2025年10月15日水曜日

 

海上自衛隊向けたいげい級潜水艦六隻目が進水(Naval News)―日本に必要な対中抑止力として同艦含む潜水艦部隊の活躍が日本の安全を守っています

Sogei SS518 Taigei-class submarine

第6号艦「そうげい」は10月14日、神戸市の川崎重工業(KHI)造船所で行われた進水式で海に浮かんだ。写真:吉久 滝

崎重工業(KHI)は、海上自衛隊向け第6番艦となるたいげい級ディーゼル電気攻撃潜水艦「そうげい」を進水させた。

新型3,000トン級ディーゼル電気潜水艦(SSK)「そうげい」(艦番号SS 518)は、10月14日に神戸市の川崎重工業造船所で行われた進水式典で水に浮かんだ。同艦は、4号艦「らいげい」および5号艦「ちょうげい」に続き、高出力の新型川崎12V 25/31ディーゼルエンジンを搭載する。

建造費約736億円(4億8400万ドル)の「そうげい」は、2027年3月の就役を予定している。「そうげい」はシロナガスクジラを意味する。海上自衛隊が艦艇に「そうげい」の名を冠するのは今回が初めてであり、旧日本海軍にも同名の艦艇は存在しなかった。

たいげい級潜水艦は全て、艦名に「鯨」の字を冠している。これは海上自衛隊の従来型潜水艦に見られる「しお」シリーズや「りゅう」シリーズに続く命名規則だ。「たいげい」とは「大きな鯨」を意味する。

海上自衛隊によると、新型潜水艦の乗組員は約70名、全長84メートル、幅9.1メートル、喫水10.4メートル、標準排水量約3,000トンである。これは標準排水量2,950トンの「そうりゅう」級よりわずかに大きい。

海上自衛隊によれば、たいげい級には女性乗組員専用の居住区画を備えており、最大6名が居住できる。日本の潜水艦で女性乗員専用の居住区画が設けられるのは今回が初めてである。

Sogei SS518 Taigei-class submarineたいげい級6番艦「そうげい」は10月14日、神戸市にある川崎重工業の造船所で行われた進水式典で水中に入った。写真:瀧義久

新型ディーゼルエンジン

第3号艦「じんげい」までは主機関に川崎重工業製12V 25/25SBディーゼルエンジン2基が使用されていたが、「らいげい」から高出力の新型12V 25/31ディーゼルエンジンが採用された。この新型エンジンは発電効率を向上させた新型スノーケルシステムに対応している。

たいげい級は6,000馬力を発生するディーゼル電気エンジンを搭載している。水中最高速度は20ノットである。

リチウムイオン電池

海上自衛隊によると、たいげい級は鉛蓄電池に代わってリチウムイオン電池を搭載している。これは海上自衛隊向け最終2隻のそうりゅう級(おうりゅう SS511、とうりゅう SS512)と同様である。

京都に本拠を置く電池システムの開発・製造企業GSユアサが、新型潜水艦向けリチウムイオン電池を供給した。現時点でリチウムイオン電池をSSK(小型原子力潜水艦)に搭載した国は日本のみであり、次に韓国が3,600トン級「チャンボゴ3型」第2次建造3隻に搭載すると見込まれている。

新型CMSとシュノーケル

防衛省によれば、同級は先進的な統合センサー、指揮統制、兵器発射システムを組み合わせた新型戦闘管理システム(CMS)を採用している。

さらに、探知特性を低減する改良型シュノーケルシステムと、光ファイバーアレイ技術に基づく新世代ソナーシステムを採用し、探知能力を強化している。

潜水艦ソナー

たいげい級は高性能ソナーZQQ-8を搭載しており、これはそうりゅう級のZQQ-7よりも性能が向上している。

たいげい級SSKの兵装

たいげい級は、後期4隻のそうりゅう級と同じ魚雷システムを採用している。使用されるのは日本の最新魚雷である18式魚雷で、従来の89式魚雷の後継である。この新型魚雷は推進システム、目標探知能力、処理能力など複数の分野で改良が加えられている。

また、同級は水上目標に対してUGM-84Lハープーン・ブロックII対艦ミサイルを配備可能である。このミサイルの射程は248kmであり、日本に「反撃」能力を提供するのに十分な距離である。

たいげい級潜水艦計画の現状

たいげい級の一番艦であるたいげい(SS 513)は2022年3月に就役した。2番艦のはくげい(SS 514)は2023年3月に就役した。3番艦のじんげい(SS 515)は2024年3月に就役した。4番艦のらいげい(SS 516)は2025年3月に就役した。5番艦のちょうげい(SS 517)は2024年10月に進水し、現在装備作業と各種試験を実施中で2026年3月の就役に向け準備を進めている。

中国を意識して

中国海軍の3番艦となる航空母艦福建は年内にも就役する見込みだ。これにより遼寧と山東を加え3隻の空母打撃群が形成される。現在、中国海軍は日本の九州とフィリピンを結ぶいわゆる第一列島線(主に日本の南西諸島で構成)を頻繁に通過しており、日本周辺の西太平洋でより頻繁に活動する可能性が高い。日本の潜水艦は「海の忍者」として、中国海軍の積極的な行動を牽制することが期待されている。■


Japan Launches Sixth Taigei-Class Submarine for JMSDF

  • Published on 14/10/2025

  • By Kosuke Takahashi

  • In News

  • https://www.navalnews.com/naval-news/2025/10/japan-launches-sixth-taigei-class-submarine-for-jmsdf/

  • 高橋 浩祐

  • 高橋 浩祐は日本在住の防衛問題ライターである。ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー、ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル、モンチ出版に寄稿。ハフポストジャパン元編集長、朝日新聞社・ブルームバーグ元記者。高橋は1993年に慶應義塾大学経済学部を卒業。朝日新聞社とダウ・ジョーンズ社を経て、コロンビア大学ジャーナリズム大学院および国際公共政策大学院(SIPA)に留学し、2004年にジャーナリズム修士号と国際問題修士号を取得した。1993年に朝日新聞社の記者となる前には、川崎市の姉妹都市プログラムの交換研修生としてボルチモア経済開発公社に勤務し、日米間の貿易問題について研究した。その功績により1988年にボルチモア市の名誉市民に選ばれている。



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