2014年12月25日木曜日

★2015年の注目ポイントはこれ Aviation Week



Key Points To Keep An Eye On In 2015

Dec 29, 2014
| Aviation Week & Space Technology


冷戦の再来、航空運輸の安全性での懸念、商用航空・軍用航空、宇宙の各分野での案件ごとでの個別課題、と2015年は大変な年になりそうだ。以下の12題が話題の中心だろう。


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1.新型ナロウボディ機材
Cシリーズが目標どおりに路線就航を2015年下半期に開始しても、すでにこの目標は怪しくなっておいるが、ボンバルディアの優位性は消えている。エアバスのエンジン換装A320neoは2015年10月に就航の予定で、ボーイングの737MAX(2017 年)より先に行くが、各機が順調に増産されればCシリーズは受注が少なく一層影が細くなってしまうだろう。
Credit: Airbus


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2.中国の挑戦

中国製の商用機はエアバス、ボーイングに脅威となるはずだが、現状では張子の虎のようだ。2015年にはComacのARJ21リージョナルジェットが就航するが、予定から8年遅れでしかもすぐに重量軽減とエイビオニクス改修が必要となる。C919ナロウボディ機も2015年末に初飛行の予定だが、路線就航は2018年の予想で、開発は10年がかりとなる。
Credit: Comac


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3. あと一歩のところまで(やっと)来たF-35

開発開始から14年でロッキード・マーティンのF-35共用打撃戦闘機はついに2015年に作戦運用を米海兵隊で開始する。ただし機体改修とソフトウェアテストのため時期は12月になるとみるのが妥当で、目標の7月はムリだろう。米空軍の初期作戦能力獲得は2016年8月予定で、これもソフトウェアと点検整備の訓練により実施が危うくなっている。
Credit: U.S. Navy


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4. インドの野望


インド新首相は国防装備の半分を国産化したいと考えている。今後10年で2,500億ドル規模の事業となるが、本当に実現できるだろうか。純国産のヒンドゥスタン・エアロノーティクスのテジャスTejas マーク1軽量戦闘機が2015年に作戦運用認可されると、開発は20年かかったことになるが、総費用はわずか12億ドルだとインド政府は説明している。
Credit: Aeronautical Development Agency


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5. エンジン変更

ロシアがウクライナに軍事介入したことで米国は2015年に新型ロケットエンジンの開発に本腰を入れる。これまで数十年に渡り新型国産エンジン開発を躊躇しロシア製RD-180で情報収集衛星を打ち上げてきたのでひとつの踏ん切りができたといえる。だが米空軍は政府主導の開発にはしたくなく、予算は政府・民間共同事業体としてスペースX SpaceXとユナイテッドローンチアライアンスUnited Launch Allianceに投入する予定。後者はエンジン開発メーカーのブルーオリジンBlue Originと共同開発を進めている。
Credit: United Launch Alliance



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6.  ハイエンドの機材がそろう

ビジネス航空はゆっくりと金融危機による市場崩壊(2008年)から回復しつつある。ただし、大型機が脚光を浴びており、メーカー側も対応を迫られている。2015年には超長距離ボンバルディア・グローバル7000、ダッソーの拡大型ファルコン5X、長距離型ファルコン8X、ガルフストリームの大型キャビン仕様G500がそれぞれ初飛行する予定。
Credit: Bombardier


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7. 無人機運用の認可範囲はどうなるか

遅れていたFAAの民間空域内での無人機システム(UAS)の限定付き運行認可手続きが進行中だ。ただし、議会が求めるUASの安全な運行を全国的認可(期限2015年9月)をFAAがどう解釈するかは要注意だ。長く待たれていた小型UAS運行の規程は2014年末の予定だが、前例のないほどのパブリックコメントが寄せられ、最終決定は遅れる見込み。
Credit: Aerial-MOB


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8. 調達がピンチ?.
ペンタゴンが想定する機材調達の大型案件が2015年に動き出すが、その時点で予算矯正削減策がまだ有効なのか不明だ。契約交付がかかっているのは空軍向け長距離打撃爆撃機(LRS-B)、海軍の無人空母運用偵察攻撃機システム(UCLASS)、空軍のT-38C高等練習機の後継機、E-8共用監視目標補足レーダーシステム(Joint STARS)の後継機種である。
Credit: Boeing


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9. より安全なフライトへ

マレーシア航空370便の消失(3月)、同17便の撃墜(7月)からそれぞれ一周年となる機会に国際航空運輸協会(IATA)と国際民間航空機関(ICAO)の合同チームが2014年末までに提言を出し、安全な航空輸送にむけ紛争地帯のリスク情報共有で一定の前進が見られるはずだ。
Credit: Aireon


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10. 優位性回復へ

ペンタゴンが新しく打ち出した「第三相殺」戦略では研究開発を米国の技術優位性につながる分野に特化する考えで、2015年中に姿を現してくるだろう。詳細はまだ不明だが、退任が迫るチャック・平ゲル国防長官は高度生産技術、自律システム、ビッグデータ、縮小化技術、ロボット工学を掲げている。それ以外にサイバー戦、極超音速技術はそれぞれすでに認知されている。
Credit: Lockheed Martin


