2018年10月22日月曜日

難航するKC-46事業で納入を急ぎたいボーイングに立ちふさがる技術問題はこれだ

KC-46は老朽化進むKC-135後継機として一日も早く稼働させたい機体なのですがいろいろな問題に直面して納期が遅れに遅れています。軍用機で好調なボーイングの脚を引っ張りかねない存在ですが、調達は固定価格制度ですので空軍は納期を除けば負担がない格好です。ただし、追加技術解決で発生した費用は日本が負担することになるのでしょうか。現在のところKC-46発注している外国は日本だけですよね。

 

The Air Force's struggling tanker program just hit another major setback 米空軍の難航する給油機更新事業があらたな難関に直面

Valerie Insinna,

Boeing's KC-46 aerial refueling tanker conducts receiver compatibility tests with a U.S. Air Force C-17 Globemaster III from Joint Base Lewis-McChord, in SeattleボーイングKC-46給油機がレシーバー互換性をC-17グローブマスターIIIと確認中。シアトルのルイス-マッコード共用基地上空。Christopher Okula/ U.S. Air Force/Handout via REUTERS/File Photo

KC-46一号機の初納入は今月中は無理になったと米空軍とメーカーのボーイングで共通認識していると空軍文民トップが認めた。
10月17日のブルームバーグとのインタビューで空軍長官ヘザー・ウィルソンが初納入という大きな出来事が再度延期になることを認めた。
空軍関係者とボーイング幹部が同日に未解決問題の解決方法を検討していた。問題が残るため空軍は同機の受領に踏み切れていない。
Defense Newsが新たに第一種不良事象二点がKC-46の問題一覧に加わり合計5点になったと伝えていた。第一種不良とは最も深刻な技術問題で解決方法がないものを指す。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerシアトルのボーイング・フィールドを離陸するKC-46Aペガサス, June 4, 2018. US Air Force

航空機動軍団司令官のメアリーアン・ミラー大将が9月18日に空軍は10月27日の初納入を期待刷ると述べていた。ただし、10月もほとんどすぎようとしているがいまだに確定の納入期日の発表はない。空軍は最低でもあと一ヶ月待たないとKC-46の初受領はできないようだ。
今月始めにボーイングCEOデニス・ムレンバーグはKC-46一号機は空軍に今年中に納入できると発言し、これまでの10月という表現を避けることでこっそりと納入予定を変更していた。
今週水曜日、ボーイング広報のケリー・カプランガムレンバーグ発言を繰り返し納入開始は今年末と述べていた。「ボーイングと空軍はKC-46納入時期を本日検討します。その結果に期待しております。本日の検討会は当社の目指す空軍との建設的な対話の一環として必要不可欠な新型給油機の納入を今年第四四半期中に実現させようというものです」
同機事業では遅延の連続がここ数年続いている。ボーイングは当初は完全な機体18機を2017年8月に納入予定だったが、その後繰り返し延期してきた。
ウィルソン長官はじめ空軍関係者は繰り返しボーイングが日程の見積もりがあまりにも楽観的すぎると批判してきた。空軍はボーイングと協議し、初納入予定を10月に一旦確定していた。
KC 46 PegasusKC-46ペガサスがA-10サンダーボルトIIに燃料1,500 ポンドを給油した。July 15, 2016.US Air Force
ブルームバーグのインタビューでウィルソン長官は最新の日程遅延の理由として連邦航空局FAAによるKC-46の追加型式認証が遅れていることをあげており、未解決問題だとはしていない。「これについて怒りの感情はない。当方はボーイング側とともに解決策の実現に向かっている」
ボーイングはFAA型式証明を9月に交付されているが、これも予定より数ヶ月遅れのことだった。同社は軍用型式証明の取得を空軍から待っており、軍用独自の装備品を対象に機体納入開始前の交付を受けたいとする。
米空軍は最低でも179機のKC-46を調達予定だが、最新の国防戦略を実現するには給油機飛行隊は最低14個の追加が必要としている。このことから給油機の総機数が二倍になる可能性が生まれている。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerワシントン州エヴァレットのプレインフィールドを離陸するKC-46ペガサス, September 25, 2015. U.S. Air Force photo/Jet Fabara
空軍は第一種不良点が未解決の機体を受領することは可能だが、関係者は及び腰だ。
未解決の第一種不良は次の五点。
  • 遠隔視認装置RVSの視野問題。ボーイングはソフトウェア改良で解決できると見ている。
  • KC-46のブームが被給油機の機体に損傷を与える問題。ボーイングと空軍はRVS問題が解決すればこれも解決できるとみる。
  • 機体中央に配置されたドローグが給油中に不意に外れる問題。ボーイングはこれもソフトウェア改良で解決可能と見る。
  • .飛行制御スティックが給油中に荷重を与えるが操作員には情報が表示されない問題。
  • 給油中にブームが極端に硬くなる問題。
空軍とボーイングからは上記のうち最後の二点については解決の方向性の発言はない。■

