2017年10月5日木曜日

中国の台湾侵攻が2020年までに現実のものになる可能性

米国にとって北朝鮮などは実はとるに足らぬ脅威であり本質的かつ本腰を入れるべき相手が中国であることは明らかです。その中で北京政府の目の上のたん瘤とでもいうべき台湾にいよいよ手を出すかがこの数年間に警戒すべき課題ということでしょうか。北京からすれば内戦であり外国の干渉を受け入れない、その背後には「一つの中国」という大原則があるのでしょうが、台湾が台湾となり中国のアイデンティティを捨てれば大原則そのものが崩壊してしまい、だからこそ北京は台湾独立を忌み嫌うのでしょう。日本としては米国と連携した海洋勢力として台湾が中国に飲み込まれる事態は回避しなければなりません。それだけに台湾との関係は熟考を覚まられるパワーゲームと言えるでしょう。

China’s Secret Military Plan: Invade Taiwan by 2020

中国の極秘戦争計画は2020年までの台湾侵攻だ

Book based on internal documents says Beijing's invasion plan would trigger U.S.-China conflict

中国国内文書を多数引用した新著では米中開戦の危険性まで発展する危険性を指摘

Chinese President Xi Jinping
Chinese President Xi Jinping / Getty Images
     
October 3, 2017 5:00 am

  1. 中国が2020年までに軍事作戦で台湾併合をめざし米中間で通常戦あるいは核戦争の危険が生まれる可能性があることが中国軍の内部文書から明らかになった。
  2. 人民解放軍(PLA)の秘密作戦案では大規模ミサイル攻撃のあと海軍と空軍が封鎖作戦を展開し最終的に40万名で台湾上陸作戦を行うとしている。
  3. この内容を紹介した書籍が今週刊行される。書名はThe Chinese Invasion Threat で著者イアン・イーストンIan Eastonはシンクタンク、プロジェクト2049研究所Project 2049 Instituteの中国専門家だ。
  4. 台湾紛争の危機はこの数年で拡大し、ワシントンと北京は南シナ海での中国の動きを軸に対立を深めさらに北朝鮮の核・ミサイル開発にも中国が裏で支援しているとの懸念もある。
  5. 「台湾を巡る武力衝突の可能性でも危険度も最大だ」と同書は指摘し、ペンタゴンもこの問題を避けて通れないとする。「中国は明確に圧倒的戦力を台湾にふり向け、必要なら米主導の各国戦力を打倒するつもりだ」
  6. 中国指導者へは民主政体の台湾は脅威と映る。台湾は中国沿岸から90マイル地点で「中国全土に自由の灯を照らしているからだ」と指摘。「このためPLAは台湾侵攻を最大任務ととらえ、戦いに備え軍拡を進めている」
  7. 台湾国防省が2013年にPLAの侵攻作戦案を初めて明らかにし2020年までに軍事作戦を展開するとしていた。
  8. 習近平主席も5年前の中国共産党会合で台湾侵攻案を自ら認め、「2020年案を進め、その年までに台湾に力の行使を展開する」と述べていた。
  9. PLA内の著作物を見ると中国は非軍事手段では効果がないと判断した場合に軍事力行使に踏み切るようだ。また前提として米国を蚊帳の外に追いやることが必要としている。米国では現行の台湾関係法(1979年)により米国は台湾に防衛装備を提供し、台湾への力の行使を防ぐとしている。
  10. 中国は今のところ非致死手段として心理戦、外交、宣伝、情報戦を台湾に展開している。打つ手がなくなれば、大規模揚陸強襲作戦実施に踏み切るだろう。
  11. ただし台湾侵攻は決して容易ではなく犠牲も発生すると同書は指摘。台湾は険しい地形、山地が多く、海峡ではトンネル効果が生まれ兵員装備の搬送は空海共に難しい。
  12. 台湾島は南北230マイル、東西90マイルで台湾軍は内戦に敗れ台湾に逃げ込んだ1949年以来侵攻に備えた体制を維持してきた。
  13. 1980年代以降、中国が急速に軍事力を整備し台湾を力づくで併合しようとしている。弾道ミサイル・巡航ミサイル1,000発以上が台湾をはさむ沿岸に配備されている。
  14. 同書によると中国では侵攻作戦を統合島しょ攻撃作戦Joint Island Attack Campaignと呼んでいるようだ。
  15. 「台湾を軍事占領してこそ『分離独立派』部隊の本拠地をせん滅し長きにわたる海峡を挟んだ軍事対立にも幕を下ろせる」とPLA教本は述べている。
  16. 作戦案ではまず首都台北を短期間に占拠し、政府機能を抹殺した後、その他主要都市に進軍し、残存台湾軍を一掃して全土を占領するとしている。
