2016年5月13日金曜日

2016年大統領選 クリントン候補に国家安全保障政策は期待できるのか不明 各論詳細に触れず


政治的野心の塊のようなヒラリーですが、ここにきて予備選でサンダース候補に勝てないのは若年層はじめ政治に不満を覚える層を拾い上げていないためでしょう。これまでの獲得した党大会代表のリードがありますので、本人は全然気にしていないようです。もともと軍隊が嫌いない人だけに、大統領になった場合には正しく判断できずに悲惨な結果を生みそうな気がします。世論調査ではトランプへの優勢がどんどん減っているのは気になる現象です。

Clinton’s Defense Spending: Vague But More Hawkish Than Obama

By MARK CANCIANon May 12, 2016 at 4:01 AM

hillary clinton campaign 2016
2016年の大統領候補の国防政策を伝えるシリーズはこれが最終回です。マーク・カンシアンは戦略国際研究所からクリントン、トランプ両候補の選挙戦から内容をくみ取り、分析を試みていますのでお読みください。編集部
ヒラリー・クリントンほど大統領職を熱望している人物はいない。21世紀になってほぼ全部の時間を本人はこのために使っている。その結果として各論点で知識が豊富で、バーニー・サンダース候補よりは右寄りだが共和党員より左という微妙な立ち位置に徹している。共和党候補に指名確実なドナルド・トランプとは正反対だ。トランプ候補はごく最近まで思いついたことはすべて口に出し、他人の批評などお構いないしにふるまってきた。
大統領候補指名に向け先頭を行く候補らしく、クリントン候補の国防案は理念は長々と述べるが各論は短い。これまでの演説内容やウェブサイトから同候補がオバマ政権の路線を主な分野で継承すると推測でき、外交では強い姿勢を取り国防重要事業には現状と同程度の予算配分をし、国防予算の国内向け流用も引き継ぐようだ。
クリントン候補の選挙文書や発言から国防では強硬で継続性を求めていることがわかる。
  • 「国土保全」
  • 「ISIS打倒」
  • 「中国に責任を取らせる」
  • 「プーチンに堂々と接する」
  • 「同盟関係強化」
  • 「志願制軍部隊の堅持」
  • イスラエル支持
同候補の姿勢は一部で共和党と一致している。「大統領に当選すれば米国軍を訓練、装備の両面で世界最高水準とし世界最強の軍事力を維持する」とある。ただしその理念の実施案の詳細はほとんど見られない。プーチンと渡り合うというが、オバマ政権が進めてきたヨーロッパ施策(ヨーロッパ再保証構想)を拡大するのか。そうだとしたら、どうやってするのか。詳細が肝心だ。
クリントン候補はオバマ政権よりも強硬な外交方針を匂わせている。たとえば「中東には強力な軍部隊を駐留させ」「情報活動を強化」するというのは軍の活用を増やすことだ。ゲイツ、パネッタ両元国防長官は自叙伝でクリントン候補がシリア、リビアでのオバマ大統領より軍事力行使に積極的だったと回想している。
クリントン候補は軍の規模について意見を表明していないが、強硬なものの言い方や現政権の方向を支持していることから最低でもオバマ政権の国防予算規模を想定していると思われる。つまり予算管理法が求める水準を上回るが、共和党が求める額には届かないレベルだ。これは国防安全保障関係者には朗報だろう。ただしその支出規模では不足かもしれない。ロシア、中国、北朝鮮、イラン、ISISに対抗するにはオバマ政権の想定を上回る部隊規模、予算が必要と見る専門家は多い。
ただし、クリントン候補は国内問題の拡充を訴えており、(例、大学学費、エネルギー、幼少児教育、健康保険、教育などなど)かつ予算赤字が今後拡大するため国防予算が制約を受けるだろう。そうなると戦略構想と実際の予算裏付けの乖離が安全保障問題で続きそうだ。
ペンタゴンに朗報は戦闘継続予算、海外緊急作戦予算の二つが増額になりそうということだ。この二つの予算項目はDoDに重宝な存在となる。オバマ政権はイラク、アフガニスタンの紛争から抜け出すことを目指したが、ここにきての事態進展で挫折感にさいなまれている。紛争が終結すれば戦闘継続予算も終わる。クリントン候補が強硬な言いぶりで軍の投入をためらわないことから戦闘継続予算は温存されるだろう。
クリントン候補の主張からは国防予算の国内問題解決への流用を継承するつもりだとわかる。例として「気候変動は道義や経済問題にとどまらず、国家安全保障上の課題である」と発言している。同様に感染症やサイバーも国家安全保障上の脅威と受け止めている。国家安全保障の課題となれば、国防総省以外の対策も予算手当が可能となる。したがってオバマ政権がバイオディーゼル産業創設で国防総省枠組みを使ったような事例は今後も続くと予想できる。
国防予算を国内問題へ流用することは以前から行われていることであり、特に国内に目配りする民主党政権が多用している。ビル・クリントン政権では巨額予算で自動車産業各社に先進自動車技術開発させ世界市場での競争力確保を手助けした。国防総省は乳がん研究予算も提供しているが、軍の84パーセントは男性だ。これは1992年にハーキン、ダマト両上院議員が乳がん研究事業の資金源を探してDODにたどり着いたもので今日も継続している。予算上限の中で既存事業が予算削減される中で新規国内向け事業がDOD資金に食指を動かすことが多くなっている。
総論が目立つクリントン候補が厳しい選択では高位諮問組織に頼るというのは驚くべきことではない。物議をかもしだそうな各論に触れる必要がなくなる。DODには戦略見直しの課題が与えられており、(旧名称四年ごとの国防見直しは国防戦略見直しの名称になっている)「国防審議会」と呼ぶ外部専門家による戦略・事業の評価も求められている。さらに検討の仕組みを加えるのは問題と言えるが、各論の政策論議を先送りする効果が生まれる。
これまでの通念ではクリントン候補は選挙戦後半で各論を明らかにするはずだったがトランプが共和党候補になる可能性濃厚な中ではそうならないかもしれない。トランプ候補はクリントン候補より各論に触れておらず予備選中の発言は常軌を逸し、とても詳細政策の基礎には使えない内容だ。
トランプ候補は国家安全保障政策でやっと政策づくりの作業に取り組み、テレプロンプターを使って準備済み原稿を読み上げる慎重さで、以前の発言よりは整合性がとれているものの、やはり総論の域を脱していない。そうなるとトランプが大幅に自らの姿勢を変えて詳細について論じない間は、クリントン候補に国防政策あるいは予算確保の方法の詳細について一部でさえも公表する圧力は作用しないだろう。■


