2024年8月24日土曜日

常識に反する形態のイラン革命防衛隊向けの「空母」は同国の戦略戦術に沿ったもので、就役すれば嘲笑していられない。ただし、商船船体のため脆弱だ。(The War Zone)

イランの奇妙な「空母」の詳細が新たに判明


商船を改造した「シャヒド・バゲリ」は、傾斜した飛行甲板を備え、奇妙な外観だが、イランが長年開発を続けてきた任務を遂行できる可能性がある

A newly emerged photo provides our best look so far at the unusual layout of Iran’s intriguing drone-carrier ship, the IRGC Shahid Bagheri, including its angled flight deck. Converted from an existing commercial vessel, this so-called “forward base ship” design is definitely topical considering the kind of anti-shipping campaign currently being waged by Iranian proxies in the Red Sea and, according to the U.S., by Iran, increasingly further afield.

スクリーンショット

たに公開された写真により、イランの興味深い無人機空母「IRGCシャヒド・バゲリ(Shahid Bagheri)」の、傾斜した飛行甲板を含む、珍しいレイアウトと建造作業の様子が明らかになった。商業用船舶を転用したこの「前進基地船」は、航空機運用能力を備えたイランの設計シリーズの一環であり、その一部はグローバルプレゼンス作戦さえも想定しているが、真の目的は依然として不明瞭である。

 最新写真の日付は不明だが、同艦は昨年末から、確実に追加の作業が行われている。例えば、飛行甲板にはマーキングが施され、完成度が高まっている。

 イスラム革命防衛隊(IRGC)海軍向けに建造されたシャヒード・バゲリは、コンテナ船ペラリンを転用したもので。もう1隻、シャヒド・マハダヴィの改修も作業中だ。

 一部では「イラン初の空母」と呼ばれる(この主張には嘲笑的な意味もある)は、全長約240メートルのコンテナ船を流用し、飛行甲板と、新しい写真でもはっきりと見える「スキージャンプ」式の離陸用ランプを設置したものだ。

 シャヒド・バゲリが甲板の全幅にわたる構造物をそのまま保持している事実は、従来型の空母の構造を採用できないことを意味する。代わりに、傾斜のついた飛行甲板が、おそらく発進と回収に必要な滑走路の長さを確保している。船首ランプまで延びる角度のついた甲板を追加するには、左舷側に目立つ張り出し部またはフレアを建設する必要がある。下記の衛星画像と比較すると、斜めの甲板には白くペイントされたマーキングが施され、ランプの端まで延びる余白と中心線が示されている。


シャヒド・バゲリの衛星画像では、元のままの構造物が残っているにもかかわらず、無人機の発進と回収を可能にする斜めの甲板の構成を明らかだ。 写真 © 2023 PLANET LABS INC. 著作権は放棄されていません。許可を得て転載


しかし、実際にどのように機能するのかは不明であり、同艦で運用を想定する航空機も不明です。

 寸法は非常に厳しく、上部構造は傾斜甲板エリアのすぐ隣に位置しているため、航空機を実際に回収するつもりであれば、上部構造に衝突する可能性がある。

 傾斜甲板が使用され、着陸後に機体が完全に停止しなかった場合、機体は再びスキージャンプ台に向かって上昇することになるが、実際に離陸して次の試みを行うだけの能力があるだろうか? また、同艦が、無人機を停止させるため制動ワイヤーを使用するのか、あるいは、ある種の回収システムを使用するのかも不明である。

 この奇妙な船からどのような機体が飛ぶのかという疑問は、この船の設計の目的を理解する上で鍵となる。中高度・長時間飛行タイプが理想的な候補であるように思われる。垂直離着陸(VTOL)ドローンや、イランが現在配備している多くの一方向攻撃兵器も同様である。ジェットエンジン搭載の高性能ドローンは、潜在的に母艦を本拠地と呼ぶ可能性があり、そのことがこの艦の特徴を説明する手助けとなる。そうなるとこの艦は、使い捨て攻撃タイプを含む、大型長距離のドローンを発進させるのにも使用できる可能性があるが、現時点では不明である。


