2014年6月14日土曜日

今週は東シナ海上空で緊張が高まっています 今度は中国が日本を非難



Su-27が自衛隊機に嫌がらせをした翌日に中国は航空自衛隊F-15がTu-154に接近し安全を乱したと主張しているようです。日本政府は別事案の画像だと言っていますが。

米海軍協会はロイターや新華社報道を引用し、中国、日本のいずれの主張を淡々と伝えていますが、冷戦時を想起させるような事態にあきれているのかもしれませんね。ビデオを見ましたが、接近飛行は通常のオペレーションで、高速で追い越し飛行をしたとは大違いなのですが。そのそもTu-154が民間機ではなかったのではと思われますが、こうなれば自衛隊も画像を公開してはいかがでしょうか。ともあれ、偶発事故につながらないことを祈るばかりです。

China and Japan Trade Barbs Over ‘Shameless’ Fighter Buzz

USNI News By: Sam LaGrone
Published: June 13, 2014 11:04 AM
Updated: June 13, 2014 1:46 PM
A Japanese F-15J allegedly buzzing a Chinese Tu-154 on Wednesday.
A Japanese F-15J allegedly buzzing a Chinese Tu-154 on Wednesday.

中国が日本に対し「挑発的言動」を止める要求を出している。これは今秋水曜日に東シナ海上空で航空自衛隊F-15Jが中国のツポレフTu-154(NATO呼称ケアレス)に接近飛行したと中国が主張する事件への対応。中国が発表したビデオ映像ではF-15Jがケアレスの翼端近くを飛行しているのが見える。

「日本の戦闘機が中国機の30メートルに接近し、中国機の飛行に危険を与えたとの主張は真実ではないと信じる」と管官房長官は12日に報道陣に発言している。「ビデオに写っている機体は違っている」

日本政府からは中国に画像公開の中止を申し入れたが、中国は日本が「国際社会を欺瞞しようとしている」と反論している。

「事実と照らし合わせると日本側の主張は恥知らずなたわごとであり理屈が通らない。日本に挑発的行為・言動を直ちに中止するよう求める」と中国外務省報道官華 春瑩 Hua Chunying が13日記者会見で発言し新華社が配信している。

中国国防省はウェブサイトで「中国パイロットは冷静に基準通り規律正しく行動し、日本パイロットは危険な飛行をし、明らかに挑発的だった」と伝えている。

これに対し日本からは自衛隊機は前日に中国空軍のスホイSu-27フランカーが自衛隊機に接近したことに対応したものと説明。今回の事案は国境を巡り対立する両国の最新事件である。

自衛隊の緊急発進回数は2013年度は415回で前年度比38%増とロイターが伝える。■
 


先が見えない国防予算編成、EA-18グラウラー、ジョージ・ワシントン、MH-60の行方は?


Reduced Growler Buy Could Force Boeing to Restructure Production Line

USNI News By: Dave Majumdar and Sam LaGrone
Published: June 13, 2014 3:53 PM
Updated: June 13, 2014 3:53 PM

もし議会がEA-18グラウラー電子攻撃機22機追加調達の予算を認めないと、米海軍とボーイングは同機の生産継続で悩むことになりそうだ。

「上院軍事委員会が生産全体をどう考えるか次第ですが、すでにAP(先行調達)がありますので、ボーイングとは良く話し合うことになるでしょう」と海軍次官補ショーン・スタックリーSean Stackley(研究開発調達担当)はペンタゴンで13日報道陣に発言している。「あってはいけないのは追加費用で生産を人為的に引き伸ばすことですが、既存契約に効率的に費用を追加できれば利害上は最上の選択です」

ボーイングは追加22機のグラウラー発注がなければ生産ラインの維持ができないと訴えていた。

下院歳出委員会は2015年度歳出案を承認し、22機中のうち12機分のみ10.1億ドルでの調達を認めている。海軍は追加調達機で既存の電子攻撃飛行隊を各7機編成にしたいと期待していた。

一方でシコルスキーMH-60S/Rの運命はUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)の行方とからみあっている。ペンタゴンは同空母を2016年度予算による燃料交換を実施せず退役させる提案を出しており、これは議会による予算強制削減措置が継続した場合には、という条件だった。これに対し、議会からはジョージ・ワシントンの退役には猛烈な反対が表明されている。

「海軍省は同艦を16年度予算に一旦計上した上で、最終決定を議会に任せたいと考えています」(スタックリー)「不確実な条件を考えると、H-60生産ラインを維持したいのですが、予算成立までは道のりが長いです」

ペンタゴンの2015年度予算要求にはMH-60の29機調達が入っており、同機の5ヵ年調達契約は2016年までとなっている。ジョージ・ワシントン退役が承認され、関連する航空隊兵力も同時に削減すれば海軍はその翌年にヘリコプター追加調達が不要となるというわけだ。■


2014年6月12日木曜日

A-10全廃を認めた下院歳出委員会の決断


House Appropriators Easily Kill Measure to Save A-10 Fleet

Defense News, Jun. 10, 2014 - 11:38AM   |  
By JOHN T. BENNETT


The House Appropriations Committee has voted down a proposal to keep the US Air Force's fleet of A-10 aircraft flying. (Staff Sgt. Aaron Allmon / Air Force)

