2017年11月14日火曜日

中国経済が実は最盛期を過ぎていたら....緊張がさらに高まる、軍事行動が要注意となる



中国人は中国は大国なので世界秩序を中国の都合よい形に変え、国境線も変えてよいと考えているようです。その背後にさんざん中国経済の興隆ぶりを吹き込まれていることがあるのですね。しかし、その経済の実態があきらかになったらどうなるでしょう。ソ連もかつては米国に次ぎ世界二位の経済規模と自慢していましたが実態経済がフランス並みと分かって大恥をさらしましたね。かくいう日本もこのままなら米国を抜くと過信していた時代があったのですが...安全保障ではこれからが大変ですね。逆に言えばこれからを乗りきれば中国の脅威は減少するのでしょうかね。


The World Needs to Prepare for ‘Peaked China’

世界は「最盛期をすぎた中国」に備える必要がある

Bad economics = China won’t be a superpower.

経済悪化で中国は超大国になれない




トランプ大統領がアジア各国を訪ね北朝鮮対策へ支援を訴える中、もっと大きな課題を見過ごしていないか。国際政治の在り方を一変しかねない課題だ。アジア最大の課題は核武装した北朝鮮ではなく中華人民共和国の成長余地がなくなっていることであり、事実上中国の最盛期はすぎたといってよい。ここから生まれる結果は深刻でアジア太平洋に限らずグローバル政治構造のとらえ方そのものを一変させるものがある。
  • 筆者はこのような主張をかつては一蹴していたものである。十数億人の人口を抱える中国政府が貧困を脱却しGDPで米国に次ぐ第二位の規模を実現し、軍事力増強は地域大よりグローバル規模の地位を目指す中国の指向のあらわれである。見出しでは大国の域を脱し米国と入れ替わり世界の覇権をめざすのは中国の宿命だ....
  • だがこうした通念は間違っている。高成長が終わった中国では経済発展は難易度が高くなっており、米軍に対抗できるグローバル軍事超大国になるための投入資源がなくなる日が来る。あらゆる意味で中国の最盛期は終わっているのだ。
嘘と債務まみれの中国経済に人口構造の課題が加わる
  • これまでの中国は高度経済成長の恩恵を享受しており、今も高成長は可能と主張しているが中国の経済状況は統計が示す好況とは異なる。
参考 中国関係者が経済統計ねつ造を認める Forutne 2015年記事
  • まず経済学者が中国のいう6パーセント超成長は虚偽と主張している。一部には実態は2パーセント程度ではないかというものもある。そのひとりは「中国の経済成長は大部分が虚偽だ。北京政府が帳簿をいつから改ざんし始めたのかは明らかではないが、私自身含むエコノミスト多数は実態は2から3パーセントと見ている」と語ってくれた。さらに「中国の経済成長戦略の基礎は安い労働力を使い工場から消費財を出荷することで世界有数の安い製造拠点となることだった。だが給与水準が上がり、そんな工場で働こうという労働力が減っている中で従来の経済モデルでは中国は経済超大国になれない。中国経済は方向性が見えにくい状況になっている」
  • さらに債務問題がある。巨額債務だ。中国は西側世界を襲った2008年経済危機の影響を受けず高成長を続け、特に地方政府が借り入れで支出を増やした。資金を道路、橋脚、空港、高速鉄道等に使い、大部分は実質的な意味のない無駄な支出で経済規模拡大にのみ裨益し、今や中国の借り越し総額はGDP比260パーセント規模になっている。ここまで高いためムーディーズも中国国債格付けを下げており、米国の座を奪おうという国に似つかわしくない。
  • これからさらに悪化する。中国の巨大人口で高齢化が進む。出生率は極めて低く、1.2にすぎない。人口維持に必要な2.1でより相当低い。この原因が人口増を抑制すべく導入した一人っ子政策であるのは明らかだ。このため中国の高齢化は世界最高速で進む。中国のインターネット加入者数や携帯電話利用者数の成長率が話題になるが、間もなく新しい統計として数千億ドル規模の介護高齢者向け市場が加わる。ただしこの支出は経済成長には貢献せず国力の涵養にも役立たない。60歳以上人口が3憶人と米国の総人口程度になる2030年には規模はもっと大きくなるかもしれない。
経済悪化で中国は超大国になれない
  • 高度経済成長が鈍化し終了するとこれからの世界秩序内での中国の位置は再考を迫られるだろう。
  • 債務問題と人口構で経済成長が抑制されるとしたら現在の大幅な軍拡も減速を迫られるはずだ。
  • 中国が兵力投射能力の整備が不可能になる事態に直面するとは考えにくい。中国は空母打撃群4ないし6、長距離爆撃機、大規模遠征部隊の輸送能力を必要とするが、全部入れると数千億ドル以上になるだろう。ここに国外基地を加えれば規模はさらに膨らみ中国の負担能力を容易に超えてしまう。
「最盛期を過ぎた」中国への対処:国家主義の問題  
  • 西側特に米国の戦略思考家が中国経済が「最盛期を通り過ぎた」ことにまだ気づいていない可能性がある一方で、中国は米国や西側諸国と緊張を高めるコースを選択する可能性がる。
  • また中国は遠隔地どころか近隣諸国でさえ支配できる経済力がない可能性があるとはいえ、東アジア安全保障の構造で中国が南シナ海、台湾、東シナ海で自らの主張を弱めることはないはずで米国等との緊張はさらに増すだろう。
  • 中国共産党による一党独裁統治の根拠は高成長により生活水準を引き上げ社会の進展を実現することだ。だが中国国民の間に自由や権利を制約する中央専制体制が代償として「支払う」内容が負担に見合わないと受け止める向きが増えたらどうなるか。
  • 中国指導部が強硬な愛国主義を提唱し国民の怒りのはけ口として中国の地政学上の対抗勢力をとりあげたらどうなるか。(すでにこうなっているとの見方もある)このシナリオでは共産党は米国、日本、その他中国が面倒とみなす国へ非難を強め、むき出しの力で地域制圧に乗り出すことで国内統治の根拠を国民に示そうとするだろう。
  • 「最盛期を過ぎた」中国は世界制圧または世界秩序を書き換える国力はないものの今日の地位に上り詰めたことでアジア各国や米国に問題を引き起こしており、中国自身にも独自の課題やジレンマがある。今こそ新しい現実に合わせこちら側のとらえ方を調整すべきときなのである。■
Harry J. Kazianis is director of defense studies at the Center for the National Interest and executive editor of its publishing arm, The National Interest. Previously, he served as editor of The Diplomat, a fellow at CSIS, and on the 2016 Ted Cruz foreign policy team.