  17. 軍事作戦ではスピードと奇襲効果で沿岸防衛を圧倒し、初期段階で破壊を展開して米軍部隊の到着前に台湾を降伏させるとしている。
  18. 作戦内容は中国が固く守る秘密の一つだが軍内部の教本などで詳しく分析されており、技術文献がPLA内部でも漏れ伝わるようになっている。
  19. 「非常に詳しく検討されており、中国のこの作戦に対する対応がなみなみならぬものであるとわかる」と同書は述べている。
  20. 段階別に展開する侵攻案は三段階に分かれる。封鎖と爆撃、揚陸作戦、さらに台湾島内の戦闘だ。
  21. 第一段階は海空の封鎖と千地点へのミサイル攻撃だ。その後中国海軍が揚陸地点14か所へ大部隊を派遣する。
  22. 「侵攻軍が台湾沿岸部に上陸する前にPLAは数波にわたりミサイル、ロケット、爆弾、砲弾を沿岸防衛体制に加え、電子妨害で通信を遮断する」
  23. 中国から見る台湾は「反乱地方」であり再統一は中国が目指すグローバル規模の戦略目標達成の一部にすぎない。「同島を占拠し統制することで初めて国家再統一が完成する。『分離主義者』部隊勢力の残り火が再び発火しないとも限らない」とPLA文書の一つが表現している。
  24. PLA野戦マニュアルでは台湾の地形と防衛体制のため大規模かつ巧妙な軍事作戦の展開が必要とされ難易度は高く犠牲者も相当覚悟せねばならないとしている。
  25. PLAマニュアルの中でも入手しがたい「台湾海峡の軍事地形学習教材」では外国軍事勢力が中国の貿易通商路を遮断するのに台湾を利用し、さらに米軍が台湾を中国封鎖の基地として利用する恐れを指摘する。
  26. 中国の原油輸入が依存する海上交通が台湾海峡を通過しているので軍事封鎖にはぜい弱だ。「そこで戦略的に重要な海上通行路確保が軍事対応のみならず国家戦略の課題だ」とマニュアルは指摘している。
  27. また台湾は日本封鎖にも活用できると中国は見ている。
  28. 情報戦では中国は法律闘争とインターネット他を使い、心理戦で台湾の抵抗を弱体化させてから本格的軍事作戦を展開する構想だ。心理戦にメディア利用の他政治手段を組み合わせる。中国軍の内部資料では情報戦の活用をこうまとめている。
  29. 法律闘争と世論操作に心理戦の組み合わせで台湾国内の意思を分断弱体化させ戦闘力を低下させる。法律闘争は台湾内の政治集団が対象で心理攻撃を加えるのが目的だ。台湾への統合軍事行動は法律面で正当化され解放闘争の延長とする。世論を活用し、敵の軍事勢力へ心理戦で攻撃を加える。「独立」をこれ以上支持しても効果がないと達観させ...インターネットを利用して国内の非政府組織や国民に心理攻撃を加える。統一効果を前広に宣伝し『分離独立派』の社会基盤そのものを弱体化させる。
  30. 台湾指導部も攻撃対象であり、台北の総統府他主要官庁を標的とする。
  31. PLA文書は台湾統治機構と防御体制への関心を喚呼している。
  32. 「ハイテク兵器を使い台湾領空に侵入し精密かつ強力な破壊力で容赦ない攻撃を台湾の首脳部に加える」と文書は説明している。「確実に敵を倒ささねばならない」 中国は特殊部隊で台湾の政治上層部の誘拐または殺害を狙い、秘密作戦と強硬策も選択する。
  33. ペンタゴンでは中国の台湾占拠案は空軍で特に懸念を生んでいる。中国ミサイル他の攻撃が米軍基地特に嘉手納空軍基地を巻き込む可能性があるためで、嘉手納は太平洋地区の軍事的中心だ。
  34. 米海軍は中国潜水艦が米空母あるいは太平洋で唯一の指揮統制艦USSブルーリッジの撃沈を目指すことを恐れている。
  35. 「実際にどうなるかは誰にもわからないが、将来に中国が奇襲攻撃を実施すれば真珠湾攻撃と9/11を合わせた規模に発展するのは確実と全員が覚悟している」
  36. さらに台湾を巡る対決が米中核戦争に発展すると危惧する向きもある。
  37. 「引き金となるのは単なる事故や悪意のない事件かもしれないが敵意の表れと誤解されるかもしれない」と同書は述べている。「歴史には悪名高い出来事もあり、真相が理解されないままの出来事もある。第一次大戦の真因を巡る論争が一世紀にわたり続くがいまだに結論が出ていない」
  38. リック・フィッシャーRick Fisherは国際評価戦略センターInternational Assessment and Strategy Centerの上席研究員で同書から戦争抑止に必要な政策上の観点がうかがえると述べている。外部非公開の中国語軍事文献を引用することで中国の意図を理解する新しい材料となり、台湾を巡る作戦構想やねらいがわかるという。
  39. 「イーストンの業績により米国及び同盟国に重要な警告が伝わる。中国が2020年代前半に台湾侵攻を行う可能性だ。現在はすでに台湾海峡が危機状況にあり、危機へ対応するか、1950年代以来戦争を回避してきたが実際に開戦になるリスクを冒すかの選択を迫られていると言えよう」■

