2016年8月6日土曜日

★★生産再開するTu-160M2ブラックジャックのここに注目



The National Interest

What Makes Russia’s New Tu-160M2 Blackjack Supersonic Bomber Special

August 4, 2016


ロシアの新型ツボレフTu-160M2ブラックジャック超音速戦略爆撃機が2018年末に初飛行する見込みで、本格生産が2021年に始まる。原型たるブラックジャックは少数生産のままソ連崩壊の1991年で生産終了していた。
  1. Tu-160M2初号機は2018年末に初飛行し本生産は2021年開始の見込み』とヴィクトール・ボンダレフ上級大将が国営通信RIAノーヴォスティで語っている
  2. 今回の大日程はこれまでのロシア政府発表と微妙に異なり、以前は初飛行2019年、本生産開始は2023年としていた。現下の経済情勢でロシア政府が予算を確保したことから同機がロシア戦略爆撃機の中核とみなされていることがわかる。
  3. Tu-160M2は全く別の機体と言ってよい。新型機のミッションシステムは更新されエンジンはクズネツォフNK-32アフターバーナー付きターボファンの性能改修型だ。ロシアは同型機をおよそ50機調達するとしているが、原型のTu-160が16機あり、これも改修を受けるかは不明。
  4. ロシア空軍の用兵思想は米空軍と異なり、敵防空網突破を大々的に行うことは想定していない。Tu-160はマッハ2でスタンドオフ兵器の発射地点へ急行する。ステルス性は重視されていない。
  5. だがTu-160M2は長く供用中のTu-95ベアを更新機体にならないようだ。両機種は今後も併用される。「B-52HとB-1Bのように共存するでしょう」とマイケル・カフマン(CNAコーポレーション、ロシア軍事問題研究員)は述べる。「それぞれ代替できない機種で、Tu-160がTu-95の後継機種という説には納得できませんね」
  6. そうなるとB-52同様にTu-95も今後も長く供用されそうだ。「Tu-95の完全退役は20年ほど先でしょう。パイロン改修でKh-101/102ミサイルの運用能力が生まれたのは今後も供用する意向を示しています」(コフマン)
  7. ロシア空軍には同機のペイロードに意味がある。ステルスミサイルのKh-101はシリアで実証ずみで、核弾頭付きKh-102はともに防空体制の整備された敵領空に進入する能力があり、爆撃機は遠隔地で発射すればよい。両ミサイルの射程は1,800マイル以上でロシア戦略爆撃隊の主要装備になるだろう。
  8. ツボレフには新型PAK-DAステルス爆撃機もあるが、機体が姿を表わすのはまだ先のことだ。「ロシアは新型機の公表を好みますが、実現しなくても希望的観測でしかも財政的に厳しい時でも公表するようですね」とコフマンは先に語っていた。
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

Image: Creative Commons.

2016年8月5日金曜日

防衛白書への中国の反応は「人民海上戦」への呼びかけ



 

Japan Warns China Over 'Territorial Aggression'

