2016年7月24日日曜日

★★★海自イージス駆逐艦こんごう級、あたご級にSM-2搭載へ

これも目立たないニュースですが中身は重要です。例によって自衛隊の呼称護衛艦は駆逐艦としています。

Japan Secures SM-2 Missiles for Destroyers

     Kongo and Atago Destroyers To Be Outfitted



Wendell Minnick, Defense News8:12 a.m. EDT July 21, 2016


636046852971898780-SM-2-2.jpg(Photo: Raytheon)


TAIPEI, Taiwan —スタンダードミサイル-2(SM-2を日本のこんごう級およびあたご級駆逐艦6隻に246発821百万ドルで売却する案件を米国務省が承認した

  1. 海外向け軍事装備販売を取り仕切る国防安全保障協力庁(DSCA)が7月19日に公表した。主契約企業はレイセオンBAE
  2. 対象はレイセオンのRIM-66M-09 SM-2ブロックIIIBで、MK13MOD O 垂直発射装備のカニスターも含む。
  3. 「イージス戦闘システムと組み合わせるとSM-2ブロックIIIBはこれまでより高性能の面での防衛能力を実現し、東アジアと西太平洋の防空、海上交通路防衛を担う」とDSCAは声明を発表。「日本には中間レベル整備施設が二箇所あり、SM-2ブロックIIIBの保守管理を行う能力があることで新装備の導入は円滑に進むだろう」
  4. 日本はあたご級を改良したイージス駆逐艦二隻を建造中で、ブロックIIIBが最初から搭載され、別に日本製ミサイルも採用する。
  5. 日本が防空体制の強化に努めているのは北朝鮮のミサイル、核開発が続いているからで、中国も東シナ海で日本が実効支配する尖閣諸島で不穏な動きを示している。
  6. 弾道ミサイル対応では日本はSM-3ブロック1Aを導入済みで、宇宙空間でのミサイル迎撃に対応している。レイセオンによれば日本はSM-3の試射に三回連続して米海軍のミサイル試射水域(ハワイ沖)で成功している。2007年、2009年、2010年にそれぞれ海上自衛隊駆逐艦から発射され太平洋上60から100マイル地点で中距離弾道ミサイルを迎撃している。
  7. 「日本は東アジアで主要な政治力、経済力を有する国であり、西太平洋でも同様に米国の主要な民主同盟国であり域内の平和と安定を守っており、域内で緊急事態が発生すれば重要な役割を果たす同盟国であり、国際協力上も密接な関係を果たす合意形成ができている国だ」と7月19日付DSCA報道発表は述べている。「今回の売却は米外交政策や国家安全保障の目的と合致しており、1960年の相互防衛援助協定に準拠している」■

2016年7月23日土曜日

★歴史に残る機体⑦ F-15イーグル



F-15はまだしっかり現役の機体であり、あと20年近く稼働するのですが、歴史に残ることは確実なのでシリーズに加える事にしました。

The National Interest

Why America's Enemies Still Fear the F-15 Eagle 

It’s the ultimate air superiority fighter.

Capt. Matt Bruckner, an F-15 Eagle pilot, flies over Washington, DC​. Wikimedia Commons/U.S. Air Force
Capt. Matt Bruckner, an F-15 Eagle pilot, flies over Washington, DC​. Wikimedia Commons/U.S. Air Force


