2022年5月10日火曜日

F-15EXの調達が大幅縮小される可能性。米空軍が考える戦力構造でイーグルIIが微妙になってきたのか。F-35調達のため犠牲になるのか。

 

F-15EX missile shot

 

 

空軍は、新型戦闘機F-15EXイーグルIIをわずか80機購入後にキャンセルする選択肢を検討している。F-15EXのキャンセルは、F-35Aステルス戦闘機にとって朗報となるだろう。

 

 

 2023会計年度の予算要求で、空軍は当初、老朽化したF-15C/Dイーグルの代替分と、F-15Eストライクイーグルの代替で少なくとも144機を購入するとしていたが、その後、F-15EX全体の購入見込みを80機に引き下げた。この新計画が実行された場合、最後のイーグルIIは2024会計年度に購入されることになる。

 

第40飛行試験隊に配属されたF-15EXがAIM-120Dミサイル発射の準備に入った。フロリダ州ティンダルAFBの付近。January 2022. U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. John Raven

 

 空軍がF-15EXの購入規模の削減を検討しているのではないかとの指摘が先月末にあった。Breaking DefenseのValerie Insinnaは、「この問題に詳しい情報筋2人の」が、フランク・ケンドールFrank Kendall空軍長官がF-15EXキャンセルを検討するよう予算部門に命じたことを確認したと報じた。

 しかし、短期的にはF-15EXは安泰だ。23年度の予算要求では、F-35Aの調達は2022年度の48機から33機へ削減される。同時に、最新の予算案ではF-15EXを24機、総額14億ドル相当で計上している。2022会計年度要求の前回予算では、12機のイーグルIIを対象としていた。

 今回の計画は、この80機を購入した後にF-15EXを単に受注帳簿から抹消するよりも、いくらか複雑だ。その代わりに、情報筋によると、イーグルIIの取得数は短期的に増加し、より高性能で深く更新されたブロック4構成のF-35Aをより多く購入するために、時期尚早に終了するだろう。

 

ネリス空軍基地を離陸するF-15Cイーグル U.S. Air Force photo

 

 計画では、F-15C/Dを5年程度で代替させ、その後、F-35Aに焦点を戻す。

 現在、国防総省はロッキード・マーチンとF-35の次回生産ロットを協議中であり、約400機の生産が見込まれる。ブロック4更新が遅れているため、米国のF-35A調達率は、現時点では減速を余儀なくされている。

 現時点で、F-15EXの発注上限を80機とすることは、単なる提案に過ぎないことを指摘しておく。国防予算の編成過程で、議会が承認する必要がある。議会だけでなく、空軍や国防総省内のイーグルII支持者、産業界が厳しく反対するのは間違いない。

 また、縮小されたF-15EXをどのように空軍に統合するかという現実的な問題もある。その結果次第では、イーグルIIの配備計画に大きな変更が生じないはずがない。

 現在は、フロリダ州のエグリン空軍基地でF-15EXのテストが行われている。2024年度には、キングスレーフィールドを拠点とする米国唯一のF-15C/D訓練部隊オレゴン州軍航空隊第173戦闘航空団に機体が引き渡される。翌2025年度には、同じくオレゴン州空軍の第142戦闘航空団(ポートランド空軍州兵基地)が最初の作戦部隊として同機を飛行させる。

 国土防衛任務の93%を担う州軍航空隊はF-15C/DをすべてF-15EXかF-35Aで再編成する予想があったが、機種別のバランスはまだ公表されていない。

 現役部隊(AC)の各戦闘機隊は約24機の主要配備機(PAA)を持つが、州軍飛行隊は約18機と少ない。後者が現在は、F-15C/Dの主要なオペレーターである。仮にF-15EXを80機導入した場合、18機のPAAと3機の予備機を持ってしても、4個飛行隊の装備はできない。さらに訓練用を加えると、実戦配備はせいぜい3個飛行隊で、それさえも苦しくなる。

 州軍航空隊は、新型のEXは老朽化したC/D型よりはるかに信頼性が高いという正当な理由により、飛行隊の規模を縮小することは可能だが、それでは数機程度の差にしかならないだろう。また、これらの飛行隊が担当する国土防衛の任務を考えると、それは問題かもしれない。

 ヨーロッパのレイケンヒース空軍基地では、第48戦闘航空団の1個飛行隊がすでにF-15C/DからF-35Aへのコンバートを進めている。フロリダ州軍の第125戦闘航空団も、F-15C/DイーグルをF-35Aへ変更する予定だ。