Agence France-Presse 11:01 a.m. EDT August 2, 2016

Pacific Partnership action(Photo: Petty Officer 2nd Class Jonathan Husman, U.S. Navy)
TOKYO —意図せぬ軍事衝突の引き金を引くリスクを中国が増やしているとの防衛情勢を日本が評価する一方で中国政府からは「海上人民戦争」の準備を進めよとの発言が出ている。
  1. 日本がこのたび公表した防衛白書では中国について「自己主張を強める傾向が続く」とし、その行動は「意図しない結果を招く危険な振る舞いがある」とする。
  2. 中国が南シナ海で広範な領海主張をし、人工島を建設し、軍事作戦の構えまで見せる中で域内各国との対立が深まるのは国際社会も看過できない。
  3. 中国政府は国連制度の一部たる仲裁法廷で自らの主張を却下され、、法廷判断を尊重するよう圧力を受けている。
  4. 白書では中国は「自国の一方的な要求を求めるばかりで妥協の余地を示していない」とし、「既成事実で現状を無理やり変えようとしている」と表現。そのうえで中国に判決に従うよう求めるが、当の中国は茶番だと結果を拒絶している。
  5. 中国国営メディア新華社は常万全国防相が「人民海上戦」の準備を急ぎ、海上脅威へ対抗し、主権を守れと発言したと伝えている。
  6. 国家主権の擁護と領土防衛のため軍、警察、人民を総動員すべきだと同国防相は浙江省視察中に発言している。ただし脅威の出どころについては通信社は解説していない。
  7. 米国が問題の海域で海軍哨戒活動を今後も続けると公言し、航行の自由原則を掲げるのも中国の神経を逆なでしている。
  8. 白書では東シナ海での中国の活動が増加していることに日本も警戒心をあらわにしている。両国は尖閣諸島をめぐる主権主張で対立しており、中国は釣魚諸島と呼称している。
  9. 「尖閣諸島近海での中国活動が強化されており、軍用機が同諸島付近を南方に飛行している事例がある」
  10. 平成27年度の中国機への航空自衛隊スクランブルは571回を数え、前年度から107回増加と白書は指摘。
  11. 防衛白書に対し中国国営CCTVは中国政府が「厳重なる」抗議を申し入れたと報道している。
  12. 新華社は白書を酷評し、日本は「中国の国防や中国の規範、東、南の両シナ海での合法的な海洋活動に無責任な論評を与えている」と非難した。
  13. 先月には日本軍用機が中国機に火器管制レーダーをロックオンしたと両国が対立した。
  14. 防衛白書は北朝鮮の核開発にも触れて、「核兵器の小型化と弾頭開発を実現」している可能性があると指摘。
  15. 1月に第四回目の核実験に踏み切った北朝鮮は核弾頭小型化でミサイル搭載が可能となったと主張しており、米本土を狙う大陸間弾道弾の燃焼エンジンのテストにも成功したとしている。■

2016年8月4日木曜日

★航空戦闘軍団「F-35AはISIS戦に投入まもなく可能」



米空軍はF-35AのIOC獲得で浮かれていますが、ソフトウェアの整備が追いついておらず機能は制限があるのでは。このまま投入するとしたら中東が一番好適なのでしょうが、中国を睨む太平洋地区では張り子のトラでは。初期段階で発生するトラブルにどう対応するかで今後の運用が決定づけられるはずです。実戦投入の結果に注目です。

Visit WarriorAir Force: F-35 May Soon Attack ISIS

KRIS OSBORN
2:26 AM


F-35はいつISIS攻撃に出撃するのか。前線司令部の要請さえあれば空軍上層部は「いつでも可」だという。
  1. 米空軍のF-35Aが作戦投入可能となった。イラク・シリアでISISを攻撃し、バルト海沿岸国でロシアへの抑止力として、あるいは太平洋で戦力の一部として投入されるのはまもなくと空軍上層部は語っている。
  2. 「空軍は世界規模で兵力運用をしています。中東にF-35の派遣を検討中です。現地司令官が求めてきたら、迅速に応じます」とハーバート・J・『ホーク』カーライル大将(航空戦闘軍団司令官)が報道陣に語った。
  3. ISIS空爆に投入できる。米主導の連合軍はシリア、イラク上空で航空優勢を確立しており、F-35はレーザー誘導方式の対地攻撃兵器運用能力があり、GPS誘導方式の共用直接攻撃弾JDAMも投下できる。精密、レーザー誘導空対地兵器には通常爆弾を精密誘導ミサイルに改装したペイブウェイIIもある。F-35ではこの運用テストも成功裏に終わっている。
  4. カーライル大将はF-35配備には中東、欧州に加え太平洋も可能との見方を紹介し、空軍が呼ぶ「戦域安全保障パッケージ」“Theater Security Packages”の一部になるという。
  5. 「必要が生じれば四隻程度の小規模部隊を迅速にホットスポットへ送ります。戦闘航空部隊も同じ考えです。F-35Aの初出動がTSPで実現する可能性もあります」と航空戦闘軍団報道官のベンジャミン・ニューウェルがScout Warriorに語った。
  6. カーライルはF-22派遣前にF-35が欧州他の戦略拠点に派遣されロシア侵攻を抑止する可能性を指摘。
  7. 「F-22は昨年秋にヨーロッパへ派遣しましたが、強いメッセージになった。F-35派遣で同盟各国へ抑止効果を印象づけられますが挑発になるとは全く思いません」とカーライル大将は述べている。
  8. カーライル大将はF-22は世界最高の空対空戦闘機でF-35は世界最高の空対地攻撃機で広範なミッションをこなせるとカーライル大将は付け加えた。
  9. 「この機体があれば、攻撃、航空制圧、防空、航空優勢確立が可能。脅威内容で使い分けできます」
  10. たとえば、F-35でISISを攻撃するとしたら、高高度から精密誘導爆弾の投下以外に、25mm機関銃他で近接航空支援も実施できる。
  11. 米空軍はF-35機数を増やしつつ戦術・技法・調整(TTPs)を整備したいとする。
  12. 「次の目標は十分な機数を揃え実戦部隊の編成です。平行してTTPsも作り、兵装を試し、一番重要な訓練で空軍隊員に機材を熟達させます」とニューウェルが説明。
  13. 目標は航空団二個を編成し144機を6飛行隊に配備することだ。■


