2022年4月26日火曜日

米海軍、巡洋艦全廃に舵を切りたいが、議会に反対派。A-10と同じ構造では。

 


USS ヴィッカースバーグ (CG-69) がBAEシステムズのノーフォーク艦艇施設で修理を受けている April 8、 2022. Christopher P. Cavas Photo used with permission

 

 

導ミサイル巡洋艦USSヴィッカースバーグ(CG-69)は、2030年代まで維持すべく、総額2億ドルの修理の真っ最中だ。BAEシステムズ艦艇修理施設が2020年からヴィックスバーグの改修作業にあたっている。

 

 

 修理作業は、22隻残るタイコンデロガ級巡洋艦のうち11隻を2030年代まで維持し、空母打撃群で運用し、防空指揮官を乗せるとの10年前に出た論議を呼んだ海軍近代化計画の一部だ。

 しかし現在、海軍は、修理と維持にコストがかかりすぎるとして、旧式装備の大規模削減の一環として、近代化を中止しようとしている。今週発表された長期建艦計画によれば、海軍は近代化計画の対象艦を含む、巡洋艦の全艦を今後5年間で廃止する。

 議会が海軍の計画を認めた場合、海軍は2年間で巡洋艦10隻を退役させ、2023会計年度末には巡洋艦を22隻から12隻に減らす。

 海軍の戦力要求・能力担当副作戦部長(OPNAV N9)スコット・コン中将Vice Adm. Scott Connは、水曜日に記者団へ、「供用開始後30年以上経過した艦船に近代化のため資源を投入し続けていいのかに尽きる」と述べた。

 「議会は不満に思うかもしれないし、反発するかもしれない。第一線部隊には懸念がある。先週、ヴィックスバーグを訪れ、艦内を歩いたが、作業が進んでいた。しかし、まだまだ先は長い。これは海軍の『現実を見る』一部であり、現状を評価している。各艦へ投資を続けても、戦闘能力に見返りがあるだろうか」

 ヴィッカースバーグとあわせ、USSバンカーヒル (CG-52)、 USSモービルベイ (CG-53)、 USS サンジャシント (CG-56)、 USSレイクチャンプレイン(CG-57) を海軍は2023年度に退役させたいとしており、USSモンテレー (CG-61)、 USS フエシティ (CG-66)、 USSアンツィオ(CG-68)、USSヴェラガルフ (CG-72) とUSSポートロイヤル(CG-73) は今年退役が既に決まっている。

 残る22隻の巡洋艦は、2027年までにすべて退役する。

 今回の海軍の提案では、海軍と議会間で長年にわたる議論がさらに続くという予想がある。議員側は、後継艦なしで巡洋艦を退役させる海軍を繰り返し批判してきたからだ。

 巡洋艦の退役は、海軍と議員にとって10年以上の間、悩みの種であった。海軍は、巡洋艦運用を一時休止し、近代化するか、永久に退役させるなど、様々な案を出している。海軍の提案はすべて、議会が否決してきた。

 海軍と議員のやりとりは複雑で、年ごとに詳細や理由は変わるが、海軍は巡洋艦の削減を求め、議会は代替艦ができるまで維持を求めるという全体的な論調は一貫している。

 「現行巡洋艦の近代化は、見積もりコストを175〜200%上回り、数百日分の遅れが生じている。各艦は耐用年数30年の想定だったが、35年になっている」と、海軍作戦部長マイク・ギルデー大将Adm. Mike Gildayは昨年の下院軍事委員会で語っている。

 アンツィオ艦長をつとめたエレイン・ルリア下院議員(民、ヴァージニア)Rep. Elaine Luria (D-Va.)は、中国の海軍増強に直面し、海軍の巡洋艦退役案を声高に批判している。ルリア議員らは「デビッドソンの窓」(元米国インド太平洋軍司令官フィル・デビッドソン提督の警告)を持ち出し、中国が10年以内に台湾に動き出す可能性があると指摘している。

 同議員は昨年、「今ある艦であり、耐用年数を10年ほど延長する近代化とアップグレードのコストは、新造艦建造よりかなり低い」とUSNIニュースに述べている。

 「今ある艦をどう使うべきか、どうすれば最も効率的に使えるかを検討の必要がある。将来をにらんだ技術開発に投資するため、供用期間が残る現有艦を処分する考えは、新型プラットフォームの開発での低い実績を見れば、意味をなす物に見えない」。

