2017年10月21日土曜日

これが世界最大の防衛企業ロッキードが注目する重点技術分野だ


量子コンピューターには過大な期待が証券市場で見られるようですが、今回発表した技術分野はそれぞれロッキードが公表しても無害と判断した分野だけでしょう。実際にはもっと奥深いものがあるはずで、そういえば常温核融合技術はあれからどうしたんでしょうか。日本企業もどんどん未来に向けた投資が必要なはずですが、内部告発がなければ長年の悪い習慣が破れないのは如何した者でしょうか。

Inside the ‘foundational’ future technologies of the world’s largest defense company

世界最大の国防企業が考える「基礎的」将来技術の内側を見る

Lockheed Martin's concept art reflects its belief in the potential for directed-energy weapons against unmanned systems. (Lockheed Martin)

By: Aaron Mehta 18 hours ago

WASHINGTON ― ロッキード・マーティンは世界最大の国防契約企業で2016年の総売り上げは470億ドルだった。今後も首位に残るためには新技術開発を続ける必要があり、同社技術のトップが金のなる木と見ている内容を明らかにしてくれた。
  1. ケオーキ・ジャクソンKeoki Jacksonはロッキードの最高技術責任者で「基本」技術体系で同社がこれから数十年にわたり投資していく分野を10月11日の報道陣懇談会で明らかにしている。
  2. 技術内容は三つに大分類される。まずジャクソンがいうところの「戦略技術面」で「海中から宇宙まで広がる全ドメインでロッキード・マーティンの得意分野を活用すること」だという。
  3. ここには自律運用、指向性エネルギー、情報処理通信技術、センサー、組性能サイバーセキュリティが含まれる。
  4. 実用段階の指向性エネルギー兵器の登場を国防セクターが期待しているがジャクソンは「一大転換点」に来たとし同社の60キロワットシステムについて言及している。この装備はストライカー戦闘車に搭載されており、今後150キロワット超まで拡大される。
  5. 本題と離れたがジャクソンは同社が極超音速技術も開発中と認めた。「極超音速革命に近づいており、当社の顧客を支援して高速打撃性能の実現を目指す」と述べた。
  6. 二番目は新しい能力を実現する技術群で、各大学や民間技術企業に「大型投資」を投入していくとジャクソンは述べた。
  7. 「社内で技術開発をすべてするのではなく、民間部門で進展中の技術に大規模投資をしている」とジャクソンは述べ、投資は金融部門から農業まで多様に広がっていると説明した。
  8. ここにデータ解析技術やビッグデータに加え高性能電子技術や高性能素材や製造技術が含まれる。同社傘下のLMヴェンチャーファンドがここにからみ1億ドルを外部テック企業に投資している。
  9. 三番目が新技術分野で「長期視野でハイリスクの賭け」と評した。ジャクソンがあげたのは量子コンピューター、通信暗号技術さらに合成バイオロジーだった。
  10. 「今日の世界では生きた分子マシンの設計も可能で、プログラム言語でいうプログラムコンパイラーのようなツールを使いDNA形成を自動化できます」とジャクソンは合成バイオロジーについて述べている。「分子マシンで分子レベルで何でも精密に作れる段階にきている」
  11. 生物工学は「革命的」に航空宇宙分野に応用できるとジャクソンは認め、量子技術の可能性に興奮しているようで情報科学への応用に注目している。
  12. 「情報科学の次の飛躍は量子だろう。今は解決できない問題もコンピューター上で答えが見つかる。全くの新素材を一から設計して今と違う応用が実現する」
  13. 2015年公表の米空軍の研究成果では量子技術では実際より大幅に「誇大宣伝」があると警告しているが、ジャクソンはこの分野の投資見返りは難しいと認める。だがこの技術の可能性は研究予算を大幅に増やすだけの価値があり、高額なD波装置の取得もその一部だという。.
  14. 「この中にはSFにしか聞こえない要素もありますが、米国内のラボや他国で量子レベルのコンピューターが実現しつつあり、一部では非常に興味深い通信やセンサー技術の進展に関連しています」とジャクソンは述べている。■

