2025年10月5日日曜日

巨大貨物機ウィンドランナーのコンセプトが米空軍に提示された(TWZ) ― 次々にあらわれる米スタートアップ企業の大胆な構想は失敗を恐れない米国の企業家精神が背景にありますね

巨大貨物機ウィンドランナーのコンセプトが米空軍に提示された(TWZ)

同機は設計段階だが2030年に初飛行を予定していると製造元が説明。

The giant WindRunner cargo jet concept was shown off for the Air Force.

レイディアによるレンダリング画像

コロラド州の企業が今週開催された空軍・宇宙軍協会の年次会議で、開発中の新型超重量貨物輸送機の模型を展示した。レイディアの「ウィンドランナー」構想はまだ構想段階だが、米軍が老朽化したC-5MギャラクシーC-17AグローブマスターIII輸送機の最終的な更新を検討するなど、重量貨物輸送能力の将来性が問われている時期に登場した。世界的に見ても、超大型貨物を長距離空輸する能力には有効期限が迫っており、既存機の後継機は未だ明確ではない。したがって、非常に実現可能性が低いと評されるレイディアの構想だが、検討に値する価値は十分にある。

4発のエンジンを搭載するウィンドランナーは、米空軍の2機種の輸送機よりはるかに大きく、当初は全長300フィート(約91メートル)の風力タービンブレードを運搬するために設計された。つまり、商業顧客向けの輸送ソリューションを提供することを目的として生まれた。しかしレイディアは、完成時には戦車・ヘリコプター・共同戦闘機(CCA)などの大型軍事装備やロケットブースターといった特大積載物を、過酷な環境地域へ輸送する魅力的な機体となると主張している。

ウィンドランナーは風力タービンブレード輸送用に設計された(レイディア)

「関心が高まり開発が進むにつれ、ウィンドランナーの類を見ない積載容量は防衛・航空宇宙・商業貨物分野にも同様に訴求力を持つようになった」と同社広報担当グレース・オコナーは本誌に語った。

米空軍公式ファクトシートによれば、1995年に初就役したC-17Aの最大積載量は約82トンである。

1970年代から運用され、現在は改良型C-5M仕様となったC-5は、最大140トンを輸送可能だ。単純な重量能力以上に重要なのは、C-5がC-17よりはるかに大型の物資を運搬できる点である。

比較として、レイディアによれば全長356フィート(約108メートル)のウィンドランナー(2016年構想)は72.6トンの貨物輸送が可能となる。しかし同社によれば、積載重量は問題の一部に過ぎないという。

「現行の軍用貨物機は揚力限界に達する前に積載スペースが不足する」とオコナーは指摘する。「つまり軍事作戦は総重量制限以前に容積制限で頓挫する。現代の軍事航空機、衛星、ミサイルシステム、移動式病院の巨大化により、作戦準備完了状態での輸送が困難になっている」ため、兵器システム多数はギャラクシーやグローブマスターに搭載するために分解する必要がある。

レイディアによれば、約27万立方フィートの貨物スペースを有するウィンドランナーは、C-5の7倍、C-17の12倍の容積を提供する。レイディアは、ウィンドランナーが飛行可能な状態のチヌークC-47ヘリコプター6機を含む各種貨物を輸送可能だと述べている。貨物室上部の膨らみにコックピットを配置した設計により、非常に長い貨物室へ物品を転がして入れるための垂直方向のスペースが確保される。

ウィンドランナーはチヌークヘリコプター6機輸送可能とされる(レイディア)

またウィンドランナーは6,000フィート(約1,830メートル)の滑走路での離着陸が可能とされているが、これほど大型の機体としてはかなり短い距離である。ただし、航続距離が制約要因となる可能性がある。C-17が重積載状態で約2,400マイルを無給油飛行できるのに対し、C-5は腹部に貨物を積載した状態でその倍以上の距離を飛行可能である。レイディアによれば、ウィンドランナーの積載時航続距離は1,200マイルに過ぎない。したがって、米軍での運用には空中給油能力が必須条件となるだろう。それでも、超大型貨物の容易な輸送能力と、可能な限り低廉な航空機取得価格を維持できる点、さらに長距離任務では既にC-5MやC-17Aで給油機が頻繁に運用されている点を考慮すれば、このトレードオフは価値があるかもしれない。また、補助燃料タンクなど航空機の航続距離を延ばすために一般的に採用される手法に加え、この巨大機の79.6メートル(261フィート)の翼幅を延長して航続距離を伸ばすことも可能かもしれない。レイディアによれば、軍用仕様機には空中給油能力を追加するが、商用機の初期生産分には搭載しないという。

