2025年5月12日月曜日

水面上を低空で輸送するシーグライダー登場(The War Zone)

 

ージェント

この記事は民間航空を扱うターミナル1、軍用航空のターミナル2共通記事です


太平洋での将来の戦いを見据える米海兵隊は兵員・物資を迅速かつ効率的に移動させる手段を求めている


兵隊は、太平洋での将来の戦いに備え、兵員や貨物を迅速かつ静かに輸送し、その他の重要な機能を提供するヴァイスロイ・シーグライダーViceroy Seagliderの投入可能性を調査している。 ロードアイランド州に本社を置くリージェントREGENT*が開発中の同機は、12個の電気モーターを搭載し、バッテリー動力だ。乗客12名または3,500ポンドの貨物を運ぶ設計で、海面を素早く滑走しながら、敵センサーを回避できる。 ハイドロフォイル(水中翼)で浮遊し、水面では地上効果で効率的に航行する。 滑走路を必要としないため、インフラの少ない遠隔地へのアクセスも可能だ。


*同社には日本航空、ヤマト運輸、MOL Switch、エイチ・アイ・エスが戦略的インベスターとして名を連ねています


 ワシントンD.C.で開催された "Modern Day Marine "シンポジウム会場で、海兵隊戦闘研究所(MCWL)のプロジェクト・マネージャー、マシュー・コッチは、「激戦地でのロジスティクス用に検討している」と語った。同機は偵察、潜入、脱出、特殊作戦任務、死傷者・医療搬送、 「UH-1ヘリコプターに代わる」任務をこなすことも想定されていおり、それ以外にも発展する可能性がある」と付け加えた。

 コッチの所属する組織は、海兵隊の戦闘開発統合(CD&I)司令部の一部門で、将来の要件に役立つ能力について上層部に助言する任務を負っている。


 

リージェントのヴァイスロイ・シーグライダーのレンダリング。 リージェント・ジュリアン・ウォルターズ

 ヴァイスロイには利点が数点ある、と彼は説明する。航空会社やフェリー会社が早くも高い関心を寄せているデュアルユース技術であることが鍵だと、コッチは本誌に指摘した。リージェントの政府関係・防衛担当副社長トム・ハントリーは、ヴァイスロイが2027年に商業運航を開始すると語った。

 「商業技術を活用することで、手頃な価格のものを手に入れることができる」とコッチは述べ、産業界に能力のニーズを提示し、解決策を待ってきた長いプロセスを回避できると付け加えた。

 「軍事用途のために軍や商業分野で現在利用可能なものを活用し、必要に応じて変更します。「今のところ500万ドルから700万ドルの機体価格帯を考えています。同機は、高速で低シグネチャの輸送を、費用対効果の高い価格帯で提供できるはずです」。

 リージェントのミッション・アシュアランス・マネージャー、クリスティン・ペダーセンは、ハイドロフォイリング翼搭載型(WIG)のヴァイスロイが「現在、海上試験中です」と語った。

試験中のリージェント・ヴァイスロイ。 

水上試験中のリージェント・ヴァイスロイ。

水面に下ろされるヴァイスロイ。 リージェント

 WIGは、翼が生み出す揚力の恩恵を受けながら、船舶に見られる抗力を受けないため、より高速で効率的な移動が可能になる。

「当社のシーグライダーは、フロート、フォイル、フライという3つの段階で輸送します。 「海上試験もそれを反映した段階的なものとなります」とペダーセンは語った。

 ヴァイスロイは、初夏に水中翼船の機能テストを受け、夏の終わりまでに飛行テストを受ける予定だと彼女は付け加えた。

 本誌が以前指摘したように、WIGのコンセプトは以前からあるが、大規模な応用を狙った以前の試みは、軍事用途では限定的な成功しか生んでいない。

 以前の記事より 「ロシア語ではエクラノプランと呼ばれ、現在ではWIG設計の総称として広く使われている。 近年、ロシアで軍用エクラノプランを復活させようとする努力が行われているが、今のところ運用可能なタイプは生まれていない」。

下は、ソ連が完成させた唯一の巡航ミサイル搭載型プロジェクト903ルン級エクラノプレーンが、2020年にカスピ海で展示される計画の一環として移動される様子を撮影したものだ。