2018年10月21日日曜日

歴史に残る機体18 コンベアB-36ピースメイカー

歴史に残る機体18はコンベアB-36です。恐竜のような存在ですが、この時代によくここまでの機体を作ったなという感じですね。大きいことが良いこと、との考えの典型ですが、時代の先陣を切ったとのか、それとも早すぎたのか、失敗作かと評価が分かれそうです。

 

Meet the B-36 Peacemaker: The massive bomber that could fly from the US to Russia but never dropped a bomb in anger これがB-36ピースメイカーだ。米本土からロシアへ飛行可能な巨大爆撃機は実戦で一発も投下していない

Logan Nye,


B-36 Peacemaker Air Force bomberB-36 一機の運行にはこれだけの人員装備が必要だった. US Air Force

二次大戦中の設計で終戦直後に完成し13年間共用されつつ実戦に一回も投入されない機体があった。
見方次第だが抑止力の成功例という一方で、果たしてそのとおりなのかとの疑問も残る。
コンベアB-36ピースメイカーは巨大な機体で爆弾燃料を搭載しない状態で278千ポンド(126トン)、爆弾86千ポンド(4トン)と燃料満載で410千ポンド(186トン)になった。通常爆弾、核爆弾双方が使えた。
設計作業は1941年に始まり、当時の米国指導層は国内基地を発進しベルリンを爆撃後に本国へ戻れる機体を求めたのだ。
だがB-36試作機の完成は日本降伏の6日後で第二次大戦は終結していた。初飛行は1946年8月8日と終戦からほぼ一年後になった。
B-36 Peacemaker first flight bomber Air ForceB-36ピースメイカー. US Air Force


最終設計で翼幅は230フィート(70メートル)でプロペラエンジン6発式になった。プロペラは主翼後方に装着され機体を推進した。当時としては史上最大の機体になった。
384機が生産され、戦略爆撃抑止力の新時代を開き、敵に全面破壊の睨みを利かし、こちらに戦争を仕掛けることを断念させた。B-36は平時の空に飛ぶ機体となった。
同機は一発も実弾を投下していない。大型核爆弾を搭載してメイン州からレニングラードまで飛び無給油で本国に戻れる性能が理由だったのだろう。
ただし訓練や演習での爆弾投下はあり、事故で投棄したこともある。1950年2月に一機のB-36で核爆弾をブリティッシュ・コロンビア付近で投棄せざるを得ない事態が発生した。エンジン三基で火災が見つかったためだ。爆弾は不活性の訓練用だった。
1957年にはマーク17核爆弾をニューメキシコ州アルバカーキで誤投下した。核爆弾内の通常火薬が爆発したが核分裂物質は幸い点火されなかった。
もっとも異常な事態は飛行中の事故よりも計画済みの実験だった。1942年にマンハッタン計画の科学陣から核動力による航空機構想が生まれた。機内に原子炉を搭載し、燃料タンクを廃するのだ。
Convair_XB 36_main_landing_gear_detail_061128 F 1234S 028B-36初期機材の降着装置は一輪式だった. US Air Force


