2019年5月18日土曜日

あなたの知らない戦史シリーズ、太平洋戦線で米潜水艦が果たした特殊任務とは



Some of the Top Secret Ways Submarines Helped Win World War II

第二次大戦勝利に米潜水艦が果たした秘密任務とは
Especially in the Pacific.

ニラ湾の夕日は感動的だった。太陽が水平線の下に沈むと空は色を変えていき、ついに暗黒になった。だが1942年1月のUSSシーウルフ乗員には空の変化を楽しむ余裕はない。湾の海底に潜み夜の帳が下りるのを待っており、これで安全に浮上できる。
7:30 pmにフレデリック・ワーダー少佐が下令し潜水艦は静かな海面に現れコレヒドール島に慎重に接近し南ドックに向かった。シーウルフは係留され乗員が貨物を搬送した。対空砲弾36トンで同島の防衛に使う。
真珠湾攻撃から一ヶ月未満で、シーウルフは三回目の戦闘哨戒についていた。同艦が第二次大戦中に米潜水艦隊が実施した300回近くの「特殊任務」の口火を切った。
貨物を下ろすとシーウルフは25名の乗客を乗せジャワ島東部沿岸のスラバヤまで搬送した。ワーダー艦長は自艦がトラック扱いからバスになったと感じただろう。だが乗客はVIPで開戦初頭に航空機移動が不可能になった航空搭乗員を運び新たに戦闘に加わるようにするのが任務だった。
惨憺たる開戦初頭の日々にアジア艦隊所属潜水艦各艦は同様の任務に忙殺されて司令官トーマス・ハート大将がワシントンに文句を伝えたほどだ。「潜水艦が退避や輸送など各種任務に使わされている」とし高官の移動、パイロットの輸送、極秘無線傍受部隊やフィリピンの金銀20トンを搬送した。また弾薬、糧食も詰めるだけ運んでいた。ハート大将は特殊任務のため本来の攻撃任務ができなくなると見ていたがワシントンは気にしていないようだった。
コレヒドールに最後に向かったのは5月3日のUSSスペアフィッシュで27名を収容した。同島は三日後に日本軍に占領された。

巡洋潜水艦と機雷敷設潜水艦
当時の最新鋭「艦隊潜水艦」はディーゼル電気推進式で全長311フィート排水量1,525トンだった。海軍はにはこれを上回る規模の潜水艦が3隻あった。機雷敷設用のアーゴノート、巡洋潜水艦ナーワル、ノーチラスで全長は370フィート以上排水量は4,000トン超で6インチ砲二門を搭載した。1927年から30年にかけての建造で大型で低速の各艦は水中戦に不向きだった。アーゴノートに至っては潜行時間は4分から5分しかなかったといわれる。
戦闘に不適とはいえ3隻は攻撃任務に投入され、艦体の大きさから特殊任務に注目されていた。.
まず1942年夏にノーチラスとアーゴノートが海兵隊員をマキン環礁に次上陸させた。これは、一週間前に全面侵攻が始まったばかりのガタルカナルから敵の注意を逸らす目的があった。海兵隊員252名が両艦の魚雷室に詰め込まれ、魚雷は全部撤去され寝床になった。
8月16日早暁にエバンス・カールソン大佐指揮下の第二強襲大隊はゴム舟艇で沿岸に上陸し日本軍陣地を破壊した。海兵隊員が上陸するとノーチラスは6インチ砲の盲撃ちで砲弾を打ち込み、日本の警備艇1隻と3,500トン輸送艦を沈めた。
ノーチラスと姉妹艦ナーワルは同様の任務に10ヶ月後に投入され、アリューシャン列島強襲作戦で陸軍偵察隊214名をアッツ島に上陸させた。マキン島と同様に大型潜水艦が輸送任務の威力を見せつけた。

