2016年4月15日金曜日

速報 北朝鮮が弾道ミサイル発射に失敗



North Korea missile launch fails on founder’s birthday

By Kim Gamel
Stars and Stripes
Published: April 14, 2016


SEOUL, South Korea — 北朝鮮は本日ミサイル発射に失敗した。本日は同国の祖金日成104回目の誕生日にあたる。
米関係者は匿名を条件で「米戦略軍はミサイル発射を探知し、追跡した。打ち上げは失敗に終わったという評価だ」
韓国の統合参謀本部によれば中距離弾道ミサイル一発が北朝鮮東海岸から発射されたと述べたが、「打ち上げは失敗したようだ」と韓国聯合通信は伝えている。
ミサイルは射程は1,800マイルのムスダンと思われ、その存在が今週初めに確認されていた。
金曜日に金日成104回目の誕生日を祝し北朝鮮がミサイル発射に踏み切る予想は前からあった。北朝鮮は米韓合同軍事演習に怒りを表明しており、核開発で国連制裁が追加されたことも不満の種でさらに北朝鮮要人が韓国亡命を繰り返していることで神経を逆立てていた。亡命にはスパイ組織偵察総局の大佐一名も含まれている。
金正恩は党大会を来月に招集すると見られ、この機会に統制を強めるとの観測がある。
今年に入って北朝鮮は挑発を繰り返しており、1月には第四回目の核実験、その翌月には長距離ロケット発射に踏み切っている。■

2016年4月14日木曜日

リン少佐情報流出事件の続報 国家安全保障警報が出ていたほどの深刻な内容か



Early Results of Edward Lin Espionage Investigation Triggered National Security Alert

April 13, 2016 10:40 AM • Updated: April 13, 2016 7:43 PM

Lt. Cmdr. Edward C. Lin
大尉時代のエドワード・C・リン

中国および台湾へ極秘情報を流した疑義の海軍航空士官の捜査から国家安全保障上の警報が海軍とペンタゴン上層部へ発出されたことをUSNI Newsは海軍関係者二名から確認した。
  1. エドワード・チー・リアン・リン少佐(39歳)は昨年9月に任務を解かれヴァージニア州チェサピークで拘束されたままだ。少佐はVPU-2特殊プロジェクトパトロール飛行隊(ハワイ)で勤務していた。軍事法廷開廷前の身柄拘束措置を受けている。
  2. 拘束開始の三か月後にペンタゴン及び海軍上層部に極秘情報流出の可能性があるとの警告が出たと関係者二名が確認している。
  3. 警告の発出は海軍法務部編のハンドブックで国家安全保障事例の訴訟事件で必要としている。
  4. 同ハンドブックによれば法務部の国家安全保障情報法務課は「海軍省法務顧問(DON GC)に重大な職務違反事案で極秘情報が流出している場合に通達をすること」とある。
  5. さらに同課は海軍長官及び海軍作戦部長の両名に対しあるいは必要に応じ海兵隊総監に対し該当事案の状況を常時伝える責任を有する。
  6. 海軍上層部以外に上下両院の軍事委員会にもリン少佐が9月に拘留された時点で本人に関する疑惑が伝えられていたと委員会関係者からUSNI Newsに明かしている。
  7. 海軍から事件の詳細が発表されていないが、国防関係者複数から先週金曜日にUSNI NewsへNCISとFBIが共同で捜査中と伝えてきた。
  8. リン少佐の配属場所は海軍で最も機密度の高い信号情報電子情報偵察部門で敵に回る可能性のある国つまり中国やロシアの防衛システムの性能・弱点を確認するのが任務だ。
  9. リン少佐が中国や台湾に回した情報の機微性により、本件に「国家安全保障事案」として、追加規程が適用されるのは証拠類が機微な内容になっているためだ。
  10. リン少佐が開廷前の拘束扱いを延長され、海軍上層部に警報が流れ、ペンタゴンや議会も同様に警報を受けたのは、検察側がリン少佐が極秘情報を外国に手渡したとの確証を得ているからだろう。
  11. だが疑問は残る。なぜ本件を法務省に任せず海軍は自ら処理しているのか。法務省は安全保障関連の立件で十分な知見を有している。
  12. 法務省はペンタゴンと1984年に覚書を交わし、事案別に担当を決めている。覚書では初期捜査の72時間後にスパイ活動の発生が判明した場合はNCISが捜査機関に連絡を入れるものとしている。今回の場合はFBIとなる。
  13. リン少佐が8か月にわたる異例の身柄拘束措置を受けていること自体が海軍が法務省に代わり本件の捜査を主導する理由だろうと海兵隊で法務官の経験があるロブ・ブラックネルは解説する。
  14. 「一つの可能性は本人を解職して海外連絡を中止さえたかったのだろう。連邦制度だと本人が起訴処分で逮捕されても保釈の可能性が高い」
  15. 「民事法では保釈に根拠が必要だ。反対に軍事法では開廷前の身柄拘束にさしたる要件は不要だ」
  16. 軍事法廷の陪審員は提示証拠の技術的な意味を理解できる立場にあり、すでに極秘情報を見る許可を得ているはずとブラックネルは言う。また統一軍事法典では罪状追加ができる点で連邦法廷とは異なる。リン少佐の場合は淫行や買春が該当する。
  17. さらにブラックネルは軍事法廷の審理は連邦訴追事件より簡単と指摘する。
  18. 「軍は報道機関へ情報提供を大きく制限し、社会へのメッセージ機能をうまく管理できる」という。
  19. 4月11日の統一軍事法典第32条に基づく審理を受けてフィル・デイビッドソン大将(艦隊総司令官)が本事案を精査し、軍事法廷を開廷すべきかを決定する。■

