2017年7月17日月曜日

中国軍のジブチ基地新設の意味を考える


AP

すでにお知らせしている話題をさらに掘り下げた内容です。ソマリア海賊対策は中国が各国と協調せず単独行動しているのですね。とにかく中国は戦略思考で次の手を打ってきますので対抗するためにはこちらも小手先の対応ではなく戦略思考が必要なのです。将棋に関心が集まっているのは良い兆候かもしれません。

Here's What You Should Know About China's New African Base 中国のアフリカ新基地で知っておくべき事項

Chinese forces in Djibouti are just the latest sign that the country wants to expand its military presence abroad. ジブチの中国軍部隊は中国が軍事プレゼンスの海外拡大を願目指す最新のあらわれ


 BY JOSEPH TREVITHICKJULY 14, 2017

  1. いかに規模が大きくても自国外で長期間活動できない軍事力は国土防衛の域を越えられない。冷戦終結後の中国人民解放軍は世界規模のプレゼンス拡大に向け努力してきた。中国軍はアフリカの角を回り初の恒久的海外基地を手に入れ、アフリカ各地への展開の拠点にしようとしている。
  2. 2017年7月12日国営メディア新華社が同国初の「支援基地」があるジブチに向けた隊員装備の第一陣が出発したと報じた。中国は2015年に構想を発表し翌年から首都ジブチシティで施設建設を始めていた。
  3. 「支援基地は中国部隊によるアデン湾商船護衛任務、人道救難活動他国際責任の執行に役立つ」と新華社は述べ、中国外務省報道官耿爽Geng Shuangの発言内容を伝えた。「さらに同基地はジブチの経済社会的発展を推進し、中国によるアフリカ並びに世界全体での平和安定への貢献の一助となる」
  4. 確かに上記の機能は実現するだろうが、基地をよく見ると国際的な活動強化を進めるPLAの動きに一致する点が見られる。この基地は中東、欧州さらにその先に展開する中国の拠点になるはずだ。
XINHUA
半潜水式輸送艦東海島で中国軍をジブチ新基地に運ぶ。

中国は何を狙っているのか?

  1. 中国は同基地の情報に神経質になっており、基地内の装備配備についてほとんど何もわからない。公式ルートでも耿報道官、PLAN司令官Shen Jinlong沈金龍中将のいずれも追加情報を出していない。以前の報道どおりなら約1,000名の中国軍関係者がジブチに駐留しそうだ。
  2. 公式には同基地の機能は「補給支援」のPLAN部隊への提になっている。中国艦船はアデン湾に2008年以来展開しており、民間商船を海賊他の危険から守っている。中国部隊は多国籍海賊対策部隊には属さず、中国は国連安全保障理事会決議に準拠して独自にミッションを展開している。
  3. 「支援施設は主に中国軍関係者の休養復旧用に使い、アデン湾やソマリア沖での活動さらに国連平和維持活動や人道救難活動を念頭に置く」と中国国防省はニューヨークタイムズに2017年2月に書面で回答している。だが気になるのは「主に」という言葉だ。
  4. フォックスニューズは一般公開の衛星画像を2017年7月に入手し、同基地で大規模工事が続いている様子がわかる。目に付くのは建設中の航空施設でヘリコプターあるいは無人機運用に供されそうだ。少なくとも七つの建築物が格納庫に見え、エプロンがつないでおり、駐機、燃料補給、武装搭載に使うのだろう。さらに中央の建物は管制塔並びに指令所になるのだろう。
Photo published for Satellite images show progress at China's first African base

Satellite images show progress at China's first African base

  1. 2017年7月4日の衛星画像では工事は未完了で航空機の姿は見えない。ただし施設規模から中国製無人機Wing Loong、Wing LoongIIの運用は可能に見える。ほぼMQ-1プレデターに匹敵し武装、偵察装備が可能で、飛行距離が2,400マイルといわれる。無人機でアデン湾、紅海さらにアラビア海、インド洋に武装偵察を行うことが可能となる。また陸上を飛行させ東アフリカに向かわせれば中国軍が国連平和維持部隊の一部として参加している南スーダンも飛行範囲に入る。ヘリコプターで人員物資を輸送し、傷病兵や避難民を艦船に輸送する拠点にもなる。
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Will China deploys UAVs to Djibouti?
  1. 同基地の支援任務に対する期待を見せたのがPLA部隊第一陣の出港式典で071型井崗山Jingangshan揚陸艦と東海島Donghaidaoの二隻が見られた。後者は2015年就役の半潜水式補給艦で排水量およそ2万トンでコンセプトは米海軍の移動式上陸用拠点艦に近い。
  2. 東海島のような特殊艦は大型貨物輸送以外に洋上拠点として揚陸活動等を支援する狙いもある。中国は同艦を以前にも公開しており、南シナ海でエアクッション揚陸艇の母艦としていた。PLANの大洋艦隊化の象徴のような艦だ。

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中国が本当に求めるものは何か?