★★F-3開発先送りとの観測が出ていますが.....



うーん、見出しだけでは印象操作と言われても仕方ない気がします。方針をきめかねているのであり、F-3が実現しないわけではないでしょう。日本の場合は方針が出るまで時間かかっても実施はなんとしてもやり遂げる力がありますので期待しましょう。中国や北朝鮮は変な期待をしないようにお願いします。

Exclusive: Japan to delay multi-billion dollar fighter jet development - sources

特報 日本はジェット戦闘機開発を先送りする模様


TOKYO (Reuters) - 日本政府は新型高性能戦闘機の開発を先送りする。防衛当局は当面は弾道ミサイル迎撃手段やF-35ステルス戦闘機等の新型米国製装備導入に忙殺される。
  1. 新型戦闘機F-3の実戦化が遅れると400億ドルという世界有数規模の軍事調達案件の今後が急に怪しくなってきた。
  2. 平成30年上半期以降の決定では次期防衛5か年計画への盛り込みが困難になる。「これでF-3は後退します」と内部筋は述べる。取材に応じた各筋は報道陣に話す許可を得ておらず匿名で話した。
  3. 国産開発か国際分担による開発かは2018年以降にならないと決まらないと各自一様に述べる。
  4. 「F-3に関しては方針決定の時期含め何も結論は出ていません」と防衛装備庁広報官は述べている。
  5. 開発費用400億ドルの試算があるF-3だが内部筋はこれは「初期費用」分だけという。防衛予算は近年増額されたといっても年率1パーセント増で500億ドルになったにすぎず、試算の支出額は複数年度といえども相当の規模になる。
  6. さらにロッキード・マーティンF-35やレイセオンの迎撃ミサイル、ボーイング=テキストロンのオスプレイなど日本は記録的な規模で米製装備を導入している。
  7. 日本は2013年に米政府の海外軍事装備品販売制度(FMS)を使い総額1,180億円(10億ドル)を調達した。昨年は四倍増の4,860億円になった。東京を公式訪問したドナルド・トランプ大統領は安倍晋三首相に米製兵器の追加調達を求め、共同防衛体制で一層の貢献を同盟各国に求める米政府の動きの一環とした。
  8. 北朝鮮の脅威増大と並び中国空軍が東シナ海で活動を強化中で日本は二方面で防衛力強化を迫られている。
  9. 現時点で日本は北朝鮮の弾道ミサイル、核兵器への対応に主眼を置くが防衛当局はF-3で中国空軍力を西太平洋、東シナ海上空で制圧することを期待している。航空自衛隊の中国機へのスクランブル回数は昨年度計806回だった。
  10. 次期戦闘機のもう一つの狙いに三菱重工業や協力企業含む国内防衛産業の強化があり、F-2戦闘機の生産から20年が経過している。三菱重工は試作機ATD-Xを2016年1月から飛行テストし国産ステルス戦闘機実現の第一歩と見られていた。
  11. 国産開発論が政府内部に強いが、すべて国産開発すると予算規模を憂慮する声も政府内部にあり、国際事業で費用分担しながら海外企業の技術力に期待する。
  12. 考えられる海外提携先にはBAEシステムズ、ロッキード・マーティン、ボーイングがあり、各社とも防衛省が求めた情報開示に応じている。■
Reporting by Tim Kelly and Nobuhiro Kubo; Editing by Lincoln Feast