ロシア機が米海軍駆逐艦に危険な接近飛行を繰り返す事態がバルト海で発生


これはロシアの嫌がらせ行為でしょう。しかも場所は公海上です。軍艦は他国の領海でも通行することが無害通航として認められていますが、ロシアはこれも認めていませんでした。国際ルールを守るようにロシアに要求すべきでしょう。翻って東シナ海などでも同様の事態が起きないとは限りません。ルールの意味を再度確認願いたいところですね。
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Russian attack aircraft just flew within 30 feet of a U.S. Navy ship

ロシアSu-24が米海軍駆逐艦ドナルド・クックに極端な接近飛行をしている。バルト海で4月12日に撮影したビデオが国防総省により発表された。
Andrew Tilghman, Military Times 3:57 p.m. EDT April 13, 2016

635961546991890027-russian.JPG(Photo: U.S. European Command)
A Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft makes a lowロシアのスホイSu-24攻撃機が低空でUSSドナルド・クック(DDG-75)上空を通過飛行している。2016年4月12日撮影。ドナルド・クックはアーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦でスペインのロタに前方配備されている。  U.S. Navy photo
A Russian Kamov KA-27 Helix closely surveils the Arleigh
A Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft makes a very-low
Two Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft fly over the
Two Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft fly over the
Two Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft perform multiple
A Russian Sukhoi Su-24 attack aircraft makes a low
ロシア軍機がここ数年で一番過激な行動をがし、米海軍艦艇に「模擬攻撃行為」をバルト海で4月12日に取った。数回にわたり艦の上空30フィート以内を通過飛行したと国防関係者が述べている。
  1. 駆逐艦ドナルド・クック (DDG-75) の乗組員によれば同機は海面に衝撃波が秘跡を残すほど低空を飛行し、艦を囲む形で飛行しており、艦長は「危険かつ非常識」な飛行だったと述べている。
  2. 「ここまで危険な行為はこれまで見たことがない」と上記国防関係者は匿名を条件で述べている。米側は今回の事件を公式に発表していない。
  3. 同艦の乗組員によれば機体はスホイSu-24で主翼の下はすっきりしていた、つまり爆弾など武装はしていなかったと上記国防関係者は紹介している。
  4. 軍艦上空の飛行は「模擬攻撃」とされ、1973年の米ロ条約で禁じられている行為だと国防関係者は指摘している。
  5. ロシア機は11日、12日と続けて危険な飛行を行っている。
  6. 駆逐艦ドナルド・クックはポーランドのグディニアを11日に出港し、国際公海でポーランド所属ヘリコプターと行動していた。NATO加盟国同士の共同訓練として普通の行動だった。
  7. この途中でロシアのスホイSu-24一機があらわれ、20回ほど通過飛行をし、同艦から1,000ヤード以内で高度100フィートの飛行を繰り返している。このためドナルド・クックの艦長はヘリコプター運用を中止した。
  8. 12日火曜日にドナルド・クックはバルト海でロシアのKa-27へリックス・ヘリコプターから7回にわたり上空飛行され写真撮影されたと上記黄公方関係者が述べた。このヘリコプターが姿を消すと、Su-24が単機で「超低空」上空飛行をし、「模擬空爆」のパターンであったという。同機は計11回も艦上空を通過した。
  9. 駆逐艦から数回にわたり無線交信を試みたが、同機から回答はなかったという。
  10. 正式な調査結果を受け米政府はロシアへ正式に抗議するだろうと国防関係者は述べる。
  11. この数年でロシア機が危険な上空通過飛行をする事例が増えており、米海軍は「無茶」な飛行と表現してきたが、今秋火曜日の事件では初めて「危険」な行為だと評したという。
  12. 1973年に米国は当時のソ連政府と条約を締結し、海上事故を防止することを目指した。同条約では明確に「模擬攻撃行為」を禁止していると米国務省はウェブサイトで紹介している。
  13. 問題の機体はロシア軍のカリングラード基地から飛来したとみられる。カリングラードはポーランドとリトアニア間にあるバルト海沿岸のロシアの飛び地領土。■