ナショナルハーバーの広大なゲイロード・カンファレンスセンター内展示会場でウィンドランナーの縮尺模型が展示される中、2階上の小会議室では空軍高官が軍の大型輸送機の将来について議論していた。

メリーランド州ナショナルハーバーで開催された「空軍・宇宙軍・サイバー軍会議」に展示されたレイディア提案の貨物機「ウィンドランナー」のスケールモデル(撮影:ハワード・アルトマン)

米空軍は、C-5とC-17 に代わる次世代空輸(NGAL)プラットフォームに必要な要件の検討を初期段階で行っている。空軍は、速度と運用上の柔軟性の向上、および地上および空中における増大する脅威に対する防御能力の強化を重視すると述べている。

AMC 司令官であるジョン・ラモント空軍大将は、本誌などの記者団に対し、現在、ギャラクシーとグローブマスターの両方の後継機となる 1 種類の機体を模索していると語った。だが予算面や機能面の考慮事項から、将来の NGALがギャラクシー程度の積載能力を持つことはまずないだろう。

NGALの選択肢の中には、BWB構成の航空機がある。この設計は、運搬能力の向上と大きな内部容積など、さまざまな利点がある。2023年、空軍はタートアップ企業のJetZero を、実物大のデモ機設計・製造の委託先に選定した。

現在空軍向けに開発中のBWBデモ機のレンダリング画像。USAF

ギャラクシー級の規模に匹敵する代替機は存在しない可能性が高く、空軍は最大規模の貨物輸送手段を外部に依存せざるを得ない。しかし現状では選択肢が限られている。C-5とほぼ同等のローロー式重量物輸送能力を持つAn-124コンドルの民間チャーター機が少数存在するのみだ。旧ソ連設計のコンドルは永久に運用できるわけではない。ウクライナが近代化されたコンドルの生産を再開する可能性はあるが、これは非常に大規模な事業となる。また、C-17とC-5の後継機となる単一機種が、C-5が持つ巨大な貨物を丸ごと収容する能力を満たせない場合(その可能性は極めて低い)、米軍が超大型貨物を輸送する自前の能力を失うという問題は解決されない。

An-124 コンドル(アントノフ社)

世界最大の運用中貨物輸送機であったAn-225 ムリヤ(An-124の派生機)は、ロシアによるウクライナ全面侵攻開始時に破壊された。同機は数十年にわたり、戦争支援から災害救援活動、鉄道車両や航空機の輸送に至るまで、利用可能な最大積載量を持つチャーター機として活躍していた。

Snowy view to the destroyed largest Ukrainian transport plane Antonov An-225 Mriya (Dream) at the Hostomel airfield near Kyiv, Ukraine, November 19, 2022 (Photo by Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)

ウクライナ・キーウ近郊ホストメル飛行場で破壊された世界最大輸送機アントノフAn-225「ムリヤ」(夢)(2022年11月19日撮影/Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)NurPhoto

こうした背景を踏まえると、レイディアの巨大貨物輸送機は、実現すれば米軍に大型物資輸送で新たな選択肢を提供し得る。ニッチな能力ではあるが、たとえ契約ベースでの提供に留まっても、特定の任務では魅力的な選択肢となるだろう。この航空機の軍事化バージョンははるかに大きな目標だが、小規模なフリートでも「妥協案」的なC-5およびC-17の後継機設計が埋めることのできないギャップを埋める可能性がある。