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11. 供給不安

2014年末現在で大手機体メーカーやエンジンメーカーがチタンの備蓄を進めている。これはロシア制裁が実現した場合にチタン価格が急騰するのを恐れてのこと。まだ現実になっていないが、2015年中にこの恐れは高まるだろう。ロシアのVSMPO-Avismaがエアバスのチタン需要の6割、ボーイングの4割を供給しており、tとくに新型A350や787は複合材製機体のためチタンが大量に必要だ。
Credit: MAKINO


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12. ロシア製RD-181への換装

10月に連続発生したヴァージン・ギャラクティックのスペースシップツーとオービタル・サイエンシズのアンタレスの事故で商用宇宙利用の信頼性が急落した。そこで2015年は再度勢いをつける必要がある。ヴァージンは年の中頃にテスト再開の予定で、オービタルは国際宇宙ステーションに別の打ち上げ手段を使って物資補給を実施する予定。アンタレスロケットのロシア製エンジンRD-180またはRD-193への換装は2016年末にならないと完成しない。
Credit: Chris Simundson/AW&ST


イスラム国がヨルダン空軍機を撃墜


イスラム国がどのように機体を撃墜したのかが問題です。おそらく地上からの一斉掃射など数にものを言わせる方法だったと見られますが、イスラム国がプロパガンダに本件を利用するのは間違いないところでしょう。イスラム国の動向には目が離せません。

Official: Jordanian Pilot Shot Down by Islamic State

By AWAD MUSTAFA2:17 p.m. EST December 24, 2014

SYRIA-US-IS-UNREST-KIDNAP(Photo: AFP)
DUBAI —.ヨルダン保安当局者がDefense Newsに対し同国所属の戦闘機が本日シリア領土内でイスラム国により撃墜されたと確認した。
  1. 同筋によるとムアト・アルカセアスバ大尉 1st Lt. Mu'ath Al-Kaseasba が捕獲された写真を家族が本人に間違いないと確認している。
  2. パイロットはF-16に搭乗していたと思われるが、同筋は確認していない。.
  3. ヨルダンは合衆国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーンとともにイスラム国への空爆作戦を10月から実施中。
  4. ロイターによればシリアの人権監視団体が撃墜地点はイスラム国の拠点ラッカ市Raqqa city近郊であるという。
  5. イスラム国側は撃墜機パイロットが戦闘員により引き回される写真を広報の意図で公開しており、パイロットの国籍をヨルダン人だとしている。
  6. ラッカはトルコ国境近くでほぼイスラム国戦闘員が全域を占拠されている。■

2014年12月24日水曜日

インド海軍初の弾道ミサイル原潜が海上公試をスタート


2014年は潜水艦の話題も豊富でしたね。年末になりインドから国産ミサイル原潜のニュースが入ってきました。まだ実用レベルではないとはいえ、核ミサイルを運用できる同艦がインド洋に遊弋すればパキスタンはじめ隣国には脅威になりますね。ただし、技術的にはまだ相当の開きがあるようで、インドはゆっくりと実用化をめざすのでしょうね。

New Indian Boomer Starts Sea Trials

By: Sam LaGrone
Published: December 16, 2014 2:01 PM • Updated: December 16, 2014 2:01 PM


Indian Navy nuclear ballistic missile submarine INS Arihant on Monday. via The Hindu Times
Indian Navy nuclear ballistic missile submarine INS Arihant on Monday. via The Hindu Times

インド海軍の国産初の原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)が海上海上公試を12月15日に開始したとの地元報道が出た。


国産初の原子力潜水艦排水量6,500トンのアリハント Arihant がインド東海岸のヴィシャカパトナムを出港した。ただし同艦は実用よりも試験開発を主眼においた艦となる可能性がある。

「アリハントが公試開始したは良い知らせだが、同艦が真のSSBNとなるまで道は遠い。技術実証目的に終わる可能性もある」と元インド海軍総司令官アルン・パーカッシュ提督 Admiral Arun Parkash がJane's Defense Weeklyに語っている。「ノイズレベルのせいで抑止任務につかなくても同艦は今後のSSBN部隊にとって経験値を得る手段となる」

INS Arihant in 2009. Indian Navy Photo
INS Arihant in 2009. Indian Navy Photo

アリハントはロシアのアクラ級を元に12発のサガリカ水中発射弾道核ミサイル(SLBM) を搭載したもの。ミサイルの射程はおよそ435マイルだ。

開発は極秘の内に1970年代からはじまっていたと海軍協会のCombat Feets of the Worldに記述がある。

インド海軍は攻撃型原子力潜水艦数隻をロシアからリースで運用している。


2014年12月23日火曜日

ソニーへのサイバー攻撃はさらに大きなネット障害のはじまりなのか 警戒が必要


クリスマス年末を控え世界が緊張したくない時に不穏な動きが目立ってきました。韓国、北朝鮮のコンピュータ関係で事故が発生しているのも決して偶然ではないでしょう。日本も気を抜けない数週間となりそうですね。