  1. 中国がジブチに恒久基地を求める理由は見せかけに過ぎず真意と違うと疑う証拠はない。1990年代以来中国の軍と警察部隊は国連の平和維持活動の重要な一部になっており、2015年時点でおよそ8千名が国際機関の予備部隊に登録され全体の五分の一を占める存在だ。活動の中心はアフリカだで中国はアフリカ連合の平和維持活動へも積極的に得印しており、1億ドルを拠出している。
  2. 2016年12月までに南スーダン以外に中国はコンゴ、リベリア、マリ、ダルフール地方へも国連部隊の一環として介入しており、レバノンにも人員を派遣している。中国は各地の活動で最大の貢献をしており、なにより安全保障理事会常任理事国でもある。
  3. この事とアフリカへの経済連携の強化が完全に一致する。特に資源掘削部門で中国はつながりを強めている。中国陣作業員は各地に展開し、アフリカ連合の新本部ビル建設がエチオピア首都アディス・アベバにはじめると中国は建設費全額2億ドルを拠出し、「アフリカへの中国からの贈り物」として知られるようになった。ソフトパワー外交でアフリカ各国へすりよっているが各国住民には必ずしも歓迎されていない。
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ジブチ大統領イスマイル・オマル・ゲレは胡錦涛主席と2012年に北京で会談していた
  1. アフリカで独裁政権をアメリカが支えているとの非難がよく出るが、北京の専制主義政権にとって人権侵害のような話題は関心外であり長年にわたり「他国の内政に干渉せず」と同様に自国へも他国の干渉を排除している。この姿勢のため圧政的な政権に人気が高い。米国はじめ西側世界が協力を拒むスーダン、エリトリアのような政権だ。ジブチでも国際監視団体、人道団体ならびに反対政治勢力は大統領イスマイル・オマル・ゲレ率いる与党人民進歩党が選挙を不正操作いたり反対勢力を弾圧し、でっち上げの罪状で反対派を投獄していると非難の声を上げている。
  2. 政治経済でアフリカへの関与を深める中国は危機発生時をにらんだ軍事対応の拠点づくりが必要だった。2011年にリビアで独裁者ムアマ―ル・カダフィが放逐されると中国は国内の自国民35千名の国外脱出の必要に直面した。2014年にも同様の状況が発生しギリシャなど他国の助けを得て実施している。イエメン内戦では600名と規模は小さいが同様の対応に迫られた。
  3. ソマリア沿岸の海賊を追跡して航行するだけでもPLANの補給活動は困難を極めていた。「中国幹部、乗員向けの糧食燃料の補給が難しくなり、ジブチから数回にわたる支援が提供された」と中国外務省報道官耿爽が2017年7月に謝意を述べている。
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南スーダンに向かう中国軍隊員
国際軍事大国としての中国
  1. ただしこうしたミッションよりもっと大きい構図がある。ジブチ施設は域内安全保障を超えて軍事プレゼンスを海外に広げたい中国の熱望を実現する第一歩だ。ジブチの戦略的な位置はスエズ運河に近く、中国艦隊が自由に使える通過地点になる。また中国に必要なエネルギー・鉱物を中東、アフリカから輸送する商船の護衛にも有益だし、PLAの作戦用燃料他補給物資の集積地にもなる。中国が空母打撃群を遠征させる際にも必要だ。基地が完全運用を開始すれば、中国初の空母遼寧および護衛部隊が定期的に寄港するのは確実に思える。
  2. 海外基地獲得はPLAの陸上部隊削減と時期があっている。2015年に30万名が削減されており、今回の第一陣出港の前日にPLAはさらなる陸上兵力削減案を発表し兵力は百万名を下回ることとし、残る兵員をPLAN含む別部門に配分し、海外作戦支援体制を整備するとしている。
  3. 「この改革でロケット軍、海軍、空軍、戦略支援軍(電子戦・通信担当)へ回す資源を増やす。PLAは海外作戦能力を拡充する」と徐光裕Xu Guangyu(政府資金で活動する中国軍事管理軍縮協会China Arms Control and Disarmament Association上級顧問)が環球時報(中国共産党公式新聞)に語っている。「PLAには敵対勢力が12カイリの領海に入る前に数千カイリ先の地点で探知排除する能力が必要だ。中国の海外権益は世界に広がり保護が必要だ。こうなると陸軍の役割を超えた範囲になる」
  4. そこで中国軍がジブチに向かい、これとは別にPLAN艦船三隻が地中海を「親善航行」中でも驚くにはあたらない。これとは別の小戦隊が地中海でロシアと共同演習に向かっている。共同演習2017は黒海で実施される。両国は2005年以来共同海軍演習を7回実施している。昨年は問題の多い南シナ海で行い、「島しょ占拠ミッション」をはじめて展開した。PLANはアフリカ、中東各国との演習を強化するだろう。それ以外に中国は各地への公式訪問が容易になり存在感を増やすはずだ。

緊張増加の可能性

  1. PLAが国際舞台で存在感を強めるのを懸念して見つめる国は多い。米国もそのひとつだ。ジブチ基地開設で懸念から緊張が増す。ジブチは小国だがすでに米、仏、英、日の各国軍に拠点を提供している。イランやアラブ首長国連合も外国軍へ基地提供を検討中だ。
  2. 米軍はジブチを東アフリカ、アラビア半島での作戦拠点としており、キャンプ・レモニエおよびチャベリー飛行場は拡張を続けており、無人機攻撃や特殊部隊の拠点としてソマリアやイエメンをにらんでいる。ここ数年で同地区で米軍への脅威が高まっており、イエメン反乱勢力が巡航ミサイルで米艦船を攻撃したり機雷を敷設している。隣国のソマリアでは極秘対テロ作戦が拡大中でジブチの戦略的意義は今後も増えそうだ。
  3. 米軍指揮官層には中国軍と共有する空間で機微性の高い作戦を展開することに特に怯える兆候はない。米軍からは「米軍にとって重要で中国軍には実施してもらいたくない事柄への懸念」をゲレ大統領に伝えているとトーマス・ワルドハウザー海兵隊大将(米アフリカ軍司令官)が議会で2017年3月に述べている。
  4. 「同等の国力のある他国基地はこれまでなかったので、少なくとも今回の用に近接した場所にはなかったので、たくさん経験できることがあり学ぶことも多い」とワルドハウザー大将はBreaking Defenseの取材で語っている。「確かに作戦保安上の懸念は高いですが」
  5. 同大将はいずれの発言でも懸念の内容を直接述べることはなかったが、ここまで近くに中国軍関係者がいることで双方がスパイ活動に走ることになりそうだ。中国には米軍の活動ぶりを観察する絶好の機会となる。北京がゲレ大統領にさらに圧力をかけて米軍への基地提供条件を変更あるいは無効化する可能性も憂慮する向きもあるが可能性は低い。合意内容は数百万ドルの効果を生み、同時に米軍関係者多数にくわえ支援委託業者が駐留することで経済効果も生まれている。現在の戦略的な意義を急いで反故にする必要も双方にはない。
  6. 「バブ・アル-マンデブ海峡(イエメン-ジブチ間)は海上交通の要所でエネルギー、海運、安全保障上から重要です」とジェフリー・グレシュ博士(国防大学校准教授・国際安全保障研究学部)は解説する。博士はGulf Security and the U.S. Military: Regime Survival and the Politics of Basingの著者でもあり、記者にEメイルで「ジブチはアフリカ全体の出入り口で重要な地点」と解説してくれた。
  7. 目的が何であれ中国の基地設置で出入り口がはちょっと混雑しそうだ。■