July 8, 2016


ほぼ三十年にわたりF-15イーグル戦闘機は空の王者とされてきた。後継機F-22ラプターが登場するまで米空軍の第一線航空優勢戦闘機はF-15だった。現時点でも近代化改装を受けたイーグルは強力な機体で、メーカーのボーイングからはさらに耐用年数を延長する提案が出ている。
  1. F-15のルーツはヴィエトナム戦にあり、当時の米空軍、海軍の主力機が北ヴィエトナム機へ芳しい戦いができなかったことに由来する。大型で強力な推進力を有する米戦闘機が、ずっと小型で推力も小さい敵に翻弄されたのだ。朝鮮戦争では13対1の撃墜被撃墜率がヴィエトナムでは1.5対1のどん底にまで下がってしまった。
  2. F-4ファントムが当時の最新鋭機だったが、空対空戦ではミサイルが主力でドッグファイトは時代遅れという前提で飛行操縦性や機関銃の必要性が痛感された。米空軍は制空任務を重視した専用機材の開発を決定し、強力なエンジン、レーダーを備え、ミサイル多数に加え機関銃を再度搭載することにした。さらにドッグファイトを勝ち抜く操縦性も重視した。
  3. 空軍がFX戦闘機の新規提案を求めたは1966年で、六社がこれに応じたが試作機は製造されていない。空軍は1969年にマクダネル・ダグラス(現ボーイング)を採択し、まず107機を発注した
  4. F-15は強力な機体になった。初期型はプラット&ホイットニーF100-PW-100アフターバーナー付きターボファン双発で通常時14,500ポンド、アフターバーナーで23,500ポンドの推力を出し、推力重量比は1以上になり、垂直上昇で音速以上の飛行速度を初めて実現した。強力な推力で高度65千フィートに122秒で達した。水平飛行ではマッハ2.5まで、巡航速度はマッハ0.9だった。
  5. 機首に搭載するAN/APG-63レーダーは当時最先端の半導体方式で「ルックダウン・シュートダウン」が可能で有効範囲は200マイルだった。これによりF-15は低空飛行中の標的をクラッターなしで捕捉することができた。また同レーダーはプログラム変更可能なシステムプロセッサーを初めて採用しソフトウェア変更で性能向上が可能となった。
  6. 当初は長距離交戦にはレーダー誘導式AIM-7スパロウ4発で、短距離には赤外線誘導方式AIM-9サイドワインダー4発で対応する構想だった。だがヴィエトナム戦で米空軍のF-4Cファントムに銃がなく、敵機撃墜の機会を何度も逸していたためF-15はM61ヴァルカン20ミリ機関砲を搭載した。
  7. F-15では長距離性能も当初から想定された。600ポンド燃料タンク三本で3,000マイル飛行でき、米大陸部からヨーロッパへ空中給油なしで飛べた。ヨーロッパ有事の際に迅速に戦力増強が可能となり、その後実際に空軍は砂漠の嵐作戦でF-15飛行隊をサウジアラビアへ派遣している。
  8. F-15試作型の初飛行は1972年で量産は1973年に始まった。その後米空軍およびイスラエル、日本、サウジアラビアなど友邦国部隊に配備された。最初の撃墜事例は1979年6月でイスラエルF-15AがシリアのMiG-21を撃ち落としている。イスラエル空軍のエースパイロットのモシェ・メルニクの功績でメルニクはその後4機をF-15AとF-15Cで撃墜し生涯撃墜記録は11機になった。
  9. メルニクの撃墜記録はF-15による合計104機の連続空対空戦勝利のはじまりとなった。その間F-15の喪失は皆無だ。イスラエル、米国、サウジアラビアによる撃墜には1979年から1982年までだけでもシリアのMiG-25フォックスバット、MiG-21、MiG-23さらに対地攻撃機がある。1991年の湾岸戦争では米・サウジの撃墜実績にはイラクのMiG-29フルクラム、ミラージュF-1およびIl-76中型輸送機がある。F-15EストライクイーグルではイラクのMi-24攻撃ヘリコプターをレーザー誘導爆弾で撃墜した事例が生まれた。
  10. 生産はその後F-15Cに代わり、新型AN/APG-70合成開口レーダー、新型F100-PW-220を搭載した。最新型はゴールデンイーグルのニックネームで、最も良好な機体状況のF-15Cを178機選び、APG-63V3 アクティブ電子スキャンアレイレーダーや共用ヘルメット搭載目標捕捉システムを採用し赤外線誘導ミサイルを発射できる。
  11. 1980年代末にF-15Eが開発され、F-111戦闘爆撃機を補完し敵防空網を突破する高速戦術攻撃機としてワルシャワ条約軍と開戦の場合に敵地深くを攻撃する想定だった。E型では機体一体型燃料タンクを搭載し、大量の爆弾を搭載し、APG-63レーダーとLANTRIN全貌監視赤外線レーザー照準ポッドを採用した。F-111の退役でF-15Eストライクイーグルは今も米空軍の戦術戦闘爆撃機の主役の座にある。
  12. 米空軍向けの最終F-15調達は2001年だが、海外向け販売でボーイングは生産ラインを維持してきた。同社は二度にわたり空軍の関心を買おうとし、まず部分ステルスのサイレントイーグルを2010年に提唱し、2016年にふたたび新型F-15をイーグル2040Cの名称で発表した。イーグル2040CではAIM-120DAMRAAMレーダー誘導ミサイルを16発搭載し当初の4倍ものミサイルとなる。タロンHATEデータリンクでF-22ラプターとのネットワーク形成が可能だ。運用構想はステルスは十分だが軽武装のF-22を敵地に飛ばし、標的情報をイーグル2040Cに送るものでイーグル2040Cは空飛ぶミサイル陣地の役を果たす。
  13. 米空軍は今も改修済みF-15Cと複座型Dを合計177機、さらにF-15Eストライクイーグル224機を運用中だ。アジア、ヨーロッパで前方配備中で、英国のレイクンハース英空軍基地と沖縄の嘉手納空軍基地が有名だ。日本が運用するF-15Jも沖縄から飛ぶが、今年6月には中国Su-30フランカー編隊と交戦一歩手前までになったと伝えられる。F-15Eはイスラム国攻撃にトルコのインチリック空軍基地から出撃している。
  14. 世界では第四世代戦闘機がまだ多数の中、老朽化しつつあるとはいえF-15は今も無敵の存在だ。F-22がイーグルの後継機種だが調達機数が足りず、F-15退役が先送りされており、今はF-22を補完する訓練が進んでいる。このため残存するC型E型が退役する2030年代はじめまで有望な後継機種がない。F-15の供用期間が半世紀にわたるのはほぼ確実で米空軍の第一線戦闘機で初の事例になる。■

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boringand the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blogJapan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.