中国初の海外基地がジブチに開設されたことの意味:中国による説明はこうだ


帝国としてのロシアは中国よりはるかに精緻な思考訓練を積んでいると思いますが、いかんせん経済の勢いが足りません。逆に中国は経済が先行している印象がありますが、政治を担当する党員は長年にわたりレトリックの訓練をしていますので、日本が対応するのは大変です。以下の公式説明はプロパガンダですがきわめてわかりやすく中国人の考え方を伝えています。中国がすでに国境線でななく利益線で世界を見ていること=地政学思考をしていることがわかります。日本もうかうかしていられません。しかし遠洋航海をした任務部隊で乗組員の半数以上が精神上の問題を抱えていては任務が遂行できません。中国人にとって外洋航海を続けることはそんなに負担なのでしょうか。またジブチが第一歩なら次はどこなのか、今後の拡大を堂々と主張する中国に注視していく必要があるでしょう。
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PLA's first overseas base in Djibouti

Source: China Military OnlineEditor: Zhang Tao
2016-04-12 11:280

ジブチには各国基地がある(File Photo)

BEIJING, April 11(ChinaMil) -- 2013年に人民解放軍(PLA)付属の国防大学(NDU)から調査報告が中央軍事委員会 (CMC) に提出され軍事基地をジブチに設置することを提言していた。

習近平主席は中央軍事委員会の委員長も兼ね、この報告書を承認した。その瞬間からジブチという中国人には耳慣れないアフリカの小国が中国初の海外軍事基地の場所として歴史に残すことになった。

中国に海外基地が必要な理由
  1. PLAの第一線将兵はかねてから海外基地を求めていた。このことが海外に基地を設ける際に重要な理由になった。
  2. 人民解放軍海軍(PLAN)がアデン湾で護送任務を初めて実施したのは2009年5月のことだった。PLANはここまでの遠隔地で作戦行動の経験がなかった。実施で国内や沿海部では想像できない問題が露呈した。とくに補給問題が突出していた。
  3. 政治将校として同行したLiu Janzhong大佐は当時を思い出しして「実に過酷だった」と述べている。「六か月連続で海上にいた。多くの乗組員が心身上の問題を抱えていた」という。
  4. その第四護衛部隊の幹部、乗員172名を対象にした精神健康調査結果では52名が軽度のうつ状態、27名が中程度、4名が深刻なうつ状態だったという。
  5. それでも第四護衛部隊では心理教育が事前に行われており、ジブチ寄港が息抜きになっていたことを特記する必要がある。したがって初の護衛任務部隊はもっと過酷な状況だっただろう。
  6. RIMPAC演習に参加し米側と交流もした水兵Zheng Wenhaoによれば米海軍の将兵でも六か月超の連続水上勤務は考えられないという。
  7. 「米海軍は世界規模で展開していますが、休養のため途中で寄港を入れるのが普通です。RIMPAC演習では各国海軍の乗組員は寄港を非常に喜んでいました。水兵に寄港は必要です。このことは第一線にいるものでないとわからないでしょうね」
  8. 乗組員に加え物資補給でも陸上基地が必要だ。PLAN護衛部隊は駆逐艦あるいはフリゲート艦二隻と補給艦一隻で構成し、補給艦が洋上補給を行う。
  9. 派遣部隊の補給では補給艦自体にも補給が必要となる。物資はすべて中国国内から一万キロ以上を輸送し相当の費用が発生する。そこで中国専用の補給基地をアデン湾に設けることが海軍の喫緊の課題になった。
ジブチの位置関係

初の海外基地開設は中国にどんな意味があるのか
  1. 中国国防部の報道官は「海外軍事基地」という用語は決して使わない。2015年11月26日に報道官Wu Qianが中国がジブチと補給施設建設で交渉中と明らかにしていた。
  2. 同報道官は2016年2月25日に中国とジブチ間の「友好的な協議を経て、中国がジブチに補給支援施設を建設することで両国は合意に達した。現在、基礎工事が開始されたところである」と述べていた。
  3. 王穀外務相は「補給支援施設」という用語を2016年3月8日に使っている。これはジブチに基地を設けることへの質問への答弁だが、この表現自体は何を意味するのか。
  4. 中国のジブチ国内基地施設はアデン湾の中国の護衛部隊に補給支援を行う補給基地であり戦闘行動と無縁である。その意味で同じジブチ内に設けた他国の作戦基地とは比較対象にならない。
  5. ではこの基地が中国にどんな意味を持つのか。アデン湾で活動する中国海軍部隊に補給をするだけか。
  6. 鳳凰衛視の記者が王外相にジブチ基地と中国の海外における権益の拡大について第12回全国人員代表会議の記者会見席上で尋ねていた。
  7. 王外相は「中国の海外権益の拡大に、この問題の理解の核心がある。中国の海外権益は拡大中だ。現在、3万社の中国企業が各国で活動しており、数百万名の中国国民が海外で働き暮らしている。中国発の対外直接投資は昨年1,180億米ドルに達し、中国の海外資産は数兆米ドル規模だ。このため拡大する海外権益を守ることが一層重要な中国外交の課題だ」と答えている。
  8. これが中国がジブチに基地を設けた理由だ。今日のPLAの任務は中国固有の領土防衛の域を超えている。PLAは中国の権益を地球上のいかなる場所でも守る必要がある。海外軍事基地は中国の拡大する海外権益を直接守る存在だ。
  9. 中国初の海外軍事基地となったジブチにはもっと重要な意味もある。海軍の指揮官がいみじくも言ったようにジブチは中国に海外軍事基地設営で初の経験となった。ジブチは第一歩にすぎない。■