 海軍の現在の計画では、巡洋艦は次期フライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦に置き換えるとある。最初のFlight IIIジャック・ルーカス(DDG-125)は、来年就役の予定だが、駆逐艦の就役は、現行巡洋艦の退役より遅いペースになる。

 

USSアンツィオ (CG-68)がノーフォーク海軍基地に係留されている April 7、 2022. USNI News Photo

 

 海軍は次世代巡洋艦「CG(X)」を計画していたが、コスト問題から2010年に中止していた。

 2010年代半ばには、各巡洋艦が耐用年数を迎えるため、近代化して再び艦隊に加えるとして、7隻を先に退役させることになった。対象艦は正式には退役せず、乗組員数が管理サイズに縮小した空白の状態に入った。備品や燃料、艦船の装備は撤去され、別の巡洋艦の近代化プログラムに「参加」させた。造船所での作業も段階的にしか行っていない。

 近代化プログラムの対象艦は、いずれも現役復帰していない。フエシティとアンツィオの2隻は今年中に退役する予定で、状態が悪いため、海軍は修理の価値がないと判断した。

 今月初め、ノーフォーク海軍基地で、救命ボートがなく、塗装がピンク色に変わり、喫水線から船体にかけ腐食が進むアンツィオを見ることができた。

 新計画は、「うまくいくかどうか懸念があるのを認識している」とコン中将は言う。「ゲティスバーグでは成功した。同艦が動き出すのを見たい。ヴィックスバーグでは日程が決まった。その日を迎えられるかどうか。すべて紙の上での決定だが、それを変えようとする人たちがいる」。■

 

After a Decade of Debate、 Cruisers Set to Exit Fleet in 5 Years - USNI News

By: Sam LaGrone、 Mallory Shelbourne and Christopher P. Cavas

April 21、 2022 6:23 PMUpdated: April 22、 2022 9:40 AM


   

 

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主張 ウクライナ侵攻でNATO核抑止政策は瀬戸際対応への変貌を迫られる。核兵器による安全保障を真剣に考える状況に。

  

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B61核爆弾を搭載したF-15

 

 

ロシアのウクライナ侵攻でNATOの核抑止力が揺らいでいる

米では何十年もの間、大国間の大規模戦争の力学や核エスカレーションの可能性をあえて考えるのは不要としてきた。だがロシアのウクライナ侵攻でこうした安全保障の感覚を打ち砕かれた。

 ウクライナ侵攻は、プーチンの壮大な野望を明らかにした。プーチンは、東欧にロシア・ソビエト帝国を再建したいと考えている。ウクライナの合法性を認めないことで、旧ソ連のラトビア、リトアニア、エストニア、さらにはフィンランドやポーランドといった近隣諸国の正統性が不安になった。

 プーチンは、ソ連崩壊を「今世紀最大の地政学的大惨事」と位置づけ、「何千万人もの同胞、同胞がロシア外で暮らすことになった」と嘆いている。プーチンは、ロシアが安全であるため、ヨーロッパのパワーバランスに修正が必要と感じている。この野心がロシアの外交政策を説明し、プーチンの非自由主義的、保守的な哲学の産物、ソ連崩壊後にロシア勢力圏を発展させたいとするプーチンの願望の説明とも一致する。

 長期的に見れば、NATOがプーチンを抑止する最善の方法は、ロシアがラトビア、リトアニア、エストニア、ポーランドといった領土を奪う能力を否定できるだけの通常兵力を東欧に配備することである。しかし、NATOにはその能力が今はなく、整備に時間がかかる。その間の「脆弱性の窓」では、米国の核抑止力とNATOの戦術核が欧州の安全保障のバックボーンとなる。

 抑止力の信頼性を確保するため最善の方法となるのが今回の戦争の結果だ。ロシアがウクライナで長期戦に陥る可能性が高くなれば、東欧のNATO諸国を攻撃して紛争を拡大する動機が生じるかもしれない。これを抑止するため、米国とNATOは、冷戦初期の核戦略家が提唱した瀬戸際政策を穏健な形で取り入れて核抑止力の信頼性を高めるべきだ。これは、米国とNATOの核態勢を変化させ、紛争早期で核兵器の使用を脅すことを意味する。ただし、この解決策は理想的ではないし、短期的な解決策と考えるべきだが、今日のヨーロッパの安全保障に、瀬戸際外交をある程度までNATOが受け入れることが必要となる。

