2022年4月14日木曜日

海上自衛隊はPLANの数の優勢にこうして対抗する----USNI Newsが最新の状況を伝えている


JSまや(DDG-179) Nov. 23, 2020. JMSDF Photo

 

 

DDのDestroyerを「護衛艦」と呼ぶのはいい加減やめたいものです。米海軍艦艇は駆逐艦、海上自衛隊艦艇は護衛艦ではおかしいのではないでしょうか。こうした日本国内向けのDouble Speakはもはや無用と思いますが....

 

上自衛隊は新型「もがみ」級多任務フリゲート艦「くまの」を先月就役させた。同艦は、三菱重工業が玉野市の三井E&Sで建造させ、あぶくま級とあさぎり級駆逐艦に代わる22隻の1番艦となった。

 

 

 新型フリゲート艦は約3,900トンで、低レーダー探知性で、無人潜水艇や無人水上艇運用の支援、中距離対空戦能力を持つ地対空ミサイルの垂直発射システムなど新機能を備える。 同フリゲート艦には、対潜戦用の可変深度ソナーと曳航アレイソナーを装備し、機雷戦の能力も備える。長崎の三菱重工で建造された2隻目の「もがみ」は今年末に就役し、3隻目の「のしろ」は12月に就役する。

 もがみ級は、世界最大級の海軍に列する海上自衛隊の能力向上プロジェクトで最新のものだ。海上自衛隊は世界最大の海軍のひとつで、数種類の駆逐艦、21隻のディーゼル電気潜水艦、ヘリ空母2隻、哨戒機、ヘリコプター、掃海戦隊を運用している。大部分は比較的近代的で、最新のセンサーや武器を装備している。

 日本は第二次世界大戦の敗戦後、戦後の憲法9条で攻撃的な能力の整備を歴史的に避けてきたため、海軍の能力についてあまり語らない。しかし、島国であり海洋大国であるため、それでも現代版の艦隊を編成できたが、防衛運用を想定している。しかし、この20年、大国となった中国の台頭と、長距離核ミサイルを開発する北朝鮮が、島国日本にとって二重の脅威となっている。

 

 

JSたいげい(SS-513) が2022年3月9日就役した

 

 元海上自衛艦隊司令の山下 万喜は、USNI Newsに対し、「もがみ級の基本コンセプトは、掃海艇の延長線上の多機能艦」と述べている。「従って、艦隊護衛の主力として機能するその他駆逐艦と異なり、もがみ級は各種戦闘を支援する補完機能を持ち、またISRや災害救助など様々な任務に対応することが期待される」

 だが、第一に日本は巨額資金を投入しない限り、中国の海軍建造能力を上回ることはできないし、そもそも日本ではこれは政治的に容認できない。したがって、北東アジア地域における海軍力としては、中国の人民解放軍海軍(PLAN)と比較し、艦艇数で後塵を拝する事態を受け入れざるをえない。しかし、日本は最新技術を活用し、既存のプラットフォームで海軍能力の向上が可能だ。

 第二に、北朝鮮の脅威として、長距離核ミサイルの開発に成功する可能性が年々高まっている。外交と制裁を通じ北朝鮮の進展を制限しようと試み、ミサイル実験が失敗した証拠もあるものの、危険は増大する一方だと、日本政府関係者は述べている。

 つまり、日本はこの脅威への対抗として弾道ミサイル防衛システム整備に特別な関心を持っており、海上自衛隊がこの能力を提供する。

 

JS くまの(FFM-2) は2018年11月19日に進水した JMSDF Photo

 

 山下元海将は、海上自衛隊の近代化は「常に進行中」と延べ、最新計画は、2018年にまとめられた「2019年度防衛計画の大綱」と「中期防衛計画(2019年度〜2023年度)」で、潜水艦22隻と駆逐艦54隻の艦隊を計画している。2022年度について、日本の防衛省は、最近の削減のあと防衛費をGDPの1%に戻すため、5兆4800億円(約500億ドル)を要求していた。

 日本の優先事項の1つは、艦隊の情報・監視・偵察能力を強化する無人システムの開発だ。また、海上自衛隊は、潜水艦VLSから発射する水中発射巡航ミサイルなど、攻撃力増強も視野に入れている。

 「潜水艦の攻撃力向上のため、どちらの技術も必要だと考えています。また、日本をとりまく安全保障環境を考えれば、潜水艦への搭載が予想されます」(山下)。

 海上自衛隊のディーゼル潜水艦は、敵の制海権を奪うための最も重要な戦力である。3月9日には、3,000トン級の新型潜水艦「たいげい」級(29SS)の1番艦、JSたいげい(SS-513)が就役した。三菱重工が建造した同艦は、戦闘管理システムやソナーが改良され、初期の「そうりゅう型」(16SS)SSK12隻に比べ、水中静粛性や操縦性が大幅に向上している。

 「特徴的な違いは、浮き甲板の採用で、騒音を低減し、耐衝撃性を向上させたこと」と山下は言う。さらに、たいげい級には魚雷対策システム、新戦闘管理システム、2022年5月に納入予定の新型魚雷「18式」が搭載される。