ハイテク戦の混乱状態こそ人員の資質が試される場になる 第三相殺戦略との関連


高度技術で敵を制圧する相殺戦略構想ですが、敵も同様の手段を講じればこちらはせっかくのハイテクが使えなくなる状況を覚悟しなくてはいけません。しかし状況は待ったなしです。有事には情報データが思ったように流れず、指示待ち人間では状況に立ち行かなくなる。だからシステム信奉もほどほどにということですね。たしかに米国人は自由な行動を勇気をもって実施する特質があると思いますが、中国人だって自由奔放さは半端ではありません。だからこそ統制が必要なのですが。では日本人は? 「想定外」と思考行動が固まってしまい、流動的な戦場の状況に対応できなくなるかもしれませんね。
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 Counting On Chaos In The Offset Strategy: SCO

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on April 12, 2016 at 6:03 PM
CAPITOL HILL: 国防長官直属の秘密組織、戦略能力開発室(SCO)はハイテク武器の整備を活性化するのが目的だ。だが現時点のSCO指揮官は米上院に対し技術を過度に信頼しないよう警告している。戦時になればすばしこい敵の攻撃を受けてシステムは機能しなくなるとウィリアム・ローパーは述べ、、勝利を収めるの側は混乱状態にうまく適応できる人員がそろっている方だという。このクラウゼビッツ流の現実感には三つの原則がないとペンタゴンが目指す相殺戦略は実現しない。権限分散、自律そして信頼だ。(ローパーの表現ではない)
  1. 「どうしても中央で統制したくなる傾向がある。司令部にデータをすべて集め、命令を隅々まで伝えようとする」とローバーは上院小委員会でこう話している。だが戦時には「データは分断され、思った通りに流れなくなる」
  2. どうしてそうなるのか。理由は簡単だ。敵が妨害するからであり、こちらの衛星を使用不能にしたり、ジャミングで通信妨害し、ネットワークにハッキングし、偽情報を流すこともするだろう。(これはロシアの得意技だ) そこで妨害を受けた衛星から切り替え、周波数や接続を変える必要があるとローパーは指摘するが、当然その際の効率は劣化する。そのためネットワークおよび組織の前提では第一線部隊が中央司令部と接触できないまま厳しい事態に直面することがありうる。
  3. そのため小単位の組織に自由に行動できる権限を与えるべきで、センサーからの情報が常時利用できる前提で外部の監督に頼り切ってはいけないのだ。指揮官は部下を信頼し、自由に行動させる必要があり、細かい指示命令を遠隔地から与えるようなことではいけない。そこで朗報がある。米国の文化風土はこのような行動を許す土壌があり、専制主義に凝り固まった敵とは対照的だ。
  4. 「最大限の信頼を末端まで許す軍事組織の方が勝利を収める可能性が高い。こちら側に大きな優位性がある分野である」とローパーは述べている。「第一線の操作員と話をすると、米国以外の世界との比較でこの信頼度という優位性があることに気付く」
  5. 部下を信頼するのは決して難しいことではない。むしろローパーが困難に感じるのはマシンを信頼するように人員を説得することだ。ここで自律性が生まれるが決まる。
  6. 現在の米軍は無人機を好む傾向があるが、プレデターのような装備は遠隔操作されているのであり、人員が都度判断している。高性能無人機でも常時有人制御を前提としている。だが人による制御や監督は距離を超越してデータが常時流れてくるのを前提としている。この流れが阻害されることをローパーは危惧しているのだ。
  7. 自律性の高いロボットが自ら判断を下せば遠隔地にいる要員にセンサーデータを常時送信する必要がなく、操作指示のデータ受信も不要だ。自律運用が前提なら使用する帯域も少なくて済むし、ネットワークが攻撃を受けても回復力を発揮できる。
  8. 「パイプが短いほうが防御しやすい」と語るのはスティーブン・ウェルビー国防次官補(技術研究)で、ローパーと並んで証言している。最近行ったペンタゴンで有人、無人双方の装備を運用シミュレーションしたところ、「通信帯域を大幅に減らすための興味深い方法が見つかった」という。その結果として「自律型装備は信頼度が低下したネットワーク環境でも作動できることがわかった」という。
  9. ロボットをそこまで自由に行動させる前提はロボットを信頼することだ。ウェルビーによればその基準とは「まずこれから行うべき事項を信頼し、その結果を実施後にチェックすることだ」という。■

2016年4月13日水曜日

★2030年に戦闘機は主役の座から離れる 米空軍の検討結果 



よくわかりません。戦闘機ではこれから必要となる性能を実現できないからなのか、それでは次世代の機材構成はどうなるのか。また戦闘機を頂点とした空軍力の整備が大幅に変わってしまうことで組織は維持できるのか。中露が依然として戦闘機を主力とした構成で西側に対峙してきたらどうするのか。こういった素朴な疑問はこれからの空軍内検討チームが逐一回答を示してくれるはずで、楽しみです。でも答えが出るまで時間がかかりそうですね。
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Beyond the Fighter Jet: The Air Force of 2030