2017年10月20日金曜日

★スーパーホーネット大改修の内容がわかった ボーイングはこの通り契約を獲得できるのか



Aerospace Daily & Defense Report

Stealthy Super Hornet In Cards As Boeing Plans Major Overhaul

ボーイングが大幅改修するスーパーホーネットはステルス性能を付加

F/A-18: Boeing

Oct 18, 2017Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report



  1. 米海軍のスーパーホーネットの耐用年数限界に近づく中、ボーイングは大幅改修案を検討中で機体構造アップグレードとともにステルス塗装処理を施せばF/A-18E/Fは今後も稼働可能になるという。
  2. ボーイングはスーパーホーネットの耐用年数改修 service life modification (SLM)の開始を2018年4月と見ているとSLM事業を率いるマイク・シアーズMark SearsがAviation Weekに10月17日述べている。契約が成立すれば同社はスーパーホーネットの飛行時間を現行の6千時間にさらに3千時間追加する作業を開始する体制にあるという。
  3. 改修は構造強化と一部サブシステムが中心だが、同時に各機を最新ブロックIII仕様にするとシアーズは述べている。低視認性(LO)表面塗装とレーダー波吸収剤(RAM)の改良策も選択肢のひとつだという。
  4. 最新ブロックIII仕様のスーパーホーネットがどこまでステルス性能を有するのか不明だ。ブロックIIIは2020年にロールオフする。米海軍は「高度非探知性向上策」を2018年予算要求に盛り込んでいるがボーイングによればブロックIIIはLOを中心に置いていない。
  5. 「ステルス性についてはある水準で線を引き、バランスの取れた残存性を確保できると判断しており、それが現状の水準です」とF/A-18とEA-18事業を担当するダン・ジリアン Dan Gillianが述べている。「F-35は確かにステルス性能が優れていますが当社はバランスを重視し残存性と電子戦装備と自機防御能力を進めました」
  6. スーパーホーネット改修は米軍にいかにも時期の悪いタイミングとなる。海軍戦闘機の即応耐性の低さが続いていることが知られており、任意の日で海軍F/A-18で飛行可能なのは52%にすぎず、旧型ホーネットでは44%で、やや高性能のスーパーホーネットでは54%だ。この数字はここ15年に渡り海軍が機材運用に苦労している状況を物語るものと海軍作戦次長のビル・モラン大将Adm. Bill Moranは見ている。
  7. 短期的にはスーパーホーネットをSLMに送れば、作戦運用機材が減る。だがSLMしなければ各機はすぐにでも使用不能となる。
  8. 機体がSLMに入っている時間を利用して海軍はブロックIII用の新型高性能コンピューターを搭載できるとシアーズは述べる。新型空母の高性能センサー性能を配慮して操縦席廻りでは表示装置の大型化や分散型標的処理ネットワークDistributed Targeting Processor Network (DTPN)と呼ぶ高性能コンピューターやデータ転送量を拡大した戦術標的ねとワーク技術Tactical Targeting Network Technology (TTNT)の搭載も視野に入っている。
  9. 中でも重要なのはこのアーキテクチャーでスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー電子戦機、E-2Dホークアイが相互交信で敵情報データを共有できる戦闘環境が生まれることだ。
  10. ボーイングが想定するスーパーホーネットブロックIII改修では他に長距離赤外線センサーもあり、高性能敵機を遠距離で探知追跡できること、機体一体型燃料タンク(CFT)で飛行距離を100ないし120カイリ伸ばすことがある。このうちCFTは現行の追加燃料タンクのかわりとなり、重量軽減と抗力発生を減らせるのでペイロード増加につながる。
  11. SLMは2028会計年度まで続く見込みでボーイングは海軍とスーパーホーネット400機の改修を予定する。実施は同社のセントルイスおよびサンアントニオ両工場で行う。
  12. シアーズは初号機の改修完了には18ヶ月を見込むが、12ヶ月に短縮化する可能性に言及している。
  13. ボーイングはセントルイスで「学習用」機材2機を準備して可能な限りの準備体制を整えており、予測と実機状況のかい離を減らそうとしている。■