Expert: Sony Hack Used Black Market Malware

by BRENDAN MCGARRY on DECEMBER 22, 2014
オバマ大統領はソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントのコンピューターネットワークへのハッキングを「サイバー破壊行為」 “cybervandalism ”と表現し、攻撃とは呼んでいない。専門家のひとりは引き金を引いたマルウェアは闇市場で調達したらしいと発言。
大統領は21日放送のCNNインタビューで「戦闘行為と認識していない」と発言し、「サイバー破壊行為だと思う。非常に高くつく結果を産んだ。これを真剣に受け止めており、相応の対応を進める」
北朝鮮のインターネットは22日月曜日にクラッシュしたと伝えられ、同国で最悪の故障だという。外部からの攻撃が原因と言われるが確認できない。
ソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃はその高度な内容から北朝鮮政府の関与が指摘されるが、社員の電子メール私信、給与明細、健康診断記録等機微情報数万件が暴露された。
漏出した文書では知られては拙い情報も含まれ、ハリウッドの大物プロデューサー、スコット・ルービンがアンジェリーナ・ジョリーのことを「駄々っ子」とした会話や男優女優のギャラ情報もあり、オスカー女優のジェニファー・ローレンスが共演した男優よりも低い額を受け取っていることもわかってしまった。
自称「平和の守護者」との集団が情報漏出を実施したと主張。しかし連邦捜査局は19日にマルウェア侵入は北朝鮮政府が関与と発表した。「合衆国政府省庁、各機関と連携した捜査の結果、入手した大量の情報からFBIは北朝鮮政府が今回の事件の首謀者と結論付けるものである」
FBIが公開した証拠は以下のとおり。
* 今回使用されたマルウェアはデータを消去するタイプでFBIがすでに解明した北朝鮮開発マルウェアと関連している。例えばコードの特定のラインが類似しているし、暗号化アルゴリズム、データ消去方法、ネットワーク侵入方法が同じ。
* FBIは今回の攻撃とこれまでの悪意あるサイバー活動で使われたインフラストラクチャが同じで、政府は北朝鮮が直接関与していると結論づけている。たとえば、FBIは今回のインターネットプロトコル(IP)のアドレス複数がこれまで判明している北朝鮮内のインフラストラクチャと関連しており、今回の攻撃に使用されたデータ消去型のマルウェア内にハードコード化されているのを見つけた。
* これとは別に今回のSPE攻撃には昨年3月に韓国の銀行各社と報道機関を狙ったサイバー攻撃と類似性がある。韓国攻撃は北朝鮮が実施している。
北朝鮮は攻撃への関与を否定しており、米側と共同調査をしてもいいとするが、攻撃自体は「正しい行為」と表現している。
北朝鮮政府は今年初めに正式な抗議を国連に提出し、ソニー作品を非難していた。セス・ローガンとジェイムズ・フランコ主演のコメディ「インタビュー」“The Interview” は北朝鮮指導者暗殺の筋書き。会社側はクリスマスの公開を取りやめたが、劇場側がテロ攻撃を恐れての事だった。
ただし米国内ではサイバーセキュリティ専門家も含めソニーの対応に批判的で、降伏したことが危険な前例となり、犯罪集団が再び攻撃に出る可能性があるとする。
「攻撃する側には思ってもみないチャンスとなりますね」と語るのはピーター・シンガー(“Cybersecurity and Cyberwar: What Everyone Needs to Know”著者)だ。「サイバー脅威にこのように対応してはいけないと言う事例、ネットワーク防衛をこのようにしてはいけないという事例、またテロリストの脅威にこのように対応してはいけない事例だ」
先のCNNインタビューでオバマ大統領は「サイバーハッカー集団の脅かしに屈してはいけない」とし、上映取り消しはソニーが上映した場合の被害の訴訟を回避したためだろうと解説した。
ジェイムズ・ルイス James Lewis は戦略国際研究所(ワシントンDC)主任研究員で大統領が今回サイバー破壊行為とサイバー戦を区別したのは正しい判断だという。
「破壊や人的被害を発生させる形での実力行使は制限されると国際的な合意が成立している。つまり軍事衝突を扱う法体系との整合性だ。この点で大統領は正しい」
ルイスは今回のコンピュータコードにはイランが2012年にサウジアラビア国営石油会社アラムコを標的にしたサイバー攻撃で使用したコードと類似性があるという。サウジアラビア事例の当時は「コンピュータ妨害行為としては最も破壊的でアラムコ社内のコンピューター75%でデータが消失し、かわりに米国国旗を燃やす写真が送りつけられた」とニューヨーク・タイムズが報じていた。
ルイスは今回使用されたソフトウェアは「犯罪闇市場で入手したもの」といい、「北朝鮮が開発したものではないようだ。犯罪目的で作成したマルウェア部分を使い、ソニー攻撃に改造した」とする。
なお、韓国の原子力発電所で22日にコンピュータが侵入されたとの報道があったが、同国内23基の原子炉には異常がなかったとロイターが伝えている。■