Lara Seligman, Defense News11:48 a.m. EDT April 8, 2016
WASHINGTON — 空を制圧するのはジェット戦闘機ではなく各種機材を束ねた統合システムのネットワークだとする検討を米空軍が進めている。
  1. 米空軍が昨年発足させたチームによる検討結果の初期報告を公表している。チームは将来の空における優位の確立方法を検討した。同チームは航空優勢2030各種能力統合チームthe Air Superiority 2030 Enterprise Capability Collaboration Teamと呼ばれ、最善策は「システムファミリー」を開発し、高度に防空体制が整備された環境下で脅威各種に対応させることと結論した。
  2. ほぼ互角の実力を有するロシアや中国が能力差をうめつつあり、長距離ミサイルを開発し、対衛星兵器、対空兵器を整備している。すべて米軍の侵攻能力の無効化をめざすものだ。米空軍はこの条件で航空制圧をどう実現できるかを模索する必要がある。
  3. 「脅威環境は今後15年から20年で拡散するとみており、現在は想像もつかない状況に地球上あるいは地球外で遭遇するだろう」とチームをまとめたアレックス・グリンケヴィッチ大佐が空軍協会主催の会合で述べている。
  4. そこでシステムファミリーあるいはシステムのシステムという方法論が空軍が提示する米軍の優位性確保の回答だ。新戦略にはスタンドオフあるいは敵防空網突破が可能な装備や宇宙依存をさらに高めること、サイバーで敵の防空網に侵入するとともに自軍ネットワークを防御することが盛り込まれているとグリンケヴィッチ大佐は紹介している。
  5. 「敵が進めているのは各種システムをネットワーク化して統合すること....ここ数年で判明したのはネットワークを相手にするにはネットワークで対抗すればよいということ。ネットワークとともに統合システムのシステムあるいはシステムファミリーで困難な環境へ対応できる」(グリンケヴィッチ)
  6. 米空軍は2017年度予算要求で航空優勢分野での実験および試作品製作用の予算を確保しているとジェイムズ・「マイク」・ホームズ中将(空軍参謀次長)が同じ会場で明らかにしている。
  7. だがそのシステムファミリーに従来通りのジェット戦闘機は含まれるのか。グリンケヴィッチ大佐はそうは思っていないようだ。
  8. 航空優勢2030チームは「第六世代戦闘機」の概念から距離を置こうとしていいる。第五世代機F-35の後継機種、という表現を使っているという。「戦闘機」という言葉も陳腐化しているとし、「センサー・シューター」や「ノード=接続ポイント」という表現を広義の戦闘ネットワークの一部として使っている。
  9. 「戦闘機は航続距離が短い。配備すれば遠隔地から運用する必要があるが、そんな機体にセンサーを付けられるだろうか。それともどこかへ分散配備させるのか。現在『第六世代』として想像している機体からは相当変わるとみている」
  10. 空軍はF-X、海軍はF/A-XXとして共同で代替策検討をするつもりだったが、海軍が検討では先行し、空軍はF-X作業を遅らせると2月に明らかにしている。
  11. 一年遅らせることで空軍は今後の大日程を再検討できるとホームズは4月7日の会合終了後に記者団に語った。当初の構想ではF-Xは開発期間20年ないし30年を想定していた。かわりに空軍はAOAを2017年1月に再設定し、今後20年30年で利用可能となる選択肢を検討するという。構想は「次世代航空優勢」“Next Generation Air Dominance”と呼ばれ、検討作業の完了は2018年の中ごろとグリンケヴィチ大佐が付け加えた。
  12. 空軍は速度、操縦性能、ペイロード、航続距離の最適組み合わせを見つけようとしているとホームズが述べている。ステルス性あるいは低視認性も考慮する。
  13. 航空優勢2030チームの作業内容について尋ねたが、関係者から将来像を示す答えはほとんどなかった。グリンケヴィッチ大佐のチームはAOA分析を多数進めるのだろう。
  14. ホームズ中将の「希望的目標」は2025年までに航空優勢戦略を示すことだというが「まだその目途はついていない」と認めた。
  15. 関係者は脅威対象に空軍が迅速な対応すべきだと指摘する。議会とペンタゴンが進めている調達改革の効果を生かすことも必要だとグリンケヴィッチが述べた。
  16. 「戦略的な敏捷性が求められているのは事実だ」とグリンケヴィッチ大佐も強調している。「これが実現できないと危険な状態になる」■


★米印軍事技術協力 新型空母カタパルト装備をインドへ提供する(カーター長官)



中国を意識していないとの長官発言ですが、どう見ても中国のなりふりかまわぬ海洋進出があるからこそ米国も各国との協力同盟体制を堅持しているのでしょう。思えば中国が自らまいたたねがインド太平洋の安全保障の強化となり秩序を守る側(西側)と秩序を打破する側(中国等)の対立につながっているのではないでしょうか。
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US Open to Sharing Catapult Replacement Technology with India: Carter