 高速での海上滑走飛行には、地表のさまざまな物体に衝突するリスクや、高い波が押し寄せるリスクなどの課題がある。 コッチは、ヴァイスロイはそうした懸念のいくつかに対処していると語った。「ハイドロフォイルは、シーグライダーを実現する重要な技術です。 「従来型の水上機や翼つきの船は、海面状態への対応で限界がありました。「水中翼船は、波から5フィート(約15メートル)上にいることが前提です。「シーグライダーは多数のセンサーシステムを使用し、オペレーターにソリューションの統合を提供し、状況認識を高め、危険識別を提供します」と、リージェントのスポークスマン、カースティン・サリヤーは本誌に語った。「三重冗長自動車両制御システムで、高速/低速制御入力をナビゲートすることを可能にします」。

 ハイドロフォイルが展開されると、ヴァイスロイは12ノットで浮遊した状態から45ノットまでスピードアップし、地面効果モードで離陸するように設計されている、とコッチは説明した。空中に浮かぶと、最高速度は180ノットに達する。シー・ステイト3プラスで離水し、シー・ステイト5で着水が可能、とペデルセンは付け加えた。この2つのシー・ステートは、それぞれ風速7~10ノット、17~21ノット、波の高さ2~3フィート、5~8フィートだ。

 ヴァイスロイのデザインにはもうひとつ利点がある、とコッチは言う。「非常に興味深い特徴的な特性」だ、と彼は言う。船舶ではないため、航跡が非常に少なく、敵センサーから見えにくくなる。電気モーターは熱シグネチャーが少ない。さらに、ヴァイスロイは水面から約30フィート上空を飛行するように設計のため、レーダー探知範囲より下でソナー探知範囲の上空を飛行することができるという。

 現在の構成では、ヴァイスロイの航続距離は約180マイルだが、将来的には、ハイブリッド電気パワープラントを搭載することで、1,000マイル近い航続が可能になる。 同機は、C-17含む大型貨物機で輸送できる設計で、あらゆる電力源から再充電できるため、燃料に依存しない運用が実現する。 これは、燃料配給が逼迫する太平洋地域では大きな利点となるだろう。

 米国沿岸警備隊はプロトタイプの航行安全リスクアセスメントを承認しており、リージェントがナラガンセット湾とロードアイランド海峡で人間を乗せてテストすることが可能となった、と同社は述べている。

 シーグライダーのコンセプトは、敵の兵器システムに対する脆弱性を抑えつつ、広大な水域を迅速に兵員や貨物を輸送する課題を解決するために、米軍が検討しているいくつかのWIG手段のひとつである。

 今週初めに述べたように、国防高等研究計画局(DARPA)はリバティリフターXプレーンプログラムを実施している。その中心的な目標は、WIG効果の原理を採用した空飛ぶ輸送機の設計を生み出すことである。 

リバティリフター(オーロラ・フライト・サイエンシズ)

 海兵隊はこのコンセプトに低コストで賭けている。3月、リージェントは1000万ドルの契約を獲得し、「実物大プロトタイプで複数の軍事デモンストレーションを実施し、将来の要件に役立てる」とコッチは語った。これは2023年に締結ずみのヴァイスロイの技術的実現可能性を実証する475万ドルの契約に続くものだ。

 同機が海兵隊の武器庫に入るには、まだ長い道のりがある。 しかし、MCWLがこのコンセプトに時間と資金を投じたという事実は、このコンセプトへの関心度を示している。■


Seaglider Aims To Deliver Small Groups Of Marines Low Over The Waves

Eyeing a future fight in the Pacific, the USMC is seeking craft that can swiftly and efficiently move small loads of troops and materiel to austere locales.