2017年10月19日木曜日

イスラエルはF-35を実戦投入したのか


うーんこれはどうなんでしょう。イスラエルがいち早くF-35を実戦投入していた可能性はあると思うのですが、バードストライクというのも怪しいですね。中東地区ではF-35を運用するイスラエル軍の立ち位置は他の追随を許さないはずなのですが。イスラエルが常識を超えた運用をしてた可能性もあり、なんともいえません。日本からすればイスラエル軍への関心が高まればいいですね。日本ではまだテスト中ですが、イスラエルは機体を受領してしかも謎の自国製装備まで搭載してI型にしているのですね。イスラエルには敬意をひょします。



The F-35 Rumor Mill Is Spinning After Israeli Counter Strike On Syrian SAM Site

イスラエルのシリアSAM陣地攻撃でF-35投入の噂が乱れ飛ぶ

A belated report about a bird strike on an F-35I has resulted in theories of an Israeli coverup being parroted around social media.

F-35Iバードストライク報道があとから出てきたのはソーシャルメディアで流布する噂のカバーアップか
BY TYLER ROGOWAYOCTOBER 17, 2017
OFER BERKOVICH—OFER BERKOVICH
イスラエルがシリアのSA-5地対空ミサイル陣地を攻撃して一日たち情報が増えきたが、F-35Iがシリアミサイルの攻撃をうけ損傷したとの噂が流れている。
第一撃ではイスラエル機がシリアSA-5ミサイルの有効射程内に入り、ミサイルが発射されたとイスラエル国防軍が発表している。交戦は現地時間午前9時ごろのようだ。イスラエル機材の種類は不明だ。一部報道ではF-16編隊としており、別の筋では写真偵察任務中のF-15C一機が加わり、護衛機よりも国境に接近したとする。イスラエル空軍はF-15Cに大型偵察ポッドを搭載している。
その後2時間後にイスラエルが別編隊を送り、この編隊はF-16と分かっている。ダマスカス東部のSA-5陣地を攻撃し、空対地兵器として爆弾4発が投下された。攻撃は火器管制レーダーに集中し、これは破壊しあるいは損傷を与え運用できない状態にしたとIAFの攻撃後評価は認めている。
イスラエルは全機無傷で帰還したとし、シリアは一機に損傷を与えたと言っている。アサド政権は偽りの勝利をいつも主張することで知られている。だがF-35I関連の報告に目を止めたものがいる。イスラエルは現時点で同型は7機しか保有していないが、うち一機がバードストライクで損傷したというのは実はレバノン上空でシリアSA-5による損傷を受けた事実をごまかすための作り話ではとの疑いが広まっている。言い換えると偵察機は実はF-35Iだったことになる。
F-35Iがイスラエル国外の作戦に投入されていた可能性は排除できないが、可能性は限りなく少ない。イスラエルはF-35の初期作戦能力獲得を達成しておらず、同機をいきなり危険地に送るのはひどく奇妙かつ無分別な選択に思える。イスラエルが新型機を戦闘状況に投入する緊急度があったとしてもF-35Iはイスラエル政府にとってきわめて特別な調達案件である。イスラエル国会も同機の高価格に注目し、50機発注中の同機を「きびしく査定する」と述べている。その中で新型機をいきなり実戦に投入するリスクをIAFがあえて行ったとは思えない。
またF-35が高性能電子情報収集能力を持つのは事実だが従来の戦術情報収集能力とはかけはなれている。今回のミッションに同機を送ってもあまり意味はないはずだ。
IAF
F-35I Adir.
F-35Iがレバノン上空で標的になったと仮定してもSA-5が命中した可能性は極めて低いし、IAFが言うバードストライクは二週間前のことで、該当機はその後飛行せずにロッキードのチームが検査中で修理方法をその後助言することになっている。
"A bird hit it" - Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By #Syria's S-200 Missile – Reports https://shar.es/1PoD8M
Photo published for Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By Syrian S-200 Missile - Reports

Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By Syrian S-200 Missile - Reports

読者の皆さんもステルスF-35がシリアSAMの標的になる可能性があるのかと思うだろう。ロシアとシリアが防空装備を統合してデータ交換によりロシアの高性能センサーでステルス機探知が容易になっているのは知られている。またF-35も高周波レーダーの探知から逃れるように最適化されているが、低周波を使われると探知可能と言われる。だが仮にF-35Iが探知されれていても追尾されかは別の話であり、まして交戦は無理なはずだ。同機には高性能電子戦装備が搭載され、敵攻撃をかわすことができるはずだ。
入手できた情報をまとめると、F-35IがシリアのSA-5で損傷を受けたというのは陰謀説顔負けの報道でありF-35の性能を攻撃することにあり、米国の生み出した空戦技術とIAFが主張する中東地区での航空優勢とかけなはれている。
ただしすべての可能性を完全に排除できない以上、フロイトではないが、バードストライクはやはりバードストライクだったのだろう。
Contact the author: Tyler@thedrive.com
IAF
F-35I and F-16I in formation over the Israeli countryside.