2017年10月4日水曜日

★★目が離せない次世代ヘリコプター競作の行方



Bell V-280 Vs. Sikorsky-Boeing SB>1: Who Will Win Future Vertical Lift?

ベルV-280対シコースキー・ボーイングSB>1
FVL次期垂直離着陸機構想で勝つのはどちらか。

The Sikorsky-Boeing SB-1 Defiant concept for the Joint Multi-Role demonstrator, a predecessor to the Future Vertical Lift aircraft.
Bell graphic
Bell V-280 Valor Joint Multi-Role Demonstrator (CGI graphic)
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 02, 2017 at 2:02 PM

AMARILLO, TEX.: 米陸軍の次世代垂直離着陸機事業は現在のヘリコプターに比べ革命的な代替策のt実現を目指しているが、その実現方法は、またそもそもの理由は何なのか。答えは物理原則に基づくヘリコプター速度の壁にある。
  1. 競い合うベルシコースキーロッキード・マーティン傘下)はそれぞれこの壁を越えた画期的な高速回転翼機の実現を目指すのことでは共通だが、模索する方法が異なっている。ベルV-280ヴァラーは主翼がつき、燃料効率と長距離飛行性能でシコースキー=ボーイングSB>1ディファイアントより優れていることはあきらかだが、両陣営ともそれぞれの機体が機動性で優れていると主張している。
  2. では軍はどちらの設計案を採用するだろうか。海兵隊は画期的な回転翼機の導入に前向きで、すでにV-22オスプレイ(ベルとボーイングの共同事業)を導入している。空軍と海軍もオスプレイを導入している。だが陸軍は同機を一機も調達しておらず、米国最大のヘリコプター運用者としてUH-60だけでも2,000機超を運用中で後継機探しが課題だ。そこでベル、シコースキーにはともに陸軍の攻略が課題となる。
  3. そこでワシントンで来週開催される陸軍協会会議に先だちベルが記者を自社工場に招きV-280ヴァラーの利点を説き、SB>1の欠陥を吹き込んだのは驚くに当たらない。記者がシコースキーに対しベルへの反論を聞いてみたところ、同社は上席幹部を24時間もたたないうちに電話口に立たせ説明をしてきたのも驚くに当たらない。
  4. 両機では相違点もあるが、基本的な売り込み方は速力と航続距離で共通している。現在最速の陸軍ヘリコプターはCH-47Fチヌークで最高170ノットだ。つまり毎時195マイルで戦闘行動半径は200カイリ(230マイル)だ。これ以上の速度と航続距離を求めると根本的に違う設計が必要となる。ベル=ボーイングV-22がその答えで毎時270ノット(310マイル)で428カイリ(490マイル)まで進出できる。(これは空中給油なしの場合) これに対しFVL候補の二機種は初飛行をしていないが、ベルV-250が280ノット(320マイル)、シコースキー=ボーイングSB>1が250ノット(287マイル)を実現する。
  5. ヘリコプターは飛行せず、単に空中にとどまっているにすぎない。説明してみよう。
  6. 固定翼機ではジェットであれプロペラであれエンジンで前方へ進む推力がつく。前進で主翼上に気流が生まれ揚力となる。機体全体を前方へ動いて揚力を生むため、長い滑走路が必要となり、飛行中もたえず前方へ移動する必要がある。(速力が低すぎると失速し墜落の危険が生まれる)
  7. これに対しヘリコプターは主翼を回転させて気流を生み、揚力を得る。このため回転翼機と呼ばれる。推進力は回転ローターを傾けて生まれ、どの方向でも同じだ。このため垂直離着陸が可能となり、前後に移動できホバリングも可能だが水平飛行では高速移動できず燃料消費も劣る。
  8. 高速ではヘリコプターの回転翼があだとなる。半分は前進に機能するが残る半分が後退作用をもたらす。前進作用のブレードは確かに高速で揚力を生むが、後退ブレードはヘリコプターの速力を減らす効果を生み、揚力効果も少ない。
  9. 低速では前進後退ブレードの違いはほとんど気にならない。だが速度が上がると前進ブレードの速力は音速に近づき、危険な振動が生まれる。一方で後退ブレードは揚力が足らず失速気味だ。この時点でパイロットには速力を下げるか墜落するに任せるかの二者択一しかない。
  10. このヘリコプター特有の速力上限を打ち破るには二つの方向がある。ティルトローターと複合推進だ。前者がベルV-280、後者がボーイング=シコースキーSB>1で、単純に言うとティルトローターには主翼がつき、ローターブレイドが角度の変化でヘリコプターのローターまたはプロペラの機能を果たす。複合推進では主翼はなく、ブレードを二基つけ一つを回転翼としもうひとつをプロペラとして利用する。
  11. V-22の場合は1970年代に実験機XV-15で知見を積み2007年に軍での運用を開始した。ベルはティルトローターで業界をリードし、高速飛行と燃料消費の向上を一気に実現した。ただし欠点は機械系統が複雑で、ティルト機構が重量増につながること、また飛行中にモード変更の必要があることだ。
  12. シコースキーの複合ヘリコプター実験も1970年代にXH-59実験機で始まり、X2実証機に進化した。(同機はスミソニアン博物館で展示中)S-97レイダーに発展しさらにSB>1になったわけだ。「複合」と呼ぶのはブレード二式があるためで、同軸ローターふたつが反転し、各ローターが生む揚力がバランスを取り、夫々の後退力をうちけすものの高速では過剰振動は消えないが、ローター機構は強固になっており振動制御機構も高性能になっているとシコースキーが説明している。
  13. 次に高速飛行の実現のため機体後部に推進プロペラを搭載している。複合ヘリコプターがホバリングする際は機体上部の双ローターにエンジン出力の大部分を伝えるので従来型と同様だ。高速前進飛行に入るとエンジンは9割の出力を後部推進プロペラに伝え前方飛行の推力とするので従来型のプロペラ機と同様になる。
  14. どちらが優れているのか。答えはミッション内容とともに何を重視するかで変わる。
  15. 複合ヘリコプターは「長距離飛行ではティルトローターより効率がやや劣る」とシコ―スキーのイノベーション担当副社長クリス・ヴァン・ブイテンChris Van Buitenが認めている。「だがミッションは長距離を飛べばよいという単純なものではありません。ティルトローターは確かに巡航時は効率が優れますが目的地近くで苦労することになります」
  16. 現行ブラックホークの後継機として砲火の下で狭い地点に着陸し、兵員を下ろし手から離陸する必要がある。できれば後退方向へ飛行すれば機体を旋回させる必要がない。アパッチの後継機種には低空飛行とともに低速飛行で地形の陰に隠れ敵の対空装備から逃れつつ臨機応変に姿をあらわし機関銃ミサイルで攻撃する能力が必要だ。ローターが傾くまで待っているような余裕はないはずとヴァン・ブイテンは述べる。
  17. ベルは当然ながらこれに反論する。V-22から多大な教訓を学んだとV-280事業主査クリス・ゲーラ―は述べており、「低速域での取り回しは大幅に改良された」と報道陣にアマリロ工場で語っている。このためローターの挙動の変更が必要となり、素材面で進展があり機体に対しローターが大型化された。V-280はV-22と同程度の機体だが重量は半減しており、低速度では「V-22比で制御に回せる出力が5割増えた」とゲーラ―は述べ、ブラックホーク、アパッチをしのぐ水準だという。
  18. 高速域ではティルトローターの利点が生きて複合ヘリコプターより操縦性が高いとゲーラ―は説明する。「現時点の複合同軸ローターでは高速回転がまだ未解決です」という。
  19. たしかに初歩的な複合ヘリコプターではそれは正しいが自社製品にはあてはまらないとヴァンブイテンは述べる。その理由として反転回転ローター二つの効果が大きいという。「高速飛行時にローターが主翼同様の効果を生み相当の機動性が実現しています」
  20. では外部専門家はどう見ているのだろうか。「総じてティルトローターでは複合ヘリの機動性敏捷性は期待できません」とTealグループの航空アナリスト、リチャード・アブラフィアは述べる。
  21. アブラフィアはミッションが異なり運用部隊が違えば機体も異なって当然と記者に述べた。軍としてはティルトローター、複合ヘリコプター、従来型ヘリコプターをそろえるべきという。今のところは陸軍が次世代推力離着陸機事業で中心となっているが、「陸軍回転翼機の圧倒的大部分の任務は輸送で、FVLの利点が生かせません。ただしボーイング=シコースキーのレイダーを偵察攻撃ミッションに投入してはどうでしょう。残存性と攻撃力は十分あるはずです」
  22. 「V-280には海兵隊向けの設計思想が見えますね」とアブラフィアは指摘する。各種作戦や多様なドメインでの戦闘を口にするものの陸軍が速力と航続距離だけに大金を払う意思があるのか疑問視している。すでにV-22でこれは実現しているではないか。そこで次のように推察している。海兵隊はティルトローターを重視し、陸軍は従来型ヘリコプターの改修を続けながら複合ヘリコプター少数を調達し、ガンシップ兼偵察機に使うのではないか。■