2014年12月22日月曜日

米空軍の考えるOffset Strategyでの重要技術要素


なるほど米空軍が考えている方向がわかりますが、技術だけでは戦争には勝てないのであり、下に出てくる品質管理も行き着くところは人質管理であることと思います。コスト要素として見るのであれば無人化や3Dプリント技術で人の関与を減らす方向に進むでしょうが、それでは人間の組織にならないのですが。

Pawlikowski On Air Force Offset Strategy: F-35s Flying Drone Fleets

By COLIN CLARKon December 15, 2014 at 5:41 PM

Lt. Gen. Ellen Pawlikowski
PENTAGON: 空軍で兵器装備の選定に絡むエレン・ポーリコウスキイEllen Pawlikowski 中将が自律運転 autonomy や3Dプリンター 3-D printing が良いと発言すれば耳を傾けるべきだ。
中将は自律性能(人員の関与なしに兵器を任務実施させる技術の総称)は「大きな役割を期待できる。同じ予算でもっと多く調達できる」とし、数が重要との考えを他の将官と共有している。
これがペンタゴンの進める相殺戦略の実態だ。ボブ・ワーク副長官が進める同戦略ではアメリカの軍事優位性を長期にわたり確保するのが目的だ。ポーリコウスキイは空軍の科学技術研究を統括し、空軍の相殺戦略の実施をまとめている。
「一つのシナリオではF-35一機がRPA(遠隔操縦航空機)20機をセンサー・通信機能で指揮調整することを考えています」という。
DARPA KQ-X Global Hawk refueling
もうひとつは無人機間の空中給油で、「大きな可能性を開く」という。
ポーリコウスキイが考えるもうひとつの可能は付加製造additive manufacturingつまり3-Dプリント技術で従来のコスト概念を変えることだ。
品質管理はF-35や宇宙機開発で明らかになったように「これからも最大の課題」としつつ、兵器開発では人員が一番高価な要素だとする。
「付加製造技術を使えば両方の問題は解決可能」とし、イーロン・マスクのスペースXでは3Dプリント技術を利用していると指摘する。また、エアロジェット・ロケットダイン Aerojet Rocketdyne から同社がMPS-120 CubeSat High-Impulse Adaptable Modular (小型衛星モジュラー)の点火テストに成功したとのニュースが本日飛び込んできた。
MPS-120は3Dプリント技術で製造された初のヒドラジン燃料による推進システムで、CubeSat用に用意された。
マスク、ロケットダイン他の宇宙関連企業以外にも3Dプリンターで大型部品を従来より迅速かつ厳格な品質管理のもので製造する例がある。報道によると中国は3Dプリンターで大型チタン部品を作り、新型J-31戦闘機に使っているという。■

2014年12月21日日曜日

サイバー攻撃から技術を守れ


日本でも図面数万点を持って行かれたメーカーの事例がありましたが、莫大な量の情報流出が新型装備になって跳ね返ってくるのではたまりません。目的の為なら手段を選ばない思考の中国に対抗するために今後はセキュリティが強化され、米国産業界は警戒心を強めるでしょうね。サイバー攻撃はこれまでの軍事常識と無関係のため、とまどう国防関係者の様子が伺えます。日本ものんびりしていられませんね。

Industry Fears Massive Losses Through Espionage

Aaron Mehta,2:23 p.m. EST December 19, 2014
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(Photo: Johannes Eisele/Getty Images)
原注 FBIが北朝鮮によるソニーピクチャーへのサイバー攻撃を明らかにしたことでオバマ大統領から政府、民間に対して共同して情報保護の強化があらためて要請されているが、以下の記事は12月8日に執筆されたもの。
WASHINGTON – 米国産業界、ペンタゴン関連企業がどれだけサイバー攻撃の被害をうけているかを知るには先月の珠海航空ショーを見れば十分だ。中国はJ-31ステルス戦闘機およびJY-26"Skywatch-U"三次元長距離航空監視レーダーを出展している。
  1. 専門家が指摘するのは二例がロッキード・マーティンのF-35と三次元遠征展開用長距離レーダー Three Dimensional Expeditionary Long-Range Radar (3DELRR)と酷似していることだ。ロッキードが中国のハッカーにより情報流失したとの報道が2009年4月から出ており、業界では中国が情報を利用したとの意見が主流だ。
  2. 情報流出は米国産業界には数十億ドル相当の損失とブレット・ランバート (前国防次官補)が発言している。「ここまで大きな被害を受けたBrett Lambert例はない」とし、3,000億ドル相当の知的財産、しかも大部分は国防関係で米国は被害にあったとする。「一企業というよりも防衛産業全体の知的財産を保護しなくては。ただし、この点で民間は政府より一歩先を進んでいる」
  3. エアバスディフェンスアンドスペースのドミンゴ・ユレニャ・ラソDomingo Ureña Raso(軍用機担当副社長)も同じ意見で企業間で共通のリスクに対応する動きがあり、政府と民間企業はさらに協力してサイバーセキュリティを強化すべきという。
  4. 「ここ数年でサイバーセキュリティが大幅に強化されたのはこの協力関係のおかげです。必要に駆られて技術は進歩していきますが、需要があるのも確かです」
  5. では政府は追いつくことができるのか。米空軍はがんばっている。直近の長期戦略案ではサイバー能力を重要視いており、サイバー部隊を強化するとしている。
  6. 空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将 Air Force Chief of Staff Gen. Mark Welsh は「サイバー巡回」"cyber pilgrims"と呼ぶ空軍人員向けのサイバー知識拡充を提唱しており、第24空軍(サイバー軍)任せにしない方針だ。
  7. そこで参謀総長は空軍大学校に対してサイバー戦力整備の戦略案の起案を求めた。1月にその内容がペンタゴンに開示される。
  8. 11月には軍のトップがマックスウェル空軍基地(アラバマ州モンゴメリー)に集まり、産業界学界からサイバーについて学んでいる。空軍機動軍団、宇宙軍団の各司令官や海軍、陸軍、海兵隊の上級将官が受講している。
  9. 実務レベルではサイバーセンター設立の動きがあり、空軍大学校で学ぶ将校向けの研究教育機能が期待される。
  10. ただし、技術面では民間や研究機関が先行しているので軍は各界と協力するべきとの意見がある。また必要な予算も大型装備に比較すれば僅少である。
  11. ただしランバートは業界と政府が一緒に対応できるか疑問視している。「保護対象で全員が意見が一致しても情報はもう盗まれているだろう」■