バルト諸国のリスク

米国とNATO同盟国の目標は、ラトビア、リトアニア、エストニア、ポーランドなど東欧諸国をロシアの攻撃から守ることのはずだ。東欧のNATO諸国、特にバルト諸国は、自力で防衛する能力を持っていない。ウクライナ戦争の初期段階でロシア軍はおそまつな戦果を示したが、これをもって東欧のNATO諸国が通常兵器防衛能力を十分に有していると考えてはいけない。東欧のNATO諸国はウクライナ軍より小規模で、ロシア侵攻にはウクライナより不利になる。さらに、ロシアのウクライナ作戦は、ウクライナ人に戦意が欠如し、抵抗はすぐ崩れるとの楽観的な想定に基づいていたようだ。そのため、ロシア軍の侵攻作戦の第一段階は、ウクライナ周辺に集結した19万人規模兵力の一部に過ぎなかったのだろう。米国とNATOは、ロシアがNATO加盟国を攻撃する場合は、異なる仮定で、異なる方向に進むと予想すべきであり、おそらくロシアは作戦序盤で大兵力を投入してくるはずだ。

 ロシア部隊多数がウクライナで泥沼にはまっているが、ロシアには現在の戦争をNATO領内へ拡大する通常戦力が残っている。例えば、ロシアは長距離攻撃で、ウクライナに入る物資の輸送隊を攻撃できる。さらに、ロシアは、領土をより多く奪うための攻撃的な任務ではなく、ウクライナ東部と南部で獲得した領土を保持する可能性もある。ウクライナで重点を新たに「防衛」に置けば、東欧のNATO諸国を攻撃するロシア軍をより多く解放できる。つまり、ロシアはNATO加盟国を攻撃しながら、その気になれば戦闘力の焦点をNATO加盟国に向ける能力をまだ有している。

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、NATO加盟国に、通常兵器による防衛力強化に投資を増やす可能性が出てきた。ドイツが国防予算の倍増を決定したことは、この点で示唆的である。NATOが東欧配備の部隊を増強したことも、最近の好ましい動きである。しかし、こうした進展が実を結ぶまで時間がかかる。

 現在、NATOのバルト諸国防衛は、ロシアの攻撃には核兵器で対応するという脅しに依存している。しかし、プーチンの最近の核兵器使用の発言は、こうした脅しを信用せず、核戦争のリスクを冒すより、ワシントンが引き下がると見ていることを示している。実際、冷戦時代でさえ、米国がベルリンとボストンを交換することをソ連に納得させるのは、大変困難なことだった。同盟の拡大は、この課題をさらに高める。ビリニュスとニューヨークを交換するとプーチンに信じさせるにはどうすればいいのか。

瀬戸際外交の技

この課題に対応するため、米国とNATOは瀬戸際外交の逆説を取り入れるべきだ。トーマス・シェリング Thomas Schelling言葉を借りれば、「米国が世界を吹き飛ばしかねないように仕向ければ、そうする必要はなくなる」のである。これには、「偶然に任せる脅し」や、いったん実行されれば「手に負えなくなるプロセスを開始させる脅し」が含まれる。

 開戦となり核エスカレートのリスクを共有するため戦術核兵器を実際に使用する国があらわれたとしよう。戦術核兵器は「戦略」核兵器より破壊力が弱いため、使い勝手がよく、通常戦争と核戦争の境界線を曖昧にすると考えられている。同時に、戦術核兵器の使用は、通常兵力の使用よりも高い核紛争のリスクを発生させる。つまり、戦争初期に戦術核兵器を使用すると脅せば、災害リスクの共有を増加させる。このため、通常兵力で劣勢に直面した国家は、核兵器に大きな投資を行う傾向がある。

 瀬戸際戦術には、抑止力とエスカレーションのリスク間のトレードオフも含まれる。国家は、核使用のリスクを低く抑える「最小限の瀬戸際外交」戦略を採用でき、戦争で敵対国の目的を否定できるだけの通常戦力がない場合、敵国の攻撃の動機付ける可能性がある。一方、「最大限の瀬戸際外交」戦略をとる国は、紛争が起きた場合に核戦争の高いリスクを発生させるが、高リスクで敵に自制を促すことができる。米国は1958〜59年のベルリン危機の初期に、核エスカレーションを予告する最大限の瀬戸際政策を用いた。