Howard Altman

Published May 3, 2025 1:52 PM EDT

https://www.twz.com/sea/seaglider-aims-to-deliver-small-groups-of-marines-low-over-the-waves

ハワード・アルトマン

シニア・スタッフ・ライター

ハワードはThe War Zoneのシニア・スタッフ・ライターで、Military Timesの元シニア・マネージング・エディター。 それ以前はTampa Bay Timesのシニアライターとして軍事問題を担当。 Yahoo News、RealClearDefense、Air Force Timesなど様々な出版物に寄稿。


紅海での戦訓がミサイル防衛への投資と技術革新に拍車をかける(Breaking Defense)


USS Carney Engages Houthi Missiles and UAVs

アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSカーニー(DDG 64)は10月19日、紅海でフーシのミサイルと無人航空機双方を撃破した。カーニーは中東地域の海上安全保障と安定を確保するため、米第5艦隊作戦地域に配備されている。 (米海軍撮影:アーロン・ラウ2等通信兵)


フーシ派対応で紅海で大量のミサイル発射が行われたが、ミサイル用ロケットモーターの需要は逼迫しており、国際協力の強化を含め生産の拡大が図られている


海軍は過去18カ月間にわたる紅海での戦闘数百回で、スタンダード・ミサイル3(SM-3)の初の戦闘使用を含め、ミサイル220発以上を発射した。これらのミサイルを補充し、米国とその同盟国ですでに増加した需要を満たすことは、サプライヤーと拡張サプライチェーンにとって並外れた挑戦を意味する。

 レイセオンのバーバラ・ボルゴノビ担当社長は、海軍の要求を満たすために、ロケットモーターやレーダーなどの重要なシステムを供給するためのインフラと能力をどのように構築しているのかについて語った。


バーバラ・ボルゴノビは、RTX社傘下のレイセオンで海軍担当社長。


本誌 紅海やインド太平洋、その他地域で海軍が直面している重要な課題は何ですか?


ボルゴノビ:過去30年間の総ミサイル発射数を過去18カ月で上回った海軍にとって、今は前例のない時代です。それと並行して、海軍は中国との将来の競争に備え、インド太平洋へ関心を高めています。レイセオンにとって幸運なのは、顧客との強い信頼関係があることです。 海軍と同様に、当社も学んでいます。

 海軍に能力を提供することが第一ですが、レイセオンの役割は、単に識別能力を開発するだけでなく、それを生産し、必要なときに米海軍や同盟国に提供できるようにすることです。

 顧客の使命を理解し、顧客と親密になることで、ノーススターが何であるか、私たちが何を生産するよう信頼されているかを知り、当社によるデリバリー、工場、サプライヤーを通じてそれを実現できるようにすることに他なりません。


あなたはこの役職に就く前、企業戦略を率いていました。海軍の要求に合致した製品納入のための戦略には、どのような要素がありますか?


 レイセオン社内では、顧客のために製品の大量生産を確保するという大局的な戦略を取り、それを工場内の詳細な計画に組み込んでいます。

社内ではいくつかの分野で取り組んでいます。RTXでは、CORE(Customer Oriented Results and Excellence)と呼ばれる、継続的な改善と効率化を推進するオペレーティング・システムを導入しました。 COREによって、当社のチームは共通の方法論と言語を使って協働することができます。 進捗状況を把握するため、デジタルCOREコントロール・ルームが設置され、チームメンバーがリアルタイムでプログラム・データにアクセスできるようになっています。また、このプロセスではサプライヤーも招聘しています。

 また、生産能力拡大のために工場にも投資しています。この拡張は、どれだけの製造能力を必要としているかという顧客の優先順位に沿ったものであり、当社にとって特別に重要なものです。 これを受けて、当社はアラバマ州ハンツビルにあるレッドストーン・レイセオン・ミサイル統合施設に1億1,500万ドルを投資し、スタンダードミサイル3およびスタンダードミサイル6の生産能力を増強するとともに、さらなる防衛プログラムに対応する予定です。 さらに、スタンダードミサイルのテスト自動化にも約5000万ドルを投資しています。

 また、海軍用システムや他のレイセオン製品に使用される高度な電子機器を製造するテキサス州のマッキニー工場にも4億5,000万ドル以上を投資しました。

 これらの投資は、工場の生産規模を拡大し、生産量を確実に増加させるためのものです。

 最大の課題のひとつに、すべて自社で製造するのではなく、サプライ・ベースに強く依存していることがあります。そのため、主要なフランチャイズ・プログラムの需要シグナルを受け、サプライヤーが増産をサポートできるよう投資を行っています。

 パンデミック後は、原材料へのアクセス、労働力不足、労働力プロファイルの変化、インフレコストなど、さまざまな形でサプライチェーンにおけるリスクを認識しました。 広範に見れば、安定化している部分もあります。 マイクロエレクトロニクスはその一例で、改善が見られますが、そのためには多大な先行投資が必要でした。

