2024年3月11日月曜日

ウクライナ情勢:ウクライナの存亡にとって時間が切迫してきた。状況はここまで悪化している

 ウクライナにとって情勢はどんどん悪化しているようです。しかし、侵攻を始めたロシアが勝利すれば国家主権は暴力で簡単に踏みじられることを認めることになります。とはいいつつ、援助支援はいつまでも続けあれれず、起死回生策がすぐにでも必要となります。たとえば、国際義勇軍とかウクライナのNATO加盟とか...1945記事からのご紹介です。

ウクライナは時間との戦いの様相

メリカ国民の戦争疲れと、ウクライナの軍事行動の進展の緊急性は差し迫った問題。外国での紛争への関与に対する消極性は第二次世界大戦前の感情を彷彿とさせる、反映している。

要約:アメリカ国民の戦争疲れと、ロシアに対するウクライナの進展の緊急性は差し迫った問題であり、第二次世界大戦前の感情を彷彿とさせる、外国との紛争に関与することへの歴史的な消極性を反映している。ウクライナ側は、総額1650億ドルを超える援助、軍備、財政支援という西側の支援で支えられているものの、ロシアの手ごわい防衛力と軍内部の調整の難しさと戦っている。西側の戦術や装備を使って殺傷率は有利なままだが、ロシアがウクライナ資源の枯渇を狙っているため、ウクライナの将来は継続的な支援にかかっている。

ウクライナの軍事的課題: 勝利への道か、それとも膠着状態か?

アメリカ国民がロシアの残忍な侵略に直面したウクライナの勇気を賞賛しているのは明らかだが、イラクやアフガニスタンでの最近の紛争を経て、アメリカ人は戦争疲れしている。そのため、ウクライナ側にタイムリミットが迫っている。アメリカの援助が尽きる前に、ロシアに対して前進する必要がある。

フランクリン・デラノ・ローズベルト大統領は、1939年の3期目出馬の際、外交政策の "専門家"を前面に出して孤立主義者を指弾しなかった。

第一次世界大戦で死傷者30万人以上を出した後、多くのアメリカ国民はヨーロッパの国境や植民地の領有権をめぐり再び戦争することに断固反対していた。ローズベルトは孤立主義者の立場が妥当であることを認識していた。彼の戦争評議会は、重鎮の顧問でいっぱいだった。専門家は事実を議会に伝えるよう指示され、議会は陸海軍予算を増やし、徴兵制を導入し、戦争物資や装備を同盟国に提供する一連の法案を可決した。

戦前の準備は、アメリカ国民との協議と説得を意味した。ローズベルトは、孤立主義者を安心させ、戦争に反対であることをアピールすると同時に、アメリカの利益を守る準備を進めた。ローズベルトは、ヨーロッパとアジアにおけるファシズムの台頭がなぜ自分たちの問題なのかを国民に理解させる必要を知っていた。

これに対し、現政権は、ウクライナ支援に関してアメリカ国民にそのような説明をしていない。

2022年2月のロシア侵攻後、ウクライナはロシア軍の圧倒的な数的優位に対するキエフとドンバスの印象的な(大胆ではあるが)防衛によって西側の支持を得た。ハリコフとケルソンでのウクライナの反攻は大成功を収め、軍全体の武器、軍用品、軍需品、車両を奪取した。これによって西側の財布の紐は緩んだ。

米国はウクライナの大義に750億ドル以上を寄付した。これには以下が含まれる: 

-軍事援助と融資(45億ドル)

-訓練、装備、武器、後方支援(183億ドル)-ウクライナ国家予算への財政援助(264億ドル)

-人道支援(27億ドル)

-備蓄から引き出した軍用ハードウェアと武器は、ことを許可した。(235億ドル)

NATOの欧州加盟国は、430億ドル以上の資金援助と、290億ドルの軍用ハードウェア、武器、ウクライナ兵士の訓練を提供した。EUはまた、EU加盟国に逃れてきたウクライナ難民を支援するために180億ドルを提供し、欧州とNATOの支援総額は900億ドルに達した。

欧米の支援が殺到したにもかかわらず、ウクライナは2023年に目立った成果を上げることができなかった。ウクライナが戦闘を続けるためには、米国の支援が不可欠になっているのは明らかだ。

ロシアは、2022年秋以降、ロシア地上軍を防衛可能な位置に固めるために熱心に取り組んだ。これらの統合は、ロシアの兵站・補給源であるロストフ・オン・ドン方面へのウクライナの東進、あるいはアゾフ海方面への南下を挫くためのものだった。

ロシアのタイムリーなライン調整は、部隊を要塞と地雷原の背後にしっかりと固めた。ウクライナ側が突破口を開くために利用できるような弱点はなかった。ロシアの塹壕は今や宇宙からも見えるほど厚くなっている。

ウクライナ軍の限界も明らかになりつつある。ウクライナの軍事指導者間には自滅的な競争がある。彼らは進軍をうまく調整できない。ウクライナの砲兵隊は、他の大隊や旅団の歩兵の動きを支援できていない。近接航空支援は存在しない。

2023年8月21日、ハンガリーのオルバン大統領はブダペストでポピュリストのタッカー・カールソンと対談し、衝撃的な発言をした:「ウクライナは勝てない。彼はさらに、西側諸国はロシアを理解していない、モスクワはウクライナの支配が国家存続に不可欠だと考えている」。

ロシア国防省は無力さを示したかもしれないが、モスクワは引き下がることはできない。ロシアはウクライナに60万人以上の徴兵制軍隊を展開している。地上軍に機動戦を戦う能力がないことを悟った国防省は、ウクライナのインフラとウクライナ国民自身に対する大規模な砲撃と攻撃のために、不正確な旧式兵器システムを調達している。

ウクライナ軍は2019年に30万人から2022年にはおよそ70万人にまで増やしたが、準軍事組織や民間人のボランティアを考慮すると、見積もりは難しい。軍隊を作ることと軍隊を維持することは全く異なる問題であり、国際的な後ろ盾がなければ維持することはできない。

今後数年間、ロシアはウクライナ経済を徐々に疲弊させ、国家政府を維持することも軍隊を組織することもできなくさせるだろう。外国からの援助が途絶えれば、ウクライナの政権と国民にとって絶体絶命のピンチとなる。