フィリピンゲリラ部隊の支援
1943年に特殊作戦は新段階に入った。1月に特殊工作員6名がフィリピン中央部ネグロス島にUSSガジョンにより潜入した。暗号名プラネットパーティとしてイエズス・ビラマー大尉(フィリピンの英雄パイロット)が指揮し、通信傍受体制を確立しダグラス・マッカーサー大将の南西太平洋戦域司令部 (SWPA GHQ)があるオーストラリア・ブリスベーンに情報を伝えるのが任務だった。
ビラマー大尉は現地ゲリラ部隊で武器弾薬が不足する状態を知った。これにGHQが対応し2月にUSSタンバーが装備品70千ポンドと現金1万ドルをミンダナオに搬送した。ブリスベーン司令部ではフィリピン向け定期輸送ルートの創設を検討していた。
ガジョン同様に、タンバーも工作員を搬送し、指揮官はフィリピン通の海軍予備士官チャールズ・パーソンズ少佐で、1921年に現地赴任し、地形に詳しい知識の持ち主で各方面に知己があり広く尊敬を集める人物だった。潜水艦から下船すると少佐は各島の状況を調べ、ゲリラ部隊指揮官と話し、世論を形成した。フィリピン情勢でマッカーサーの耳目となったのだ。
SWPAはその後も人員物資を補給したが、間に合わせの小規模だった。4月にガジョンは4名補給品3トンをパナイ島に搬送した。7月にトラウトが偵察部隊をミンダナオに送り込み、脱走捕虜4名を救出しその四ヶ月後にパーソンズも収容した。
1943年8月20日にパーソンズは長文報告をマッカーサーに送り日本軍占領下のフィリピンの現状を伝え、現地反乱勢力に米国はどう支援すべきかの持論を述べた。そのひとつに潜水艦によるゲリラ部隊への補給支援活動があった。これがGHQで検討され別のフィリピン通コートニー・ホイットニー大佐がマッカーサーの友人として注目し、事態は動き始めた。
スパイロン誕生
それまで海軍はフィリピンゲリラ作戦に潜水艦の常時投入へ及び腰だった。ホイットニーは協力が得られないことに不満を感じ、マッカーサーに本件をフランクリン・D・ローズベルト大統領に直訴するよう勧めた。それでも第7艦隊司令官アーサー・S・カーペンダー中将の説得に6週間かかり、海軍が情報部隊の搬送に携わり沿岸監視体制で日本艦船の動きを把握することになった。情報は哨戒中の潜水艦に貴重な内容となり、カーペンダーは上司のアーネスト・J・キング大将(米艦隊総司令官)にノーチラス級潜水艦をSWPAの隷下に置き二隻を各島への輸送任務に当てるべきとの提言を出し、承認を受けた。
パーソンズ少佐は知見を買われ潜水艦補給のしくみを確立する任務を与えられた。後ろ盾にホイットニーと第7艦隊情報部長アーサー・H・マッコラム大佐がいた。いつの間にか部隊はスパイ戦隊略称スパイロンと呼ばれ、ブリスベーン司令部からパーソンズは現地反抗勢力の伝える物資リストを調整した。物資集積が完了するとオーストラリア北部の港湾都市ダーウィンで潜水艦に搭載された。
ナーワルは同年遅くにスパイロンに合流し整備を受け魚雷発射管を撤去し貨物搭載量を増やしたが、念の為魚雷10本を残した。
1943年10月23日にはUSSナーワルはフランク・D・ラッタ少佐指揮のもとオーストラリアを出港しミンドロ、ミンダナオに向かった。スパイロン初任務で陸軍無線情報チームの二名、貨物92トンさらにパーソンズ少佐を搬送した。補給品は銃火器弾薬手榴弾、無線機、医薬品のほか煙草、潤滑油、軍服、タイプライターリボン、カーボン紙(反抗勢力には立派な行政組織があった)から聖餐用聖餅、宣伝工作資料、チョコレート(包装紙はマッカーサーの’I Shall Return’の文句入り)まで多様だった。
航海は11月10日までは何事もなかった。同日10:35pmに見張員が3隻の艦艇に護衛された日本の油槽船1隻を発見、距離は12千ヤードだった。ラッタ艦長は攻撃を決意し、距離が3,100ヤードまで縮まるのを待ち魚雷四本を発射したが全部外れた。
護衛艦に発見追尾され、1隻が火砲を開いた。ラッタ艦長は全速を命令し、19ノットで(同艦の設計速度は17ノットが最大)でボホール海を通過し距離を広げた。
二日後に同艦はミンドロ島北西沿岸のパルアン湾に到達し貨物半分と陸軍チームを陸揚げした。
ナーワルはミンドロ島北のナシピットへ向かった。狭い港湾での操艦中に座礁してしまう。一時間未満で航行可能となったが日本軍が警戒する水域では乗員には神経が休まらない時間となった。ドックに着くとフィリピン人楽団が「錨を上げて」で歓迎した。
残る貨物の陸揚げには数時間かかったが復路に32名がオーストラリアに戻るため乗艦した。パーソンズはそのままゲリラ部隊に残った。
ナーワルは11月22日にダーウィンへ戻り、三日後にフィリピンに貨物90トン便乗者11名を乗せ出港した。今回は特筆すべき出来事もなく貨物は短時間で陸揚げし、7名の乗客とパーソンス少佐が乗りオーストラリアに12月2日帰港した。今回は退屈な航海とならずラッタ艦長は日本貨物船1隻を襲撃し沈めている。