 レイセオンでは特に供給基盤のリスクを注視しており、原材料であれ、製品に使用するビルドアップ部品であれ、そうしたリスクを評価し、顧客が必要とする材料に投資することで、私たちが直面している可用性と調達の課題を軽減しています。


Gravely Conducts Strikes in the Red Sea

2024年1月12日、紅海でイランに支援されたフーシの悪質な行動が増加したため、トマホーク陸上攻撃ミサイルを発射する誘導ミサイル駆逐艦USSグレイブリー(DDG107)。 USSドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群の一員として、中東の海上安全保障と安定を支援するため、米第5艦隊作戦地域に配備されている。 (米海軍撮影:ジョナサン・ワード1等通信兵)


ロケットモーターの需要は特に逼迫しています。 その対策は?


ロケットモーターの生産は、業界全体で厳しい状況にあります。スタンダード・ミサイル・ファミリーのサプライヤーはエアロジェット社です。当社はエアロジェットと手を携えて、スタンダード・ミサイル・ファミリーをサポートするため必要なロケット・モーターの生産能力と生産量を近いうちに確実に増やせるよう取り組んでいます。当社は、エアロジェットによる生産量の改善に勇気づけられており、共に改善を続けています。

 当社として何をすべきかを決定するとき、常に最終顧客のことを考えています。それは、生産を加速する方法であれ、加速するために工程に変更を加える方法であれ、そして納品を顧客の手に届ける方法であれ、同じです。

 先ほどの戦略についての質問に戻りますが、当社は需要の増加に対応するため、追加ソースの開発に資金を提供し、支援してきました。

 Nammo社やAvio社では、ロケットモーターの生産を支援するために米国での製造拠点の開発を進めています。


現在海上試験中のSPY-6レーダーや、2024年のSM-3およびSM-6ミサイルの初戦闘発射など、米海軍の主要プログラムの最新動向は?


昨年、SPY-6レーダーを搭載した2隻の艦船が就役しました:USSジャック・H・ルーカスはアーレイ・バーク級初のフライトIII駆逐艦、USSリチャード・M・マクール・ジュニアは水陸両用揚陸艦で、SPY-6の(V)2バリアントを導入しました。

 2025年には、さらに3隻にSPY-6レーダーが搭載される予定です。スタンダード・ミサイルの戦闘での使用について触れられましたが、テレビをつけるだけで、そのミサイルの性能をほぼ直接見ることができます。弾道ミサイルを迎撃するスタンダード・ミサイルの幅広い能力のパフォーマンスや、紅海で起こっていることを見るのは、とてつもなく素晴らしいことです。 私たちは、この分野で海軍のニーズをサポートし続けることに興奮しています。


生産目標や納期を確実に達成するために、議会や国防総省に何を求めますか? 成功」の定義は?


国防総省は最終的に、より多くのミサイル、レーダー、あらゆるものを必要としています。 しかし、具体的な需要シグナルを理解し、国防総省が長期的にどのようにシステム調達を計画しているかを理解することがますます重要になっています。

 当社にとっての成功とは、軍隊が家族のもとに帰れるようにすることです。 当社の顧客は世界で最も過酷で危険な仕事をしており、ますます危険な世界で戦い、勝利し、自らを守るために必要なツールを提供することが当社の義務です。 それが私にとって成功の定義です。■


Lessons from Red Sea action spurring investment and innovation in missile defense

The demand for rocket motors for missiles is acute, with steps being taken to expand domestic production that includes more international cooperation.

By   Breaking Defense

on April 04, 2025 at 8:31 AM

presented by


https://breakingdefense.com/2025/04/lessons-from-red-sea-action-spurring-investment-and-innovation-in-missile-defense/



海上自衛隊・MCAS岩国フレンドシップデーにAIM-174Bが登場(The Aviationist) — SM-6を転用した新型ミサイルで米軍にも長距離AAMが利用可能になります

2025年5月4日、MCAS岩国での海上自衛隊・海兵隊岩国航空基地フレンドシップデーで、第5空母航空団(CVW)ストライクファイター中隊(VFA)102のF/A-18Fスーパーホーネットを5300格納庫内で見学する来場者たち。 (米海兵隊撮影:ライラン・アドコック伍長)


