙空間に投入し、爆発させることができる。

 しかし、軌道上の宇宙船が核弾頭を搭載しているかどうかを確認する簡単な方法はほとんどなく、OSTの「宇宙への核兵器の設置」や「爆発」の禁止を、爆発によって条約が破られるまで強制する簡単な方法もない。また、北朝鮮が明らかに戦争状態にあるときに爆発させた場合は、OSTの規定が適用されない可能性がある。このことから、宇宙外交の最初の課題は、敵対する国家との間にどのような不一致が生じるかを明確にすることであり、不一致が生じないと主張したり、条約交渉によって「修正」することではないことがわかる。

 何十年もの間、米国とその同盟国は、違反すると結果が生じる明確なルールを確立しようとしてきた。望ましいことではあるが、多くの重要な事例において、これはまだ達成されていない。NPECが以前行った中国宇宙ゲームでも、この点に苦慮し、自己強制できるルールだけが有用であろうという結論に達した。残念ながら、今回のゲームでは、そうでないことを示唆するものはなかった。宇宙での戦闘を抑止し、少なくとも地上での紛争を防ぐことができる、というタカ派的な希望については、このゲームでは結論が出なかった。 同時に、宇宙での「戦闘」行為を避けることで、何らかの形で私たちを守ることができるという希望も、信用されないものとなった。


2. 宇宙での核爆発に対応するため、衛星の強化やコンステレーション再構築のオプションを開発すればヘッジになるが、そのようなオプションを確保するために何をすべきかは明白ではない。

高高度核爆発が発生した場合、自国の衛星コンステレーションを再構築する競争が起こるであろうことは、このゲームプレイヤー全員が同意していた。また、衛星やロケットなど、何をどのように再建するかについても、特定の材料や衛星、ロケットなどの備蓄、製造や動員基地の増強など、大きな合意があった。しかし、衛星の寿命が限られる早い時期に、あるいはヴァン・アレン帯の放射線量が低下し、新たに投入される衛星の生存期間が長くなった後に、どのようなタイミングで再構成を行うかについては、合意や検討はあまりなされていなかった。また、地球低軌道上、中軌道、静止軌道上、あるいは宇宙空間以外の地上・近地上の代替システム(高高度ドローンや気球、海底通信ケーブル、地上ナビゲーションシステムなど)のどこに、衛星再建の努力を集中させるかについても合意が得られていない。

 また、このような再構成競争において、中国と米国のどちらが勝つのか、その理由は不明であった。米国とその同盟国は、中国よりも打ち上げ、衛星インフラ、技術でリードし、動員基盤も大きいという見方もあった。また、「中国に軍配が上がる」という意見もあった。このゲームでは、もう一つの再構成の問題が発生した。多くのプレイヤーは、2029年にロシアのソユーズ・カプセルがアメリカの宇宙ステーションで利用できると考えていた。しかし、そうではないかもしれない。米国や同盟国の脱出用カプセルを開発することは、政府宇宙ステーション、民間宇宙ステーション、月での運用のいずれにおいても望ましいことである。

 最後に、商業衛星の運用者にどの程度のハードニングを要求すべきかについては意見が分かれた。ある人は、商業宇宙企業に要求するのは無意味で、もしアメリカ政府が要求すれば、これらの企業は単に海外に行ってしまうだろうと言った。また、衛星が地球低軌道にあり、デブリに近く、強い太陽嵐や放射線に対応できるかなど、実行されるリスクに比例してハードニングを行うべきだという意見もあった。また、商業衛星が政府サービスを提供するのであれば、政府との契約は、一定の硬化要件を満たすことを条件とにできると主張する人もいた。さらに、その強化策の費用を政府が負担すべきだと言う人もいた。また、地球周回衛星は、米国や同盟国の安全保障や繁栄にとって、最終的にはそれほど重要ではないとの見解もあった。また、そうでない人もいた。

 はっきりしているのは、今回のような危機が起こる前に、政府はこうした意見の対立を解決するためもっと努力すべきだということだ。


3. 地球低軌道システムへの核攻撃をヘッジするため、米国と同盟国は、他の宇宙軌道と地球上および地球近傍の両方で代替手段を開発すべきだ。

大きな変更を加えることなく、またコストを劇的に増加させることなく、複数の異なる軌道で運用できる宇宙システムを考案することは、ゲームで提起される脅威に対処する上で極めて有用である。このようなシステムは、米国と同盟国にとって、核と非核の両方の脅威に対する宇宙システムの回復力をはるかに高めることができる。また、このようなシステムは、「最適」なコンステレーションを決定する上で、より大きな運用の柔軟性を可能にする。最後に、このようなシステムによって、再構成の取り組みがより迅速に、そしておそらくより安価に行えるようになる。

 一方、地球上および地球近傍では、陸海ケーブル通信システム、地上航行補助装置、高高度気球、ドローン、その他の非宇宙プラットフォームと組み合わせた代替画像システムの開発を強化することが有効であろう。これらの陸上・空中システムは、地球低軌道の宇宙システムが使えなくなった場合のつなぎとして有用である。これらの代替システムを開発する際には、受動的・能動的に防御する方法を開発することが有用である。


4. 宇宙空間における核兵器の存在はどの程度確認できるのか、また、宇宙空間や近傍空間での核爆発に対してどの程度の割合で軍事行動をとることができるかという2つの大きな未知数については、解明する価値がある