 同級は空気独立推進システムは搭載しないが、GSユアサの新型リチウムイオン電池で長時間の水中作戦で追加電力を供給する。そうりゅう」級の最終建造2隻、JS「おうりゅう」(SS-511)とJS「とりゅう」(SS-512)は、リチウムイオン電池をはじめて搭載し、2020年と2021年に就役し、日本はこの技術の実用化に世界ではじめて成功した。また、たいげい級2番艦「はくげい」(SS-514)は川崎重工業が2021年10月に進水しており、2023年3月に就役する。さらに2隻が建造中だ。

 一方、水上側では、ひゅうが型DDHの2隻に続き、2015年と20117年に納入された海上自衛隊の新型ヘリ空母「いずも」級2隻が、F-35BライトニングII統合打撃戦闘機の運用に向け改造中だ。USN Newsは10月、JSいずも(DDH183)から米国海兵隊のF-35B2機が改造のテスト飛行を行い、2025年に改修が完成すると報じた。姉妹艦のJSかが(DDH184)は今年中に改造を開始する。2隻の空母の改造費用は67億ドルと見積もられている。自衛隊はF-35Bを42機購入し、2023年から配備開始する。

 しかし、山下は、いずも型はもともとヘリ空母・駆逐艦として計画され、そのため「DDH」の艦種だと説明し、今回の改装はF-35Bの艦上運用に「限定的な改善」しかもたらさないという。また、「大規模改装でも、緊急時の(飛行)甲板や海上での他の補給基地としての機能しか期待できない」とも述べている。

 海上自衛隊の護衛部隊は、BMDシステムを配備したイージス艦8隻を含む駆逐艦が中心だ。最新の就役艦は、横浜のJMUで建造され、2020年と2021年に就役した全長170メートル、8,200トンのまや型(27DD)駆逐艦、JSまや(DDG179)とJSはぐろ(DDG180)。最新のベースラインJ7イージスシステム、SPY-1D(V)レーダー、AN/SPQ-9B Xバンド火器管制レーダーを装備し、スタンダードミサイル3ブロックIIAミサイルを発射し、スタンダードミサイル6も装備する予定だ。

 山下は、「海上自衛隊の防空・ミサイル防衛能力を大幅に向上させ、米海軍とのさらなる協力関係が可能になる」と述べている。また、ソナーシステム「AN/SQQ-89A(V)15J」と曳航型ソナーシステム「AN/SQR-20 Multi-Function Towed Array」の組み合わせで、ASW能力向上も期待される。さらに、海上自衛隊艦艇で初めてとなる、ガスタービン電気推進システムとガスタービン推進システムを組み合わせた配置を採用した。

 

JSあき(AOS-5203)の命名進水式が2017年に行われた。JMSDF Photo

 

 まや級は、2007年から2008年にかけて就役したあたぎ級BMD対応駆逐艦2隻とサイズや能力が似ているため、当初は改良型あたご級と呼ばれていた。1990年代建造のこんごう級4隻とあわせ、海上自衛隊のBMD対応艦8隻体制が完成した。

 先月、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射したことで、BMDの必要性があらためて注目されている。北朝鮮が本格的な核ミサイル能力を獲得するため躊躇していないことを再び示した。さらなるミサイル発射実験が計画されている。

 陸上配備型イージスアショアを中止したことを受け、さらに2隻のJ7イージス艦搭載の次世代BMD駆逐艦が計画されている。新型艦には、米海軍のBMD艦が想定するSPY-6レーダーではなく、AN/SPY-7 (V)1 固体レーダーが搭載される。

 海上自衛隊の最新型駆逐艦には、三菱重工で建造され2018年から2019年に就役した6,800トンの小型駆逐艦「あさひ級(25DD)」2隻がある。2012年から2014年に就役したあきづき型(19DD)駆逐艦3隻に続くもので、DDHやBMD艦の護衛用に設計されている。

 その他、海上自衛隊の海洋調査艦JSわかさ、ひびき級海洋監視艦4隻の更新建造の資金が要求されている。ひびき級3番艦のJSあき(AOS 5203)は、先進的な監視曳航式センサーシステム(SURTASS)を搭載し、2021年3月に就役した。また、木造MCM艦にかえ、光検出・測距儀を搭載したFRP船体のあわじ級掃海艇5隻目の計画もある。防衛装備庁は、能力をさらに高めるために、低周波・高周波の合成開口ソナーを利用するOZZ-5自律型水中機も計画している。

 2021年7月、防衛装備庁は次世代オフショア哨戒艦12隻の整備計画を発表した。初期仕様は、最大2,000トン、少規模乗組員で運用し、大型センサーを搭載し監視に特化した艦となる。山下は、「人道支援や災害救助、ISRなど、各地区の本部が持つ機能を補完するもの」と考えている。

 その他の将来技術として、長時間滞空UAVによる電子偵察や小型艦載UAS、もがみ級フリゲート艦用の無人MCM装備の開発計画がある。また、日本は、船舶、潜水艦、航空機、陸上から発射する1000km超の長距離巡航ミサイルを新たに開発する。このミサイルは、2020年代半ばに完成する予定で、日本が域内のその他長距離ミサイル開発に遅れをとらないようにするべく、三菱重工が開発を進めている。