2017年10月3日火曜日

★★SR-72はすでに完成しているのか、それとも...



なぜ人はブラックの世界に惹かれるのでしょうか。長年愛好家が語ってきたオーロラがSR-72なのか、それとももっと奥深いブラックの世界があるのか。興味は尽きません。また世間に公表する際に必ず「消毒」したストーリ―が紹介されますのでそれをうのみにせず、裏の世界を知りたいと思うのは筆者だけではないようです。

Rumors of Secret Warplanes Preceded SR-72 Reveal

SR-72の前に謎の機体の噂あり

Has the SR-72—or something like it—been flying all along?

SR-72あるいは別の機体は実はすでに飛行しているのか

Rumors of Secret Warplanes Preceded SR-72 Reveal
September 29, 2017 Kyle Mizokami


  1. ロッキード・マーティンは2013年にSR-72偵察攻撃無人機の提案を発表した時点で、SR-71後継機がついに現実のものになる思われた。そして2017年7月にSR-72が初めて機影を目撃されたようだ。
  2. 1990年代初頭から謎のソニックブームが記事になっており、正体不明の航空機の目撃が伝えられ、ロッキード・マーティンの社内でも謎の機体が描かれている。
  3. SR-71は1998年に退役し、後継機があるといわれてきたがその存在は確認されてこなかった。航空機愛好家はこの謎の機体をオーロラと呼び、航空業界のビッグフットとでも呼ぶべき存在になった。
  4. オーロラの物語は1990年に初出したのはAviation Week & Space Technologyが「オーロラ」が1986年度国防予算に計上され、「ブラック機材生産」の一つと報じてからだ。オーロラ予算は1986年に23億ドルに達し、SR-71後継機の登場が迫っているとの観測が高まった。
  5. だがそこで止まり、以後謎の機体の追跡が続く。だが果たしてその対象がオーロラなのか、それとも全く別の機体なのだろうか。
  6. 1988年にThe New York TimesがSR-71後継機開発を報じ、マッハ5飛行可能とした。記事の二年後にSR-71は用途廃止となり1990年代末に一時的に復帰している。
  7. 1990年代初頭に謎のソニックブームがカリフォーニア沿岸地方で相次ぎ、事情説明できない事態になった。今日でも南部カリフォーニアではソニックブームがたびたび報告されている。たとえば2009年4月には地元新聞紙が調査したものの説明がつかなかった。
  8. 多くは自然現象で隕石が大気圏突入する際に発生する。だが一部は明らかに軍が発生源だ。そこでオーロラ観測者たちは説明を組み立てた。ブームはオーロラが太平洋上空の飛行からカリフォーニア南部の基地に帰還する際のものだというのだ。
  9. ソニックブームの発生源がなんであれ、カリフォーニア各地の地震探知網が毎回拾ってしまう。2001年にはカリフォーニア工大の航空学研究室の論文がブームを解析し正体不明だが沖合発生を突き止めた。
  10. 規則性ある形で発生していることから疑問が二つ出ている。ソニックブームが自然現象ならなぜ突然発生するのか。さらに米軍機が発生源なら軍からの説明がないのはなぜなのか。
  11. 謎の機体目撃をオーロラに結びつける動きもある。1989年にクリス・ギブソンから謎の機体を北海沖合の海上石油掘削施設から目撃したと報告が入った。ギブソンによれば同機は二等辺三角形の形状でKC-135給油機が随行していた。
  12. 1992年には航空愛好家スティーブン・ダグラスが「ロープ上の連続ドーナッツ」飛行機雲の撮影に成功した。この異例な飛行機雲はパルスエンジンの排気だ。これもオーロラの存在を信じる向きにはパルス爆発ウェイブエンジン技術がオーロラに採用され極超音速を実現したと解釈された。
  13. 1992年に Aviation Weekが軍の動向を観察する愛好家がエドワーズ空軍基地と正体不明の高高度航空機「ガスパイプ」と呼ばれる機体との交信を傍受したと伝えている。エドワーズの航空管制官が「ガスパイプ」に高度67千フィートと確認したと伝えおり、通常の機材よりはるか上の空域で空軍はU-2、SR-71のいずれも該当時間には航空管制の対象ではなかったと確認している。
  14. ここから話は荒唐無稽になる。
  15. 1990年代末にJane’s Defence Weeklyの記者ニック・クックがロッキードの有名なスカンクワークスを訪問しジャック・ゴードンとのインタビューの他構内を視察した。その際に遭遇した奇妙な出来事がずっと頭を離れなかった。
  16. 「(スカンクワークス)本館を離れる前にロビー壁面の前で足がとまった。前は気づかなかったが、スカンクワークスが手掛けてきた機体の系譜が描かれていた。XP-80からはじまり、U-2、SR-71ブラックバード、F-117Aステルス戦闘機の姿もあった。戦闘機ではYF-22やダークスターがあったが、もうひとつ『アストラ』と呼ぶ機体が描いてあった。「進化の木のてっぺんでアストラは超高速偵察機のように見えた」とクックは述べている。「専門家がみな思い描くオーロラの姿がそこにあった」
  17. クックはロッキード広報に「アストラ」の正体を問いただしたが、数週間後に30年前の「高速旅客機コンセプト」だと告げられる。
  18. 30年前のコンセプト機がスカンクワークスのあゆみの樹上に位置するとは....変だ。
  19. オーロラがここまで多くの人を魅了しているのは、目撃報告を噂と記事でつなぐと実機開発の時系列と一致する姿があらわれるためだ。また高速飛行可能な機体はみんなが好きだ。
  20. ロッキード・マーティンがマッハ6飛行可能とするSR-72は「ブラック」機の秘密開発の世界で本当に存在する機材のひとつなのか。また公表できる機材として「ホワイト」になる過程にあるのだろうか。そうだとしてもなぜこのタイミングなのか。
  21. 結局この質問になる。戦略偵察飛行の重要性は米軍にとって当たり前だが、なぜSR-71後継機が長年存在していないのか。スカンクワークスが今になって発表した機体が(20年前の)オーロラのコンセプト図と酷似しているのはなぜなのか。なぜスカンクワークスの壁画でそのような機体が実用機と並んで描かれているのか。
  22. 結局、オーロラなどという機体は存在しなかったのかもしれない。あるいはロッキードの2013年の発表、さらに2017年7月の目撃がオーロラなのかもしれない。20年の時間経過があっただけなのかもしれない。■