日本海軍のz作戦指令書類を回収
スパイロンは幸先よい出だしを切った。補給ミッションは4ないし5週間隔で実施された。1944年7月にはノーチラスが加わり輸送力が倍増された。フィリピン大統領マニュエル・L・ケソンからゲリラ支援の強化を求められたローズベルト大統領がノーチラス投入を決めたようだ。8月には小型のシーウルフ、スティングレイもスパイロンに加わった。
スパイロンと別にその他艦も特殊任務でフィリピンに関わった。通常の戦闘哨戒の任務を解かれ緊急脱出任務に投入されることが多かった。1944年3月にはUSSアングラーがパナイに派遣され開戦以来とどまっていた民間人58名を収容したが任務には緊急性があった。日本軍が宣教師と家族17名を虐殺しており、マッカーサーは同島に残る米国民を一刻も早く退避させたかった。
5月にはUSSクレヴェイルがネグロスに派遣され宣教師、民間社員、脱走捕虜40名を収容した。だが同艦の派遣理由は別にあった。一ヶ月前にゲリラ部隊が書類かばんを入手し日本海軍の機密書類多数を見つけた。高官の乗る水上機が墜落していた。反抗部隊がマッカーサーに謎の書類を入手したと無線で伝えた。GHQは潜水艦を急派し回収することとした。クレヴェイルはたまたま一番近い場所にいたのだ。
40名収容は本当のミッションを隠す口実となった。実はナーワルかノーチラスがあと数週間以内に全員を収容予定だった。マッカーサー司令部で書類は翻訳分析された。内容はZ作戦指令で西太平洋防衛の戦闘戦略だった。米軍は情報を利用して6月のサイパン侵攻やフィリピン海海戦を有利に戦った。
スパイロンから救命連盟へ
1945年初頭までにフィリピンの大部分は米軍支配に戻り、スパイロンは解隊され特殊作戦は再び通常の潜水艦作戦の一環として実行された。
中部太平洋での攻勢が1943年末に始まると別の特殊作戦が開始された。日本が占拠する島しょ部への空襲で潜水艦も沖合に配置され墜落機のパイロットを救助した。その後18ヶ月に潜水艦部隊の半数近くが救命連盟と呼ばれた作戦に動員された。中でも一番有名なのがUSSフィンバックが1944年9月にグラマン・アヴェンジャー雷撃機パイロットを救助したことで、ジョージ・H・W・ブッシュ中尉だった。
ヘルキャット
大戦末期の数ヶ月も艦隊潜水艦部隊は特殊作戦に従事した。情報収集チームの上陸は東南アジア各地で展開されたが、1945年4月にティグロンとロックは奇妙なミッションが与えられ、搭載する5インチ砲でルソン海峡にあるバタン島の敵無線交信所の破壊を命じられた。
同じ頃に数隻は新型周波数変調(FM)方式ソナーでの機雷探知実験に投入された。1945年6月にはFM方式装置を導入した潜水艦数隻はヘルキャットと呼ばれ日本海南方を守る機雷原を突破して15日間で28隻を沈めたがUSSボーンフィッシュを喪失した。
潜水艦特殊作戦を最後に実行したのがUSSキャットフィッシュだった。1945年8月15日、同艦はFMソナーで九州沖で機雷を探査していた。一個も見つからなかったが同日の夜遅くに浮上すると無線員が至急電を受信した。「終戦との知らせを受けた」と艦長は日誌に書いた。「通信は全員に伝わった。いまや「いつ帰国できるか」が話題だ」
輝かしい功績
戦後に潜水艦部隊の戦史がまとめられると大きな反響を呼んだ。日本の喪失艦船の55パーセントは潜水艦の功績だった。特殊作戦も大成果だった。哨戒任務の15パーセントが特殊任務関連だった。
パーソンズのスパイロンは貨物1,325トン331名を送り、民間人が大部分の472名を救出した。パーソンズ自身はフィリピンに8回渡っている。1948年にSWPAはスパイロンを総括し「貨物潜水艦による効率の良い輸送の重要性を過小評価気味すべきではない。ゲリラ抵抗活動には『生命線』になった」とした。ナーワルは9回の輸送ののち1945年1月に任務を解かれた。6回輸送したノーチラスは同年4月に本国へ戻った。スパイロンは1隻を喪失した。シーウルフが1944年10月に生存者なく海中に没したが米軍による誤射の可能性が高い。
救命同盟は504名の航空搭乗員の生命を守った。
こうして数百回におよぶ特殊任務で米潜水艦部隊は第二次大戦で各種任務をこなし、乗員は大きな危険にさらされた。だがその努力で太平洋方面の戦闘勝利に大きな役割を果たしたのである。■

Originally Published December 3, 2018.

2019年5月17日金曜日

よくわからない米空軍の軽攻撃機調達への道、もはや関心が薄れてしまったのか

Air Force to give Sierra Nevada Corp. a sole-source contract for light-attack planes, but Textron will also get an award 米空軍はシエラネヴァダコープを単一供給先とする軽攻撃機契約を交付する意向だがテキストロンにも別契約を交付する

レパノン軍が運用するスーパー・トゥカーノ April 11, 2019. (Ibrahim Chalhoub/AFP via Getty Images)