2016年5月12日木曜日

★オスプレイの英海軍売り込みを図るベル=ボーイング

なるほど米軍向け生産がこれ以上伸びる要素がないので海外販路に期待するわけですか。真っ先に手を挙げた陸上自衛隊はいいお客さんなのですね。今後さらに購入機数を増やしてほしいとの声がでてくるのでしょうね。



Tiltrotor Touters Hope First Sea Lord Is Easy Prey

By RICHARD WHITTLE on May 09, 2016 at 4:01 AM

V-22_Graphic_Optimizing-Carrier-Onboard-Delivery_150304-R00_no type - Bell Helicopter artist conception 
CMV-22オスプレイCOD機の想像図 ベル=ボーイング
米軍各部隊からのV-22オスプレイ発注が今後は減ることから同機製造元は海外販売に活路を見つけようと海軍連盟主催の海空宇宙展(5月16日-18日、メリーランド州ナショナルハーバー)で各国の軍関係者に働きかけようとしている。その中で英海軍で第一海軍卿に就任したばかりのサー・フィリップ・ジョーンズ大将に照準を合わせる
  1. V-22の生産を平等に分担するベルヘリコプターとボーイングはV-22胴体部分を展示会に持ち込む。当然サーフィリップに見てもらい、英海軍にはCMV-22B(米海軍が空母輸送機として採用決定)が必要と訴える構えだ。
  2. 米海軍は151.3百万ドルで購入予定のオスプレイ44機の技術変更契約を3月末日にベル=ボーイングに交付した。老朽化してきたC-2Aグレイハウンドに代わりCOD任務に投入するCMV-22Bは貨物または人員を6,000 lbs. まで搭載し、空中給油なしで1,150カイリ飛行し空母打撃群の太平洋運用を支援する。このため燃料タンクは海兵隊向けMV-22Bや空軍のCV-22Bより大型化する必要がある。またCODミッションでは民間空港の利用や民間空域の移動も想定し、海軍は高周波水平線越え無線交信機能も必要と考えている。また機内通報装置も機内の搭乗者用に必要だ。
  3. 海軍がV-22を採用する大きな理由がF-35共用打撃戦闘機のエンジン輸送だ。もう一つが海兵隊がテスト中のV-22を空中給油に使う構想。海兵隊はF-35Bへ空中給油を想定しており、英海軍はF-35Bを138機調達する予定でもあり、COD機体も新型クイーンエリザベス級空母二隻の運用に合わせ必要となるはずだ。
HMS Queen Elizabeth CGI image
  1. 「V-22の英国導入はかねてから検討されており、とくに空母建造と関連しています」とニック・チャイルズ(ロンドン国際戦略研究所で主任海軍専門家)は述べる。「V-22は空母輸送機能あるいは英国式の呼び方では戦域内輸送機能により英海軍の空母打撃部隊の戦力を大幅に引き上げ、回転翼機に代わる存在です。さらに空中給油任務に投入すれば英空母搭載のF-35Bの飛行距離を大幅に伸ばすことができます」
  2. 二隻建造する空母のうち一隻は英海兵隊のコマンド第三旅団も搭載し揚陸作戦を実施する。米海兵隊幹部は英国がV-22導入に踏み切れば生産増となり、海兵隊の運用コストが下がる効果とともに施設を共同利用できると期待する。そのため海兵隊所属のオスプレイをHMSクイーンエリザベスで運用できないか検討中だ。同空母は2018年に米東海岸沖で海上公試を行う。実現すればMV-22Bはクイーンエリザベスから運用して揚陸演習に投入する。また海兵隊のF-35Bも同艦に搭載し、英国向けF-35Bの導入に先駆け乗員の同機取り扱い習熟に役立てる。同時にMV-22Bで艦から陸上への輸送任務も演習中に行う案もあり検討中だ。
  3. だが費用が英国には問題だ。「海軍内部でV-22導入支持の声は大きい」とチャイルズは指摘する。「ただし、値段が高いとの懸念があるのも事実で、予算は相変わらず厳しく、V-22を導入すればただでさえ空母建造が予算を食いつぶしているとの声が高い中でさらに批判を呼ぶ。解決策はV-22の役割をもっと広くとらえ、特殊部隊など各種用途にも使える機材として各軍で使えると正当化するのでしょう」■