 それでも、沖縄・嘉手納基地の太平洋空軍第18飛行隊が2個飛行隊、マサチューセッツ州軍航空隊第104戦闘航空団、カリフォルニア州軍航空隊第144戦闘航空団、ルイジアナ州軍航空隊第159戦闘航空団が各1個飛行隊でF-15C/Dを飛ばしていることに変わりはない。これに加えて、オレゴン州の第173戦闘航空団と第142戦闘航空団がある。F-15EXが80機のみで、オレゴン州の2つのANG部隊以外に、1ないし2部隊にしか配備されないと、不足となる。

 嘉手納基地については、太平洋空軍のトップであるケネス・ウィルスバック大将Gen. Kenneth Wilsbachによって、戦略的に重要な基地はすでにF-15EXの優先受領地としてマークされている。ウィルズバック大将は、沖縄基地で運用中のF-15C/Dの2個飛行隊をイーグルIIに置き換えてほしいと述べた。

「もし幸運にもF-15C/Dの交替機材が沖縄に配備されれば、制空権と長距離攻撃用に使用するつもりだ」とウィルスバック大将は3月のミッチェル航空宇宙研究所のイベントで説明した。

 実際、空軍のF-15EXが80機だと、F-15C/Dを一対一で置き換えるのではなく、イーグルIIはより専門的な部隊から配備を始めることが考えられる。

これは空軍関係者も言及しはじめている。

 空軍の計画・プログラム担当副参謀長であるデビッド・S・ネイホム中将 Lt. Gen. David S. Nahomは、『エアフォース・マガジン』取材で、F-15EXは、F-15Eと「同様の武器を搭載し」「かなり同等」の使われ方になると予想していると語った。このことは、F-15C/Dとは異なり、イーグルIIが空対地指向に傾いた任務設定であることを示唆している。

 

F-15EXがエグリンAFBに届けられたのを記念し、その他型のF-15が一緒に飛んだ (Credit: USAF)

 

 さらに、ネイホム中将はF-15EXの「第5世代機では搭載できない大型兵器を搭載できる」能力を話しており、これが同機導入で長年の主張だった。このことは、F-35Aステルス戦闘機の内部武器庫に収まらず、主翼下に搭載できない大型空対空武器、あるいは極超音速武器を含む大型兵器をF-15EXに搭載すると空軍が想定しているのを示唆している。

 ネイホム中将はF-15EXの航続距離と武器搭載量の利点について、航空優勢が確保できた地域での長時間防空任務という文脈で論じている。しかし、ネイホム中将は「F-15EXを大量保有する必要はない」と断言した。そして、「現行の予算では大規模調達を目指すことはないだろう」とも述べた。

 さらに紛らわしいのは、州軍のF-15C/D部隊は前述のように国土防衛を担っており、訓練や人員、24時間態勢で待機する機材などの点で資源を多く消費していることだ。通常、少なくとも3〜4機が任務のために待機している。また、多くの機体が重整備を受けることを考えると、飛行隊で使用可能な機体数は、正式に割り当てられた18機と予備機3機より少なくなることがおわかりいただけるだろう。

 もうひとつの要因は、次世代航空優勢(NGAD)である。2023会計年度予算案で空軍は1650百万万ドル予算を要求したが、これは2022会計年度の要求額より約133百万ドルも多い。NGADは従来型戦闘機を超える性能の機体になるが、今後数十年間は幅広い「システム・オブ・システムズ」アプローチにより、空軍の戦術的な制空権能力の先頭に立つことが期待される。このことを考えると、F-15EXの調達数を減らして戦術機の基幹をF-35Aに集中させてからNGADを実戦化するのは、空軍には賭けであるように思われる。議会はすでにこの構想の合理性を疑問視していている。

 この計画では、国土防衛任務には対応できない。ステルス性能を必要としない、高コストで動く「絶妙な」第5、第6世代の航空機をその仕事に使うことが、アメリカ空軍が本当に望むルートでない限り、だ。また、これは大型兵器運用の課題を解決するものではない。NGADプログラムの一環で開発中の主要なプラットフォームをスタンドオフ兵器の運搬に使用することは、非常に逆効果になる。

 予算の選択肢について語ったケンドール空軍長官は、次のように説明した。「次世代航空優勢プラットフォームへの完全な資金提供が必要だった。F-15EX購入を完了させたかったが、まだ2年残っている」。

