2015年8月2日日曜日

★米海兵隊F-35Bで初期作戦能力獲得宣言



いろいろ問題がついてまわるF-35ですが、IOC獲得だけは予定の時間をぎりぎりで達成したようです。ただし、IOCでありフル性能が実現するのはまだまだ先のようですし、まだまだ今後が難航しそうな同機のことですからどうなりますやら。岩国に真っ先に配備されるのはいいのですが、また反対運動が出てくるんでしょうか。心配です。

U.S. Marines Declare First F-35B Squadron Operational

Jul 31, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report
計画から遅れること5年、予算も数十億ドル超過し、計画中断の試みを断ち切り、F-35B共用打撃戦闘機がついに米海兵隊で供用を開始する。
  1. 7月31日に12カ国のトップを切り海兵隊は短距離陸垂直着陸型のF-35Bの初期作戦能力(IOC)獲得を宣言した。
  2. 第121海兵隊戦闘攻撃飛行隊 (VMFA-121)は駐屯地ユマ(アリゾナ州)がIOCを5日間にわたる作戦即応度観閲(ORI)を7月17日に受けた。
  3. 「VMFA-121にはブロック2B仕様の10機が配備され、運用展開の準備が完了した」と海兵隊司令官ジョセフ・ダンフォード大将が発表した。「近接航空支援、攻撃・防空空中戦闘、迎撃、強襲支援、武装偵察を海兵隊陸上部隊とともに実施することが可能だ」
  4. F-35支持派にとって今回の達成は戦術航空の新時代の幕を開くものとされ、単発ステルス機が今後各国で投入されることを期待するものだ。通常離着陸用のA型が需要が一番高く、1,763機を導入する予定の米空軍も2016年12月にIOCを宣言する予定だ。同盟国ではイタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ、カナダ、トルコ、オーストラリア、イスラエル、日本、韓国が運用する。C型は米海軍専用の機材で発着艦時を考慮して主翼が大型化している。海軍のIOCは2019年2月の予定。
  5. VMFA-121配備の10機が今回のIOCで作戦可能となった。同隊は以前はF-18ホーネットを飛ばしていた。
  6. 今回のIOCはロッキード・マーティンの2BソフトウェアのためIOCも限定つきとなる。AIM-120空対空ミサイル、500ポンドレーザー誘導爆弾、2,000ポンド共用直接攻撃弾の利用が可能となる。ただしソフトウェアの制約で各装備は機内兵装庫からの運用に制限される。今後のソフトウェアの改訂で外部搭載が可能になる。
  7. ただし、海兵隊航空副司令官ジョン・デイヴィス中将は同機はF-18ホーネットやAV-8Bハリヤーより強力だと力説する。今回のソフトウェアは近接航空支援や航空阻止ミッションの「基礎」部分をサポートするほか、防空網の「限定的」制圧に有効だという。
  8. 海兵隊はハリヤーを2026年に退役させ、ホーネットは2030年まで使用すると海兵隊報道官ポール・グリーンバーグ少佐は説明。F-35Bを配備する第二の非応対はVMA-211(ハリヤーを稼働中)で2016年になる。その後VMFA-122(現在ホーネットを配備)が2018年に機種転換する。
  9. 完全作戦能力 (FOC) の獲得は 2017年度第四四半期でその時点で2001年10月にはじまった機体の開発期間も終わりを迎えているはずだ。そして海兵隊に念願の3Fソフトウェアが届き、より多くの兵装の利用が可能となるほか、電子攻撃能力も使えるようになる。
  10. デイヴィス中将によれば最初の飛行隊で懸念しているのはミッション能力の引き上げだという。VMFA-121の各機は当初およそ60%のミッション実施が可能だという。いかにも低い数字のようだが、作戦投入開始時の想定水準はそんな程度だという。というのも各機はロッキード・マーティンのフォートワース工場で比較的初期に完成した機体であるのも理由のひとつだ。差新の生産機の標準に合わせるため各機には改修が多数必要となる。開発と生産を並列して進めたためで、同機に懐疑的な向きは早くからこの欠陥を指摘していた。
  11. デイヴィス中将の考える最終目標は80%のミッション実施率で、開発完了までにこの水準になると見ている。だがこの引き上げを左右するのがスペア部品だ。部品の在庫があるかどうかで機体の保守点検時間や飛行の可否が影響を受ける。
  12. もうひとつ制約になりそうなのが2Bソフトウェア搭載の機体では多機能高性能データリンクMultifunction Advanced Data Link (MADL)が利用できないことだ。MADLは空中、地上でのパイロットの状況把握データを秘匿共有する能力がある。4機編隊で運用するとMADLは2機の間でしか利用できない。対策として海兵隊は2機ずつを旧式のLink 16データリンクで結ぶことにしている。
  13. 問題はLink 16が秘匿性にかけることで、発信すれば敵も探知することが可能でF-35の位置がばれてしまうことだ。MADLは特殊波形と指向性アンテナを使い、ステルス性を損なうことなくデータを伝えるので翼整備された防空空域に突入する同機を助ける。
  14. F-35関係者はソフトウェアパッチで4機編隊でのデータリンクの実効性を引き上げようとテストしてきた。だが現時点で期待されるデータ融合機能は機能しない。それでもIOC宣言をしたのはホーネット、ハリヤー各機をなるべく早く退役させるためだ。
  15. 既存各機にはステルス性がなく、ロッキード・マーティンが称する「センサー融合」つまり統合視覚画像を新型ヘルメットに写すこともできない。
  16. しかしF-35反対派には既存機種メーターの強力なロビーストがあり、F-35の価格が高騰していることを問題視しているが、同機はステルスの代償として武装搭載量、機動性の双方を犠牲にしていると主張。これに対しデイヴィスは新技術のもたらす効果は計り知れないと反論する。
  17. 海兵隊はペンタゴンの歴史上もっとも高価な戦闘機ともっとも高価な回転翼機V-22をともに運用することになる。
  18. F-35Bの最新価格は単価100.5百万ドルで、昨年秋にロッキード・マーティンに交付された契約によるものだ。F-35Cは製造規模が小さいこともあり、111.1百万ドルになっている。ともにフライアウェイ価格で開発費用は反映していない。
  19. 価格と技術課題からF-35は一度ならずとも打ち切りの危機に直面した。その後ペンタゴンが開発体制を再構築し、B型を優先し、技術的に一番困難な同機をまず実現することにした。このため米空軍向け機体の稼動が遅れた。またテスト結果が芳しくなく、当時の国防長官ロバート・ゲイツが2011年にB型を「保護観察対象」にしている。結果が改善し今回のIOCにつながったわけであ。
  20. 昨年のロイヤルインターナショナルエアタトゥー、ファーンボロの両航空ショーにF-35Bは展示sれなかった。F-35Aのエンジン事故で機体全部が飛行停止になったためだ。エンジン火災の原因は第三段ローターにあったが、すでに改良が完成済み機体と新規生産分に施されている。B型は来年のエアタトゥーに出展され、その後ファーンボロでも公開される予定だ。
  21. 海兵隊は420機のF-35を調達する予定で、うち353機がB型で小型強襲艦での運用を想定し、大型空母運用型のC型は67機だ。
  22. VMFA-121は2017年に岩国海兵隊航空基地に移動し、常駐する。■