★防衛省のMV-22を4機追加発注を確定



なるほど17機購入意向を示した中で、これで9機を確定発注したわけですか。しかしこのニュースは国内では全く報道されていませんね。技術的すぎると判断されたのでしょうか。報道機関には機体名称を正確に記述するようお願いします。MV22ではなくMV-22ですね

Japan orders additional MV-22 tiltrotors

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
22 July 2016

今回の追加発注で日本は予定導入期数の過半数を確保した。防衛省は「遠隔島しょ部が進行を受けた際の迅速対応」に同機が
不可欠としている。 Source: US Navy

日本はベル-ボーイングMV-22Bオスプレイを四機追加調達する。国防総省DoDが7月20日発表した。日本は5機を発注済み。
  1. 今回の案件は2017年度から21年度にかけての米政府複数年度調達544.7百万ドルの一部で生産ロット17から21が該当する。日本はこれでMV-22Bを9機確保した。契約では17機調達する
  2. 契約内容通告によれば海外軍事装備販売(FMS)制度を使い、総額302.9百万ドルで製造用資材の確保、機体生産、納入まで対象とする。2020年5月までに完了する。
  3. 日本はシミュレーター一式も購入する。価格は9.6百万ドルで2017年10月末までに納入される。
  4. 2015年7月に332.5百万ドルで先行発注した5機は2018年6月までに納入される。17機導入の総額は米国防安全保障協力庁DSCAによれば30億ドル。
  5. 日本のMV-22Bは編成を急ぐ「遠隔島しょ部が侵攻を受けた際に迅速対応する」遠征師団の二個連隊に新設される揚陸部隊に編入される。同機で日本の人道援助災害救難ミッションの実施能力が向上する。■


2030年時点の世界五大空軍国はどこか


上位5位に英国が入るのはF-35を予定通り導入する前提の話ですね。今のところ英国防整備は既定方針通りすすめるようですが、経済情勢により今後どうなるかわかりません。一方、日本の状況に近いのはイスラエルですが、新型機材が登場するまで苦しい運用になりそうですね。F-3でもイスラエルと共同開発になれば面白い展開になりそうですね。

The National Interest


The 5 Most Powerful Air Forces in 2030


July 21, 2016

2030年の世界で最強の空軍部隊はどこか。今と大きくかわらない。リストでは現在も上位の米国、ロシア、英国が見える。この三国は紛争シナリオに沿って準備を怠りなく、非国家勢力への対応から全面戦争まで想定している。三国は迅速に展開可能な大規模かつ近代的航空兵力の維持が安全保障上不可欠との認識を持っている。

中華人民共和国が新たにリストに入ってくる。中国が世界第二位の経済規模に似合った空軍力を整備中であるのは納得できる。だがそうだとしても同国は数々の不合理な態度を南シナ海問題などで示しており、中国の戦力整備の今後を予言しているようだ。

米空軍、海軍、海兵隊 

米国の固定翼機運用部隊は三軍体制で、米空軍、海軍、海兵隊があり、2030年でも世界最大の「空軍力」を維持しているだろう。

2030年時点で米空軍はF-22ラプター187機を運用しているはずだ。また「ゴールデンイーグル」F-15Cも178機ありレーダーと赤外線センサー能力を大幅向上している。その時点でF-35Aが1,763機と大量導入されており、F-16CとA-10に置き換わっている。給油機部隊も100機のKC-46ペガサス導入で若返っているはずだ。第二世代ステルス爆撃機のB-21の生産も始まっており、発注は100機ほどになっているだろう。

米海軍は機材をF-35CとF/A-18E/Fスーパーホーネットに統一しているだろう。MQ-25スティングレイ給油機兼ISR無人機も運用し有人戦闘機の飛行距離を伸ばしているはずだ。V-22オスプレイが陸上基地から補給品や郵便物を空母へ運んでいるだろう。海兵隊はF-35へ機種統一し、垂直離陸式のB型と空母運用のC型になっているはずだ。

中国
人民解放軍空軍(PLAAF)と人民解放軍海軍(PLAN)のそれぞれの航空部隊は一大戦力になっているはずだ。保有機数は減るが機体性能は上がる。戦闘機で中心のSu-30、J-11、J-15、J-10は「第四世代プラス」機材だ。米国等に対抗するため中国が開発中の第五世代機J-10やJ-31はなんとしても実用化しておく必要がある。