2017年10月18日水曜日

★★韓国KF-X開発の最新状況

FA-50でロッキードの助けをかりていますが、KF-Xでも同様のようです。もっともF-35を採用したのもKF-X開発のためのようにも見られますが、そもそもKF-X開発の動機が理解困難です。韓国が米国離れしたところで基礎技術等しっかり米国から逃げられない構造のはずですし、米国の代わりに欧州に頼っても同じ構図でしょう。



Aviation Week & Space Technology

South Korea's KF-X Grows Considerably In Development

韓国KF-Xの開発状況
Two-seat version and European weapons added to Seoul’s new fighter
複座仕様と欧州装備の採用が韓国の新型戦闘機構想の中心


Oct 13, 2017Bradley Perrett and Kim Minseok | Aviation Week & Space Technology



韓国航空宇宙工業(KAI)のKF-X戦闘機が拡大を続けている。コンセプト構築時にはユーロファイター・タイフーン程度の大きさだったが繰り返し寸法が拡大している。
国産戦闘機を目指す同機は複座だと開発元は確認しているが初期は単座だった。MBDAのメテオおよびDielのIRIS-T空対空ミサイルを装備すると韓国国防調達部門は述べており、米製兵器への依存度を解消する考えだ。
双発のKF-Xは初飛行2022年をめざす。韓国空軍とKAIは初号機引き渡しを2024年に設定しているが、2026年以前の機体は開発用のはずだ。実戦対応の初号機は2026年に初めて出現するはずだが装備は完全ではない。インドネシアがKF-X開発のジュニアパートナーとなっている。
国防省の国防開発庁(ADD)が開発を主導しており、KAIが詳細開発を担当する。さらに調達部門の国防調達事業庁(DAPA)がジェネラルエレクトリックF414エンジンを2016年に選定した。
設計案C107は2012年に始まった設計案の最新版である。ロッキード・マーティンがF-Xフェイズ3の選定にF-35ライトニングIIで勝ち残った2013年時点はC104だった。選定の勝者はKF-X開発への支援が求められている。
各設計案では尾翼がついているが、カナード翼を付けた案もヨーロッパ勢がフェイズ3で勝ち残っていたら実現していただろう。C107以前の設計案はすべて単座機であったがKAIの2016年ニュース取材の背景に複座機案が写っていた。
機体大型化で機内容積を増加し空力特性の改良するとDAPA関係者は述べている。
DAPA公表の低解像度図面で設計案5通りが判明して2012年以降のKF-Xの進化過程がわかる。機体は大型化し主翼も大型化したが設計陣は基本形にこだわり前縁後退角が40度でアスペクト比が2.7のままだ。
最初がC101で2012年のC103で基本形となり今に続いている。事業立ち上げ段階ではC103がだったが2014年にC104になり、機体一体型アンテナと内部搭載が修正された。図面の外観上はほとんど変化がない。
With development due to be completed in 2026, the KF-X’s wing and fuselage have both grown during several design iterations. Credit: Colin Throm/AW&ST
C104の寸法は不明だが、C105(2016年以降)はC103より大型化している。翼幅は10.7メートルから11メートルへ、全長は40cm伸びている。拡大の半分は主翼の大型化によるものだ。機体では主翼取付位置が後退し、胴体がやや広げられている。
またキャノピー形状が変更されており、おそらくステルス性と関係があるのだろうが、F414エンジンが選定され空気取り入れ口の形状が変更された。当時は最大の出力を誇ったF414は非常にかさばるエンジンで機体設計も対応して拡大されたのだろう。
空虚重量が2%しか増えず11.1トなのはその他部分で重量軽減に努めたためだろう。タイフーンと比べるとわずかに全高が大きい。
さらにC106では翼幅、主要面積、胴体長すべてが大型化している。コックピットは前方方向に移動した。C106の各寸法は不明だがC107と同程度のようだ。C107の翼幅は20cm伸びているが、C105よりわずかに大きい程度だが、タイフーンより明らかに大きい。