その後16年間にわたり陸軍、その後空軍は膨大な時間と資金をかけて構想を実際に実験した。1951年に試験用原子炉を搭載可能な唯一の機体としてB-36が選定され、コックピットは乗員保護のため改装された。
.NB-36と改称された機体は核動力爆撃機になった。テスト飛行は47回行われ、原子炉から動力を得たが、実際は通常燃料で飛行し科学者技術者が飛行中の原子炉稼働を実証したにとどまった。一方で通常型機材の技術が進歩し、核動力爆撃機の必要性が減り、開発は1958年で一旦終了した。
同機は短期に終わった「寄生戦闘機」構想の実証にも使われ、爆撃機からの援護戦闘機運用の可能性を試した。
巨大機が目標に向かえば敵のレーダーや戦闘機に見つかる。その場合に爆弾倉から戦闘機を発進させるのだ。戦闘機パイロットは敵と交戦し、母機に戻る構想だった。
B-36母機はその後標的に向かうはずだった。だが空中給油の実用化で構想は一気に陳腐化し、B-36のような巨大燃料タンクを備えた巨大機の必要性も薄くなった。小型爆撃機でも離陸後に敵防空網の外側で給油を受ければそのまま攻撃に移れる。
B 36aarrivalcarswell1948B-36初号機がテキサス州フォートワースのカーズウェル空軍基地に到着しB-29ストラトフォートレスと翼を並べた。 June 1948. US Air Force


B-36は一度も敵を攻撃していない。同様の事例はB-47ストラトジェットやB-58ハスラーでも見られ、ジェット機となった両機はB-36同様の任務を期待されていた。
各機は米国内基地を発進し大型爆弾を投下してから国内に戻る構想だった。各機とも核爆弾搭載仕様ながら一発も敵に投下していない。だからといって各機が失敗作だったとは言えない。
各機が担った戦略抑止効果は重要だったが通常爆撃任務には不向きな機材だった。その重要性から撃墜されては困る機材だったのである。実戦投入がためらわれる機材だったわけではなく、抑止任務に特化したあまり通常作戦に投入できない機体になっていたのである。
現代のB-1やB-2ステルス爆撃機では核抑止任務のみならず搭載能力、速力、ステルス性能を十分に搭載しイラク、アフガニスタンその他でもいかんなく爆撃能力を実施している。
米国が中国やロシア、北朝鮮と開戦となればB-36後継機というべき現在の各型を投入するはずだが核爆弾を搭載せず通常爆弾で性能を発揮させるだろう。B-1では核運用能力を廃止し国際条約に適合させている。
ということでB-36他同時期の各機の成功に乾杯したい。だが現在の爆撃機が先人の業績の上に生まれたことを忘れないでほしい。■


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2018年10月20日土曜日

米韓軍事演習がまたも中止になったが、こんなことでいいのか

今回の中止はいかにも米国の都合のようないいぶりですが、米国政策決定層での韓国の評価が気になるところです。大統領が北の首領の使い走りをしているような状況ですのでワシントンも韓国の最近の動きを苦々しく思っているのではないでしょうか


America Just Cancelled another Military Exercise with South Korea. We Have All the Details. 米国が韓国との共同演習をまたもや中止した。背景はなにか

Is this a good idea? これでいいのだろうか

軍が韓国との軍事演習をまたもや中止した。トランプ大統領が北朝鮮の金正恩と核兵器合意を目指す中の決断だ。

毎年好例の航空戦演習ヴィジラントエースは今年12月に開催されない。これは米空軍、海軍・海兵隊航空部隊が韓国空軍と技量を向上する目的の演習で、昨年は230機が参加した。

「国防長官ジェイムズ・N・マティス、国家防衛相Jeong Kyeong-dooは外交工程の継続を助けるべくヴィジラントエース演習の実施見送りを決めた」とペンタゴン主席報道官デイナ・ホワイトが10月19日発表した。

「両国は今後も演習を続け両国部隊の即応体制を維持する。両国は今後の演習実施に関する調整と効果測定を続ける」
金曜日の発表は朝鮮半島で開催・中止が続いてきた両国共同演習の最新状況だ。6月にトランプ大統領は今年のウルチフリーダムガーディアン演習の中止をペンタゴンに命じ、「高額につきすぎる」とともに「挑発的すぎる」と評していた。