POSTED BY: RICHARD SISK APRIL 12, 2016

The Electromagnetic Aircraft Launch System shuttle readies for testing at the Naval Air Systems Command EMALS test site, located at Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, New Jersey. (Navy photo)
電磁式航空機発艦システムのシャトルが海軍航空システムズ本部のEMALSテスト施設で準備を整えている。マクガイヤ-ディックス-レイクハースト共用基地(ニュージャージー)にて。The (Navy photo)


アシュトン・カーター国防長官は11日、新型空母離着艦装備のインドへの技術供与を言及した。最新の空母USSジェラルド・R・フォードに搭載されている装備だ。
  1. 「インド海軍と協力しインドの次世代空母への搭載を考えている」と長官は訪印初日にインドとの防衛協力強化の事例として語っている。
  2. 「インドは平面航空甲板方式空母への切り替えを図っている」と次期空母の艦形についてカーター長官は述べている。またフォードで採用した装備には「運用航空機の重量などで利点がある」とし「インドと技術共有を進めたい」と発言した。
  3. 新型空母フォードは建造費の超過問題や離着艦方式での技術問題もあり就役が二年超も遅れているが、高性能拘束ギア(AAG)による着艦と電磁航空機発艦システム(EMALS)を採用して従来の蒸気式カタパルトを廃止する。
  4. EMALSはジェネラルアトミックス製でフォード(CVN-78)に続いて就役するUSSジョン・F・ケネディ(CVN-79)でも採用する。
  5. カーター長官は報道陣に技術供与および長官がいう「戦略的提携」の高度化をUSSブルーリッジ米第七艦隊旗艦の艦上で言及した。ブルーリッジはゴアへ寄港中。インド国防相マノハル・パリカーがカーター長官に随行しブルーリッジへ乗艦した。カーター長官はインドとの国防技術共有と共同生産についてニューデリーで火曜日の関係者会談の後で発表する予定になっている。
  6. カーター長官はインドとの防衛協力の強化および米主導の軍事演習へのインド軍参加は中国を意識したものではないと述べた。
  7. 「この地域での米側姿勢は対立をねらうものではない。過去70年間の秩序の元で平和と安定が守られてこそインド、中国ともに経済面社会面での奇跡的な発展が可能となっているのだ」
  8. インドはINSヴィクラントを初のインド国産空母として建造中。就役中の空母は二隻あり、INSヴィラアト(旧英空母ハーミーズ)とINSヴィクラマーディティヤ(ロシアのキエフ級を改装)だ。このうちカーター長官はヴィクラマーディティヤに乗艦する予定。■


★ISISを包囲しつつある連合軍 「サイバー爆弾」投入を国防副長官が認める



どうやらISIL(ISIS)への戦いは連合軍側が今や主導権を握り、各方面で着実にIS側を追い詰めているようです。副長官の言うサイバー爆弾の中身は不明ですが、一時e爆弾と言われていた装備ではないでしょうか。相手側の通信、コンピュータ性能を麻痺させる電磁パルス発生装置なのか、それとも全く未知の装備なのか、時間がたてばその概要があきらかになるでしょうね。
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‘It Sucks To Be ISIL:’ US Deploys ‘Cyber Bombs,’ Says DepSecDef

By COLIN CLARK on April 12, 2016 at 1:45 PM

IMG_9485Deputy Defense Secretary Bob Work at Buckley AFB
BUCKLEY AFB: 国防副長官ボブ・ワークが本日報道陣にISILは「全方位から」相当の圧迫を米国から受けていると語り、テロ集団はこの半年で連合軍側との交戦にことごとく敗北していると明かした。明らかにサイバー空間も含まれているようだ。
  1. 「この時期にISIL側にいるのは最悪だ」と副長官は宇宙シンポジウムに向かう専用機内で報道陣に語った。「連中は相当プレッシャーにさらされている。この10か月で連中が占拠する地点を攻撃すると都度敗退させている。守勢に回っているんだ」
  2. 国家として動員可能な手段をすべて投入しており、ワークが「サイバー爆弾」と呼ぶ装備が初めて投入されているという。ワークはアシュ・カーター国防長官の手腕を高く評価しており、「きわめて革新的にわが方の能力をISILに使っている。例えばサイバー爆弾を投下している。これは前例がない。長官は初めてサイバー軍にISIL攻撃を命じた。航空作戦同様にサイバー作戦が必要だ。宇宙装備も全部使いたい」
  3. カーター長官は4月5日の国際戦略研究所での講演でサイバー兵器投入をほのめかしていた。「戦略司令部およびサイバー軍にも宇宙空間とサイバー空間それぞれで強みを生かしてISIL打倒への貢献を求めている」
  4. 同僚記者のマイク・グラス(Space News)が宇宙装備をどう利用しているのかワークに説明を求めたが副長官はこれに応じなかった。
  5. 記者は「サイバー爆弾」の情報を知りたく、長官に尋ねている。今後情報が明らかになればお伝えできるだろう。■