 資金獲得競争では、F-15EXやF-35A以外に、新型ステルス爆撃機B-21レイダー、次世代無人システム、核戦力整備計画など、莫大な費用がかかる取り組みが主なライバルとなる。

 また、F-15EXの最終的な機体数は未定であり、前回発表の144機を維持する可能性もある。イーグルIIが輸出市場でどう評価されるかも要因のひとつであり、海外オペレーターを満足させるため生産期間が長くなれば、空軍にF-15EXの数をさらに増やす機会を与えることになりかねない。

 空軍にとって、わずか80機の生産は、特に専用の教育課程や試験・開発企業などを必要とする点で、手間に見合わない規模の部隊を作ることになる。少なくとも、残るF-15C/Dの空軍州兵部隊と教育隊、合計5個飛行隊を装備することは、プログラムにとって常に「臨界量」に思われる。沖縄の2個飛行隊を加えれば、7飛行隊になる。

 

ネリスAFBでテストを受けるF-15EX (Credit: USAF)

 

 戦略性の高いハワイ諸島を守る州軍任務にF-15EXはF-22より適している。しかし、そうすることで、国土防衛任務に非常に長い時間(多くの戦闘機の機体寿命が6000〜8000時間であるのに対し、F-15EXは2万時間)の解決策を提供することにもなる。F-15EXは信頼性、飛行時間あたりのコスト、機体年齢、供用期間の両面から、アメリカ空軍の戦闘機部隊に安定性を注入する手段として考えられていた。

 また、中高齢になったF-15Eの問題もある。F-15E後継機としてF-15EXを数百機購入し、F-15Eを州軍飛行隊に装備することは意味があるだろうか。これはまだ公に議論されていないが、非常に論理的な選択肢のように思われる。

 中でも奇妙なのは、小数の航空機運用を嘆いてきた空軍が、財政と戦力構成のデフォルト戦略として、このコンセプトを最近採用したことである。B-1Bは縮小され、F-22は縮小を要請され、A-10も縮小される。この結果、比較的少額の資金が他事業に回され、残る機材を一定期間支援するための予備部品庫として機能するかもしれないが、これらの機体の投資収益率が急落し、利用可能な潜在的戦闘機数が制限されることになる。空軍は現在、旧型機多数でこれを行おうとしており、F-15EXがこの現実の中で直接生まれようとしていることは、それほど驚くべきことではないのかもしれない。その結果、この機種を維持することに意味があるのか?

 結局のところ、その問いを強要することが、空軍の真のねらいなのかもしれない。■

 

The F-15EX Program Is In Trouble | The Drive

 

The Air Force is looking to reduce the size of its F-15EX buy to the point that it is likely to be more trouble than it’s worth.

BY

THOMAS NEWDICK,TYLER ROGOWAY

APR 26, 2022 4:33 PM

THE WAR ZONE


2022年5月9日月曜日

(改訂版)ウクライナ戦を見て、戦車全廃方針を打ち出した米海兵隊が決断に安堵している。ただし、必要なら陸軍戦車に頼るという考えでいいのか疑問。

 

台湾は太平洋で戦車が活躍できる唯一の場所と、海兵隊中将のカーステン・ヘックル中将は言う。(Photo by Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images)

兵隊の内部改革を進める中将は、戦車部隊を放棄する海兵隊方針を評価している。

海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官カーステン・ヘックル中将 Lt. General Karsten Hecklは水曜日、インド太平洋地域に戦車は「必要ない」と述べた。「インド太平洋のどこで戦車が活躍できるでしょうか?台湾?なるほど、でも他にありますか」

 

海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官であるヘックルは、海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将Gen. David Bergeによる議論を呼んだ「フォースデザイン2030」計画作成を補佐した。2020年3月に策定された同計画は、過去20年間アフガニスタンやイラクで陸上部隊として投入されてきた海兵隊を、海軍戦闘の原点に立ち返る再編成にしようとする。

広大な太平洋で中国に対抗するためだ。離島から離島へ飛び移る小型かつ高機動の部隊を配備し、センサーが多く配備された沿岸地帯で、容易に発見されたり標的にされず活動させる。しかし、「フォースデザイン2030」への最大の批判は、海兵隊戦車部隊の全廃だ。