2016年5月11日水曜日

中国等のサイバー脅威対策に成果少ないオバマ政権 


オバマ大統領が広島訪問を発表したことで日本では評価が急上昇しているのではないでしょうか。しかし、外交安全保障ではかなり低い評価の大統領に終わりそうです。特にリーマンショック後の不況の中で中国が露骨に勢力拡大してきたのを看過した大統領と記憶されるのではないでしょうか。サイバー空間ではすでに戦争は始まっており、オバマ大統領が有効な対策を回避したのは同大統領の平和優先の価値観が原因とこの記事では解説しています。

The Cyber Threat: Obama Policies Toward Hackers From China, Iran, Syria Produce Few Results: President uses symbolic indictments, diplomacy to avoid more forceful action

BY: Bill Gertz May 9, 2016 5:00 am
The National Security Agency's Threat Operations Center in Fort Meade, Md. / AP
国家安全保障局(フォートミード)の脅威対応オペレーションセンター/ AP
イラン人シリア人からの米国ネットワークへのサイバー攻撃が連邦政府により相次いで起訴されたが、海外からのハッキングに有効な対抗策を講じてきていないオバマ政権の実績を浮き彫りにしている。
  1. 三月に司法省はハッカー集団二つを訴追した。一つはイランでニューヨーク州内のダムの運転システムへのサイバー侵入で、もう一件はシリアからコンピュータに不法侵入し損害を与えデータを奪ったというもの。
  2. 両事案とも多分に実質的な意味が薄いのはイラン、シリアの実行犯はともに米法執行機関の手の届かない場所におり、米国裁判所で裁かれる可能性はまずないためだ。
  3. オバマ政権の外交政策と同様に今回の訴追は先に手を打っていると大統領と政権側が言い訳をする意味が強く、大きな影響力は及ぼさない。
  4. 現政権によるサイバー脅威対応は大統領の平和主義に通じるものがあり、なるべく行動をしないこと、軍事力行使につながらないよう何もしないことで共通している。
  5. この政策手法がニューヨークタイムズの好みにあい、国家安全保障分野の副補佐官を務めるベン・ローズの経歴を紹介しホワイトハウスの「天才少年」とまで評した。
  6. レオン・パネッタはCIA長官、国防長官をオバマ政権で務め、なるべく紛争を避けたいとの願望が大統領の海外問題への取り組みを支配していると解説する。
  7. 「大統領は『戦争を終わらせるのは自分だし、最悪なのは戦争を始めることだ』と信じている」とパネッタはオバマ政権のイラン核交渉で評し、「制裁強化は戦争につながる。イランがシリアで求めるものを否定しても戦争になる」と見ているのだという。
  8. 大統領と補佐官は軍と民間の安全保障専門家が2011年から提示してきた中国他サイバー攻撃関与国へのサイバー空間での実力行使案を却下したと内部事情に詳しい筋が解説している。
  9. 民間部門は連邦政府の法規定でサイバー対策が独自にとれず、ホワイトハウスに対してハッカー行為で米情報機関がもっと毅然とした行為を取るよう圧力をかけているが、今日にいたるまで大統領は断固として実施を認めていない。
  10. 単なる訴追や外交措置ではサイバー攻撃は防げていない。FBIは7月にサイバースパイ事件が53パーセントも増えたのを受け対策部門を強化したと発表している。
  11. 国務省から安全保障報告が3月末に発表されており、イラン-シリア案件の主な標的は米民間企業だったとしている。
  12. 「一連のサイバー攻撃は被害者の通信妨害、データ侵害、ならびに巨額の財政損失につながった」とし、さらに「ハッカー集団が米司法訴追を受ける可能性は少ないが、専門家には米政府は今後も海外のハッカー集団には声高に非難を浴びせ次の攻撃を防ぐべきとの意見もある」としている。
  13. 今回の起訴と同様の案件が2014年5月にあり、司法省が中国軍所属のハッカー五名を起訴している。この際も各人は米法執行機関の手の及ばない場所にあり、今後も法廷に引き出されることはないとみられる。
  14. 起訴は中国政府が司法省へサイバー行為を否定し、逆に法的な証拠の提出を求めてきたための措置だった。中国政府は米国が特定したサイバー軍隊員が広範な民間、政府の秘密情報を米国で入手した証拠を見せろと言ってきたのだ。
  15. 国務省の国家安全保障部長ジョン・カーリンは中国政府の開き直りを受けて起訴したと明かしている。「中国からは『証拠があるのなら、確たる証拠があれば、我が国による活動だと法廷で証明できるのなら見せてほしい』と言われましたので、起訴したというわけです」カーリンは述べている。
  16. 起訴直後に中国軍は米医療サービス提供企業アンサムから80百万件の記録を盗み取っている。続いて中国軍ハッカー部隊が公務員人事局のネットワークに侵入して、22百万件のデータを盗みとった。中には安全保障関連の身元調査記録など機微情報が含まれている。
  17. 大量のデータハッキングでオバマ大統領は中国へもう一歩で制裁を課すところだったが、9月に習近平主席のワシントン公式訪問があり実施しなかった。習はサイバー空間での経済スパイ行為は控えると約束した。米情報機関関係者は中国が本当にサイバー攻撃を中止したか確認できなず今もその疑いを示す兆候が続いていると最近になり議会に伝えている。
  18. 上記国務省報告書は官民連携の海外安全保障諮問部会OSAC向けに作成され、中国軍ハッカー集団の起訴は「前例のない発表で中国政府が米民間企業へのスパイ行為を働いていることを公に非難するもの」だったと表現。
  19. 「起訴対象の中国軍関係者五名は今も法廷に連行されていない」と報告書は述べる。「ただし本件で初めて国家による知的財産窃盗の危険性が浮き彫りにされ、OSAC会員の多くが海外で企業活動を展開していることから大きな懸念を呼んでいる」としている。
  20. またイラン人、シリア人の起訴で海外政府、非政府機関のハッキングの「融合脅威」が浮き彫りになったと指摘。またサイバー攻撃の裏には経済スパイ事件があることがPLA事案で明らかになり、サイバーによる業務停止、脅迫恐喝があるとした。「ハッカー集団が組織のためと並び自らの懐を増やす動機で行動していることで民間部門への脅威度はますます高まっている」(同上報告書)
  21. 「従来の分類で見ていた国家、犯罪組織、政治的動機だけでは米民間部門の脅威となる悪意ある組織的行動を説明できなくなっている。『融合脅威』とはハッカー集団が政府等機関の代理となることで探知されにくくした上に各種手段で摘発を逃れることを意味する」(同上)
  22. 国家に属さないハッカー集団が外国政府に代わりハッキング攻撃すると当局は犯人の特定が一層難しくなり、当の国家やテロ集団は民間のハッカーの技能を活用できる効果が生まれる。
  23. さらに代理犯行により外国政府は一見もっともらしい反証とよぶ情報戦術を使い、サイバー攻撃との関連を避けると報告書は指摘している。
  24. 報告書は結語で中国、イラン、シリアのハッカー集団起訴があったが「悪意あるサイバー犯が融合脅威で米民間部門を標的にすることへの抑止効果はなさそう」としている。
  25. オバマ大統領が任期の残りに向かう中、米国の安全保障を大きく脅かしたサイバー攻撃に対抗する手段を講じようとしなかったことが後遺症になりそうだ。
  26. NSA長官だったキース・アレクサンダーがいみじくも言うように中国は自国経済のためなら何でも盗み取る。「知財だろうとあ私たちの未来だろうと。史上最大の富の移転ではないだろうか」■
The Cyber Threat column appears Mondays. It is co-published on Flash//CRITIC Cyber Threat News at flashcritic.com.
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Bill Gertz is the senior editor of the Washington Free Beacon.