 山下は、将来の脅威に適切に対処するために、海上自衛隊は「情報優位を確立し、兵器の攻撃能力を向上させる」必要があると述べている。そのためには、「あらゆる空間で活動する各種の無人機や、ネットワークを利用した分散型資産から発射できる長距離ミサイルの整備が必要」と述べている。

 さらに、「安全保障環境を近視眼的にとらえ、目前の脅威に備えるだけでは不十分。むしろ、今後10年、20年の間に起こりうる変化を予測し、将来の脅威に備えるべきだ」と述べている。■

 

Japan Countering China's Naval Build-up with Modern Fleet - USNI News

By: Tim Fish

April 11, 2022 4:35 PMUpdated: April 12, 2022 6:36 PM




ロシアの軍事力は過大評価されてきた。頼みの綱の地上兵力も今回のウクライナ侵攻で限界を露呈。プロパガンダの常とは言え、ロシアはなぜ嘘を平気でつけるのか。


 

Russian Tanks

 

今回のウクライナ侵攻でロシアの地上戦闘能力がこれまで大幅に過大評価されていたことが明らかになった

 

防総省の評価と戦場報道から、ロシア軍に深刻かつ広範な「士気」の問題が生じている可能性が見えてきた。ロシア軍は祖国のために戦うのではなく、重要と思えない理由で、死に直面する状況の中で命令を受けている。

 

ロシアの軍事力

士気の低下と、その影響を認識した上で、公平かつ適切と思われる質問を投げかける向きもあろう。世界はロシアの軍事力を過大評価していないか

 キーウに向かうロシアの大規模な輸送隊は「停滞」し、軍は兵站に苦しんでいると伝えられている。また、ウクライナの待ち伏せにより、重要な「チョークポイント」でロシア戦闘車両が壊滅状態になったことから、防御に問題があるようだ。

 確かにウクライナ軍の粘り強さ、決断力、戦闘力、圧倒的な強さは過小評価されていたようだが、それより驚くべきは、ロシアの軍事力が大幅に過大評価されていた可能性だ。

 元米国陸軍欧州司令官ベン・ホッジス退役大将Gen. Ben Hodges (Ret)は、The National Interestのインタビューで、「ウクライナ軍は過剰なパフォーマンス、ロシア軍は過小なパフォーマンス」と述べている。

 国防総省によると、ロシアの輸送隊は、複数の理由が絡み合って停滞しているようだ。国防総省高官によれば、ロシアの問題は、燃料や食料不足など物流上の課題、士気の低下、ウクライナの待ち伏せ戦術の成功によるもののようだ ホッジスは、ロシア軍に調整と戦闘の準備がともに明らかに欠けているのは、やや意外と述べた。

 「ロシア軍の兵站が本当に脆弱だと判明しています。燃料や弾薬がしっかり準備されていると思うでしょう。ロシア軍は、移動速度を過大評価しており、輸送隊は、道路が非常に軟弱で、ウクライナ軍の妨害で通行止めになっています」と、ホッジスは別のインタビューで語った。

 具体的には、ロシアはウクライナを上回る航空機を保有しているのに、なぜ航空優勢を確立できないのか。この質問に対して、国防総省のジョン・カービー報道官は、ロシアの空と地の連携が有効でなかったと率直に述べている。案の定、ウクライナの空はまだ「争奪戦」であり、カービーはウクライナの防空システムが効果を上げており、機能していると明らかにした。

 

ロシアは張子の虎なのか?

実際の軍事力に関して言えば、ロシアはペーパー・タイガーなのだろうか?

 確かにプーチンは、極超音速兵器と呼ぶ装備品の存在を公表した。ロシア国営メディアは、無人機、爆撃機、船舶、潜水艦など新しい軍事技術、試験、進歩を常に報じている。ロシアの第5世代ステルス戦闘機Su-57はニュースに取り上げられ、新型戦車T-14アルマータは何年も前から宣伝されてきた。.

 こうした装備品の洗練度や潜在的な優位性に関係なく、考慮すべきは単純な「数」の方程式だ。ロシアメディアは、約12機のSu-57と少数のT-14が運用中と明確に報じている。

 したがって、ロシアの報道が主張するような能力が本当にあると仮定すれば、実際の交戦において、アップグレードされたNATO軍戦車に単純に数で圧倒されることになる。

 さらに、T-14が最新のM1A2 SEP v3エイブラムス戦車との交戦に勝てる根拠はない。さらに言えば、Su-57がF-35に匹敵すると断定する理由はないに等しい。そればかりか、アメリカだけでも数百機のF-35を運用しており、ヨーロッパに広がるF-35のパートナー国の国際コミュニティは、日に日に拡大し、強力になっている。

 ロシア海軍がアメリカ海軍に比べて規模が小さく、能力も低く、圧倒的に劣ることは広く知られている。また、ロシアはNATOのような第5世代航空戦力を持っていないので、その主要な軍事力は地上戦能力と長い間考えられてきた。しかし、今回のウクライナ侵攻は、模範的とまでいわれてきたロシアの総合的な地上戦能力が、大幅に過大評価されていたことを明らかにした。