レイディアは、自社の「ウィンドランナー」の初飛行を2030年までに目指していると主張している。

「当社は1億5000万ドル以上を調達済みであり、ウィンドランナーの開発・生産を完了させるため、政府支援・商業パートナーシップ・民間資本を通じた追加数十億ドルの調達交渉中だ」とオコナーは、白紙設計を現実化する費用について問われて述べた。「レイディアはコンセプト開発と風洞試験を完了し、現在はシステム統合と製造準備段階にある。ウィンドランナーは、現在認証済みで実際に飛行している実績ある市販システムを主に採用しています。当社はデジタル設計と解析に注力し、認証取得に向けた実機製造段階へと進んでいます」。

オコナーはさらに「レイディアは風力エネルギー、防衛、航空宇宙、貨物輸送分野の主要グローバル顧客から意向表明書(LOI)を受領済み」と付け加えた。ただしLOIは納入契約ではない。

現時点で、レイディアが製造機会を得た場合、どこでこれらのジェット機を製造する予定かは公には明らかにされていない。

「最終組立ラインの立地と生産能力について、近く公表できる段階に近づいている」とオコナーは説明した。

レイディアが最終的に米空軍記章を掲げる機体を製造するかどうかは不透明だ——あるいは製造しない可能性もある。とはいえ、今後数十年で大規模な空輸能力のギャップが生じる可能性があり、その解消には民間と軍用の資産を組み合わせる必要があるかもしれない。■


Giant WindRunner Cargo Jet Concept Shown Off To USAF

Still in the design phase, this aircraft is anticipated to fly for the first time in 2030 according to its builder.

Howard Altman, Tyler Rogoway

Published Sep 26, 2025 2:35 PM EDT

https://www.twz.com/air/giant-windrunner-cargo-jet-concept-shown-off-to-usaf

ハワード・アルトマン

シニアスタッフライター

ハワードは『The War Zone』のシニアスタッフライターであり、『Military Times』の元シニアマネージングエディターである。それ以前は『Tampa Bay Times』のシニアライターとして軍事問題を担当した。ハワードの記事はYahoo NewsRealClearDefenseAir Force Timesなど様々な媒体に掲載されている。


タイラー・ロゴウェイ

編集長

タイラーは軍事技術・戦略・外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマにおける主導的な発言力を築いてきた。The War Zoneを立ち上げる前には、大人気の防衛サイトFoxtrot Alphaの創設者であった。

 

ハマスの参加不参加と関係なく、トランプのガザ計画は成功する可能性がある(POLITICO)―日本がトランプ提案に驚くほど無関心なのが理解できません。どうせトランプだからと鷹をくくっているのでしょうか。

 


イスラエルのクファル・サバで、2023年にハマスに拉致されたイスラエル人人質の写真を貼った壁。ハマスはトランプ大統領の新たな和平提案に基づく交渉の一環で人質を解放すると述べている。| Amir Levy/Getty Images


国際社会の役割拡大は、多くの国々が「利害関係」を持つことを意味すると、あるアラブ外交官は述べた。

2023年10月7日の攻撃直後に筆者は「この紛争はどれくらい続くのか」と米当局者に尋ねたが言葉遣いを穏やかに戒められた。

「『紛争』は数十年前から続いている。『戦争』は別の問題だ」と述べた。その後、この当局者は、イスラエルとパレスチナの過激派組織ハマスとの間の今回の戦闘は、3か月から6か月続くだろうと予測した。これは筆者が聞いた中で最も長い期間であり、決して悲観的すぎるというものではなかった。

それから2年がたち、西側諸国の政府高官からガザの避難民に至るまで、誰もが戦争終結への期待を繰り返し打ち砕かれてきた。しかし、ここ数日間、世界がドナルド・トランプ大統領のガザ和平提案の基本を理解するにつれて、状況は変化している。ハマスが金曜日、残りのイスラエル人人質を解放する用意があると発表したことで、この計画の他の部分については交渉したいとしているものの、期待が高まってきた。