西側の戦術と装備を使い、ウクライナ軍(UAF)は現在、ロシア地上軍に対して3対1、時には5対1のキルレシオを達成している。だが残念ながらこれで十分とは言えない。

ハイブリッド戦争に関する著書で、筆者はユニークなロシアの戦争へのアプローチと、どのような教訓が得られるかについて詳しく書いている。ロシアが死傷者を理由に戦争から手を引くことはめったにない。1917年のボリシェヴィキ革命でロシアは第一次世界大戦から手を引かざるを得なくなったが、180万人以上のロシア軍兵士の死後であった。参考までに、2023年12月4日、英国国防情報局はツイッターに、ロシアは7万人の兵士が死亡し、さらに22万~28万人の兵士が負傷したという推計を投稿している。

ロストフ・オン・ドンは、ロシア軍にとって中継地点であり、兵站拠点だ。ゲラシモフ参謀総長と代理も、同市の南部軍管区司令部から紛争を指揮している。キーウがモスクワを現実的な交渉のテーブルに着かせたいのであれば、ロストフ・オン・ドンは直感的なターゲットとなる。

今のウクライナはすべてを賭けなければならず、莫大な損失を被る可能性が高い。しかし、賭けに出るなら今しかない。

アメリカの忍耐力は衰えてきた。時間は刻一刻と迫っている。■

Ukraine's Fight Against Time - 19FortyFive

Ukraine’s Fight Against Time

By

Curtis Fox


About the Author 

Curtis L. Fox is the author of the recently published book Hybrid Warfare. Despite being accepted to the graduate engineering program at Virginia Tech, Curtis chose to enlist in the Army, where he learned to speak Russian and earned his Green Beret. After completing his time in service, Curtis studied at Georgetown University’s McDonough School of Business, earning a Master’s of Business Administration. Disclaimer: The views expressed in this article are those of the author, and do not reflect the official policy or position of the Department of Defense or the U.S. Government. 


F-35Aに核兵器運用能力が認定されたことで、ヨーロッパはロシアへの抑止効果強化を実現へ。ヨーロッパの核シェアリングに注目

 核シェアリングは価値観、信頼感がある程度揃っている欧州だからこそ実現した構想でしょう。これまでのF-16に代わりF-35Aが核兵器運搬能力を公式認定されたことで、モスクワに対する抑止体制が強化されます。The War Zone記事からのご紹介です。


The red tail of an inert B61-12 is visible inside the bomb bay of this F-35A during a flight test.&nbsp;<em>U.S. Department of Defense</em>

The red tail of an inert B61-12 is visible inside the bomb bay of this F-35A during a flight test. U.S. Department of Defense


F-35Aが核攻撃運用能力を正式認定され、B61-12核爆弾を搭載可能になった

F-35AがB61-12熱核爆弾の搭載能力を正式認定された。オランダが運用するF-35Aが「抑止ミッションの初期認証」を昨年末に受けていた。

 F-35Aが核攻撃を可能になったことで、ヨーロッパにおけるNATOの核抑止態勢が大きな信頼性を加えることになる。敵の防空網を突破し、目標に向かう同機は、ロシアに新たな対応を迫る。F-117は核攻撃を行うことができたが、それは通常任務の範囲外であり、冷戦末期には機体は深く機密扱いされ、そのような役割での使用や抑止力を複雑にしていた。

 F-35に追加された生存能力は、モスクワの攻撃防御能力を複雑にし、攻撃が成功する確率についてロシアの予測モデルは調整が必要になるだろう。この能力は、朝鮮半島や太平洋地域を含む他の地域でも使用可能だが、ヨーロッパのような常設の戦術核兵器運搬任務は想定されていない。

 ブレイキング・ディフェンスの報道によれば、F-35統合プログラム・オフィス(JPO)の広報官ラス・ゲーメアは昨日、この認証が10月12日に達成されたと語った。このマイルストーンは予定より早く達成された。米空軍は以前、2024年1月までにF-35AにB61-12を搭載する認証を取得することを目指すと発表していた。

 「F-35Aは史上初の第5世代核搭載機であり、1990年代初頭以来、このステータスを達成した初めての新しいプラットフォームである。「F-35の核認証の努力は、政府と産業界で構成した核関連体制全体にわたる10年以上にわたる精力的な努力の集大成である」。

 F-35の核認証を前倒しする決定があったかどうかは不明だ。いずれにせよ、ロシアとNATOの緊張の高まりを考えれば、同盟の既存の抑止力に新たな能力を加えることは重要な進展である。

 以前の報道に反して、F-35AはB61-12の運用ではブロック4アップグレードは不要だ。ブロック4や、この新規格が依拠するテクノロジー・リフレッシュ-3(TR-3)のハードウェアとソフトウェア・スイートが遅延や困難を続けている中、これは統合打撃戦闘機にとって朗報である。

 本誌は昨年11月、オランダ空軍(RNLAF)が「F-35による抑止ミッションの初期認証」を受けたと述べたオランダ航空戦闘司令部のヨハン・ファン・デヴェンター司令官のX投稿について報告した。

 この発言を受けて、本誌は米空軍に対し、F-35Aの核戦力の状況や、オランダのツイートが示唆した運用認証が早期に得られたかどうかについての最新情報を求めた。空軍の回答はなかった。

 ともあれ、F-35AがNATOの最新のいわゆるデュアル・ケイパブル・エアクラフト(DCA)としてマントルを握ることは、以前から計画されていた。

 米空軍は、すべてのF-35Aを「将来的には、割り当てられたロット番号とは無関係に、核認証構成にする」計画だという。各機は最終的にすべてDCA認定を受けるかもしれないが、それはすべてが実際に核の役割を持つことを意味するわけではない。特に指定された飛行隊だけが、実際に核攻撃任務を遂行する資格とインフラ、そして爆弾そのものへのアクセスを持つことになる。

 核搭載F-35Aを配備されると思われる米空軍部隊のひとつが、イギリスのレーケンヒース空軍基地にある第48戦闘航空団だ。イギリスでは、2008年に最後の戦術核爆弾が撤去された後、再びアメリカ所有の戦術核爆弾が配備される可能性が高まっている。