2015年7月31日金曜日

オーストラリア向けEA-18Gは米海軍仕様とひと味ちがう機体になった


オーストラリア向けのグラウラーは米海軍仕様とは微妙に異なっているようですね。ただし、空対空ミサイルを搭載するというのはどんなもんでしょう。機数に限りがあるため出来るだけの機能を一機でこなせるようにしたいというのがオーストラリアの用兵思想なのでしょうか。もし日本も同機を導入したら同じ発想になるのでしょうか。NIFC-CAがまた出てきますが、米軍との親和性ではオーストラリアが一歩先を行くようですね。ゆくゆくは日米豪でネットワークを構築すると見ていますが。

U.S. Navy Lessons from Libya Informed Australian EA-18G Growler Modifications

By: Sam LaGrone
July 30, 2015 4:25 PM
The Royal Australian Air Force's first EA-18G Growler during its first flight on July 13. Boeing Photo
オーストラリア空軍向けEA-18Gグラウラーの1号機が7月13日に初飛行した。T. Boeing Photo

ST. LOUIS, MO.— 米海軍はリビア攻撃の教訓をオーストラリア向けボーイングEA-18Gグラウラー電子攻撃機に伝えたと米海軍関係者とオーストラリア空軍(RAAF)関係者が報道陣に語っている。
  1. 「リビアで最大の教訓は電子光学ポッドがグラウラーに必要だとわかったことです」と語るのはRAAF前参謀長ジェフ・ブラウン中将 Air Marshall Geoff Brown だ。「電子発信音をとらえ所在がわかったあとで標的を見ることができますから」
  2. レイセオン製ATFLR(前方監視赤外線)ポッドを加え、グラウラーは目標の状況を更に高いレベルで把握できることになった。
  3. グラウラーの電子攻撃の基本は敵防空体制を電子的に探知し、利用不可能にすることだが、現行の米海軍仕様グラウラーにはFLIRポッドはついておらず、スーパーホーネットの有する視覚鋭敏さに劣る。
  4. 2011年のオデッセイの夜明け作戦ではグラウラー5機の一個飛行隊がリビア上空の航空戦を支援したが、電子的に探知したあとの目標確認ではFLIRを搭載した他機に頼っていた。ドナルド・ガディス少将Rear Adm. Donald Gaddis(米海軍の戦術機事業主管)が報道陣に対しボーイング社内で開かれた式典会場で解説している。.
  5. EA-18GのパッシブALQ-210レーダー探知機とアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)を使い、MIDSとLink 16経由で「他機に目標の軌跡を伝えた」(ガディス少将)「ポッドを搭載すると他の装備が積めなくなりますが、ATFLIRを搭載した別の機からのデータリンクが不要となり、自分で確認できるようになります」
  6. ただし米海軍が導入済みEA-18Gにポッドを搭載する改修をするのか、新規生産機から標準装備にするのかは不明だ。
  7. FLIR以外にRAAF向けグラウラーにはAIM-9X空対空ミサイルが搭載される。
  8. RAAFのグラウラー調達は航空関係で特に米国製装備を導入するオーストラリアの傾向のひとつだ。
  9. グラウラーは総額22億ドルの事業だが、オーストラリアは別にボーイングP-8Aポセイドン海上領域状況認識・対潜哨戒機、ノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトン海洋情報収集監視偵察無人機(UAV)、ロッキード・グラマンF-35ライトニングII供用打撃戦闘機を導入する。さらにボーイングE-7Aウェッジテール空中早期警戒統制機が導入済みだ。
  10. 各機はRAAFがめざすネットワーク化航空戦構想プラン・ジェリコの実現の基礎となる。
  11. このうちグラウラーとF-35Cには米海軍の海軍統合火器管制防空 (NIFC-CA) で中心的なノードの役割を期待され、RAAFが機材を導入するのは米戦闘ネット網に組み込まれることになるのだろう。
  12. 「米国側とはいつも協力分野を検討してきました」とブラウン中将はUSNI Newsの取材に答えている。プラン・ジェリコがNIFC-CAのよなネットワーク構想で協調型交戦能力 (CEC) を目指すのかというのが問だった。「米海軍、米空軍とは切れ目なく相互運用をめざしています」
  13. ボーイング上層部はUSNI Newsに対してF/A-18E/Fスーパーホーネットとグラウラー生産ラインを2010年代末まで維持するためには米海軍向けスーパーホーネット追加発注12機の議会承認が必要、また国際市場向けには50ないし70機の販売成約が条件との発言があった。
  14. 数ヶ月以内にデンマークが同機24ないし36機の調達を決定すると見られ、同規模の調達を中東某国が検討中とボーイング関係者は明かし、ただし国名は話さなかった。USNI Newsはクウェートであると理解している。■

2015年7月30日木曜日

★★レーザー革命がやってくる DE兵器の実用度が急速に向上か



指向性エネルギー兵器特にレーザーで何らかの進展が生まれつつあるのか複数のサイトで取り上げられています。今のところ将来を見通した観測記事の域を脱していませんが、技術の成熟化が着々と進んでいることが伺われます。この話題は今後も追っていきます。