距離空対空ミサイルAIM-174Bが海上自衛隊・海兵隊岩国フレンドシップデーで初めて公の場に姿を現した。

 MCAS岩国(日本)は2025年5月4日、海上自衛隊-海兵隊岩国航空基地フレンドシップデーを開催した。フレンドシップデーは、ホスト地域との関係を強化し、日米間の相互支援を強調する文化交流を提供するため毎年開催されている。その際、第5空母航空団(CVW)ストライクファイター中隊(VFA)102所属の米海軍F/A-18Fスーパーホーネットの翼下に、2発のAIM-174B長距離空対空ミサイル(AAM)が登場した。

 長距離空対空ミサイルAIM-174Bは、海上自衛隊・海上保安庁岩国フレンドシップデーで実戦配備されて以来、おそらく初めて公の場に姿を現した。

VFA-147のF-35CライトニングIIとともに5300格納庫で展示された。これは、AIM-174Bが2024年半ばに米海軍に配備されて以来、公開イベントに登場する初めての機会かもしれない。 スーパーホーネットは、センターラインの外部燃料タンクに加え、内側パイロンに不活性型のCATM-174Bの2種類の武器のみを搭載していた。


2025年5月4日、MCAS岩国での海上自衛隊・海兵隊岩国航空基地フレンドシップデーで、第5空母航空団(CVW)ストライクファイター中隊(VFA)102所属の米海軍F/A-18Fスーパーホーネット機と、第5空母航空団(CVW)VFA-147所属の米海軍F-35CライトニングII機と、格納庫5300内でポーズをとる米海軍の飛行士たち。 (米海兵隊撮影:ライラン・アドコック伍長)


AIM-174は、リムパック2024で米海軍機に初めて搭載され、CVW-2のVFA-192「ゴールデン・ドラゴンズ」所属のF/A-18Eスーパーホーネットに搭載されていた。新たな写真は、USSジョージ・ワシントン(CVN 73)に配属されている唯一の常時配備航空団であるCVW-5への配備を確認するものである。

 この長距離AAMは、太平洋戦域での戦闘を想定したものと考えられており、中国の反アクセス能力による制限を克服することができる。このような兵器は、長距離防空能力の保護下で働くAEW&CやISR機のような重要資産に到達することを可能にする。

AIM-174Bとは

 AIM-174Bミサイルはスタンダード・ミサイル6(SM-6)を空対空用に再利用したものである。もともとRIM-174標準拡張射程アクティブミサイル(ERAM)として設計されたSM-6は、米海軍の主要な長距離対空・対ミサイル防衛ソリューションとして、海軍艦艇のイージス戦闘システムと統合されている。

 SM-6ERAMは、海軍の長距離防空戦略における重要な資産だ。RIM-156A SM-2ERブロックIVの機体から派生し、AIM-120 AMRAAMのアクティブ・レーダー・シーカーを装備したSM-6は、マッハ3.5に達する能力があり、艦載型では200海里の射程距離を持つ。

 艦載型だったSM-6は2018年に、また2021年に他のVX-31スーパーホーネットで空中発射型でのテストが行われている。

 2024年4月には、AIM-174を搭載したF/A-18が目撃され、2024年7月2日には、VFA-192「ゴールデン・ドラゴンズ」所属のF/A-18Eスーパーホーネットが、ハワイの真珠湾ヒッカム統合基地で、AIM-174Bミサイル2発を搭載してタキシングする姿が撮影された。9月初めには、VX-9のスーパーホーネットが4発のAIM-174を内側と中央のハードポイントに搭載し、AIM-120も搭載している画像が公開された。 さらに、燃料タンクに統合されたASG-34A IRSTはスーパーホーネットのレーダーを補完し、電子戦やレーダー不使用の状況下で高度な追跡能力を提供した。

 空中発射されるAIM-174Bの最大射程距離の詳細は不明だが、高度と速度で発射された場合、地上発射バージョンを上回る可能性が高く、米国の在庫の中で最も射程距離の長い空対空兵器のひとつに位置づけられ、AIM-54フェニックス退役で空いた穴を埋める。AIM-54は、米海軍のF-14トムキャットが使用していた長距離空対空ミサイルで、2004年にF-14とともに退役した。100海里超という驚異的な射程距離と多目標交戦能力で知られたAIM-54は、長距離交戦能力に大きな空白を残していた。 