空軍は5月8日にA-29スーパートゥカーノをシエラネヴァダコープエンブラエルから導入する意向と発表した。だがテキストロンのAT-6ウルヴァリンへ懇願書を出していることも認めた。
空軍はシエラネヴァダ=エンブラエル(SNC-Embraer)チームに今月中にも通知し今会計年度内に契約交付する意向だ。
「AT-6は別の調達事業にしたい」と空軍広報官アン・ステファネックがDefense Newsに伝えてきた。ステファネックは各型を2機ないし3機購入しネリス空軍基地(ネヴァダ)で試験する他、特殊作戦部門もハーバートフィールド(フロリダ)で試す意向があるとも述べた。
今年はじめに空軍は軽攻撃機実証は正式な調達事業にする準備ができていないのを認め、テキストロンのAT-6、SNC=エンブラエルA-29は選択肢として残し35百万ドルでテストを2020会計年度まで続けるとしていた。
一部アナリストや議会関係者は空軍の進め方があまりにも遅いことを批判しており、事業を中止するつもりなのかとの疑いを強めているが、議会には新型攻撃機調達に乗り気な動きがある。
ただし空軍参謀総長デイヴ・ゴールドフェイン大将は実証テストにより軽攻撃機の性能を空軍や外国部隊のニーズに合わせ現実的にできると主張。同大将は調達決定は22年度ないし24年度にしたいとも付け加えた。
「海兵隊からも加わりたいとの声がある」とゴールドフェイン大将は述べ、「同盟国や協力国も招き入れ、いただいた権限により試作機を入手しておりテストを続けて共同運用に向けたネットワークを拡充させていきたい」
軽攻撃機は「安価かつ既存機種で世界規模で活躍できる非正規戦環境に投入可能な機材で過去25年の実戦経験から必要とされるものだ。さ空軍特殊作戦軍団 (AFSOC) でも近接戦闘航空支援で活用できる機材になる」と空軍は説明してきた。
空軍によればAT-6及びA-29調達予算は160百万ドルの試算で議会は2016年の事業発足以来200百万ドルを認めてきた。■

なんかやる気がない感じまんまんなのですが、当方が注目していたテキストロンのスコーピオンは全く目がありませんので関心も低下sておりました。中国との対決を念頭におく空軍にとってもはやアフガニスタンやイラクの戦場で痛感された低強度戦用の小型機など大切な予算を食いつぶす邪魔な存在にすぎないのかもしれません。

2019年5月16日木曜日

★米国がMiG-29を一度に29機入手した事情とは

The Secret Story of How America Got Its Hands on 29 Russian MiG 29s

Wow.
May 8, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: U.S. IntelligenceU.S. MilitaryRussiaCIAMiG 29
連が崩壊した1991年遅く、新たに独立した各国に赤軍の膨大な装備品の山が残されていた。
なかでも小国モルドバ共和国の空軍の事例が最も興味を引く。同国にはMiG-29フルクラム34機、Mi-8ヒップヘリコプター8機その他輸送機数機が残された。小国にしては相当の陣容だ。モルドバの総人口はは355万人しかない。
だがモルドバにこれだけの機材を維持する余裕がなく、さらに経済は不況に入っていた。一方で米国はモルドバがMiG-29をイランへ売却しイラン空軍戦力が増強するのを恐れていた。またモルドバから技術がイランの競合国に渡るのも気がかりだった。
そこで1997年に米国はMiG-29入手を図った。その際に使った最強のツールは...金銭だった。米政府はMiG-29を21機購入し、うち14機がC型で、B型1機、A型6機の構成だった。C-17輸送機で各機をオハイオ州デイトンに搬送した。
これにより同機をテヘランが入手するのを防ぎ、米国にソ連製戦闘機で最高性能の機材を検分する機会がうまれた。モルドバには人道援助40百万ドルのほか、陸軍用トラック他非殺傷装備が手渡された。
モルドバは残る機材はエリトリアとイエメンに売却した。米国に移ったMiG-29は訓練部隊や情報機関のほか米空軍の「開発拠点」に配属され国民の目から隠れたとAir & Space Magazineが伝えている。
MiG-29は当時としては操縦性に優れた威力の高い機体だった。アーチャーAA-11ミサイルは1990年代で目標ロック機能がありヘルメット搭載の標的照準装置で機体進行方向と反対にも飛ぶ点で米製装備より優れていた。ただしペンタゴンがAIM-9Xミサイルを2003年に導入し、あわせてヘルメット搭載ディスプレイも登場させたので優位性は消えた。
フルクラムはエイビオニクスや情報管理装備が貧弱でパイロットは外部情報をわずかしか把握できす、紙地図を見て自機位置を把握する始末だった。総じてMiG-29は航空技術面で優秀だったとはいえ21世紀に入るとアップグレードがないまま急速に陳腐化した。
ところで1997年には別の国もMiG-29を入手している。イスラエルで、3機の単座フルクラムを国名非公開の東欧諸国から数週間借り上げた。
ロシアからアラブ諸国へ渡った戦闘機でMIG-29が最高性能機材だったためイスラエルは喜んでこの機会を活用し同機の性能評価をしたはずだ。MiG-29はイラクからその後シリアに納入されている。.
イスラエルのテストパイロットは同機に深く感銘した。普段から慣れ親しんだ米製機材と異なりMiG-29操縦は楽だった。パイロットに代わりコンピュータが着陸させてる機能も特筆ものだった。
「パイロットがヴァーティゴで上下感覚がなくなっても機体を安定させる」機能がシステムにあった。「西側に同様装備はなく、あくまでもパイロットに状況判断させる西側設計設計思想との違い」を見たという。
テストパイロットの一人はフルクラムの性能は「F-15やF-16と同等かそれ以上だ。操縦性に優れエンジンの重量推力比は高い。空戦ではこの機体に気をつけないといけない。訓練を積んだプロの手にかかれば手強い相手になる」
米国は同機の評価を進めながらイランに空軍力拡充させなかった。現在はMiG-29運用国は世界各地に広がり、東欧、中東、南アジアが中心だ。
ポーランドは米製F-16とフルクラムを併用している。イスラエルが2011年にポーランド運用中のMiG-29の補修、近代化改修契約を請け負ったのは興味を引く。イスラエルがフルクラムをどこから調達したかは今でも不明だ。■
This piece first appeared in WarIsBoring here.
Image: Creative Commons.