北朝鮮のSLBM開発が着々と進行していることは要注意


相次いでミサイル発射実験を行った北朝鮮ですが、いずれも発射直後に爆発したり、弾道飛翔に失敗したりと西側では技術の遅れと冷笑する向きがあるようですが、本当にそうなのでしょうか。北朝鮮の技術が未熟であってほしいという希望的観測が評価をゆがめている気がします。


North Korea Completes Work at Sub Shipyard, Report Says

Agence France-Presse 10:55 a.m. EDT May 4, 2016

SKOREA-NKOREA-MILITARY-NUCLEAR-MISSILE(Photo: Jung Yeon-Je/AFP/Getty Images)
SEOUL, South Korea —衛星画像から北朝鮮が新型弾道ミサイル潜水艦建造用の造船所の改修を終えていると判明したと米シンクタンクが5月4日発表した。
  1. 発表したジョンズ・ホプキンス大の米韓研究所によれば2020年まで完成する艦はないとみられるが、北朝鮮のSLBM建造は明らかに進展している。
  2. 実用に耐えるSLBMを配備すれば北朝鮮の核攻撃能力は新段階に入り、遠隔地に潜水艦を展開すれば本国が核攻撃を受けても報復能力が手に入る。
  3. 北朝鮮は先月試験艦ゴラエ(鯨)級潜水艦の一隻でSLBMを日本海で行い、ミサイル一発が19マイル飛翔している。
  4. 韓国はこの発射は飛翔中に爆発しており失敗とみなしているが、米韓研究所は成功と見る。
  5. 「潜水艦発射装置とミサイル点火、初期誘導機能に的を絞ったテストではないか」としており、今年中に数回の限定的発射テストを経て「全域」飛翔テストに移るとみている。
  6. 4月28日撮影の衛星画像では北朝鮮の進歩南造船所で発射試験を終えた該当潜水艦が整備作業に入っているのが確認できる。
  7. 潜水艦建造建屋の外部が完成しており、建造後に潜水艦を移動する滑り台もほぼ完成と同研究所は指摘する。
  8. 「すべて完成すればゴラエ級を上回る潜水艦建造が可能となり、新型SLBMが登場してくるかもしれません」
  9. 韓国は北のSLBM開発に懸念しており、韓民求国防相は自国の対応があまりにも遅いと不満を述べている。
  10. 「北朝鮮SLBMの脅威への対策を講じるのは待ったなしだと思う」と国防相は議会委員会で発言している。■

★P-8Aの性能がさらに発展中...空中給油に新型センサー、高高度ASW作戦構想



写真を見ると737-800が大きな機体であるのがよくわかりますね。あるいはKC-135≒B707が小さな機体だったのでしょうか。哨戒機に空中給油というのもにくいですね。高高度攻撃構想というのは従来の哨戒機=低空飛行という概念を変える作戦構想なのでしょうか。詳しい方ご説明お願いできませんか。