しかしヘックル中将は、国際戦略研究センター(CSIS)と米海軍協会が開催したパネルで、ウクライナを見ればバーガーの決断は正しいと語った。

ロシア軍戦車数百両がウクライナ軍に抹殺されたり、鹵獲されている。更に多数が、ロシアの兵站の不備からガス欠になった。

ヘックル中将は言う。「戦車は、ロシアのウクライナ侵攻に見られるように、燃料を大量に消費するのです。イラクやアフガニスタンで、道路を走る燃料トラックが簡単に標的になることを学びました。イラクやアフガニスタンでは、大きな脆弱性となったのです」。

つまり、燃料を大量に消費し、簡単に見つかる戦車に頼らなくてもいいということが、前方展開し、軽く機敏な「スタンドイン」部隊のコンセプトを機能させると、ヘックル中将は言う。特に、中国の作戦を挫くために、太平洋の広大な地域を少部隊で、厳しい環境下で活動する場合は。

その代わり、海兵隊の戦車計画は陸軍の支援に依存する前提だ。

バーガー大将は、戦力設計2030の最初の版で、「戦車の能力は、過去の戦争における長く名誉ある歴史にもかかわらず、将来の最優先課題には作戦上適さないと結論づけるに足る十分な証拠がある」と書いている。「大型地上装甲車両は引き続き米陸軍が提供するものとする」。

海兵隊の戦車計画?陸軍を送り込む。(Photo by PATRIK STOLLARZ/AFP via Getty Images)

バーガー大将は、海兵隊が戦車を使用してきたのは、「脅威と環境に関する異なる仮定に基づいて設計された」能力の一部であると指摘する。

戦車含むこの能力は、海兵隊が「過剰に投資した」ものと、バーガー大将は書いている。

水曜日の講演でヘックル中将は、「全盛期でさえ、海兵隊戦車部隊は陸軍の後塵を拝していた」と指摘した。

そして、将来、海兵隊が統合軍での役割を検討する際により良い選択肢となる。

バーガー大将は、「統合軍の中で、海兵隊はどう位置づけられるのか、真剣に考えた」とヘックル中将は言う。「戦車はその一部ではないという大将の意見に心から同意します」。

陸軍がそのためにある、と彼は主張する。

歩兵将校と話すと、市街戦では戦車が必要という向きがいます。なるほど。壁に穴をあけるわけですか?」。

さらに、海兵隊が独自に開発した車両もある。8x8輪の水陸両用戦闘車両で、不運な水陸両用強襲車(AAV)の後継として設計された。老朽化したAAVは、2020年7月30日に海兵隊員8名と海軍水兵1名が死亡した事故をきっかけに、海中での運用が禁止されている。

「ACVはもっと、もっと生存力があります」とヘックル中将。「30ミリ砲を搭載したMod30型を作る可能性を検討中で、これで壁に穴を開けられます」

これで、「都市戦に使える長距離精密射撃と相まって、計算が変わるかもしれない」とヘックル中将は言う。

しかし、海兵隊の戦車廃止をめぐる議論は終わっていない。海兵隊が必要とする装甲支援を陸軍が常時提供できるかわからない。

また、戦場での戦車の役割も定まっていない。ロシアの戦車問題の実態は、戦後の徹底的検証で明らかになるであろう。

ロシアの戦車数百両が使えないのは、調整不足、兵站の不備、対策の老朽化、訓練・整備の欠如が主因なのか。

肩撃ちのジャベリンのような狭いキルゾーン、無人機、ウクライナに渡された多数の対装甲システムを利用したウクライナ防衛隊の技術が、ロシア戦車をウクライナで悪条件にしたのだろうか?

あるいは何らかの組み合わせか?

海兵隊が重装甲を捨てる決断をしたこととウクライナの事実をあわせ探ってみたい。

続報をまってほしい。■

 

Russian Armor Losses Validate Marines' Decision To Dump Their Tanks Says General


the Marine Corps should find itself in need of support from tanks, their plan has a familiar ring. Send in the Army.