★★RANDが予測する米中戦の壊滅的結果

ここにきて米中開戦想定の記事が米側に増えています。中国国内ではなぜかKFCが襲撃を受けたりと民衆はアメリカへの反発を短絡的に示す一方、解放軍は動きを示していません。中国軍は共産党の機関であり、一部が言うような軍の暴走は考えにくいです。党の指示で機能する組織です。その共産党は今後100年の統治を想定しているはずで、今回の法廷決定を無視するのも大計に立った計画をしているからでしょう。西側が短絡的な動きを示せば北京の思う壺では。


New Report Details Why a War between China and America Would be Catastrophic



August 1, 2016


  1. 米中両国が開戦すれば両国に相当の被害が発生するが、今開戦となれば中国の損失の方が大きい。ただし中国が進める接近阻止領域拒否(A2/AD)整備で、中国有利が2025年に生まれる。それでも中国は米側より相当大きな被害を被るとRANDコーポレーションの最新研究成果が述べている。勝者は誰なのかあいまいになるのは軍事衝突は終わりなき人命損失へ悪化していくからだ。
  2. 「米側の軍事優位性が減少する中で作戦案が実現するか米国にも自信がなくなる」とこのたび出た報告書(David C. Gompert, Astrid Cevallos and Cristina L. Garafola)にある。「中国の交戦能力、特にA2ADが強化されると米国は主導権を握れず、中国防衛網の突破が困難になり、決定的な勝利は得られなくなる」
  3. 中国と開戦となれば戦場は海空が舞台となりそうだが、サイバーおよび宇宙装備が大きな意味を有すると報告書は述べる。RANDは通常戦のままと予測している。「両国とも部隊を広範囲に配備し相互に捕捉追跡し攻撃する能力が高いので西太平洋全体が戦闘地帯になり重大な経済的影響が発生する。」「核兵器使用は考えにくい。損害が極度に多い通常戦でも両陣営ともに核兵器の先制使用による放射能のリスクを恐れるはずだ」
  4. RANDは米国が中国本土を重点的に攻撃する前提としたが、研究員は中国の米本土攻撃手段はサイバーだけを想定した。「中国がサイバー除き米本土を攻撃できるとは考えにくい。中国の通常兵器能力に制約がある」とし「対照的に米国は中国国内の軍事施設を広範囲に攻撃するだろう」
  5. 米中戦は短期集中戦から長期にわたる消耗戦まで多様な形で勃発する可能性がある。双方が先制攻撃の誘惑にかられるはずだ。「センサー技術、兵器誘導技術、デジタルネットワーク他の情報技術で敵軍を捕捉できるので米中が相互に深刻な被害を与えられる」と報告書にある。「このため先制攻撃の手段と動機が生まれる。半面、開戦で双方とも深刻な損害を受ける恐れがあり、軍事的損失や経済費用が発生しても両国とも継戦能力が相当ありともに一方的な主導権は握れないだろう」
  6. 今日の時点なら短期戦も米側は相当の損害を受けるが、中国の損害は壊滅的規模になる。「米中いずれかの指導部が軍に猛攻撃を命じれば、きわめて大規模な戦闘となる」とし、「2015年なら米側の水上艦艇と航空機の損害は空母大破、空軍基地各地の能力喪失と甚大だが、中国の損失は本土でのA2AD体制の破壊含みはるかに大規模になる。数日内に開戦当初の低い米側損失も戦闘継続で拡大するのがわかるはずだ」
  7. 2025年までに中国軍事力はさらに拡大し、多大な損失は甘受できなくなる。「2025年までに米側損失規模が拡大するのは中国のA2ADの拡充によるところが大きい。中国側の損失は一定規模に収まるが、それでも米側損害を上回る。戦闘が長引けばどちらが勝利したか微妙になる」
  8. 長期戦なら損害ははるかに拡大し、両国の残存部隊は悲惨な形になるだろう。「2015年時点でも長期かつ深刻な戦闘が続けば、中国有利と予想される。2025年になると初期戦闘の不明瞭な成果から両陣営ともに大損害が発生することを知りながら戦闘を継続するだろう。そうなると米軍が勝利を収める可能性は現在より低くなるとはいえ、そのまま中国が勝利を収めることには結びつかない」
  9. 上記の場合では人命損失と経済被害が相当発生し、両陣営とも軍備を消耗するかもしれず、ともにその他国の脅威に無防備となる。「米中両軍が目標捕捉と攻撃を行う能力は前例がない規模なので、数か月で装備を使い果たす」とし、「当然両陣営とも補充しながら部隊立て直しを国力を賭けて競うだろうが、要素が多すぎ結果予測は困難だ。とはいえ費用だけ確実に上昇する」
  10. RANDは開戦リスクを下げるため以下提言をしている。