2016年4月12日火曜日

★★A-10後継機種の検討が米空軍内部で始まったのは健全な方向



Replacing, Not Just Retiring, the A-10

Defense News editorial3:25 p.m. EDT April 11, 2016

635959844575101435-25130351265-5da3b00831-z.jpg(Photo: Airman 1st Class Luke Kitterman/Air Force)
一機種ですべての用途を任せると結果は悲惨だ。だが費用節約策として多用途機の配備が推進されてきたのも事実だ。
  1. 広く愛着を呼ぶA-10ウォートホグを引退させ近接航空支援(CAS)ミッションをF-35共用打撃戦闘機に任せる構想には批判が多く集まっており、ピカピカの新型機には戦場で実証済みのA-10と同等のCAS能力はなく、地上部隊を守ることはできないとされる。
  2. A-10を退役させ、F-35実用化まではF-16とB-1でCAS任務を行えばよいとしてきた空軍だが、先週に上層部はこれまでの方針を緩和する動きを見せた。マイク・ホームズ中将(空軍参謀次長、戦略立案担当)が空軍は次期CAS機材の要求性能を検討していると報道陣に明らかにした。
  3. これは賢い選択で全体調和につながる動きだ。近接航空支援はセンサー性能の向上、指揮命令機能の進歩、精密誘導兵器の導入で大きく変化している。CAS専用の新型機は新技術を活用し、アフガニスタンやイラクでは見られなかった強力な防空体制にも有効に対抗できるだろう。
  4. 要求性能諸元の検討はA-10後継機開発につながる第一歩で、後継機構想はA-Xと呼ばれ、空軍は専用機材の導入を一年以上かけて検討するほか、2015年には三軍代表を招きCAS任務の方向性を探るサミットを開催している。
  5. ホームズ中将によれば米空軍は選択肢三つで性能と価格をはかりにかけている。A-Xを新型機として導入する、既存機材を改造してCAS任務にあてる、A-10の供用年数を延長する、の三つだ。現在開発中の機材や稼働中の機材でCAS任務に投入できそうなのはA-29スーパータカーノ攻撃機、AT-6練習機、テキストロンエアランドのスコーピオン。
  6. 中将はA-Xの行方は議会と予算環境に左右されると一言付け加えている。予算については強制削減が2018年度、2019年度に再度発生するかがポイントだ。一方で議会内のA-10支持派は温存を求めており、その裏に選挙区にある基地が閉鎖されることを防ぐ意図が見える。
  7. 空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は要求性能内容を今春に精査する予定だ。最適な選択はCAS専用機材開発でウォートホグの持つ残存性と性能を維持しつつ新技術の恩恵を利用できる。無駄な支出は寛容できないが、費用節約が大義名分となっては意味がない。
  8. なんといっても地上部隊の防御以上に重要なミッションはない。地上部隊には専用機材を投入してあげたいし、そこで妥協は認めるべきではない。■


続報 米海軍機密情報漏えいスパイ事件、容疑者は台湾へも情報を流していた



続報です。今回の事件は相当深刻なようです。容疑者が台湾と中国を二股賭けたのか、台湾が独自に動いたのか、中国が台湾を偽って二重の情報受け取りをしたのか、今後の捜査で明らかになるでしょうが、軍事法廷自体は非公開ですから事実の全体像が明らかになる可能性は低いでしょうね。
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U.S. Official: Lt. Cmdr. Edward Lin Accused of Passing Secrets to Taiwan in Addition to China

By: Sam LaGrone
April 11, 2016 4:41 PM • Updated: April 11, 2016 6:55 PM
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中華人民共和国への機密情報の漏えい容疑で身柄拘束中の米海軍航空士官は台湾へも情報提供した疑いがあると内部事情に詳しい筋がUSNI Newsに11日明かした。