下院歳出員会が10日、空軍のA-10温存を狙った修正案を葬り、議会ではじめて空軍の予算削減対策を支持した。また上下両院の軍事委員会が共に予算を流用してA-10の維持を求める動きに反することになった。
A-10維持を求めたジャック・キングストン議員 Rep. Jack Kingston (共、ジョージア州)の修正案は23対13で否決。修正案は空軍の運用補修勘定から339.3百万ドルを確保しA-10を運用維持するとしていた。
空軍は老朽化進む同機を退役させて予算を捻出する意向だったが、同議員他は同機にまさる近接航空支援機はないと修正案支持を求めた。.
歳出委員会国防小委員会の議長ロドニー・フレリングイセン Rep. Rodney Frelinghuysen(共、ニュージャージー)からは歳出委員会が同修正案を可決すれば、空軍からはB-2やF-16の機数削減あるいは全廃の提案が出ると警告していた。フレリングイセンはA-10退役で生まれる原資は数十億ドル規模という。
国防小委員会の有力議員ピート・ヴィスクロスキィ Rep. Pete Visclosky (民、インディアナ)によると、もし突然予算が増えてもA-10は維持すべき最優先機種ではないと空軍上層部が発言しているという。結局、修正案は予算管理上は不健全と判断されたようだ。
だがキングストンの一派はA-10の時間あたり費用は近接航空支援を実施できる他機種よりも低いと反論している。「予算を節約しようというのに、一番低費用で運用できる機種をなぜ全廃するのか」というのがキングストンの主張だ。またイラクとアフガニスタンでの出撃実績を引用して、同機が過去の遺物だと切り捨てるのはおかしい、と主張。■

2014年6月11日水曜日

ペンタゴン報告書に見る 米国が注目している中国の軍事装備はこれ


Chinese Weapons That Worry the Pentagon

USNI News By: Sam LaGrone and Dave Majumdar
Published: June 9, 2014 11:24 AM
Updated: June 9, 2014 11:24 AM


ペンタゴンが議会に提出した2014年版の中華人民共和国の軍事力についての報告書が公表された。同報告書は2010年から提出が義務付けられており、中国の軍事技術上の進展や人民解放軍(PLA)の各軍による訓練状況や使用技術を包括している。
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同報告書を見れば国防総省がどこに懸念を感じているかがわかる。そこで同報告書で取り上げている中国の軍事装備について解説する。


1.空母
China's carrier Liaoning, PLAN Photo
China’s carrier Liaoning, PLAN Photo

この10年間で中国初の航空母艦遼寧ほど米国で関心を集めた軍事装備はなかった。排水量55千トンの同艦はウクライナで建造された旧ソ連時代の艦艇であり、空母運用技術の習得が主要任務だ。

「同艦は局所的とはいえ広範囲に運用され、艦上訓練、艦載機運用、空母部隊編成の習得に今後3年ないし4年使われるだろう。昨年11月には東シナ海および南シナ海で作戦運用を行っており、今後は必要に応じ別種ミッションにも投入されるだろう」と報告書はまとめている。

遼寧は空母国産化に先立つ訓練艦とみられる。「中国初の国産空母は2020年代初めには実用化されるだろう。空母戦闘群を編成すれば中国海軍PLANは広範囲の制海任務および武力投射の作戦実施が可能となり、長距離作戦能力も向上する」

ただ軍事的な見地での同艦の有用性にはまだ議論の余地がある。.「遼寧は海軍力上の脅威というよりも政治発言の文脈の存在であり、合衆国や同盟国に与える作戦上の危険はわずかであり、地域内の小国各国にとっても同じだ」との見方が海軍専門家にある。


2.ステルス戦闘機
Changes between prototypes of China's stealth fighter prototypes.
Changes between prototypes of China’s stealth fighter prototypes.

双発の成都J-20第五世代ステルス戦闘機の開発が続いており、ペンタゴン報告書では同機が戦力化するのは2018年以降だという。同機は多任務機として報告書は扱っており、ロッキード・マーティンF-22 ラプターと同様の制空戦闘機ではないという。報告書では中国の課題は多く、特に高性能ジェットエンジンが難題だとする。

並行して小型双発の瀋陽J-31第五世代戦闘機の開発も進めており、この機体はロッキードF-35に酷似している。報告書では人民解放軍のどの空軍あるいは海軍が同機を実際に運用するか不明とし、輸出の可能性も不明としている。


3.新型艦載機Flying Shark

An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo
An undated photo of Chinese J-15 fighter in tests aboard Liaoning. PLAN Photo

中国海軍は空母運用で新型瀋陽J-15フライングシャークを投入している。同機はスホイSu-33フランカーを勝手に改修したもの。報告書によればPLANパイロットは武装を満載して同機を遼寧から飛行させているという。「J-15は陸上運用で戦闘半径が1,200Kmだが、空母運用では武装搭載量、飛行距離が制限を受けるのは、スキージャンプ式発艦では発艦速度が低いため」としている。


4.大型機各種
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab
Xian Y-20 airlifter. CCTV Screengrab

西安Y-20大型戦略輸送機の開発が続いている。同機は昨年初頭に初飛行している。「Y-20には空中早期警戒管制システム (AWACS) や空中給油機としての用途も加えられるだろう」と報告書は伝えている。

旧式Tu-16バジャーから派生した西安H-6爆撃機も近代化改装を受けており、米空母部隊と太平洋各地の米軍基地にとっては脅威となっている。改装したH-6Gのハードポイントでは対艦巡航ミサイル4発を搭載できる。さらに新しいH-6Kではエンジンを新型ターボファンに換装しており、対艦ミサイルあるいは陸上攻撃ミサイル6発を搭載できる。「H-6を近代化して巡航ミサイル母機にすることでPLA空軍に長距離スタンドオフ攻撃能力が精密誘導弾とともに備わることになる」(同報告書)