 国家の防衛戦略における瀬戸際外交の程度は、最小から最大までの尺度がある。国家の戦略は、敵の意図と能力次第で、尺度のどこに位置づけられるかが決まる。通常兵器で劣る敵対国に対して、核戦争のリスクを高めても意味がない。攻撃的な動機を持つ敵対国に対しては、最大限の瀬戸際外交のリスクが正当化されるかもしれない。しかし、敵対国が武力行使を計画していない場合、最大限の瀬戸際作戦は敵対国に不安を与え、本来抑止するはずの攻撃を逆に実行させる可能性がある。

バルト諸国と瀬戸際外交

NATOはモスクワのどのような敵に直面しているのだろうか。答えは、現在の紛争の結果次第である。ウクライナは消耗戦に陥っているロシアを悪化させる結果となる可能性が高そうだ。6週間にわたる戦闘の後、ウクライナにおけるロシアの前進は停滞した。ロシア軍が地域の市民に恐ろしい無差別暴力に出る結果となった。現時点では、ウクライナ政府を崩壊させる速やかな勝利は望めそうもない。

 ロシアがウクライナでの敗北を認めることはないだろう。3月29日、ウクライナとロシアの和平交渉が進展しているとの報道があったが、ロシアの交渉責任者ウラジミール・メディンスキー Vladimir Medinskyは、ロシアが停戦に応じるまで「道は長い」と強調した。ロシアは、キーウ占領からウクライナ東部の支配強化へと戦争目的を変えたように見える。この目的の戦いは高コストとなり、戦争が長期化する可能性が高くなる。欧米の対露制裁は継続され、欧米諸国はウクライナ軍への支援を継続する。その支援は東欧諸国を経由することになる。

 膠着状態を打破し勝利を得るために、プーチンは輸送中物資が東欧のNATO諸国、特にポーランドに滞留している間に標的を定めることが考えられる。また、バルト三国を限定攻撃し、ロシア語圏の領土を獲得することも考えられる。そうすれば、海外でロシア語を話す人々を守るとの主張を補強できる。経済制裁がロシア経済にとって過酷な効果を生み、戦争拡大以外に危機を脱する方法がないと判断されれば、プーチンがこのような行動を取る動機付けになるかもしれない。このエスカレートへの道筋は、1941年に真珠湾を攻撃した日本と似ている。

 このシナリオは、NATOに深刻な抑止力のテストとなる。ウクライナに送られる物資への攻撃では防御が困難で、ロシア軍はバルト海の初期防衛に当たるNATO軍を圧倒する可能性がある。こうしたシナリオの脅威に対する最善の対応は、そもそもこうした事態が起こらないようにすることである。そのためには、適度な瀬戸際外交が有効だろう。米国とNATOは、非対称的エスカレーションを可能にするため、核態勢と政策を変更すべきである。

 同盟国は欧州5カ国にB61重力爆弾を配備しており、航空機での運搬が可能である。米国とNATOは、「核体制の見直し」と「抑止・防衛体制の見直し」を変更し、核兵器を最初に使用する能力を留保していると強調すれば、影響力を高めることができる。また、NATOの核兵器を搭載した航空機部隊の演習回数を増やし、即応性を強調できる。ロシアによる攻撃が差し迫っているようであれば、米国はNATO同盟国と協議の上、これらの部隊を警戒態勢に移行させればよい。米国とNATOによるこの措置の目的は、ロシアの「レッドライン」を越えて挑発せず、NATO諸国への攻撃が核兵器に与える影響をロシアに強調することである。

 重要なのは、NATOがロシアよりも多くの戦術核弾頭を保有していることや、ロシアの進攻を阻止できることではない。NATOの核兵器は核のしきい値の突破を脅かす政治効果をもたらすだろう。そのためには、現在の約130発の戦術核兵器で十分だ。

 この非対称的なエスカレーション戦略は理想的ではないし、大きなリスクを伴う。しかし、これは新規加盟国の防衛計画を策定せずにNATOを拡大してきた、過去の決定の産物である。NATO拡大は、政策立案者がヨーロッパでの戦争リスクを低く想定していたため、大国間戦争やエスカレーションの力学を考える必要がなかった時期に実施された。プーチンは、西側諸国の指導者たちのナイーブな考えを払拭し、その過程で、野心的な目標を追求するため攻撃的でリスクを受容する姿勢を示したのである。NATOとロシアの紛争では早い段階で核兵器使用を脅すことが、プーチンから欧州を守る最良の方法になるかもしれない。■

 

Russia's Invasion of Ukraine and NATO's Crisis of Nuclear Credibility - War on the Rocks

TYLER BOWEN

APRIL 20, 2022

 

 Tyler Bowen is a postdoctoral fellow in the Kissinger Center at Johns Hopkins SAIS. His research focuses on the dynamics of nuclear crisis bargaining and the implications of those dynamics for U.S. grand strategy. More information on his research can be found at https://app.scholarsite.io/tyler-bowen, and you can find him on Twitter @RealTylerBowen


ポーランド向けエイブラムス戦車をウクライナへ回せないか。戦車は現代の戦場で脆弱になった? ロシア戦車の損失発生は統合作戦の運用思想が欠落しているからだ。

 


Why not give Abrams Tanks Going to Poland to Ukraine?