マティス長官は8月28日に今後の演習中止は考えていないと記者団に語っていたが、米国政府はフォールイーグル、ウルチフリーダムガーディアン両演習の2019年実施の可否をまだ決めていない。

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だが翌日にトランプはツイッターでマティス発言に矛盾するホワイトハウス生命を紹介した。「この時点で大量資金を投じて米韓軍事演習を敢行する意味がない。さらに大統領は韓国との演習はその気になれば即時に開始できるし、日本とも同様だ。その場合の演習は遥かに大規模になるだろう」

トランプは金塗の関係を今年に入り大幅に改善した。両指導者はシンガポールで6月に会談し、トランプは金が送った書簡を評価している。

「すばらしく美文の書簡を送ってきた」とトランプは9月29日のウェストヴァージニアでの集会で語っている。「大変内容が濃い。また恋に落ちた」
This article by Jeff Schogol originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose onTwitter . This article first appeared in 2018.

2018年10月19日金曜日

☆航自向けE-2D>追加調達9機で13機体制へ

Japan to buy nine more E-2D aircraft from the United States 日本はE-2D9機を米国から追加調達する

Kosuke Takahashi, Tokyo and Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
12 October 2018
米海軍のE-2D AEW&C機。日本は10月12日に既に導入決定の4機に加え9機の追加導入を発表した。Source: US Navy
本はノースロップ・グラマンE-2D発展型ホークアイ空中早期警戒統制(AEW&C) 機の9機追加導入を決めたと岩屋防衛相が10月12日発表した。
「E-2C退役があと10年後と待ったなしとなり、厳しい安全保障環境を考慮すればE-2Dによる機材更新は絶対必要だ」と岩屋防衛相は記者会見で述べた。
同大臣によれば追加購入は防衛大綱と中期防衛計画の双方に盛り込まれる。ともに年末までに公表の見込みだ。
並行して米国防安全保障協力庁 (DSCA) が9月10日に日本からのAEW&C機材追加購入要望を米国務省が認可したと伝えていた。機材・装備購入価格は31.4億ドルとの見積もりがあり、機体、システムのほか訓練、支援等も含む。
その5日前に米国防総省(DoD)から日本が発注済みE-2D4機分の最終号機の導入契約を承認したとの発表もでていた。以前の購入契約は2015年2016年2018年で合計三機分が確定していた。

日本はE-2D調達にここまで9.5億ドルを投入し、初号機は航空自衛隊(JASDF)に2020年末までに納入の予定だ。■

2018年10月16日火曜日

対米貿易黒字改称にフォード級空母四隻購入すればよいとの人民日報社説はアメリカに喧嘩を売っている

今回は人民日報英語版の社説です。米最新鋭空母をまとめ買いするなどと冗談にせよ普通は言わないのではないでしょうか。悪いのはトランプだとし自国は何も悪いことはしていない、国連システムの内側で行動しており何らやましいことはないとの主張ですが、そもそも今の問題がどこから発生しているのか、地政学的にあまりにも露骨な米国への挑戦的態度が対立の根底にあることは都合よく忘れているようです。なお当ブログは中国政府の主張を代弁するものではありませんのであしからず。

 

Op-ed: US not at a disadvantage in economic and trade ties with China 社説 米国は対中貿易で何ら不利な状況に追いやられていない

By Zhong Xuanli (People's Daily)    10:12, October 12, 2018

国は中国との貿易赤字で「不利な状況」におかれ「経済侵略を受けている」と主張しているがこれは全くの誤りだ。

米中貿易は相互に自主性がありかつ補完的である。中国は一度も米国との貿易関係を強制的にすすめようとしたり、貿易黒字を希求したことはない。

国連統計によれば2017年の米国による対中輸出は1,298.9億ドルで2001年の191.8億ドルから577パーセント増加している。米国の各国向け輸出の伸び平均112パーセントを遥かに上回る伸長ぶりだ。