P-8A Tests Aerial Refueling, Readies For ASW Shakeouts

May 9, 2016 Michael Fabey | Aerospace Daily & Defense Report
U.S. Navy
JACKSONVILLE, Florida – P-8Aポセイドンの空中給油テストが始まっており、マルティスタティックアクティブコーヒアレント(MAC)潜水艦探知システムおよび高高度ASW兵装コンセプトに基づくMk.54魚雷と高高度センサー改修のテストを控えている。
  1. 「エドワーズ空軍基地に一機を配置しています」とトニー・ロッシ米海軍大佐が4月に述べていた。「現地で空軍のKC-135を使い空中給油をテストしています。これまで9フライトをこなしています。テストは順調で一回で1万ガロンを給油しています」
  2. 米海軍は得られたデータでP-8Aの飛行特性を正確に再現した空中給油練習装置を用意する。
  3. MACでは初回の技術変更提案内容が本日発表されており、技術開発テスト結果を反映している。MACは2015年の夏から冬にかけて各機に搭載されていた。「現在は訓練用途で飛行時に使っています」とロッシ大佐は述べた。
  4. MACのECP2が現在開発テスト中だが「今年夏に実用化の見込み」と大佐は述べた。
  5. ここまでMACテストは予定通り進行している。複雑な問題だとロッシ大佐は表現している。「操作員の作業量を信号処理能力で軽減したいのです。相当のエネルギーを海中に放射して返ってくる数千通りの反応から魚や岩礁と潜水艦を区別します。そこで操作員の負担を減らすのが主眼です」
  6. もうひとつテストで困難な点に潜水艦の確保があるとロッシ大佐は言う。作戦を意識したテストは六か月の予定だ。「これには『目標』の捕捉能力に左右されます。つまり想定する海の状況で正しく潜水艦を見つけねばなりません。日程はすべて潜水艦をうまく調達できるか次第です。潜水艦はあちこちで需要が高い存在です」
  7. マーク54魚雷については「高高度でのASWテストを一部実施中です」とし、別部門で開発中の兵装があり、ポセイドン各機への搭載前の統合テスト中という。その一環でまず安全に機体から投下できるかのテストを今年夏の終わりごろに行うと大佐は述べた。■


2016年5月10日火曜日

指向性エネルギー>(軍)予算足りず研究進みません→(議会)開発促進しろ



戦争の在り方を根本的に変える可能性を秘めた高エネルギー兵器の開発が予算削減されていいのでしょうか。まさかミサイル防衛の既存契約企業が望ましく思っていない?いやいやそんなことはないでしょう。中国やロシアは開発が遅れれば喜ぶと思いますが。こういう分野こそ日本も開発に協力していくべきではしかし予算強制削減策などの一連の対策も議会が設定したものですよね。

Directed Energy Projects Losing in Fight for Research Funding: Officials

POSTED BY: RICHARD SISK MAY 9, 2016



(U.S. Air Force illustration)(U.S. Air Force illustration)

米議会とペンタゴンで指向性高エネルギービームによる敵撃破手段の開発が関心を集めていた。道路わきの爆発物をフライにするとか弾道ミサイルを上昇段階で攻撃するとか。
  1. レーザーや高出力電磁波手段の推進派が熱心に説くのと反対に軍、議会ともに予算が足りないため必要な研究とテストが思うように進んでいないとし、原因を2011年度予算管理法に求める。
  2. 研究は「資金が維持できなくなっている」とウィリアム・E・ゴートニー海軍大将(米北方軍司令官兼北米防空司令部司令官)が4月13日に上院軍事委員会戦略軍小委員会の弾道ミサイル防衛公聴会で語っている。
  3. 同じころペンタゴン中庭では業界と軍研究部門が開発中装備の模型や図面を展示していた。ボーイングの戦略レーザーシステムズはミサイル防衛用で、レイドスの高出力高周波(HPM)は地上で爆発物を無力化すること特に道路わきに置いた即席爆発物(IED)の処理を念頭に置いている。
  4. このうちレイドスの装備は開発が空軍研究所の指向性エネルギー局でメガワット級発電タービンを大型トラックに搭載し同社によれば「爆発危険物を未然に無力化する初の手段」で輸送隊に安全を確保し「地上部隊を爆風と破片飛散から守る」のだという。
  5. レイドスで爆発危険物無力化装置を担当するトミー・カヴァゾスによれば指向性エネルギービームで信管を溶かし不発にする、または地上兵員が近づく前に連鎖爆殺させるという。
  6. カヴァゾスによれば試作品価格は約30百万ドルで、量産に入れば「おそらく6から7百万ドル」に下がり、「百万ドルにするのが目標」だという。
  7. 上院小委員会公聴会では指向性エネルギーやレーザーのシステム構成価格と研究費の不足を制約理由に挙げていたが、アンガス・キング議員(無所属、メイン)は予算不足が指向性エネルギー開発費用の足かせになっていることを憂慮し、開発できれば「命中必殺」の弾道ミサイル迎撃手段より安上がりになるはずとの指摘が出た。
  8. 「予算不足で開発が遅れれば誠に遺憾で、予算を節約しても愚かな結果になるだけだ」とキング議員は発言し、「指向性エネルギーは毎回ロケットを発射するよりずっと経済的だ」とジェイムズ・D・シリング海軍中将(ミサイル防衛庁長官)へ述べた。
  9. これに対しシリング中将は「指向性エネルギー装備開発はこれまで数年度にわたり予算要求で増額していただいているが今年こそご支援をいただきたい。これこそ次世代の技術につながり、はるかに経済的かつ大きな効果を実現する手段」だと強く訴えた。
  10. 今月初めにはジム・インホフェ議員(共、オクラホマ)、マーティン・ハインリック議員(民、ニューメキシコ)が両名で指向性エネルギー兵器の開発配備を加速させる法案を提出している。
  11. 「指向性エネルギーこそ米国が技術優位性を依然として発揮できる分野であり戦場の様相を決定的に変える存在だ」とインホフェ議員は語る。
  12. 「指向性エネルギーによりわが軍部隊は敵性勢力に対し本質的な優位性を確保できるので将来の装備体系の重要な要素だ。法案では変革のスピードアップを狙う」とハインリック議員は述べる。同議員の出身州には空軍研究所があり、高エネルギーレーザー共同技術開発部門、ホワイトサンズミサイル試射場もある。■