2014年12月19日金曜日

★ レーダー飛行船でワシントンDCの空を守る実証が開始される




Radar ‘Blimps’ to Monitor Washington-area Skies

by BRYANT JORDAN on DECEMBER 16, 2014
Aerostat Balloon
レーダー探知用の飛行船一号機が今週金曜日にメリーランド州アバディーン試験場Aberdeen Proving Grounds から離陸し陸軍の対空監視機能を北米防空司令部North American Aerospace Defense Command (NORAD)に統合出来るかを試す三年間にわたる実証が開始される。
長さ80フィートレーダー搭載した飛行船は高度1万フィートで滞空し水平線より向こうの標的を探知可能で、敵のミサイル航空機や無人機を想定する。
二号機は地上固定式で自律的に飛行できないので気球の扱いだが、1月末に離陸する予定。
一機はVHFレーダーを搭載し、500キロメートル範囲を走査できるとレイセオンと陸軍が共同で設置した合同陸上攻撃巡航ミサイル防衛用上空センサーシステムJoint Land Attack Cruise Missile Defense Elevated Netted Sensor System, JLENSがDefense Techに今年6月に説明している。.
同レーダーは360度走査ができ、二号機に標的等の情報を伝えて、二号機がXバンドレーダーで正確に捕捉する構想だ。
NORADは今回の試行で得られるデータからJLENSがNORADの既存システムと親和性があるかを確認する。
今回の試みからペンタゴンの防空体制では無人機の脅威を重視していると見るのがDefenseOneの技術分野編集者ピーター・タッカーだ。
最近カメラ搭載した無人機がニアミスを起こした事案があり、連邦政府からは無人機をワシントンDC上空で飛行させないよう警告が出ている。
大型飛行船というとヒンデンブルグ号のニュージャージーでの炎上墜落を想起する向きがあるがJLENSに充填したヘリウムと空気は不活性ガスで燃えない、とNORADは説明。.
個人情報保護を気にする向きにはNORAD発表では監視装置を搭載していない言うのを聞けば安心できるだろう。「JLENS飛行船には住民識別用のカメラは搭載していない」■


2014年12月18日木曜日

★F-35整備拠点に日本、オーストラリアが正式に選定されました



なんとなく利益誘導のばらまきとも見えるのですが、業務量はそんなに多くないようですね。むしろお隣の韓国がこの選定に不満があるようです。シンガポールはオーストラリアに頼ることになるのでしょうか。FACO設置で(小牧になるのでしょう)ボグデン中将の微妙な言い回しからすると日本側がなかなか思い通りに動いていないと見ているのでしょうね。