米国が対中輸出品目を制限し一部ハイテク製品の販売を禁止しながらこれだけの成長を実現したことに注目すべきだ。

米国の対中貿易赤字は米国がハイテク製品の対中輸出を解禁すれば減少するだろう。もし米国がフォード級空母四隻(単価150億ドル)を売却すればそれだけで赤字分600億ドルが消える計算だ。「下線ブログ筆者)

カーネギー平和財団が2017年春に発表した報告書では米国が対中輸出制限を撤廃し、ブラジルやフランス並の扱いにすれば米国の対中貿易赤字は24パーセントから35パーセント減ると指摘している。

自国内で製品設計と販売活動を展開しながら生産活動は海外に移転する傾向が米国でこの10年で加速しており、中国が最大のグローバル工業拠点になった。

大量の中国からの対米輸出の中身は実は米国が設計し中国国内で生産した製品だ。中国企業に生産活動分の収入が入るものの、物流で価格を計上する企業に比べて低利益率だ。そのため中国が米国から収益を吸い上げているとの主張は全くの誤りである。

「経済侵略」ではなく中国国内の経済開発からグローバル経済に成長機会が生まれている。中国は2013年以降の世界経済成長でおよそ30パーセント分の貢献をしており世界最大の規模だ。2017年は34.6パーセントに達し、米国実績の二倍近くだ。

中国国内の経済開発によりグローバル市場も拡大している。2001年から2017年にかけて中国が輸入した物品の伸びは毎年平均13.5パーセントであり、世界平均の二倍近い。同時期に中国が輸入したサービスの平均成長率は16.7パーセントを記録し、世界平均の2.7倍に達した。

雇用創出でも中国は重要な地位を占める。80箇所以上の貿易協力地帯が一帯一路関係国で生まれ、244千名分の現地雇用につながった。アーンストアンドヤングによれば中国はアフリカだけで13万名の雇用を2005年から2016年にかけ創出し、米国による実績の三倍になった。

ラテンアメリカ・カリブ海地域では1990年から2016年にかけて180万名の雇用機会を中国が創出したと国際労働機関が報告書で述べている。

中国が米国内の仕事を「盗んでいる」との主張が米国内にあり、米企業が工場を中国に移転したためとする。だがその主張は公平でなく根拠もない。

2017年の米中ビジネス協議会調べでは2015年の米国から中国への輸出と米中二国間の投資で米国内260万名の雇用が維持された。

Ball State University(インディアナ州)の研究結果では米国の製造業の雇用の最盛期は1979年でそれ以降7百万名分の仕事が消えたとするがその88パーセントはロボット他が取って代わり、工場での労働力そのものの需要が減ったのである。このことから米国内の雇用消失に中国は無関係であることがわかる。


中国の側から貿易摩擦を開始したのではない。逆に中国は世界貿易機関WTOでの責任を広く果たしている。


中国は開発途上国への援助を増加させており、とくに最貧国を重視している。これは南北の開発格差を埋める一環である。2018年3月までに最貧国で中国と外交関係のある国向け全関税品目で中国は97%まで関税ゼロを達成している他、覚書を交換している。

中国は2018年にさらなる市場開放や市場アクセス開放策を発表した。サービス部門特に金融産業での全面的開放を約束している。

「相互開放」を旗印に「国益」を標的にする言い訳として米国は国内投資委員会(CFIUS)を発足させており情報機関含む全省庁を参加させている。「国家安全保障」の概念は絶えず拡大されており海外企業の米国内参入を拒むツールだ。

2017年、CFIUSが制限を加えた海外企業は20社超えで半分が中国企業で、「国家安全保障」を理由に米国参入を禁止した。

米中両国はWTO加盟国であり通商問題はWTOの枠組みで解決をめざすべきだ。だが米国はWTOの紛争解決の仕組みを無視し貿易摩擦を国内法で解決しようとしている。

米国の振る舞いはWTOの基本原則に完全に反しているばかりか関税引き下げの努力義務にも違反しているのであり、最恵国待遇の取扱でも同様だ。■

さあ、以上の中国の主張にいくつ誤りがあるか読者諸氏からのご指摘をお待ち申し上げています


2018年10月15日月曜日

★中国J-20対米F-35、台湾F-16、日本F-15の勝者は誰か



Showdown: China's J-20 Fighter vs. America's F-35, Taiwan's F-16 and Japan's F-15 (Who Wins?)対決:中国のJ-20対米F-35、台湾F-16、日本のF-15の勝者は?