  • 米中の政治指導層トップは即時攻撃による相手陣営破壊以外の軍事選択肢を確保すべきだ
  • 米指導層は中国側と意思疎通手段を確保し、紛争激化の前に事態を鎮静させるべきだ。
  • 米国は中国のA2ADへの攻撃が自動的な実施にならないよう戦闘激化の予防策を作っておくべきだ。「フェイルセーフ」の仕組みを整備すれば軍事行動の前に政治面の承認が必須となる
  • 中国のA2AD効果を減らすため、米国は残存性の高い装備(例 潜水艦)やA2AD対抗装備(例 ミサイル)の開発に注力すべき
  • 米国は主要同盟国と緊急対策案を練るべきだ。特に日本が念頭
  • 戦闘に勝利しても破滅的な結果になると中国に認識させる必要が米国にある
  • 大規模戦を想定し継戦能力増強の必要が米国にある。
  • 開戦後に中国が重要資源や技術を入手不可能にする方策が米国指導層に必要
  • 中国から重要製品の輸入が途絶しても影響緩和する方策が米国に必要
  • A2ADに対抗し米陸軍は陸上配備装備を拡充すべきで、東アジアの米側各国(特に日本)へ防衛力増強、相互作戦能力向上を求め、米中軍事組織間の相互理解、協力へも支援を求め誤解や誤算による危険事態発生を防止する


  1. 戦争が米中双方の利益にならないのは自明の理とは言え、一方の防衛力整備が他方を不安にさせる「トゥキデテスの罠」が発生する。高名なハーヴァードの政治学者の権威グラハム・アリソンが著している。トゥキデテスの罠ではごく普通に行うことが大規模交戦のきっかけになる。台頭する側が既存支配に挑戦すれば、通常なら制御できる危機が雪崩のような反応を呼び、双方が望みもしなかった結果が発生する。アリソンは「戦争は不可避」とアトランティック誌で言い切っている。■
Dave Majumdar is the defense editor of The National Interest. You can follow him on Twitter @DaveMajumdar.

2016年8月3日水曜日

北朝鮮がノドンミサイルを発射し、秋田沖に着弾させた狙いは何か


暴走が止まらない北朝鮮ですが、制裁措置に効果がないことは明らかです。もっと効果のある対策が出てくると思いますが、当面何ができるでしょう。ミサイルの効果を否定するTHAADやPAC3の体制強化がひとつ。さらに都知事戦候補の一人が言っていたようにパチンコを規制することも本当に有効なら実施すべきです。日本が同国の資金源になってはならないでしょう。