BY

HOWARD ALTMAN

MAY 6, 2022 5:39 PM

THE WAR ZONE


ウクライナ戦を見て、戦車全廃方針を打ち出した米海兵隊が決断に安堵している。ただし、必要なら陸軍戦車に頼るという考えでいいのか疑問。

台湾は太平洋で戦車が活躍できる唯一の場所と、海兵隊中将のカーステン・ヘックル中将は言う。(Photo by Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images)

兵隊の内部改革を進める中将は、戦車部隊を放棄する海兵隊方針を評価している。

海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官カーステン・ヘックル中将 Lt. General Karsten Hecklは水曜日、インド太平洋地域に戦車は「必要ない」と述べた。「インド太平洋のどこで戦車が活躍できるでしょうか?台湾?なるほど、でも他にありますか」

海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官であるヘックルは、海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将Gen. David Bergeによる議論を呼んだ「フォースデザイン2030」計画作成を補佐した。2020年3月に策定された同計画は、過去20年間アフガニスタンやイラクで陸上部隊として投入されてきた海兵隊を、海軍戦闘の原点に立ち返る再編成にしようとする。

広大な太平洋で中国に対抗するためだ。離島から離島へ飛び移る小型かつ高機動の部隊を配備し、センサーが多く配備された沿岸地帯で、容易に発見されたり標的にされず活動させる。しかし、「フォースデザイン2030」への最大の批判は、海兵隊戦車部隊の全廃だ。

しかしヘックル中将は、国際戦略研究センター(CSIS)と米海軍協会が開催したパネルで、ウクライナを見ればバーガーの決断は正しいと語った。

ロシア軍戦車数百両がウクライナ軍に抹殺されたり、鹵獲されている。更に多数が、ロシアの兵站の不備からガス欠になった。

ヘックル中将は言う。「戦車は、ロシアのウクライナ侵攻に見られるように、燃料を大量に消費するのです。イラクやアフガニスタンで、道路を走る燃料トラックが簡単に標的になることを学びました。イラクやアフガニスタンでは、大きな脆弱性となったのです」。

つまり、燃料を大量に消費し、簡単に見つかる戦車に頼らなくてもいいということが、前方展開し、軽く機敏な「スタンドイン」部隊のコンセプトを機能させると、ヘックル中将は言う。特に、中国の作戦を挫くために、太平洋の広大な地域を少部隊で、厳しい環境下で活動する場合は。

その代わり、海兵隊の戦車計画は陸軍の支援に依存する前提だ。

バーガー大将は、戦力設計2030の最初の版で、「戦車の能力は、過去の戦争における長く名誉ある歴史にもかかわらず、将来の最優先課題には作戦上適さないと結論づけるに足る十分な証拠がある」と書いている。「大型地上装甲車両は引き続き米陸軍が提供するものとする」。

海兵隊の戦車計画は陸軍を送り込むこと。(Photo by PATRIK STOLLARZ/AFP via Getty Images)

バーガー大将は、海兵隊が戦車を使用してきたのは、「脅威と環境に関する異なる仮定に基づいて設計された」能力の一部であると指摘する。

戦車含むこの能力は、海兵隊が「過剰に投資した」ものと、バーガー大将は書いている。

水曜日の講演でヘックル中将は、「全盛期でさえ、海兵隊戦車部隊は陸軍の後塵を拝していた」と指摘した。

そして、将来、海兵隊が統合軍での役割を検討する際により良い選択肢となる。

バーガー大将は、「統合軍の中で、海兵隊はどう位置づけられるのか、真剣に考えた」とヘックル中将は言う。「戦車はその一部ではないという大将の意見に心から同意します」。

陸軍がそのためにある、と彼は主張する。

歩兵将校と話すと、市街戦では戦車が必要という向きがいます。なるほど。壁に穴をあけるわけですか?」。

さらに、海兵隊が独自に開発した車両もある。8x8輪の水陸両用戦闘車両で、不運な水陸両用強襲車(AAV)の後継として設計された。老朽化したAAVは、2020年7月30日に海兵隊員8名と海軍水兵1名が死亡した事故をきっかけに、海中での運用が禁止されている。

「ACVはもっと、もっと生存力があります」とヘックル中将。「30ミリ砲を搭載したMod30型を作る可能性を検討中で、これで壁に穴を開けられます」

これで、「都市戦に使える長距離精密射撃と相まって、計算が変わるかもしれない」とヘックル中将は言う。

しかし、海兵隊の戦車廃止をめぐる議論は終わっていない。海兵隊が必要とする装甲支援を陸軍が常時提供できるかわからない。

また、戦場での戦車の役割も定まっていない。ロシアの戦車問題の実態は、戦後の徹底的検証で明らかになるであろう。

ロシアの戦車数百両が使えないのは、調整不足、兵站の不備、対策の老朽化、訓練・整備の欠如が主因なのか。

肩撃ちのジャベリンのような狭いキルゾーン、無人機、ウクライナに渡された多数の対装甲システムを利用したウクライナ防衛隊の技術が、ロシア戦車をウクライナで悪条件にしたのだろうか?