政府高官、アナリスト、その他の中東ウォッチャーは、トランプの計画は成功の可能性が十分にあると筆者に語っている。

この感情は陶酔感とは程遠い。何と言ってもここは中東であり、重要な役割を担う 2 つの勢力、すなわちイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相と過激派組織ハマスは、戦いを続ける動機を持っている。トランプはハマスに対し、合意しなければ「地獄のような報復」に直面すると警告した。金曜日の人質解放提案を受け、トランプは対話に前向きな姿勢を示し、要求の対象をイスラエルへ転換。ソーシャルメディアで「イスラエルは直ちにガザ爆撃を停止せよ。人質を安全かつ迅速に救出するためだ!」と述べた。

この20項目の計画の内容と構成は、トランプの和平努力に懐疑的な人々でさえ楽観視する理由を与える。ガザ地区のパレスチナ人だけでなく、ベテラン政策立案者たちも即時停戦の実現を切望している。

オバマ政権で人権担当国務次官補を務めたトム・マリノウスキーは「この合意は少なくとも当面、民間人の殺害を止め、残るイスラエル人人質を救出する。それだけでも満足だ」と語る。「ハマスとネタニヤフの両方を支える戦争を終結させる可能性も秘めている。ただしトランプが、双方が合意を損なう動機を持つことを冷静に見極める限りにおいてだが」。

中東問題の重鎮が本案に前向きな理由の一つは、トランプ大統領の個人的な関与だ。

確かに米大統領はノーベル平和賞受賞を公言している。しかしそれ以上に、本案の大半の実施を監督する「平和委員会」の議長を務める予定だ。技術的な詳細は他者に委ねる可能性が高いとはいえ、これほど目立つ役割を担うことはトランプの自尊心を満たし、提案の実施に注力し続ける原動力となり得る。

現職および元米政府高官数名は、トランプやその家族が将来のガザ再建から経済的利益を得る可能性が、両陣営への圧力を維持させるさらなる動機となり得ると筆者に示唆した。

提案書によれば、「中東で繁栄する現代の奇跡の都市の誕生に貢献した専門家パネルを招集し、ガザを再建・活性化させるトランプ経済開発計画を策定する」としている。中東地域に関連する数十億ドル規模の投資パートナーシップを持つトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナーは、この和平提案の立案者の一人だ。計画ではガザに「特別経済区」を設立することも提唱されている。

「この合意の可能性を考えれば、トランプは文字通り投資していると言えるだろう」とバイデン政権の元高官は私に語った。(話題が機密性が高く、雇用主から公の場で発言する許可を得ていない者もいたため、この人物を含む複数名に匿名を認めた。)

こうした人々が、政府の腐敗と批判されかねない事態の可能性に歓喜するのは奇妙に聞こえるかもしれない。しかしガザでの死者数が6万5千人を超え、イスラエル人人質や戦死した兵士の家族の苦しみも考慮すれば、現職・元米政府高官の一部は、トランプの取引好きで実利主義的な世界観を利用しようとしている。

あるいは、バイデン政権元高官が言うように「彼の関心を維持できるなら何でも」という姿勢だ。

この計画は、トランプが戦争解決に向けた過激な構想の一部を撤回したことを示している。トランプは以前、パレスチナ人をガザから追放し、同地域を米国主導のリゾート地に変えるよう求めていた——この構想はパレスチナ人、多くの外国政府関係者、人権活動家に大騒動を引き起こした。今回のトランプ和平提案では、パレスチナ人は留まり、ガザの経済発展に貢献できるとしている。

計画に希望を抱かせるもう一つの側面は、その国際的な性質だ。トランプは単独行動主義の「アメリカ第一主義」解決策で知られる。しかし今回の計画は、米国や対立当事国だけでなく他国も結果に関与することを保証している。これによりネタニヤフ首相とハマス過激派が合意条件に背くことが(不可能ではないが)困難になる可能性がある。

提案では、パレスチナ人と他国の専門家を含むガザの将来の技術官僚制行政を構想している。この機構は「平和理事会」に監督され、議長はトランプが務めるが、他の国家元首も参加する。英国のトニー・ブレア元首相も重要な役割を担う見込みだ。

米国はさらに、アラブ諸国を含む他国と連携し、イスラエルがハマス掃討したガザ地域に展開する「国際安定化部隊」の構築を約束している。インドネシアは既に部隊派遣を申し出ている。また「地域パートナー」(主にアラブ諸国)が、ハマスが提案に基づく義務を履行するよう確保することが期待されている。バイデン政権の様々な長期的計画でも、同様の国際平和維持チームの設置が提案されていた。