5.原子力潜水艦
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo
An undated photo of a Jin-class Type 94 nuclear ballistic missile submarine (SSBN). PLAN Photo

報告書では今年中に中国は弾道ミサイル原潜によるパトロール航海を開始するとしている。中国は実戦力となる原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)を三隻保有している。

新型晋級ミサイル原潜(タイプ94、11千トン)は2000年代から開発が始まり、海洋配備型の抑止力を初めて中国にもたらす。「晋級SSBN三隻が5隻まで増加してから次世代のSSBN(タイプ96)が2020年代に登場するだろう」
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5隻から6隻まで勢力が増えれば中国の核抑止潜水艦部隊はフランス可英国なみになり、これが数年で実現すると専門家は見ている。

旧型タイプ92夏級原潜は搭載するJL-1弾道ミサイルの性能が低いこともあり退役するだろう。

6.JL-2
jl2

晋級潜水艦と一体の関係がJL-2潜水艦発射型弾道ミサイルでJL-1よりはるかに性能が高い。

推定射程距離は7,400 kmとみられ、晋級にJL-2を搭載することでPLANは初めて実戦的な核抑止力を手に入れる、と報告書は分析している。

この射程距離はアラスカないし米西海岸に到達できる規模だと海軍情報部(ONI)が今年早々に報告している。

さらに未確認筋によるとJL-2は三段ミサイルで各90キロトンの弾頭3ないし6、あるいは250から1,000キロトン弾頭1を搭載できるという。


7.防空体制
Russian S-400 SAM system.
Russian S-400 SAM system.

中国は統合防空システムをさらにステルス機や無人機対策を念頭に高度化しつつあると報告書は伝える。ロシア製SA-20(S-300 PMU1/PMU2)および国産HQ-9がその中でも注目されるが、さらに高性能のSA-X-21b(S-400)の受領は2017年以降になると報告書は記述している。並行して国産HQ-19の開発も進んでおり、S-400と同程度の性能だという。
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早期警戒システムも強化しており、空警 Konging-2000が追加生産されている。同機は長距離をカバーするとともに低空侵入機も発見できるので目標捕捉が容易になると報告書は伝える。また、偵察技術でも赤外線、複合スペクトラム、パルスドップラー、フェイズドアレイ、パッシブ探知で進歩しているという。早期警戒システムは防空体制に統合されている。


8.誘導ミサイル駆逐艦

The first of the People's Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
The first of the People’s Army Liberation Navy Type 052D Luyang III destroyer. PLAN Photo
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米海軍や西側艦艇と見間違うばかりの水上艦艇を増強している。タイプー052D旅洋III級誘導ミサイル駆逐艦は中国の水上艦の技術を集めている。「一号艦の就役は2014年でPLANで最初に多目的垂直発射システムを取り入れ、巡航ミサイル、対空ミサイル、対潜水艦ミサイルを発射できるだろう。同型艦は12隻になり、旧式旅大駆逐艦の後継艦となる」

ただし報告書では同艦のレーダーの記述をしていない。タイプ346 AESAレーダーとタイプ518 Lバンドレーダーを搭載し、CPMIEC HQ-9B艦対空ミサイル防衛システムと一体化いており、米軍の第五世代ステルス機の探知捕捉が可能となるかもしれない。


9.中距離弾道ミサイル
DF-21D
DF-21D

この数年は中国のミサイルと言えばDF-21D通称空母キラーミサイルの話題一色だ。「数は少ないが通常弾頭搭載の中距離弾道ミサイルの配備が進んでおり、CSS-5 Mod 5(DF-21D)対艦弾道ミサイル(ASBM)もその一部だ」と報告書は伝えている。

「CSS-5 Mod 5 で人民解放軍に大型艦船を攻撃する能力が備わり、西太平洋では航空母艦も標的にできる。CSS-5 Mod 5の射程距離は1,500 km超で制御可能な弾頭を備える」

米関係者は同ミサイルをすでに作戦段階とみているが、まだ一度も発射が確認されておらず、中国が有効な情報収取・監視・偵察(ISR)手段を開発して同ミサイルを移動し続ける空母に誘導できる能力があるとの証拠はない。

また中距離ミサイル開発も進められており、台湾含む地域内がその標的だ。■



2014年6月10日火曜日

ボーイング防衛部門トップに聞く 差別化を目指すボーイング


Face to Face With Boeing's Defense, Space & Security Head

aviationweek.com May 28, 2014 | Aviation Week & Space Technology

クリス・チャドウィックはボーイング国防宇宙保安 Boeing Defense, Space & Security (BDS)の社長兼CEOだ。彼の眼には国防宇宙市場の予算環境が悪化する中で多くの同業他社が旧態依然に写る。そこで同社の戦略は他社から一歩抜け出し、本人がいうところの「本当の差別化」をすることなのだという。Aviation Week編集者に本人が語った。
Chris Chadwick
President/CEO of Boeing Defense, Space & Security (BDS)
Age: 53
Education: B.S., Iowa State University; M.B.A., Maryville University
Career: On Dec. 31, 2013, the same day his former boss Dennis Muilenburg was promoted to COO of the Boeing Co., Chadwick was named to head BDS. Prior to this, he had been president of Boeing Military Aircraft.