超音速ミサイルの登場で米潜水艦の攻撃能力はどこまで上がるか



 


The U.S. Navy's Ultimate Weapon: Hypersonic Missiles Fired from a Submarine

米海軍の究極の兵器は潜水艦発射の極超音速ミサイルだ
November 11, 2017

米海軍が極超音速ミサイルの初テストを実施した。
  1. 発表したのはテリー・ベネディクト中将Vice Adm. Terry Benedict、戦略装備整備事業Strategic Systems Program(SSP)のトップで毎年恒例の海軍潜水艦連盟シンポジウム(ヴァージニア州アーリントン)の席上だった。「月曜日深夜0300時にハワイ(太平洋ミサイル実験場)から米海軍初の通常弾頭攻撃ミサイルを発射し、上層部が決定すれば将来はオハイオ級潜水艦に装備されることになる」とU.S. Naval Institute Newsが伝えた。
  2. ベネディクト中将はテストの詳細を一切明らかにしなかったがUSNI Newsの照会にペンタゴン報道官が以下回答した。「海軍の戦略装備整備事業(SSP)として中距離通常弾頭迅速攻撃飛翔実験 Intermediate Range Conventional Prompt Strike Flight Experiment-1 (CPS FE-1)を2017年10月30日に太平洋ミサイル実験場のあるハワイ州カウアイから行った」「テストで極超音速加速滑空技術と航続距離を試す長距離大気圏内飛翔を行った。データは国防総省による地上テストの基礎として極超音速飛翔体のモデリング、シミュレーションに使い、通常迅速攻撃 Conventional Prompt Strike (CPS)の概念の範囲を定めるのに使う」(パトリック・エヴァンス中佐)
  3. 極超音速ミサイルの定義はマッハ5から10で飛翔することだ。時速3,106マイルから15,534マイルの間で、秒速5マイルとなる。中国、ロシア、米国が極超音速技術の実用化に注力しており、その他国も程度は劣るがやはり実用化を目指している。
  4. 極超音速ミサイルには基本形がふたつある。ひとつは極超音速滑空体(HGV)でロケットで大気圏に放出し標的まで高度40千メートルから100千メートルの間を滑空する。もうひとつは極超音速巡航ミサイル(HCM)で飛翔中はロケットあるいはラムジェットを作動させる。
  5. 米国は両方の開発を目指している。極超音速空気取り入れ式兵器構想 Hypersonic Air-breathing Weapon Concept (HAWC) はDARPAと米空軍共同事業でHCMの開発を目指す。戦術ブースト飛翔 Tactical Boost Glide (TBG)もDARPA-米空軍共同でHGV技術の実現をねらう。
  6. 米海軍のテストは後者でベネディクト中将が指摘するように通常兵器による即時グローバル攻撃能力(CPGS) の実現をめざし、世界いかなる場所も一時間以内に精密攻撃する能力を目標とする。CPGSの登場は2001年の核兵器体制検討報告(NPR)にさかのぼる。その時点から国防総省(DOD)及び各軍が実現に向け各種技術を模索してきた。
  7. 米海軍は2003年ごろは潜水艦発射式中距離弾道ミサイル (SLIRBM)でCPGS機能を実現することをめざしていた。この事業は議会が予算を打ち切った2008年まで続いた。(CPGS予算は各軍別の計上からDOD予算勘定に統合されている)アジア回帰を打ち出した2012年ごろに米海軍は海上配備CPGS機能取得に再び関心を示していた。
  8. この動きが同年末に勢いを増したのは米陸軍の高性能極超音速兵器開発が二回目テスト失敗で暗礁に乗り上げたためだ。業界誌 Inside Defenseによると「ペンタゴン調達局は次回テストは海軍に実施させたい意向で陸軍開発の高性能極超音速兵器を潜水艦発射管に収まるよう改装したうえで陸上試射場で試作品を発射する」今回海軍が成功したのは事業を引き継いでから大きな一歩になった。
  9. 弾道ミサイルベースのCPGS(DODは通常迅速攻撃と名称を変えている)から方向転換し極超音速飛翔に向かえば大きな利点が生まれる。まず敵側は通常弾頭弾頭ミサイルを核攻撃と誤認しなくなる。議会調査部門が指摘している。「DODは潜水艦発射中距離ブースト滑空装備でも同じことと言っている。特有の弾道型式となり核弾道つき弾道ミサイルと区別できる。さらにミサイルが新型ブースターを採用し核部隊に配備中のブースターと異なればロシアの早期警戒システム監視でも違いを認識するはずだ」
  10. DODは太平洋、欧州双方の第一線指揮官に何らかの極超音速ミサイルは2018年から22年の間に配備されると確約しており、海軍艦船が極超音速ミサイル運用を始めるとすればオハイオ級誘導ミサイル潜水艦四隻や新型ヴァージニア級攻撃潜水艦に搭載されるのは確実だろう。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: U.S. Air Force


