巨大貨物機ウィンドランナーのコンセプトが米空軍に提示された(TWZ)
同機は設計段階だが2030年に初飛行を予定していると製造元が説明。
レイディアによるレンダリング画像
コロラド州の企業が今週開催された空軍・宇宙軍協会の年次会議で、開発中の新型超重量貨物輸送機の模型を展示した。レイディアの「ウィンドランナー」構想はまだ構想段階だが、米軍が老朽化したC-5MギャラクシーとC-17AグローブマスターIII輸送機の最終的な更新を検討するなど、重量貨物輸送能力の将来性が問われている時期に登場した。世界的に見ても、超大型貨物を長距離空輸する能力には有効期限が迫っており、既存機の後継機は未だ明確ではない。したがって、非常に実現可能性が低いと評されるレイディアの構想だが、検討に値する価値は十分にある。
4発のエンジンを搭載するウィンドランナーは、米空軍の2機種の輸送機よりはるかに大きく、当初は全長300フィート(約91メートル)の風力タービンブレードを運搬するために設計された。つまり、商業顧客向けの輸送ソリューションを提供することを目的として生まれた。しかしレイディアは、完成時には戦車・ヘリコプター・共同戦闘機(CCA)などの大型軍事装備やロケットブースターといった特大積載物を、過酷な環境地域へ輸送する魅力的な機体となると主張している。
ウィンドランナーは風力タービンブレード輸送用に設計された(レイディア)
「関心が高まり開発が進むにつれ、ウィンドランナーの類を見ない積載容量は防衛・航空宇宙・商業貨物分野にも同様に訴求力を持つようになった」と同社広報担当グレース・オコナーは本誌に語った。
米空軍公式ファクトシートによれば、1995年に初就役したC-17Aの最大積載量は約82トンである。
1970年代から運用され、現在は改良型C-5M仕様となったC-5は、最大140トンを輸送可能だ。単純な重量能力以上に重要なのは、C-5がC-17よりはるかに大型の物資を運搬できる点である。
比較として、レイディアによれば全長356フィート(約108メートル)のウィンドランナー(2016年構想)は72.6トンの貨物輸送が可能となる。しかし同社によれば、積載重量は問題の一部に過ぎないという。
「現行の軍用貨物機は揚力限界に達する前に積載スペースが不足する」とオコナーは指摘する。「つまり軍事作戦は総重量制限以前に容積制限で頓挫する。現代の軍事航空機、衛星、ミサイルシステム、移動式病院の巨大化により、作戦準備完了状態での輸送が困難になっている」ため、兵器システム多数はギャラクシーやグローブマスターに搭載するために分解する必要がある。
レイディアによれば、約27万立方フィートの貨物スペースを有するウィンドランナーは、C-5の7倍、C-17の12倍の容積を提供する。レイディアは、ウィンドランナーが飛行可能な状態のチヌークC-47ヘリコプター6機を含む各種貨物を輸送可能だと述べている。貨物室上部の膨らみにコックピットを配置した設計により、非常に長い貨物室へ物品を転がして入れるための垂直方向のスペースが確保される。
ウィンドランナーはチヌークヘリコプター6機輸送可能とされる(レイディア)
またウィンドランナーは6,000フィート(約1,830メートル)の滑走路での離着陸が可能とされているが、これほど大型の機体としてはかなり短い距離である。ただし、航続距離が制約要因となる可能性がある。C-17が重積載状態で約2,400マイルを無給油飛行できるのに対し、C-5は腹部に貨物を積載した状態でその倍以上の距離を飛行可能である。レイディアによれば、ウィンドランナーの積載時航続距離は1,200マイルに過ぎない。したがって、米軍での運用には空中給油能力が必須条件となるだろう。それでも、超大型貨物の容易な輸送能力と、可能な限り低廉な航空機取得価格を維持できる点、さらに長距離任務では既にC-5MやC-17Aで給油機が頻繁に運用されている点を考慮すれば、このトレードオフは価値があるかもしれない。また、補助燃料タンクなど航空機の航続距離を延ばすために一般的に採用される手法に加え、この巨大機の79.6メートル(261フィート)の翼幅を延長して航続距離を伸ばすことも可能かもしれない。レイディアによれば、軍用仕様機には空中給油能力を追加するが、商用機の初期生産分には搭載しないという。
ナショナルハーバーの広大なゲイロード・カンファレンスセンター内展示会場でウィンドランナーの縮尺模型が展示される中、2階上の小会議室では空軍高官が軍の大型輸送機の将来について議論していた。
メリーランド州ナショナルハーバーで開催された「空軍・宇宙軍・サイバー軍会議」に展示されたレイディア提案の貨物機「ウィンドランナー」のスケールモデル(撮影:ハワード・アルトマン)
米空軍は、C-5とC-17 に代わる次世代空輸(NGAL)プラットフォームに必要な要件の検討を初期段階で行っている。空軍は、速度と運用上の柔軟性の向上、および地上および空中における増大する脅威に対する防御能力の強化を重視すると述べている。
AMC 司令官であるジョン・ラモント空軍大将は、本誌などの記者団に対し、現在、ギャラクシーとグローブマスターの両方の後継機となる 1 種類の機体を模索していると語った。だが予算面や機能面の考慮事項から、将来の NGALがギャラクシー程度の積載能力を持つことはまずないだろう。