AW&ST: 他社の一歩先に行くために研究開発投資を増やすのか。群れから抜け出るためにはボーイングはもっと多くの資金を投入するのか。
チャドウィック: 当社はかねてより国防関連を重視し、ここ数年は投資規模が他社より大きくなっている。この市場では強制予算削減があるが、世界的なバランス再編のニーズがあり、いまこそ先に進むべき時だと判断している。新規案件が少なくなっており、足元を固めるべきで、今後もこの姿勢を守る。
差別化というが、具体的にどうするのか。たとえば、海軍の無人空母運用監視偵察攻撃機 (Uclass) の受注をめざしているが。.
Uclassについては多くは語れない。これまでは部門別に自分たちだけのことを考える傾向になりがちだったが、ジム・マクナーニーの提唱するOne Boeingでチームでよい結果が得られるようになってきた。つまり社内文化の障壁がなくなって、社内の透明度が上がってきたことで技術開発、製造技術開発、投資活動の効果がUclassやT-X練習機開発に出てきた。よく知られるコスト曲線の影響を受けない考え方に切り替わっている。
コスト曲線を断ち切るにはいろいろ方法があり、ひとつは設計開発の考え方だ。成長の方向性を組み込んで正しいコストで進める正しい能力のことだ。製造現場では新技術の応用だ。供給メーカーの側ではコスト曲線の先を行き一日目から切れ目なしに共同作業することだ。
KC-46A開発も半ば過ぎたが、ボーイングが相当の資金を投入して開発を進めているのは公然の秘密。ボーイングにとって同機開発を続ける意義は何か。また空軍、会計検査院(GAO)、ボーイングそれぞれ異なる見積もりを出しているが、どう折り合いをつけるのか。
当社は2017年に18機を引き渡す約束を履行する。変更はない。コストのくいちがいでは当社は顧客と話しており、顧客としてコストを独自に検討するのは当然だ。工程一日目からコスト、日程を共に守っている。これが当社の姿勢だ。初飛行も第3四半期予定で、ボーイングとしての見積もりには変更がない。
同機では海外販売も視野に入れているのか。ファーンボロ航空ショーなどを利用して?
検査院の最新報告を見ても給油機開発の現状に好意的な評価が出ているし、国際販売の見通しも有望だ。そこで海外営業に焦点を当てている。そのためにも中心となる顧客に対して開発が順調であると示す必要がある。One Boeingが給油機ではうまく働いている。P-8でも効率よく進められた。ファーンボロ―で大々的に売り出すかどうかは言えないが、国際市場には焦点を当てているのは事実。何と言っても市場規模が大きいから。

空軍のT-X訓練機案件ではボーイング案は他社とどうちがっているのか、他社が完全新型機ではなく既存機種を利用する中でどう対応するつもりなのか。
T-X次世代空軍向け練習機では絶対的な差を見せられると固く信じている。提携先のサーブは他社と設計開発の考え方が違っている。そこで当社と考えをぶつけあって、低予算でも多くが求めらえる環境で優れた解決策をみつけることができた。
当社の設計案は米空軍の要求内容を忠実に実現し、ニーズにこたえるものだが、他社はちがう。他社製品は他国空軍向けの内容だ。多少改修し、フライトテストからはじめるつもりだ。ただ性能はそれではたりないので拡張したり、一部性能は割愛すればコストに影響が出る。コストの点では当社案が優位だ。
競争相手が存在しない時代は終わった米国に契約から配備まで20年もかかる案件を手掛ける余裕があるだろうか。.
我々業界にあるものは素早く動く方法を見つけねばならない。スムーズかつ効率よく安価に次世代技術を設計に取り入れる方法をどうやって見つけるか。しかも今現在ではなく、5年後10年後の技術を今どうやって確保するか。iPhoneやアンドロイド携帯を見れば、アップグレードを素早く行うことがカギだとわかる。これは言うのは簡単だが、当社の関心事は技術陣にある。長い目で見て当社の差別化はここにある。
社長職で引き継いだ国防関連事業にはミサイル防衛も入っている。ボーイングは地上配備中間コース防衛システムGround-based Midcourse Defense system (GMD)の費用を下げたが、要求性能水準は引き上げられている。同システムでは2008年以降は目標捕捉成功の実績がないまま、どうやって同ミサイル開発を立て直すのか。
GMDに関しては顧客と一緒になって順調に作業を続けており、今後のテストを準備中だ。GMDについて話ができる範囲が狭いが、一度後戻りしてシステムを見直し、リスクとチャンスを把握して次回テストを成功させる。
ボーイングにとって戦闘機開発を続ける意義を見出すためには何が必要になるか。ペンタゴンには独占企業の出現を食い止める意識はあまりないようだ。米政府は戦闘機メーカー二社体制維持を意識的に進める必要があると思うか。
国防総省高官とは具体的に国際市場でF-15およびF-18を公正に販売する課題を相談したことがある。同省も公正な競争の必要性を認めてくれた。F-15は2018年までの販売が確実で、まだ潜在的な需要があるとみている。F-18は現時点では2016年までだが、軍、国防長官、議会で今後のF-18調達予算の話が進んでおり、当社は楽観視している。
それ以外に戦闘機畑で培った技術をUclassや長距離攻撃機、さらにある程度までT-Xに応用できるので感情が高ぶっているところ。各機はまもなく現れる。当社の目標はF-15とF-18の威力を可能な限り維持することと、これから出る次世代機各種案件で出来るだけ多く受注に成功することだ。各案件はうまく統合されていくと思う。
イノベーション効果について口にしていたが、反対に機体販売は最近下降気味ではないか。T-X受注が不調に終われば、国防総省向け機体メーカーとしての将来に疑問がつくのではないか。その場合、企業活動をシステム統合に振り向けるのか。
同じ質問は5年前にも出ている。企業収入の観点からは減少傾向は終わっている。34年前からは二けたのパーセントの増加になっている。そこで長距離攻撃機とT-Xの受注に重点を移している。両案件で当社が有利になっていると強気にみている。
ボーイングは無人機分野では高性能機種で大きな売り上げを実現していないが、これがUclassにどんな影響を与えるか。
ノースロップ・グラマンが一歩先にあり、ロッキード・マーティンが堅調といいたいのだろう。ボーイングにも機会があった。無人機市場はこの数年で大きく様変わりしている。無人機は大きい市場だが、万能ではないし、実績も多くない。さらに今後20年から40年先を見通すと、無人機が国内外の軍用機で主流にならないと見るのは困難だ。そこで当社はひとつずつ先に進めていく方針だ。■