Japan, Australia Selected for Pacific F-35 Sustainment

Dec. 17, 2014 - 03:23PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

WASHINGTON — 日本とオーストラリアを太平洋地区でのF-35機体・エンジンの重整備拠点に選定したとペンタゴンのF-35共同開発室が17日に発表した。
これにより日本とオーストラリアが太平洋の南北でそれぞれ重整備を受け持つことになる。エンジン重整備をオーストラリアは2018年に開始予定で、日本もその3年ないし5年後に追随する。重整備とは機体の修理・更新を意味し、機体隔壁や主翼の整備も含む。
オーストラリアは太平洋では唯一のF-35共同開発国であり、100機導入予定。日本と韓国は有償軍事援助で同機導入をめざし、それぞれ42機40機調達予定。
日本はこれとは別に最終組み立て点検施設 (FACO) の設置でも合意いているが、詳細は決まっていないと開発室長クリスボグデン中将は述べている。
立地上の制約から日本施設は上下に延ばすことで土地を有効利用することになるだろうとし、広い敷地に立地するイタリアやテキサスの既存施設と異なると同中将は述べる。
今回の太平洋地区での選定結果は先週のヨーロッパ地区の立地選定結果発表に次ぐもの。
イタリアのFACOはヨーロッパ地区の重整備を実施するが、イタリアが需要に応えられない場合は英国が業務を受託する可能性がある。トルコにはヨーロッパ初のエンジン重整備施設が設置され、その後ノルウェーやオランダが続く。
ヨーロッパではイタリアが需要を一手に引き受けるが、ペンタゴンが太平洋で施設をふたつにしたのは、あくまでも地理的な距離感が理由とする。またボグデン中将は第一期分として国際開発協力国や導入国への施設設置を決めたと強調。
各施設での業務量は未定だが開発室によればイタリアでは2018年から2022年の間に40機から50機分程度と見ており、工数は15万時間相当、金額換算で30から35百万ドル相当だという。
エンジンメーカーのプラット&ホイットニーから日本・オーストラリア両国へ祝辞が送られており、両国と「アジア太平洋地区でF135エンジンのトップクラスの補給処を立ち上げる」ことを期待するとしている。■


2014年12月17日水曜日

台湾: 潜水艦国産化へ動く

今年は潜水艦を巡る話題が目立ちましたね。台湾でも真剣に潜水艦の増強を検討しているところ、米国に頼らず国産化を進めざるを得ない状況にるようです。なお、台湾を国と書くと反対の向きもありましょうが、現に主権を維持し領土保全をしているので国問って何が悪いのでしょうかね。

Taiwan Pressing On With Local Sub Build

Dec. 16, 2014 - 02:56PM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments
Boat Options: Taiwan is considering basing its next submarine on the Dutch design used for the Hai Lung sub.
台湾は次期潜水艦でオランダ原設計の海龍型を原型に国産化を検討中。(Wendell Minnick)
TAIPEI —台湾は米国政府が2001年に約束したディーゼル潜水艦8隻の売却を当てにせず独自に潜水艦建造を進めると同国海軍関係者が明らかにしている。
2001年の取り決めが実現いていない背景には米国では通常型攻撃潜水艦の建造もはやおこなわれていないこともある。米国から供給が不可能なら、「国内建造に切り替える用意ある」と台湾海軍関係者は述べている。
台湾海軍では米国による有償以外軍事援助を想定しているが、米国務省はコメントを回避している
代替策として台湾は国産潜水艦建造事業 Indigenous Defense Submarine (IDS)を立ち上げており、仮に米国が売却できない場合でもIDSへ米国企業の参画可能だと上記海軍関係者は述べる。
上記海軍関係者の発言は台湾国防部副部長Kao Tien-chung が12月0日に立法部で行った証言で台湾国産潜水艦は2024年までに完成との見通しを示したことへの対応だ。
2013年から台湾はIDS関連のセミナーを連続して開催しており、オーストラリア米国、イタリア、フランス以外に国名不詳のヨーロッパより参加があり、台湾南部高雄の造船所CSBCの見学会では、IDS実施の場合にどこまで技術支援が必要かを判断する機会になった。
考えられる障害は中国政府による反対だが、各国企業は台湾向け契約の履行に前向きだ。
AMIインターナショナルで海軍関係のコンサルタントを務めるガイスティットGuy Stitt は台湾潜水艦国産化では米国の視点と中国の影響から自由な日本、韓国、インドの視点で区別する必要があるという。
米国には台湾への技術供与に抵抗があるという。台湾国内に中国工作員が多数暗躍しており、台湾に与えた技術が中国の軍備増強につながるとの懸念が残るというのだ。
韓国と日本はそれぞれ領土を巡り中国の強硬な態度を経験済みで、対中貿易依存度を徐々に引き下げている。「そのため一部構成部品の提供が実現するだろう。インドも国産化事業に理解を示すだろうが、提供可能な技術要素が少ない。、
これに対して海軍専門家のボブ・ニュージェントBob Nugent はIDSの実現には二種類の提携先国が必要だという。ひとつは設計建造にかかわる国、もうひとつは戦闘システム等の搭載で協力できる国だ。
ニュージェントによれば台湾には「暗黙知だが絶対必要な価値観が必要。関係者全員が不良ゼロを厳格に守り、目上のものに反抗することが必要となっても大日程、予算、業務目標を守ることだ」
現状では潜水艦建造に必要な経験を有する人材は台湾に足りず、それだけ提携各国の関与が必要だという。
IDSでは二つの選択肢がある。一つは現有のオランダ製海龍Hai Lung級(2,500トン)を原型に開発すること。もうひとつは1,500トン小型艦とすることだ。海龍級で台湾は知的所有を確立しているが海外の援助が一用だと上記海軍関係者は述べる。1,500トン級は新設計となり、この大きさが通常型潜水艦としては世界的に一番普通なためという。、
ソナー、潜望鏡、プロペラ、魚雷発射管の内外扉、魚雷発射の管制システムなど不可欠な重要システムの確保が最大の課題とニュージェントあ指摘する。
それに比べれば船体の設計建造ははるかに容易だが、それでも最大の難関は船体後部で、ここが最大のノイズ発生源となりステルス性を妨げるのだという。.
台湾海軍の説明では、潜水艦は台湾防衛の目的以外に水上艦の訓練用にも活用できる。海龍型は2隻しかなく、IDSと平行してその艦齢延長策が遠投されている。IDSの予算規模は明らかになっていないが、一号艦は試作おし、二号艦を海上公試に投入し、二隻ないし4隻の建造を想定しているという。
台湾は初期設計を2016年に開始する予定だ。UGM-84ハープーンミサイル搭載の可能性を問われた台湾海軍関係者は当初は無理としてもその後に可能性があると認めた。台湾はハープーンを米国から供与されている。■