胴体前方の形状はC107で改良された。主翼取付位置も前方に移動し、胴体と一体化して尾翼は前方に移動しており、移動した分のモーメントアームの相殺として全高が増えている。
C107以前はエンジンが接近して搭載されていたが、現在は距離を置き、機体残存性を高めながらエンジン間に空間を確保している。機首は当初案より鋭さをましており、日本が発表している国産戦闘機案に似てきた。2018年6月までに三案出てくるためさらに変更が今後発生する見込みがある。
後部座席が追加された理由は公表されていない。1990年代以前の設計案は複座型が通常だった。後部席は訓練以外に飛行乗員を運ぶために使われることもある。これはベトナム戦争後の流行だ。だがF-22、F-35、成都J-20が単座型しかないのはシミュレーターが高度化してパイロット養成の様相が変わったためだ。KF-Xで後部座席が復活したのはエイビオニクスが実は高性能でなく攻撃任務に二名体制でないと対応できないためかもしれない。
MBDA、Diehl両社はそれぞれメテオ、IRIS-Tミサイルの供給で合意しているとDAPAは述べており、販売条件の詳細が合意されたようだ。だが韓国にはIRIS-Tの使用でドイツの承認が必要だし、メテオ開発の関係国である英国、フランス、イタリアの承認も必要だ。各国政府の承認がいつになるか不明だ。メテオは長距離、IRIS-Tは短距離ミサイルだ。
韓国は米国装備も使う予定で、AIM-120AMRAAMやAIM-9サイドワインダーが対象だ。ただし各装備を機体に搭載するための調整は完了しておらずとDAPAは述べている。ワシントンは6月に両ミサイルの技術情報開示に合意しているが内容は1Aと呼ばれサイズ、重量、基本インターフェースの特徴に限定されている。韓国は1B情報として完全版を求めている。
KF-Xの完全開発は2015年末に長年にわたる国内論争を経て開始された目的の一つが韓国をワシントンの許認可なしで兵器運用できる国にすることで現行体制では米国製戦闘機購入の場合でも許可が必要なためだ
別の目的に米国の拒否権行使に関係なく兵装を確保したいという願望がある。だがエンジンがF414のため機体は米国の輸出管理の対象だ。
Cobhamが兵装庫と発射装置を供給し、大量供給する契約なのだろう。
発射装置は十分に長さを確保し機体の安全確保につなげるが機体からの発射速度は秒速9mでAIM-120とメテオには適合しているとCobhamは説明している。同社は2020年に数量不明の発射装置を供給し、総額は7百万ポンド(9.2百万ドル)になるという。納入時期と金額から試作機向けの契約で初期生産機材分も含まれるかもしれないし、エンジニアリング支援も内容に入っているかもしれない。
CobhamはKF-X量産機材向けの供給に触れていないが、開発段階で良好な実績を残せばその後の量産段階でも有利になることは明らかだ。
機体各所で必要な海外政府の承認が得られた。米政府によればインドネシアにはKF-X開発で使われる技術へのアクセスが認められるが、韓国と同内容の情報全部は開示されないようだ。ロッキード・マーティンがKAIにエンジニア30名を派遣しているとDAPAは明らかにした。今年末までに40名になる。インドネシアはエンジニア80名をKAIに派遣中だ。
韓国はKF-X向けにエイビオニクス主要装備4種を開発中でAESAレーダー、赤外線捜索追跡装置、電子光学目標捕捉ポッド、電子戦装備だという。
このうちレーダー開発の完了は2026年で3,600億ウォン(3.2億ドル)とDAPAが明らかにしている。この装備には送受信モジュールがおよそ1,000個必要だ。重要な設計審査は2019年中ごろの予定だ。
ハンファHanwha とADDがハードウェア実証モデルを作成中で構成はハンファのAESAアンテナと電力源にElta Systems Ltd.製の受信励磁機とプロセッサーを組み合わせる。イスラエルのEltaが選定されたのはハンファのレーダー開発を認めた形だが、Eltaの役目はもっと深い。
ハンファはアンテナ部分と電源部分を6月に完成させたとDAPAは述べており、両方のコンポネントがEltaに9月に届けられレーダーとして完成され、2018年3月までテストが続く。
これと別にAESA技術実証装置が完成しており、C-130H輸送機の背中に乗せられテスト中だ。この装置には送受信モジュールが400個つく。
韓国はKF-Xを120機、KAIのFA-50軽攻撃機を50機導入して現行のロッキード・マーティンF-16ブロック32の34機、F-5E/Fの140機と交替させる。インドネシアはKF-Xを50機希望しているとの報道がある。■