2014年6月9日月曜日

海軍向けF-35Cも開発は順調とはいうものの 


初期作戦能力獲得を急ぐ海兵隊、それに次ぐ空軍と一歩離れて米海軍はゆっくりとF-35Cの実戦化をめざしているようです。ただし、海軍の作戦構想ではF-35をセンサー機材として運用するとみられ、実はJSFに対する期待が低いのかもしれませんね。

Navy Joint Strike Fighter Set for October Tests at Sea

USNI NEWS IBy: Dave Majumdar
Published: June 3, 2014 10:56 AM
Updated: June 3, 2014 10:56 AM
An F-35C Lightning II aircraft makes an arrested landing during a test flight at Naval Air Station Patuxent River, Md. on May 7, 2014. US Navy Photo
An F-35C Lightning II aircraft makes an arrested landing during a test flight at Naval Air Station Patuxent River, Md. on May 7, 2014. US Navy Photo

ロッキード・マーテインF-35C空母運用型のJSF開発は着実に進展しており、今年10月のUSSニミッツ(CVN-68)艦上での公試は予定通り実施の見込みだと同社は説明している。

ロッキードによれば公試はDT-1と呼ばれ、10月12日から11月3日までの予定だという。ただしその前にまだ解決すべき課題が多く残っている。

最大の課題は着陸装置および機体の構造強度で、各種の条件で空母着艦を想定したフライトテストが行われている。

テストはパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)に設置したカタパルトと着艦装置を使って行われているが、海上の空母とまったく同じ条件ではない。

直近では5月29日にC型が毎秒21.4フィートと言う最大降下率で安全に着艦できる能力を実証している。

そこでDT-1でのポイントは発艦、着艦の実用上の手順を確立することにある。DT-1が成功すれば、艦上でもっと難易度の高い課題を試すことになる。その際にはF-35Bが行った海上公試(USSワスプ LHD-1)が参考になるだろう。

着艦、発艦以外にC型の性能限界を徐々に引き上げる努力が続いている。C型にブロック2Bソフトウェアが導入されると、マッハ1.2,7.5G、高度40千フィート、迎角50度の飛行が可能となる他、基本兵装としてAIM-120AMRAAM、共用直接攻撃弾やレーザー誘導爆弾の搭載が許される。

海軍の予定では初期作戦能力獲得を2018年8月としており、ブロック3F搭載を前提としている。その際には兵装を完全搭載し、データリンクとセンサーを統合したうえで、設計性能を完全に実現させる。つまり、上昇限度50千フィート、700ノット、マッハ1.6、迎角50度、7.5Gである。■



2014年6月5日木曜日

一足先に実戦化を目指す海兵隊向けF-35Bの近況は....大丈夫なのかこんな機体で


海兵隊向けB型がまず実戦化の見込みですが、すでに引き渡し済み機体にも構造上の弱点がみつかっているようですし、ソフトウェアはこれから延々と改定作業がつづき、30年とも40年とも言われる就役期間中にとんでもない費用がかかるのでしょう。かつてのような消耗品のような機体ではないとしたら、だからこそしっかりした機体になってほしいものですが、どうも話がいつ聞いてもおかしいですね。こうなると早く第六世代戦闘機の時代が来るのか、無人機の時代になることを期待する方が納税者としては幸せなのでは。


Marine Joint Strike Fighter on Track to Meet 2015 Goal

USNI News By: Dave Majumdar
Published: June 2, 2014 8:51 AM
Updated: June 2, 2014 8:51 AM
F-35B Lightning II aircraft lands aboard USS Wasp (LHD-1) in August 2013. US Navy Photo
F-35B Lightning II aircraft lands aboard USS Wasp (LHD-1) in August 2013.
US Navy Photo

米海兵隊向けF-35B短距離離陸垂直着陸型 (STOVL)開発 は順調に進展しており、初期作戦能力(IOC)獲得目標の2015年7月は達成可能とメーカー関係者が語っている。
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USNI Newsに対しロッキード社幹部から「ブロック2Bソフトウェアの最終テスト版に取り組んでいる」との発言が5月30日にあった。「テストは今年11月ないし12月に完了する見込み」という。海兵隊の目標はブロック2Bで初期作戦能力の獲得を2015年7月に宣言することで、ブロック2Bはデータ融合能力としてテータリンクと制限付き兵装運用能力をレイセオンAIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、500ポンドGBU-12レーザー誘導爆弾、1000ポンドGBU-32共用直接攻撃弾薬で実現する。

同社幹部からF-35Bテスト機がAIM-120を試射し、同時に二機の無人機と交戦に成功したとも発言があった。これは5月27日にカリフォーニア州ポイントマグー演習場でのこと。またブロック2Bで同機の運用性能の限界が押し上げられる。現時点で訓練用F-35Bはブロック2Aを搭載し、速度450ノット、マッハ0.9、迎角18度、4.5Gに制限されている。