あるいは何らかの組み合わせか?

海兵隊が重装甲を捨てる決断をしたこととウクライナの事実をあわせ探る。続報をまってほしい。■


Russian Armor Losses Validate Marines' Decision To Dump Their Tanks Says General


the Marine Corps should find itself in need of support from tanks, their plan has a familiar ring. Send in the Army.

BY

HOWARD ALTMAN

MAY 6, 2022 5:39 PM

THE WAR ZONE


5月7日に北朝鮮が発射したのはSLBM「ミニ版」か。いよいよ迷走状態に入ってきた同国2世界は関心を示していない。

File picture: The KN-23 "mini-SLBM" test carried out on October 19th 2021

朝鮮は5月7日午後2時7分、新浦付近の潜水艦から日本海に向け潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。発射は、尹錫烈(ユン・スギョル)大統領の就任式を4日後に控えてのことである。

 SLBMは600kmを飛翔し、高度約60kmに達した。韓米情報機関が分析中だ。

 韓国合同参謀本部は、以下の声明を発表した。

 「北朝鮮による弾道ミサイルの連続発射は、朝鮮半島と国際社会の平和と安全を脅かす深刻な脅威だ。国連安全保障決議への明白な違反と定義し、北朝鮮に直ちに中止するよう促す」。

 退任する文大統領は午後4時、徐薫(ソ・フン)国家安保局長を議長に国家安保会議を開き、この脅威が国連の安全保障決議に違反し、朝鮮半島と世界に深刻な脅威を与えていると改めて指摘した。NSCは北朝鮮に対し、問題解決のため外交の場に戻るよう要請した。


KN-23File picture: The KN-23 “mini-SLBM” test carried out on October 19th 2021

 北朝鮮のSLBM発射は、2021年10月19日のミニSLBMを発射してから7カ月後となった。韓国情報当局は、今回のSLBMはKN-23ミニSLBMに類似したものと考えていると報道にある。Gorae-class潜水艦の発射型SLBMは昨年、590kmの距離を最大60kmの高さで飛翔している。

 現地報道では、バイデン米大統領の訪韓による首脳会談と保守系の尹新大統領の就任式を控えての挑発と分析している。

北朝鮮は4月下旬、改良型の新型SLBMと小型SLBM「北極星Pukguksung-5ㅅ」を公開してうた。■


North Korea Test Fires Submarine Launched Ballistic Missile

Daehan Lee  07 May 2022

https://www.navalnews.com/naval-news/2022/05/north-korea-test-fires-submarine-launched-ballistic-missile/

Posted by : Daehan Lee

Daehan Lee currently works for aerospace and defense-related projects in Seoul, also being a political, security affairs researcher writing about inter-Korean naval acquisition and development. He previously worked at the U.S. and Belgian Embassies in Seoul, the People Power Party, and election camps. Prior to his work in politics and foreign affairs, Lee served for the Republic of Korea Navy as an assistant to the Vice Admiral and a translator for Master Chief Petty Officers of the Navy, shortly working at the Joint Chiefs of Staff. Fields of interest include the Asia-Pacific security, defense acquisition, Korean politics and foreign policy.


2022年5月8日日曜日

ウクライナ軍(だけで)ロシアをウクライナ領土内から駆逐するのは難しい

 

Ukraine Russia

ウクライナ戦車の主砲発射. Image Credit: Creative Commons.

ウクライナがロシアを国土から追い出したいとする願望は理解できるが、地理的・戦闘的な現実のため、実施すれば大きな代償を払うことになるだろう。

ォロディミル・ゼレンスキー大統領の防衛軍がプーチン侵攻部隊を戦術的に敗北させ、ドンバスで現在まで防衛していることはウクライナ人にとって大きな励みとなっている。米国やNATO諸国はウクライナに大量の武器・弾薬、さらに高性能な重火器装備を送り、ウクライナ軍(UAF)が防衛から攻撃に移行し、ウクライナ国内からロシアを追い出す日が近いと期待する向きさえある。

しかし、戦時下での攻撃から防衛への移行は、見た目より複雑で、多くの人が想像するよりはるかに長い時間がかかる。

ゼレンスキー軍が移行を急ぎ、攻勢に転じれば、破滅的な結果になる可能性がある。キエフと西側各国の政策立案者は、最良のケースでも、地理的条件と戦闘の現実のため、攻勢に転じるには多額の費用がかかること、費用や期間を投じても、成功の保証は得られないことを理解する必要がある。