日本が北朝鮮先制攻撃を実行すればこうなる



韓国が北朝鮮の脅威に鈍感と揶揄する向きがありますが、現在の日本こそ北朝鮮脅威に晒されていることを認識すべきでしょう。前回の朝鮮戦争のように日本が後方で安全でいられる保証は全くなくなっていますし、日本に三回目の核攻撃が加えられる可能性が現実になっているのです。国内問題や有名人のスキャンダルには好奇心丸出しでも考えたくない問題には目をつむるのであれば自ら破滅への道を歩んでいるとしか思えません。記事の先制攻撃構想ですが、日本単独での実施は非現実的なのですが、今後はその方向で整備していってもいいのではないでしょうか。GDP1パーセント枠という制約ですが、トランプはNATO加盟国に2パーセント公約の実施を迫っていますね。


 

How Japan Could Someday Stop a Nuclear Strike from North Korea
近い将来日本は北朝鮮からの核攻撃を阻止する

The National InterestKyle Mizokami July 16, 2017


  1. 日本に最悪の想定だ。航空自衛隊所属のRQ-4グローバルホークが北朝鮮の中距離弾道ミサイルの発射準備を探知。燃料注入があと数時間で完了する。ここ数日にわたり北朝鮮は日本を「核の炎の壁」で消し去ると強い口調で主張していた。総理大臣がミサイルの発射前に撃破する先制攻撃をしぶしぶ承認する。
  2. このシナリオはフィクションで日本に先制攻撃能力はまだない。だが日本が先制攻撃に踏み切ったら成功の保証はあるのだろうか。
  3. 世界有数の平和国家として日本は軍事能力を自国防衛の範囲に厳しく自制してきた。攻撃手段とされる大陸間弾道ミサイル、長距離爆撃機、航空母艦は保有していない。核攻撃を受けた唯一の国日本は核兵器を忌避する強い国家政策をとっている。
  4. こうした政策で日本は70年にわたり平穏を享受してきたが、北朝鮮の核兵器とミサイル開発で状況は複雑になってきた。日本は弾道ミサイル防衛網を二重に整備し、SM-3ブロック1B迎撃ミサイルをイージス駆逐艦に搭載し日本本土を面で防衛し、ペイトリオットPAC-3を局所防衛特に東京を意識して配備している。この装備で効果あるとし、日本は先制攻撃という積極的防衛策はとらなかった。
  5. これが変化しつつある。ここ数年で北朝鮮のミサイル脅威ならびに尖閣諸島をめぐる中国との紛糾に対応して攻撃兵器を巡る政策を緩めてきた。禁じられてきた攻撃を主眼とした部隊が揚陸部隊として生まれ、対外勢力が占拠した日本固有の領土の奪還が存在意義だとされている。
  6. その中で日本が対地ミサイルを取得し北朝鮮へ先制攻撃に使うとの報道が二回出た。2017年5月に産経新聞がトマホーク陸地攻撃巡航ミサイル導入を安倍政権が検討中と伝えた。6月には読売新聞がノルウェー開発の共用打撃ミサイルがF-35戦闘機で運用可能で「有望候補」と伝えている。
  7. 政府は記事内容を否定しているが、現政権が北朝鮮核兵器に対応すべく積極的手段の導入に前向きなのはよく知られている。新規編成の揚陸部隊と同様に攻撃兵器は「防衛的に」利用可能だ。日本の先制攻撃はどんな形になるのだろうか。
  8. 先制攻撃というと大胆で決定的な効果がある作戦案に聞こえるが実際はかなり複雑だ。日本が攻撃に踏み切り金正恩が攻撃の難を逃れれば日朝戦争がはじまる。とくに。初日の日本の攻撃はハチの巣を叩く結果を生み、航空作戦が数週間続くだろう。狙いは移動式ミサイルの破壊だ。一基でも破壊に失敗すれば、日本にはおおきな被害が生まれる。一回目は奇襲攻撃となるが、以後繰り返し攻撃が加えら12日続きそうだ。
  9. 第一段階として情報収集・監視・偵察(ISR)機材の拡充が必要でミサイル発射の兆候を探知するだけでは不十分で移動式ミサイル発射装置の監視探知が必要だ。衛星監視体制はさらに拡充し、高高度長時間監視無人機RQ-4グローバルホークも導入予定の3機では不十分だ。北朝鮮国内の道路網は舗装道路延長800キロと貧弱とはいえ、先制攻撃後の監視体制が死活を握る。日本からの攻撃を受ければ以前には弾道ミサイル発射の意図がなかったとしても確実に発射に向かうはずだ。
  10. 第二段階は精密兵器の導入で、過去の日本政府は自ら禁じてきた。トマホークと共用打撃ミサイルが候補でトマホークは北朝鮮国内で既知の核施設を練られる。F-35Aに共用打撃ミサイルを搭載し移動式ミサイルを追跡させる。
  11. 一方で日本は北朝鮮上空で大規模航空作戦を行うことになろう。F-15Jが戦闘哨戒飛行をしF-35等の日本機を北朝鮮人民空軍さらに中国の妨害から守る。航空自衛隊の捜索救難部隊は北朝鮮沖合に待機し、墜落機パイロットの救難にあたる。4機しかないKC-767J空中給油機では全く足りない。東シナ海でも警戒を怠ることが許されない中で交替任務にあたるためには20機が必要だ。
  12. 北朝鮮上空の航空作戦は極めて複雑になるが、これを実施しないと日本国内の一般市民数十万人の生命が奪われることになる。北朝鮮は核兵器を10発ないし20発保有との推定がある。うち3発が投下されれば15万名が命を失い、日本人のみならず訪日中の各国国民も犠牲になる。新宿が爆心地の場合の死亡数は6万、負傷者数は10万6千名超との推定がある。大阪が核攻撃を受ければ死亡5.3万、負傷11.7万との試算が出た。横田空軍基地内の航空自衛隊司令部が標的になれば死亡2万、負傷4.5万になる。
  13. 日本が先制攻撃能力を整備するのは不可能ではないが、一般に考えられている以上に困難だ。航空作戦実施に必要な戦力整備に踏み切ればGDP1パーセントとの防衛支出上限は撤廃する必要が生まれる。だが「攻撃」兵器の保有禁止政策と同様に政策変更は可能だ。もうひとつ安全保障上で懸念になるのはGDP200パーセント超という日本の債務問題だ。どちらの方向を選択するにせよ日本には大変なことになる。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image:  ANDERSEN AIR FORCE BASE, Guam - Japan Air Self Defense Force F-2A taxis down the runway here during an exercise for Cope North Feb. 5. Cope North 09-1 is the first iteration of a regularly scheduled joint and bilateral exercise and is part of the on-going series of exercises designed to enhance air operations in defense of Japan. ​Wikimedia Commons