2017年11月13日月曜日

★ドバイ航空ショーでC-2が国際デビュー!



いつも思うのですが、防衛装備品の販売営業になぜ有能なエージェントを使わないのでしょうか。防衛省はそんなに営業の知見を蓄積したいのでしょうか。そんなことないですよね。餅は餅屋で営業は営業に任せた方がいいのでは。いかに優れた性能があるといっても日本の装備は価格面で訴求力がなく、実績もないため買いたくても手が出ないのが普通では。それを打開できるのは民間のつわものしかないはずですが....皆さんはどう思いますか。


Japan's C-2 airlifter makes its international debut

C-2の国際デビュー

川崎C-2輸送機がドバイ航空ショー国際展示エリアで初公開されている。Nov. 12, 2017. (Jeff Martin/Staff)

By: Valerie Insinna
DUBAI — 日本の川崎重工C-2輸送機がドバイ国際ショーでお披露目されている。
  • 航空ショーは11月12日から16日までの開催で、C-2へ海外の関心を集める好機となる。ドバイ航空ショーは民間機に重点をおくため、C-2の国際デビューは脚光を浴びている。
  • 「C-2はインターネットなどで知ることはできますが実機展示は今回が初です」と航空自衛隊大峰一佐がDefense Newsに11月12日に語ってくれた。「機体理解で一番いいのは実機を見ることですから今回の出展でより多くの方にC-2をご理解いただきたいです」
  • CF6-80CK1Fターボファン双発の同機はロッキード・マーティンC-130ハーキュリーズより性能が高い。C-130は航空自衛隊も運用中だが日本の空輸要求に合致していないと大峰一佐は述べた。
  • 防衛省は2600億円(23億ドル)を同機開発に投入し、現契約では11機調達だが大峰一佐によれば20機に増えるのは確実だという。川崎重工はこれまで3機を航空自衛隊に納入しており、今月は四号機を引き渡す。
  • C-2導入では数か国に期待があるが大峰一佐は具体的な国名を挙げることを拒んだ。防衛省と川崎重工はC-2の競争相手をロッキード・マーティンC-130とエアバスA400Mと見ており、ニュージーランドとアラブ首長国連邦が同機に関心を示しているとのうわさだ。
  • 航空自衛隊の一機当たり調達価格は200億円(176百万ドル)だが海外販売価格は仕様と購入規模により価格が異なると大峰一佐は語った。
  • C-2は日本航空産業が製造した機体として最大の大きさを誇り、防衛省によれば最大貨物搭載量36トンを搭載し4,500キロの航続距離を最高速度マッハ0.82で飛ぶ。
  • 大峰一佐は運用段階での飛行時間や用途について口を閉ざしたが、航空自衛隊は同機に不満は感じていないと述べてくれた。■

2017年11月12日日曜日

米空軍JSTARS,T-X,OA-X事業の現状と行方


米空軍も大変ですね。技術が進歩する中で機材は老朽化し、地上戦など従来の延長では考えにくい要求に答えねばなりません。お金を出す議会は支出にキャップをはめたままですが、戦力維持のための研究開発、調達など事業は待ったなしですから。技術経営、組織運営、議会対策といろいろ課題が多いようです。

Here's the latest updates on where JSTARS, T-X and OAX stand


E-8C Joint Surveillance Target Attack Radar System (JSTARS)の行方がはっきりしないがミッションが不要になるわけではないと空軍首脳部は述べている。 (USAF/Tech.Sgt. Carlos J. Trevino)