 Global Firepowerによると、ロシアは戦車1万2000両を運用している。しかし、その大半が冷戦時代の装備で、アメリカやNATOの戦車を捕捉、交戦、破壊する赤外線装備や武器、指揮統制システムを備えていないのなら、それほど重要ではないだろう。長距離で高精度の標的センサーが、スタンドオフ距離でロシアの車両を捕捉、破壊できる。

 フランク・ケンドール空軍長官は、ロシア軍事力が過大評価されてきたと考えているようだ。

「プーチン大統領は非常に、非常に、非常に、重大な誤算を犯した。彼はウクライナ侵攻が引き起こす世界の反応を著しく過小評価し、ウクライナ国民の意志と勇気も著しく過小評価し、自軍の能力を過大評価した」とケンドール長官はフロリダ州オーランドでの空軍協会シンポジウムで述べた。■

 

Is the Russian Military a Paper Tiger? - Warrior Maven

Is the Russian Military a Paper Tiger?


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

13 HOURS AGO

 

 

2022年4月13日水曜日

スロバキアがMiG-29をウクライナへ寄贈。化学攻撃は白リン弾か。ルカシェンコがプーチンに接近。などウクライナ関連ニュースのまとめ。

A Slovak Air Force MiG-29 Fulcrum fighter jet.

ロバキアがソ連時代のMiG-29フルクラム戦闘機をウクライナに譲渡することに異存はないと、アメリカの国防高官が本日発表した。これは、ポーランドのMiG-29をウクライナ空軍に譲渡するとの計画が以前あったが、アメリカ当局が在ドイツ米軍基地を通じての戦闘機譲渡は認めないと言ったために破綻したのを受けての進展だ。

スロバキア政府は、移転が実現するためには、一定の安全保障が必要だとしている。ウクライナ空軍がMiG-29含む戦闘機を早く導入できるかについては、まだ疑問が残っている。

これと別に、南部の戦略的な港湾都市マリウポリに駐留するウクライナ軍へのロシアの化学兵器攻撃疑惑の詳細は、不透明なままだ。米国当局などが攻撃の可能性を数週間前から警告してきたが、これまでのところ確たる証拠はなく、独立した情報源が同地域へアクセスし検証することはほぼ不可能である。

米国は、スロバキア含むどの国もウクライナへ固定翼戦闘機を送ることに「反対しない」と、米国国防高官が本日未明に記者団に語った。国防総省は3月、ウクライナ空軍へのポーランドMiG-29の譲渡案に関連し、ウクライナに戦闘機を送るとロシアとの緊張が深刻に高まる懸念と、ウクライナ軍が地上防空システムをさらに活用できるはずとして、ポーランド機の引き渡しに直接関与したくないと述べていた。

スロバキアのエドゥアルド・ヘーゲル Eduard Heger首相は昨日、自国のMiG-29をウクライナに派遣する案を浮上させたが、一定の安全保障策が必要であると付け加えた。スロバキア空軍は今後数年で米国製F-16C/Dバイパー戦闘機を導入するが、長年にわたり大幅改良してきたフルクラム12機が、同国が運用する唯一の固定翼戦闘機である。何機がウクライナに向かうかは不明。

スロバキア当局は、S-300PMU地対空ミサイルをウクライナに寄贈する際、同様の条件を提示していた。米国含むNATO加盟国がスロバキアにペイトリオット地対空ミサイルを配備し、同国の防空・ミサイル防衛能力の不足を補った後で、ウクライナ軍はS-300PMUシステムを受領した。米軍やNATO加盟国が、ウクライナにMiG-29を譲渡する計画の一環として、スロバキア領空防衛用に戦闘機配備を提案する可能性もある。

このような移転が最終的に実現するかは、まだわからない。ウクライナ空軍が新たな戦闘機を自軍に導入しても、長期にわたり維持できるかが懸念される。これまでの戦闘で、ロシア軍はウクライナの重要な軍事航空修理施設2カ所を攻撃しており、いずれも大損害を与えたためだ。

同時に、ウクライナ空軍はMiG-29運用の経験を有しており、飛行能力を実証してきた。また、パイロットの数が航空機数よりも多いため、追加要員の訓練が必要となるかとの懸念も軽減される。ウクライナのパイロットが、スロバキアのフルクラムを戦闘投入する前に、同国機材にはない機能の使い方を習得する必要はないかもしれないが、それでもある程度の補足教育は必要だろう。

ヘーゲル首相は、ロシアとの「関係」がないと、自国でこの戦闘機を維持するのは難しいとポリティコ誌に語った。「F-16を待つ中で、各機はいずれ廃止する装備品だ」と付け加えた。