The Laser Revolution: This Time It May Be Real

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 28, 2015 at 5:54 PM

US Navy photo
米海軍のLsWS(レーザーウェポンシステム)はUSSポンセに搭載されペルシア湾に展開中
TYSON’S CORNER: 新しいレーザー技術なら中国式の大量攻撃への対応手段として有望だ。ただし、レーザーではこの数十年、期待ばかり先行してきた。レーガン時代のスターウォーズ計画から航空機搭載レーザー(2011年計画中止)まであった中で推進派は懐疑的に感じる向き、特に議会筋を納得させる必要がある。ただし、今回は事情がちがうようだ。
  1. 議会指向性エネルギー議員会 Congressional Directed Energy Caucus の副会長ジム・ランジェヴィン下院議員 Rep. Jim Langevin は「議会内で指向性エネルギーへの態度はまだら模様だが、技術が成熟化しつつあり支持が強まっている」
  2. 「これまで指向性エネルギーは過剰宣伝され実態が追いついてなかった。多分これが一番の阻害要因だろう」
  3. 米国が指向性エネルギー兵器に費やした予算は1960年から累計で60億ドルを超す。「ただし最近まで成果があまりに貧弱だった」とダグ・ランボーン下院議員 Rep. Doug Lamborn もランジェヴィン議員の同僚として発言している。ただし現在は「興奮を呼ぶほどの移行期にあり、COCOM(戦闘部隊司令官)の要求水準にもうすこしで到達する所まで来た」
  4. 「指向性エネルギー兵器への関心を喚起するのは大変だが、議会内では超党派的な支持がある一方、反対意見もある。予算をめぐる競争は大変だ」とランボーン議員は述べている。
  5. 国防総省の指向性エネルギー関連の支出実績は年間3億ドルほどだが、すべて研究開発向けである。「拡大すると約束できないが、縮小はないだろう」とフランク・ケンドール副長官(調達、技術開発、兵站担当)は語っている。
  6. ケンドールの履歴を見ればどこまで開発が進んでいるのか、いないのかがわかる。ケンドールは指向性エネルギーにかれこれ40年間携わっており、最初は陸軍の防空部隊で若い大尉の時で、有望なこの新分野で論文を書いている。レーガン時代の戦略防衛構想、空中発射レーザー事業に関与してきたが、今回いよいよレーザーが現実の手段になろうとしている。
  7. ただし簡単ではない。「DE(指向性エネルギー)は1976年にもうすぐ実用化と言われた。1986年でも同じだったので、今や用心深くなっている。ただし、注目すべきブレイクスルーが本当に発生している」とトレイ・オバリング中将(退役)retired Lt. Gen. Trey Obering が発言している。
  8. オベリングは現在はブーズ・アレン・ハミルトンにいるが、以前はミサイル防衛庁長官で空中発射レーザー事業(ABL)の末期を見ている。ABLが失敗したのは戦術面を犠牲にしてまで技術の完成を目指したためだという。「実施可能かという点が支配し、何ができるのか、作戦上稼働するかは二の次だった」という
  9. それに対して今の技術は実験室レベルを脱し作戦レベルになってきたとオベリングは指摘する。とくに海軍の30キロワット級レーザーがUSSポンセに搭載された事例に言及している。「技術が完成するまで待つのではなく、今利用可能な手段を軍に取り入れ、フィードバックから第一線部隊がこの新兵器を話題にしています」 この方法で技術成熟化が進む中で「第一線部隊は受領して違和感なく感じている」という。
  10. このような現実的かつ経験を増やす形のテスト使用が議会内に着実に支持派を生んでいる。「米海軍がUSSポンセで行っている内容についてはよく言及しています。R&Dというだけでなく一部作戦レベルにあると見ています」(ランジェヴィン議員)
  11. 海軍の30キロワット級レーザーは現時点で米軍で唯一の作戦用レーザーだ。(目標照射用の非致死性レーザーは普及している) だがそれ以外の兵器も準備が進んでいる
  12. 空軍特殊作戦軍団は高出力レーザーをAC-130ガンシップの次期モデルに搭載しようとしている。「ブロック60にレーザーを搭載するのは10年後になるでしょうが、ブロック60自体はあと数年登場します」とAFSOC司令官ブラッド・ハイトホールド中将 Lt. Gen. Brad Heithold は語っている
  13. 空軍研究所は中規模出力レーザーの実用化を企画中だ。中規模といってもミサイルを破壊したりセンサーを利用不可能にできるが、航空機撃墜は不可能だ。これを戦闘機に搭載可能なポッドに収めようとしている。この実証を2020年までに実施するとAFRL司令官トム・マシエロ少将 Maj. Gen. Tom Masiello が発言している。ただし実戦化の日程は公表していない。
  14. 海軍は100から150キロワット級レーザーの海上公試を2018年までに実施する予定で、ポンセに搭載したレーザーより一気に3倍の強度を狙う。さらに2018年度予算に盛り込む。レイ・メイバス海軍長官の肝いりでできた海軍指向性エネルギー運営グループから提案書が出ている他、作業も開始されている。
  15. このように海軍は試作品を迅速に実戦部隊の要求に合わせようとしている。
  16. 第一線部隊司令官がレーザーに求める内容は今日では大きく異る様相を示している。
  17. 「ミサイル防衛庁に初めて足を踏み入れた2001年当時、実戦部隊はミサイル防衛を真剣に捉えていなかった」とオベリングは回想する。「これから登場するミサイル防衛手段としてイージスなどのモデルをつくろうとしたが、COCOMの側に関心が全く見られなかった。つまりまるっきり信じていなかったのだ。これが今は180度変わりましたね」
  18. 違いを生んでいるのは脅威対象だ。1991年に米軍は精密兵器体系でどんな仕事ができるかを世界に示した。それを一番注目していたのは中国だ。「それ以来、相手方も精密兵器を装備した場合の想定を恐れてきた」とケンドールは言う。
  19. 中国は高精度のミサイルに多大な投資をしているとケンドールは言うがロシア、イラン、北朝鮮もそれぞれ整備している。また非国家勢力が精密誘導ロケットや迫撃砲弾と既成品のカメラを無人機に積んで強力な効果を生む手段を作るかもしれない。
  20. 「現実に直面している問題は指向性エネルギーシステムズがずっと前に想定していたそのもので、特に精密誘導ミサイル、巡航ミサイル、弾道ミサイルです」とケンドールは言う。「今こそこの技術が重要な意味を帯びているわけです」
  21. だが作業を妥当な長さの時間の間に完成させられるだろうか。
  22. 「指向性エネルギーの開発ロードマップでは各種技術を応用して効果実証をあと5年で実施できることになっています」とケンドールは報道陣に語っている。「順調なペースではないでしょうか」
  23. 「現時点で達成できた成果をお知らせすることもできるのですが、まだリスクが多いのが現実です。複数の技術アプローチを取る理由はリスクですが、一歩踏み出さねば、結局どこにも到達できませんからね」■