Latest North Korea missile launch lands near Japan waters, alarms Tokyo

SEOUL | BY JU-MIN PARK AND JAMES PEARSON


北朝鮮は3日弾道ミサイル発射し、一発が日本の経済専管水域内あるいはその外側に着弾し、国連安全保障理事会決議を再度破った。
  1. ミサイル本体は日本の排他的経済水域内に落下したと日本の防衛省関係者は述べ、域内の緊張がさらに高まる。
  2. 発射されたのはノドン中距離弾道ミサイルのようで、1,000キロ飛翔したと韓国参謀本部は発表。
  3. 安倍晋三首相はミサイル発射は日本への「深刻な脅威」で日本政府は「強く抗議する」と述べ、追加発射に備え自衛隊を警戒態勢に置いた。
  4. 米国務省報道官は発射を非難し、「国際社会からの対応措置が一層強化される結果になるだけ」と述べた。
  5. 米戦略軍からはミサイルは二発探知し、うち一発は発射直後に爆発したと発表があった。
  6. 日本海まで到達したミサイルは日本時間午前7:50で平壌南西にある黄海南道South Hwanghae から発射されたと韓国統合参謀本部が発表した。
  7. この発射で北朝鮮に「隣接国を広範囲で直接攻撃する狙いがある」のは明らかで「韓国では港湾、空港等が標的になる」と同本部は述べた。
  8. 今月後半に米韓両国が大規模な毎年恒例の演習を行う。演習自体は防衛的な性格で挑発の意図はないとしているが、北朝鮮は演習の度に抗議するのが通例で、侵攻の事前準備だとする。
  9. 7月19日には北朝鮮は東海岸から弾道ミサイル3発を発射し500キロから600キロを飛翔させた。
  10. また米韓両国は高性能最終段階高高度地域防衛THAADミサイル迎撃装備の韓国内展開で前月に合意し北朝鮮は「物理的対応」すると脅かしていた。
  11. 北朝鮮は1月に第四回核実験と長距離ロケット発射を翌月に行い国連安全保障理事会の制裁措置決議を3月に受けた。
  12. 1月の核実験から朝鮮半島の緊張は高いままになっている。南北両国は1953年の朝鮮戦争休戦後は技術的には戦闘状態のままだ。■

2016年8月2日火曜日

★F-35AのIOC迫る 

IOC Tomorrow? F-35A Kills First Drone: ‘Boola Boola’

By COLIN CLARKon August 01, 2016 at 5:18 PM

F-35 Fires AIM-9X
WASHINGTON:. F-35が真価を発揮し移動目標の捕捉、照準、撃破に7月28日成功した。
「目標を撃墜するまで真の戦闘機ではないといわれるが、今回AIM-9Xを発射してこの関門を通過しました。撃墜に成功して米軍、同盟諸国が導入するF-35の戦闘能力が実証されました」と米空軍テストパイロット、レイヴン・ルクレア少佐の発言が本日午後発出の声明文に出ている。
同声明文では「テストデータおよび観測によりF-35が標的の無人機を搭載センサーで捕捉し、標的の航路情報をミサイルへ送り、パイロットが標的情報をヘルメット搭載ディスプレイ(HMD)で照準外の敵を撃破する能力を実証する形でAIM-9Xを発射し標的無人機を攻撃した」としている。
声明文を発出したJSF推進室は米空軍によるF-35Aの初期作戦能力獲得宣言が早ければ8月2日にも出ると見ている。ただし公式予告は出ていない。■

2016年8月1日月曜日

B-1を10年ぶりにグアムに配備し、中国をけん制する米太平洋軍


B-1 Bombers to Patrol Skies from Guam

The Honolulu Star-Advertiser | Jul 31, 2016 | by William Cole

http://www.military.com/daily-news/2016/07/31/b-1-bombers-patrol-skies-guam.html
A B-1 Bomber sits on the flightline at Ellsworth Air Force Base, South Dakota. (US Air Force/Zachary Hada)
エルスワース空軍基地に駐機するB-1爆撃機。 (US Air Force/Zachary Hada)
The Honolulu Star-Advertiser | Jul 31, 2016 | by William Cole
  1. 太平洋空軍からB-1B爆撃機隊がグアムに10年ぶりに展開するとの発表があった。
  2. 今回の動きは中国が南シナ海に爆撃機、戦闘機を飛行させると公言していることへの対抗策だ。
  3. B-1は低レーダー断面積を有し時速900マイル以上で飛行でき「迅速な地球規模攻撃能力を実現し、抑止力の実効性を高め、同盟各国への安心感、地域内安全保障と安定の強化につながる」と太平洋軍(司令部ハワイ)が発表。
  4. 機数不明のB-1部隊は8月6日にアンダーセン空軍基地に移動し、ミノット基地(ノースダコタ)所属のB-52爆撃機隊と交代する。B-52隊は太平洋軍の連続爆撃機運用体制の一環でグアムに駐留していた。
  5. B-1爆撃機隊には300名がエルスワース空軍基地(サウスダコタ)から随行する。
  6. B-1が太平洋に配備されるのは10年ぶりだ。
  7. グアムからB-52隊は国際空域の飛行の自由を守り、中国による主権の拡大主張へ反論してきた。
  8. 国際仲裁法廷が中国による南シナ海大部分の領有主張を棄却したが中国はこれを無視している。
  9. 2013年末にはB-52の二機編隊が東シナ海上空に派遣され、防空識別圏を設定し侵入時に許可をもとめた中国を公然と無視した。米国は同空域は国際空域としている。また南シナ海上空へもB-52が飛行している。
  10. フィリピンにはA-10サンダーボルトIIの5機、EA-18グラウラー電子攻撃機4機をフィリピンに配備したこともあり、米国はオーストラリアと長距離爆撃機の配備を協議中だ。■