 アメリカが宇宙空間で核兵器の搭載を確認する能力については、かなりの議論があった。ある人はいずれ可能になるだろうと考え、またある人は懐疑的であった。また、核兵器搭載物を無力化する宇宙システムとともに、そのような検査システムが多数軌道上に常時存在していても、すぐに十分な距離まで近づくことができるのか、疑問視する声もあった。

 真実がどうであれ、何が可能かを見極めることは、危機が起こる前に合理的な期待を抱かせるため重要だ。このような困難な検出ミッションに多大な時間と資金を費やすことは、常に魅力的だ。しかし、この場合、技術的にも軍事的にも、そのような修正が不可能であることを前提に設計する方が、より理にかなっているかもしれない。

 さらに、このゲームで明らかになったもう一つの間違った思い込みは、宇宙での核爆発に対して、効果的で比例した軍事的な反撃オプションがすぐに利用できるというものだった。ゲームではそうではなかったが、現実でも、おそらくそうではないだろう。また、そのような選択肢が今後もあるかも不明である。 しかし、この「予感」は評価する必要がある。

 繰り返しになるが、このゲームとその結果を「異常値」と断じる人もいるかもしれない。しかし、アメリカやその同盟国が、軍事や商業の任務を遂行するために、地球低軌道衛星への依存度を高めている以上、そうすることは間違だろう。敵が衛星を危険にさらす新たな方法を開発すれば、それは致命的となりかねない。■


Pyongyang Goes Nuclear—This Time in Space | The National Interest

by Henry Sokolski

March 7, 2023  Topic: North Korea  Region: East Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaDPRKUnited StatesChinaNuclearWar Game


Henry Sokolski, executive director of the Nonproliferation Policy Education Center, served as deputy for nonproliferation in the Defense Department and is the author of Underestimated: Our Not So Peaceful Nuclear Future (2019).

Image: Maxal Tamor/Shutterstock.


米空軍のF-15EXイーグルIIの調達機数が上方修正。それでも104機にすぎない....

 

(U.S Air Force photo by 1st Lt Savanah Bray)

米空軍は、F-15EXイーグルIIの調達方針を軌道修正し、最新の予算で24機追加導入する

軍の2024会計年度予算案には、F-15EXイーグルII戦闘機を24機追加購入する要求が含まれている。これにより、計画規模は合計で104機調達となる。昨年、空軍はイーグルIIを80機だけ購入することを提案し、少なくとも144機という当初の計画から縮小していた。本誌は最近、F-15EXがわずか80機では実用上ほとんど意味がないと強調した。

F-15EXイーグルIIが104機あれば、航空州兵(ANG)部隊のF-15C/Dの代替が可能となる。現在、カリフォーニア州、オレゴン州、ルイジアナ州、マサチューセッツ州のANGには、各イーグル1個飛行隊が配備されています。これらの部隊は、48州への海のアプローチを保護する非常に重要な任務を担う。また、オレゴンANGには、F-15EXコミュニティの訓練部隊がある。

F-15機材がそろった。左からF-15C Eagle、F-15E Strike Eagle、F-15EX Eagle II。アメリカ空軍

空軍は現在、F-15C/Dイーグルの全機種を処分した不足分を、F-35A統合打撃戦闘機の購入で補填すると表明している。空軍はすでに、イギリスの前方展開の現役部隊に配属されていたイーグルをF-35Aで代替する動きを見せている。日本では、F-22ラプターを含むジェット機のローテーション配備により、イーグル飛行隊2個が閉鎖された。また、ウェポンスクールにおけるF-15C/D活動も停止させる方向で動いている。

フロリダ州空軍もF-15C/DからF-35Aへの移行を進めているが、他のANGイーグル飛行隊がF-15EXを導入しているのを見ると、不可解な動きだ。

同時に、F-15C/Dの正式な売却も継続されている。今回のF-15C/Dフリートの最終的な公式引き離しに先立ち、空軍は現役部隊とANG部隊を含め、全軍で約220機のF-15C/Dを供用していた。2023年度予算案では67機の売却を要求しており、F-15C/Dが徐々に縮小する中でも減少する。

2024年度予算案では、空軍はF-15C/Dの継続的な退役計画の一環として、さらに57機のF-15C/Dの売却を要求している。

米軍の年間予算で最終決定権を有する議会が、2024年度あるいは将来的に、空軍にF-15EXの追加取得を強制することを決定する可能性は常にある。議員たちは、軍用機等の削減案を阻止したり、軍が要求する以上の追加資金を追加してきた長い実績がある。しかし、前述のように、議員たちは昨年、空軍が示した大幅に切り捨てたイーグルII調達計画を真っ向から変更しなかった。

F-15C/D部隊での不確実性は、現時点で解決されたように見えるが、まだ未知数が残る。まず、ペンタゴンが言うように、嘉手納基地が本当にF-35を手に入れるかどうかだ。何よりも、104機規模は80機よりはましだが、それでも驚くほど小さい。特に、空軍は戦力構成を減らすことに重点を置いており、海外の脅威が高まる中、予算を重ねるごとに戦術的航空戦闘の全体量を縮小しているため、このような事態になる。

とはいえ、少なくとも空軍のF-15EXの最終目標機数が明確になったわけだ。■


F-15EX Eagle II Total Buy Increases From 80 To 104 In New USAF Budget

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED MAR 13, 2023 1:30 PM

THE WAR ZONE