2017年7月16日日曜日

中国初の海外軍事基地ジブチが完成目前、第一次派遣部隊が中国を出港



中国が初めて手に入れた海外基地をどう活用するのか、各国が注視するでしょう。説明と実態にかい離があれば大変です。また今後も別の場所に中国が狙う海外基地の運用にも参考となるはずです。この話題は重要なので後日別途記事を掲載します。


China sends first troop contingent to Djibouti base

中国が海外軍事基地ジブチへ初の戦闘部隊を派遣

 Andrew Tate - IHS Jane's Defence Weekly
12 July 2017

写真:7月11日PLAN揚陸強襲艦がジブチの中国軍支援基地に向け広東省湛江を出港した。(新華社)
  1. 中国人民解放軍海軍(PLAN)がジブチに向け初の部隊を派遣している。ジブチでは中国初の海外軍事支援拠点がまもなく正式に発足し、派遣はそれに先立つもの。
  2. 071型揚陸艦井岡山Jinggangshanおよび半潜水型支援艦東海島Donghaidaoが南海艦隊基地のあるをPLAN陸戦隊員を乗せ7月11日出港した。出港式はPLAN司令官沈 金龍Shen Jinlongおよび海軍政治委員苗華Miao Hua大将が見送った。
  3. 陸戦隊派遣はPLAN施設がまもなく稼働開始することを意味している。隊員は基地保安あるいは海賊対策の予備兵力の想定だろう。
  4. 出港式典中の井岡山の飛行甲板上に陸戦隊員80名ほどが確認できほかにも隊員がいるのかは不明。071型は兵員650名の収容が可能と見られ、そのほか車両装備も搭載できる。
  5. ジブチ施設は中国の軍事・人道支援活動を支援する目的があると2015年11月に中国外務省が声明を出していた。
  6. 「該当施設の建設により中国の海軍陸軍は国連平和維持活動に一層参加しやすくなり、海賊対策の海上護衛ミッションをソマリア沖およびアデン湾で展開し人道支援を提供する」と外務省報道官は述べていた。
  7. 施設の場所はドラレ多用途港湾施設(MPP)の付近であり、同MPPの建設は中国国家建設技術企業(CSCEC)が今年5月に完工した。同MPPは石油貯蔵ターミナル施設にも近い。■

F-35機体価格が上昇中、総経費は170兆円超へ


F-35の数字ゲームはどんどん変化していきますが基本的にインフレを期待しているとしか思えない内容です。日本のように20年以上デフレでインフレ経済拡大の概念を忘れかけている国には数字がどんどん変わっていくのは脅威ですね。
Aerospace Daily & Defense Report

F-35 Costs Rise; U.S. Marines Sign Up For 13 More

F-35経費が上昇中の中、米海兵隊は13機追加調達へ

Jul 11, 2017Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report

Photo:F-35: U.S. Air Force
  1. ロッキード・マーティンF-35の調達総合経費が昨年比で7パーセント近く上昇している。主原因は米政府が同機調達のペースを落としていることだとペンタゴン最新試算が明らかにした。
  2. 価格上昇にもかかわらず米海兵隊はF-35B調達機数を13機追加し353機にしている。この事実はこれまで公表されていなかったが2016年版特定調達事業報告書(SAR)で明らかになった。
  3. ペンタゴンのF-35総合調達経費は2014年から2015年にかけて(当時のドル価格で)121億ドル減少しており3.2パーセント減だったが2016年にふたたび上昇に転じ275億ドル(6.8%)上昇したと最新のSARが説明している。予定2,456機のF-35の調達経費は研究開発試験評価(RDT&E)分や調達・施設建設(Milcon)含め4,065億ドルになっている。
  4. 増加の理由として米政府による同機調達の減速が今後続くことがあるとF-35統合事業運営室(JPO)は説明。米空軍は年間調達機数の上限を80機から60機に減らしており、調達期間を6年延長した。このため最終調達は当初2038年度だったが今は2044年度になっている。
  5. この延長に年間生産機数の削減が加わり調達経費の総額が増加したとJPOは説明している。
  6. SARから調達の減速から機体単価にも影響が出ているのが分かる。これについて予算強制削減でF-35の調達機数が減速すると価格上昇につながるとロッキードとペンタゴンは繰り返し警告していた。2016年度版SARによると空軍向けF-35Aで加重平均機体単価を供用期間全体で試算した数字は当時のドル価格で100.6百万ドルだったのが111.3百万ドルに増加している。海軍向けF-35Cでは110.7百万ドルが112.4百万ドルになった。F-35Bでは逆に下がっており、123.4百万ドルが122.9百万ドルになったのは13機追加調達のためだ。
  7. F-35A、B、C各型の最新の生産バッチ単価は当時のドル価格でそれぞれ94百万ドル、122百万ドル、121百万ドルだった。
  8. 総合事業経費には60年供用の前提で運用、維持を想定しており、1.8%つまり275億ドルと微増し、最新のペンタゴンが把握する費用合計は1.53兆ドル(約173兆円)である。
  9. RDT&E経費は比較的安定しており、上昇幅は400百万ドルにすぎない。この原因として開発段階の修了に伴う追加経費が上乗せされているとJPOは説明。
  10. 反面、運用支援経費試算が353億ドル増加しているのはペンタゴンの最新燃料価格予想と同機の海外転換構想の変更によるものが大きいとJPOは述べている。■

北朝鮮が開戦に踏み切れば悲惨な結果しか生まれないはずだが....