「これはより多くの関係者が利害を共有することを意味し、従来の関係国だけでなく新たな参加者が見られるだろう」とあるアラブ外交官は述べ、パキスタンやトルコなどの関心を指摘した。

現実的な見方をここで述べておこう:

今回の20項目提案は、将来の合意または一連の合意のための枠組みに過ぎない。その多くは相互に連携して機能する必要があり、難しいバランス調整が求められる。あらゆる段階で、政治家や過激派、ひょっとすると資金提供者さえも、計画を遅らせたり脱線させたりする動機を持つだろう。すべては実施次第となる。

既にアラブ諸国政府は、ネタニヤフ首相が文書に押し込んだ変更点に苛立ちを隠していない。彼らはこれを「毒薬条項」と呼んでいる。多くの当局者やアナリストが警戒するのは、提案がパレスチナ国家創設への道筋を明示していないためだ。

しかしこの提案は、ハマスを窮地に追い込みつつも、その構成員に生存の機会を与える特徴を備えている。この点がハマスに合意を促すインセンティブとなり得る。

2年前、自国で1200人を殺害したハマスにトラウマを抱えるイスラエル人は、「悪」を破壊するために同組織の武装勢力を最後の一人まで殺害すべきだと主張していた。これは現実的ではなかった。イスラエルはハマスを著しく弱体化させ指導部の大半を壊滅させたものの、同組織は数千人の新規メンバーを募集している。

提案では、武装解除し「平和的共存を誓約」するハマス構成員に恩赦を与える。国外退去を希望する戦闘員は亡命を許可される。計画下では同組織はガザ統治に関与しない。

トランプ大統領はハマスに対し、計画への即時合意がない場合、イスラエルの攻撃継続を容認すると警告し圧力を強めた。

段階的な停戦合意の可能性も示唆されている。

特に印象的だったのは次の一節だ:「ハマスが本提案を遅延または拒否した場合、拡大された支援作戦を含む上記内容は、[イスラエル国防軍]から[国際安定化部隊]に引き渡されたテロフリー区域において実施される」。

これは、イスラエルがガザの一部地域でハマスと戦いながら他の地域を復興に委ね、計画全体の一部を実行に移し始められることを意味する。おそらく最終的なハマス降伏を見据えた措置だ。そしてパレスチナ人がガザの一部が安全な避難所となるのを目撃すれば、ハマスへの反発をさらに促す可能性がある。

バイデン政権の国務長官を務めたアントニー・ブリンケンでさえ、火曜日のポッドキャストでこの条項は「楽観の根拠」だと述べた。「過去2年間の惨状を踏まえ、ガザの人々が少なくともこれに賛同する可能性はある」とブリンケンは述べ、トランプ案はバイデン政権下で策定された案と類似していると主張した。

この計画の各要素を機能させるには、詳細に関するさらなる交渉が不可欠だ。しかしトランプ政権は細部への配慮が足りないことで知られる。

複数の米当局者によれば、政権は同構想について国務省を巻き込んでおらず、中東局へ電報すら送られていないという。つまり、例えば計画で要求される「独立監視員」の受け入れ方法を詰める専門家たちへの協力を、まだ求めていないのだ。

ホワイトハウスにこの点を問いただしたところ、トランプ政権の高官は「情報漏洩防止など、情報を厳重に管理する理由がある」と回答した。「適切な時期に適切な関係者を全員巻き込む」と、内部協議に関わる話題であるため匿名を条件に話した同高官は述べた。「現時点での目標は中東の平和だ」。

こうした混乱した状況は、国際交渉の初期段階では珍しくもなければ克服不能でもない。特に中東では「『イエス』は決して得られない。『イエス、ただし…』が返ってくる」とあるアナリストが指摘するように。

少なくともトランプ案では大幅な調整が必要かもしれないが(あるいは新たなイスラエル首相の誕生を待つ必要があるかもしれないと、別の元米政府高官が私に語った)、比較的具体的な指針を提供している。

「仮に計画が今失敗しても、それは将来に向けた出発点となる」とアラブ外交官は語った。

この計画が合意され、実行され、維持されれば、当面の戦争を終結させ得る。また限定的ながらイスラエル人とパレスチナ人の間の広範な対立を終結させる試みでもある。

だから最近は人々に時間軸を求めないが、多少の希望を抱くことには抵抗がないのだ。■

The Trump Gaza Plan Could Work, With or Without Hamas

An expanded role for the international community means more countries have "skin in the game," one Arab diplomat said.