2014年12月16日火曜日

★米海軍:X-47Bで無人空中給油実証を行う予定



UCLASSの仕様きまらないのはつまるところ中国のA2ADをどう突破するか、もっと言えば中国をどう扱う下でコンセンサスが出来ていないからでしょう。その間に空中給油の無人化技術を確立したいうのが今回の記事のメッセージでしょう。

Navy Could Test Aerial Refueling on X-47B in 2015

By: Sam LaGrone
December 9, 2014 12:13 PM

X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo
X-47B UCAS. Northrop Grumman Photo

予算確保の条件つきで、米海軍は試験中の空母運用無人航空機X-47Bの空中給油能力を来年早々にテストすると、海軍航空システムズ本部がUSNI Newsに明らかにした。


実施が決まればノースロップ・グラマンが自律型空中給油 autonomous aerial refueling (AAR)を無人戦闘航空機実証事業Unmanned Combat Air System demonstration (UCAS-D)の一部として行なう。

NAVAIRは代理機材でAARを実施済みでX-47Bのソフトウェアを検証しており、給油機との一連のやりとりを模擬していたが、実際の給油は行っていない。

X-47Bは二機あり Salty Dog 501およびSalty Dog 502と呼称され、そのうち一機に空中給油能力が装着されている。

今も結論がでていない次期生産型UAVとなるUCLASS(無人艦載監視攻撃機)の仕様でAARは争点のひとつだ。

UCLASSが安価で監視偵察を重視した仕様になるとAARを省略することになるが、武装を強化したステルス機としてUCLASSを想定する向きはAARは必須とし、敵地奥深くへの侵攻に必要だとする。

「海軍の想定は14時間超無給油連続飛行だが、ペイロードや探知性で犠牲が出る」とロバート・マーティネージ(前海軍次官補、現在は戦略予算評価センター)だ。「空中給油が可能になれば14時間もの長距離飛行能力の根拠が減る」(搭載能力を強化できる)■



2014年12月14日日曜日

★2015年の注目① 米空軍次期ジェット練習機T-Xの行方 ボーイングはSAABと組む



そもそも初等練習機からジェット中級練習機へというパイロット養成過程の常識が根底から検討直されるかもしれませんね。競争は熾烈なものになりそうですが、米空軍向けだけの需要ではなく世界各国への売り込みも図るのでしょうね。

Boeing Official: T-X Design Won't Be Unveiled Soon

Dec. 2, 2014 - 04:43PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

Pilots practice touch-and-go maneuvers in a T-38 Talon during training at Sheppard Air Force Base, Texas. The winner of the T-X competition will replace the service's T-38 trainers with 350 new aircraft.
タッチアンドゴー練習がシェパード空軍基地(テキサス)でT-38タロンを使って行われている。T-X選定の勝者はT-38後継機を350機納入する予定。 (Danny Webb / US Air Force)


ORLANDO, FLORIDA —ボーイングは独自設計で米空軍向け次期練習機T-Xの開発を続けており、2017年の契約交付を期待しているが、同社関係者によれば社内審査はまだ先のことになるという。
ボーイングディフェンスで練習機事業を総括する副社長ボブ・ガウワーBob Gower は記者の質問に答え、「同機ファミリーのロールアウト日程は未定で新型機となるかも未定」と発言している。
ボーイングはT-X事業で固く秘密を守っており設計案の片鱗でさえ外部に漏れ伝わっていない。
わかっているのはボーイングがスウェーデンのSaabと提携して米空軍の要求内容に合致する機体を開発しようとしている点だけだ。ボーイングディフェンスのトップ、クリス・チャドウィック Chris Chadwick含む同社幹部はグリペン戦闘機を改修した機体にはならないと一貫して発言している。
T-X選定の最終勝者はT-38後継機として350機の新規受注を獲得することになり、その規模から業界に相当の関心を呼んでいる。
ボーイングの競争相手はホーク高等ジェット練習機システムBAEシステムズノースロップ・グラマン共同事業)、ロッキード・マーティンが推す韓国航空宇宙工業のT-50、ジェネラルダイナミックスとイタリアのアレニアアエルマッキがM-346を発展させたT-100の各機だ。テクストロン・エアランドも新型機スコーピオンの練習機型で参入する。
ガウワーによればボーイングは空軍が予定通りの工程表を守ると考えている。またT-X予算はいまのところ確保されているが、次期議会が予算をどう扱うか次第で状況は簡単に変わることをガウワーも意識している。
「今のところ当社の顧客は日程表通りに進めているようで、決定は2017年になり、初期作戦能力獲得は2023年想定です。予算のやり取りが発生するでしょうが、当社としては粛々と進め、当社のシステムファミリーは予定通り開発を進めます」■