戦闘機だけでない。PLAAFは国産長距離輸送機Y-20を運行し、2030年までに世界各地へ飛べるようになる。中国は支援機の拡充をめざし、早期警戒機や空中給油機の整備を重視している。東シナ海、南シナ海で緊張が高まる中、中国はは情報収集関し偵察(ISR)機材も重点整備しており、「神雕Divine Eagle」双胴無人機もある。

ロシア
2030年のロシア空軍の姿は大幅にばらつく可能性がある。最良の場合は経済不況から脱し、原油価格等が上昇し、西側制裁が解除された場合、ロシア空軍は世界第二位の規模になっているはずだ。

ロシア空軍で最重要事業は2つありPAK-FA戦闘機とPAK-DA戦略爆撃機だ。このうちPAK-FAはT-50の呼称でも知られ、F-22ラプターに対抗する意味で必要だ。従来型機体のMiG-29やSu-27/30/34にいつまでも依存することはできない。PAK-DA戦略爆撃機はステルス、亜音速、核搭載爆撃機でTu-160ブラックジャック、Tu-22Mバックファイヤーの旧式化に伴い必要とされる。

これは全てロシア経済が回復する前提だ。だが国防予算がさらに15年間にわたり大きな増額がないままだと、制裁効果、官僚主義、汚職で2030年のロシア空軍はトップ10に残れたら幸運となってしまう。

イスラエル
現在のイスラエル空軍の主力は制空戦闘機F-15AおよびCが58機、F-15I戦闘攻撃機25機、F-16多用途戦闘機312機だ。2030年でも中東最強の空軍部隊のままだろう。

2030年までに制空任務用のF-15は機齢40年と後継機探しが深刻になっているはずだが、残念ながらF-15Cの直系の後継機はF-22ラプターの生産が2011年に終了しており見つからない。そうなるとイスラエルはF-15Cの耐用年数を延長するか、一部任務をF-35に任せる選択に迫られるだろう。これは米国で第六世代機が誕生するまでの措置だ。

イスラエルはF-35飛行隊を2021年までに二個編成する予定で、第三飛行隊は2020年代に生まれる。高性能機体といえど、機数はF-16の四分の一しかない。F-16も200機程度を稼働させているだろう。これを補完する意味で高性能無人機部隊が各種支援任務としてISRや防空、空中給油に投入されているはずだ。

英国
2030年代までに英空軍はかつてない規模の戦力になっているはずだ。ただし高性能ユーロファイター・タイフーンは160機を切る規模だ。当初は制空戦闘機の構想だったRAF向けタイフーンは今ではペイブウェイ系統のレーザー誘導爆弾投下任務を行っており、ブリムストーンミサイル運用の改装も進行中だ。タラニスUAVを原型とした戦闘無人機は2030年頃に飛行している予定で有人機とペア運用されているだろう。

旧式化したパナヴィア・トーネードGR4攻撃ジェット機は退役しており、代わりにF-35Bが138機導入されている。F-35Bは英空軍と英海軍が運用し、新型空母HMSクイーン・エリザベスとHMSプリンス・オブ・ウェールズにも配備される。

2030年には英空軍と英海軍航空隊が運用する戦闘機は300機近くと西欧で最大最強の空軍部隊となっているだろう。■

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boringand the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blogJapan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.


2016年7月22日金曜日

★新型ジャマー装備NGJの性能に期待




米空軍がEF-111以降の電子支援機を調達する予定がないまま、海軍機に依存する状態が続いており、海軍海兵隊のEA-18Gの存在は大きくなっていますが、敵レーダーを妨害するジャマーは旧態依然のままでした。そこで新型ジャマーの開発が進んでいましたが、どうやら実用化にめどがついたようです。オープンアーキテクチャーはLRSBでも謳っていますがどうやら今後の装備では合言葉になりそうですね。それだけ装備類の開発ペースが早くなっていることの裏返しでしょう。