So who would win a future battle for Asia’s skies? Read on. アジアの空を巡る次の戦いの勝者は誰か。
国軍はこの四半世紀で劇的なまでの変貌を遂げた。訓練もろくに受けない志願兵でいっぱいの部隊の姿はもはやない。大規模戦に必要な装備が揃わない部隊もない。
各種装備に予算投入した中国は、台湾、東シナ海、南シナ海で米国に挑戦する立場になった。DF-21D(「空母キラー」)、巡航ミサイル、高性能機雷、潜水艦、無人機、その他接近阻止領域拒否兵器が登場している。
空でも大きな進展を見せており、特筆すべき存在が新型第5世代戦闘機J-20だ。米軍の第四世代機、第5世代機を狙う同機は同時に日本、台湾、他の空軍にも脅威となる。
だが実戦で同機はどこまでの威力があるのか。F-35共用打撃戦闘機が相手ならどうなるのか。台湾のF-16や日本のF-15の場合は。以下、これまでの記事数点を一つにまとめたのでお楽しみいただきたい。
米空軍はJ-20をどう見ているのか
米空軍は西太平洋で今後も敵対勢力に対し「一方的な」優位性を維持する。これは人民解放軍空軍PLAAFが成都J-20ステルス戦闘機を実戦配備しても変わらない。というのが空軍トップの考え方だ。新型中国機の登場で地政学的な影響はどうなるかと聞いた際の答えだ。
「第5世代技術とは単なる機材にとどまらず複数システムのファミリーになる」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将がペンタゴンで報道陣に8月10日語っている。「ネットワークとなり、一方的な優位性を実現してくれるのでF-35対J-20の対決などというのは意味のない質問にすぎない」
たしかに大将の言うように空軍は今後も各種システムのファミリーでネットワークと情報共有を中心としていくのであり、個別の機材の性能に依存することはない。ロッキード・マーティンのF-35をJ-20と比較するのはゴールドフェイン自身が飛ばしていたF-117ナイトホーク・ステルス戦闘機の時代に戻るのと同じことで、同機は敵領空に外部との接続を断ち切って単独侵入する構想だった。「今は各種システムのファミリーに焦点を当て、単独機材よりもどう各機を接続させるかが中心だ」とゴールドフェインが述べた。
大将はナイトホークを比較対象としたが、J-20の搭載システムが1980年代製のF-117程度の内容と言うつもりはないはずだ。J-20に関する情報はわずかだが同機の装備がフェイズドアレイレーダー、電子戦装備、電子光学赤外線方式センサーなどF-35と似通っているとの情報もある。ただし、F-22やF-35で実現している「センサー融合」機能はないと空軍は見ている。
中国に欠けている要素として航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将が記者に教えてくれたのは「スパイクマネジメント」で、F-22やF-35のコックピットには機体がどこからどのように敵レーダーで探知されているかが表示される。パイロットはその情報により敵から逃れるべく探知・交戦される地帯を回避する。この技術の実用化に米国は数十年を費やした。当然試行錯誤が多数あった。
台湾空軍対J-20
台湾上空の航空優勢のバランスがゆっくりと変化中だ。かつて優勢だった中華民国空軍部隊が中国の台頭の前に、かつ台湾国防予算の削減のため中国が優勢になりつつある。
中国内戦の終了で中華民国政府は台湾へ脱出した。敵対する大陸と200マイル未満しか離れていない。だが、台湾が強力な海軍と空軍を維持すれば、そして中国が貧しいままなら台湾は有利なままのはずだった。
だが中国はもはや貧しさと無関係で国力に相応の軍事力を整備中だ。中国は台湾が対応できない規模の軍用機を製造できるし、第五世代戦闘機を二機種同時開発中だ。