2024年5月にソーシャルメディアに投稿された、シャヒド・バゲリ級の最近の写真


 いずれにしても、傾斜甲板の延長部と反対側の側面には、多くの種類の無人機やその他のモジュール式兵器を搭載する十分なスペースがある。上部構造後方の後部甲板には、ヘリコプターやより小型のカタパルトおよびネット回収型無人機を搭載することも可能である。トレーラーやトラックのコンテナから発射される巡航ミサイルも選択肢のひとつで、イランはすでにその使用経験がある。

 シャヒド・バゲリ級の改修作業は、バンダール・アッバース近郊のイラン造船・海洋産業複合会社(ISOICO)で行われており、2022年5月までに乾ドックで作業が開始されたと報告されている。

 ISOICO造船所は、同様の転用に関して実績があり、以前には石油タンカーをヘリコプターや無人機運用用の飛行甲板(より小さいものだが)を備えたイラン海軍の別の前進基地艦「マクラン」に転用したことがある。 


2022年12月頃に公開されたISOICO造船所の初期の写真。写真の左側奥と挿入図に、改修初期段階のシャヒード・バゲリが写っている。


 シャヒド・バゲリは、米海軍と同盟国にとって現実的な脅威とはなり得ないが、イランの艦船 には大きな象徴的価値を持っている。

 米軍および同盟国の軍艦やその他の地域資産に対して、持続的に無人機を発進させることは必ずしも想定されていないが、シャヒド・バゲリは、防備の甘い標的を狙った攻撃を含め、短期間であっても商業船舶に甚大な被害をもたらす可能性がある。

 長年にわたり、イランとイスラエルとの間で水面下で船舶に対する秘密の戦争が繰り広げられており、本誌も繰り返し報告してきた。

 一方、昨年10月7日にイスラエルがガザ地区で戦争を開始して以来、イランが支援するフーシ派武装勢力による空前の船舶攻撃キャンペーンが展開されており、特に、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾を航行する船舶を標的と無人機やミサイルによる攻撃が行われている。

 この影響で、一部の貨物船はアフリカ南端の周回航路に変更を余儀なくされ、また、紅海を通過する商業船舶の一部を保護するために、アメリカ主導の「オペレーション・プロスパー・ガーディアン」連合および欧州連合の海軍部隊「オペレーション・アスピーデス」が結成された。

 無人機、特に攻撃用無人機を無人機専用母艦から発進させる能力は、一部の敵に対するシナリオや「グレーゾーン」攻撃において有益となる可能性がある。しかし、シャヒド・バゲリがこのような攻撃能力として使用された場合、それがどの程度の期間生き残れるかは依然として非常に疑問だ。また、これらの能力を世界中のどこにでも展開できるという事実も、イランの軍事ポートフォリオにおいてユニークな位置づけを与えている。実際に使用された場合、長時間は生き残れない可能性があるが、自国または代理国から発射された兵器を使用して、現在の射程距離をはるかに超えた目標を脅かすことができるということは、実際の戦術的な関連性とは関係なく、イランが追求する非対称戦術であることは間違いない。

 シャヒド・バゲリは、確かに使い捨て攻撃型無人機を発射できるが、この種の任務は必ずしも最適な使用法ではない。

 むしろ、シャヒド・バゲリが飛行甲板とランプの支援を受けて、より長時間の飛行と優れた性能を持つ無人機を発進させる能力の方が、より関連性が高い。これにより、より広範囲の監視、商業および海軍船舶の追跡、潜在的な標的の特定が可能になる。他の兵器による攻撃に標的情報を提供するだけでなく、空母から発進する無人機は、より広範な非運動的な海上支配の一環に使用することも可能だ。

 モハージェル-6、シャヘド-129、フォートロス、カマン-12といった中高度・長時間滞空型(MALE)無人機を搭載できれば、艦船が活動する海域を広範囲にわたって持続的に監視することが可能となる。この種の無人機には、小型ミサイルや誘導爆弾を搭載することもできる。