自国民が飢餓に苦しんでも(現在の世界で飢餓が発生している国も稀有ですが)平気でミサイル開発を進め、さらにその動機が自己の権力基盤の維持という狂った思想に支配され、偽札、麻薬、密輸、殺人などあらゆる悪行を正当化している北朝鮮は史上最大の反社会的勢力と言っていいのではないでしょうか。その体制の温存などもってのほかで、自浄努力が期待できないのなら正当性のない体制を破壊してもいいと考えるのですがいかがでしょうか。



How North Korea Could Go to War

北朝鮮が開戦するとしたらこうなる

The National InterestRobert Farley
June 29, 2017

  1. 朝鮮半島で熾烈な戦闘が止んで60余年たつが半島の分断状態は冷戦の遺産のままだ。韓国が経済繁栄と民主政体を確立したのに対し北朝鮮は冗談の種といったところだ。.
  2. にもかかわらず朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)は弾道ミサイル技術開発を進め核兵器開発に成功し世界最大規模の兵員数を維持している。平壌は韓国への挑発的態度を隠そうともせず海防艦天安を撃沈したほか、韓国内に砲撃も加えている。
  3. 1950年代以降の半島は比較的平穏な状態だが米韓両国は恐れているのは北朝鮮が問題解決には開戦しかないと判断する事態が来ることだ。
  4. 北朝鮮が開戦しか解決策がないと判断したら韓国を制圧し、米国や日本の動きを抑えられるのか。
タイミングがすべて
  1. 資本主義が世界で崩壊するのを北朝鮮が一貫して望んでいる。楽観視すぎるが、韓国が1997年のアジア金融危機で大きく傾いたことを思い出してほしい。2008年の金融危機でも世界各国が大損害を被り、日本は経済苦境を乗り越えられないままのようだ。
  2. 世界規模の経済崩壊で資本主義が終焉しなくても別の形の危機が日米間の関係を厳しくする可能性がある。
  3. 北朝鮮が望む戦闘状況では米国を関与させずにおけるかがカギでこのため高度の抑止力を使うか、既成事実を突きつけるかのいずれかで実現する。
  4. 日本との状況は一層複座だが、日本は北朝鮮を脅威対象と見ており、開戦となれば韓国軍支援以上に何らかの直接介入に向かうのは確実だ。
  5. 北朝鮮が攻撃に踏み切るとしたら米韓連合軍が北への総攻撃に出るのが必至と判断するときだろう。軍事バランスは先制攻撃に出る側に圧倒的に有利になる。
戦闘では…
  1. 北朝鮮の勝利条件は韓国軍をどれだけ迅速に打破できるかで左右される。ただし北朝鮮が中国の後ろ盾を得ていると米国と日本が認識するのが条件となる。
  2. 北朝鮮の攻撃方法は古典的といえる20世紀型の強襲で火砲で韓国防衛線を寸断し、脆弱な位置を割り出し、(あるいは民間人のパニックを作る)、歩兵部隊が防衛線を突破し、機械化部隊が脆弱地点を蹂躙するというものだ。
  3. 朝鮮人民軍の空軍部門は装備が老朽化しており、ロシアや中国の近代技術もここ数年導入していない。韓国空軍と比較すれば制空能力はごく限られており、戦闘機は訓練の行き届いた韓国パイロットには容易な標的になる。朝鮮人民軍も航空支援はほとんど期待できず空爆下で悲惨な状況になるだろう。
  4. 解決策として北朝鮮は大量の対地攻撃巡航ミサイル、短距離弾道ミサイルで韓国空軍基地を攻撃し、多数の機体を地上で破壊し施設機能を奪おうとするだろう。
  5. 朝鮮人民軍海軍は二つの役割を果たすはずだ。攻撃面では韓国海軍の主要艦(独島級揚陸艦、世宗大王級誘導ミサイル駆逐艦)を潜水艦と巡航ミサイルで狙い、港湾機能も破壊するだろう。防衛面では沿岸地防御とともに揚陸作戦阻止をねらうはずだ。ともに1950年戦で懲りたはずだからだ。
  6. 攻撃は韓国内港湾施設に向けられ大規模な増強装備の入港を阻止する目的がある。通常型弾頭の弾道ミサイルが用いられるはずだが重要目標には核あるいは生物化学兵器も選択するかもしれない。釜山がその例だ。
  7. 運が良ければ(北朝鮮には相当の幸運が必要だが)朝鮮人民軍は米軍韓国軍を敗退させソウル進入路数か所を占拠することができ、ソウルを陥落させ半島各地への進軍を狙うだろう。あるいはそこで進軍を止めて自国に有利な立場で和平交渉に出るかもしれない。決断は戦術状況次第だが北朝鮮の目指す目標が半島再統一なのか現政権温存なのかでも決まるだろう。
外交の出番も残る…
  1. 戦闘が長引けば北朝鮮は不利となる。そうなると平壌は中国の支援がないと終戦させられず戦闘で獲得した成果も保持できなくなる。
  2. だが北京が北朝鮮の侵攻で生まれた成果を保障する役割を受け入れるのはなぜか。
  3. 北朝鮮政権への親しみが理由ではなく、これ以上の混乱や不安定な状況が自国近くで生まれるのを防ぎたいとの願望が理由だろう。
  4. この状況で対中(ロシアも含む)開戦の可能性から米国が韓国解放を目指さないことを北朝鮮は期待するはずだ。この計算は金日成が1950年当時に目論んだ内容に近い。今回は北朝鮮が核兵器を保有し日本に標的を合わせており抑止効果が出てくるのではないか。
平和を守れるか...
  1. そうなれば北朝鮮にとって最良の条件だが、北朝鮮軍事力では韓国軍を敗退させられないと見るアナリストが大部分であることをもう一度思い出す必要がある。非武装ラインに配置された防衛体制は韓国軍の移動力と高性能軍事力で構成されており、韓国侵攻はソウル陥落前に補給支援で行き詰まりそうだ。その時点で北朝鮮国内では政権指導部への重攻撃とともに指揮命令拠点網が攻撃されているはずで、前進部隊は寸断され絶好の標的になるだろう。
  2. 北朝鮮の防空網は広範囲かつ頑強だが特に高性能ではない。国境付近に配置された火砲部隊が喧伝されているが、超精密な誘導弾による対抗攻撃で急速に排除されるだろう。KPA部隊がいったん敗退すれば米韓連合軍が圧倒的に有利となり北朝鮮指導部の終焉は決定的となる。
  3. 北朝鮮軍関係者は以上をすべて理解しているし、攻撃に踏み切っても長期短期双方で成功の可能性が限りなく低いことも確実に把握しているはずだ。とはいえ政治状況の変化で北朝鮮が自暴自棄になり開戦に踏み切らないとは断言できないし、「最後のチャンス」と判断してしまう可能性も排除できない。少なくとも対応準備しておいて損はない。■
Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs.He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat. Follow him on Twitter:@drfarls.
This first appeared in 2015 and is being reposted due to reader interest.