成都J-20は「昇竜」の名称で、台湾にとって最大の脅威になりうる。大型双発の同機はステルス特性と長距離航続距離が特徴で長距離航空優勢戦闘機になりうる。
これまでの中国戦闘機は航続距離不足が足かせで台湾上空で使える時間が限られていた。J-20は台湾に忍び寄り台湾空軍機を狩るだろう。J-20のステルス特性が本当に効果があれば、台湾の防空レーダーでは探知がむずかしいはずだ。
J-20の搭載センサー装備には新型アクティブ電子スキャンアレイAESAレーダーがあるはずで、開発が完了していないとされるが、赤外線探知追尾IRST装備のパッシブ追尾で敵機を撃墜できるはずだ。
台湾上空に達すればJ-20は相当の火力を繰り出すはずだ。昇竜には三箇所の機内兵装庫があり、2つを短距離ミサイル用に残りを長距離ミサイルに使う。通常の航空優勢ミッションならPL-9赤外線追尾短距離ミサイル4本を搭載する。ラムジェット推進のPL-15なら射程は95マイルから125マイルになるはずだ。
J-20に対する台湾の主力戦闘機はF-16ファイティングファルコンだがこれも強力な機材だ。当初は軽量戦闘機かつ昼間専用機としてF-15イーグルを米空軍で補完する役目だったが、その後全天候多用途機に発展した。機体価格は比較的安価ながら多様なミッションをこなせるF-16は台湾に適している。
台湾空軍にF-16Aブロック20は150機あり、1992年に発注し、1997年から2001年にかけ納入されており、最古機体は25年ほどだ。ブロック20はAN/APG-66(V)3レーダーでAIM-7スパロー、AIM-120C7 AMRAAM中距離レーダー誘導ミサイルをともに誘導できる。その他レイセオンの電子対抗措置ポッド、プラット&ホイットニーF-100-PW-220ターボファンエンジンを搭載する。
2011年の新造F-1665機発注は不発に終わり、米台両国は導入済みF-16の改修に集中した。改修でセンサー、航法、装備が手直しされた。各機にAPG-83伸縮自在アジャイルビームレーダーSABRが搭載され、F-22やF-35のレーダーから流用したハードウェア、ソフトウェアが導入されている。
台湾ではF-16へのSNIPERポッド装着も検討している。これは空対地精密照準ポッドで空対空戦での探知追尾にも使える。このポッド以外に台湾はAIM-9Xサイドワインダーも最高性能のドッグファイト兵器として導入するかもしれない。
航空優勢ミッションに投入する台湾のF-16はAIM-9Xを4本、AIM-120AMRAAMを2本搭載するだろう。
そうなると一騎打ちではどちらが勝つのか。視程外戦と視界内戦を区別して考える必要がある。
視程外戦ではJ-20が一方的にF-16を撃墜するだろう。あくまでも設計内容が的を得ていた場合だが、ステルスとレーダー、長距離ミサイルの組み合わせが致命的な結果を生む。F-16のSABRがJ-20を遠距離で探知する可能性は残るが台湾機の搭載するAMRAAMミサイルがジャミングに弱いのが足かせになる。PL-15とステルス特性のあるJ-20は理論上は台湾機が昇竜の存在を知る前にF-16に交戦を開始するはずだ。
短距離戦ではJ-20が敏捷性で不利となる。単発のF-16が操縦性で勝り、AIM-9Xサイドワインダーミサイルの効果が生まれる。視界内戦では相打ちの可能性が強い。
そうなると中華民国空軍部隊はJ-20相手に苦戦しそうだ。J-20の探知は難しく台湾機に先制攻撃をしかけそうだ。中華民国空軍の戦術としては機材を台湾の山岳地帯に低空飛行させてJ-20の得意な視程外戦をさせないことだ。
J-20は台湾にとって現実の脅威である。中国空軍の量的質的拡大で航空優勢の確保が台湾に困難になっている。防御中心戦術に検討価値があり、双方が接近阻止領域拒否の姿勢を取るかもしれない。