2019年5月15日水曜日

韓国イージス艦は北朝鮮ミサイルのレーダー追跡を完了できなかった

コメントは下にあります。

Report: Radar in South Korea network could not track missiles 韓国レーダーは北朝鮮ミサイルを追尾できなかった


北朝鮮はロシアのイスカンデル短距離核搭載可能弾道ミサイルと似たものを発射した。Photo by KCNA/UPI | License Photo

週実施された北朝鮮のミサイルテストで早期警戒体制を強化しているはずの韓国が探知したのはその一部のみとの現地報道が出ている。.
EDailyの5月13日記事で、ピースアイ早期警戒統制機やイージス艦で発射後のミサイルを探知できなかった可能性がある。韓国軍当局はイージス駆逐艦がミサイルを追尾できなかった原因を「現在調査中」だという。
ミサイルは韓国空軍の早期警戒レーダーが主に追尾しグリーンパインミサイル防衛レーダー装備がその中心と思われる。
今回の記事の前に韓国統合参謀本部が「車両」が発射地点を移動する字状況を把握いていたと発表していた。
韓国国会議員Lee Eun-jaeは5月10日に地上走行車両の動きを探知できたのは発射数分前だったと述べた。
だが13日に韓国軍当局はLee議員の言及に触れ北朝鮮の動きを探知したのは発射前ではなく発射後一分の時点だったと訂正している。
韓国のピースアイ機材は2011年から供用開始し4機が在籍するが一機は補修作業中だ。
北朝鮮が発射したミサイルは260マイル、170マイルそれぞれ飛んだ。発射地点は北西部のKusongだった。
News 1は5月13日に韓国軍の話として飛翔体分析はまだ終わっていないとし、一方で韓国内外の専門家は今回発射されたミサイルはロシアのイスカンデル短距離核運用可能弾道ミサイルとの見方でほぼ一致している。
Kyungnam University(慶南大学)のKim Dong-yupは今回発射されたミサイル2月28日の北朝鮮軍パレードで登場していた装備と同じと述べた。
同ミサイルは射程370マイルで迎撃手段を回避できるといわれる。■

韓国軍、なんとなく頼りない感じですね。
まさか韓国軍まですっかり政権の影響を受けて北朝鮮に対する警戒心を説いてしまっているはずはないと思いますが、いざというときに役立たないのなら軍のあり方を根本的に問い直す必要があるのではないでしょうか。では日本や米国はどこまで探知追尾していたのかは未だ不明ですが、肝心な情報は公開しないはずなので誰にもわかりません。

ところで未だに飛翔体と言葉を濁している向きがありますが、ミサイルなのでミサイルとちゃんと呼びましょう。

2019年5月14日火曜日

J-20機首部分の写真からわかる同機の性能と運用思想


What Do These Close-Up Pictures of China's J-20 Stealth Fighter Tell Us?

May 5, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaJ-20Stealth FighterStealthPLAAF

2018年8月1日の人民解放軍創設日に中国は次世代戦闘機J-20の高解像度写真のウェブ公開を黙認した。
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As usual, photos of J-20 are posted online to celebrate the Army Day on 1 Aug.


今回のJ-20画像で機体の様子がよくわかる。なかでもセンサー形状がロッキード・マーティンがF-35ライトニングIIに搭載する電子光学式目標捕捉装置(EOTS)と酷似していることに注目だ。.
これには理由がある。2007年の事、ロッキード・マーティンはサイバーで中国ハッカー集団にF-35関連の技術文献を盗まれ対応に迫られた。その際の詳細はエドワード・スノーデンが暴露しており、航空技術における中国の技術窃盗で氷山の一角と言われる。2017年にも中国ハッカー集団はオーストラリアのF-35契約企業にねらいをつけ更に多くの情報を盗み出している。
ロッキード・マーティンとJ-20の装備の相違点は少ないが、J-20の装備が機首下についていることから同機な想定任務が長距離対地攻撃と迎撃の双方だと思われる。ただしJ-20のEOTSはF-35より性能が劣るようだ。それはJ-20のEOTSの配置位置と大きさからわかる。
J-20は秘密のベールに覆われているもののエンジンはSu-27と同じAL-31F双発なのは確実だ。だが国産(信頼性は低い)WS-10Bへの換装もありうる。ロシア製エンジンが入手難であり、より強力なWS-15が慣性するまでのつなぎかもしれない。またJ-20にはF-22のステルス形状と似る点もあり、内部も同様かもしれないが、主翼や空気取り入れ口は独特のものだ。さらにJ-20は全域ステルスではない。インド空軍はSu-30MKIの電子スキャンレーダーでJ-20追尾に成功したと主張している。
J-20は部隊配備が始まったといわれるが、J-15艦載機で発生した問題を見ればF-22に対抗する同機は中国が宣伝するような完全装備の万能戦闘機と程遠いのかも知れない。前にもあった話のように聞こえないか。■