★★★米海軍の次世代戦闘機構想を妨害しているのはパイロット集団の閉鎖的思考だ

UCLASSなど革新的な無人機構想をことごとく廃案にしてきたのは海軍航空士官をトップとする組織内圧力団体であると判明しました。今回の記事の情報源はそのヒエラルキーに煮え湯を飲まされている向きなので多少割り引く必要がありますが、海軍の次期主力戦闘機がスーパーホーネットの焼き直しとなっては意味がありません。米海軍からステルス性重視はもうしないとの姿勢が示されていた背景にはこんな考えもあったのですね。そうなるとF-35Cを継子扱いするのもうなづけるところです。米空軍との共同開発など全く可能性がありません。


The National Interest



US Navy's Sixth-Generation F/A-XX Fighter: Just a 'Super' Super Hornet?

July 26, 2016


  1. 米海軍には2030年代以降の脅威環境の中で空母搭載戦闘機を運用構想で一貫した考えが欠乏しているようだ。National Interestが各種筋に聞いたところ海軍のF/A-XXでは接近阻止領域拒否A2/ADや新世代の敵側軍用機がいる中では対応できないことが判明した。その一方で海軍はF-35Cの効果には懐疑的なままだが、同機が時代の要求内容のほとんどに応える唯一の機体となる。
  2. 「将来の空に高性能地対空ミサイルのS-300やS-400が登場する予想の中で海軍航空兵力でこれまでの流れに固まった思考の先へ進む必要があるでしょう」と新アメリカ安全保障センターの国防戦略評価事業をまとめるジェリー・ヘンドリックスは述べている。
  3. 脅威は確かにあるが米海軍はロッキード・マーティンF-35C共用打撃戦闘機の空母配備は少数に留めて2030年代を迎える。海軍に近い筋の話では単発の同機の性能には海軍はもはや不安を感じていないが、ペンタゴンのN98航空戦部は海軍航空システムズ本部(NAVAIR)とともに同機の価格に高い懸念を示しているという。「あまりにも短絡的な見方だと思いますよ。価格水準が期待通りに下がっていないので気にしているのです」とその筋は語る。「新型機一個飛行隊は10機構成でホーネット飛行隊12機より少なくなるのは予算が足りないからだと言っています」
  4. ヘンドリックスによれば問題は単純だ。空母の予算項目が残っていても新型機が非常に高価になれば機体は多数導入できなくなる。「予算が増えない状況で追加の財源もないと機数を減らすしかないでしょう」
  5. F-35Cの機体価格が高いため、海軍もできることなら共用打撃戦闘機開発から抜けたいところだと消息筋も認める。理想的なのはF-35Cは避けて直接F/A-XX実用化を目指すことだ。「F-35Cが遅れればニーズに合わせて作れるF/A-XXが手に入ると海軍は考えている」と消息筋は語る。「だが今のところF/A-XXは絵に描いた餅で、しかもDOD(国防総省)上層部から却下されたのです」
  6. 外部専門家にはF/A-XXを超音速巡航、ブロードバンド全方位ステルスの第六世代戦闘機あるいは新型長距離無人ステルス爆撃機になるとの意見が多いが、海軍の考えるF/A-XXはもっと平凡だ。海軍はF/A-XXを有人機想定としてだけでなく、F/A-18E/Fと比べてもレーダー断面積、航続距離を除けば大きな性能差は想定していない。「海軍が目指すのはF/A-18そっくりの機体で若干きれいに近代化した機体です。スーパー・スーパーホーネットですね。S-300やS-400の配備地点では運用不可能です。RCSが対応していませんからね」
  7. この妙なF/A-XXコンセプトの背景にスーパーホーネットのパイロット、ウェポンズシステムズ士官の一団がF/A-18ロビー団体になっていることがある。「スーパーホーネット・ロビーは海軍航空隊の伝統を体現しているのです」と前の消息筋は語る。「ボーイングにも近く、結局ボーイング好みの設計に戻してしまうのです」
  8. 海軍の航空部門がDOD上層部のみならず海軍長官レイ・メイバスからも圧力を受けている理由に F/A-XX設計を極度に保守的に考えており、F-35Cより相当低い性能で想定している点があると消息筋は語る。国防総省特にロバート・ワーク副長官はメイバスとともに高性能の長距離ステルス爆撃機を想定していたのだが、スーパーホーネット・グループはこれが気に入らない。