2015年7月29日水曜日

★V-22オスプレイのグローバル運用で体制づくりが急務、用途追加の開発状況



オスプレイが実は世界各国も採用する想定ではなかったというのがひとつの驚きですが、日本の採用決定がグローバル化にはずみをつけているようですね。また空中給油やF-35Bジェットエンジン運搬など新しい役割も開発が進んでいるようです。調布の事故で便乗してオスプレイ反対を主張する向きがありましたが現実世界は着々と進んでいるんですね。

The Next Phase for the V-22 Osprey: Build Global Support Like C-17

By ROBBIN LAIRD on July 27, 2015 at 2:19 PM
V-22オスプレイは9月で実用化8年目を迎える。オスプレイの投入により強襲作戦は兵力の投入・撤収・交戦で新しい時代に入った。
  1. そして同機の展開は新しい段階に入る。オスプレイを同盟国は購入するだろうか、その場合に世界規模で機体支援が十分に実施できるだろうか。同盟国も加え海兵隊、空軍、そしてまもなく米海軍も飛ばす同機の効果を増進することは可能だろうか。
  2. 日本、イスラエル以外の同盟国数ヶ国が同期調達に前向きであるが、課題の解決も必要となる。もともと同機は世界各国の運用は想定しておらず、部品供給など世界規模の調達も想定外で、世界規模での高度の支援も考えていなかった。
  3. 大胆に言わせてもらえれば、現時点の機体サポート体制は需要の高まりに対応できない。オスプレイ整備にあたる方面への取材では補給支援面の不足が第一線で痛感されているとわかったし、運用面で不確かな点があることもわかった。各国の潜在需要が国防総省の計画時の予想をはるかに上回っているためだ。
  4. 「V-22部隊の任務、運用地点が前例のない形で拡大している一方、海外のオスプレイ取得が増えつつある中、世界規模のサプライチェーンを発展させ革命的な軍事技術に歩調を合わせなければならない」とジョージ・トラウトマン少将(退役)retired Lt. Gen. George Trautman前海兵隊航空副司令官は言う。
  5. 世界規模での調達システムは構築可能だ。ボーイングはC-17で実績がある。同機の部品は共通化され、世界各地の同社拠点が支援している。これにより同盟各国は同機を調達しつつ、米空軍と完全に共通化して運用できる。
  6. 同様にオスプレイでも世界各地での運用に新方式を採用する必要があるが、これが実現しないと大きな失敗になり、戦略空輸能力への影響は必至だ。
  7. そこで日本へのオスプレイ売却がグローバル化の大きなきっかけになると期待される。日本でのオスプレイ運用は高ストレス環境下となる。米軍のCV-22、MV-22と並んで日本のV-22は共通の補給体制から通常より相当高い頻度で補充支援を受けるだろう。
  8. 補給頻度の需要が変動し、かつ米軍オスプレイは域内各地で運用するため、部品在庫は地域全体で想定しておくことが合理的かつオスプレイのグローバル展開で大きな一歩となる。
  9. 需要はオスプレイが追加能力を得れば更に高まる。ひとつにはF-35Bの海上支援任務がある。USSワスプでの海上公試が5月にあったが、オスプレイはF-35B用エンジンを艦上輸送する能力を実証した。F-35Bを運用する同盟各国もオスプレイによる支援に期待するはずだ。
  10. この能力開発は軍から正式に要求があったものではない。業界が自主財源で利用可能性を実現させたものだ。「プラット&ホイットニーがV-22を利用する可能性に着目したわけです」と同社は説明する。
  11. 海兵隊はプラットのコネチカット工場へオスプレイを飛ばし、P&W技術陣がオスプレイの正確な寸法を測り、乗員と運搬方法を検討した。機体のドアからエンジンモジュールを積み込み・積み降ろす方法の確立が鍵だった。
  12. ショーン・スタックリー Sean Stackley 海軍次官補(研究開発・調達)がエンジン補給方法で解決策を求めていた。業界は8ヶ月で方法を考案し、次に海兵隊がJSF開発室と共同でラピッドプロトタイプ方式で作成した。
  13. オスプレイは多用途任務機になる可能性があり、空中給油もそのひとつだ。海兵隊はオスプレイに給油機任務を与え、F-35Bやハリヤーの支援を行わせようとしている。海兵隊は揚陸強襲艦での運用を想定。
  14. 空中給油任務は大型空母でも投入の可能性がある。ベル=ボーイングはすでにその準備を始めている。.ボーイングのオスプレイ生産施設(フィラデルフィア)を訪問すると空中給油能力の実現方法の説明があった。ボーイングは3D仮想現実シミュレーションで機内の給油システムの開発を行っている。
  15. つまり要求性能から初期設計と詳細設計ができることを意味する。実験設備を続けて使うことで「工程内」で試作装置の評価が完結して、これまでのように何年もかけずに数ヶ月で正しく機能する装備が実現するわけだ。
  16. V-22を運用する米軍各部隊および同盟国が同機を世界各地で維持することがオスプレイのグローバル運用の次の段階につながる点で重要だ。■


2015年7月28日火曜日

★ボーイングは空中給油機市場のチャンスを逸したのか エアバスの一人勝ち?



せっかく一度決まりかけたエアバス案を覆して受注に成功したものの、予想外の開発遅延で損失が膨らむボーイングがこのまま米国内の需要だけを満たす存在になるとは思えませんが、いかがでしょうか。当然日本にもそのうち導入の検討を迫ると見ていますが。実際には給油機の市場はそれほど大きくないのでその分だけKC-46Aの存在が不思議なものに写るでしょうね あいかわらずアブラフィア氏は的確な(その分ボーイングには耳の痛い)指摘をしていますね。

Opinion: For Boeing, Big Losses And Missed Opportunities In The Tanker Market

KC-46 falls flat in international market
Jul 22, 2015 Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology


給油機の動向を占重要な.出来事が今夏に二つあった。まずボーイングがKC-46開発でふたたびつまづいた。二番目はエアバスのKC-30が再度受注に成功したことだ。ここから今後の給油機市場の動向が見えてくる。
  1. ボーイングはKC-46開発続行のため再度自社資金を投入すると7月に発表し、今回は835百万ドル(税引前)規模だ。これで同機開発の損失は12.6億ドル(税引前)に上る。たった一つ明るいニュースは開発費用が61.6億ドルになることで、これは空軍開発室の試算63億ドルに近い。だがバンクオブアメリカ/メリルリンチのアナリストはこう記している。「ボーイングが12.6億ドルを投じたKC-46Aの原型は767で過去30年間生産されていることを見過ごしていはいけない」
  2. そのわずか前に痛い損害の知らせが入ってきた。韓国がKC-30を採用し、オーストラリアも発注済みKC-30の5機に加え2機追加発注した。
  3. 今のところボーイングはKC-46の海外受注を一機も獲得していない。KC-30は48機で、さらに12機の商談が続いている。インド、カタール、韓国である。KC-46では開発の遅れがボーイングの営業の足を引っ張っているようだ。
  4. エアバスは確定発注を9か国で確保した。事実上追加購入の可能性がある。このことから今後の世界規模での給油機需要の地図が浮かび上がってくる。
  1. ボーイング試算の給油機の市場規模は全世界で800億ドルだが、実は新規かつ未成熟市場だ。2001年まで各国は新造ジェット給油機を導入しようとしても選択はひとつしかなかった。空中給油能力の導入に踏み切ったのはサウジアラビアだけで、ボーイング707を8機、KE-3として新造させている。英空軍が米国除くと最大の給油機運用国だが、中古のロッキードL-1011 とヴィッカースVC-10を使っていた。
  2. その他各国は民間旅客機の改造型あるいは米国から払い下げのKC-135を供用していた。フランスはKC-135Rを、トルコとシンガポールも同型機を受領し、その他国はロッキード・マーティンのKC-130を使う例が多かった。
  3. 2001年になりイタリア空軍が初の次世代新型給油機KC-767の導入を調印した。4機を購入し、日本が同様に4機を同年末に導入決定している。新造給油機の顧客が一年で三倍にふえたことになる。だがボーイングは深刻な予算超過と執行問題をここで起こしている。l.
  4. 今後10年で期待できる規模はわずか40機しかない。その一部がKC-30を供用中の各国分で、その他には中古機を狙うものがあり、イスラエル航空宇宙工業はボーイング767給油機・輸送機転換をコロンビアとブラジルに売り込んでいる。
  5. また時間もボーイングに味方していない。エアバスA330neoの路線就航は2017年で、新型エンジンで性能と燃料消費率が向上する。KC-30がKC-30neoになるだろう。だが767にアップグレード案はなく、KC-46は不利な立場になる。
  6. 一方で787の炭素繊維複合材による機体構造では給油機への転用が大変であり、国防総省がその開発費用を払うとは思えない。777も同様で、給油機に改装される可能性はもっと低い。なぜなら登場予定の777Xでは大きすぎるという問題があるからだ。
  7. 一方でKC-Xが本格的に動き出すと逆に止めるのが難しくなる。予定の179機発注の最後の機体が引渡されるのは2027年以降だろう。その時点で200機のKC-135の平均機齢は60年以上になっているはずだ。KC-10は40年ほどになる。佳境に入る機体生産を中止し、全く新規の給油機(概念としてのKC-Y)を調達するのは空軍には魅力がないだろう。一方でKC-46を取り巻く政治力は同機予算を継続させ別の機体には入り込む余地がなくなるだろう。
  8. そうなるとこのまま続けば、エアバスが給油機の国際需要を一手に勝ち取り、ボーイングは米国内の市場を支配することになる。米軍がお墨付きをつけた機体が国際市場で訴求力がない事例は珍しい。だがボーイングがKC-46開発期間中の損失を最終的には米国内向け販売で黒字に変換するのは大いに有り得る話だ。■


2015年7月27日月曜日

宇宙空間で戦闘状態が発生したら情報機関に指揮命令を委ねるべきなのか


地球周回軌道上の安全保障の鍵をにぎる衛星群がまっさきに攻撃を受け、必要な情報が入手できなくなれば戦闘の指揮もままならない、そんな危険がすぐそこまでやってきている、というのが指揮命令系統を緊急時に誰が取るのが適切なのかという高級な議論の出発点のようです。共同宇宙作戦センターにはゆくゆくは自衛隊要員の出向も想定されており、日本にとっても関係のない話題ではなくなるのは必至ですよね。