2019年5月13日月曜日

F-35Aの機内ミサイル搭載数を増やすサイドキック装備とは....詳細は不明のロッキード発表

Aerospace Daily & Defense Report

Lockheed ‘Sidekick’ Will Raise F-35 Missile Capacity


May 1, 2019Steve Trimble | Aerospace Daily & Defense Report

空軍や海軍のF-35でAIM-120ミサイルを通常の4本でなく6本機内搭載可能とするのがサイドキックと呼ばれる装置だとロッキード・マーティンが説明している。
10年かけて実施するブロック4改修の一貫としてF-35テストパイロットのトニー・ウィルソンが5月1日に解説した。改修でF-35は改良型センサーや新型兵装の搭載が可能となる。
同時に機内兵装庫にミサイルをより多く搭載可能となる。機内搭載により同機はステルス性を犠牲にすることがなくなる。
ロッキードはサイドキックの仕組みの詳細を発表していない。F-35AとF-35Cに兵装庫がふたつあり、それぞれAIM-120を2本あるいは一本と大型爆弾のGBU-32共用直接打撃弾(JDAM)(2,000ポンド)一発を搭載できる。F-35BではリフトファンがつくためAIM-120は2本まであるいはミサイル一本と1,000ポンドJDAM一発しか搭載できない。
サイドキックで機内兵装庫上部のAIM-120用アダプターが不要になるのだろう。サイドキックはAIM-120ミサイル一本分のスペースに2本を搭載する。
F-35A、F-35Cにミサイル6本を機内搭載する構想は前からあった。今回ウィルソンがメディア向けに説明したが、ロッキードはこれまで公表してこなかった。
「ロッキード・マーティンが自社開発したもので、今後は共同開発室にもお伝えし実現の可否は他部門におまかせする。ロッキード・マーティンは実施をいつでもお助け出来る体制にある」(ウィルソン)
これとは別にアラブ首長国連邦に派遣中の空軍F-35Aがイスラム国を相手にイラクで4月30日初の空爆を実施した。この際はJDAM一発を投下し、トンネル網と兵器貯蔵庫を標的にしたと空軍中央司令部が発表している。ただし、空爆の結果では発表がない。
イスラエル司令部はF-35Iの実戦初投入を昨年発表していた。米海兵隊も昨年9月にF-35Bがアフガニスタンでタリバンに爆弾投下したと伝えていた。■

2019年5月12日日曜日

★中国が対米戦に勝てない理由---あと20年で中国は減退する

コメントは下にあります。
China's Big Mistake: It Thinks It Can Beat America In a War 
対米戦に勝てると信じる中国の大誤算
But it forgot about U.S. submarines. 
中国は米潜水艦部隊の存在を忘れている

by David Axe 

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May 3, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaAmericaSouth China SeaWorld War IIITaiwanNuclear Submarines

https://nationalinterest.org/blog/buzz/chinas-big-mistake-it-thinks-it-can-beat-america-war-55747



まず悪いニュースから。中華人民共和国は台湾その他へ軍事強硬策に出ても米国の介入を防止できると信じ込んでいる。

次に良いニュース。中国は間違っており、大きな理由がある。米国原子力潜水艦部隊の決定的な戦力を無視しているからだ。

さらに経済、人口構造の問題から中国の選択肢は限られる。今後二十年以内に軍事行動を取らないと中国は希望どおりに事を進められなくなる。

世に知られずに世界秩序を支えているのが米海軍潜水艦部隊だ。中国への防御線は今後20年間維持の必要がある。無事に終われば対中冷戦の勝利を静かに宣言できるのではないか。



中国の勝利条件
悪いニュースの源は米空軍の国家航空宇宙情報センターのリー・フュエルで1月に米中経済安全保障検討委員会で証言していた。

中国の軍事作戦立案部門は人民解放軍が台湾あるいは尖閣諸島を攻撃するのであれば真珠湾同様の先制ミサイル攻撃で在日米軍とグアムを叩くはずだ。PLAが恐れるのは米軍の圧倒的戦力の介入で、主戦場から米軍を排除しない限り中国に勝ち目はないと信じている。

先制攻撃に高いリスクがともなうのはいうまでもない。だが成功すればPLAは防衛部隊を敗退させる時間と空間を稼げ、領土奪取で戦後処理に有利な立場を確保できる。

だが中国が米軍を奇襲攻撃で無力化できないと、中国は二方面で全面戦争を強いられる。侵攻の相手国に加え米太平洋軍が全力で立ち向かってくるし、世界は米国を強く支持するだろう。

という構図だったが、二十年に渡る軍事力近代化で中国軍は戦略を昨年根本的に更新している。フュエルはPLA関係者の近年の著作物を見ると「PLA内部が自信を強めており米軍介入に耐えられると見ている」。

先制攻撃は選択肢からはずれ、米軍の全面的反攻の可能性も減った。反対に中国は台湾他を侵攻しても流血無しで米軍介入を食い止められると信じ圧倒的な軍事力を展開し、弾道ミサイル、空母、ジェット戦闘機等々を示し米国に介入を断念させる。