2016年5月9日月曜日

★ロッキード・マーティンの小型核融合技術研究はまだ継続中



短くて中身がわからない記事なのですが、投資家向けのPRなのでしょうか。それとも世界が疑った小型核融合炉技術の研究は着実に進んでいるのでしょうか。少なくともロッキードはこの技術に可能性を感じ研究を継続しているようです。

Lockheed Still Supporting Portable Nuclear Generator

Aaron Mehta, Defense News 4:41 p.m. EDT May 3, 2016

Picture taken 16 June 2005 at Le Bourget(Photo: Pierre Verdy/AFP via Getty Images)

WASHINGTON — ロッキード・マーティンは引き続き小型核融合炉へ資金をつぎ込んでおり、事業は一歩先へ進んだと同社スカンクワークス部門の責任者が述べている。
  1. 同社のロブ・ワイスは大西洋協議会においてロッキードが「もう一段先の段階まであと四か月ほど」のところに来ており資金投入を続けていると明らかにした。核融合技術で同社が小型化を発表したのは二年程前のことである。
  2. その時点では同社は出力100メガワット装置の作成を目指すと発表し、大型トラックで輸送可能な大きさだとしていた。その融合炉一基で人口10万人程度の都市に十分電力が供給できると説明していた。
  3. そんな技術が本当に実現すればエネルギー革命といえるが、軍事用途の可能性も秘めている。さらに小型化が進めば、戦闘機の動力源として指向性エネルギー兵器や高性能センサーが実現する。また宇宙船の動力にもなるだろう。
  4. 「当社の創造力あふれる技術陣が繰り広げている仕事の一例ですが、各自が国家安全保障レベルの重要な課題に取り組んでおり、今回も妥当な額の投資をおこなっています」とワイスは述べ、さらに「現段階では温度を上げ融合を発生させようとしており、融合反応の封じ込めで今後さらに温度を上げ、封じ込め理論を試します」とした。
  5. ワイスによれば研究チームは「初期プラズマ現象」を達成し、核融合炉の初期重要段階を通過しているという。■




★トランプ候補に振り回される日米安保はこれを逆手にとって強化発展できるか



サンダース候補はおいておいてもトランプ候補は大統領に当選する可能性があります。トランプさんの場合は既存の考え方の枠にはまらない人なので、記事が取材した日本のエスタブリシュメント層もとまどっているのでしょう。しかし、見ててください。政策の選択の幅はそんなにないはずですし、本人に各方面がご進講していき(すでに情報機関によるブリーフィングが始まっています)、党大会が終わり11月の選挙にむけて時間が進むとトランプ候補の発言も微妙に変わると思いますし、演説に見られる彼の顔とまったくちがう一面がると証言する向きもあります。米国内に既存の政治家に対する不信感が高まっているからこれまでにない候補者が出てきたのでしょうか。