A map of current and former locations where B61 bombs are located in Europe under the NATO nuclear weapon sharing arrangements and a table breaking down estimated total bombs at each current site as of 2022.&nbsp;<em>FAS</em>

A map of current and former locations where B61 bombs are located in Europe under the NATO nuclear weapon sharing arrangements and a table breaking down estimated total bombs at each current site as of 2022. FAS


 しかしF-35Aの核ペイロード対象B61-12爆弾については、多くが秘密のままだ。

 全米科学者連盟は、2023年時点で、「レガシー」のB61-3およびB61-4爆弾100発程度がヨーロッパに配備されている可能性が高いと見ている。

 最終的には、これらの旧型爆弾は大幅改良版のB61-12に置き換わる予定だが、取り組みの状況は極秘にされている。前述のオランダをはじめ、ベルギー、ドイツ、イタリアが現在ヨーロッパでDCAを運用しており、将来はF-35Aで任務を継続する見込みだ。ドイツの場合、そもそもF-35Aを取得した背景に、同機の核能力が中心的な原動力となっている。B61-12の欧州配備は、これまでも議論になっていたが、大きな疑問は、新型爆弾がいつヨーロッパに到着するかというタイムラインだ。

 ポリティコは2022年10月の記事で、「米国の外交公電とこの問題に詳しい関係者2名」を引用し、B61-12の欧州到着は以前は2023年春とされていたが、2023年12月に前倒しされたと報じていた。

 全米科学者連盟で核情報プロジェクトのディレクター、ハンス・クリステンセンは昨日のツイートでこう述べている: 「F-35AがB61-12の核設計認証を受けた今、USAFEは欧州の核任務部隊の核運用認証訓練を開始する。F-35AがB61-12の核設計認証に合格すれば、B61-12が装備される」。

 B61-12のヨーロッパ配備での指標が、再びオランダからもたらされる可能性がある。RNLAFは、2024年初頭にF-35Aの完全運用能力を宣言する予定だと述べている。同宣言は、この戦闘機が、DCA任務を含め、これまでオランダのF-16に割り当てられていた任務を全部遂行できることを意味する。論理的には、このようなマイルストーンは、B61-12が使用可能になった時点で達成されることになる。

 B61-12についてわかっていることは、慣性航法システム(INS)に基づく新型誘導パッケージと精密誘導尾翼キットを含む能力に関するものである。全長12フィート、重量825ポンドのB61-12は、悪名高いほどの予算がかかる。B61-3、-4、-7、-10を改修した部品も含まれている。

 核任務用のF-35Aは、B61-12しか搭載できないが、欧州のNATOが運用する他のDCA任務では、B61-12の能力をフル活用できないため、状況が異なってくる。

 2022年、米空軍は本誌に対し、米空軍やNATOのF16戦闘機、ドイツやイタリアのパナビア・トーネード攻撃機が、B61-12の特徴的な部分である精密誘導尾翼キットを活用可能にする計画は存在しないことを確認した。その時点では、米空軍のF-15Eストライク・イーグル戦闘機、B-2Aスピリット・ステルス爆撃機、およびB-21レイダー・ステルス爆撃機に核任務を任す米空軍およびNATOのF-35Aに加えて、その特定の機能を統合することだけが要件だった。

 このため、ヨーロッパにおけるDCA用F-35Aの核任務は、B61-12の能力をフルに発揮できるようため、より重要になる。

 それはともかく、あらゆる種類の核兵器を搭載することが認定された最初のステルス戦闘機にF-35Aがなったことには大きな意味がある。ヨーロッパの戦略的環境が変化する中、このニュースは、特にモスクワ関連で、NATOとロシアとの関係がますます緊迫しているという観点から見られる可能性が高いようだ。ポーランド政府の関係者は、NATOの核兵器共有プログラムに参加したいと発言している。そうなれば、F-35Aが運搬プラットフォームの候補になるのは明らかだ。

 B61-12がいつヨーロッパに到着するかにかかわらず、米空軍核兵器共有同盟国は、敵防空網を突破するユニークな能力を持ち、核ペイロード搭載のステルス戦闘機を公式に運用することになる。■


F-35A Is Officially Certified For Nuclear Strike | The War Zone

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAR 9, 2024 1:52 PM EST

AIR


2024年3月10日日曜日

海自に三番艦じんげいSS515が引き渡され、たいげい級の建造は順調に進んでいるが、その後建造する艦でVLSをどう運用するかが課題だろう

 NAVAL NEWS記事からのご紹介です。たしかに今後VLSを導入すると既存の電力インフラでは能力不足になる懸念があり、日本の潜水艦整備の方針が大きく変わる可能性がありますね。


Japan Third Taigei-class Submarine JS JingeiThe diesel-electric attack submarine Jingei was commissioned on March 8, 2024. Kosuke Takahashi picture.


たいげい級潜水艦の3番艦が就役

  • 海上自衛隊は、「たいげい」級ディーゼル電気攻撃型潜水艦(SSK)の3隻目を就役させた。

  • 同級の1番艦「たいげい」は同日付で、試験潜水艦となった。


JS「じんげい」(SS 515)と命名された「たいげい」級の新造艦は、3月8日に三菱重工業(MHI)から神戸で引き渡され、横須賀海軍基地を母港とする第2護衛艦隊の第4護衛隊に編入された。

 このクラスの1号艦「たいげい」は同日、試験潜水艦へ変更され、日本は合計22隻の潜水艦を維持し続ける。

 海上自衛隊によると、新型潜水艦の乗組員数は約70名、全長84メートル、幅9.1メートル、喫水10.4メートル、標準排水量約3,000トンで、従来のそうりゅう型SSK(全長84メートル、幅9.1メートル、深さ10.3メートル、標準排水量2,950トン)よりわずかに大きい。

 海上自衛隊によると、「たいげい」型は、最大6人の女性が居住できる居住スペースなど、女性専用区画を初め導入した。

 「じんげい」とは、日本語で「迅速な鯨」を意味し、大日本帝国海軍時代の外洋皇室ヨットや潜水艦補給艦の名前である。「たいげい」型潜水艦は、これまでの「しお」「りゅう」に続き、「げい」(鯨)を名前に取り入れた。"たいげい "は "大きな鯨 "を意味する。