米軍介入抑止への努力積み重ねが世界を変えるかもしれない。「台湾、日本、フィリピンの防衛義務に背を向ければ東アジアを中国の支配下に明け渡すことになる」と同日の委員会公聴会で大西洋協議会主任研究員ロジャー・クリフが述べた。

もっと悪いのは世界の自由貿易の秩序さらに民主体制全体が回復不能な損傷を受けることだ。「米国には民主国家が生き残り繁栄できる世界が道義上も物質上でも必須だ」(クリフ)

自由体制に幸運なのは米国に世界最強の潜水艦部隊があり、中国の攻撃部隊を即座に撃沈できることだ。手を出すなと米国に伝えるPLAは米国の水中戦力が目に入っていないようだ。



沈黙の部隊
中国が米潜水艦を無視するのは驚くべきことではない。米国人でさえ自国の水中戦力を意識しておらず、これを責めることはできない。米潜水艦部隊は秘匿性ステルス性を最大限にすべくメディア露出を避けている。「潜水艦は世界の海洋中を誰にも見つからず巡航しています」と米海軍はウェブサイトで説明している。

米海軍には潜水艦74隻があり、うち60隻が攻撃型潜水艦または艦船攻撃や対地攻撃に特化のミサイル潜水艦だ。残りは弾道核ミサイル潜水艦で第三次世界大戦にならないと軍事行動は取らない艦だ。

攻撃型潜水艦33隻が太平洋艦隊所属でワシントン州、カリフォーニア、ハワイ、グアムに基地を配置する。毎年六ヶ月程度の航海に出動する米海軍の太平洋方面潜水艦は日本、韓国に寄港することが多く、北極海へも向かうことがある。

セシル・ヘイニー大将(前太平洋艦隊潜水艦部隊司令)によれば連日17隻が移動中で8隻が「前方配備」つまり戦闘箇所になりそうな場所で待機中だ。太平洋艦隊ではこれは中国近海を意味する。

米潜水艦には艦種がいろいろある。数が多いのは冷戦時に頼りにされたロサンジェルス級攻撃型潜水艦で順次ヴァージニア級と交代している。ヴァージニア級はステルスとセンサーで改良されている。秘密に覆われたシーウルフ級は3隻のみだが全部太平洋方面に配備され大型高速かつ重武装艦だ。オハイオ級ミサイル潜水艦で弾道ミサイル任務を解かれた艦は巡航ミサイル154発を搭載する。

米潜水艦は世界各国の潜水艦より艦体が大きく、高速かつ静粛で戦力もすぐれている。さらに隻数が多い。英国は新型アスチュート級攻撃潜水艦を建造中だが7隻のみだ。ロシアは新型攻撃潜水艦12隻の維持を目標としている。中国は初歩的原子力潜水艦数隻の配備をめざしている。

海中に潜み突如魚雷やミサイル攻撃をする潜水艦には隻数以上の戦術戦略上の意義が生まれる。1982年のフォークランド戦争で英潜水艦コンカラーはアルゼンチン巡洋艦へネラルベルグラノを雷撃で沈め323名が死亡した。これでアルゼンチン海軍は港内にとどまるのみとなった。

中国近海あるいは領海内に米海軍が布陣する8隻の哨戒ラインはPLAの対潜戦技量が未熟なことを考えると中国の軍事作戦を破壊する意味もある。「中国が台湾周辺の水上を制圧しても、米潜水艦を探知攻撃する能力は今後も大幅に制限されたまま」とクリフは証言した。「台湾海峡を航行する中国揚陸艦は発見され次第撃沈される」.

そうなるとPLAが近代化戦力で米海軍と水上戦、陸上、空の上で互角に戦えると信じ込んでいても関係なくなる。侵攻部隊が安全に移動できなければむき出しの軍事手段で台湾他を奪取する目標は達成できない。

この現実からワシントンの戦略にも影響が出る。米国がこれまで守ってきた世界秩序はほぼ完成しており、今はこれを保持し防御するだけだ。いいかえれば米国は中国に対し戦略的優位性にあり、中国は欲しいものを得るためには軍事攻撃を実施せざるを得ない。

「米側は中国本土侵攻はしないので地上部隊の出番はない」と米海軍大学院教授ウェイン・ヒューズは指摘する。「核先制攻撃も行わない。エアシー・バトル作戦は本土対象に実施しない。第四次世界大戦の口火をきってはいけないからだ」

逆に中国近海への自由な航行を米国は否定すべきだ。「脅威を与える手段は豊富に必要」とヒューズはいう。つまり中国制圧に最適化した艦隊は小型艦多数で貿易航行路を封鎖し、主要艦を潜水艦とすれば「シナ海双方で中国の艦艇商船隊を壊滅出来る脅威を与える」のだという。

クリフは米潜水艦1隻の「魚雷数発」で相手艦船は「自艦を守るため撤収」すると見ている。潜水艦8隻が3発ずつ発射し半数は命中して中国が運用する大型揚陸艦全部を沈められるので中国は台湾侵攻も尖閣諸島占拠も不可能となる。



今後20年間が勝負だ

米海軍が潜水艦哨戒体制をあと20年間維持できれば中国は攻撃できず現在の強硬な姿勢を守れなくなる。中国の経済・人口動向が原因で高齢化と経済成長鈍化で軍事装備近代化が進められなくなるからだ。