もし戦わば(18)F-22対J-20のステルス機対決!


もし戦わば(18)はF-22とJ-20の対決です。全く思想の違う両機ですが、両国の考え方の違いが出ていますね。直接両機が対決するというよりも米中空軍力の対決の一断面としてそれぞれの機体の活躍ぶりを想像するのがいいかもしれません。どちらかといえばJ-20の方が攻撃的で未来のコンセプトに近くなっている気がします。対決の場面がこれからも発生しないよう祈るばかりですが。



Stealth Showdown: America's F-22 Raptor vs China's J-20 (Who Wins?)

ステルス機対決 米F-22ラプター対中国J-20、勝つのはどちらか
The National InterestOctober 1, 2017


  1. 中華人民共和国はこのままだと米国と今後50年間にわたり互角の戦力を有する唯一の国家になりそうだ。直接対戦が発生する可能性は低いが、米国はたえず備えておく必要があるのは言うまでもない。
  2. 現代の通常戦では航空優勢確保がカギとなる。米国ではステルスのロッキード・マーティンF-22ラプターが最強機材として当面空を支配する役割を期待されているが、ゆくゆくは米空軍の進めるF-Xに交代するはずだ。
  3. 中国でラプターに最も近い存在が成都J-20だが、米国の最強戦闘機にどこまで対抗できるのだろうか。
  4. この中国機について分かっていることは少ない。伝統的な戦闘機の域を脱した特殊任務機かもしれない。米側が兵力投射機能を西太平洋で展開するのを妨害し中国全土で接近阻止領域拒否(A2/AD)を実現するための機材かもしれない。支援機材の給油機、AWACS、JSTARSへの攻撃に特化している可能性もあり、長距離巡航ミサイルを搭載し各地の米軍基地や空母を狙う構想なのかもしれない。
  5. J-20で判明している事実から同機はステルス機といわれるがラプターや同じロッキードのF-35共用打撃戦闘機から大幅に設計を参考にしているのがわかる。偶然ではない。中国がF-35の機密情報を大量に盗んだ可能性が高いことは知られている。
  6. J-20の基本が攻撃任務にありながら空対空能力も相当程度あることがわかる。F-35同様にJ-20試作型は電子光学式目標捕捉装備を機首下に搭載している。このセンサーはBeijing A-Star Science and Technology製のEOTS-89電子光学目標捕捉システム(EOTS)で、航空優勢を主任務とする機体にはこの種のセンサーは本来不要だ。
  7. またJ-20はアクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載しているようだ。1475型レーダーと思われ、China Test Flight EstablishmentがツボレフTu-204に搭載してテストしていた。ただし、この情報の真偽を確認できないのは人民解放軍空軍(PLAAF)が情報開示する様子がないためだ。中国がSu-35に関心を示しているのはフランカー搭載のレーダーやエンジン技術の習得が狙いなのだろう。筆者は中国がAESAを自国でどこまで実用化しているのか疑わしいとみている。
  8. J-20が攻撃任務に特化していることの一番説得力のある証拠は機体は巨大だが主翼が比較的小さいことだ。兵装庫も相当の大きさがあるようだ。この設定は超音速攻撃機の想定であり、航空優勢戦闘機としては向いていないのは明らかだ。
  9. ただし中国はこれだけの大きさの戦闘機に十分な出力を確保するエンジン技術を実用化していない。国産WS-10エンジンの完成にてこずっており、次世代WS-15の開発もおぼつかない。また十分な信頼性がある国産エンジンの実用化にも至っておらず、ロシア技術を盗んだエンジンでも同様だ。だが攻撃機にとてつもない推力重量比は不要で、同機が現在搭載するロシア製サトゥルンAL-31F双発で中国の目的には十分なのかもしれない。
  10. だがF-22やF-35はともに短距離戦術戦闘機で西太平洋での作戦実施には不適だ。距離が長いわりに基地の数が足りないからだ。この地理的制約は中国にもあてはまり、中国は米軍他との直接対決の代わりに米側の継戦能力を奪おうとしてくるはずだ。そうなるとJ-20は中国にとって航空優勢の実現手段となり、F-22に対しても優勢となるかもしれない。
  11. もちろんすべては推測に過ぎない。PLAAFだけがJ-20がふさわしい戦闘状況を把握しているはずで手ごわい敵になりそうだ。■
Dave Majumdar is Defense Editor for The National Interest. You can follow him You on Twitter: @DaveMajumdar.