これがブロック2Bで550ノット、マッハ1.2、50度、5.5Gに緩和される。ただしそれでも設計上の最高速度630ノット、マッハ1.6、7Gはまだ許されない。また高度も40,000ft に限定されるが、ブロック3F で50,000ft まで可能となる。

ブロック2Bテストのあとに実働機材でソフトウェアを利用可能とし、ソフトウェア開発の進捗状況から目標のIOC日程の実現は可能だという。

だがソフトウェア以外にも落とし穴になりそうな要素がある。JSF室主任クリス・ボグダン中将Lt. Gen. Chris Bogdanと海兵隊航空部隊司令官ロバート・シュミドル中将Lt. Gen. Robert Schmidle の二人が3月に議会で既存F-35B各機をIOCまで運用上で必要な改修をする方が課題としては大きいと証言している。ハードウェア上の改修は「グループ1改修」と呼称しているとロッキードは説明。57点の個別改修点があるという。

ただしグループ1には機体耐久性の強化用の構造改修は含まれていない。この問題は最近になり急浮上している。

改修が終わると各機に完全新設計のバルクヘッドが装着される。就航ずみの各機は飛行時間がある程度経過すれば全部改修する必要があり、改修作業の完了に数年間かかるみこみだとロッキードは言う。

初期作戦能力の宣言には最低でも10機の運用可能な機体と訓練済みパイロット、メンテナンス要員が必要であるが、予定の期日までにまだ答えの出ていない課題も残っている。「ブロック2Bリリース時点でどんな実用テストが必要になるかは政府部内でまだ結論が出ていない」と同社は説明する。

F-35Bの作戦能力の是非を最終的に決めるのは海兵隊で、運用テストの内容については合同開発室Joint Program Office (JPO)に照会しているが、回答はまだない。
An F-35B Lightning II aircraft takes off from the amphibious assault ship USS Wasp (LHD-1). US Navy Photo
An F-35B Lightning II aircraft takes off from the amphibious assault ship USS Wasp (LHD-1). US Navy Photo

さらにブロック3iおよび3Fソフトウェアの作業が進行中だ。このうち3iは米空軍F-35Aで飛行テストが始まっている。3Iは新型プロセッサで作動するようにブロック2Bを再作成したものだ。基本的に3iでの追加機能はない。

米空軍はブロック3iでF-35Aの作戦能力獲得を2016年4月に宣言する予定だ。並行して納入済み機体のプロセッサーは新型に交換される。そこで米海軍は孤高の存在となり、F-35Cの運用能力宣言は2018年8月以降となる。■

オホーツク海上空でも米ロ衝突寸前になっていたーーー米ロ間の緊張が高まる

Pentagon: Russian Flanker Had Near Miss With U.S. Air Force Jet

USNI News By: Carlo Muñoz
Published: June 4, 2014 3:09 PM
Updated: June 4, 2014 3:13 PM
US Air Force RC-135. US Air Force Photo
US Air Force RC-135. US Air Force Photob


米軍偵察機がロシア戦闘機との空中衝突をかろうじて回避していたと判明した。北太平洋上空で発生したこの事件は冷戦を想起させ米ロ間で緊張が高まっていることがわかる。

事件は4月末にロシア沿岸から60マイル地点で米空軍のRC-135情報収集監視偵察機が通常の飛行をしていた際に発生したと国防総省の関係者が今週になり明らかにした。

米軍機はオホーツク海上空の国際空域でロシアのSu-27戦闘機一機と遭遇し、RC-135は回避行動で空中衝突を回避した。二機の距離は100フィートまで最接近したという。

ペンタゴンは今回の事件をロシアによる米軍への妨害と受け止め、ロシア政府に詳細情報を請求中だという。

今回のニアミスは米ロ政府間でクリミア・東ウクライナをめぐり緊張が高まるさなかに発生し、米ロ間の部隊で望ましくない接近が発生した事例として二件目。黒海では同じ4月にSu-24フェンサー一機がUSSドナルド・クック(DDG-75)上空を低空通過飛行している。

Russian Su-27 Flanker
Russian Su-27 Flanker


ロシア機は同艦上空を12回通過飛行しており、駆逐艦の通信を無視した。米駆逐艦の1,000ヤード以内で高度500フィートまで降下したという。

今回の発表はホワイトハスが欧州における米軍プレゼンスを大幅に高める発表をしたのと軌を一にしている。

6月3日にオバマ大統領は10億ドル規模の米軍人員装備への追加支出を発表し、ヨーロッパ同盟国向けの安全保障状況を強化することとした。

その内容では米軍と同盟軍間の共同演習の強化も含まれ、米軍武器弾薬の貯蔵量も増やす。事前配備で米軍、同盟国軍の即応体制を上げるのが目的で、緊張状態が武力紛争にエスカレートするのに備える。

発表時にロシアを名指ししなかったが、新欧州安全保障案は米国がウクライナ危機の解決に軍事オプションに向かっている証と受け止められよう。

6月4日にオバマ大統領はウクライナの新大統領ペトロ・ポロシェンコPetro Poroshenko,と会い、ウクライナ支援を公の場で示した。また米外交筋・軍事関係者がウクライナ新政権と面談し、流動的なウクライナ安全保障状況を評価している。■