ポーランドで夜間射撃訓練にあたった米陸軍 M1A2 エイブラムズ戦車 Jan. 29, 2022

(Sgt. Tara Fajardo Arteaga/Army)

 

 

エイブラムス戦車がポーランド向け有償軍事援助の一環で今年中に250両到着する。

 

ポーランド向けのエイブラムス戦車をウクライナに送れないか?ポーランドは賛成するだろうか?ウクライナ支援に積極的なことから、可能性はありそうだ。ポーランド行きのエイブラムスは、東部や南部へ少し移動すればウクライナ軍を支援できる。ポーランド向けエイブラムスは、ジェネラル・ダイナミクスで輸出仕様の追加生産で補充すればよい。

 

M-1 Abrams Tank

M-1 エイブラムズ

M1 Abrams Tank. Image Credit: Creative Commons.

 

 米国製エイブラムス戦車をウクライナに送れば挑発的すぎるだろうか。ウクライナ情勢の緊急性を考えると、輸出型エイブラムスを別に製造して送る時間はない。

 なぜなら、ウクライナの緊急性を考えると、新型の輸出用エイブラムスを製造して送る時間はないだろう。仮にそう決意しても、送付できる輸出仕様エイブラムスは存在しないし、ウクライナは数年も待てない。また、論理的に可能であったとしても、国防総省がこれを実行する意欲を持つとは限らない。

 

T-72 、 T-90 

しかし、東欧の数カ国は、ロシア製T-72戦車をアップグレードしており、ロシアの大規模だが老朽化が進む戦車軍団に匹敵する存在になっているかもしれない。ドイツのレオパルド戦車も検討中と思われる。

 だがドイツは第一線レオパルド2戦車を手放す気があるだろうか?旧型戦車を送る気はあるのだろうか。ポーランドやウクライナなど東欧諸国はソ連製の戦車を持っているが、どの程度近代化されているかは不明だ。昨年のDefense News記事によると、ポーランドはレオパルド戦車を運用しているとある。ウクライナにも導入してはどうか。

 

T-14 Armata

T-14 アルマータ

Credit: AP Photo/Alexander Zemlianichenko

 

 戦車がどんな影響を与えるだろうか。Global Firepowerによると、ロシアは戦車1万2000両を保有しているが、効果は車両近代化と整備に依存すると思われる。ロシアは最新鋭戦車T-14アルマタを少数運用している以外は、T-90とソビエト時代のT-72が大部分だ。どの程度近代化されているのか?アップグレード版のT-72は十分な数があるか?ウクライナの対戦車攻撃に弱いことは証明ずみだ。

 

エイブラムズ対T-72

では、ウクライナ軍がアップグレード済みT-72でロシアを撃退できたらどうなるか?さらにエイブラムス戦車を運用したらどうなるか?バグダッド空港でイラク共和国防衛隊を攻撃し破壊した有名な第3歩兵師団の元大隊長は、イラクのT-72はイラクの自由作戦(OIF)でエイブラムス戦車にまったく対抗できなかったと語っている。

 

Iraqi T-72 Tank

イラクのT-72

Wikipedia

 

 

 OIFと湾岸戦争に従軍し、現在Valor NetworkのCEOを務めるスコット・ラッター退役中佐Lt. Col. Scott Rutterは、Warrior Mavenのインタビューに対し、「性能、ナイトビジョン、機動性、火力、さらに最も重要なのは、訓練システムを活用した乗員の力量は比較にならないほどだった」と語っている。

 ウクライナの対人兵器は、ロシア軍装甲戦闘車両多数を破壊し、戦車を無力化、あるいは壊滅させた。この状況から、肩のせ発射式兵器を使ったヒットアンドラン待ち伏せ戦術の有効性が議論を引き起こしている。ウクライナの成功は、戦車がこれまで考えられていたよりも、実は脆弱な可能性を示しているのだろうか。