Would Spies Command In A Space War? Dunford Says Maybe

By COLIN CLARK on July 22, 2015 at 12:53 PM



PENTAGON: スパイ衛星が攻撃されたら誰がその対応を指揮するのか。戦略軍司令官なのか国家情報長官なのか。空軍所属の衛星が攻撃を受ければ、どうなるのか。このような疑問が熱く、だが静かに米政府の最上層で問いかけられている。
  1. スパイ衛星が攻撃を受けるとしたら交戦の初期段階で、軍と情報各機関による共同対応が不可欠だ。だが、軍上層部には国家情報長官や他の情報機関トップがスパイ衛星・軍事衛星の双方を指揮することを認めたくない傾向があると聞く。ただし、攻撃の最初の数分間あるいは数時間で情報機関は事態を把握し誰かが衛星の位置変更などの対応を決断しなければならない。また、攻撃が人為的なものなのか、自然現象なのか判断は困難かつ予測がむずかしい。
  2. 軍上層部が情報機関から指揮命令を受けることを快く思っていないということではない。米政府上層部はこれまで宇宙空間での交戦を想定しておらず、実際に攻撃が宇宙で発生した場合にどう対応すべきかを系統だって決めてこなかった。これが今変わりつつある。
  3. 情報各機関とペンタゴンが「情報機関と国防総省の合同宇宙作戦センター」を創設したとボブ・ワーク国防副長官が6月に発表し議論が始まっている。同センターの概要は極秘扱いだが、今年末に稼働を開始するとワーク副長官は発言している。ロシアと中国が衛星攻撃能力を整備しているため発足が急がれていた。
  4. 中国は過去10年間で少なくとも2回の衛星攻撃テストを行っており、ロシアも同様の整備を行っている。ジェイ・レイモンド空軍少将Lt. Gen. Jay Raymond (第14空軍司令官)は宇宙シンポジウムの席上で米国及び同盟国はもはや安全ではないと発言。「もうすぐ全衛星がリスクに直面する」という。
  5. 特に2013年5月の中国の「科学実験」が米政府上層部の懸念を招いた。関係者および外部専門家によれば地球静止軌道近くでのASATテストで、スパイ衛星が使う軌道に近い場所だった。「このとき情報各機関が戦慄を覚えました。なぜならそれまで衛星は比較的安全と考えられていたのは非常に高い軌道を飛んでいたからです。中国の実験でこの幻想が吹き飛びました」とテレサ・ヒッチンス Theresa Hitchens (メリーランド大学国際安全保障研究センター、元国連軍縮局局長)は言う。
  6. 中国は昨年7月に行ったテストをミサイル防衛が目的で実験では何も破壊されていないとしている。ただし2013年のテストが軍事目的に関連しているとは一回も認めていない。
  7. そこで中国とロシアでの進展を受けて、米軍は根本的な戦略方針の変換を図っている。ワーク副長官は今年始めの宇宙シンポジウムでこの変化の概要を語っている。講演は非公開だったが、その中で米軍は「統合かつ調整された形で」米国の衛星群に対する攻撃に対応すべきとし、「宇宙空間の支配」 “space control” の語句を使っている。つまり、宇宙空間はもはや戦争と無関係ではなく、次の大戦は宇宙から始まると見る専門家が多い。
  8. 「宇宙に配備した装備の機能に大きく依存しているのが現実で、宇宙空間の支配を今後も強調する必要がある。宇宙空間での優越性を維持するため極秘、公開問わずすべての宇宙装備をひとつの集合体として考えるべきだ。また敵側がわが方の機能を妨害しようとすれば、反応を統合されかつ調整された形で返す必要がある」
  9. ただしこれは今すぐ戦うことではない。事態は進展を続けており、戦略軍(STRATCOM) 司令官は空軍宇宙軍団隷下の合同宇宙作戦センター (JSPOC)を通じ軍事宇宙装備を指揮している。同センターには少数ながら同盟国側の宇宙関連要員が勤務しており、各国政府およびNATOとの調整連絡にあたっている。
  10. STRATCOMは「合同宇宙教義及び戦術フォーラム」を2月に発足しており、新しい軍事ドクトリンで、頭の痛い問題を解決しようとしている。
  11. 記者は情報機関筋と話す機会があり、この議論がはじまった当時から問いかけをしているが、誰も話そうとしてくれない。
  12. そこに次期統合参謀本部議長に内定しているジョセフ・ダンフォード大将が上院軍事委員会から以下の書面による質問を受けている。
米軍要員が合衆国憲法第50条に定める権限で任務を果たすことを認める合意内容および権限に対する貴殿の理解と見解はいかなるものか。この権現を修正する必要があると考えるか。
  1. それに対する回答ぶりから情報各機関に軍部隊の指揮を任せることをらダンフォード大将は必要な受け入れるようだ。「軍部隊は軍人の指揮命令系統に入ってこそ最高効率を示すが、この一般原則にも例外があり、そんな例外を許す状況がありその裏付けとなる権限や合意内容が存在する」と同委員会で語っている。
  2. 情報機関と国防総省間の議論に詳しい宇宙専門家数名にあたり、指揮命令権限の問題とダンフォード発言について尋ねてみた。ダンフォード大将の回答は憲法第50条の3038条項を引用している。情報機関の統制についての部分で宇宙空間での活動にあたる三機関を取り扱っている。国家偵察局(NRO)、国家安全保障局(NSA)および国家地理空間情報局(NGA)である。このうちスパイ衛星を運用するNROが指揮命令権限では中心となる。
  3. 宇宙専門家ブライアン・ウィーデン Brian Weeden (安全な世界を目指す財団)はJSPOC勤務経験がある元空軍将校であり、政府が言うような宇宙空間での脅威増大については懐疑的だ。
  4. 「軍が危機感を煽る背景に予算問題がどこまで関係しているのか見極めるのが大変むずかしいし、軍は強制予算削減を大変怖がっている。中国やロシアがASAT技術の開発をしているとの証拠があるが、どこまで脅威が現実的なのか判断が難しい。なぜなら米政府が詳細情報を公開していないからだ」
  5. ウィーデンは情報各機関が宇宙空間で何が起こっているのかを把握しつつSTRATCOMへ情報共有を拒むと考えるのは「馬鹿げている」という。「ただし不幸にもこれは今始まった話ではないし、宇宙空間だけの話でもない。たとえば、無人機による攻撃実績を巡っても同じように対立がある」
  6. また、空軍は宇宙空間で軍事衝突が発生すると長く考えており、米側が攻撃に対し脆弱になっているとの根本的変化が発生しているのは政策決定側の最近の発言から明らかだとする。
  7. 「政策決定者も宇宙空間がいかなる軍事衝突とも無関係な場所だとは考えていない。シャイアン山に勤務していた当時は宇宙戦闘統制官、宇宙防衛責任者、宇宙防衛アナリストの各専門職があった。これだけで米国家安全保障関連宇宙システムズへの脅威探知分類担当の半分を占める規模だった。当時から米宇宙装備への攻撃が発生した場合のTTP(戦術、技術、手続)が複数あった」
  8. ひとつ気になるのは基本的な政策関連の課題2つで情報各機関への法的課題だ。誰が宇宙空間の脅威対象を定義するのか、誰が脅威への対応策を決めるのかという点で、軍なのか情報各機関なのか。
  9. 「もうひとつ、攻撃の『警告』を誰がするのか、誰が対抗策を決めるのかという点もあります。このふたつで単独機関に権限を与えると、事態がエスカレーションする危険がある」とウィーデンは言う。「このためNORADは軍事組織で北米への攻撃を探知し警告する組織になっている。一方で、STRATCOMには対応策として核攻撃の実施をする任務が与えられています」■

★なぜオバマ政権は米公務員個人情報漏洩の犯人を示さないのか




日本の年金機構以上の個人情報漏洩となった米国事例は発生してから時間が経ちましたが、未だ実行犯の特定ができていません。ただし中国の関与は最初から疑われており、今回のガードナー議員のように政府の無行動を批判する動きが出てきたわけです。たしかにソニー・ピクチャーズ事件では北朝鮮が即座に犯人とされたのに今回は音無しなのはおかしいですね。

Sen. Gardner: Administration Unwilling to ‘Name Names’ in Cyber Security Breaches

By: John Grady
July 23, 2015 12:06 PM

Sen. Cory Gardner (R-Colo.)
Sen. Corey Gardner (R-Colo.)