 建造費約699億円(4億7300万ドル)の新型潜水艦は、6000馬力を発生するディーゼル電気エンジンを搭載し水中での最高速度は20ノット。

 海上自衛隊によると、「たいげい」型は、海上自衛隊の「そうりゅう」型最終2隻「おりゅう」(SS511)と「とうりゅう」(SS512)と同様、リチウムイオン蓄電池を搭載しているという: である。

 リチウムイオン電池を提供したのは、京都に本社を置く電池システムの開発・製造会社、GSユアサだ。今のところ、SSKにリチウムイオン電池を搭載しているのは日本だけで、韓国は2020年代後半にKSS-III(別名:ドサンアンチャンホ)級潜水艦の第2バッチでリチウムイオン電池を搭載する予想がある。

 防衛省によれば、新型「たいげい」級は「コンパクト」で「高効率」な電力貯蔵・供給システムを採用し、艦艇を大型化せず水中での耐久性を向上させる。

 防衛省によると、このクラスはまた、先進的な統合センサー、コマンド・アンド・コントロール、武器交戦システムを組み合わせた新しい戦闘管理システム(CMS)を採用した。

 さらに、シグネチャーを減らすために強化されたシュノーケルシステム、探知能力を高めるために光ファイバーアレイ技術に基づいた新世代ソナーシステムも採用されている。

 たいげい級は、過去4隻のそうりゅう級と同じ魚雷対策システムを採用している。魚雷は、89式魚雷の後継となる18式魚雷と呼ばれる日本最新のものを使用する。当初「G-RX6」と呼ばれたこの新魚雷は、推進力、目標探知、処理など多くの分野で改良が加えられている。

 このクラスはまた、UGM-84Lハープーン・ブロックII対艦ミサイルを水上目標に発射することができる。このミサイルの射程は248kmで、日本が「反撃能力」を獲得するのに十分な距離だが、東京ではいまだに熱い議論が続いている。

 2015年5月、米国務省はハープーン潜水艦発射ミサイルを日本に売却する案を承認した。当時、この取引は1億9900万ドル相当と見積もられていた。日本政府は、海上自衛隊の既存装備であるUGM-84CとRGM-84Cハープーンミサイルを補完するために、48基のUGM-84LブロックIIミサイルを要求していたと、アメリカ国防安全保障協力局は述べている。

 「たいげい」型潜水艦の初号艦は「たいげい」(SS513)と命名され、2022年3月に就役した。同級2番艦の「はくげい」(SS514)は2023年3月に就役。同級4番艦の「らいげい」は、川崎重工業(KHI)によって2023年10月に進水しており、2025年3月に就役する予定である。

防衛省は、SS517、SS518、SS519、SS520の4隻の同級潜水艦の建造に予算を割り当てており、三菱重工が1番艦と3番艦を、川崎重工が2番艦と4番艦を建造する。

 海上自衛隊は、「たいげい」型潜水艦を何隻建造するか正式には決めていない。しかし、海上自衛隊がこれまで各級の潜水艦を約10隻建造してきたことを考えれば、「たいげい」級潜水艦の総数も同程度になる可能性が高い。言い換えれば、防衛省と海上自衛隊は、老朽化してきたおやしお型潜水艦の更新を現在のペースで進めるだろう。

 2022年12月に政府が承認した現行の防衛力整備計画(2023~2027年度)では、11番艦「たいげい」型潜水艦の最終艦は2027年度中に建造される可能性が高い。

 直近では、2023年12月22日、東京の防衛省が4月から始まる2024年度(会計年度)に、このクラスの8番目のSSK(SS 520)を建造するための950億円を確保した。

 次のクラスの潜水艦の建造は、次の2028年度予算に基づいて開始される可能性が高い。つまり、防衛省と海上自衛隊は、次世代潜水艦の本格的な検討を迫られている。


たいげい級と新たな安全保障環境


日本を取り巻く安全保障環境を見れば、中国やロシアは原子力潜水艦を増強している。北朝鮮も日本列島に届く射程1500km以上の巡航ミサイルを搭載した原子力潜水艦の取得を目指している。台湾海峡有事の可能性が現実味を増す中、海上自衛隊の潜水艦作戦任務と海域は拡大しつつある。

 このように厳しい安全保障情勢の中で、新型潜水艦の開発は、敵地攻撃の可能性を含む反撃能力の獲得をうたう防衛力整備計画に沿ったものとなる。

 防衛力整備計画では、"海中の覇権を握るため、垂直発射システム(VLS)を搭載した潜水艦(SS)を開発し、潜水艦搭載スタンドオフ・ミサイルの獲得を目指す "と明記されている。

 日本の軍事専門家は、「たいげい」級4番艦から新型の高出力ディーゼルエンジンや関連機器が搭載されるものの、「たいげい」級は原子力潜水艦に比べ船体が小さく、電力供給も限られてるため、VLSの搭載は難しいと指摘している。

 水中から長距離ミサイルを発射できる垂直発射装置を搭載した新型潜水艦を建造するためには、日本の新型潜水艦の船体を現在よりも大型化し、さらなる電力供給能力を確保することが不可欠となる。

 加えて、日本の新型潜水艦には、次世代高出力ソナーや各種水中無人機(UUV)を搭載することが必至であり、いずれも現在よりも大きな電力を必要とする。

 Naval Newsが次期潜水艦の要件について質問したところ、海上自衛隊の酒井亮幕僚長は6日の記者会見で次のように答えた:

「それは間違いなく将来検討を迫られる課題だ。トマホークミサイルを発射できる垂直発射システム(VLS)を搭載した潜水艦も出てくるだろう。通常型潜水艦とミサイル発射による反撃能力を持つ潜水艦をどう区別するか、将来的に検討する必要があると認識している。これ以上の詳細は申し上げられない」。■


Japan Commissions Third Taigei-class Submarine - Naval News


2024年3月9日土曜日

中国抑止計画のもと米国資金でフィリピン空軍基地が改修へ。

 

USNI News記事からです。フィリピンが中国を意識した安全保障に本腰になってきました。やはり政権交代の影響でしょう。当然ながら大陸は神経を尖らせていますが、相手により対応を切り替える中共の考え方で、領有権を争い、海上で放水はされるは、レーザーは照射される、あげくのはてには平気で衝突されるまでの扱いを受けるフィリピンは北京から見下されているのでしょう。こうした不合理には有志国といっしょに行動するのが理にかなっており、米国の動きは歓迎されているはずです。日本も防空レーダーを提供したほか、中古機材も許与していますね