 イラクの自由作戦でイラク共和国防衛隊を掃討する突撃攻撃を指揮したある大隊長で陸上戦専門家ラッターは、ロシアの問題は戦車が予想外に脆弱であるというよりも、武器機動の統合作戦に戦車を有効に使用できないことであると述べている。

 「ロシア軍が抱える問題は、砲兵と彼らの観測・偵察計画監視を同期させる複合武器戦の欠如だと思う」スコット・ラッター元中佐は、Warriorのインタビューに答えた。

 ラッターは、戦車が効果を発揮するためには、生存率と戦闘効果を確保するため他の重要な装備品と連携して運用する必要があると説明している。これには、戦車が対戦車誘導弾やRPGなど対装甲兵器の攻撃を受けにくくするために、降車した兵士が前進する戦車部隊と並んだり、前方で活動する必要もよくあることだという。

 「歩兵の援護もなく、統合部隊に参加することもなく、完全に孤立している戦車は、事故が起こるのを待っているようなものです」(ラッター)。

 戦車の火力は、訓練された乗組員と、破壊目標を特定する正確かつ高解像度の長距離センサーがあってこそ活用される。戦車は、砲兵隊、歩兵隊、監視隊、航空支援など適切に統合されれば、統合部隊として前例のない威力と効果で建物、バンカー、敵の装甲部隊を攻撃できる。おそらく最も重要なことは、機動性の維持だ。

 「バグダッドでは、止まれば非常に弱くなるんです。そのため勢いを止めず、適応し、反応できるよう迫られました」(ラッター)。

 ラッターから見れば、ロシア軍は今のところ、効果的な統合作戦を実行できていないという。

 

Why not give Abrams Tanks Going to Poland to Ukraine? - Warrior Maven: Center for Military Modernization


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

APR 23, 2022

 

Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University


2022年4月25日月曜日

ウクライナ専用に開発された新型無人徘徊兵器フェニックス・ゴーストとはどんな装備なのか

  

Mysterious ‘Ghost Phoenix’ Suicide Drones Headed To Ukraine

 

 

シアと戦うウクライナに米空軍が特別に開発した、謎の新型装備「カミカゼ無人機」のフェニックス・ゴーストが、4月21日発表の最新の米国安全保障支援パッケージに入っている。

 

 

 国防総省のジョン・カービー報道官によれば、この徘徊兵器は、ドンバス地方でロシアの攻勢を阻止しようとするウクライナ向けに、ウクライナの意見を取り入れ迅速に開発された全く新しい機材とのこと。

 「これは、ウクライナの要求に応えて空軍が迅速に開発したものだ」と、カービー氏は4月21日に記者団に語った。フェニックス・ゴースト121機以上が、木曜日に発表された最新の8億ドルの支援パッケージでウクライナに向かう。

 

スイッチブレード無人航空装備の発射を準備する米海兵隊ジュリアン・アルバルド伍長。ノースカロライナ州レジューンで展開した。Littoral Exercise II (LEX II)演習で。 March 3, 2022. U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Ryan Ramsammy

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻が始まり57日目の4月21日、カービーはフェニックス・ゴーストについてAeroVironmentのスイッチブレードSwitchbladeチューブ発射型徘徊弾と「似ているが(正確ではない)」能力を提供すると記者団との電話会談で述べた。フェニックス・ゴーストの能力範囲に」違いがあるというが、どこが違うかは不明だ。各種標的に対して有効という。

 スイッチブレードは、カメラと弾頭を搭載したチューブ発射型の徘徊弾だ。監視のため、あるいはターゲット攻撃に使用できる。操作は不要で、標的を狙うことができる。

 米国はすでにウクライナに400発のスイッチブレード徘徊弾を寄贈している。300発の追加出荷が発表された先週、最初の100発が同国に到着した。スイッチブレードには、300型と、より強力で対装甲攻撃に優れた600型の2種類があり、別々のターゲットに使用できる。後者は米国備蓄用に導入されたばかりで、非常に品薄だ。敵軍への武器に使用されない場合は監視任務に利用できる。

 フェニックス・ゴーストの名前の由来を聞かれたカービーは、「全く分からない。」と答えた。

 「分類上、この時点でシステムについてこれ以上詳細に触れたくないのですが、一般的に機能すると考えていただいて結構です」「スイッチブレードと同様の戦術能力を提供します。スイッチブレードは、使い捨て無人機で、攻撃効果を発揮するよう設計された戦術的なUASで、Phoenix ghostはそれと同じカテゴリーになります」(カービー報道官)