韓国空軍の北朝鮮攻撃構想


ここまで作戦内容が漏れているということは別の構想があるのでしょう。ただし開戦直後で韓国民間人の犠牲発生は防ぎようがないとの評価は冷酷ですが現実なのでしょうね。開戦の事態はないと韓国の皆さんが考えているはずはないので、むしろ「考えたくない」と拒絶しているのでしょう。一方で独自のISR能力がない韓国は米軍の情報に基づいて行動する「下請け」の役目に甘んじるのでしょうか。同じことは航空自衛他についてもいえるわけで、このブログが伝えたいことのひとつ、ISR能力と解析能力の強化が必要ですね。


How South Korea Would Strike North Korea in a War

韓国空軍はこうして北朝鮮を攻撃する

F-15K Slam Eagle(Photo: Flickr, 247Sports)





  1. 2017年9月13日、韓国空軍(ROKAF)がトーラス Taurus 巡航ミサイルを試射したのは北朝鮮弾道ミサイルテストに呼応した動きだった。F-15Kが同ミサイルを発射しており、目標地点の地下に突入して爆発した。
  2. 長年にわたり韓国軍は国内都市特に首都ソウルが北朝鮮の砲兵隊攻撃、化学兵器、弾道ミサイル攻撃にさらされる前提の対戦に備えてきた。今や核兵器による大量殺戮も加わった。もちろんいかなる代償を支払ってもその可能性は回避すべきだが、開戦となった場合は韓米両軍が北朝鮮の強固なミサイル陣地、砲兵隊を迅速に排除することが死活的な意味を持つ。
  3. その任務にあたるのが60機あるF-15Kスラムイーグルで、F-15Eストライクイーグルを元に開発し、センサー能力と電子戦能力を強化した機体でバンカーバスター能力のある巡航ミサイルを発射し北朝鮮のミサイルサイロを叩く構想が現実になっている。
  4. また同兵器は強化防空壕に潜む北朝鮮指導部の斬首作戦にも投入でき韓国軍はこの作戦実施の効果に期待をしている。
  5. ストライクイーグルはF-15イーグルを戦闘爆撃機に転用し、兵装パイロン、燃料タンク増加、センサーを追加し推力重量比と操縦性が若干犠牲になっている。複座機としてマッハ2.5加速は可能だが23千ポンドという破格の兵装搭載量は第二次大戦中の戦略爆撃機の三倍近くに匹敵する。欠点として大型双発F-15は運航費用が高いが、ターボファンの追加で事故率は低くなった。
  6. 韓国は三段階のF-X事業の第一フェイズとしてジェット戦闘機部隊の近代化をめざした。ユーロファイター・タイフーンやラファールさらにSu-35をさしおき、F-15を選択しF-15K40機のを2002年に42億ドルで発注した。機体部品のほぼ4割が韓国国内生産で胴体、主翼、エイビオニクスがボーイングのセントルイス工場(ミズーリ州)に持ち込まれ完成された。
  7. スラムイーグルはF-15Eの供用開始から10年以上後のため、当時の最新性技術が初めから導入された。載標的指示装置でパイロットは頭をその方向に向けるだけで短距離用AIM-9Xの照準をあわせられる。
  8. スラムイーグルはF110ターボファンエンジンを搭載し推力はF100より1割以上増加している。エンジンノズルの違いで識別できる。
  9. 2008年に韓国はF-15K第二次発注をF-XフェイズIIとしてF-5Bフリーダムファイター戦闘機の後継として確定した。(発注には2006年に高G飛行で乗員が気絶し機体喪失に至った一機の補充分も含む)各機はスナイパーXR照準ポッドを装備しエンジンはF100PW-229にされKF-16戦闘機とエンジン互換性を確保した。
  10. F-15KはAAS-42赤外線探知追尾装備を搭載し、短距離なら敵機に気付かれずにレーダーを使わずに追尾可能だ。F-15KではAPG-63 (V)1レーダーの海上捜索標的識別モードを生かし艦船攻撃任務にも使えるとされたが、米空軍はその後F-15EにAPG-82アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで解像度とステルス性で大きく進展している。APG-63のアンテナはAESA方式にアップグレード可能だが、ROKAFがこの改修をいつ実施するか不明だ。北朝鮮空軍が旧式装備をそろえ、わずか35機のMiG-29が1990年代調達ながらいまだに最新鋭機としてまかりとおっているためもあるのだろう。
  11. 他方で北朝鮮には近代装備は少数とはいえ相当量の地対空ミサイルもあり、この脅威に対抗すべくF-15Kには軽量ながら強力な戦術電子戦装備が搭載され、ALQ-135M対抗装置は高速処理プロセッサーでSAM複数を同時に妨害でき、ALE-47チャフとフレアディスペンサーでミサイルを混乱させる能力がある。
  12. F-15Kは大邱基地に第11戦闘機隊として配備され、非武装地帯から170マイル南の後方配備となっているのは長距離ジェット戦闘機は最前線戦術機として迅速展開させず、攻撃や戦略任務に就かせるためだろう。このためF-15Kは3千ポンドの強力な威力を誇るトーラスミサイルを運用する唯一の機種になっている。
  13. 韓国は同ミサイル170発をドイツ-スウェーデン共同事業体へ発注し納入は2017年に完了した。全長5メートルのジェット推進式ミサイルはKEPD-350Kの名称がつき、音速ぎりぎりの速度で飛翔し、300マイル先の標的を攻撃可能だ。これだけあれば北朝鮮国内のいかなる地点も韓国国内から攻撃できる。
  14. トーラスは探知を逃れるため地上130フィートを低空飛行し、さらにレーダー探知を逃れるステルス性能と妨害対抗手段を備える。航法に四系統を使い(GPS、慣性、赤外線、地形参照)一つが故障してもコースを維持できる。標的近くまで到達すると三次元イメージのスキャン機能もプログラム可能となり目標捕捉に失敗すると付随被害を発生せずに任務を中止することも可能だ。
  15. 目標に近づくとトーラスは高度を上げてから急角度で目標への突入を二段式メフィスト弾頭で狙う。まず先行爆発で標的の強化外壁を破壊し内部に突入した爆弾本体を遅発性信管で爆発させる。6メートルまでの厚さのコンクリート壁を突破でき、ミサイルや火砲の強化施設を破壊し、韓国国内への攻撃を事前に防ぐことが期待される。
  16. 2016年12月に韓国はKEPD-350の追加90発分を発注した。これは平壌のミサイルテスト加速に呼応したものであった。さらに韓国はトーラスミサイルの軽量版にも関心を示しており、射程は250マイルになるが国産FA-50ゴールデンイーグル攻撃機へ搭載を狙う。もちろん北朝鮮との交戦となれば韓国は米空軍や海軍の追加投入を受けいれ爆撃機も到着するはずだ。さらに水上艦船やオハイオ級改造のミサイル潜水艦からのトマホークミサイルにも期待できる。
  17. ただしこれだけの火力が実現しても北朝鮮が開戦数日間で韓国民間人数千名の死傷者を生むことは防止できず効果を緩和させるのが精いっぱいだ。一部の北朝鮮火砲やミサイルは強固に防御された固定陣地にあるが、残りは移動式で反撃を避けようとするはずだ。米国が前回弾道ミサイル発射機を狩る作戦を展開したのは1991年のスカッドミサイルの事例で結果は惨憺たるもので、戦後の情報分析でスカッド発射機は一つも空爆では破壊できなかったと判明している。その後は戦術技術両面で進展しているが、この種の作戦が困難であることに根本的な変化は生じていない。
  18. スラムイーグルと米軍機はそのため北朝鮮の攻勢を緩和する効果しか期待できず、開戦直後に脅威を全部排除することは不可能だ。先制攻撃や迅速な反撃構想にだまされるべきでなく、せいぜい人的被害を抑える効果しか期待できないと知るべきだ。だからといってF-15Kの任務が限定されることにはならない。最悪の状況では韓国国民数万名とおそらく米本土の人命の行方は北朝鮮部隊をどれだけ早く除去できるかにかかっているからだ。
  19. さらに韓国はF-35ライトニング・ステルス戦闘機40機をF-X第三フェーズとして導入する意向で、長年活躍したF-4ファントムを退役させる。ソウルは同時に国産巡航ミサイル200発が実現すれば国産KF-Xジェット戦闘機に搭載したいとする。それまではスラムイーグルが韓国の第一線戦闘機として防衛最前線で極めて重要な存在となる。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