2014年12月13日土曜日

オスプレイを攻撃任務に想定する米海兵隊の動き


なるほど海兵隊はオスプレイのミッション拡大を狙っており、F-35Bの岩国配備ともリンクした計画を有していることがよくわかります。攻撃、輸送、給油、さらに通信中継と多様な期待があるのですね。

Osprey Fires Guided Rockets And Missiles In New Trials

Dec 8, 2014Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology


ロッキード・マーティンKC-130ハーキュリーズを武装偵察機材に変えた米海兵隊はV-22オスプレイでも同じことをしようとしている。.
  1. 全ての機材にセンサーや武装を施すというのが海兵隊の持論であり、V-22メーカーのベル・ボーイングは自社予算でオスプレイに前方発射兵器を搭載し実証した。
  2. 実証はユマ試射場(アリゾナ州)で、戦闘機への空中給油能力、電子戦機材、通信中継機材の機能実証後に行った。
  3. もともとCH-46シーナイト輸送ヘリの代替機として高速兵員輸送任務お想定していたオスプレイが大きく異なる想定になってきた。
  4. 今回海兵隊が試用した前方発射兵器能力は攻撃が主眼で、地上部隊の支援や戦闘機の一部任務を肩代わりすればAV-8ハリアーやF-35を別任務に振り向けることができる。
ベルとボーイングはテスト機材を使ってオスプレイで前方発射兵器の運用を実証する Credit: Bell Helicopter
  1. ベルはテスト機を投入し、海軍航空システムズ本部の承認を必要とせずに改修を迅速に行った。
  2. 実証テストでは2.75インチ非誘導ロケット弾26発を5回のフライトで発射し、誘導ロケット弾2発はBAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システムとして発射している。後者はすでに海兵隊が採用済みだ。さらにレイセオンのグリフィンB軽量精密誘導ミサイル二発も発射した。オスプレイはホバリングモード、速度110ノットでエンジンナセルを60度にした状態の双方で発射している。
  3. 「非誘導型ロケット弾の発射で機体にかかる荷重のチェックができました」とベルヘリコプターは語る。「非誘導型ロケット弾を発射すれば悪いやつらは頭を下げる。オスプレイには誘導型兵器も搭載できます」
  4. 機体前部に小型パイロンアームが機長コックピット下にとりつけられあ。機体構造が7発のロケットポッドもしくは同様の重量の兵装の装着に耐えられることが分かった。機首下に標準装備のレイセオン製AN/AAQ-27A電子光学式(EO)カメラの代わりに、L-3ウェスカム製MX-15センサーにレーザー照準器を搭載し、コックピットから作動切替し、乗員が任意に目標を捕捉できるようになった。
ベル・ボーイングはテスト機左側にパイロンを追加装着したほか、新型センサータレットを機首下に付け加えた。Credit: Bell Helicopter
  1. ロケット弾発射時の熱と破片から降着装置を収納したスポンソンを保護するため、技術陣は表面に保護塗膜を施した。
  2. 攻撃能力の付与の検討は2月に開始され、空軍特殊作戦司令部が特に関心を示していた。ベルは今秋の実証に間に合う形で仕様固めをした。テスト機はそれに先立ちニューメキシコで高温高回転エンジンテストに入っていた。
  3. オスプレイに武装を与える構想は前からあり、もともと防御用に側面ドアに機関銃を装着していたが、BAEシステムズは 7.62-mm ガトリング銃を貨物スペースに搭載する装備を開発していた。ただし、この装備は重量が大きく、アフガニスタンでは使用されることは少なかった。
  4. 強化パイロンの追加で大重量兵装の装着が可能となり、ガンポッドもつけられるが、反動発生のため機体との一体化は複雑になるという。理想だけでいえば、海兵隊・空軍ともに機首に武装をつけ、ヘルメットの視野と直結して、着陸地点で急に表れる敵を排除したいのだ。
実証では高性能戦術ティルトローター機が非誘導型、BAEシステムズの誘導型ロケット弾を発射したほか、レイセオンの精密誘導ミサイルも発射した。Credit: Bell Helicopter

  1. 海兵隊の2015年度航空運用計画ではオスプレイの威力増大では武装の追加に加え新型目標捕捉ポッド、ビデオデータリンク、ソフトウェア変更可能な無線装置、飛行中の通信ゲイトウェイ機能も想定し、オスプレイを空中通信中継基地とすることを想定する。
  2. またオスプレイはKC-10エクステンダーからの空中給油が許可され、長距離の展開が可能となった。今後はKC-46や民間空中給油企業Omega Aerial Refueling のボーイング707の利用に拡大する。海兵隊はMV-22による空中給油能力の実証テストを2013年秋に実施しており、予定されるF-35Bの日本配備2017年夏までに対応可能にしようとしている。■