 RQ-170を非常に大まかに基にした低探知性のSaeghehも、この艦により海上に移動することが可能になる。

 無人機がシャヒド・バゲリから運用される主要航空機と見られている一方で、この艦はヘリコプター運用も支援できる。すでに、フーシ派が紅海で商業船舶をハイジャックするためにヘリコプター搭載の特殊部隊を使用しているのが目撃されているが、イランは、この艦船やその他の前進基地艦を使用して、同様の攻撃を長距離にわたって行うことも可能だろう。

マクランの飛行甲板上のイラン海軍のRH-53Dシー・スタリオン。イラン国営メディア


シャヒド・バゲリが就役する時期は不明だが、以前の報道では2023年に就役する可能性が示唆されていた。しかし、イランは明らかに、無人機を運用する選択肢を広げている。その中には、一方的な攻撃タイプも含まれ、海上運用も可能である。これは、無人機を専門に運用する「無人機運搬」部門を設立したことからも明らかだ。

 以前にも、イランのメディアが「航空機を搭載可能な外洋軍艦」と表現したIRGCシャヒード・ロウダキが民間商船から改装された。ただし、この設計がドローン運用に適しているかどうかは疑問が残るし、その生存性はさておき、サウジアラビアやイエメンの沿岸を含むイラン国外への野望を明確に示している。

IRGCシャヒード・ロウダキの甲板に展示されたベル412ヘリコプターの前にあるアバビル2型ドローン。IRAN PRESS SCREENCAP


 より実用的なイランの無人機母艦へのもう一つのステップは、イラン海軍の「マクラン」だ。元は石油タンカーであったが、これも「前方基地艦」に改造され、シャヒド・ロウダキよりもかなり大きく、シャヒド・バゲリに近いサイズとなっている。ヘリコプターやVTOL無人機を運用できる飛行甲板を備えたマクランは、イランの沿岸地域をはるかに超えた海域で持続的な海上作戦を実施できることも実証しています。


マクランの概観。イラン国営メディア

www.twz.com


 マクランは、大西洋に乗り出す大規模な戦力投射巡航を実施しており、まさに、シャヒド・バゲリでも見られるようなミッションだ。当時も議論があったが、マクランによる展開は、何よりもまず、イランがペルシャ湾やオマーン湾を超えた新たな作戦領域において、初めて海上能力を実証したという点で重要な意味を持つ。

 また、注目に値するのは、イランがホルムズ海峡とその周辺で実施した軍事演習中にあらわれた、米海軍の空母を模した艦だ

模擬空母は、実質的には大幅に改造されたバージ船であり、ホルムズ海峡に曳航された後、演習の目玉となった。 Sepah News


 イランおよびイランが支援する代理勢力による海上攻撃が示しているように、無人機を撃墜する課題は相当なものであり、特に弾道ミサイルや巡航ミサイルの脅威と組み合わせた場合にその傾向が強い。シャヒド・バゲリと、少なくとも同型艦がもう1隻建造される予定であることから、イランは近海のみならず、インド洋やその他海域でも、短時間であっても、世界の海上交通に深刻な混乱を引き起こせry装備を整えることになる。

 さらに、イランは通常と異なる方向から攻撃を行うことが可能となり、海外に軍事的脅威をもたらす手段が得られることになり、国内および国外において心理的な利益がもたらされる。しかし、その全体的な脆弱性から、無人機搭載母艦が、攻撃任務よりも非攻撃的な任務に優先的に使用されることになったとしても驚くことではない。■


Iran’s Bizarre ‘Aircraft Carrier’ Seen In New Detail

A converted commercial ship with an angled flight deck, the Shahid Bagheri looks strange but could fill a mission set that Iran has been developing for years.

Thomas Newdick

Posted on Aug 21, 2024 4:51 PM EDT

https://www.twz.com/sea/irans-bizarre-aircraft-carrier-seen-in-new-detail



クリミアへのロシア燃料輸送がピンチ。フェリー三隻がすべて利用不能となった。その他現地時間8月23日時点の最新状況(The War Zone)

 



The destruction of a ship carrying fuel tank cars will affect supplies to troops and the Crimean peninsula.  

PHOTO © 2024 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION.