深刻なサイバーセキュリティ問題が発生しても「現政権が実行犯を発表していない」まま沈黙を保っていることへ「深刻な懸念」を感じると言うコーリー・ガードナー上院議員 Sen. Cory Gardner (共、コロラド)は国務省に不満を感じており、現状を変えたいとしている。

  1. ガードナー議員は東アジア太平洋対外関係小委員会の委員長で「国家安全保障で誰が何をしたのかを公にする」情報開示を国務省予算の認可法案中に盛り込んだ。
  2. 7月23日にワシントンDCのシンクタンク、アメリカンエンタープライズインスティテュートで講演したガードナー議員は政府人事局(OPM)のおよそ21.5百万人分の人事データが漏洩したサイバー攻撃で現政権は中国を非難していないとの同日のワシントン・ポストの一面記事を取り上げた。
  3. 中国は「このような行いをわが国が黙認しないと理解すべきだ」と発言。
  4. OPM侵入犯は誰かという話題に沈黙が続いている件とソニーがハッキングされた直後の大統領令を比較し、同議員は米中で開催されたばかりの戦略経済対話の合意内容127事項のうちサイバーはまったく含まれていないことを指摘。
  5. ガードナー議員はソニーへのハッキング事件のあとで実施された北朝鮮向け制裁措置および中国人民解放軍の5名に対する訴追で米エネルギー・金属関係企業への経済情報ハッキングを追求したことが一定の効果を生んだと指摘。
  6. 「どうしたら止めらるのか」と議員は中国はじめ外国政府による民間や公共のデータベース侵入について言及した。「法を制定すればよい」 ガードナーはサイバーを対象とした規則で合意形成を提唱する。
  7. 合意が生まれないと「民間部門は深刻な漏洩に直面して」「『サイバー軍拡』が実行犯をへの報復として拡大しかねないとする。
  8. ガードナー議員の後を受けて、ポール・ティアオ(Paul Tiao ハントン=ウィリアムズ法律事務所)はサイバー事件に詳しく企業向けにサイバーセキュリティを助言する立場から犯罪者によるハッキングと政府機関によるハッキングでは大きな相違があると指摘。大手企業がサイバー防御を強化する中で、海外政府がその体制を破ろうとしている。「米国政府が介入すべき時が来た」という。
  9. 「どれだけ壁を高くしても連中は侵入してくる」というのはリチャード・ベジテッチ Richard Bejtlich (サイバー保安企業ファイヤアイFireye)で今必要なのは連続した監視体制で「漏洩発生の前に侵入を見つけることだ」という。侵入は一瞬にして起こるのではなく、「一週間程度かかるのが普通だ」という。
  10. ガードナーは「どこを防護すべき、すべきでないかを区別すること」が公共部門で必要という。
  11. 議会もサイバーにどう対応すべきか検討すべきだという。上院では多くの委員会、小委員会が各種軍事及び商業活動を監督している。
  12. ガードナー議員はサイバーを専門に扱う特別委員会の創設が答えになるという。委員会構成はサイバー関連の情報収集、外交関係その他分野で監督中の各位委員会の委員長で良いとする。■


2015年7月24日金曜日

KC-46>ボーイングの自社追加負担が10億ドル超える


メーカーにとってはつらいのですが、これまでの事例で予算超過があまりにも多いためKC-46では空軍負担の上限額を超えれば即メーカー負担という契約になっているのですね。負担支出分は輸出機材に上乗せされるはずなので、エアバスにとっては有利に、日本のように米国装備の購入を第一に考えているような国には高い買い物になるのでは。この契約形態をF-35に適用していたら今ごろどうなっていたでしょうか。

Boeing’s Tanker Cost Overruns Exceed $1 Billion

Jul 17, 2015 Amy Butler | Aerospace Daily & Defense Report


Boeing / John D. Parker
ボーイングは再度自社負担で空軍向けKC-46給油機開発を続けることになった。
  1. 税引き後負担額536百万ドルは税引前は835百万ドルになる。そのうち最大の部分はボーイング・コマーシャルエアプレーンズの拠出する513百万ドルだが、ボーイングミリタリーエアクラフト(ボーイング・ディフェンススペースアンドセキュリティ傘下)が322百万ドルを負担する。7月22日には第二四半期営業報告の発表があり、その場で詳細が判明するだろう。
  2. この二年間でボーイングがKC-46事業に投入した自己資金は税引前12.6億ドルに上る。
  3. 直近の事例では機内の複雑な燃料系統の技術問題が理由だった。燃料系統は給油機の中核機能であり、ボーイングが給油機多数を製造している実績がエアバスにKC-X競合での大きな売りであった。この問題が発生したのは同社が「テスト準備をし、実施しシステム認証を第二四半期に」目指していた最中のことだったと7月17日に案内されている。ボーイング広報部門は第二四半期の4月から6月とだけ発表しているが、具体的なテスト実施日を口にしていない。
  4. このことから設計上の不備がいつ明らかになったのか、また社内上層部に報告がいつされたのかという疑問が生じる。広報はこの件について語っておらず、次回営業報告の機会を待ってほしいという。
  5. 「ボーイングはKC-46をウェポンシステムとして承認を受ける手続き中で、統合燃料供給システムはその中で中核的な部分」とデューク・リチャードソン准将(空軍給油機事業主幹)は語る。
  6. ボーイングは昨夏にも税引272百万ドル(税込み425百万ドル)を機内配線の設計不良のため負担している。空軍は機内の配線関係は「安全のため距離を空ける」ことを求めており、設計で不備があったため再設計の上、初飛行が数ヶ月遅れた。
  7. 統合燃料系統の不備では情報がほとんど開示されておらず、同じような問題だとの指摘があるが、ボーイングは技術上の再設計が必要だと認めており、再作業が必要となり、型式証明取得で追加作業が必要になる。
  8. 新CEOデニス・ミュイレンバーグによれば同社は「必要な資源を投入」してなんとしても2017年8月までにKC-46の最初の18機を引き渡す契約を履行する。「必要な作業な認識しており、KC-46の長期的な財務上の価値により今回の追加投入は回収できると信じています」と声明を発表している。ボーイングの考えは開発段階の損失は米国内ならびに海外販売で取り戻せるとする。ただし、直近でも韓国の給油機選定に敗れてエアバスA330が選定されており、同機は他に8ヶ国が運用中だ。
  9. KC-46の改修等でボーイングは2年間で12.6億ドルの追加支出をしている。
  10. ボーイングが自社負担を迫られているのは2011年に締結の開発契約では44億ドル固定価格制で政府は最大でも49億ドルしか負担する必要が無いためだ。
  11. ボーイング関係者は政府によるKC-46開発費用見積もりが高過ぎると不満を漏らして変更している。ボーイング広報は昨年12月に同社見積もりはそこまで高くないと発言したが、具体的な数字は上げていない。
  12. 政府は49億ドルを支出上限としているが、ここに12.6億ドルを加えると61.6億ドルとなり、政府の見積に近くなる。
  13. そもそもボーイングはエアバスより大幅に低価格を提示してエアバスに2011年に競り勝っている。リチャードソン准将は「KC-46初飛行を9月までに実施することは十分に可能」と見ている。
  14. ボーイング関係者も初飛行を9月と想定している。昨年12月に初飛行したのはKC-46に改装される前の767-2Cだった。
  15. 統合燃料系統の欠陥が表面化する前に空軍のリチャードソン准将は生産が6ヶ月程度遅れると見ていた。現時点では生産開始時期は不明で、2017年8月という第一期18機の引き渡し期限が重くのしかかってきた。
  16. 「ボーイングは目標18機の引き渡しを実現するだろうと見ています。ボーイングは政府の追加支出を期待せず自らの手で約束を守るはず」とリチャードソン准将は語った。■