Navy's Next-Generation Jammer Will Attack Multiple Enemy Air Defenses at Once

KRIS OSBORN
05/03/2016

米海軍の次世代ジャマーの実戦化が2021年までに実現すると、多数のレーダーを同時に妨害し将来登場する高性能防空体制にも対応できる。
  1. 米海軍は電子戦ジャミング技術をさらに進め、探知されずに敵目標の破壊が可能な強力ハイテク装備の実現を目指している。
  2. 「敵の防空システムにこちらの攻撃部隊を発見できなくするのが狙いです。防御対象は機種を問いません。敵防空網を制圧しミッションを続けさせるのが目的です。この装備で機体が生き残ることは絶対確実になりませんが、兵装を投下して帰還することはできます」とアーネスト・ウィンストン中佐(電子攻撃装備整備担当)がScout Warrior取材に答えた。
  3. 次世代ジャマーNGJは全長15フィートのポッドでEA-18Gグラウラーに搭載しレーダーを妨害する電子信号を発信する。レーダーは電磁信号を前面に送り反射から標的の位置、大きさ、形状、速度他を解析する技術だ。ただし電磁信号が干渉を受けたり、妨害つまり「ジャム」されると探知ができなくなる。新型ジャマーは敵戦闘機がミサイルを標的に「ロック」するのを妨害する機能がある。
  4. 「周波数多数を同時にジャムするのも可能で、迅速かつ効率よく行えます」(ウィンストン中佐)
  5. 新技術に高出力レーダー技術があり、アクティブ電子スキャンアレイAESAと呼ばれる。「実用化すればAESA技術応用の空母電子攻撃ジャミングポッドでDoD装備で唯一の存在になります。海軍はジャミング能力の向上、柔軟運用、戦力増が一度に手に入ります」
  6. 実戦投入は2021年までに実現する見込みで既存のALQ 99電子戦ジャマーを置き換える。
  7. ALQ 99の欠点は設計が40年前で脅威対象の進歩特にデジタル化に対応できなくなっていることだフェイズドアレイレーダーの出現や出力増処理能力が高くなり使用波形も高度化し脅威が変化中とウィンストン中佐は説明する
  8. そこで次世代ジャマーは「オープンアーキテクチャー」設計思想を採用し、ソフトウェア、ハードウェア双方で新技術を随時採用して脅威の進化に対応する。
Raytheon
  1. 例えば脅威の形式をライブラリー化あるいはデータベース化し、レーダー警戒受信機に取り入れればパイロットは敵の脅威の存在がわかる。新型機が敵に出現すればシステムをアップグレードして情報を追加できる。
  2. 「脅威ライブラリーを受信機とジャマーにも取り入れれば新型レーダーにも対処できます。新規脅威が出現すればジャミング方法も追加します。EA-18グラウラーのミッションプランシステムでプログラムできます」(ウィンストン中佐)
  3. レーダー警戒受信機は純然たる防御技術だが、NGJはジャミング能力を攻撃用途に切り替えF/A-18スーパーホーネットやF-35共用打撃戦闘機など各種攻撃機を支援できる。「地対空ミサイルの迎撃飛翔航路を変える事が可能です。敵のレーダー信号を妨害するのです」とウィンストンは説明してくれた。
  4. 特にB-2ステルス機や戦闘機の防御にNGJが大きな威力を発揮する。将来は開発中の長距離打撃爆撃機やF-35多用途ステルス戦闘機が加わる。敵レーダーを遮断、妨害、あるいは「盲目に」して友軍攻撃機が目標空域に侵入し攻撃を加え無事に帰還するのを助ける。
  5. レーダー探知を逃れる触れ込みのステルス機も無敵ではなくなりつつありNGJの意義は重要だ。
  6. ロシアのS-300ならびにS-400地対空ミサイルのような最新式装備はステルス機を長距離で探知でき、使用周波数帯も広がっている。将来は処理能力が高い装備が出現し、デジタル化とネットワーク化が進むとみられる。

Boeing
  1. 「多機能レーダー対応は単機能レーダーより難易度が高いが、次世代ジャマーの出力は大幅に上がり、対応できるはず」とウィンストン中佐は述べた。「防御側と攻撃機はずっとイタチごっこでこちらがステルス機を開発すれば、相手は対抗技術を導入します。そこでジャミング性能を引き上げる必要があります」
  2. NGJでは監視レーダー、交戦レーダー双方に対応する。後者は高周波で標的を捕捉追尾し、防空網に破壊させるのが目的で前者は敵機侵入を知らせるのが目的だ。
  3. 「標的交戦用のレーダーあるいは指揮統制レーダーの照準範囲は極めて狭く、そこちらは敵にいわばストローで空を覗く状況にし探査範囲を更に狭くさせている間に攻撃機を送りこみます」
  4. ただし中佐はNGJで敵の無線交信、アンテナあるいは別の電子信号を攻撃する能力があるのか明言を避けた。「無線周波を出すものでNGJの対応周波数帯内は全部ジャムできます」とだけ説明している。
  5. 米海軍は10億ドルでNGJの技術生産開発(EMD)のインクリメント1をレイセオンへ単独契約で交付している。
  6. 米海軍はNGJを135セットを調達しグラウラーに搭載する。ウィンストン中佐は別機種へも搭載する可能性を示した。
  7. 「電子戦では大きな一歩になります」とレイセオン・スペースアンドエアボーン・システムズの社長リック・ユースが語る。「NGJはスマートポッドで現時点で最高性能の電子攻撃技術を応用し敵脅威の進化に簡単に対応できます。高度技術で戦場での技術優位性を確立し、ミッションを成功させ無事帰還させるはずです」■
- Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com