2014年6月4日水曜日

ベトナム他東南アジアの海上警備力整備に協力する日本


Japan to Provide Vietnam Patrol Boats Next Year

USNI News By: Scott Cheney-Peters
Published: June 2, 2014 8:42 AM
Updated: June 2, 2014 8:42 AM
Japanese Prime Minister Shinzo Abe
Japanese Prime Minister Shinzo Abe

ベトナム国防副大臣グエン・チ・ヴィンNguyen Chi Vinhがロイター通信に来年早々にも日本からの巡視艇引き渡しを期待していると語った。これはシンガポールで開催されたシャングリラ対話の会場でのこと。

日越双方から日程予定が話題になったのはこれが初めて。同じ会場で阿部総理はベトナム向け供与で前向きに処理する、とだけ発言していた。

日越両国は尖閣諸島、パラセル諸島で中国と対立する中で今回の援助案件が出てきた。

ベトナムには自国排他的経済水域の防護に必要な装備が不足しており、中国による海上石油開発の進展を食い止めることができなかった。結果、放水、衝突され、漁船一隻が沈没するに至った。

ベトナム向け巡視艇供与は2013年末から日本が検討してきた。ベトナムは昨年4月に10隻の巡視艇供与を希望しており、安倍首相は12月に両国間協議が進行中と認めた。供与の隻数、仕様あるいは
借款による製造となるのかは不明だ。

安倍首相は国会においてベトナムへの中古艦船の供与ではなく、より性能の高い沿岸警備用装備を想定していると答弁している。その席上ではベトナムへ新造船の供与は発言していないが、3月には現地調査チームを派遣し、望ましい供与の形を探るとしていた。

一方ベトナムでは海上警察部門を海軍から沿岸警備隊に移管しており、日本の政府開発援助の基準に合わせ艦船を受領できるようにしている。日本は政府開発援助の軍事利用を禁じている。

日本から東南アジア諸国に巡視艇を「寄贈」する話もあり、2007年にはインドネシア向けに三隻を新造しており、昨年はフィリピンに全長100メートル艇を10隻引き渡すことで合意している。この引き渡しは2015年に始まる。フィリピン向け巡視艇は借款184百万ドルで建造される。

ベトナムに対しては米国からも援助があり、ジョン・ケリー国務長官から総額18百万ドルの海洋警備体制強化策として高速巡視艇5隻の導入が確保されているほか、米海軍、沿岸警備隊によるベトナムとの共同訓練が2010年から増えている。

4月の日米首脳会談時の共同声明では両国は「東南アジア沿海諸国向け海洋安全保障など各種能力整備への協力を通じ、法執行体制を整備し、密輸や武器流通を摘発するとともに海洋資源保護を目指す」としていた。


今回の動きは海上地域安定性をめざし、海上交通路の防衛を通じ犯罪撲滅とともに各国の中国を念頭に置いた抑止力整備も同時に狙ったものと受け止められ、協力関係は将来はさらに地域内協調に進むだろう。


2014年5月29日木曜日

USSジョージ・ワシントンの延命を下院が求める


空軍に続き、海軍でも支出規模が大きい原子力空母の退役か存続かが議会で争点になっているようです。ジョージ・ワシントンは前方配備で横須賀にいますので日本にとっても他人事ではありません。一方で米経済が堅調なこともあり財政事情もこれから好転していくと思われますので、国防装備の縮小傾向はいまが底なのかもしれません。それだけに海軍基地、造船業を地元に持つ議員は海軍力縮小に絶対抵抗の姿勢です。

House Preserves George Washington Carrier Refueling Plan

By: Carlo Muñoz
Published: May 22, 2014 2:31 PM
Updated: May 22, 2014 3:50 PM
USS George Washington (CVN-73) on Nov. 24, 2013.
USS George Washington (CVN-73) on Nov. 24, 2013.

米下院はUSSジョージ・ワシントンUSS George Washington (CVN-73) を保持すべく、同艦の核燃料交換及び大規模修理refueling and complex overhaul (RCOH)の予算を2015年度国防予算法案に盛り込んだ。
  1. 下院は海軍及び国防総省がジョージ・ワシントンの燃料交換・大規模修理に支出を禁ずる法案を検討していた。

  1. しかし2015年度国防支出法案の修正として下院民主党からジャレッド・ポリス議員(コロラド)およびアール・ブルメナウア議員(オレゴン) Reps. Jared Polis (Colo.)and Earl Blumenauer (Ore.)から483.6百万ドルを燃料交換・改修予算として確保し、一括予算削減の対象から外す提案が出た。

  1. 2015年国防支出案は下院で賛成325反対98で可決ずみ。

  1. 両議員がこのタイミングで修正法案を提出したのはメモリアルデーで審議が継続できなくなるのを恐れてのこと。だが、審議未了としても両議員は本年後半に再度議案を提出し、国防予算の最終決定に反映させたいという。

  1. 一方で上院からは今週末に独自の2015年度案が発表になるとみられるが、上院における議決は今秋まで行われない。.