2017年7月15日土曜日

USSフィッツジェラルドの損傷具合が分かる写真を第七艦隊が公表



改めて損傷の大きさが分かります。SPYレーダー含みイージス防衛の重要な戦力の一部が欠けているのは痛いですね。事故原因の究明責任の所在の判断はこれからですが理不尽な反米感情にだけはつなげたくないですね。あらためて生命を失った七名の方に哀悼を送りたいと思います。

New Dry Dock Photos Show the Scope of Hidden USS Fitzgerald Damage

乾ドックに入ったUSSフィッツジェラルド、被害の程度が分かる写真を公表

 By: Sam LaGrone
July 12, 2017 11:03 AM

USSフィッツジェラルド (DDG-62) が横須賀艦隊活動拠点内の乾ドック四号に入り損傷評価と修理活動が続いている。同艦は6月17日に民間商船と衝突した。 US Navy Photo

USSフィッツジェラルド右舷喫水線下にACXクリスタルが衝突してできた穴をふさぐ鋼鉄製パッチUS Navy Photo
USSフィッツジェラルド艦橋と艦体の損傷を示す。 US Navy Photo



右舷にあてられたパッチの下に立つ隊員 US Navy Photo



乾ドック四号に入ったUSSフィッツジェラルド(DDG-62) US Navy Photo

  1. 米第七艦隊は7月12日に新たな写真数点を公表し、USSフィッツジェラルド(DDG-62)の損傷個所を見ることができる。
  2. 今回公表の写真では同艦側面に衝突した商船ACXクリスタルのバルバスバウによる穴の大きさがよくわかる。
  3. 5フィートx20フィートのパッチ4枚を乾ドック入りの前にダイバー部隊が溶接した。
  4. 一方、公表写真を見るとフィッツジェラルド艦橋部の被害も相当のもので衝突の衝撃がA/N-SPY-1D(v) に及んでおり、艦長居室がつぶれているのが判明していた。今回の写真では喫水線下の損傷の深刻度が初めてわかる。
  5. 喫水線下で発生した衝突により水兵居室、機械室が浸水し、7名の乗員の生命が断たれた。
  6. クリスタルとの衝突による損害では艦体がねじ曲がり、事故直後の損害対応が複雑になったと関係者が語っている。
  7. 海軍は同艦の完全修理を日本で行うのか、米本土に回航するのかで判断を迫られている。
  8. 一方で衝突事故の調査は多方面で進んでいる。海軍はブライアン・フォート少将がJAGMAN海軍法務部調査を率いると先月発表していた。■

2017年7月14日金曜日

最新鋭空母フォード級の艦内はこうなっている



新型空母が今夏就役します。ただし戦力化はまだ先ですね。システムが巨大で実戦化に時間がかかるのは仕方ないのでしょうか。トランプ大統領が散々こき下ろした新装備が早く効果を実証できるといいですね。