  9. 同じ消息筋によればスーパーホーネット・グループはまず無人空母発進偵察攻撃機(UCLASS)構想を葬り去ったが消息筋は敵地奥深くまで侵攻できる無人機が出現すれば戦闘攻撃機部隊の地位が脅かされるためと解説した。「要は自分たちの地位を正当化しているのです」
  10. だが国防総省と海軍長官は繰り返し長距離攻撃能力整備の方向性えを示し、スティングレイ空母搭載自律給油機という隠れ蓑で結局実現することになった。「海軍航空部門は少なくとも二回、主張を拒絶されている。しかも同じ内容を提案して」と消息筋は語る。「F/A-XXはまるでスーパー・スーパーホーネットにしか見えません」
  11. 国防総省の反対意見を受けて海軍省は海軍航空戦力の将来像の決定をクリントンあるいはトランプ政権誕生後まで意図的に先送りしている。「現政権の任期が終われば予算割り当て増を期待し、F/A-XXを差し出すか、F-35の購入を終了して本当に海軍が欲しいものを手に入れるのではないか」と消息筋は述べる。
  12. その反面、空母航空隊主力は2030年代中盤まで第四世代のボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットのままだ。スーパーホーネットで2030年代の脅威環境に対応できるのかとの問いに海軍航空システムズ本部は「NAVAIRによる分析とNAWCが2030年代のA2/AD想定環境での課題、制約、作戦能力要求を定義しようといています。さらにOPNAVでは将来必要となる性能を優先順位付けしています」との声明文を送ってきた。「海軍は今後も空母航空部隊各機で必要な性能とともに敵装備の性能も併せて検討してロードマップ並びにフライトプランを作成し技術成熟化、導入、展開を目指し有効な戦力を2030年代でも確保します。NAVAIRはOPNAVと連携して機種別の将来投資計画を作成します。F/A-18、EA-18G、E-2C/D、JSFなどが対象です」
  13. ブライアン・マグラスはフェリーブリッジ・グループ海事コンサルタンシーの経営幹部で、空母航空隊は2030年でも現在と大差ない陣容にと述べており、少数のF-35Cが高度防空体制空域で飛行するのが違いと見る。「スーパーホーネットは今と大差ない任務についているでしょう。厳しい環境ではステルス攻撃機F-35Cの出番となり、航空隊はシステムとして機能する必要がありますので、グラウラー隊がジャミングでスーパーホーネット隊に活躍の機会を作るでしょう」「今後15年で精密長距離攻撃兵器が標準となるはずです。スーパーホーネットはスタンドオフ攻撃機になります」
  14. ブライアン・クラークは戦略予算評価センター(CSBA)の主任研究員で海軍統合火器管制対空(NIFC-CA)システムが2030年代以降の空母航空作戦でカギになると見ている。オプションの一つとして「F-35CあるいはBをステルスISR機材として投入しパッシブで敵目標を探り、安全なデータリンクでF/A-18E/Fの『ミサイルトラック』がスタンドオフ地点に待機しているところへ連絡する」ことがあるという。ただ「今日と同様にF/A-18E/FがE/A-18Gの保護の下にスタンドオフ兵器攻撃を行うこともあるが、F-35Cもジャミング機材として使えるだろう」と述べる。
  15. さらに海軍はMQ-21スティングレイ無人給油機を「ISR機材として標的情報を安全にデータリンクでF-35Cへ送り、F-35CはC2センターとして攻撃対象を各機に割り振ることもできるはず」とクラークは言う。もし海軍がF/A-XXをF/A-18E/F退役後の穴を埋める機材として見ているのであれば、スーパースーパーホーネットがNIFC-CAの仕様に適合した形になっていてはじめて意味が出てくる。NIFC-CAではE-2D高性能ホークアイからイージス巡洋艦駆逐艦まですべてを結ぶ。
  16. それでも問題は海軍が将来の空母航空部隊がA2/AD環境でどう戦うべきかの明確な答えをまだ準備していないことだと消息筋はいう。「海軍航空部門は長期的な視野で考えることを拒否し、脅威環境も同様に考えていないのです」と消息筋は述べ、「もう将来の脅威環境ではないですよ。現在の脅威環境です。もしロシアがA2/ADのバブルをシリアに広げたら、もしS-400をシリアに投入したら、F/A-18ホーネットでは対抗できなくなります。つまり海軍は東地中海から締め出されることになりますね」■