その後、報道官は、AEVEX Aerospaceとの米軍契約で開発された同装備は、紛争開始前から開発が始まっていたと述べた。「ウクライナ軍がドンバスで今必要とするものと非常に密接に一致している」。

 AEVEXは、自社について航空機やセンサーシステムの設計、提供、統合、運用、維持、データ分析などをエンドツーエンドで提供すると説明している。The War ZoneはAEVEXに、無人機開発への関与や機体設計について情報を求めたが、回答は得られていない。同社はBreaking Defenseの取材に対し、「この件に関してはノーコメント」と回答した。

 AEVEXは無人機メーカーではないようだ。同社が主契約者として、制御技術や弾頭など既存のUASの搭載部品を開発・統合した可能性がある。また、輸入またはライセンス設計の国内請負業者のリーダーとして働いている可能性もある。

 2021年11月、AEVEXは、有人、無人、または選択的に有人操作となるプラットフォームやロボティクスすべてを網羅するASTROプログラムで、米国一般調達庁との契約を獲得している。同10年契約の上限額は20億ドルで、ニューメキシコ州ロズウェルにある同社の試験・訓練場の使用し、迅速試作、「センサーと特殊任務機、有人・無人の設計・エンジニアリング・統合」のためのFAA Part 145認定修理ステーションが含まれると、AEVEXのCEOブライアン・ラドゥエンツBrian Raduenzは契約締結時に声明を出していた。フェニックス・ゴーストの開発がこの契約で行われたかは不明だが、業務範囲には無人システムの統合も含まれる。この契約により、「あらゆる領域で活動する戦闘員のために、航空全体で革新的な研究開発とデータ管理の取り組みを支援する能力が大幅に向上する」とラドゥエンツは述べた。 

 チューブ発射型の消耗型無人機のほとんどは、地上、車両、海上船舶、航空機から展開でき、各部隊が制御する。大型無人機で発射する徘徊型UASもあり、高度な能力を有する。Switchblade-300は重量約5.5ポンドで、時速63マイルで巡航し15分滞空し、10キロメートル移動する。600シリーズは40分飛行可能で、33ポンド弾頭を含む重量は55ポンド、射程距離は約40キロメートルとなる。これがチューブ発射型なのか、あるいはマルチローター型を改造したのか、それとも別のものなのか、不明だ。

 新システムはウクライナ軍で容易に運用されるはずだが、多少の訓練は必要だろうとカービー報道官は言う。

このシステムは、ウクライナ軍に容易に吸収されるはずですが、多少の訓練が必要です。「このシステムを使用するためには、知識のあるUASオペレーターに最低限の訓練を行う必要があり、我々はウクライナ軍と直接その訓練要件に取り組むつもりです」と、彼は言いました。

「フェニックス・ゴーストの正確な設計は不明ですが、現代の紛争では様々なタイプの特攻機が高い効果を発揮しており、複雑なシステムである必要はないでしょう。今回も、この新システムが武装したクアッドコプターである可能性もあることは誰も知らない。 The War Zoneの編集長Tyler Rogowayが3月に述べたように、市販の武装無人機は便利で、簡単に配備でき、比較的安価に大量提供できる。実際、米国の敵や世界中の悪質な行為者は5年以上にわたって、市販の趣味用や商業用の無人機を殺人マシンに改造して、これを実証している。ウクライナも即席の武装ドローンを戦場で使用している。国防総省の需要不足、輸出規制、そして超低価格の無人技術の兵器化に抵抗する社会の底流があるが、米国はこの分野で遅れをとっている。

 フェニックス・ゴーストは、4月21日にホワイトハウスが発表した8億ドルの安全保障支援パッケージの一部で、72基の155mm榴弾砲とそれを牽引する同数の車両、14万4000発の砲弾、現場設備、予備部品も含まれる。先週の8億ドル支援と合わせて、米国はウクライナに野砲90門と、装甲車、戦術無人機、対戦車誘導弾、対砲台・防空レーダー、ヘリコプターなどの提供を約束したことになる。

 紛争が長引く中、米軍は各防衛支援パッケージの機能を、ウクライナ軍が戦場で必要とする内容に調整していると、カービー報道官は述べた。

 「PDAパッケージへの追加は、ウクライナ側と必要内容を常に話し合ってきた結果であり、リアルタイムでウクライナのニーズに合わせた素晴らしい例だ」(カービー報道官)。