2017年10月17日火曜日

NZ現地紙に見る次期輸送機調達、C-2の存在感なし



C-2/P-1のペアはニュージーランドに本当に売り込みを図っているのでしょうか。この記事からは存在感が伝わりません。一つの理由が現地メディア対応でしょう。英語が不得手ならロビーストを雇えばいいのでは。それだけの予算もかけられないのであればそもそも海外販売をする意欲もないのでしょうね。お分かりのように現地の期待はC-130Jに傾いているようですが、調達規模が少ないからと馬鹿にしていいのか、日本の(本来はメーカーの責任ですが、大使館はじめ本省がかなりピッチを入れているのも問題では)姿勢が問われそうですね。といいつつ日本のC-130Hも早晩後継機調達の話が出そうですね。ニュージーランドの政治情勢というのがよくわかりませんがご存知の方はご教示ください。


New government will have to make a call on Hercules replacement


C-130J Hercules that Lockheed Martin hopes to sell to New Zealand. Photo / Supplied

15 Oct, 2017 7:30pmBy: Grant Bradley
Aviation, tourism and energy writer for the NZ Herald
grant.bradley@nzherald.co.nz@gbradleynz

ニュージーランド新政権がまず手掛けるべき仕事の一つがハーキュリーズ輸送機の老朽化に対応した後継機選定だ。
導入後52年が経過した機材は耐用年数の終わりに近く、メーカーのロッキード・マーティンはニュージーランド防衛軍(NZDF)の5機に残された飛行時間を算定中というが、新型機導入は待ったなしになっている。
国防関係者による詳細な検討内容が年末までに内閣に提出されるが、ニュージーランド第一党の副代表と国防省報道官を兼務するロン・マークRon Markが次期輸送機選択のカギを握りそうだ。
だが本人は近年の国防調達事業に対して鋭く批判している。
ロッキード・マーティンの競合相手はブラジルのエンブラエル、日本の川崎重工でそれぞれ同規模のジェット輸送機を提案している。新型機はそれぞれハーキュリーズより高速だが運用面で実績がない。
ヨーロッパからはエアバスがA400Mの売り込みをかけているが同機はニュージーランドには機体が大きすぎかつ高価すぎる。
ロッキードは自社製品の採用に「慎重ながら楽観的」だ。新型のC-130JはH型と外観こそそっくりだがエイビオニクスを一新し出力は25パーセント強化している。
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied

ニュージーランドでは南極運用が重要で新型「スーパーハーキュリーズ」には悪天候の場合、マクマード基地まで飛んでも引き返す余裕があるが、旧型機の場合はもっと手前で帰還を決める必要がある。
ロッキードで東南アジアオセアニア地区で営業開発を担当するマイク・ケリーMike Kelleyは情報開示請求(RFI)は2013年だったと語る。NZDFは数回にわたり各社に詳細情報の開示を求めており、正式入札は来年になるとみている。
「政治情勢が影響しそうですが事案を内閣まで持っていければ理論上は入札が来年第二四半期までに出そうです」
現行機の耐用年数が切れる2022年のデッドラインに間に合わせるには翌年に契約を成立させる必要があると見られていた。
「競争入札を覚悟しています。それでも当社は勝てると見ていますよ。機材が優れていますからね」(ケリー)
型が変わっても同じハーキュリーズなので格納庫の改装は必要ないし、パイロットの機種転換もずっと簡単だとケリーは利点を述べる。
P-3オライオンも2020年代に更新時期を迎えるためロッキード・マーティンは海上哨戒機の売り込みも図っている。エンブラエルも同様だ。
ニュージーランドは2020年代に予算10億ドルで輸送機およびVIP機の更新を図る予定だ。■