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2017年10月2日月曜日

★ペリー級フリゲート艦の再復帰を狙う米海軍だが...



50隻以上を連続建造し、海外でもライセンス建造されたペリー級は旧式とはいえコストパフォーマンスの高いフリゲート艦だったのですね。つじつま合わせのような今回の再就役構想ですが、次期フリゲート艦への影響も与えそうです。限定された就役となりそうですが、その行方には十分注目する価値があると思います。設計がすぐれていたのでしょうね。日本の場合は計画的に護衛艦など用途廃止していますが、いかんせん同時大量建造しておらず、完全に解体していますし、かりに用途廃止艦を再復帰しようにも運用科員が不足しますので実施は無理でしょうね

 


The U.S. Navy Wants to Bring Back Some Old Frigates (That Can't Fight) 米海軍が旧式フリゲート艦の現役再復帰を企画中(ただし戦闘能力はなし)

September 25, 2017


  1. 米海軍が退役済みオリバー・ハザード・ペリー級誘導ミサイルフリゲート艦の最大7隻程度の再就役を真剣に検討している。米海軍の水上艦隻数を確保するねらいがある。
  2. だが海軍は各艦を近代化改修せず、兵装追加もおこなわないと海軍長官リチャード・V・スペンサーRichard V. Spencerが言明している。
  3. 中東や混雑し危険な西太平洋に派遣せず、排水量4,100トンのペリー級はカリブ海で「限定的麻薬輸送阻止任務」に就かせるとスペンサー長官は述べている。
  4. 麻薬密輸阻止任務に投入されれば現行の駆逐艦や沿海域戦闘艦(LCS)がもっと高度のミッションに使えるようになるが、議会は軽装備艦を艦隊に復帰させる案に懐疑的だ。
  5. ペリー級は1977年から1989年にかけ調達され、冷戦期で対空ミサイル、ハープーン対艦ミサイルと対潜ヘリコプター二機を搭載し使い勝手が良い艦として活躍した。
  6. また頑健な艦でもある。上部艦橋はアルミ製だが、1987年にUSSスタークはイラクのエクゾセミサイル二発の攻撃に耐えた。USSサミュエル・B・ロバーツは1988年にイラン機雷に接触したがこれも生き延びている。2016年の実弾園主杖退役艦サッチはハープーン4発命中に耐えヘルファイヤ、マーベリック各ミサイル数発も命中し、魚雷一発と爆弾2発が命中しても沈没まで12時間を要した。
  7. だが海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦を優先し、フリゲート艦は退役させるに任せた。2000年からペリー級のミサイル発射装置撤去が始まり、各艦は防御用に砲しかつかえなくなった。
  8. 晩年にはラテンアメリカで麻薬阻止パトロールに投入されたほか、二隻にファイヤスカウト無人ヘリコプターが搭載されアフリカ沿海で特殊部隊支援にもあたった。最後の現役艦USSシンプソンの用途廃止は2015年9月だった。
  9. 海軍が一部ペリー級の現役復帰案を検討し始めたのはドナルド・トランプ大統領の就任式典があった2017年1月ごろだ。トランプはオバマ政権のレイ・メイバスRay Mabus海軍長官がすすめようとした第一線艦船280隻を最大355隻程度まで拡大する構想を支持していた。
  10. バーク級駆逐艦の追加調達、攻撃潜水艦や多用途海上輸送艦の建造が検討された。一時は2009年に退役した空母キティ―ホークの再復帰も検討されたが冷笑を買っただけだった。ペリー級の現役復帰に抵抗は少なかった。国防総省は一部ペリー級を海外に支給していたが7隻が国内に残っている。
  11. スペンサー長官からはフリゲート艦復帰費用は高額ではないとの発言がある。台湾がペリー級二隻を再就役させたが、費用は各艦35千ドルにすぎなかったという。
  12. だが費用には近代化改修は入っていない。「戦闘システムには手を付けず航行可能、レーダー稼働可能の状態とする」とスペンサー長官は発言。「これなら安価に性能証明済みの艦がすぐ使える」
  13. ペリー級を運用中の外国海軍は近代装備を追加しており、好例がオーストラリアだが、米海軍は再就役で重装備を導入する予定はない。「トマホークをいまさら装備しても意味がない」とスペンサー長官は述べている。
  14. 旧型ペリー級を再就役することの悪い点は使い勝手で制約がつくことだ。麻薬密輸の阻止には最適だが、フリゲートには自艦防御能力がない。そのため重武装の敵艦を攻撃できない。
  15. 同じ問題は沿海域戦闘艦にもあてはまる。ペリー級の後継艦として海軍が導入中の艦種である。当初は対空対艦ミサイル装備なしで導入されたLCSは危険地帯での第一線投入には不向きとされた。
  16.  2016年初頭にジョン・マケイン上院議員(上院軍事委員会委員長)はLCSでは敵艦を沈める能力が不足しており、「敵が軽装備の小舟艇で極端に近距離にない限り無理」と述べている。
  17. 議会の圧力に負けて海軍は2015年にLCSを計画52隻から40隻に削減し新型誘導ミサイルフリゲート艦を十分なミサイル武装付きで導入すると発表せざるを得なくなった。米国ならびに海外造船所が新型フリゲート艦20隻の建造を2020年に開始したいと競い合う。
  18. その一方でペリー級は艦隊規模拡大の一助として控えめかつ限定的な任務に投入される。だが海軍が同級に大規模改修を認めない限り、旧式フリゲート艦を再就役させても米海軍の規模拡大では短期間かつ部分的な効果しか期待できない。いかなる場所でも戦闘能力のある艦が必要なのだ。■
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Tu-95発射の新型巡航ミサイルでシリア国内ISIS拠点を攻撃したロシア