By: Aaron Mehta 1 day ago


WASHINGTON – 米空軍の次期JSTARSと軽攻撃機はまだ方向性が見えないが次期練習機では契約交付は来年早々で生産開始も同年内になる。
空軍長官ヘザー・ウィルソンHeather Wilsonは参謀総長ディヴ・ゴールドフェイン大将と三事業の現況を11月9日記者に説明した。

【JSTARS-方向性が見えない】
  • JSTARS新機種を選定し大型レーダーを搭載する従来通りの事業を想定し国防大手企業数社が各社案を売り込んでおり、基礎作業は完成している。
  • 今秋が大きな山場となり、ウィルソン長官は「迅速評価」で既存機種でJSTARSが実現可能かを判断する。
  • だが長官と参謀総長は従来のJSTARS機能から大幅にネットワーク機能を強化した構想に関心があるようだ。
  • ウィルソン長官はJSTARS原案は本人が国家安全保障会議スタッフだった1991年のもので、「それ以降技術は大きく変わっている」と強調。「現行JSTARS機能では第一線指揮官の要求の5%しか満足させられない」と述べ新JSTARSが配備されても「1%がやっと」だろうと認めた。
  • だがJSTARSを放棄するのは至難の業だろう。議会がJSTARSに400百万ドルを国防支出法案に盛り込みずみのためだ。
  • デイヴィッド・パーデュー上院議員Sen. David Perdue(共-ジョージア)は空軍がJSTARS更新事業に及び腰になっていることは地上部隊が危険になるのを放置するものだと非難。「空軍が態度を変化させているがこれまでの空軍の説明と矛盾する」「空軍が考え直したのなら実情にどう対応するつもりなのか厳しく問い詰める」
  • ゴールドフェイン大将は単一の高性能機材を運用すれば旧型機を運用する各方面との連絡通信が困難になると主張しているが、空軍が地上部隊には必須の機能の継続に及び腰になっているとの観測は強く否定。
【OA-X-実証結果を待つ】
  • 軽攻撃機を巡り三社が実際の機体を空軍パイロットに操縦させ各機の能力を過酷な砂漠の環境で実証した。
  • 軽攻撃機構想はOA-Xと呼ばれ、ウィルソン長官は今夏に実施された四型式の機種の実証結果を待っているところだ。年末までに結果が出る。
  • JSTARS同様にOA-Xも400百万ドルが確保されており、議会有力議員は事業の推進を強く望んでいる。
【T-X選定決定は2018年上半期か】
  • 次期練習機T-Xはもう少し具体的だ。
  • T-Xは5年間で20億ドルと現時点で軍最大規模の提案競争で主契約を巡りロッキード・マーティンボーイングレオナルドDRSの三社に絞り込まれた。
  • 議会が新規事業を制約する条項を外した予算案を通過させても契約交付は来春以降になりそうだ。
  • 空軍次官マット・ドノヴァンMatt DonovanはDefense Newsの10月の取材でT-X契約交付は来春、おそらく三月末と語っていた。
  • ウィルソン長官も契約交付は来年とだけ述べているがT-X生産開始は2018会計年度末までに開始することに変わりないとする。■
Aaron Mehta is the Senior Pentagon Correspondent and Associate Editor for Defense News, covering policy, strategy and acquisition at the highest levels of the Department of Defense and its international partners.

イエメン・フーシがサウジアラビアに発射したミサイルはイラン製だった


北朝鮮、中国と身近な脅威に目が行きがちですが、イラン問題も大きな課題で、シリアでの関与もきになりますが含め中東情勢に影を落としています。オバマ政権による核合意を反故にしたいトランプ政権も警戒を強めていますが、できれば一つずつ片づけたいのでしょう。ただし、サウジアラビアの動向にも不安がある中で事態が一気に流動的になってもおかしくありません。今回のミサイルで証拠を明示しイランの関与が白日にさらされれば大変なことになりかねません。

U.S. General: Missile Targeting Saudi Capital Was Iranian

サウジ首都を狙ったミサイルはイラン製と米軍が発表

Supporters of the Shiite Huthi movement raise their weapons during a gathering in the capital Sanaa, Yemen / Getty Images
     