By Nahal Toosi10/04/2025 11:00 AM EDT

ナハル・トゥーシーはPOLITICOのシニア外交担当記者。戦争、ジェノサイド、政治的混乱を世界中で取材してきた。彼女のコラム「コンパス」は、世界の国家安全保障・外交政策機関の意思決定と、そこから生じる余波を掘り下げる。

スクープ:トルコがS-400を「運用不能」と宣言しF-35を調達する奇策が浮上(National Security Journal)―トルコは当初からF-35共同開発の一員だったのですが、途中で排除されていました この通りに進展するか注目です

 

スクープ:F-35調達契約獲得のためトルコがS-400を「運用不能」と宣言する奇策が浮上(National Security Journal)

A U.S. Air Force F-35A Lightning ll assigned to the 388th Fighter Wing, Hill Air Force Base, Utah, sits in a hangar at Lakeland Linder International Airport, Lakeland, Fla., following a aerobatic routine by the F-35A Lightning ll demonstration team at the Sun 'n Fun Holiday Flying Festival, Dec. 4, 2020. The Lightning II is a stealth-capable, multi-role attack fighter designed to penetrate the most hostile areas of the world without the threat of detection. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Codie Trimble)

2020年12月4日、フロリダ州で開催された「サン・アンド・ファン・ホリデー・フライング・フェスティバル」において、F-35AライトニングIIデモンストレーションチームによる曲技飛行の演技を終えた。ユタ州ヒル空軍基地第388戦闘航空団所属のF-35AライトニングIIが、フロリダ州レイクランド・リンダー国際空港の格納庫に駐機している。(米空軍写真:コディ・トリンブル曹長撮影)

要点と概要 – トランプ政権は、トルコがロシア製S-400を「部品除去後に使用不能」と認定することでF-35へのアクセスを回復させる回避策を検討中だ。議会審査が必要なCAATSA制裁を回避する試みとなる。

-批判派は、この可逆的修正が危険な前例を築くと警告している:イランや北朝鮮が「一時的なシステム無効化」を主張しても即時再稼働を可能にする可能性があるという。

-トルコは、地域のライバル国に遅れを取らないよう、また自国の防衛産業の基盤を築くため、F-35 の導入を望んでいるが、S-400 を購入したアンカラを米議会は制裁した。

-より安全な代替案:同盟国の F-35 がNATO 防衛のためにトルコの基地を使用すればよい。

トランプ大統領の F-35 問題への対処は、イランや北朝鮮への贈り物になるかもしれない

2025年9月25日、国連総会に出席したドナルド・トランプ大統領とトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領がホワイトハウスで会談した。

トランプ大統領は、トルコが F-35 共同打撃戦闘機プログラム から追放され、その 9 か月後にロシアの防衛部門 と「重要な取引」を行ったとして、NATO 加盟国トルコに対して、対米敵対国制裁法(CAATSA)に基づく二次的制裁が課せられたという、長年にわたる緊張の末、米国とトルコの関係を積極的にリセットしようとしている。

トルコ、F-35契約再始動か?