Japan defends U.S. alliance amid worries stoked by Trump, Sanders

David Larter, Navy Times1:22 p.m. EDT May 6, 2016

Democratic Presidential Candidates Participate In Town Hall Meeting In Iowa
(Photo: Justin Sullivan/Getty Images)
常識破りの候補者二名、ドナルド・トランプとバーニー・サンダースが日本へも衝撃波を送っている米国が日本を撤退するのかとの懸念が生まれているのだ、中国が軍事力を拡大しているさなかに。
  1. 日本側の関係者は現役以前の担当者含め予備選での議論から米有権者がグローバルなリーダーシップから身を引こうとしていると解釈している。共和党候補に選出される公算の大きいドナルド・トランプが日本は安全保障では十分に費用負担していないと発言したことに日本側は反発している。
  2. 「米有権者の考え方に構造変化があるのではないか」と防衛相を務めた森本敏は語っている。「トランプ候補の支持者は米国だけが負担させられる世界の警察官の役目はもうごめんだと思っているのではないか」
  3. 森本元防衛相は日米の安全保障取り決めが不公平だとする考え方は否定する。日本は国内駐留の米軍隊員一人当たりでは4万ドルちかく、年間で17億ドルを分担しているという。ただサンダース候補、トランプ候補の支持者の間に懐疑論が出てていることは真剣に受け止めており同盟各国は分担増を迫られるかもしれないと指摘した。
  4. 「米国だけですべて完結できないのです。そのため同盟各国の対応能力を引き上げる必要があります。米国にはリーダーシップを期待しつつこちらは協力していく必要があります。国際法に基づく価値観を堅持し分担して守ってくべきです」
  5. 2015年末にトランプから日米同盟の価値、公平感で疑問が呈された。米国は日本防衛を約束し、日本は米軍に基地を提供するが、在日米軍基地は海賊問題から北朝鮮に至る地域大の脅威に対応する作戦補給両面の拠点になっている。
  6. 「日本が攻撃されれば即座に日本へ行き第三次世界大戦を始めるというわけですね。でもこちらが攻撃されても日本には米国を助ける義務はない」とトランプは述べ、「どうみてもこれは公平ではない」
  7. 同盟各国ではサンダース候補が大統領になればもっと内向きのアメリカになり国内問題が焦点になるが、アジア太平洋やヨーロッパでは米リーダーシップの維持がおろそかになるのではとの懸念が広がっている。
  8. 在米日本大使館でも大使がこの考えで米国に孤立主義の回避を求めている。佐々江賢一郎大使は「孤立主義の傾向が強い候補者がいますが、米国には孤立主義にはなってもらいたくありません。米国はグローバルで強い存在であってもらいたいものです」
  9. 石破茂大臣は日本の農業振興とともに安全保障も担当し、両国は同盟関係の内容をもっと明確に理解すべきと主張する。
  10. 「候補者の一人は同盟関係自体の変更を主張しており、これは日本としても看過できない発言だ」「米国市民には大統領を選ぶ権利があり、当方があれこれいうことではないが、だれが大統領になっても同盟関係の理解を正しくすれば政策も正しく実施されるのではないか」
  11. 森本元防衛相も同意見で、両国が意義を理解することが重要と見る。「日米安全保障条約は決して不公平な内容でなく、両国ともに恩恵を受けているのです。日本が公平な分担をしていないからと言って米軍が日本から撤退すると発言しても米国には良い結果をもたらしません。条約で米国がどれだけ経済面の支援を受けているかがわかってもらっていないようです」■


2016年5月8日日曜日

★ISIS爆撃に投入されたB-1爆撃機が大活躍



Bombing ISIS: US Official Shares Lessons From 6 Months of Airstrikes

Lara Seligman, Defense News 4:21 p.m. EDT May 2, 2016
Refueling Operation Inherent Resolve(Photo: Tech. Sgt. Nathan Lipscomb/US Air Force)
WASHINGTON — イスラム国への空爆開始から一年以上が経過し、米軍と有志連合軍は一定の進展を示しているとペンタゴン関係者は述べている。
  1. だがこの成果は第三十七爆撃飛行隊のB-1Bランサー爆撃機がいなかったら実現しなかっただろう。同隊は半年以上にわたり中東で連合軍を支援してきた。
  2. 昨年7月から今年1月までジョー中佐(本人及び家族の安全のため匿名)がカタールのアルウデイド航空基地で同隊を指揮してきた。隊員350名が連日24時間体制でイラク・シリア上空の監視飛行を行い、地上部隊への支援を提供してきた。
  3. その間ジョー中佐の部隊はイスラム国集団への戦闘で大きな成果を上げて、ラマディ、シンジャールのイラク二地点の奪還を2015年末に達成。このミッションではジョー中佐の部隊は敵部隊が兵器や指揮所を放棄し撤退するのを目撃し、敵の戦術を阻止してきた。
A look at how the Air Force is employing its aircraft
米軍が投入中の各機種の中でB-1が投下している兵器の量が一番多いのがわかる
(Photo: US Air Force)
  1. 六か月の配備中にジョー中佐指揮下のB-1は合計490ソーティーをこなし、爆弾およそ5千発を投下している。かなりのテンポが早い作戦となり、B-1一機当たりの爆弾搭載量の新記録を樹立している。同隊は任務を114パーセント達成し、現地米空軍の5パーセント相当のソーティーを実施し爆弾35パーセントを投下している。
  2. 同隊はISISの収入源を集中攻撃し、石油精製施設や現金貯蔵所の他訓練施設や検問所も狙ったとジョー中佐は述べる。近接航空支援にも投入され、地上部隊をISISの砲撃から守った。
  3. 地形や戦場の環境により空軍は投入機材を変えて地上部隊を敵の放火から守っているとディヴィッド・ゴールドフェイン大将(ホワイトハウスより次期空軍参謀総長に指名されている)が説明している。比較的平たんな地形ではA-10の希望が多いが、山地では長時間滞空できるMQ-9リーパーをCAS機材として要望することが多いとゴールドフェイン大将は述べている。
  4. B-1がイラク、アフガニスタン北部での近接航空支援用に適しているのは同機が多様な兵装を運用できるからで、2,000ポンド誘導式共用直接攻撃弾JDAMSや共用空対地スタンドオフミサイルJASSMを搭載して4時間から6時間を空中給油なしで飛行でき、「連続安定した形で地上部隊支援を提供できる」とジョー中佐は述べた。
  5. B-1が投下した兵装は全数が精密誘導方式で付帯被害を最小限にする米軍方針に沿ったものだという。「計画的かつ精密に最大効果を最小の投下で狙った。これが現地で最大の優先事項だった」とジョー中佐は述べた。
  6. B-1は1980年代の設計製造で当時のロックウェル(現ボーイング)製だが、機体はたえず改修を受け性能を向上させている。各機は最高性能の目標補足ポッドと最新兵器を搭載しており、通信装置でも空軍の他の機材に引けを取らないとジョーは説明。
  7. 常時一機は点検用に任務から離れていたが、展開中の飛行隊では珍しいことではないとジョー中佐は言っている。ときには予備部品の手配など課題にも直面したが、全体としては大きな保全上の問題はなかったという。
  8. 今年一月に同隊は現地を離れ、同機運用史上で最大規模の機体改修ブロック16を受けたという。B-1は完全グラスコクピット化される。各機はエルスワース空軍基地(サウスダコタ)からティンカー空軍基地(オクラホマ)に移動し回収を受ける。
  9. ジョー中佐は次回B-1が現地にいつ戻るかはわからないとするが、現時点ではB-52が交代で現地入りしている。
  10. 連合軍が奪還できた領土を見れば航空戦力の威力がはっきりわかるとジョー中佐は指摘した。■