国への抑止力の強化策の一環として、フィリピンの空軍基地が米軍機を収容するため大規模なアップグレードを受ける。

2014年の米比防衛協力強化協定(EDCA)により、米国資金による改良が進行中だが、フィリピン空軍バサ空軍基地(Cesar Basa Air Baseマニラ首都圏から北西へ40マイル)の最新プロジェクトで、62万5000平方フィートの駐機エプロンを整備する。

予算書類によると、エプロンは基地内に建設されるが、フィリピン空軍の施設からは離れている。エプロンには、小型機18機と大型機2機の計20機分の駐機スポットに加え、排水システムと火器管制システムが含まれる。予備設計図に基づくと、新しい増築部分は、人道支援や災害救援活動のための機材や物資を保管する、米国が資金提供する空軍基地の倉庫の前に位置することになる。

この建設はEDCAのもとで許可されているが、国防総省の太平洋抑止構想(PDI)のもとで資金が提供されている。中国が脅威の急先鋒とされる中、PDIは能力、コンセプト、インフラへの投資を通じて「地域の抑止力」の強化を目的としている。2024会計年度に国防総省はPDIに91億ドルを要求した。

インド太平洋軍への投資は別として、この計画は西太平洋のパートナーや同盟国に資金を提供する。オーストラリアと北マリアナ諸島の基地と飛行場もPDI資金の対象だ。

バサの改善について、米空軍は、これらの投資はフィリピンの部隊の訓練と近代化を支援する努力を維持するために必要だと主張している。また、予算書にはフィリピン空軍が現在バサで近代化作業を行っていると記されているが、バサには "米軍機に十分な航空機駐機エプロンスペース "がない。

第二次世界大戦の少し前に建設され、その歴史を通じて米軍と日本軍に使用されたバサは、今日、韓国製のFA-50PHファイティング・イーグル12機からなるフィリピン唯一の戦闘機飛行隊の本拠地だ。これらの戦闘機は、フィリピンの限られた防空能力で中核となっており、毎年アメリカの戦闘機と訓練を行っている。2023年、これらの戦闘機はF-22ラプターと初めて訓練を行い、米空軍の第5世代戦闘機が初めてマニラに到着した。

マニラが軍事近代化の次の段階に進む中、フィリピン空軍は最終的に多用途戦闘機を選定する見込みだ。政府はスウェーデンのJAS-39グリペンを選択する意向を示しているが、フィリピン政府関係者にとって、アメリカのF-16ファイティング・ファルコンは依然として最有力候補のままだ。これらの戦闘機が調達されれば、バサをはじめとするフィリピン全土のEDCA拠点に配備される可能性が高い。

フィリピンは昨年、EDCAに基づいてアメリカがアクセスできる基地を5カ所から9カ所に増やした。フィリピン国防省は、これらの将来的な拠点は、特に滑走路、通信、給油、その他のインフラなど、米国が資金提供する施設を通じ、フィリピンの軍事近代化プログラムを支援すると述べている。

11月、両国はバサの滑走路改修と延長を正式に完了した。このプロジェクトの結果、より大型の後方支援航空機がEDCAサイトから運航可能になった。バサはこれまでで最大のPDI資金を受け取っており、EDCA投資に計上された8,200万ドルのうち約6,600万ドルである。しかし、米国は今後、EDCAへの投資を1億ドル以上に増やす計画だ。■

Philippine Air Base Gets U.S.-Funded Upgrade Under China Deterrence Plan

AARON-MATTHEW LARIOSA

JANUARY 29, 2024 5:14 PM

https://news.usni.org/2024/01/29/philippine-air-base-gets-u-s-funded-upgrade-under-china-deterrence-plan


バイデンのトランプ対策は資金投入とネガティブキャンペーンのみ。あまりの志の低さに失望。11月の大統領選挙が心配だ。

 2024年は政治の年でもありますが、そのクライマックスが11月の米大統領選挙であることに異論はないでしょう。今回はこのままだと前回の繰り返しとなり有権者の関心が低くなるのは必至ですが、現職の頭の中にはトランプ阻止しかないというのは情けない状態ですが、さらに資金を大量に投入して優位に立てると考えているところにも志の低さを感じます。そもそも前回はコロナをいいことに郵送による投票や各種疑惑を残したままの勝利で、バイデン自身はろくに遊説も行っておりませんでした。今回も資金集めには奔走しているようですが、こんな人物がそのままホワイトハウスに残っていいのでしょうか。政治面では定評のあるPOLITICOの記事を編集してお伝えしています。


バイデンのトランプ対策: 選挙資金で葬る

巨額の資金が投入されようとしている。


連邦選挙委員会への提出書類によると、ジョー・バイデンと民主党全国委員会の資金量は、トランプ・共和党全国委員会より4100万ドル多い。


ジョー・バイデンとその盟友は、ドナルド・トランプを選挙資金で葬り去ろうと、大統領にとって苦しい戦いとなりつつある選挙運動において、資金的優位で対等になることを期待している。

 スーパーチューズデーの結果、バイデンとトランプの再戦はほぼ確実となった。スーパーチューズデーの結果は、11月のバイデンとトランプの再戦をほぼ確実にした。

 今サイクルの大統領選挙広告だけで推定27億ドルが費やされると予想されている。民主党は、有権者の関心をバイデンの年齢からそらし、トランプの混乱した第1期を思い出させる広告の猛攻撃を準備している。バイデン陣営は、水曜日朝に発表されたメモで、バイデン陣営と提携しているグループがトランプを打ち負かすために7億ドル以上の支出を約束したと述べている。

 また、大統領陣営は2024年を有権者にとって選択肢の多い選挙にしようと、この春に対照的な広告支出を強化する計画がある。バイデンの選挙戦略に詳しいが、公の場では話すことを許可されていない人物は、2012年のバラク・オバマ大統領の盟友が共和党のライバル、ミット・ロムニーに熱を上げ始めた時よりも早い時期に、それは行われるだろうと語った。