  1. RCOHの工期は3年で費用は30億ドル。その他乗員、航空隊の維持も含めると70億ドルになる。

  1. 今年2月にチャック・ヘイゲル国防長官はジョージ・ワシントンの燃料交換あるいは退役の決定は2016年度予算まで先送りすると発表し、退役となれば空母10隻体制となる。ヘイゲル長官は同艦を維持するためには議会が2011年予算管理法が定めた強制削減の上限を撤廃する必要があると指摘していた。

  1. にもかかわらず海軍上層部と下院内で支援する議員たち、とくにランディ・フォーブス(共和、ヴァージニア)Rep. Randy Forbes (R-Va.)およびロブ・ウィットマン(共和、ヴァージニア)Rep. Rob Wittman (R-Va.)が猛反発し、ペンタゴンは空母11隻体制の護持が法律で定められていると主張。

  1. 「今年の国防予算案では海軍が空母11隻を維持できることになっており、将来の空母航空戦力に対する重要な投資を求めているのであり、来年は巡洋艦部隊の近代化を開始し、ヴァージニア級原潜の調達も継続するとあります」とフォーブス議員はUSNI Newsに語っている。「同法案が可決したことで海軍は今後にかけて21世紀の国防に対応する準備が整います」

  1. 空母11隻体制の支持者にとってジョージ・ワシントンの除籍はアジア太平洋地区で米軍のプレセンスを大幅に増加させようというオバマ政権とペンタゴンの思惑に悪影響と主張する。

  1. RCOH予算の確保とともに下院では同時にタイコンデロガ級巡洋艦(CG-47)計11隻とドック型揚陸艦三隻のモスボール化を承認した。フォーブス議員はHASC原案の阻止を狙い巡洋艦22隻とLSD12隻の温存を図ったが失敗した。■


2014年5月28日水曜日

F-35Bの垂直着陸は実用に耐えるのか ファーンボロ航空ショーで実演は予定されず


Opinion: F-35B Vertical Landings In Doubt For U.K.

Air show plans highlight F-35B runway issues
aviationweek.com May 26, 2014
Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology
Credit: Lockheed Martin

ファーンボロ航空ショーの来場者がAV-8ハリアーと同様の垂直着陸(VL)をF-35B共用打撃戦闘機が実演するのを期待すれば裏切られることになるかもしれない。
  1. 米海兵隊のマシュー・グレイビー准将 Brig. Gen. Matthew Glavy によると英国でF-35のVL実演予定はないという。滑走路を排熱から守るマットのテストが完了していないためだという。一見単純そうに聞こえるが、これにより二つの厄介な問題が浮上する。ひとつは同機開発の真相であり、VLの実用度である。

  1. 海軍施設技術本部Naval Facilities Engineering Command (Navfac) は2009年12月にJSF関連建設に仕様を公開している。エンジン排気は高温かつ高エネルギーのため、初回VLによりコンクリートが粉砕する確率が50%あるという。粉砕が発生するのはコンクリート内部の水分が沸騰し、表面を削り落とすためだ。

  1. これに対しロッキード・マーティンは否定的だ。仕様書は最悪の場合を想定しているばかりか、失効しており、2010年1月のテストでは「F-35BとAV-8Bの排気温に大きな差はなく、作戦運用上配慮すべき点はない」としている。

  1. Navfacはロッキード・マーティンを無視し、高温耐久性コンクリートのVL施設を4か所に建設した。パタクセント海軍航空テスト施設(メリーランド州)ではF-35BがVLをAM-2アルミニウムマット上で行っており、下のコンクリートを熱風から保護している。2010年1月のテストで仕様が変更にならなかった理由は何か。そのテスト実施方法は。海軍はこの質問をロッキード・マーティンに送っているが、いまだに回答はない。

  1. ロッキード・マーティンが根拠のない理由で非難の声を上げるのはこれが唯一の例ではない。ランド研究所Rand Corp. から昨年にJSFは三軍が独自に戦闘機を調達するよりも多額の費用になると報告があった際には、「無効データ」を使ったとランド研究所をロッキード・マーティンが非難したものの、報告書中にない数字への非難と判明している。

  1. 2011年度個別調達報告書でF-35Aの飛行一回当たりコストがF-16より40%も高いと指摘した際には、同社はペンタゴンの会計部門が数字を誤って解釈したと主張。報告書はその後二回刊行されているが、数字はほとんど変わっていない。

  1. もっと深刻なのはF-35B選定には二つの理由があrることだ。LHA/LHDクラスの揚陸艦艇に着艦できること、および即席の前進運用拠点forward operating location (FOL)から運用できることだ。後者は3,000-ft. 相当の滑走路を意味する。FOLがなければ上陸部隊が期待できるのはLHA一隻あたり6機の戦闘機に限定される。しかし滑走路も一回しか使えないのであれば意味がない。

  1. Navfacが「標準飛行場用コンクリート」と称するのは軍仕様で砂利とポートランドセメントを混ぜたもの。滑走路の多くはアスファルトとコンクリートで作ってあり、ビチューメン(瀝青)をつなぎとしているが、過熱すると軟化しさらに溶解する物質だ。

  1. そこで海兵隊はAM-2着陸パッドを使う。しかしAM-2だとF-35Bを迅速に展開することができない。空軍の検討によると「敷設に時間がかかり、修理が困難、空輸が困難な性質がる」としている。縦横100フィートのVLパッドの重量は30トン超で部材点数は400ほど、それぞれ二名がかりで組み立てていく。

  1. 回転しながら、あるいはゆっくりと垂直着陸すれば熱負荷を分散できる。しかし、コンクリート、アスファルト、AM-2をアスファルト上に配置したもののいずれでもテスト実績はない。では複数機が近接して着陸するとどうなるのか。熱で飛散したアスファルトがステルス性のある機体表面に粘着しないか。

  1. JSFの研究開発費用で最低でも210億ドルがF-35B向けであり、同型は機体単価で最高額となっている。設計変更でF-35Bの重量、抗力、機体単価はいずれもF-35Aや-Cよりも増えている。本当に同機が約束の運用性能を実現できるかをぜひ見せてもらいたいものである。■