 AIM-174BがIOC(初期運用能力)で使用可能になることで、米海軍の長距離交戦の範囲が広がる。公開されたのは不活性弾と訓練バージョンだけだが、実弾ミサイルはすでに艦隊で使用可能になっている可能性が高い。

 以前の記事で説明したようにAIM-174Bの就役により、米海軍は、MBDAメテオ、ロシアのR-37M、中国のPL-15やPL-21など、超長距離の目視外空対空ミサイル(BVRAAM)を配備できる数多くの航空兵器の仲間入りをする。実際、AIM-174Bによって、米海軍スーパーホーネットは、現在AIM-120AMRAAMで可能な距離よりはるかに長い距離でターゲットと交戦可能となる。AIM-174BはE-2D、F-35、AEGISと統合され、海軍統合火器管制-対空(NIFC-CA)システムの中で、海軍はベースラインSM-6で達成されたものと同等(それ以上ではないにせよ)の距離で空中目標を迎撃する能力を獲得する。

 射程距離ではAIM-54フェニックスに直接代わるものはなかったが、米軍は戦闘機の能力を強化するために先進的な空対空ミサイルを開発してきた。AIM-260統合先進戦術ミサイル(JATM)は、AIM-120 AMRAAMに取って代わることを意図した開発の一つだ。 

 AIM-260は、AIM-54フェニックスの直接的な代替品ではないものの、AIM-120に比べ射程距離と性能を向上させることを目指している。■


AIM-174B Makes Public Appearance at JMSDF-MCAS Iwakuni Friendship Day

Published on: May 10, 2025 at 7:36 PM

Stefano D'Urso

https://theaviationist.com/2025/05/10/aim-174b-public-appearance-mcas-iwakuni/


ステファノ・ドゥルソ

Stefano D'Ursoはイタリアのレッチェを拠点とするフリーランスのジャーナリストであり、TheAviationistへの寄稿者でもある。 産業工学を専攻し、航空宇宙工学の修士号取得を目指している。 電子戦、滞空弾、OSINT技術を軍事作戦や現在の紛争に応用することが専門分野。



2025年5月11日日曜日

AC-130Jゴーストライダーガンシップからの巡航ミサイル発射のテストに成功(The Aviationist)

 Leidos Black Arrow Tested from AC-130J

2024年11月、AC-130Jゴーストライダーの貨物ランプから転がり落ちるブラックアロー小型巡航ミサイルを示すスクリーンショット。 (すべての画像、クレジット:Leidos)


ブラックアロー小型巡航ミサイルは長期間飛行し、試験目標をすべて達成した


イドスLeidosは2024年11月にAC-130Jゴーストライダー・ガンシップから小型巡航ミサイル(SCM)通称ブラックアローの誘導飛行試験に成功していたことを明らかにした。「誘導飛行試験1」は、「航空機の互換性、システム性能、ウェイポイント・アップリンク、誘導精度、海軍水上戦センター戦闘管理システム(BMS)との統合」を検証したと同社は述べている。


キルチェーンを短縮した手頃な価格のモジュール式質量

 このシステムは、2023年12月に実施された「携行・収納安全分離飛行試験」以上に進化し、-2024年10月に初めて発表され、将来の「誘導飛行試験」も明らかにされた。その試験は1カ月後の2024年11月に行われた。 いずれのテストもAC-130Jを使って行われた。

 このプロジェクトは、Leidos、USSOCOM(アメリカ特殊作戦司令部)、AFSOC(空軍特殊作戦司令部)の間のCRADA(共同研究開発)として、USSOCOMのPEO-FW(プログラムエグゼクティブオフィス-固定翼)が監督している。


テスト

 レイドスは、ブラックアローを "低コストで、200ポンドクラスのミッションに適応可能な運搬プラットフォームであり、キネティックミッションと非キネティックミッション両方のスパイラルアップグレードを容易にするように設計されている"と説明している。この記述によれば、同ミサイルは、様々なミッションのニーズに対応するため、誘導、シーカー、ナビゲーションの各モジュールをスワップ可能なモジュール式システムであり、その中には、レーダー・ベイトやデコイ・システムを用いたSEAD/DEAD(敵防空の制圧/破壊)も含まれる可能性がある。