  1. エドワード・チー・リアン・リン少佐は中台両国向けにスパイ活動をした疑いがあると同上筋は述べている。
  2. 海軍による発表内容は訴追事実が中心だが、リン少佐が機密情報を持参して未承認のままある国に旅行し、帰国後上司に虚偽報告をしたのがうかがえる。スパイ活動による訴追の他に売春婦を囲ったことと淫行もあり、ともに軍事法に違反している。
  3. 「こういった事案では全体像がぼやかさられるのが通例だ」と引退した国防関係者がUSNI Newsに11日説明してくれた。「だが今回のように両国に情報を提供した人物は異例だ」
  4. 捜査に詳しい筋から本人はこれで八か月にわたり審判前の身柄拘束を受けているとUSNI Newsは理解している。
  5. リン少佐の事例が明らかになったのは先週金曜日のことで統一軍事法典第三十二条による予備審問がきっかけだが、ここ数十年で初めて海軍士官が意図的に機密情報を外国政府に手渡したことになる。台湾で生まれ米国に帰化した少佐は電子情報収集の専門家でEP-3EエリーズII偵察機に搭乗していたほか、水兵時代に原子力推進機関の取り扱い訓練も受けている。
  6. 台湾は米国との関係が密接だがこれまでも米関係者が機密情報を台湾あるいは中国の工作員に手渡した事例は多く、特に中国のスパイは台湾を偽って接近することがある。
  7. 「台湾はイスラエルと似ている。米国と関係は安全保障など深いが、それでもこちらの情報を集めようとしている」と指摘してくれたのはランディ・シュライヴァー(元海軍士官、現アーミテッジインターナショナル)だ。
  8. 2005年には国務省勤務のドナルド・ケイサーが台湾情報機関員と性的関係を持ち無許可で機密情報を持ち出したがFBIへ虚偽報告をして有罪判決を受けている。
  9. 2009年には退役米空軍中佐のジェイムズ・ウィルバー・フォンドレンJr.が台湾出身の帰化米国市民に機密情報を含む内容の書簡を四年にわたり送り続け中国情報機関に流出させて実刑判決を受けている。フォンドレンは中国を訪問しており、現地で中国関係者と会っていた。
  10. 上記の引退した米国防関係者はUSNI Newsに台湾がリン少佐を機密情報入手に活用してきたのなら米台関係にひびが入る可能性があると指摘している。「通常は発覚を恐れ目立たないように情報収集するのですが」という。
  11. リン少佐が統一軍事法典第三十二条に基づく予備審問を受けたのは先週金曜日で、審判の行方は米艦隊司令官フィル・デイヴィッドソン大将が軍事法廷審議に図るかの判断で左右される。■


カーター長官のインド、フィリピン、湾岸歴訪に注目


オバマ政権が任期切れを前にしてますます機能不全になっていく中で一人気を吐いているのがカーター国防長官(物理学博士)です。今回は二週間の外遊ですが、中身はかなり濃いものになっているようです。またアジア太平洋ではインドとフィリピンを重点対象に置いているのが興味深いですね。技術ではインド、戦略ではフィリピンというところでしょうか。
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Carter Heads Out on Pacific, Gulf Swing

Aaron Mehta, Defense News 10:39 a.m. EDT April 9, 2016
WASHINGTON — アシュ・カーター国防長官は9日土曜日から二週間にわたる海外歴訪中で、インド、フィリピン、湾岸諸国を訪ねる。
  1. 今回の海外訪問の目的は二つで、太平洋での協力関係を強固にしイスラム国への戦いを協議する。
  2. アジア太平洋でインドでは形成中の協力関係を先に進めるとともにフィリピンでは長きにわたる同盟関係の近代化を図る。
  3. インドでゴアとデリーを訪問し、インド国防相マノハル・パリカーの招待を受けるナレンドラ・モディ首相とも会談し、「空母、ジェット戦闘機、ジェットエンジンでの協力の進展」を討議するとカーターは外交問題評議会で出発前に明らかにした。「さらに新規プロジェクト数件についても話し合い、その詳細はここでは明かせないが、次回パリカー大臣との会談の際に注目してもらいたい」
  4. 2012年の米印国防技術貿易協力枠組み(DTT)により、技術共有へ注目が集まる中、ペンタゴンはインドと開発案件を進めている。インドが注力するのは高性能エンジン技術で国産の高性能中型戦闘航空機Advanced Medium Combat Aircraft (AMCA)に応用を狙う。インド軍はペンタゴンが開発中の電磁航空機発進カタパルト (EMALS)へも関心を示し、国産空母INSヴィシャルへの搭載を期待する。
  5. カーター長官は前回の訪印で化学生物戦用の防護服で共同開発の合意を形成できたほか、野戦小型発電機に加え研究分野で二つの「先駆的」案件を共に進める成果を得た。
  6. インドに続きフィリピンを訪問する。フィリピンでは米比合同演習バリカタンが実施中だ。演習は7千名規模で米軍機、車両、艦船を動員し、「南シナ海想定のガス油田奪回強襲作戦」の想定もあるという。
  7. 長官からはペンタゴンから東南アジア海洋安全保障構想の最初の予算執行を開始したとの発表もあった。構想は5か年で425百万ドルを投じ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイランド、ヴィエトナムの各国の運用能力を強化するもので昨年のシャングリラ対話でカーター自らが提唱したもの。
  8. カーター長官は予算の8割はフィリピン向けでその使途は「技術近代化とともにフィリピン沿岸警備隊の訓練を実施し、情報ネットワークを強化しハワイの米太平洋軍司令部とフィリピンの司令部との間で秘匿通信を実現すること、偵察機材を提供し、フィリピン海軍哨戒艇に有効なセンサーを搭載し、域内の海洋での実効性を挙げること」と述べている。
  9. その後長官は湾岸地方へ飛び、アラブ首長国連邦、サウジアラビアとの会談をリヤドで行う。長官は湾岸協力協議会(GCC)加盟国の国防責任者とも協議する予定だ。
  10. 「対ISIL作戦とともに共同で域内防衛構想を検討するのは2015年の米GCCキャンプデイビッドサミットで決まった通り」とペンタゴン報道官ピーター・クックが述べている。■