The Navy Gave Me A Sneak Peek of Its Most Powerful Aircraft Carrier Ever

最強の新型空母を米海軍が一足早く拝見させてくれた

July 11, 2017


  1. 米海軍は7月22日に新世代空母一号艦を就役させる。
  2. 就役し正式にUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)となる同艦は海軍航空戦力の未来そのものであり、史上最強かつ最先端の空母となる。
  3. 就役式典に先立ち海軍は The National Interestを7月10日に招き同艦搭載の新技術を公開してくれた。
  4. PCU(就役前艦)ジェラルド・R・フォードはノーフォーク海軍基地ふ頭に係留されている姿からして偉容があり、隣に並ぶニミッツ級空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)、USSジョージ・ワシントン(CVN-73)、USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)と違いは明瞭だ。
  5. まず目に入るのはフォードの艦橋がニミッツ級より小さいだけでなく位置が他の艦より140フィート(約43メートル)後方にあることだ。さらにフォードは文字通り新造艦であり、鎖に金メッキがついている。
  6. 巨大な艦内に三つある航空機用昇降機の一つ(ニミッツ級は四つ)から入ると、洞窟状の航空機格納庫は他空母と大して変わらない。しかし、ニミッツ級は三区画に分けているがフォード級は二区画で保守管理が簡単になったことに気付く。
  7. 艦内を上層階へ移動し艦橋に向かうと空調効果の違いに気づく。フォードの空調能力は9,900トンで乗組員の快適さだけでなく湿度制御で艦の維持管理にも役立つ。CVN-78級の狙いの中心は保守管理、効率両面の向上だ。従来型空母との違いとしてフォードはドック入りは12年に一回で済む。
  8. ブリッジを登ると艦内システムがはるかに高度なのがわかる。ズムワルト級誘導駆逐艦よりもだ。制御、航法関係はすべてデジタル化されタッチスクリーン式だ。過去を引きずるのは金属製ホイールのみで電子式操舵伝達システムにつながっている。非常時に備え緊急システムがついているが。
  9. 自動化が大幅採用され、電子電動系への依存が増えている。将来の電力需要増に対応してフォードの原子炉二基の出力はニミッツ級の250パーセントまで拡大された。建造中の姉妹艦PCUジョン・F・ケネディでは電動式昇降機が採用され油圧系が大幅に減る。
  10. 主航空機運用制御室の装備はニミッツ級とほぼ同じだとミニボス(航空副長)のジョン・ビール少佐が教えてくれた。少佐はボーイングF/A-18のパイロットでもありフォードの航空機運用関連装備の機能に絶大な自信を示している。
  11. 驚いたのは航空機運用制御フロアの下にある昔ながらの「ウイージャ盤」で飛行甲板上の各機の場所と状況を機体の形の板やピンやワッシャーで示す装備だ。フォードは自動化で艦載機の位置や状況を把握できるが乗組員はウィ―ジャ盤でバックアップしている。
  12. 「ウィージャ盤がないと飛行運用管制の気分が出ない向きのため維持しているのです」と航空機運用士官ジェイミー・ローマン少佐が説明してくれた。「もともとの設計では廃止されていました。というのは航空機の動きはADMACS(航空機関連データ管理制御システム)で把握できるからです」
  13. 次に飛行甲板に向かった。フォードでは飛行甲板の見直しがされ、全長は1,106フィート(約337メートル)でニミッツ級より幅が大きく、視覚的に相当大きく感じる。
  14. 鋼鉄製の甲板の下には電磁航空機発艦システム(EMALS)四基と高性能拘束ギア(AAG)一基があり、蒸気油圧方式の装置が廃止され、第四カタパルトの運用に制約がなくなった。艦上には給油装置が40か所にあり、兵装運搬用昇降機の構造が変更された。海軍は同艦が戦力化すれば以前の空母より25ないし30パーセント多いソーティ運用が可能と見ている。
  15. 副長ブレント・ゴールト大佐によれば就役後の目標は公試評価だ。7月末までに10日から12日のならし運用をしEMALSやAAGなどすべての装備を運用する。すべてうまくいけば、艦は正式認証を受け9月ないし10月はじめに航空機運用を行う。.
  16. 「新システムは相当の性能があります。課題は艦を連れ出して必要な性能が本当に出せるか試すことですね。危険な状況になっても戦力をしっかり発揮する必要がありますからね」(ゴールト大佐)
  17. フォード艦長はリック・マッコーミック大佐でEMALSとAAGは模擬荷重で作動チェック済みで宣伝通りに機能すると自信たっぷりだ。「EMALSは必要な仕事をすべてやってくれるでしょう。ただし大事なのは各装備の機能ぶりをテストし評価することです」
  18. マッコーミック艦長の説明通り、就役後のならし運用でフォード艦上の新装備をすべてテストし必要な修正箇所を洗い出す。その後フォードは造船所で追加工事を受けながら重要装備の搭載をする。その一つがデュアルバンドレーダーで未完成の作業が残っているのだという。
  19. その後再び海上でならし運用をし修正部分の確認と新装備の作動を確認する。すべて順調なら2020年まで戦力化し工程表通りなら航空部隊運用を2021年ないし2022年に開始する。
  20. 「時間がかかることばかりで、すべて一回でうまくいけば理想的なのですが、時間との闘いです」とマッコーマック艦長は述べた。「うまく動かないと再設定が必要となり、結果としてもっとうまく作動するようになればいいのですが、時間がかかりますね」
  21. フォードは海軍航空戦力を次の段階に引き出す期待を現実にしてくれそうだ。フォードの艦体はニミッツ級を原型としながら艦内部の再設計で余裕を生んでいる。排水量は10万トンとほぼかわらないものの、(洋上ではフォードはニミッツ級よりはるかに運動性が高いと述べる士官に会った。馬力が増加しているためだ)フォードは乗組員定数を減らしつつ保守管理が容易になり残存性を高めている。海軍の予想どおりなら運用期間全体で節約効果は40億ドルになる。
  22. マッコーマック大佐もF/A-18E/Fスーパーホーネットパイロットであり、運用側からすれば航空機運用がすべてだ。艦長もフォードで最初に着艦を望む航空士官のひとりだ。
  23. 「早く洋上運用したいですね。航空機の発艦着艦運用をしたいです。できれば自分のスーパーホーネットで発艦着艦を体験したいです」■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.

米海軍の空母艦長は航空機操縦資格が必要なのですね。フォード、ケネディ(二代目)と来て命名がされていない近代の大統領はニクソンだけですかね。(ジョンソンはズムワルト級三番艦)なおフォード級三番艦はエンタープライズになる予定です

2017年7月13日木曜日

マラバール演習2017が始まったが、日本国民が戦略思考できるのはいつ?


写真は今回の演習のものではなく、くらま(DD-144)が写っているので以前の共同演習の際のものですね。日本国内でこの演習の意義、インド太平洋の秩序の維持=中国へのメッセージの重要性を理解している人がどのくらいいるのでしょうか。オーストラリアが中国マネーに目がくらみふらついているのは中国にとって奇貨なのでしょうね。しかし海上自衛隊はいつになったら「護衛艦」の名称をやめるのでしょうか。国内向け海外向けでつかいわけるのはダブルスピークのようですね。

US, India and Japan launch joint naval exercises to keep China in check

米、印、日共同海軍演習の狙いは中国へのけん制だ

By: Vivek Raghuvanshi, July 11, 2017 (Photo Credit: MCSN Alonzo M. Archer/US Navy)