 ビデオでは、SCMは「航続距離、持続時間、終端精度を含むすべてのテスト目標を達成し、長時間飛行した」と言及されていることから、ミサイルの運動能力についてのみテストされたようだ。これらの属性について期待される性能ベンチマークはまだ公表されていない。

 しかし、レイドスは現在、「2025年を通しての試験・評価活動」のために「USSOCOMと契約中」であることを確認している。これらの潜在的に広範なテストは、ミサイルのシーカー、誘導システム、ナビゲーション、そしてもし含まれていれば、コース中間更新能力の個別および統合された性能を評価することが期待されている。


最新のテスト中、AC-130Jのタラップ上の2つのRLTを示すスクリーンショット。

 ビデオでは、SCMがAC-130Jガンシップのオープン・タラップ上のランプ・ローンチ・チューブ(RLT)として知られるパレット化されたシステムから放出される様子が映し出されている。ミサイルはテールファーストでロールオフしてリリースされる。 タラップから離れると、ミサイルの尾翼が展開し、胴体上部に取り付けられた一枚板の主翼が飛行位置まで回転する。

 ビデオでは、エンジンの点火後、ミサイルが指定エリアに向かって移動する様子が映っている。どのような推進力が使われているかは不明で、赤外線カメラの映像からは特定できない。この種の兵器は通常、小型ジェットエンジンかロケットモーターを使用するが、エアインテークがあるとしても見えない。

 ミサイルが標的に命中する様子は映っていないが、おそらくAC-130Jに搭載されたEO(Electro-Optical)システムによるものと思われ、さまざまな角度や距離から撮影されている。しかし、SCMは未知のターゲットへの着弾を含む全飛行プロフィールを実施したと報告されている。


ブラック・アローミサイルの能力

安価で、モジュール化され、スケーラブルな質量も重要だが、飛行中に照準のアップデートを受信し、交換する能力は重要であり、新世代兵器にとって不可欠な機能である。そうでなければ、ミサイルは既知の固定目標に対する攻撃のみに制限され、数週間とは言わないまでも、数日間の事前の偵察や監視が必要となり、機会目標を交戦する能力はない。

 レイドスによれば、ブラック・アローの「タイムリーで費用対効果の高い開発」を達成するため、「モデル・ベースのシステム・エンジニアリング手法」を採用したという。空軍が提唱するアーキテクチャ標準と空軍研究本部の「武器オープン・システム・アーキテクチャ」を設計に活用することで、ミサイルの各部分を迅速に変更、交換、アップグレードすることが可能になり、おそらく主契約者(レイドス)に依存する必要がなくなる。


エンジン始動直後にIRカメラで撮影されたブラックアローSCMのスクリーンショット。


 レイドスのミサイル・航空システム担当上級副社長マーク・ミラーは、「運用中の航空機から能力を実証することに成功しながら、これらの厳しい基準に適合させることは、要請があった場合にブラック

・アローを迅速に実戦投入するポジションを強力に築くことになる」と語った。貨物機からのRLT発射のほかに、ブラック・アローはパレットシステムや「固定翼機からの従来の格納庫放出」からも発射可能だ。

 パレット化された発射は、米空軍とAFRLのラピッド・ドラゴン・プロジェクトで使用される可能性がある。ここで選択されている武器は、大型のAGM-158 JASSMである。ブラック・アローは小型で、航空機に搭載するスペースが少なくて済むため、より多くの本数を発射することができ、あるいはJASSMとペアで協調発射することもできる。

 F-15Eストライク・イーグルや新型のF-15EXも、将来のシナリオでは「爆弾とミサイルのトラック」として運用されることが想定されているため、ブラック・アローをテストする可能性は否定できない。レイドスの声明は、ブラックアローはSCM CRADAが2022年に結成されて以来求めていた「手頃な質量」のニーズに合致していると付け加えた。

 2023年12月の試験では、すでに「安全な分離、良性ストアダイナミクス、軌道特性のデジタルツイン予測」が確認された。さらなる試験では、"海軍水上戦センター戦闘管理システム(BMS)との統合、運用飛行ソフトウェア機能、航行性能、飛行安全システム機能を実証 "した。