弔い合戦のつもりなのでしょうか、その中でも米国へ責を求めるところに外国人嫌いのロシア人気質がうかがえますね。10メートル以内の精度というのはGPSを使っている証拠でしょう。かつてのスペイン内戦と同様にロシアは各種兵器を投入して実用的な用兵案を蓄積しようとしているようですね。

Russian Tu-95 “Bear” Bombers Hit Daesh Terrorist Camps With KH-101 Cruise Missiles In Long Range Strike

ロシアのTu-95ベア爆撃機がISIS拠点をKH-101巡航ミサイルで長距離攻撃

Cruise Missile Attack from Russia Avenges Lieutenant General Valery Asapov Death.

巡航ミサイル攻撃はロシアのバレリ・アサポフ中将Lieutenant General Valery Asapovの死亡への報復だ。
 By Tom DemerlySep 27 2017 -


  1. ロシアのツボレフTu-95ベア爆撃機編隊が巡航ミサイルでISISタクフィリ戦闘員が支配する拠点をシリアのデルアルズールDeir al-ZourおよびイドリブIdlib の二地点を対象に2017年9月26日に攻撃した。
  2. 今回の攻撃はロシア軍司令官ヴァレリー・アサポフ中将の死亡に対する報復攻撃の性格が強い。同中将は第五赤旗陸軍の指揮官だったといわれる。シリアへ展開し上級軍事顧問として活躍していたが、ISISの迫撃砲攻撃で先週末にダイルアルザワルDayr al-Zawrで戦死している。死亡地点はダマスカスより450キロ北東の地点で、ロシアのブログでは米国の介入に責任の一部を求めており、情報が漏えいしたことが中将の死につながったと非難している。
  3. 長距離巡航ミサイル攻撃を実施したのはロシア空軍のTu-95MS「ベアH」または「MSM」型で第184重爆撃機連隊所属の可能性が高い。同隊の愛称は「セパストポル」連隊で、1941年から42にかけて展開された同地奪回の戦いに由来している。投入された機体はツボレフのターボプロップ爆撃機(初飛行1952年)の中でも最新鋭の機材だ。Tu-95MSMはシリア戦域に2016年11月に初めて投入された。
  4. Tu-95は米B-52ストラトフォートレス八発ターボジェット戦略爆撃機にほぼ匹敵する機体で両機種の初飛行年は同じであ。Tu-95はターボプロップ4発で二重反転プロペラ―を回す点が独特だ。ロシアはツボレフの代名詞と言える二重反転プロペラ―の採用で長距離航続距離を実現しながら比較的高速度を実現している。ツボレフ/クズネツォフのターボプロップ採用でTu-95は無給油で9,400マイルの飛行が可能で、B-52は8,800マイルとベアより7%短い。飛行速度でもB-52、B-2スピリットステルス爆撃機とベアはほぼ同等であり、B-52の最高速度は644MPH、B-2が628MPHでありTu-95は575MPHとターボプロップでジェットエンジン搭載の米爆撃機とほぼ互角だ。最高速度の差はB-2にくらべわずか8%低いに過ぎない。
  5. Tu-95MS爆撃機は今回新型のKH-101巡航ミサイルを発射している。KH-101は開発が最近完了した長距離巡航ミサイルで米トマホークにほぼ匹敵する存在だ。Tu-95はこのKH-101を八発搭載可能でシリア空爆で公表された画像では4発のみ搭載されていることがわかる。

新型KH-101長距離ステルスミサイルが今回の攻撃に投入された (Photo: Russian Air Force) 
  1. KH-101巡航ミサイルの有効攻撃射程は2,790-3,000マイル(4,500キロ以上)で各種弾頭を目標の種類に応じて変更できる。低視認性(ステルス)だといわれ、飛翔中に調整可能で指定した目標を狙う能力がある。精度は「10メートル以内」といわれロシア報道ではミサイルが大型建物やシリア砂漠の野営地を攻撃する様子が紹介されている。
  2. ロシアがベアでKH101による攻撃をデルアルズールおよびイドリブを攻撃した際の直掩にはSu-27戦闘機が飛び、イラン、イラク両国上空を通過してミサイル発射地点に向かっている。
Top image credit: Russia Air Force

https://theaviationist.com/2017/09/27/russian-tu-95-bear-bombers-hit-daesh-terrorist-camps-with-kh-101-cruise-missile-in-long-range-strike/#U2K5zVSjIsvglLkB.99 で詳細を読む