2017年10月16日月曜日

53歳になったCH-53の過去、現状、未来



先週沖縄で発生した事故は深刻でしたが、例によって日本側の反応は感情的でCH-53全体の飛行をやめろ、とか危険な機体扱いにしてしまいましたね。住民に被害がなくて幸いでしたが、だれも米側乗員の安否を気遣わなかったのはどういうことでしょう。また、今後新g奈多のスタリオンが登場してもやはり危険機材扱いするつもりなのでしょうか。オスプレイと重なるところがありますが、背後に政治的な動機があるのか注視する必要もありそうです。また報道機関にはCH-53E(CH53ではありません)と明記してもらいたいものです。


The CH-53's Dark Present But Bright Future On This The Chopper's 53rd Birthday

明暗分かれる現状と将来の中、53歳になったCH-53

The type has gone through a turbulent patch in recent years but a new super powerful variant could revitalize its legacy for decades to come.

近年、つらい境遇にあったが、新型機の登場で再活性化され偉業はこれからも続く


STEVEN KAETER/SIKORKSY
BY TYLER ROGOWAYOCTOBER 14, 2017

  1. 巨大なシコースキーCH-53が53歳になった。「スタリオン」の初飛行は1964年10月14日で現在は三世代目のCH-53Kキングスタリオンが登場している。CH-53に代わる機体はCH-53の改良型しかないとはよくいったものだ。この事はイスラエルが最近身をもって知ったばかりだ。
SIKORSKY ARCHIVES
YCH-53Aとして1964年10月14日に初飛行
  1. Flightglobal.comによるとイスラエル空軍はMV-22オスプレイの評価を中断したが、CH-53D後継機としてオスプレイ数機を導入するつもりだった。Flightglobal.comはこう報じている。
  2. 「イスラエル空軍はベル=ボーイングV-22オスプレイの評価作業を凍結した。同国国防筋は現在シコースキーCH-53輸送ヘリコプターでこなしているミッションの一部はオスプレイでは実施できないとしている」
  3. これは半世紀にわたり稼働しているシコースキーの設計作業への賛辞であり、MV-22も戦闘捜索救難や長距離兵力投入などで大きな効果を示す機体であるが、「デルタ」と呼ばれる双発のシースタリオンは、その他の場面では依然優秀な効果を上げていることを示すものだ。
OREN ROZEN/WIKICOMMONS
  1. イスラエル国防軍にはCH-53Dが20数機あり、長距離大量ヘリコプター輸送任務についており、とくに夜間と特殊部隊の運用が重視されている。2010年ごろからヤスール2025仕様にアップグレードされ2020年代でも十分稼働可能な機体になっている。
  2. 他方で米軍のH-53E各型には2000年代はつらい時代だった。機体は酷使され装備全体の視点がなおざりになり最初にしわ寄せが来たのがMH-53Eシースタリオン掃海ヘリ各機で運用方法の変更に伴い事故が多発した。
  3. 海軍のシードラゴン各機にも海兵隊が輸送能力で多大な期待を寄せたが実態は悲惨だった。
  4. 2016年2月時点のCH-53Eの辛い状況について筆者はこう書いていた。
  5. 「海兵隊発注の第三者評価で問題が多々見つかり、スーパースタリオンは必要な機材数より50機も少ない146機しか稼働していないと判明した。米国が戦闘に入れば、仮に短期戦でもほぼ全機を稼働させる必要がある。このほかに訓練や緊急時対応や予備機材の問題がある。
  6. さらに状況を悪化させるのが部品不足や長年にわたる保守管理の先送りだが、なんと言っても驚かされるのは即応態勢率が23パーセントしかないことだ。つまりペンタゴンが目標とする軍用機即応率75パーセントに比べ三分の一水準しかないことになる。
  7. 即応態勢にあるのが23%でCH-53E全機数が146機ということは33機しか稼働できないということではないか」
USMC