November 10, 2017 12:18 pm
中東の米空軍トップによればサウジアラビア軍が迎撃成功したイエメン反乱勢力が発射の弾道ミサイルはイラン製でミサイル本体に「イラン軍標識」が残っていたという。
  1. ジェフリー・L・ハリジアン中将Lt. Gen. Jeffrey L. Harrigianはカタールの空軍司令部でサウジ首都を狙ったミサイルの残骸調査から「イラン政府による製造」の証拠が見つかったとCBSニュースで語った。CBSニュースはフランス大統領エマニュエル・マクロンがミサイルがイラン製なのは「明白」と述べたと今週先に伝えていた。
  2. サウジアラビア外務省も7月22日にイエメンから発射されたミサイル数発がイラン製だとする証拠を発見したと述べている。
  3. サウジアラビアは11月4日にリヤド国際空港近くでミサイル迎撃に成功したと発表したが、同国内でここまでの内部まで反乱勢力ミサイルが到達したのははじめてだ。
  4. サウジアラビアはシーア派反乱勢力にイランが兵器を供与していると非難してきた。これに対しテヘランはミサイル提供の事実はないと否定している。
  5. ワシントン中近東政策研究所のマイケル・ナイツMichael Knights研究員はイエメンでの勤務経験があり、11月9日のアナリシスでイランがフーシ反乱勢力を支援中と考えても決して誇張ではないと述べている。
  6. 「テヘランがフーシにミサイルを提供し技術支援の上特殊部品を提供していると考えても決して突飛なことではない」「つまるところ国際封鎖を受け戦闘状態にあるフーシが二年足らずで三種類のミサイル装備を展開できたのだから」■

★SM-6の万能ぶりに大きな期待



ミサイル防衛だけでなく、攻撃、防御と多様な使い方ができるのなら非常に有望な装備ですね。ソフトウェアだけでこれだけの違いが生まれるのはすごいと思います。今後の動向に注目しましょう。早晩日本でも導入の話が出てくるとと思います。


Navy SM-6 Intercept Proves It Could Counter North Korea Attack

米海軍SM-6迎撃ミサイルが北朝鮮攻撃に対応可能と証明

The Navy recently destroyed a ballistic missile target with an SM-6 missile during a test off the coast of Scotland, verifying that the high-tech weapon does have an ability

米海軍のスコットランド沖弾道ミサイル迎撃実証でハイテク兵器の能力を実証
Scout Warrior - 3 hours ago


米海軍のSM-6ミサイル迎撃実証がスコットランド沖で成功し中長距離弾道ミサイル迎撃への対応能力を実証した。
  • 海軍は北朝鮮を意識したと認めないが、同ミサイルが韓国や日本のミサイル防衛に有効だと示している。
  • 米主導の北朝鮮攻撃後に韓国、日本へ通常弾頭弾道ミサイルを北朝鮮が発射するのは必至だ。
  • 第六艦隊は「ミサイル防衛庁と米海軍はスタンダードミサイル-6をUSSマクファウルから発射し、同ミサイルの飛翔認証手続きの重要な一歩に成功した」と発表。
  • そのため米国はミサイル防衛技術の進展に努めており、海上発射手段でSM-6の実用化を進めている。
  • 課題は弾道ミサイルの同時発射での追尾、捕捉、迎撃だ。
  • 海軍はSM-6ミサイルのソフトウェアを改修し、対空、弾道ミサイル迎撃、対水上戦すべてに対応させる。
  • 対空ミサイルとしてSM-6ブロックIがハワイ沖で四回発射テスト済み。
  • 中距離弾道ミサイル迎撃では海軍はSM-6を二発短時間で連続発射し、弾道ミサイル目標一基の迎撃をさせ最終飛翔段階での対応能力を評価した。
  • SM-6性能のユニークな点としに「アクティブ」シーカーがあり、発信した電子信号の跳ね返りを受信することがある。信号は光速で進み、形状、速度等を分析する。光速は定義できるので移動時間からコンピューターアルゴリズムで標的までの正確な距離がわかる。
  • 「アクティブシーカー」技術を応用したSM-6ミサイル二発は同時に標的を追尾破壊するのに成功した。
  • アクティブシーカー技術でSM-6は高速飛翔中の目標にむけ自ら調整し、飛翔軌道を合わせるので標的が途中で飛翔経路を変更しても対応できる。