クリミアへの燃料供給がピンチ、フェリーに搭載した燃料貨車の破壊により


ケルチ海峡を渡り燃料輸送していた3隻がすべて利用不可能となった


クライナ海軍および人気の高いクリミア・ウィンド・テレグラム・チャンネルによると、昨日、ケルチ海峡の港で燃料タンク列車車両を満載した船が破壊されたことにより、ロシアが軍およびクリミア半島に燃料や潤滑油を供給する能力が妨げられている。燃料タンク車両30両を積載したとされるロシアのロールオン・ロールオフ船(RORO船)コンロ・トレーダーが、カフカス港で炎の玉となり爆発した。

 ウクライナ海軍は金曜日、その攻撃を自らの手柄とし、ネプチューン・ミサイルによるものだったといわれている。

 ウクライナ・プラウダによると、ウクライナ海軍のドミトロ・プレテンチュク大佐は金曜日、「この標的が海軍によって破壊されたという情報を確認する」と述べた。「このフェリーは、主に燃料や潤滑油を占領軍に供給するロシア軍の軍事補給網で最も重要なもののひとつである。もちろん、武器も輸送していた。したがって、これは正当な標的である。そして、それに応じて、敵が活発に敵対行為を行っている地域における敵の潜在的な能力を低下させることができるはずだ」。

 「フェリーは沈没した」と、プレテンチュク大佐は付け加えた。「港湾作業は妨げられている。貨車をフェリーに積み込むプラットフォームがまだ1つ残っている。しかし、フェリーがない。占領下のウクライナのクリミア半島に住む地元住民が、ガソリンスタンドに大挙して押し寄せたのも当然です」。

 クリミア・ウィンドは、フェリーへの攻撃は、住民が来るべき冬に備えて燃料を買いだめしたり、代替エナジー源を見つけたりする兆候だと述べた。


クリミアへのフェリーは全隻稼働不能になった

 コンロ・トレーダーは、半島に燃料を輸送していた3隻の船の最後の船であったとクリミア・ウィンドは指摘した。

 「別のフェリー、アバンガルドは5月30日に被弾し、深刻な損傷を受けました。船の右舷側はほぼ完全に破壊された。アバンガルドは修理中ですが、いつ運航再開できるかは不明だ」とクリミア・ウィンドは述べた。

 「ウクライナ軍は7月23日にスラヴャニンを損傷させました。現在、同フェリーは修理待ちの状態であり、アゾフ海に停泊中」とクリミア・ウィンドは説明している。

 コンロ・トレーダーは「8月22日にカフカス港で攻撃を受け、沈没しました。これにより、ケルチ海峡のフェリーは無期限で運航不能となった」とテレグラム・チャンネルは伝えている。「ケルチ橋の爆破と貨物列車の炎上により構造が弱体化したため、鉄道による燃料供給は行われていません。燃料を積載した列車がミサイル攻撃を受ける可能性も懸念されています。したがって、クリミア住民へのアドバイスは変わりません。燃料を買いだめしておくこと。あるいは、電気にに切り替えることです」。

 新しい衛星画像は、破壊されたコンロ・トレーダーや、損傷した可能性のある小型船を含む、港湾の被害の規模を示している。また、港湾に通じる鉄道の一部も損傷している。さらに、付近の車両も燃えている模様だ。

ウクライナはロシア国内奥深くのエナジー施設も攻撃

 ロシアのエナジーインフラに対するウクライナの新たな攻撃では、8月18日にウクライナ軍無人機が攻撃したロストフ州プロレタルスクのロシアの石油施設もあり、6日目に入っても火災が続いている。 石油貯蔵所の灯油タンクに延焼するのではないかという懸念が高まっている。 そうなると、火災の消火活動はさらに困難になる。

 ロシアのメディアは、戦線から約250マイル離れた同施設が、金曜日にもウクライナ軍無人機によって攻撃されたと報じている。

 ロシアのニュースサイトSHOTは、金曜日にTelegramで、現地時間午前5時に無人機が攻撃したと伝えた。「死傷者は出ていない」とSHOTは述べた。「おそらく、ウクライナ軍は灯油タンクに炎を広げようとしている。そうすれば、火災の面積が大幅に拡大する可能性がある。現時点では、火は灯油タンクには達していない。この事件に関する公式発表はまだない」