CH-53Eの「サンドブラスト」はこれまで16年間にわたり中東で健在だった
  1. 当時のCH-53Eパイロットは海外展開から帰国しても半年でわずか30飛行時間しか操縦していなかった。予備部品が払底し、海兵隊はスーパースタリオンへの投資をすっかり忘れ、予算は単価65百万ドルのオスプレイと125百万ドルのF-35B調達に集中していた。
  2. CH-53E部隊はこの15年を戦闘投入されてきた陸軍はイラクアフガニスタンで大量の機材を喪失損失し海外戦役から帰還した機材は単価1.2百万ドルで『再調整』していたが海兵隊はわずか100千ドルで機体を再整備しただけだ
  3. 海兵隊はこの予算節約のツケを今払っており、戦闘準備態勢にしわ寄せを招いた先見の明のなさの代償を支払っているのだ。
  4. そこで海兵隊の解決策は今年は300百万ドルほど確保し(F-35Bならほぼ2機分、MV-22オスプレイ5機分に相当)しCH-53E再整備にあたることだ。目標はスーパースタリオン全機を整備し乗員とともに2019年までに全機稼働状態にすることだ。さらにH-53Eで保存中だった二機をエリクソン・インコーポレイテッドにより再復帰させ部隊編入する」
  5. だがスーパースタリオン2機もたてつづけに2016年1月にオアフの訓練ミッションで喪失したことでCH-53E部隊の実態が明らかになった。ひとつに乗員の受ける訓練が圧倒的に足りないことがあり、機材の稼働率の低さも事故の原因とされた。
  6. すべてが明らかになるとNAVAIR(海軍航空システムズ本部)による三か年計画のCH-53E機材再活性化事業が大きく改良され、常時16機の大修理、訓練・予備部品への予算投入が続いた。しかし、CH-53Eが先週沖縄上空で火災を起こし、緊急着陸を迫られる事態が発生した。同機は全損状態でAクラス事案判定となった。つまり2百万ドル超の損害または人命喪失あるいは生涯にわたる障害の発生で沖縄ではスーパースタリオンの飛行が96時間停止された。
AP
2017年10月12日に沖縄で不時着したCH-53Eの残骸
  1. 事故はまだ調査中だがCH-53E部隊には改めて機体の老朽化の進行を思い起こす効果になった。同機は今でも高速飛行、大揚力、ホバリング性能の高さに加え驚異的な操縦性を誇るものの機体がミッション投入可能な状態になって初めて発揮できる性能だ。だが救いはスーパースタリオンの後継機が現れていることだ。
USMC
テスト中のCH-53K キングスタリオン
  1. そこでCH-53Kキングスタリオンが登場する。筆者はシコースキーによるH-53の次期型を見て恐ろしく高価な機材になるが性能には感銘を受ける。米海兵隊にはこの性能こそが不可欠な要素だ。
  2. タービン三基で合計22,500hpと前型からほぼ50%の出力増で最高速は200ノット近くになり、最大離陸重量は何と85千ポンドだ。機内容積は15パーセント増え、各種改良で機体の信頼性を引き上げスーパースタリオンより保守整備の必要性を引き下げている。今後登場する新技術への応用性も残している。
  3. キングスタリオンの稼働開始でも遅延はあるが、現在鋭意テスト中で開発は順調だ。米海軍は304百万ドルでCH-53Kをまず2機就役させる契約を交付した。機体は2020年に引き渡される予定でCH-53Eにもやっと引退の道筋がつく。
AP
ドイツの CH-53G
  1. 米海兵隊は200機を調達する予定だがCH-53Kは海外からも注目を集めている。イスラエルはMV-22のかわりにあるいは並行して同機を調達する可能性がある。ドイツも現行のCH-53G(D型の改修版)の後継機として関心を示しており、日本はMH-53Eシードラゴンを稼働させていた実績がありが導入国になる可能性がある。その他の国では多くがH-47チヌークを飛ばしているがキングスタリオンが今後成熟化すると購入検討する国も現れるだろう。
  2. 直近の事故を除けば、CH-53は軍事航空作戦での実績で輝かしい記録を打ち立てた機材だ。功罪両面でだ。キングスタリオンが登場してもCH-53の実績はまだつまだ続き、いつの日かスタリオンが75周年、100周年を迎える可能性も十分ある。■
USMC
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