 「スーパーチューズデーは、再戦になるとは思っていない有権者の層がいるため、私たちのカレンダーには常に丸が付けられていました」と、バイデン支持派スーパーPACのひとつアメリカン・ブリッジの共同設立者、ブラッドリー・ベイチョクは言う。「これは "2番目のドアの向こうには何があるのか?"という選挙になりそうで、2番目のドアとはトランプ2期目であり、それは恐ろしいことだ。有権者は初期のトランプ大統領がいかに混沌としていたか思い出す必要がある」。

 「11月まで戦争になるだろう」と付け加えた。

 バイデンは、世論調査の平均値でトランプを引き離し、支持率も低迷したまま、総選挙の非公式スタート地点に立つ。しかし、彼には資金がある。

 連邦選挙委員会への提出書類によれば、バイデンと民主党全国委員会は、トランプと共和党全国委員会に対し資金力で4100万ドルの差をつけている。予備選に名ばかりの挑戦者しか立てなかったため、トランプが選挙運動と弁護士費用の両方に資金を費やしたのに対し、バイデンは現金をかき集めることができた。

 これは現職の究極の利点であり、「資金を集め、地上とオンラインで早期に投資を行い、対照的なメッセージとクリエイティブを釘付けにする」ことで、「総選挙に向けて前もって計画を立てる」ことができるのだ、と複数の大統領選挙キャンペーンに携わってきた長年の民主党コンサルタント、ステファニー・カッターは言う。

 「こうした投資は今すぐ行う必要があり、そうすれば優位性は重要な形で具体化し始める」と彼女は言う。「資金集めの面でそれが現れている」と彼女は言う。

 2004年のジョージ・W・ブッシュ前大統領と2012年のオバマ大統領の選挙キャンペーンは、巨額の資金調達で現職が優位に立った例であり、バイデン再選キャンペーンにとって雛形となった。特にオバマの再選キャンペーンは、2011年夏にロムニーを "殺す "作戦を立てたことで有名だ。しかし、オバマを支援するスーパーPACがロムニーのプライベート・エクイティでのキャリアを追及するテレビ広告キャンペーンを展開したのは、2012年5月のことだった。

 バイデンはオバマと同様、「資金面で有利な立場にあり、率直に言って支持率も良くない」と、2008年にオバマの国家副財務部長を務めたアミ・コープランドは言う。「ロムニーをその現金で定義する時間はあったし、トランプを同じように定義する時間は今ある」。

 オバマ時代のスーパーPAC、プライオリティーズUSAの創設者であるビル・バートンは、トランプはロムニーよりも純粋にネガティブな攻撃で雪崩を打つのが難しいかもしれない、と語る。

 「候補者の一人が90を超える犯罪に巻き込まれているにもかかわらず、世論調査で優位に立っている。「効果的なネガティヴ広告を打つには、真っ向勝負しかないだろう。より重要なのは、2人の候補者のどちらを選ぶかということを表現することだ」。

 バイデンとその同盟グループはすでに、トランプが自慢げに語るロー対ウェイド裁判の覆しや、1月6日の暴動を扇動する役割を果たしたことに焦点を当て、鋭くネガティブな猛攻撃を仕掛ける計画を示唆している。その最初の例が、命にかかわる妊娠を終わらせるため州を離れたテキサス州の女性、オースティン・デナード医師を起用したテレビ広告だ。

 「超音波検査で、胎児が致命的な状態で、助かる見込みがまったくないことを知りました」と、彼女は50万ドルを投じたバイデンのキャンペーン広告の中で語っている。「テキサスだと、の妊娠を余儀なくされ、それはドナルド・トランプがロー対ウェイド判決を覆したからです」。

 2024年の選択は、トランプがほぼすべての選挙戦を席巻したスーパーチューズデー後のバイデンのコメントでも明らかだ: 「今夜の結果によって、アメリカ国民は明確な選択を迫られている: 前進し続けるのか、それともドナルド・トランプの任期を特徴づけた混乱、分裂、暗闇へと引きずり戻すのを許すのか」。

 しかし、11月に金銭的な優位が実質的に問題になるとは言い難い。2020年、トランプとRNCは、バイデンに対して2億ドルの資金力で優位に立っていたが、トランプの勝利には結びつかなかったし、2024年のバイデンの勝利を保証するものでもない。

 共和党のある戦略家は、この問題について率直に議論するため匿名を条件に話してくれた。「この先、トランプと共和党に資金が集まることは十分に予想できる」。

 トランプ陣営は強気だ。トランプ陣営のダニエル・アルバレス上級顧問は声明で、「RNCとともに、効果的で積極的な選挙戦を展開し、成功させるため必要なリソースを確保する」と述べた。「急進左派とペテン師ジョー・バイデンがいくら金をつぎ込んでも、アメリカの地位と中産階級を破滅させている悲惨な政策の修正はできない」。

 バイデンは高額の資金集めのために定期的に全米を飛び回っている。NBCニュースは今週、バイデン、オバマ、ビル・クリントン元大統領が一堂に会する月末のイベントで、一晩で1000万ドル以上の資金を集める予想があると報じた。火曜日の夜、バイデン陣営は草の根の資金集め作戦を宣伝し、2月に少額寄付者の単月記録を更新したことを発表したが、その合計額については公表していない。

 ウィスコンシン州民主党のベン・ウィクラー委員長は、「民主党の献金者コミュニティや活動家、草の根の間では、トランプ2期目よりもバイデン2期目の方がはるかに有利だということがはっきりしていると思う」と語った。「感情がどうであれ、彼らはドナルド・トランプの独裁政権を阻止するために、自分たちでできることは何でもする用意がある」。

 その資金は有料広告に投入されるだけでなく、拡大するスタッフ活動にも充てられる。バイデンの激戦州担当ディレクターであるダン・カニネンは、今後1ヶ月の間に、「激戦州では数十人から数百人のスタッフを投入し、動員力と地上戦によって接戦を制するインフラを構築することは、大きなアドバンテージだと思う。「我々にこれがあるが、あちらにはない」とカニエンは語った。■


Biden’s plan for Trump: Bury him with campaign cash

By ELENA SCHNEIDER

03/06/2024 05:00 AM EST

https://www.politico.com/news/2024/03/06/bidens-plan-for-trump-bury-him-with-campaign-cash-00145255


2024年3月8日金曜日

ウクライナ戦の最新状況: オデサでゼレンスキー大統領とギリシャ首相がミサイル攻撃を辛くも逃れる(現地時間3月7日現在)

 President of Ukraine Volodymyr Zelenskyy (3rd R) and Prime Minister of Greece Kyriakos Mitsotakis (2nd R) tour the streets destroyed by the ongoing war between Russia and Ukraine during Mitsotakis's official visit in Odesa, Ukraine on March 6, 2024. The leaders then arrived at the port of Odesa, which has been repeatedly attacked by Russian missiles and drones, to inspect the functioning of the 'grain corridor' in Odesa.