これらの戦闘機が努力に見合う形でウクライナ空軍の空戦能力の向上につながるかも、完全には明らかではない。

ウクライナのある戦闘機パイロット(コールサイン「ジュース」)は先月の独占インタビューで、「敵攻撃機や低空目標、ヘリを狩る空中パトロールには役立つが、制空権確保には役立たない」と語っている。「MiG機はほぼ同じレーダーを搭載し、少しは近代化されています。MiGは非常に高性能で、素晴らしい戦闘機だが、問題はミサイルだ。ポーランドは我々と同じミサイルを使っている。だから、我々は新しい、本当に性能の良い兵器を受け取る必要があるんだ」。

一方、戦闘機以外の外国からの軍事援助もウクライナに流入し続けている。米国政府は、ジョー・バイデン大統領が先月発表した8億ドル軍事支援パッケージを4月中旬までに納入し終える。米国防省高官によると、昨日も、貨物機2機がウクライナに機関銃、手榴弾、防護服などを運んできた。

米国国防省高官は本日、「自爆ドローン」と呼ばれるスイッチブレード滞空弾100個のうち「相当量」がウクライナに到着し、すでに現場で使用されていると述べた。

下の写真は、ウクライナ軍がこれまでロシア軍による制空権獲得を防いできた重要な要因である、肩撃ちの地対空ミサイル(MANPADS)で外国から提供されたものである。写真は、左から米国製スティンガー、ポーランド製ピオラン、ソビエト時代のイグラシリーズで、後者は紛争開始時にウクライナの在庫となっていたものである。

本日の記者会見で、米国防省高官は、ロシア軍が南部の戦略的港湾都市マリウポリでウクライナ人に対し化学兵器を含む攻撃を行ったことについて、米政府は現在、肯定も否定もできないと述べた。米政府関係者は、アクセスの欠如が、何が起こったかについて何らかの初期評価を行う上での最大の障害になっていると述べている。

米国政府は、ロシア軍が非致死性の暴動鎮圧剤と致死性の化学兵器を混合し、後者を隠蔽しようとした可能性を探っているが、それがマリウポルで起きたこととする兆候はない。アメリカ政府関係者などは、ロシア軍が化学兵器による攻撃を行うか、あるいは偽旗として何らかの化学的事件を起こす可能性があると、過去1カ月で何度も警告している。

ウクライナのハンナ(アンナ)・マルヤル Hanna (Anna) Malyar国防副大臣は、国自体がその主張を検証するのに苦労しているほどだと述べている。マルヤルによると、問題の弾薬は実際には白リン焼夷弾であった可能性が指摘されており、白リン焼夷弾も有害ガスを発生させるという。英国国防省は昨日、ロシア軍がマリウポリで白リンを使用する可能性について警告を発していた。白リンの使用は極めて異論が多く、国際条約で特定の状況下では禁止されているが、化学兵器禁止条約による化学兵器の定義には当てはまらないことに注意する必要がある。

アゾフ大隊(アゾフ連隊とも呼ばれる)は、現在ウクライナのボランティア領土防衛軍の旗の下で戦っている、非常に物議をかもしているネオナチ関連の組織で、昨日初めて、ロシア軍が化学兵器攻撃を行ったと主張した。今のところ、この主張を裏付ける、あるいは反論する確たる証拠は出ていない。

昨日、ロシアが独立国として承認しているウクライナ東部ドンバス地域の分離独立地域、ドネツク人民共和国(通称DNR)のスポークスマン、エドゥアルド・バズーリン Eduard Basurinは、マリウポリに残る防衛隊を追い出すために「化学部隊」を使うことを公に提唱していた。しかし、ロシア軍の核・生物・化学防護部隊は、TOS-1A多連装ロケット弾発射システムや、肩撃ちのRPO-Aランチャーで武装した部隊を乗せる専用装甲兵員輸送車BMO-Tなどのサーモバリック兵器を採用し、いずれも都市部に隠れる敵に対して非常に有効であることは重要な指摘であろう。

同時に、ロシア当局は、ウクライナ政府が化学物質を使った挑発行為を起こす準備中と、何の証拠も示さずに非難している。これは、ロシアが自らの行動を隠蔽するための偽情報キャンペーンではないか、と多くが警戒している。近年、ロシアが世界の別の場所で化学兵器攻撃を行った証拠は確かにあるが、多くは特定個人を標的とした暗殺作戦であった。第2次チェチェン戦争でロシア軍が大規模に化学兵器を使用した疑惑があり、ロシア軍はシリア政府による化学兵器の使用にも加担してきた。

英国国防省は、ウクライナ紛争の現状を評価した最新マップを発表した。英国当局はまた、ロシア軍の再配備により、ウクライナ東部での戦闘が急増する予想にかわりないと述べている。

ウクライナにおけるロシアの戦争犯罪の可能性を示す証拠がさらに出てきた。専門家やオブザーバーは、ウクライナからの報告と、ロシアが関与した過去の紛争、特に第二次チェチェン戦争での事件との間に類似点があると指摘し続けている。

下の写真は、ウクライナの義勇領土防衛軍と思われる兵士が、DP-27やマキシムM1910機関銃など様々な武器で武装している様子。この2つの銃の設計は第二次世界大戦より前のものだが、7.62x54mmR弾を発射する。この弾薬は現在も盛んに生産されており、ロシアを含む世界中で広く使用されている。