防衛から攻撃へ転換するのは簡単に思うかもしれない。欧米がウクライナ軍に十分な数の新しい戦車、大砲、長距離防空ミサイルを提供すれば、ウクライナは攻撃に転じ、ウクライナ領土からロシアを追い出せると多くの人が結論付けている。キエフ北部のロシア軍を撃退し、ドンバス地方でもモスクワの攻撃に耐えてきたUAFが優秀なのは明らかであり、十分な数の戦車があれば、攻撃も成功できる、という論理はいかにも正しいように思われる。

だが、なぜロシアがキエフ北方への最初の攻撃に失敗し、ドンバスの戦いで何の打開策も見出せないままなのか、根本的な理由を理解することが重要なのだ。

プーチンの最初の失敗は、限られた戦力を4つの進攻軸に分けてしまった戦略にある。特にキエフ軸では、市街戦を展開する戦力が不足していた。

しかし、都市という制約のある環境での戦闘では、防御側がほぼすべてで優位となる。UAF部隊は高層ビルから戦い、戦車が砲を高くしても応戦できない位置から対戦車ミサイルで撃破できる。防御側は、建物の周囲から至近距離でロシア装甲車に忍び寄り、脆弱な背面や側面を攻撃できる。装甲火力の利点は、3km先の目標にも対応できることだが、市街地では100ヤード以下までしか射撃できない。

ドンバスの戦いでも、防衛側に大きな優位性がある。ウクライナは8年かけて、強壕、塹壕線、地雷原、キルゾーンに設置された砲撃目標、何マイルにもわたる防御陣地を精巧に構築してきたのである。キエフでの戦いと同様、ロシア軍はこのようなウクライナの多くの利点と戦わなければならないが、最初の突入以来、ロシア軍は突破口を開くことに成功していない。

ウクライナがドンバスで達成したいこと

現在、ウクライナ空軍はドンバスで守りを固めようとしており、ロシア軍による戦線侵入を防ぎ、ロシアがウクライナ陣地を攻撃しようとするたびに、代償を払わせようとしている。キエフの最初の目的は、ロシアの攻撃を足止めさせ、攻撃力を奪い、膠着状態に陥らせることにある。攻勢をかける前に、ウクライナはロシアの攻撃力を削がねばならない。

ウクライナ戦線へのロシア侵入の脅威を抑えた上で、ゼレンスキー軍は攻勢用に戦闘部隊を創設しなければならない。現在の部隊はすでに手薄で、ドンバスを膠着状態にすることに成功すれば、ウクライナ部隊は疲弊しているはずだ。

UAFはロシアの執拗な砲撃で毎日犠牲者を出しており、何カ月も続けば、部隊に与える心理的ダメージは小さくない。攻勢に転じるためには、ウクライナは機械化部隊を新たに編成する必要がある。

攻勢部隊の創設に必要なものとは

ロシア軍を自国から追い出すには、ウクライナは少なくとも大隊戦術グループ(BTG)75個を編成する必要がある。戦車、装甲兵員輸送車、野砲、迫撃砲、兵站トラック、医薬品、司令部、通信機器、大量の弾薬、燃料、食糧、水など、あらゆる側面をゼロから構築する必要があるのだ。

そのためには、75個BTGに配属される兵士が最低6万人、さらに歩兵と補充兵が2万人から3万人必要である。さらに、必要な装備、車両、予備部品、維持管理などをすべて西側が提供する必要がある。そして、ウクライナ兵士は、攻撃から安全なウクライナ西部で訓練を受ける必要がある。訓練は基本的な戦闘技術から始まる。

次に、戦車操縦手、砲兵、ミサイルシステムのオペレーターなど、特定の訓練、小隊運用、中隊レベルの訓練、そして最後にBTGレベルの複合武器訓練のあらゆる側面を学ばなければならない。

このプロセスは、UAFが勝利を望むのであれば、y短縮化できない。訓練には時間がかかる。おそらく6カ月から9カ月の集中訓練だろう(あるいは最低でも1年は必要だ)。この時点で、キエフのUAF司令部は攻勢を計画できる状態になる。しかし、この新編成にどんなチャンスがあるのかを考えるには、この6〜9ヶ月の間に敵がどう動くかも考えなければならない。