エルドアン大統領がF-35へのアクセス回復を強く望む理由は二つある。第一に、トルコは米国技術を逆設計し自国防衛産業に還元していること。第二に、地域のライバルであるイスラエル、次いでアラブ首長国連邦、ギリシャが相次いでF-35を導入する中、トルコが取り残されることを恐れていることだ。

米議会が当初CAATSAを可決したのはロシア、北朝鮮、イランを対象とするためだった。エルドアンがトルコをCAATSA指定に追い込んでしまったのは戦略的失策であり、トルコ外務省の無能さか、エルドアン自身の助言を聞かない姿勢の表れといえよう。

S-400の課題

トランプ大統領にとっての問題は、トルコへの制裁解除を望んでも、単独では実行できない点だ。

大統領は制裁解除が米国の「重大な国家安全保障上の利益」にかなうと議会に報告できるが、議会は大統領の免除提案を30日間審査する権限を持つ。

S-400は免除で解決できるものではなく、ロシアが買い戻したとしても容易に移動できない。

情報筋が伝える内容

その結果、この問題に関する議論に詳しい 4 人の情報筋によると、トランプ大統領の技術チームは抜け穴を模索している。トルコは S-400 から部品を取り外し、「使用不能」と宣言する。これは、ボルトを取り外したり、他の銃器から撃針を取り外したりして、ライフルを機能不能にするのと同じような、対空システムにおける措置となるだろう。

S-400 は使用不能?このような動きの危険性

もちろん、問題は、ピンを取り外しても銃が永久的に破壊されるわけではなく元に戻せるという点です。

トルコが 1 つの部品を取り外しただけで、トランプ大統領、そしておそらくピート・ヘグセス国防長官が S-400 を無力化と宣言することを議会が認めたとしよう。その場合、トランプ大統領によるトルコへの F-35 の販売は短期的には進行するかもしれないが、長期的な大惨事につながる可能性がある。

例えば、トランプ大統領はイランに核開発計画の廃止を求めている。イランがトルコの先例を引用した場合、大統領執務室にテヘランに友好的な大統領が座ってた場合、イランは数本のネジを外すか、数時間ではないにしても数日で元に戻せる措置を講じるだけでよい。北朝鮮も非武装地帯に沿って新しいミサイルを配備できるが、トランプ大統領が S-400 を容認したのと同じ方法で、そのミサイルは機能不能にできる。

F-35をめぐる別の道筋

要するに、トランプ大統領がエルドアン大統領の渇望するF-35を提供して懐柔しようとし、議会を強引に押さえつけてでも意を通そうとする一方で、米トルコ関係以上に重大な問題が生じる。

トルコのF-35取得願望が純粋にNATOのためなら、別の妥協案も考えられる。ギリシャだけでなく、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、英国といった他の欧州NATO加盟国もF-35を保有しているか、近く導入予定だ。エルドアンは各国が同盟の共同防衛のためにトルコ空軍基地を利用することを認めるべきかもしれない。エルドアンは渋るかもしれないが、両方の要求を同時に通すことはできない。

トランプ大統領と議会が、前回ロシアに接近したエルドアン大統領の虚勢を見抜いたように、トランプ大統領と議会が再びトルコ指導者の虚勢を見抜き、NATOの利益や同盟の防衛より、クルド人を殺害し、近隣諸国を脅かし、ハマスがイスラエルに対抗するのを支援するプラットフォームを持つことの方がエルドアンの関心事であることを露呈すべきだ。■


Scoop: Turkey to Declare S-400 ‘Inoperable’ to Gain F-35 Stealth Fighter Deal

By

Michael Rubin

https://nationalsecurityjournal.org/scoop-turkey-to-declare-s-400-inoperable-to-gain-f-35-stealth-fighter-deal/


著者について:マイケル・ルービン博士

マイケル・ルービンはアメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員であり、中東フォーラムの政策分析部長を務める。本稿の見解は著者個人のものである。元国防総省職員であるルービン博士は、革命後のイラン、イエメン、そして戦前・戦後のイラクに居住した経験を持つ。また9.11以前にはタリバンと接触したこともある。10年以上にわたり、アフリカ角地帯および中東の紛争・文化・テロリズムに関する講義を、展開中の米海軍・海兵隊部隊向けに海上で行った。本稿の見解は著者個人のものである。


2025年10月4日土曜日

次期空軍参謀総長にウィルスバック大将が内定(Breaking Defense)

 

次期空軍参謀総長にウィルスバック大将が内定(Breaking Defense)