ウクライナ当局は、親ロシア派のウクライナ人オリガルヒであるヴィクトル・メドベドチャックViktor Medvedchukを拘束したと報じられている。今回の紛争が勃発する前に反逆罪で起訴され、すでに自宅軟禁状態であった。

ロシアのプーチン大統領は本日、ベラルーシのルカシェンコ大統領とロシア東部のボストーチヌイ宇宙基地を視察した。プーチン大統領は、国家安全保障への脅威のためウクライナに侵攻せざるを得なかったというロシア政府の立場を改めて強調した。プーチンとルカシェンコは、これまでの紛争でロシア軍が様々な戦争犯罪を犯したとする主張を否定し、ウクライナの都市ブチャでの市民虐殺などの事件は演出であったと、根拠なく主張している。

長年にわたりプーチンやロシア政府と複雑な関係を築いてきたが、最近は完全にモスクワの軌道に乗ったルカシェンコは、「以前は兄(プーチン)が私をそこに送り込み、連れ戻さないかもしれないと考えていたが、もうそう思っていない」と述べた。


Ukraine Situation Report: Slovakia Donating MiG-29 Fighters Is Fine By The US

Getting additional MiG-29s and other combat aircraft to Ukraine has been a hot topic of discussion for weeks.

BY

JOSEPH TREVITHICK

APR 12, 2022 4:06 PM

THE WAR ZONE

 


 

4月15日の北朝鮮記念日に備え、空母リンカンが日本海へ進出。監視するPLANスパイ艦を自衛隊が追尾。攻撃型潜水艦のグアム移動など西太平洋の安全保障情報。


南シナ海を航行するUSSエイブラハム・リンカン(CVN 72) April 1, 2022. US Navy Photo

 

 

   

母エイブラハム・リンカン(CVN-72)は、4月15日の故金日成主席の110回目の誕生日や4月25日の北朝鮮人民革命軍創設記念日などの北朝鮮の重要な記念日に合わせ日本海に進出している。

 リンカンは、2月27日と3月5日に発射された北朝鮮の大陸間弾道ミサイルに対応し、3月15日に黄海で作戦を実施しており、今回の動きは今年2回目だ。

 日本は月曜日、対馬海峡を通過し日本海に入った人民解放軍海軍(PLAN)のスパイ船を追跡した。自衛隊統合幕僚監部の報道発表によると、ドンジャオ級監視船794は、月曜日正午に対馬の南西80マイルで目撃され、北東に向かっていた。

 その後、スパイ船は対馬海峡を北上し、日本海に入った。PLANはスパイ艦の艦番号を変更しているため、艦名は確認できなかったが、公表写真には、794と記されている。海上自衛隊の高速ミサイル艇「おおたか」(PG-826)と、鹿屋飛行場所属の第1艦隊航空団と厚木飛行場所属の第4航空団の P-1海上哨戒機がPLAN艦を監視した。

 

2022年4月11日、対馬海峡を通過する中国の東ディアオ監視船(AGI)794の航路。防衛省

 

 北朝鮮の行動や中国の主張が強まっていることへの懸念から、日本の防衛省は敵基地攻撃能力の整備に加え、来年度の予算要求増額を検討する。岸信夫防衛相は5日の共同通信のインタビューで、2024年3月までに日本の防衛力を抜本的に強化する予算を確保したいと述べ、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、早急に能力強化の必要があると付け加えた。

 国際社会と協力し中国を抑止し、台湾海峡での軍事的緊急事態を起こさないようにすることが重要だが、日本は抑止力を強化するため敵基地攻撃能力を持つべきで、潜在的な敵に日本を「攻撃したら代償を払う」と考えさせるべき、と岸防衛相は述べた。日本が平和主義憲法による防衛的指向の政策を長年堅持してきたことを考えれば、この攻撃能力獲得への動きは論議を呼ぶだろう。岸はインタビューの中で、北朝鮮の「急速な技術進歩」のため、ミサイル迎撃能力の強化を追求すればコストがかかるだけだと主張した。

 一方、攻撃型原子力潜水艦 USS アナポリス(SSN-760)は、米海軍のインド太平洋地域の強化として、配備拠点を変え、カリフォルニア州サンディエゴのポイントローマ海軍基地からグアム海軍基地に 3 月 28 日到着したと、海軍が日曜日に発表した。2021年の戦略的レイダウン計画に基づき、アナポリスはUSSアッシュビル(SSN-722)、USSキーウエスト(SSN-758)、USSジェファーソンシティ(SSN-759)、USSスプリングフィールド(SSN-761)とともに5隻目のロサンゼルス級高速攻撃型潜水艦としてグアムを母港とした。スプリングフィールドはアナポリスより1週間早くグアムに到着している。

 オーストラリア国防総省はニュースリリースで、インド海軍が 4 月 11 日から 15 日まで、ダーウィンに P-8I 哨戒機を派遣し、オーストラリア空軍の P-8Aポセイドン機と連携演習を実施すると明らかにした。

 同発表によると、インド海軍のP-8I型機がオーストラリアに派遣されるのは今回が初めてで、インドとオーストラリアの防衛・安全保障パートナーシップの強さを反映するものだという。■