ロシアが想定する対抗策

UAFが部隊を編成し訓練する間に、ロシアは攻勢から守勢に転じてると思われる。工兵を投入し、防御陣地を掘り、要塞や障壁、戦車トラップなどを構築し、攻撃作戦を阻害する活動を開始しているだろう。また、戦闘による損失を補うため予備部隊を追加で投入し、防衛的な機動戦の方法を含め、部隊を訓練しているだろう。

ウクライナ軍が十分な攻撃能力を身につければ、攻勢に転じる段階に入る。しかし、ここでウクライナの指揮当局は全く新しい難題に取り組むことになる。これまでの戦いでは、ウクライナ側には防御側に有利な地形の利点があった。しかし、攻勢に転じれば、利点を捨て、攻撃側に課されるリスクを負うことを意味する。

UAFは開戦以来、自分たちを守ってくれた防御陣地を離れ、開けた場所に移動する。そうなれば、2月のロシア軍同様に脆弱になる。挑戦的なロシアは、防衛施設を建設し、前線の奥深くで反撃ルートをリハーサルし、新しく訓練された兵員を投入し、長期戦闘用に物資を備蓄する時間が十分あったはずだ。

ウクライナの攻勢がもたらしそうな結果

ウクライナが戦時中に新たな攻撃力をゼロから構築し、同時に東部で激化するロシアの攻勢から防衛できる可能性は高くないだろう。平時において、外圧を受けずに質の高い攻撃力を生み出すには、通常、何年もかかる。想像しうる最悪の状況下で、数カ月で部隊を編成するのは、信じられないほど困難である。

しかし、いったん部隊が編成されれば、数カ月かけて防御態勢を整えてきた敵を相手に攻撃作戦を展開することになり、ウクライナの防空能力も限られる。この編成のまま、現在ウクライナ領土の数百平方キロを支配しているロシア軍の駆逐に成功する可能性は、驚くほど低い。

ウクライナ人の勇気と闘志は伝説的であり、疑問の余地はないが、キエフがこの新規攻撃部隊を編成し、ロシアを追い出す新作戦を開始した場合、ウクライナ軍は後退を強いられ、領土の奪還は限定的となり、結局再び膠着状態に陥る可能性がある。

その間、ウクライナ国民は軍事、民間両面に多大な犠牲を払い続け、都市は瓦礫と化し、経済は破壊されたままとなる。そして、戦争は何年も続き、数年おきに能力を回復して攻撃を再開するロシアのサイクルが繰り返されるだろう。

結論

ロシア兵を一人残らず領土から追い出したいとするウクライナの気持ちはよくわかる。筆者が彼らの立場なら、間違いなく同じ思いを抱くだろう。しかし、ウクライナの地理や戦闘の現実を客観的に分析すれば、ウクライナの成功の可能性は極めて低く、失敗の可能性が高いと分かる。キエフ当局は、戦闘継続以外の選択肢を考えるのが賢明だろう。

ドンバスの戦いが終わるまでは、ゼレンスキーもプーチンも戦闘終結の真剣な交渉に応じない可能性が高い。最終的にロシアがドンバスでUAF戦闘部隊を包囲・撃破すれば、プーチンの交渉力は大幅に向上する。ゼレンスキー軍がロシアの攻撃力を枯渇させ、ドンバスで膠着状態を作り出せば、キエフの交渉力は大きく向上することになる

しかし、厳しい現実として、ウクライナ側による軍事的勝利が期待できる合理的な根拠はない。試行錯誤のコストは高く、甚だしい。キエフは望まない取引にも応じざるを得なくなり、はるかに高いコストで取引に応じなければならないだろう。そうなると、最も論理的で合理的な道は、キエフがモスクワと本格交渉し、戦争を終わらせる取引をすることだろう。

最後に、この結論は、ウクライナのいかなる指導者や市民より、筆者がはるかに容易に出せることを率直に認める。侵略してきた敵に対する憎しみの強さには想像を絶するものがあり、ロシアから解放されたいという願いは正義を超えたものである。

結局、ウクライナ国民は、成功する確率が低く、失敗したときのコストが高いことに挑戦するとしても、どのような行動をとるかを決めなければならない。そんな恐ろしい選択を迫られるのは筆者は願い下げだ。■

Ukraine Wants to Drive Russia from its Soil. Is That Really Possible? - 19FortyFive

ByDaniel DavisPublished6 hours ago

Now a 1945 Contributing Editor, Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” Follow him @DanielLDavis1.