Photo by Presidency of Ukraine/Anadolu via Getty Images


ゼレンスキー大統領とミツタキス首相はロシアのミサイル攻撃を危機一髪で逃れた

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領とギリシャのキリアコス・ミツタキス首相は、昨日ウクライナの港湾都市オデサをロシアがミサイル攻撃した際、付近にいたと伝えられている。ギリシャ首相は、記事冒頭の写真に写っているウクライナ訪問の予定中に起きたこの事件を「激烈だった」と表現した。この攻撃のタイミング、場所、使用兵器から、ロシアによる斬首作戦の未遂との見方もある。

ウクライナ海軍によると、水曜日のオデッサの港湾インフラに対するロシアの攻撃で、5人が死亡し、不特定多数の負傷者が出た。未確認の報告だが、オデサはロシアのイスカンデルM短距離弾道ミサイル(SRBM)の攻撃を受け、うち1発が両首脳から220ヤードの至近距離に着弾した可能性があるという。イスカンデルMはロシアの最新鋭のスタンドオフ兵器で、在庫は減少中で、使用は戦争初期より制限されている。また、巡航ミサイルよりはるかに速く目標に到達することができる。

「サイレンが鳴り、近くで爆発音がした。「避難所に行く時間もなかった。とても強烈な経験でした」とミツタキスは付け加えた。

ドミトロ・プレテンチュク報道官は、ギリシャ代表団がゼレンスキーと港を訪れている最中にオデッサへの攻撃が起きたことを確認した。ウクライナの指導者は、2022年2月のロシアによる本格的な侵攻が始まって以来、キエフが同盟国からの継続的な支援を確保するために、さまざまな外国政府高官を接待してきた。

ロシアの安全保障理事会のドミトリー・メドベージェフ副議長は本日、昨日のミサイル攻撃でロシアはゼレンスキー代表団を標的にしていなかったと述べた。しかし、一部のウクライナ政府関係者は疑問を呈しており、ウクライナ外交顧問のイホル・ゾフクヴァはCNNに対し、ロシアによる意図的なミサイル攻撃の可能性は残されていると語った。

最新情報

ウクライナ軍の最高司令官は、軍はまもなく前線の状況を安定させ、今年後半に新たな反攻行動を開始できる部隊を設立すると述べた。2月11日以降、ウクライナ地上軍司令官を務めるオレクサンドル・パブリウク中将は、軍部隊の撤退と戦闘能力の回復に向けた作業が進行中であると述べた。ゼレンスキー大統領は、ロシアがこの春か夏に新たな攻撃を仕掛けてくると想定していると述べている。

ウクライナ政府の報告によると、ロシアはウクライナ東部ドネツク州の有力都市アブディイフカを奪取したことを活かそうと奮闘しているという。アヴディフカは5ヶ月にわたる血なまぐさい作戦の末にロシアの手に落ちたが、ウクライナ軍のドミトロ・リュホヴィ報道官は2日、国営テレビに対し、ロシア軍は同市近郊で新たな地盤を得ることができなかったと語った。


その代わり、ロシア軍は現在、アヴディフカの南、ノヴォミハィリフカ村の近くに集中しているようだ。同地域のウクライナ軍司令官マクシム・ゾーリンは、ロシア軍はなかなか前進できず、最新の目標のひとつがオルリブカ村だと付け加えた。「彼らは常に前進を試みており、可能な限り前進している。「大きな損失にもかかわらず、彼らは昼夜を問わず攻撃を続けている。

スウェーデン代表団がワシントンに到着し、NATO加盟を正式に承認した。スウェーデンの加盟決定は、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけだったが、ハンガリーとトルコの抵抗で遅れていた。

スウェーデンのNATO加盟へのロシアの反応 代表団には、スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相とトビアス・ビルストレム外相が含まれている。彼らは数日中に最終的なNATO加盟文書を米国代表に手渡す。ウクライナはNATOへの加盟を長年熱望しているが、もちろんロシアはこれに強く反発している。

ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの軍事同盟加盟に関する最新の脅しの中で、「ウクライナがNATOに加盟すれば、第5条を実行するのに瞬きする暇さえなくなるだろう」と警告した。これは、NATOの同盟国のひとつが武力攻撃の犠牲となった場合、同盟の他の各加盟国は、この暴力行為を全加盟国に対する武力攻撃とみなし、適切な行動をとるという規定に対する非常に鋭い言及である。

ロシアはまた、今週初めに開始されたNATOの「北方対応2024」演習に怒りの反応を示している。ほぼ2週間にわたって行われる演習には、13カ国から約2万人の兵士が参加し、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北部地域で行われ、北極圏での越境作戦も含まれる。

ロイター報道によれば、安全保障理事会書記でプーチン大統領の盟友ニコライ・パトルシェフは、NATO演習はロシアとの武力衝突のリハーサルのように見えると述べた。パトルシェフは、3月14日まで行われるこの演習は不安定化させ、モスクワと西側の緊張を高めていると主張した。

予想できたことではあるが、この演習に対するクレムリンの批判は、ウクライナ紛争がヨーロッパでの本格的な戦争に発展しかねないとロシア軍高官が警告を強める中で起こった。

ロイターによれば、ロシア国防省の『軍事思想』誌に寄せた記事の中で、参謀本部軍事アカデミーの責任者であるウラジーミル・ザルドニツキー大佐は、ロシアが西側諸国との新たな紛争に巻き込まれる可能性が「著しく」高まっていると述べた。

ロシアとの軍事衝突に使われる『代理勢力』の参加者の拡大から、ヨーロッパでの大規模戦に至るまで、ウクライナ紛争がエスカレートする可能性は排除できない」と、国営通信RIAノーボスチが発表したコメントの中でザルドニツキーは述べた。