★米空軍が低価格多用途機スコーピオンの性能評価を実施する



いよいよ米空軍も無視できなくなったのか、スコーピオンを海外案件の名目で性能評価することになりました。同機は従来の常識を破る価格のため軍用機の既存体制を破りかねないと白い目で見られていたのでは。F-35がCAS任務を本当に実施できるか疑問ですが、機体単価が何分の一のスコーピオンで任務をこなせるのであれば、F-35の意義がなくなってしまいますからね。高価格機は調達数が少なくなりますから、このような低価格機を調達するのは理にかなっています。とはいえ、ローエンドと片付けるのはまだ早いでしょう。完全自社資金開発であることも含め、今後注目の機体ですね。

Air Force to Certify Scorpion Jet, Broadening Its International Appeal

Valerie Insinna, Defense News11:22 a.m. EDT July 21, 2016
Scorpion(Photo: Textron Airland)
WASHINGTON — 米空軍が自ら調達する予定のない機体の性能テストをする初めての事例が生まれるその結果で同機の海外販売にはずみがつくと期待される
  1. 7月20日空軍は協力研究開発合意Cooperative Research and Development Agreement (CRADA) をテキストロン・エアランドと締結したと発表し同社のスコーピオンの性能評価を行う認証が交付すれば同機の海外向け直接販売の可能性が開けるあるいは空軍が同機を導入する場合の調達工程が早まる
  2. 「今回は初の事例で米空軍が調達契約をまとめていない機体の性能評価をCRADAで行うのは初めて」と米空軍の性能評価部門が声明文を発表。
  3. テキストロンがスコーピオンをロールアウトしたのは2013年で米軍と海外顧客むけに売りだそうとした。売り込み文句はISR、対ゲリラ戦、近接航空支援、国境海上監視など多様な任務を経済的に実施できるという触れ込みだった。同機は社内資で開発製造され機体価格はわずか20百万ドルで時間あたり運行費用は3千ドルだ。
  4. だがこれまで関心を示したのはひとつだけで先週のファーンボロ国際航空ショーでタレスキネティックからスコーピオンで英国の航空支援国防運用練習機Air Support to Defence Operational Training (ASDOT) へ参画を表明したのが唯一の事例だ採用となればテキストロンは機体10ないし25機を提供しキネティックとタレスが装備の統合事業者として合成練習シミュレーションセンサーを搭載する
  5. テキストロンはCREDA関連の質問は米空軍へするよう求めているが声明文を発表している。
  6. 「テキストロン・エアランドは米空軍が初のDoD契約非対象機材の航空機性能評価を実施する大きな一歩が実現することを嬉しく思います」
  7. 空軍の評価項目には機体の安全性も含まれる。今回空軍はDoD非採用機体(NDMA)室を創設し、ペンタゴンが採用していない機材でも性能評価をし貴重な情報を得ることができるようにした。NDMAは4月にライトパターソン基地(オハイオ)に開設済みだ。■


2016年7月21日木曜日

トルコクーデター事件続報、事件後の空軍は粛清対象か


本当に今回のクーデターでは大統領は危機一髪だっととよくわかります。機転のきいた行動を取れたトルコ国民はすばらしいですね。それだけ統制が取れていないということなのかもしれませんが。空軍はこれでは粛清の嵐で当面戦力が低下したままでしょうね。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

A Turkish F-4. Photo via Wikipedia

Pilots Flying Old F-4 Fighters Were the Turkish President’s Most Loyal Aerial Defenders