2015年7月23日木曜日

★LRS-B>受注企業の発表は9月に



いよいよということでしょうか。米空軍もかなり慎重になっているようですので、結果に期待しましょう。ただし敗れた側が承服できないと異議申立てをしてさらに混迷する事態にならないといいですね。B-2は結局史上最高額の爆撃機になると思いますが、現在空軍が想定している単価約680億円が現実劇なのか、既存技術も応用するから可能と空軍は言っているようですが、KC-46のように上限額を設定して超過分はメーカー負担という都合のよい話は今回は無理なのではないかと思えます。(輸出の可能性がなく、投資の回収が不可能)

Air Force Plans Bomber Contract for September

by KRIS OSBOR N on JULY 22, 2015

http://defensetech.org/2015/07/22/air-force-plans-bomber-contract-for-september/
米空軍は次期ステルス長距離爆撃機の契約交付先を9月に発表するとMilitary.comへ伝えてきた。
  1. 選定結果の発表は今年夏初めの予定だった。LRS-B(長距離打撃爆撃機)はB-2の後継機種となる。
  2. 空軍高官はMilitary.comに選定結果を正しいものにすべく審査を慎重に行うことで、長期に及ぶ調達で予算・時間双方の節約効果を狙うと語っている。空軍は2020年台中頃の配備を目指す。
  3. 「最終段階にあると言って良い。今後50年間の供用する機体だ。迅速に生産に移すためにもここは慎重に行きたい」とウィリアム・ラプランテ William LaPlante 空軍次官(調達)が戦略国際研究所主催の会合で発言している。
  4. 空軍は最終的に同機を80ないし100機調達する予定で、単価を550百万ドルと想定している。
  5. この数年間で空軍は一部国防企業と極秘研究開発を進めている。これまで10億ドルが技術開発に投じられた。.
  6. ノースロップ・グラマンがボーイング=ロッキード・マーティン連合と一騎打ちの様相だ。今年のスーパーボウルでノースロップ・グラマンがCMを流し、自社の空軍向け爆撃機製造での実績をアピールしていた。
  7. LRS-Bの詳細仕様は未公表だが、まず無人機としてミッションに投入し、必要に応じ有人ミッションとするとの空軍上層部の発言がある。
  8. 新型機は全世界に飛行可能とし、長距離兵器各種を運用する想定で、核・非核兵器を搭載する他、今後の新型兵装にも対応する。
  9. また防空技術の進歩でステルス機が高速プロセッサーやセンサーの高性能化の前で探知されやすくなってきた現実にも対応する技術が開発中。■


2015年7月21日火曜日

★速報 ロッキードがシコルスキーを90億ドルで買収



久々の大型買収です。ソースが米海軍協会なので海軍仕様の機体名が出てくるのはご愛嬌としましょう。しかし既存企業がどんどん寡占化してきましたね。買収金額は以前は80億ドルと言われていました。


Lockheed Martin to Buy Sikorsky, Including Navy’s MH-60 Line, For $9 Billion

By: Megan Eckstein
July 20, 2015 12:31 PMUpdated: July 20, 2015 2:25 PM


ロッキード・マーティンシコルスキー・エアクラフトユナイテッドテクノジーズから90億ドルで買収し、軍民の回転機製品群を引き継ぐと発表した。シコルスキー製品には米海軍のMH-60シーホークも含む。
  1. 手続が完了する2015年末あるいは2016年早々にシコルスキーはロッキード・マーティンのミッション・システムズ・アンド・トレーニング Mission Systems and Training (MST) の傘下に入る。同部門はこれまでもシコルスキーと業務提携をしており、MH-60RおよびS型シーホーク、VH-92大統領専用ヘリコプターおよび戦闘捜索救難ヘリ事案がある。
  2. 「シコルスキーはロッキード・マーティンの製品ポートフォリオでぴったりの存在となり、世界クラスの航空宇宙防衛製品の一部となる」とマリリン・ヒューソン会長兼社長兼CEOが20日付声明文で述べている。
  3. 「今回の企業取得により当社の中核事業がヘリコプター生産および保守という成長部門にも拡大します。新たな体制で強力なヘリコプター・ソリューションのポートフォリオを世界各地の顧客に提供するとともに、イノベーションや新技術開発を加速化します」
  4. 「業務は今と同様に継続されます。ロッキード・マーティンとシコルスキー両社の社員はともに作業し、顧客の求める重要な機能を実現化します」とロッキード・マーティン広報ダン・ネルソンがUSNI Newsに20日語っている。「手続が終了しだい、シコルスキーの業務を当社の枠組みに統合し、シナジー効果により最高水準の効率を実現します」
  5. ネルソンによるとすでに社内で各種検討が進んでいる。シコルスキーは本社機能をコネチカットに引き続き維持し、企業ブランドは「シコルスキー」を守る。ネルソンからはシコルスキーの執行体制がどうなるかは不明としたが、今回の企業買収効果の検証が終われば、何らかの変更が生まれるだろう。
  6. ロイターはテキストロン(ベル・ヘリコプターの親会社)もシコルスキー買収に手を上げたが、実現していればブラックホークや海軍仕様シーホークがヒューイやV-22オスプレイと同じ会社の製品になるところだった。逆にロッキード・マーティンが買収に成功したことで、F-35共用打撃戦闘機やKC-130スーパーハーキュリーズといった固定翼機に回転翼機も加わり、航空工業への関わりが更に深まる。■