   

Carrier USS Abraham Lincoln in Sea of Japan Ahead of Key North Korean Anniversaries - USNI News

Carrier USS Abraham Lincoln in Sea of Japan Ahead of Key North Korean Anniversaries

By: Dzirhan Mahadzir

April 12, 2022 12:31 PM

 

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Dzirhan Mahadzir

About Dzirhan Mahadzir

Dzirhan Mahadzir is a freelance defense journalist and analyst based in Kuala Lumpur Malaysia. Among the publications he has written for and currently writes for since 1998 includes Defence Review Asia, Jane’s Defence Weekly, Navy International, International Defence Review, Asian Defence Journal, Defence Helicopter, Asian Military Review and the Asia-Pacific Defence Reporter.


 

動き出したB-52エンジン換装事業。76機全機の作業完了は2035年ごろか。B-52は2050年まで供用される。



2050年代までB-52を維持する性能改修パッケージの目玉は、

新しいエンジンだ。


 

空軍がB-52エンジン8基の交換構想を始め40年、作業がついに実現する。エンジン換装で、ストラトフォートレス運用を20〜30年維持する。

 B-52商業エンジン交換プログラム(CERP)の契約は昨年秋に締結され、プログラムは迅速に進められている。新しいF130エンジン2基が製造され、開発と試験が計画通り進めば、最初の再エンジン搭載B-52は約5年後に運用開始となる。  

 空軍爆撃機プログラム主幹のジョン・P・ニューベリー准将Brig. Gen. John P. Newberryは、「2030年代に向けて、B-52の姿を決定付ける要素がすべて整った」と述べた。ニューベリー准将は、性能改修の内容として「新しいエンジン、新しいレーダー、超高周波および超低周波通信の改良、データリンクの更新、暗号の改良、およびいくつかの小さな取り組み」が含まれると述べている。 

 B-52はまた、米空軍初の極超音速ミサイルAGM-183 Air-launched Rapid Response Weapon(ARRW)の最初の搭載機となり、核兵器AGM-181 Long-Range Standoff(LRSO)ミサイルでも唯一の運用機になる。

 F130は、ロールス・ロイスの商用エンジンBR725の軍用化版で、空軍はC-37VIP輸送機やE-11 BACN(戦場空中通信端末)で供用している。ロールスはGEエイビエーションプラット&ホイットニーを抑え2021年9月に5億90万ドルの初期契約を獲得し、B-52搭載用のF130の開発・試験を開始した。ロールスは76機のB-52用にF130を650基提供する。F130エンジンは、プラット&ホイットニーTF33を置き換える。プログラム全体の評価額は約26億ドル。

 ロールスはエンジンを空軍に直接提供し、B-52の製造元であるボーイングが、新エンジンが既存または新規の機器の機能に悪影響を与えない形で、機体にエンジンを搭載する。アップグレードは、補修施設への回航の際に実施される。

 1月、ボーイングはアリゾナ州のデービスモンサン空軍基地の「機体の墓場」から退役したB-52機体をオクラホマシティの航空物流センターにトラックで運び、アップグレードのデジタル設計を検証している。

 オクラホマシティ航空物流センターの「ハイベイ」は、「このプログラムとRMP(レーダー近代化プログラム)のため特別に建設したボーイングの施設です」と、同社の爆撃機担当シニアディレクター、ジェニファー・ウォンは語った。「目的は、実物大のレプリカ、航空機のモックアップををエンジニアリングに利用することです」。

 また、B-52に「触れたり」「這い回ったり」した経験のないエンジニアへの実地体験も含まれ。「ハードウェアに触れることは、非常に大きな価値をもたらす」と、ウォン付け加えた。

 モックアップは、「CERPプログラムの一部である油圧部品の課題を解決する」ために、リスク低減にも使用されるとウォンは指摘している。

 F130は、燃費を約30%向上させ、メンテナンス時間を大幅短縮し、TF33の「ベンダー消失」というサプライチェーン問題を解消できる。燃料効率効果で、アップグレード費用は回収できる。新エンジンで推力や速度の変更はない。

 ロールス・ロイスのB-52プログラム・ディレクター、スコット・エイムズは、「重要なのはスケジュールを守ること」と述べている。最初の重要マイルストーンとなる予備設計審査は今年夏に予定され、地上試験は今年中に行われる。

 ボーイングはF130用の新しいエンジン・ナセルを設計し、エンジンのアップグレードが、横風時の挙動など、B-52の性能に意図しない影響がないことを確認すると、エイムズは述べている。

 現在と同様に、エンジン8基はナセル4つに搭載される。米空軍は大型商用エンジン4基案も検討したが、翼やコックピットなど大幅再設計を避け、リスクと遅延を最小にするため8基に固執した。   

 ロールス・ロイスは、インディアナポリス工場にB-52専用の6億ドルの生産施設を完成させ、雇用を開始している。

 試験エンジン2基は、ロールス・ロイスが屋外ジェットエンジン試験施設を持つ、ミシシッピ州のNASAジョン・C・ステニス宇宙センターで評価される。エイムズは「我々はエンジンをプロトタイプのナセル構成で運転し、操作性と横風効果をテストする」という。