  • 「アクティブシーカー」で攻撃性能が上がり、海上の移動目標にも対応できるのは発射艦が発信する信号に依存しなくていいからだ。
  • この技術で複数ミサイルへの対処が必要となれば艦長はSM-6数発を続けて発射するか接近するまで待って一発発射する選択が可能となる。
  • 開発元のレイセオンは「発射艦から信号を送りミサイルと交信し標的を探知できる」という。
  • 「アクティブ・シーカー」技術でミサイルは飛翔経路を自律制御できる。
  • SM-3との比較ではSM-6は低高度の弾道ミサイルつまり「最終」段階にも対応できる。当初は上空から接近する弾道ミサイルの撃破を想定したが、さらに「攻撃」ミッションで対水上艦攻撃や対艦ミサイル迎撃にも転用できるようになった。
  • 対空防衛にも使え、ヘリコプター、無人機、他接近してくる脅威に対応する。防御、攻撃両方に使えるわけで水上戦、対空戦、弾道ミサイル防衛に有効だ。
  • 脅威環境が急速に変化する中で防御攻撃両面で技術進歩がないと米国の優位性は保てないと海軍はみている。ロシア、中国共に移動式弾道ミサイル発射の拡充を進めており、弾道ミサイル防衛も対応して高度化が必要だ。
  • この進展は昨年のテストでSM-6が水上艦に命中沈没させたことに続くもので従来は弾道ミサイル迎撃手段のみと見られていた装備で戦略的効果が生まれた。
  • テストはSM-6の新ソフトウェア実証も兼ね、水上目標の捕捉撃破能力を試した。
  • 命中させたのはペリー級フリゲートでこの程度の艦なら簡単に撃破可能と証明した
  • SM-6を対水上艦攻撃手段に投入すれば海軍の対水上艦攻撃の選択肢が広がる。
  • そのカギはソフトウェアだ。
  • 開発元レイセオンは、ミサイルが目標を識別し発射艦に信号を送ると説明。信号からソフトウェアパスでミッション実行にむかわせると説明。
  • SM-6は2013年に実戦化された。250発ほどが納入されている。海軍は昨年270百万ドルでSM-6の2016年分の生産をレイセオンに発注している。
  • 海軍が進めるNIFC-CA海軍対空統合火器管制ではSM-6で接近する巡航ミサイルを水平線外で追尾撃破させる。NIFC-CAは昨年から稼働しており航空機センサーを利用する。E-2DホークアイとF-35で標的情報を中継する構想だ。

  • SM-6は巡洋艦・駆逐艦の垂直発射装置で運用する。ただしSM-3より大型のため同ミサイル用の発射装置はまだ搭載されていない。今後既存艦の改装が進み、沿海域戦闘艦、フリゲート、両用強襲艦や空母も運用できるはずだ。
  • SM-6を防御攻撃両用に使えば、海軍の求める「分散戦力」戦略に合致する。次世代通信技術と最新の長距離攻撃防御兵器を各艦に搭載する構想で、海軍は他の大国に対する優位性の確保をねらう。敵にリスクを意識させる一方で米艦船に敵攻撃の威力を減じるため戦力を「合算」させたり「分散」させるのだ。■
Kris Osborn can be reached at krisosborn.ko@gmail.com
To Ask Military Expert KRIS OSBORN Questions, VISIT THE WARRIOR FORUMS.

2017年11月11日土曜日

イスラエルのブルーフラッグ演習は7カ国参加で展開中


ドイツとイスラエルが過去は過去、と割り切り現実を直視しているのがすごいですね。東アジアの某国たちには到底理解不能でしょう。インドはC-130だけ参加させて既成事実をつくったのでしょうか。イスラエルとの連携にすぐ迎えない不都合さがあるのかもしれません。演習は隔年実施のようですが、どこかの段階で日本も参加できればいいですね。

 