NGALの選択肢の中には、BWB構成の航空機がある。この設計は、運搬能力の向上と大きな内部容積など、さまざまな利点がある。2023年、空軍はタートアップ企業のJetZero を、実物大のデモ機設計・製造の委託先に選定した。
現在空軍向けに開発中のBWBデモ機のレンダリング画像。USAF
ギャラクシー級の規模に匹敵する代替機は存在しない可能性が高く、空軍は最大規模の貨物輸送手段を外部に依存せざるを得ない。しかし現状では選択肢が限られている。C-5とほぼ同等のローロー式重量物輸送能力を持つAn-124コンドルの民間チャーター機が少数存在するのみだ。旧ソ連設計のコンドルは永久に運用できるわけではない。ウクライナが近代化されたコンドルの生産を再開する可能性はあるが、これは非常に大規模な事業となる。また、C-17とC-5の後継機となる単一機種が、C-5が持つ巨大な貨物を丸ごと収容する能力を満たせない場合(その可能性は極めて低い)、米軍が超大型貨物を輸送する自前の能力を失うという問題は解決されない。
An-124 コンドル(アントノフ社)
世界最大の運用中貨物輸送機であったAn-225 ムリヤ(An-124の派生機)は、ロシアによるウクライナ全面侵攻開始時に破壊された。同機は数十年にわたり、戦争支援から災害救援活動、鉄道車両や航空機の輸送に至るまで、利用可能な最大積載量を持つチャーター機として活躍していた。
ウクライナ・キーウ近郊ホストメル飛行場で破壊された世界最大輸送機アントノフAn-225「ムリヤ」(夢)(2022年11月19日撮影/Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)NurPhoto
こうした背景を踏まえると、レイディアの巨大貨物輸送機は、実現すれば米軍に大型物資輸送で新たな選択肢を提供し得る。ニッチな能力ではあるが、たとえ契約ベースでの提供に留まっても、特定の任務では魅力的な選択肢となるだろう。この航空機の軍事化バージョンははるかに大きな目標だが、小規模なフリートでも「妥協案」的なC-5およびC-17の後継機設計が埋めることのできないギャップを埋める可能性がある。
レイディアは、自社の「ウィンドランナー」の初飛行を2030年までに目指していると主張している。
「当社は1億5000万ドル以上を調達済みであり、ウィンドランナーの開発・生産を完了させるため、政府支援・商業パートナーシップ・民間資本を通じた追加数十億ドルの調達交渉中だ」とオコナーは、白紙設計を現実化する費用について問われて述べた。「レイディアはコンセプト開発と風洞試験を完了し、現在はシステム統合と製造準備段階にある。ウィンドランナーは、現在認証済みで実際に飛行している実績ある市販システムを主に採用しています。当社はデジタル設計と解析に注力し、認証取得に向けた実機製造段階へと進んでいます」。
オコナーはさらに「レイディアは風力エネルギー、防衛、航空宇宙、貨物輸送分野の主要グローバル顧客から意向表明書(LOI)を受領済み」と付け加えた。ただしLOIは納入契約ではない。
現時点で、レイディアが製造機会を得た場合、どこでこれらのジェット機を製造する予定かは公には明らかにされていない。
「最終組立ラインの立地と生産能力について、近く公表できる段階に近づいている」とオコナーは説明した。
レイディアが最終的に米空軍記章を掲げる機体を製造するかどうかは不透明だ——あるいは製造しない可能性もある。とはいえ、今後数十年で大規模な空輸能力のギャップが生じる可能性があり、その解消には民間と軍用の資産を組み合わせる必要があるかもしれない。■
Giant WindRunner Cargo Jet Concept Shown Off To USAF
Still in the design phase, this aircraft is anticipated to fly for the first time in 2030 according to its builder.
Published Sep 26, 2025 2:35 PM EDT
https://www.twz.com/air/giant-windrunner-cargo-jet-concept-shown-off-to-usaf
ハワード・アルトマン
シニアスタッフライター
ハワードは『The War Zone』のシニアスタッフライターであり、『Military Times』の元シニアマネージングエディターである。それ以前は『Tampa Bay Times』のシニアライターとして軍事問題を担当した。ハワードの記事はYahoo News、RealClearDefense、Air Force Timesなど様々な媒体に掲載されている。
タイラー・ロゴウェイ
編集長
タイラーは軍事技術・戦略・外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマにおける主導的な発言力を築いてきた。The War Zoneを立ち上げる前には、大人気の防衛サイトFoxtrot Alphaの創設者であった。
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