But the aging planes couldn’t match the rebels’ F-16s

by DAVID AXE
7月15日夜、トルコ軍一部がエルドアン大統領に反旗を翻し蜂起し、あと一歩で大統領を殺害あるいは身柄拘束するところだった。
  1. 大統領に忠実な軍部隊は少数にとどまり、その一つがエスキシェヒルEskisehir第一主力ジェット戦闘機基地で、F-4Eファントム2020戦闘機がエルドアンの護衛に発進したのはクーデターが成功しそうと思われた暗い時間帯のことだった。.
  2. だが老朽化した戦闘機隊は反乱軍指揮下のF-16の敵ではなかった。
  3. クーデターの先棒を担いだのは空軍だった。数ヶ月前から計画していたのは明らかで反乱軍は国外追放中のモスレム宗教家フェトゥラ・ギュレンに感化されたといわれ、F-16を4機、KC-135給油機の4機、UH-60輸送ヘリコプター数機、AH-1攻撃ヘリ一機、AS532救難ヘリコプター2機、C-160とC-130輸送機6機、さらに新型A400輸送機の2機を確保していた。
  4. 7月15日午後10時、F-16の二機編隊が第四主力ジェット基地のあるアンカラ北方アキンチ Akinciを離陸し、反乱軍の航空管制官の指示でアンカラ上空を低空飛行しヘリコプターと合流すると政府官庁、警察施設、情報機関に銃撃を加え、報道では親大統領派数十名が死亡している。
A Turkish F-16. Photo via Wikipedia
  1. エルドアン大統領は地中海の保養地で休暇中だった。クーデター発生の内通を受け、ガルフストリームVIP仕様機でイスタンブールへ向かった。だが反乱軍が空港を制圧しているのを知る。ガルフストリームは空港周囲を旋回飛行すると、反乱軍F-16が向かってきて、大統領機を撃墜する動きを示す。
  2. あるいは反乱軍首謀者は大統領の殺害ではなく身柄を拘束して革命法廷に立たせるつもりだったのかもしれないクーデター司令部から大統領機をアンカラのアキンチ基地に着陸させろとの命令が出ていた....エルドアンを生け捕りにするねらいがあった」と中東の軍事航空に詳しいババク・タグヴァイーが War Is Boring に解説している
  3. ビナリ・ユルドゥルム首相が空軍に大統領警護を求めたといわれる。だが空軍の主要基地は大部分が求めに応じていない。第三主力ジェット基地は南部のコニアにあり、F-16を発進させ大統領を「エスコート」することに合意したものの、反乱軍機の撃墜は拒否した。
  4. エルドアンの側につくのは第一主力ジェット基地だけだった。だがタグヴァイーによれば同基地配備の機材は改修を受けたと言ってもヴィエトナム戦時代のF-4が50機ほどあるが、新型空対空ミサイルがなく、反乱軍機撃墜は不可能だったという。
  5. 一方、エルドアン大統領機のパイロットはトランスポンダー信号を切り替えターキッシュエアラインズ定期便に見せかけ、機体外部の照明を切ったことで大統領の命を救った。
  6. 大統領派部隊がイスタンブール空港を奪取するとガルフストリームは安全に着陸した。その後CNNを通じて大統領は乗機の防御策は明言しなかったが、反乱軍F-16が低空で超音速飛行していたと述べている。
  7. エルドアンは支持者に蜂起を呼びかけた。市民数千名が街頭へ出て反乱軍を圧倒した。第一主力ジェット基地のF-4編隊がやっと飛来した。反乱軍のF-16を撃墜する代わりにアキンチ基地の滑走路を爆撃し、反乱軍の主力航空勢力を足止めにした。
  8. クーデーターは7月16日に終結した。死亡300名近く、うち100名が反乱勢力だった。生き延びたエルドアン大統領は軍にクーデター支持の疑いのある7,000名の逮捕を命じうち数百名が高官だった。
  9. タグヴァイーのF-4についての見解には異論があり、軍事方面を専門とするトルコ記者アルダ・メヴルトグルはWar Is Boringに以下述べている。「F-4関連の話は真実ではありません。軍の大半は共和国体制に忠実で、声rがクーデター失敗の原因です」
  10. もしタグヴァイーが正しければ、クーデター後の粛清で精鋭部隊と基地司令部が排除され、旧型F-4と大統領に忠実度を示した乗員が空軍の中核となるだろう、一時的にせよ。■

イラク、シリア、アフガニスタン航空作戦の最新データから見えてくる戦略上の失敗とは


これもオバマ政権の失敗では。イスラム国をもっと早く叩くべきであったのに小出しに航空兵力を投入して貴重な時間を空費したこと。米地上軍の投入をためらい、イラク他の地元兵力武装勢力を主役に立てた分、訓練や整備に時間がかかっています。砂漠や高地で酷使された各種機材の更新が今後たくさん必要になりますがF-35やLRSB等の大型案件に予算が吸い込まれ、結果として米空軍は戦力減少に向かうでしょう。イスラム国ははやく消滅させたほうがいいのは自明の理なのでせっかく勢いのついてきた作戦を今後も継続してもらいたいですね。日本も貢献できることがあるはずですね。

 Airstrikes Up In Iraq & Syria, Afghanistan Eats ISR: CENTCOM

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 20, 2016 at 4:00 AM


月別兵器投下量(緑シリア-イラク、赤アフガニスタン)
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data
  1. アメリカは全く違う戦争を2つ同時に実施している。国防総省発表の最新データからイスラム国向け航空作戦はほぼ四ヶ月の小康状態からふたたび激しくなっていることがわかる。一方でアフガニスタンでの空爆はイラク、シリアと比べればごく小規模であるが、アフガニスタンの荒れた広い国土に驚くべき量の偵察活動が展開されている。
  2. 米中央軍CENTCOMの最新データを分析し、双方の戦闘状況を把握した。CENTCOMが昨日公表した報告書で月ごとに爆弾が何発投下されミサイルの発射本数もわかる。6月が極めて活発で記録に並ぶ量が投下されている。
  3. 圧倒的多数の97.1%がダーイシュ(自称イスラム国のアラブ語頭文字による蔑称)向けで、6月に米軍はイラク、シリアで合計3,167発を投下しているのに対しアフガニスタンでは62発だった。