航空自衛隊対J-20
日中間で緊張が高まる中で中国と日本の軍用機同士が遭遇する事案が増えている。人民解放軍空軍PLAAFのSu-27が東シナ海で日本機に発見され日本も沖縄からF-15をスクランブル発進させた。
接近遭遇は日常茶飯事で、今後も続く見込みだ。このため中国のJ-20が運用開始となった後の遭遇も想定される。
日本はF-15Jイーグルを供用中だ。同機は確かに優秀な戦闘機だが防衛省は本来なら今頃F-22に交代させる予定だった。だが残念ながら悪名高いオベイ修正案によりラプター輸出が禁じられ、日本はF-15改修を続けざるを得なくなった。
F-15Jの導入は1981年開始でライセンスにより三菱重工業が製造した。米空軍機とほぼ同じだが、電子対抗装置およびレーダー警報装備が異なる。ともに米政府が売却を認めなかった装備だ。当初はAIM-9サイドワインダーと準アクティブレーダー誘導AIM-7スパローを搭載していたが、その後AIM-120AMRAAMに換装している。M61ガトリング砲20ミリも搭載する。
合計223機あったF-15Jだが事故で8機を喪失した。
F-15Jの供用が長期になり、2000年代初頭に改修を行い、新型赤外線誘導ミサイルAAM-3及びAAM-5の搭載、エンジン改修、AN/APG-63(V)1機械式スキャン・パルスドップラー・レーダーを追加した。電子対抗装置の改修と機首に赤外線探知追尾IRSTセンサーも追加して性能を近代化した。ただし改修は高額な作業になり年間10機未満しか作業されていない。結果として改修ずみ機体は半分程度しかない。
成都J-20には謎が多い。中国初の第5世代戦闘機として2011年に初めて姿を現した。双発単座戦闘機で前方カナード翼がありステルス特性のある同機はF-15Jの全長をやや上回る。機体を長く広くとり内部兵装庫と燃料搭載スペースを確保している。短距離ミサイル、長距離空対空ミサイル、対地兵装を搭載する。
J-20のノーズコーンが大型なため高性能アクティブ電子スキャンアレイレーダーAESAを搭載する狙いがあるのだろう。これで遠距離で敵機を探知しレーダー誘導ミサイル攻撃ができる。後期試作型は赤外線探知追尾装備や電子光学照準装置がついているようで後者は対地攻撃用だろう。
J-20の正確な任務内容は不明だが長距離ミッション用のようだ。「昇竜」はロシアのMiG-31同様の高速かつステルス迎撃機として敵の給油機、AWACS早期警戒統制機、偵察情報収集機等の撃墜を狙うだろう。あるいは米F-111のような中距離爆撃機として沖縄や日本各地の基地攻撃を狙う機体かもしれない。
ではJ-20を長距離航空優勢戦闘機の仕様で想定しよう。F-15Jとの対決ではどちらが勝つのか。
J-20の設計思想が効果的と仮定し、レーダー断面積が小さければF-15Jといえども長距離で探知に手間取るかもしれない。レーダー性能が本当に高いならJ-20は容易に日本機を探知するだろう。これでF-15Jには視程外戦では不利になる。とくにJ-20がPL-15ミサイルを搭載している場合だ。同ミサイルのテストは2015年9月に成功しており、アクティブレーダーシーカーを搭載し、おそらくパルスロケットモーター2基もついているだろう。(ラムジェットの可能性もある)
接近距離ではF-15Jが有利となる。J-20は出力不足と言われ、F-15Jの推力重量比は優秀だ。F-15は他の追随を許さないドッグファイターであり、大推力と操縦性の差を生かして有利な位置につくことは十分可能だろう。
試作型J-20では機関銃の搭載が見られない。航空戦の専門家でも銃の必要性をめぐり意見がわかれるが、近接ドッグファイトではF-15JのM61ガトリング銃が使い勝手の良い武器となるはずだ。
中国が急速に第5世代機で競合相手に迫っているのは今後の力のバランスを崩しかねない要素として看過できない。