 ジョー・バイデン大統領は今朝、ウクライナのデニス・シュミハルDenys Shmyhal首相と会談し、ロシア戦における進展について話し合い、同日発表された8億ドルの追加安全保障支援と5億ドルの経済支援を点検した。またシュミハル首相は、国防総省でロイド・オースティン国防長官と会談した。

 バイデン大統領は新支援策を発表する演説で、継続的支援は、ロシアの装甲車や大砲が優位に立つドンバスでの戦いに合わせて行われると述べた。

 「米国および同盟国協力国は、ウクライナが必要とする武器と、ウクライナ国防に必要とする装備を提供し続けるため、可能な限り迅速に動いている」(バイデン大統領)。

 先週の野砲と装甲車の提供を皮切りに、米軍の支援は「ウクライナのニーズに応え、ドンバス地方での戦闘を支援するべく調整されたもので、他の地域とは異なる戦闘に対応する。ドンバス地域は平坦で、効果をあげるためこれまでと異なる武器が必要となる」とバイデン大統領は述べた。

 

ウクライナの協力で米国が開発した特注兵器システム「フェニックス・ゴースト」ドローンが必要なようだ。■

 

Mysterious 'Phoenix Ghost' Suicide Drones Headed To Ukraine

 

We don’t know the configuration of the ‘Ghost Phoenix,’ only that a company not known for making drones is supplying them.

BY

DAN PARSONS

APR 21, 2022 5:13 PM

THE WAR ZONE


「敵基地攻撃」作戦でF-35が中心的役割を担うと見るWarrior Maven記事に注目

As Japan Revises Constitution to Allow "Enemy Base Strike" Operations, F-35 Could Take Center Stage

US Air Force/Tech. Sgt. Benjamin W. Stratton


日本が「敵基地攻撃」作戦を憲法改正で可能にした場合、中心的役割を担うのはF-35だ

 

本は「敵基地攻撃能力」と呼ぶ軍事攻撃能力の拡大を可能にするため、憲法修正で新たな取り組みを行なおうとしている。



 戦争を放棄し、限定的な「防衛」能力しか認めてこなかった第二次世界大戦後の日本国憲法からの逸脱を意味する。


自衛隊

このため、日本の軍組織は自らを自衛隊と称してきたが、中国の脅威が増すにつれ、内容が変わってきているように見える。

 岸信夫防衛相は、ロシアのウクライナ攻撃を受け防衛費を増額したドイツについて、「わが国も同様に考えなければならない」と共同通信社に語った。岸は、脅威環境から防衛力を「迅速に」増強し、潜在的な敵が日本を攻撃すれば「代償を払わせる」必要性があると語った。

 その意図が2023年度予算案に反映されており、防衛費は440億ドル相当と8年連続で過去最高となる。

 憲法改正の可能性と防衛費の持続的な増加は、ここ数年の日本の主要な防衛構想と一致している。

 防衛力整備には、F-35の購入数十億ドル規模や、海上弾道ミサイル防衛のための艦載イージス戦闘システムなど主要プログラムでの米国との継続的パートナーシップ、艦艇発射型ミサイルSM-3を含む主要兵器プログラムでの継続的協力が含まれる。

 

SM-3 Launch

SM-3 Launch

MDA picture.

 

 日本が十分に武装すればパワーバランスに大きな影響を与え、米国の対中抑止力を大幅に強化できる。中国、そしてもちろん台湾に近いことから、日本は中国が台湾を制圧しようとした場合、迅速対応できる立場にある。

 

F-35

日本のF-35は、日本南部から空中給油で台湾をカバーでき、非常に大きな影響を与える可能性がある。

 中国は陸上運用型のJ-20をあまり運用していないようで、少なくとも現時点では、第5世代の垂直離着陸型のF-35Bに相当する機体を保有していないため、日本の第5世代航空兵力は中国の水陸両用攻撃を空から阻止する可能性がある。

 中国は空母運用型のJ-31を開発中だが、F-35Bのような垂直離陸ができないため、中国の数少ない空母からしか運用できないようである。

 日本が安全保障体制を調整する場合は、哲学的・戦略的な要素も絡む。ただし、日本が軍事力行使で制限を大幅に緩和すれば、中国の脅威が太平洋で変化する。■

 

 


The F-35 is a Key Part of Japan's Emerging Self Defense Force Strategy. Here's Why: - Warrior Maven: Center for Military Modernization

As Japan Revises Constitution to Allow "Enemy Base Strike" Operations, F-35 Could Take Center Stage


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

APR 22, 2022


Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.


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