「わが国に対する軍事的脅威の主な原因は、アメリカとその同盟国の反ロシア政策であり、彼らはあらゆる方法でロシアを弱体化させ、ロシアの主権を制限し、領土保全を破壊するため、新しいタイプのハイブリッド戦争を行っている。「我が国が新たな軍事衝突に意図的に巻き込まれる可能性は、著しく高まっている」。

ボーランドがAEW&Cを導入 ポーランドがスウェーデンから購入した2機のサーブ340空中早期警戒管制機(AEW&C)のうちの1機は、バルト海地域とその東部辺境に沿ってNATOを後押しするものである。ポーランド当局は昨日、この2機のうちの1機がポーランドに到着したことを確認した。

サーブ340はErieye AESAレーダーを搭載している。発注の緊急性を反映し、この2機は旧アラブ首長国連邦(その前はスウェーデン)の在庫から中古で購入され、1機目は発注から2カ月後の昨年9月にポーランドに正式に納入された。ポーランドへの2機目の引き渡しは今年予定されている。サーブ340は、ポーランド上空と国境を越えて持続的な空中監視を行うという、レーダー搭載のエアロスタットを含む、より大規模な計画の一端に過ぎない。


チェコとスロバキアの関係が緊張 チェコ共和国とその隣国スロバキアとの間には、ロシアとの密接な関係から生じる溝が生まれつつある。NATO加盟国であるチェコとスロバキアは、旧チェコスロバキアを構成し、伝統的に緊密な関係を築いてきた。

チェコはスロバキアとの政府間協議を停止すると発表したが、これは隣国が欧米のウクライナ支援政策から親ロシア姿勢に転換したことに対応したものと見られる。特に、スロバキアのジュライ・ブラナー外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が最近トルコで会談したことに、プラハでは懸念の声が上がっている。

「非常に重要な問題に関し意見の相違があることは否定できない。チェコのペトル・フィアラ首相は昨日、「スロバキア外相とロシア外相の会談は問題があると考える」と述べた。

ロシア国内で火災爆発が頻発 ロシアの国営メディアによると、ロシア南西部のカザン市にある高等戦車訓練学校で今日火災が発生した。この軍事教育施設は、将来の戦車指揮官や乗組員が技術を学ぶ場所である。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、学校から灰色の煙が空に向かって立ち上っている様子が映し出されており、地元の通信社は、消防隊員が現場で炎に対処していると報じている。インタファクス通信によると、この事故で負傷した者はいないという。

火災の原因は発表されていないが、ウクライナへの本格的な侵攻が始まって以来、ロシア全土のさまざまな施設で火災や爆発が頻発している。

この24時間、ロシア占領下の都市ベルディアンスクで水曜にロシア人選挙関係者が自動車爆弾で殺害されるなど、ロシア戦線の背後でウクライナ人による攻撃と見られるものが報告されている。

ウクライナによるドローン攻撃 一方、キーウはロシアのクルスク地方にある金属工場へ無人機攻撃を開始した。報道によれば、2機のドローンがミハイロフスキーGOK鉄鉱石精錬所を攻撃し、工業用燃料タンクが爆発した。これは、ウクライナの無人偵察機によって今日だけで攻撃された3つの金属工場のうちの1つである。

ロシアにおける破壊工作の根強い脅威は、連邦保安局(FSB)がウクライナのために「テロ行為」を計画していたとされる男を射殺したという報告にも反映されている。国営通信社『RIAノーボスチ』によれば、この男はベラルーシ人で、ロシア北部のカレリア地方で射殺された。FSBは銃撃戦の後、「武器と即席爆発装置を押収した」と述べた。

未確認情報によると、ニコライ・アレクセーエフという名のこの男は、フィンランド国境から155マイル(約155キロ)離れたオロネツ市の行政ビルを爆破するつもりだったという。

「逮捕の際、犯人は特殊部隊に発砲した後、無力化された」とFSBは述べた。FSBは、即席爆発装置は英国で製造されたプラスチック爆弾を使用し、米国製の起爆装置を備えていたと主張している。

インド人がロシア軍で参戦 ロシアがウクライナ戦争にインド人を参戦させていることが明らかになりつつある。モスクワのインド大使館が、ロシア軍に徴用されたインド人の死亡を確認したためである。

インド大使館は、モハメド・アフサンの死亡の詳細について明らかにしなかったが、本人の家族およびロシア当局と連絡を取っており、遺骨をインドに送るよう努力する "と述べた。

アフサンの兄は先月AFP通信に、兄は2カ月近く行方不明になっていると語っていた。最後の連絡は、ロシア南部の都市ロストフ・オン・ドンから家族に電話をかけたときで、ウクライナ前線に派遣されたと説明していた。

ロシア軍に派遣されているインド人のうち、インド当局が死亡を確認したのはアフサンが初めてだが、2月には「治安支援要員」として働いていたとされる別のインド人がウクライナの空爆で死亡している。

AFP通信は先月、何人かのインド人新兵が、高給とロシアのパスポートを約束され、ロシア軍のため戦うよう誘われたことを明らかにしたと報じた。彼らは非戦闘員の役割を与えられると思っていたが、すぐにアサルトライフルやその他の武器を使う訓練を受け、ウクライナに送られた。

インド外務省は先月、ロシア軍で「立ち往生している」約20人のインド人の除隊を確保しようとしていると述べた。

ウクライナへの本格的な侵攻が2年を過ぎた今、モスクワは兵士の補充にますます苦慮している。その結果、流刑大隊に目を向けるとともに、他国から兵士を採用しようとしている。

ザルジニ前司令官が駐英大使に ウクライナ軍の前司令官であるヴァレリー・ザルジニは、ロシアとの戦争におけるウクライナの最も強固な同盟国イギリスの大使に就任する予定だ。ザルジニは先月、軍トップの職を解任された。ゼレンスキー大統領との間に亀裂が生じたことに加え、汚職スキャンダルを含む国防省内の広範な問題が原因だったようだ。

Ukraine Situation Report: Missile Landed Near Zelensky And Greek Prime Minister In Odesa

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAR 7, 2024 3:37 PM EST