 エイムズによると、次の大きなマイルストーンとなる重要設計審査は、2023年に行われる。それまでに、ボーイングのナセルを装着したF130と装着していないF130の物理テストにより、性能の新データが得られ、ソフトウェアモデルの予測値を更新する。データは、ロールスがボーイングと共同開発する制御システムに反映される。

 ボーイングとロールスはB-52主翼のデジタルモデルを共有し、同じベースラインで作業を行える。


「ボーンヤード」から引き出されたB-52の機体がオクラホマのティンカー空軍基地に移送され、ボーイング技術陣が新型エンジン含む装備の装着を試す。April McDonald/USAF


 デジタル設計と「絶え間ない統合会議」によって、部品同士が干渉せず、最終的な構成の維持が容易だと確認された。エイムズは「ステニスでは、2基のエンジンポッドとナセルをテストスタンドに取り付け、各種の出力設定、気象条件で運転し、エンジンの作動状況を把握するとともに、制御システムへのフィードバックも行う」と述べている。

 ボーイングは、コックピットとエンジンをつなぐ配線や油圧を担当する。

 ボーイングは、2024年に最初の2機のB-52HをF130エンジンで改造し、サンアントニオの改造施設で作業を行う。最初の8機は、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地のB-52試験部隊に加わる。

 エンジン交換作業には「物理的な配線、油圧、出力更、冷却の変更」が含まれるとウォンは述べている。 

 制御装置は「機械式とデジタル式のハイブリッドスロットルシステム」になる。コックピットで機体を操作すると、デジタルとワイヤーが混在することになる。

 エンジンのテストに、新型レーダーのテストに、新型ARRWとLRSOミサイルのテストに各2機を割り当てる。

 ニューベリー准将によると、飛行試験は2025年から2026年にかけて行われる。飛行の安全性を実証後に、1機に新型レーダーを搭載し、両者の機能に関するデータ収集を開始する。

 その後、アップグレードを1つずつ追加する予定で、相互依存関係を考慮する。

 ニューベリー准将によれば、「我々は即応能力と一定数の航空機を運用することに留意しなければならないので、あまり長く時間をかけていられない」。 

 低率初期生産とマイルストーンC、つまり本格生産の決定がいつになるかを言うのは時期尚早とニューベリー准将は認めた。これらの決定で、改修作業のスピードが決まる。しかし、年10機から11機のペースとなると、76機すべての完成に2035年頃までかかることになる。

 構造的には、B-52は素晴らしい状態にある。60年前の爆撃機ながら、「素晴らしい整備計画があり、素材は陳腐化していない」(ニューベリー准将)。滑走路で長年にわたり待機していても、機体は摩耗していない。

 ボーイングは「機体構造に非常に自信を持っている」とウォンは言う。B-52は「構造的に余裕を持たせて」設計されている。

 ニューベリーは、B-52のCERPは、オールデジタル・アプローチによる取得を加速するための先駆けであったが、このプログラムは、今年中に標準的な技術・製造開発(EMD)に転換されると述べた。空軍は多くのお役所仕事を省いた。結局、このアプローチでスケジュールが圧縮され、「およそ3年」短縮できたという。

 初期契約では、エンジン24基の開発と生産が行われる。そのうち4基は地上試験用、20基は試験機と予備機用、とエイムズは言っている。この試験用エンジンが最終的にB-52の機体で使用されるエンジンに加わるかは、まだ明らかではない。最初のエンジンは計器類が相当搭載されるので、運用上で取り外すのはコスト的に不利になるかもしれない。

 生産契約は、EMD終了時になるだろうと、エイムズは言う。しかし、その前に、「生産率準備(PRP)という大きなマイルストーンがぶら下がっている」。PRRマイルストーンは、全サプライヤーと材料が生産のサポートで準備ができていると証明するものだ。

 整備要員用のシミュレーターやトレーニング機器については、「まだ早い」とエイムズは報告しているが、「拡張現実と仮想現実のツールを使い、空軍に提供可能なトレーニングパッケージのデモを行った」という。

 ロールス・ロイスは、「他のプログラムを活用し」、USAFに「メンテナンス、サポート、トレーニング用の素晴らしいソリューション」を提供する。2026年までに、同プログラムの生産と配備の姿が「もっと明確になるで」という。

 アップグレードされたB-52Hに新しい呼称B-52Jが浮上しているが、制式名称を論じるのは「時期尚早」で、「将来の話題」だとエイムズは言う。

 「呼称は、運用と訓練に関係する。飛行方法や使用方法に大きな違いがある場合、乗務員は十分に認識する必要がある」ため、呼称が重要になるのだという。

  ニューベリー准将は、B-52試作機の初飛行から4月で70周年を迎えたことに触れ、「B-52が2050年まで飛び続けるよう願う」とし、「B-52の歴史で最大の変更点」と述べ、長寿こそ同機の設計と価値の証だと指摘している。■


New Power for the B-52 - Air Force Magazine

By John A. Tirpak

March 23, 2022