NEW DELHI —米国、インド、日本三カ国の海軍がマラバール2017演習をベンガル湾で開始した。
  1. 米海軍USSニミッツ、インドのINSヴィクラマディティア、海上自衛隊からJSいずもの空母三隻が参加し、第21回演習は7月10日から17日の会期で幕を開けた。今回の狙いのひとつがインド洋で存在感を高めつつある中国の動きへの対抗だと専門家はみている。
  2. 米第11打撃群司令ウィリアム・バーン少将はチェンナイに集まった報道陣にマラバール2017の戦略的なメッセージは国名は出さずに「誤解の可能性を排除」することで、「こちらは結束している」と示すことと述べている。
  3. グルプリ―ト・クラナ(インド海軍大佐・国家海洋財団専務理事)は「マラバールの本質はインドと米国の共同演習であり、日本も参加して拡大したが各国の国家戦略をインド太平洋地区で集結させ、海洋軍事協力体制を機能させることにある」と述べる。
  4. 「今年の演習の特色は空母運用、防空、対潜戦(ASW)、水上戦、臨検拿捕(VBSS)、捜索救難、共同操艦、戦術行動」だとインド国防省の公式報道資料にある。
  5. インド海軍の花形は空母INSヴィクラマディティアと搭載航空部隊で、誘導ミサイル駆逐艦ランヴィール、ステルスフリゲート艦カモルタ、ミサイル海防艦コラおよびクリパン、ロシア製シンドゥゴーシュ級(キロ級)潜水艦一隻、給油艦INSジョティ、米国製長距離哨戒機P-8Iが加わる。
  6. 米海軍はニミッツ級空母と艦載機に加え、タイコンデロガ級巡洋艦プリンストン、アーレー・バーク級駆逐艦キッド、ハワード、シャウプ、ロサンジェルス級潜水艦1およびP-8A一機を派遣。
  7. 日本はヘリコプター空母JSいずもにSH-60Kヘリコプターを搭載し、ミサイル駆逐艦JSさざなみと派遣している。
  8. マラバール演習は1992年に米印共同演習として始まり、2015年に日本が加わり三カ国体制となった。
  9. その途中の2007年に日本、オーストラリア、シンガポールが招待され五カ国演習になっている。
  10. だが中国が演習拡大に外交面から反対姿勢を取り、再び米印二カ国演習の形にもどったが2015年に日本が正式に加わった。
  11. 「インド、日本、米国の三カ国に比べるとオーストラリアは戦略上の優先順位を明確にしておらず三カ国に加わり中国の横暴な行動を『緩和』する役目を果たしていない」とクラナは見る。
  12. オーストラリアの参加を実現する条件としてクラナは「インドにとってオーストラリアとの協力はインド洋の秩序維持で極めて重要です。そのためマラバールにはぜひ参加してもらいたいが、中国に対するあいまいな姿勢を直してもらわないといけません」と述べる。
  13. 「マラバール演習の背景にはインド、米国、日本の三カ国が中国海軍の劇的な拡大と活動増強の現実を憂慮していることがあります」とプロバル・ゴッシュ退役インド海軍大佐・国防アナリストは言う。「インドは中国の潜水艦、水上艦、給油補給艦がインド洋に大挙出現していることを懸念しています」■

2017年7月12日水曜日

★★次世代戦闘航空機の姿をゼロベースで構築中の米空軍の動きに注目


A screen grab showing Northrop Grumman's new sixth-generation fighter concept from a commercial that premiered Feb. 7, 2016, during the Super Bowl. (Northrop Grumman)
戦闘機の形にはならない、ドッグファイトは想定しないとなると米空軍の文化そのものの破壊になり自由な発想から考え直しているのがわかります。米海軍はこれに対して従来型の延長で次期F/A-XXを考えているのでしょうか。そのため米空軍とは別の開発プロセスに入っているのでしょうか。数年後に研究成果の提言が出てくるのに期待しましょう。
Thinking Outside the Box for the Air Force’s Next-Gen Aircraft
空軍の目指す次世代機を自由に発想するとこうなる

 POSTED BY: ORIANA PAWLYK JULY 11, 2017


  1. 米空軍が目指す次世代軍用機は従来の概念では分類できない機体になりそうだ。
  2. 航続距離はF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機より長くなるが、爆撃機のように特定任務に特化せず、ステルス塗料を使わない可能性もある。レーザーを搭載し残存性を高めるだろう。
  3. 上記は専門家が話題にしている内容で空軍は次世代機を敵防空網を突破し敵装備に打ち勝ち、ハイエンド脅威に対抗できる能力を実現しようとしている。
  4. 「検討を進めるうちに戦闘機という用語は使わないことになった」とアレクサス・グリンケビッチ准将(Enterprise Capability Collaboration Team室長)だ。ECCTは昨年、空軍の次世代航空優勢維持構想Air Supeority 2030を発表している。
  5. 研究報告では現状の戦闘機の欠点を把握し次世代の航空機、センサー、兵装でますます増大しながら予測困難な脅威環境に対抗させるべきとする。
  6. 「航空戦闘がドッグファイトを意味した時代は終わった」「ネットワークを構築し敵防空網を突破するため航続距離、残存性、威力を実現することだ」とグリンケヴィッチは語る。チームにはトム・コグリトー大佐がコンセプト構築主任として、ジェフ・セイリングが主任アナリストとして加わっており、三名は空軍協会ミッチェル研究所主催のイベントに招かれた。
  7. コグリトーからは別研究で求められる属性を把握したと紹介し、有人無人、航続距離、兵装種類を検討したという。結果は来年発表する。
  8. グリンケヴィッチは例として「ずっとステルスを唯一無二の存在としてきたことは全体として間違いだった。ステルス性能が高い方がいいと考えていた。残存性を論じる際は電子戦能力によるテコ入れが必要だし、スピードがモノをいう場合が多い」
  9. 准将はステルスは「入場料」だがスピードなど他要素も使い「脅威効果を軽減する」のだという。
  10. さらに「センサーがもっと重要だとわかりました」とし、長距離センサーで弾道ミサイルや巡航ミサイルを識別することを重要視しているのは「センサーにより撃破できるだけでなくスタンドオフ兵器を遠距離運用できるようになるからだ」
  11. 指向性エネルギーが次世代機の「ウェポンシステム」の一部になるのだろうか。また現行機にも搭載されるのか。まだ肉付けの途中だとセイリングは述べる。「指向性エネルギーはもうすぐ実用化できます。相当の進展が生まれています」
  12. セイリングによるとレーザーは「期待が高いが統合化が相当必要で機体搭載できる状態ではない」という。
  13. 防御用か攻撃用なのかは「システムとしてどう統合するかの問題」だという。
  14. ただしコグリトーはレーザーは正式要求の装備に入っていないという。つきつめればA2ADとして知られる高度の接近阻止領域拒否防空体制でレーザーでどこまで残存性を期待できるかだという。「レーザー以外の選択肢も検討しています」というが詳細に触れていない。
  15. 「弾薬類も急速に進化する必要があります」とグリンケヴィッチは述べた。「脅威内容の進展に応じて多様化していくでしょう」■

写真は ノースロップ・グラマンが2016年2月のスーパーボウルCMで見せた第六世代戦闘機コンセプト。(Northrop Grumman)