公平を期せば人口高齢化と経済成長鈍化による平和志向の高まりはほぼすべての先進国が経験している。だが中国の場合は深刻さが違う。出生率の落ち込みが共産党の一人っ子政策であまりにも急すぎるためだ。

また中国経済の成長が実態より高めに推移したのは独裁権力国家ならではの投資集中策の恩恵を受けたためだ。同時に政府が環境や国民の人権を無視できたため実現したと言える。

「中国を三十年で驚異的成長に導いた経済モデルは維持不可能なようだ」と海軍大学校のアンドリュー・エリクソンも米中経済安全保障検討委員会で解説した。

エリクソンは中国の「うっ積した潜在力」が早ければ2030年に失効しはじめ、その時点で「中国は世界最大の65歳以上人口国」になるからだという。「高齢化社会で慢性疾患が増えライフスタイルが多様化すると軍事開発と経済成長を支えてきた支出が他に向けられる」。

米潜水艦部隊の維持拡充に必要な予算支出を認めてきた政治決断は賢明な選択だった。潜水艦建造の落ち込みが懸念された2012年にペンタゴンの要望に議会が予算を計上し、単価25億ドルのヴァージニア級年間二隻建造体制が実現し世界最大の潜水艦部隊は永続的に持続できる。

ペンタゴンはヴァージニア級の改良も続けており、水中発進式無人機、ミサイル運用能力の拡充や新型対艦ミサイル開発をめざす。

中国の存在感、国家としての方向性および米国が中国の狙いを打破できる軍事力を保有していることを考えるとPLA幹部が中国周辺部に攻撃を加えながら米軍からの攻撃を免れ得ると見るのはいかにも現実離れした楽観論に写る。

先制攻撃をしても結果が変わるものでもない。中国封じ込めで実効力を発揮する米軍部隊に中国は手も足もでないためだ。その部隊は水中深く身を潜めている。■



This article by David Axe originally appeared at War is Boring in 2014.

あと20年ですか。中国自身は2049年に世界トップになると夢を描いているのですが、夢に終わるのでしょうか。中国指導部が自らの将来を正確に把握すれば逆に捨て鉢の暴力行為に出てこないですかね。その前に台湾に手を出さないかが心配ですし、一帯一路も中国の野心に世界が気づいて警戒していますし、なにしろ札びらで頬を叩く行為が野蛮そのもの。中国は急速にのし上がり、急速に没落する運命なのかもしれません。中国共産党が消えれば状況は変わるかも知れませんが。日本にとっては中国の消滅が発生してもショックを受けないようこれから備えていくべきでしょう。

今後は南シナ海の海警、海上民兵も正規海軍部隊として扱う、との米海軍作戦部長の対中姿勢を評価

U.S. Warns China Over Civil Forces in South China Sea, FT Says

2019年4月29日 1:00 JST


海軍トップが南シナ海では今後は中国沿岸警備隊や海上民兵も正規海軍部隊と同様に扱うと中国に警告を送ったとフィナンシャルタイムズが伝えている。
中国は海軍以外の艦艇を使い南シナ海での領有権主張を強める傾向を深めており、海軍、沿岸警備隊の境界線が一層曖昧になっていることから米側も対応に苦慮せざるを得なくなったと記事にある。中国は南シナ海の8割以上を自国領海と主張し周辺国と摩擦を呼んでいる。
作戦部長ジョン・リチャードソン大将はFTに対し「米海軍は力に屈せず今後も通常通り法に則った行動を世界各地で展開することをはっきりさせておく」と1月の訪中時に中国海軍の沈 金龍Shen Jinlongに伝えたと述べた。
中国沿岸警備隊の保有する大型巡視船はここ9年間で130隻に増強されているといわれ、世界最大規模になっている。海上民兵は民間人だが武装した予備部隊として漁船に乗る独特の存在だとペンタゴンは総括している。
オバマ政権時代の米側からはこうした口調は見られなかったが、両国はここにきて対立基調にある。今月始めに中国外務省報道官陆慷Lu Kangから「この地域と関係ない勢力が南シナ海で面倒を起こしてもらいたくない」との発言はUSSワスプがスカボロー礁近くで演習した直後のことだった。■

東シナ海では日本の抑止力により中国もうかつな手を出していませんといわれていますが日本の漁船も中国からいやがらせをうけているようですし、、南シナ海では完全に状況が異なり、ベトナムやフィリピンは見下され漁船などは中国が衝突などで実力排除されているようです。中国が既成のルールで動かないのであれば米側もルールを変えようというのが今回のメッセージではないでしょうか。既成事実の積み上げを図る中国としてはオバマ政権のような「ものわかりのよい」「大人の」対応が望ましいのは言うまでもありません。当然北京は今後プロパガンダを展開するでしょう。では、日本はどうするか。インド太平洋の自由航行、法の支配の原則を堂々と主張している現政権はともかく次の政権がこのままの路線を継承する保証はなく、中国様に一度恭順な態度を見せてしまえばおしまいですね。しかし尖閣あたりで怖い目をしている日本漁業関係者の安全はどうなるのでしょう。