Israel Just Proved Why No Nation Wants to Fight Its Air Force in a War

イスラエルとだけは交戦したくないと各国がなぜ思うのか証明中
November 10, 2017

イスラエルが同国最大規模の空軍演習を実施中。
  1. 11月2日にイスラエル空軍はブログで「ブルーフラッグ2017はイスラエル史上最大の国際空中戦闘演習で本日開始され、7カ国空軍部隊がウヴダAFBに到着した。合同演習は三度目で各国飛行隊がイスラエル飛行隊とともに飛行する」と述べている。ブログではさらに「演習は二週間にわたり展開し第一週では各国部隊は基地で寝食をともにし、お互いをよりよく知る機会となる。第二週は複雑なシナリオによる合同作戦を展開する」と伝えている。
  2. 二週間の演習でほぼ100機が飛ぶのは世界最大規模の空軍演習とメディアが報道している。
  3. エルサレムポスト記事ではブルーフラッグ演習は「現実の交戦状況をシミュレートし、参加部隊はアラヴァ砂漠上空で数百回のソーティーをこなし、制空攻撃、敵防空網の制圧破壊含む戦闘シナリオを実施する」と報道。
  4. 参加するのは米国、ポーランド、イタリア、ギリシャ、インド、フランス、ドイツの各国だ。このうち米国、ポーランド、イタリア、ギリシャは以前も参加しており、フランス、インド、ドイツが初参加だ。
  5. 中でもドイツの参加が注目だ。同国にはナチの歴史がある。イスラエルの左寄りHaaretz新聞がこの点をとらえ「ユーロファイター機にドイツ空軍の十字マークがついてイスラエルのダビデの星を付けたF-15とならぶ光景には違和感がある」と伝えている。イスラエル空軍高官は「過去は過去。現在はドイツと良好な家関係にありドイツの参加に意義がある」とエルサレムポストに述べている。ドイツ空軍代表も同紙にイスラエル上空を飛行する初のドイツパイロットになり「光栄の至り」と述べている。
  6. 演習に参加する機体ではイスラエルはF-15、F-16I各1飛行隊、F-16C/D二個飛行隊の他、戦術輸送機、ブラックホークヘリコプター、UAV、電子戦機を投入する。米国、ギリシャ、ポーランドはF-16、フランスはミラージュ2000D、ドイツはユーロファイター・タイフーンだ。イタリアはパナヴィア・トーネード、インドはC-130J「スーパーハーキュリーズ」だ。
  7. イスラエル空軍の訓練部門トップは演習に目標が二つあるという。「まず空軍全体の準備態勢度を上げることで内容の濃い訓練経験が役立ちます。二番目は世界に対してIAFの先進性、戦力を示しイスラエルの国際的地位を引き上げることです。その意味で参加隊員は大使の役割を果たします」
  8. 米部隊はイタリア駐留の第510戦闘機飛行隊でウヴダ空軍基地と周囲の地形は比類ない訓練環境だとパイロットや支援クルーの経験上重要だと述べる。「演習場の環境はイタリアでは実現不可能で、イスラエル側は現実的な標的や地上脅威を訓練用に用意してくれました」と飛行隊司令ベンジャミン・フリーボーン中佐が語る。「不慣れな飛行基地から不慣れな空域にしかも各国部隊と飛ぶのは訓練体験として貴重です」
  9. フリーボーン中佐は演習は補給支援隊員にもよい機会だとも述べる。「本拠地の支援体制がない場所から発進させるのは整備補給要員の実力を試す機会になります。当地では全員が迅速に動いていますよ」
  10. ブルーフラッグ演習は米空軍の有名なレッドフラッグにも似ており、2013年に初実施されている。第二回は2015年10月で規模を拡大し米国、ギリシャ、ポーランドが参加した。演習は34か国が視察している。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Wikimedia Commons.

中国中央軍事委員会の戦闘指揮所の全体像が明らかになった


Take A Rare Peek Inside China's Expansive Joint Battle Command Center

中国の巨大戦闘指揮命令所の姿が見えるまれな映像を入手

The facility represents the changing capabilities and strategic focus of the Chinese military.

施設は中国軍事力の拡充ぶりと戦略目標の変化の象徴だ


YOUTUBE SCREENCAP
 BY TYLER ROGOWAYNOVEMBER 7, 2017
一国の指揮命令所には特別の関心を感じる。アメリカの潜在敵国のものであればなおさらだ。以前にモスクワの国防省内の巨大な指揮命令所を見たが、今回はビデオ映像から中国軍事委員会(CMC)の統合戦闘指揮所を見ることができた。
施設は2014年から2015年にかけ中国軍の統合運用作戦を進めるため、かつ中国最高指導部による指揮統制機能を強化するために建設されたようだ。指揮命令系統のトップは習近平が中国共産党総書記としてかつ中国軍事員会の長として君臨する。最近になり「最高司令官」の称号も加わったようだが、これは米国大統領の真似であるとともに権力基盤が強まり軍への統制機能が強まったこと、党内の権力闘争が弱まったことも反映しているのだろう。
指揮命令所の一部を見ることができたが、以前にも(2016年)に疲労感を漂わせた習近平(上画像)がここを訪問していた。直近の映像では11月3日に施設の全体像がよりくわしく映っている。(下画像)
命令所内にはワークステーションの列があり、平面ディスプレイ多数、これも多数の赤電話が見られる。また玉座のような習近平用のデスクもある。巨大な地図が中央にあるが、この地図で何ができるのか不明だ。普通に考えれば地域内の状況で部隊や艦船の位置を示し、ズームも可能なはずだがこの巨大な地図を妙な位置に据え付けたものだ。ロシアがほぼ同じ時期に完成させた指揮命令所に通じるものがある。
習近平が最近この施設を訪問し、軍の即応態勢と戦闘能力向上を訴えながらCMCのために戦闘に勝利してほしいと激励している。その模様はジブチに完成した中国初の海外基地にも中継されている。同基地は中国の軍事的野望を象徴して地域内大国からグローバル大国への移行を模索する姿そのものだ。
YOUTUBE SCREENGRAB
この命令所が紛争時に有効活用されるのかは不明だがそれは問題の核心ではないだろう。これまでの道のりの延長に立てば中国が軍事大国になるのは確実と思える。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com
習近平の指揮所訪問画像 中国語英語字幕付き