近接航空支援ソーティー数
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data

  1. アフガニスタンでの交戦規則が厳格になったことに注意が必要だ。国境なき医師団の病院への誤爆で42名死亡した事件が引き金になったが現在は緩和されており、タリバンへの空爆は増える傾向にある。だが基本構造には変化はない。米軍はイラク-シリアを重視し、ダーイシュを叩き、イラク軍の前進を助けているが、アフガニスタンでは基本的に軍事顧問団の役割に徹している。
  2. 空爆の代わりに米軍はアフガン政府軍に情報収集監視偵察(ISR)能力を大量に提供している。データを見るとアフガニスタンでのISRフライト回数はイラク、シリアの二倍程度になっている。言い換えれば、イラク、シリアでは近接航空支援任務2回につき一回のISRフライトがある。ISRを実施理由では空爆目標に関する情報が一番多い。アフガニスタンではおそらく同国地上部隊の要望が中心なのだろう。
  3. 数字から一つわかることがある。空爆回数が減ってもISRの要請は減っていない。偵察は絶えず必要であり、無人機部隊がぎりぎりまで酷使されている。
ISRソーティー回数、月別
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data
  1. 輸送機も酷使されている。二方面の航空作戦で今年前半だけで空輸フライトが4,500回を数え、各種補給品を米軍、連合軍向けに運んでいる。
  2. 次に空中給油がある。給油機は高経年化が目立ち後継機種の確保に空軍は躍起だ。基地が近くに確保できず米軍戦闘機は航続距離が短いため空中給油一回か2回がないと目標まで到達できない。
  3. 空中給油機にアフガニスタンが悪評なのは国土が広く拡散しているためだ。インド洋上の空母から発艦する攻撃戦闘機は一回のソーティーで何度も空中給油する必要がある。だがアフガニスタンでの空中給油機のソーティーは平均一日あたり13回とイラク、シリアの34回と比べ半分以下だ。それだけシリア、イラク上空にはお腹をすかした戦闘機が多く飛んでいるのだ。
  4. 大まか数字ではこれ以外の詳細が見えてこない。たとえばAWACS空中指揮命令機は少数だが重要な機材だ。またデータは最終的には戦略の兆候を示し、グラフの折れ線は状況を知るためのものでありそれ自体が目的ではない。そこでアメリカの空軍力権威に意見を求めてみた。
一日あたりのソーティー数
Sydney J. Freedberg Jr. graphicData courtesy David Deptula, Mitchell Institute
  1. 「CENTCOMがイスラム国を標的に作戦レベルをあげているのはよいことだ」とデイヴィッド・デプチュラ退役空軍中将、元F-15パイロットは語る。「(だが)シリアとイラクで層別すると、シリア内のイスラム国向け空爆は活発さを欠いている」という。
  2. デプチュラの数えたところダーイシュ相手の空爆は平均一日15ソーティーで72発を投下しており、うちイラクが9ソーティ、シリアはわずか6ソーティーだ。砂漠の嵐作戦の空爆でデプチュラも立案に加わったが、一日で1,241ソーティーで5,294発を投下している。2003年のイラク侵攻では633ソーティーで973発だったのはスマート爆弾が広く投入されたのが大きい。セルビアの1999年連合軍作戦でさえ298ソーティーで359発投下していた。

一日あたり投下数
Sydney J. Freedberg Jr. graphic
Data courtesy David Deptula, Mitchell Institute
  1. その一日あたり15ソーティーでデプチュラが指摘するのはイラク9に対してシリア6というバランスの悪さだ。イスラム国の中枢はシリアだ。ビル・ミッチェルやジウリオ・ドゥウエが説いた空軍力理論ではまず敵の力の源泉を叩くべきで、戦線付近を空爆で苦しめるのはその後でよい。
  2. 「最新の数字から現在の陸軍主導の(地上戦中心)戦略ではイラクの主権回復をまず達成してからシリアのイスラム国対応にとりかかろうとしているが、これではあべこべだ」とデプチュラは指摘する。デプチュラはワシントンDCでミッチェル空軍力研究所所長を務めている。「この地方での米安全保障の中核的利益はイスラム国に聖域を認めないことでテロ輸出を止めることのはず。イラク軍の代理を務めることではない」
  3. 進展がゆっくりとしかも小出しの投入によりイスラム国に時間の余裕を与えてしまい西欧への影響力拡大を許したため「オーランド、パリ、ブリュッセル、ニース、それからこれからもっと多くの場所でテロ襲撃が起こる」とデプチュラは述べた。
  4. 「二年前に米主導の連合軍は総合的な戦略で迅速かつ効果的にイスラム国の実行能力を解体する方向でまとめておくえきだった」とデプチュラはいうが、今からでも方向転換はできるはずだ。「シリアのイスラム国相手の空爆は一日六回という小規模から適度な規模に引き上げるべきで、イスラム国の構成要素をそのまま粉砕する作戦を迅速に行う戦略に焦点を合わすべきだ」■