キルチェーンを短縮した手頃な価格のモジュール式兵器になる

 ミラーは同社リリースの中で、「BMSと統合しながらAC-130プラットフォームからこのテストを実施することで、航空機乗組員やオペレーターは、我々のSCMがどの程度機能するかを確認することができた」と付け加えた。声明はまた、USSOCOMのPEO-FWのジャスティン・ブロンダー大佐が、3月にエグリンAFBで開催された特殊空戦シンポジウムで、「SCMは重要な能力であり、AFSOCの長距離キルチェーンを閉じる能力を急速に前進させる」と述べたのを引用している。

 ミッチェル航空宇宙研究所(Mitchell Institute of Aerospace Studies)は、武器や発射プラットフォームそのものに関与するのではなく、センサーと射手の間の目標捕捉と追跡に関するキルチェーンの「要素を破壊する」という中国の新たなドクトリンを指摘している。これは、北京とモスクワの双方が著しい進歩を遂げている高度な電子戦(EW)によって達成される可能性があるが、ネットワーク内の複数のコンポーネントが連携可能な長距離スタンドオフ攻撃におけるより長いキルチェーンは、このアプローチに対して最も脆弱である。

 ブラック・アローはまた、巡航ミサイルとしても機能する低コストの一方向攻撃ドローンに米軍が注目している時期に登場した。■


Leidos Black Arrow Successfully Tested from AC-130J Ghostrider Gunship

Published on: April 13, 2025 at 7:35 PMFollow Us On Google News

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/04/13/leidos-black-arrow-tested-ac-130j/


クレイトスがランディングギア装備のヴァルキリーを公開(Aviation Week) — これまでのXQ-58は帰還時にネットで回収する前提だったんですね

 

Kratos

クレジット:クレイトス


レイトス・ディフェンス・アンド・セキュリティ・ソリューションズはXQ-58Aヴァルキリーの第2バージョンを発表した。

 「滑走路の柔軟性/滑走路の独立性は、最大限の作戦上の有用性をもたらす」と、クレイトスは新しいコンフィギュレーションのイメージ図を含むソーシャルメディアへの投稿で述べている。

 このメッセージは、XQ-58Aの当初の設計コンセプトからの転換を意味する。数年前に構想が浮上したとき、クレイトスはロケットによる離陸とパラシュートによる着陸を必要とするオリジナルのヴァルキリー設計で滑走路独立性を実現した。

 結局、米空軍はCCA運用プロトタイプの最初の増分で滑走路ベースの大型無人航空機システム(UAS)を取得すると決定した。 クレイトスはまた、XQ-67オフボード・センシング・ステーション・プログラムにデミゴルゴンと呼ばれる着陸装置を装備した大型UASを提供する入札で敗退し、最終的にジェネラル・アトミックス・アエロネイバル・システムズが落札した。

 しかし、海兵隊は2023年にXQ-58Aへの関心を復活させ、実験的なプロジェクト・イーグル用に2機を納入する契約をクレイトスに交付した。 

 昨年、プログラムが飛行テストに移行する中、クレイトスはXQ-58Aのオリジナルバージョンが滑走路離陸を可能にするトロリーベースの着陸装置を明らかにした。

 同時にクレイトスCEOのエリック・デマルコは、ペイロードを犠牲にしてまで内部着陸装置システムを追加したXQ-58Aの第2バージョンに着手したことを明らかにした。「ヴァルキリーでは、ロケット打ち上げができるようになります」。 

 クレイトスの無搭乗機部門の社長スティーブ・フェンドリーは、最近本誌にこう語っている。 「内部ペイロードの容積の一部を放棄しても、外部ペイロードはすべて維持できます」。

 海兵隊は、提案されている海兵隊航空地上任務部隊無人遠征戦術機(MUX-TacAir)プログラムで、将来型CCA設計を選択することを計画している。 MUX-TacAirは、ロッキード・マーチン社F-35Bを補強し、戦闘や偵察の任務に従事する無人航空機を指す。■


Kratos Reveals Landing Gear-Equipped Valkyrie Version

Steve Trimble April 15, 2025

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/kratos-reveals-landing-gear-equipped-valkyrie-version

スティーブ・トリンブル

ワシントンDCが拠点のAviation Week Networkの軍事航空、ミサイル、宇宙担当。