Dave Majumdar is the defense editor of The National Interest. You can follow him on Twitter @DaveMajumdar.

もし戦わば① 駆逐艦ズムワルト 対 巡洋戦艦キーロフ

キーロフ級は排水量24千トン、ズムワルトは15千トンです。


Navy Zumwalt Destroyer vs Russian Battleship - Could the US Navy and Russian Wind Up in Combat on the High Seas?

KYLE MIZOKAMI
3:49 AM

  1. ズムワルト級新型駆逐艦とロシアの巡洋戦艦が戦闘したらどちらが勝つか。両艦が公海上で対決する仮定で、それぞれの対艦ミサイルのうち最大射程の300マイルの距離があるとしよう。キーロフ搭載グラニットミサイルの有効射程だ。両艦とも相手の位置は把握していない想定で、その後突き止めるとする。キーロフにはレジェンダ・レーダー衛星システムがあり、ズムワルトはステルスでレーダー上ではちっぽけな漁船のように映る。
  2. まず両艦とも必死に相手を探るだろう。ヘリコプターで水平線の先を探索させる。この状況ではステルスのズムワルトに圧倒的な優位性があり、ズムワルトのヘリコプターがキーロフをまず発見すし、位置データを母艦に送る。キーロフも米ヘリコプターを探知するがズムワルトの位置はつかめない。
  3. ズムワルトがステルス性を保てれば、理論上は主砲射程まで接近できるはずだ。一方、ロシア巡洋戦艦は接近せず長距離からズムワルトを攻撃したがるはずだ。ロシアには不幸ながらキーロフの搭載するシステムは全てレーダー誘導方式である。キーロフはミサイルをズムワルトの推定位置に発射する。グラニットミサイルのホーミングレーダーはズムワルトの僅かなレーダー反射を捉えルノに苦労するだろう。
  4. グラニットがズムワルトを補足しても、ズムワルトの防空装備が相手となる。SM-2中距離対空ミサイルが少なくとも18発あり、さらに改良型シースパロウ短距離防空ミサイルがある。ズムワルトはグラニットの殆どを撃墜する。
  5. ズムワルトが主砲を使う可能性はあるだろうか。状況次第だ。最大射程の83マイル(134キロ)で高性能主砲システム(AGS)が長距離陸上攻撃弾を発射すると161.89秒で標的に到達する。もしズムワルトがキーロフの正確な位置を把握できれば、砲弾の飛翔速度を落とし巡洋戦艦に命中させるだろう。GPS誘導方式によりキーロフの速度と方向が一定でないと修正が加えられない。そこでキーロフはジグザグ航行を開始し、方位を把握されないようにする。

  1. 結局、この対戦は引き分けになる。どちも正確な相手の位置を把握できない。将来に新型の長距離対艦ミサイルが導入されればズムワルトが優位になる。あるいは155ミリ砲の砲弾が無人機から最終誘導を受ければ大きな効果を上げる。
  2. ズムワルトは主砲の標的を合わせるだけの接近できず、キーロフもレーダー誘導兵装を活用できず、両艦は次回対決に決着を預けるだろう。■

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boringand the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.