★南シナ海問題で支持が得られず苦悩する中国外交



面子がすべての中国人の価値観ですから中国の言う通りに動かない各国にはイライラしていることでしょう。いまだに一般中国国民が査証なしで旅行できるのが聞いたことのないような数か国しかない中で大幅に査証条件を緩和する日本の動きはいかがなものでしょうか。逆切れした中国がロシアと悪の枢軸になる可能性が高まっていることには注意が必要ですね。


China Seeks Global Support for South China Sea Policies


Associated Press | May 06, 2016 | by Christopher Bodeen

BEIJING -- 友邦国を巻き込んで南シナ海から米国と同盟国を排除しようとした中国外交だが、強力な経済力と裏腹に限界を露呈している。

  1. 北京の大きな支えはロシア外相セルゲイ・ラヴロフが同地に領土がない各国は口をはさむべきでないと先月発言したことだ。
  2. その後ブルネイ、ラオス、カンボジアから相次ぎ中国を支持する表明が出たことをシンガポール外交官オン・ケン・ヨンが強く批判している。ヨンは中国がアセアンを分断すると指摘。中国はカンボジアと合意形成したと発表したが、カンボジア政府は否定している。
  3. それでも「国際社会は中国の主張を理解し南シナ海問題、国際仲裁裁判所の双方で中国政府を支持している」と中国外務省国境海洋局長欧阳玉靖Ouyang Yujingが6日報道陣に話している。
  4. 欧陽局長は中国の南シナ海領有主張に対抗するフィリピンが国連仲裁裁判所に2013年に審理を求めたことを言及した。中国は法的作業に一切参加せず、裁定結果に従わないと公言している。裁定はあと数週間で出るとみられる。
  5. この中国の動きについて米海軍兵学校で中国政治を専門とするYu Maochunは南シナ海問題で国際社会からの孤立を避けても「わずかな自己満足」が得られるだけだと指摘した。
  6. その意味でロシアの支持は大きな意味があり、反米、反西側世界の共同戦線になるとYuは言う。「世界にとって大きな危険になるのは大国同士が手を繋ぎ、米国が率いる民主国家に対抗することです」
  7. 世界第二位の経済規模の中国が支持を得たのが数か国だけで、しかも民主政治体制ではなく経済的に自立できない国ばかりというのは中国外交の影響力が拡大していないことの証とジョナサン・ホルスタッグ教授(国際政治学、ブリュッセル自由大学)は見る。「あれだけ巨額の財政援助を行いながら支持表明が数か国だけというのは驚くべきことだ。中国の経済外交の限界を示している」
  8. 中国は域外国は中立を守れと繰り返し求めてきたが、逆に中国支持であれば域外国でも歓迎し、これは矛盾しないというのは中国社会科学院の研究員で南シナ海問題で最上級政府顧問を務めるLi Guonquiangだ。
  9. ロシア他は「政治上の立場を表明しているだけで、南シナ海問題に権益を有さない。逆に行動まで起こしている国がある」とLiは北京で語っている。
  10. 環礁、島しょ含む南シナ海全域を実質上自国のものとする主張へ風当たりが強くなって中国は国際的な支持を必要としている。
  11. 米国は艦船航空機の派遣で圧力をかけており、サンゴ礁上に造成した島しょは中国領土であり諸権利を有するとする中国の主張は認められないと強調している。
  12. 米国は日本含む同盟国ともに中国が滑走路や軍事施設を構築して緊張が高まっているとし、戦略的に重要な水路、豊富な漁業資源、石油ガス埋蔵が有望視される資源とともに国際交易が年間5兆ドル規模になっている南シナ海の重要性を指摘する。
  13. 対する中国は平和と安定を海軍力で乱しているのは米国と非難。6日に改めて中国の主権を再確認しフィリピンの提訴には根拠がないとし、裁定内容は「受理せず、関与せず、認めない」と明言した。「フィリピンが持ち込んだ本件は法の衣をかぶった政治茶番以外の何物でもない」と欧陽局長は報道陣に語った。
  14. スカーボロ環礁で中国が埋立て工事を開始すれば緊張はさらに高まる。同環礁はフィリピン本土のルソン島から近く、2012年から中国艦船が実力占拠している。
  15. 中国国防省は予定はないとするが、同環礁は中国に帰属し開発の権利があるとの主張を繰り返した。
  16. 欧陽局長に今後の開発予定の有無で質問が出たが、局長は従来の政府の立場を繰り返し、埋立て工事は昨年6月末ですべて完了していると述べた。
  17. 「これ以上言わなくても意味はわかるはず」と局長は簡単に述べている。■