空軍戦闘司令部で前司令官のケネス・ウィルスバック大将は、デイブ・オールビン大将が退任を8月に発表した直後から、空軍最高位の将官ポストの最有力候補として浮上していた

米空軍のケン・ウィルスバック将軍が、2025年8月11日にヴァージニア州ラングレー空軍基地で行われた空軍戦闘司令部指揮権移譲式典で出席者に演説した。(米空軍提供写真/上級空軍兵アディセン・スミス撮影)

ワシントン発 — 3人の情報筋が本誌に明かしたところによると、ケネス・ウィルズバック大将がトランプ政権の空軍参謀総長正式候補に指名される見通しだ

承認されれば、ウィルスバック大将は、4年間の任期の中間である 11 月に引退すると先月突然発表したデビッド・オールビン大将の後任となる。

空軍は指名状況についてコメントを控えた。ホワイトハウスはコメント要請に対して回答していない。

ドナルド・トランプ大統領は気まぐれな性格で知られており、この決定が正式に上院に送られ、国防総省によって発表されるまでは、いつでも変更の可能性がある。しかし本誌に情報を提供した情報源のうち 2 人は、ウィルスバック大将が候補者に選ばれたことが、数日中に議会に通知されるだろうと予想している。

ウィルスバックが空軍の最高位へと登りつめた道のりは、典型的な型にはまった官僚的な指名プロセスとは異なっていた。

8月11日、同大将は、予定していた引退に先立ち、空軍戦闘司令部の司令官の職を辞した。しかし、その7日後、オールビンの早期退任が発表され、その直後、複数の情報筋が本誌に対し、ウィルスバックが参謀総長職の最有力候補として浮上したと伝えた。その理由の一部は、彼が以前、太平洋空軍司令官を務めていたことにある。

しかしウィルスバック大将の指名候補は、ソーシャルメディアアカウントが彼の多様性・公平性・包摂性(DEI)推進発言を問題視するキャンペーンを展開したことで停滞した。代わりに同キャンペーンは、当時副参謀長候補だった空軍グローバルストライク司令部のトーマス・ビュシエール司令官を参謀総長候補として推した。(ビュシエール将軍の副参謀総長指名については、今月初めに『アビエーション・ウィーク』が報じた通り、その後撤回された。)

空軍最高位の軍事ポストをめぐる前例のないキャンペーンは空軍コミュニティの話題となり、今週開催された航空宇宙軍協会会議の参加者間でも熱い議論を呼んだ。トロイ・メインク空軍長官は月曜日の記者ブリーフィングで、軍最高位の制服組ポストが空白状態になる懸念を軽視する発言を行った。

トランプ政権が最終的に候補者を選定する必要があることに言及しつつ、「要するに参謀総長不在の状態にはならない。オールビン将軍と私が確実に参謀総長を配置する」と述べた。

ウィルズバックは戦闘機パイロット出身で、F-22ラプター、F-15、F-16などの航空機を操縦した経験を持つ。指名されれば、中国が台湾に侵攻し米国の対応を招く恐れが高まる中、重要な局面で空軍を指揮することになる。ウィルスバック大将自身、中国パイロットによる「完全にプロらしからぬ全く安全でない」迎撃行動の中で部隊を指揮した経験を持つ。

「懸念されるのは…彼らの典型的な反応が『これはあなたのせいだ。あなたがここにいなければこんなことは起きなかった』というものだということだ」 ウィルズバックは2023年9月、米当局者が中国側と接近飛行問題で対峙できた事例について記者団に語っていた

「安全に、プロフェッショナルに行動すれば、全員が無事だ」とウィルズバックは述べた。「誤算も、惨事も起きない」。■

マイケル・マローが本記事に寄稿した。



Wilsbach expected to become next Air Force chief of staff: Sources

Former Air Combat Command head Gen. Kenneth Wilsbach had emerged as the frontrunner for the Air Force’s top uniformed job shortly after Gen. Dave Allvin announced his retirement in August.

By Valerie Insinna and Aaron Mehta on September 26, 2025 9:31 am

https://breakingdefense.com/2025/09/wilsbach-expected-to-become-next-air-force-chief-of-staff-sources/