 本誌は、この主張を独自に確認することはできない。

 一方、石油貯蔵庫の外側の地域が火災に見舞われ、地元当局は放火が原因だと発表した。

 「広範囲にわたって葦が燃えている」と、ロストフ・メイン・テレグラム・チャンネルは伝えた。「火はすでに民家にも達しており、一部が焼失した。現場には40人の消防士と12台の消防車が配備されている。

 「ロストフ州プロレタルスクで発生した火災では、住宅、乾燥した草、葦などが燃えている。この火災は、緊急事態省の最高責任者により、より高いレベルの複雑性があると報告された」とタス通信は伝えた。


ロシアがクルスク原発への攻撃を恐れ、IAEAが来週現地入り

 ロシアは金曜日、ウクライナが無人機でクルスク原子力発電所(KNPP)を攻撃しようとしたと再び主張し、国際原子力機関(IAEA)に調査を要請したとロシアのメディアが伝えた。同発電所はクルチャトフにあり、戦線から約15マイルの距離にある。

 これは2日連続の同様の非難であり、IAEA事務局長は木曜日、来週自ら現地を訪問すると述べた。

 「ウクライナの神風ドローンがクルスク原子力発電所の使用済み核燃料貯蔵施設の近くで発見された」と、ロシアの国営通信社タス通信はテレグラムで、法執行機関筋を引用して伝えた。ロシア外務省報道官のマリア・ザハロワは、ニュース配信元に対し、「キエフ政権による、神風ドローンによるクルスク原子力発電所への攻撃の試みは、核テロ行為である」と述べた。

 TASSは、「KNPP付近で墜落したウクライナ製ドローン」と主張する写真を投稿した。TASSは、ドローンの他に、同発電所付近で発見されたと主張する弾薬の写真も投稿した。ドローンも弾薬も比較的無傷である。ウクライナの破壊工作および偵察チームが原発に接近し、このような無人機を飛ばした可能性はあるものの、その動機は依然として不明である。

 ロシア国防省は、この主張について特に言及しなかったが、テレグラム上で「昨夜、キエフ政権による、航空機型無人機を使用したロシア連邦領内の標的に対するテロ攻撃の試みは阻止された」と発表した。

 さらに、「ウクライナ製無人機4機が、ベルゴロド州上空で任務中の防空システムによって破壊され、3機がクルスク州上空で破壊された」と発表した。

 国際原子力機関(IAEA)は、ウクライナがチェルノブイリ原発を攻撃しようとしたとするロシアのプーチン大統領の主張について、調査を行うと発表した。プーチン大統領は木曜日、クルスクの状況について閣僚らと協議した際、ウクライナが原発を攻撃しようとしたと非難したが、その方法については言及しなかった。IAEAによると、プーチン大統領はその後、ウクライナが無人機で攻撃しようとしたと述べたという。

 IAEAは「本日、ロシア連邦から、無人偵察機の残骸がクルスク原子力発電所の敷地内で発見されたとの報告を受けた」と声明で発表した。

「無人偵察機の破片は、使用済み核燃料貯蔵施設から約100メートルの地点で発見されたと報告されている。また、IAEAは、無人偵察機は8月22日の早朝に撃墜されたと伝えられていると付け加えた。

 IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、「来週の訪問時に、自ら現場状況を評価する」と述べた。

 「原子力発電所付近での軍事活動は、原子力の安全とセキュリティにとって深刻なリスクである。来週のKNPP訪問で、状況を独自に評価するためのタイムリーなアクセスが可能になる」とグロッシは述べた。

 一方、ロシアの公式報道機関RIAノーボスチによると、KNPPは「通常通り稼働しており、放射線レベルは自然レベルである」とロスアトムが報告している。

 作戦に直接関わった経験を持つウクライナ高官は、キーウが原発を標的にする可能性は低いと述べた。

 「私はウクライナがKNPPを攻撃していないと強く信じています」と、作戦の詳細を議論するために匿名を条件に語った情報筋は述べた。「これはロシアのプロパガンダであり、ウクライナへの国際的な支援を弱体化させ、信頼を失墜させるという戦略的な目的を持った操作です」。

 しかし、直接の知識がある別の情報筋は、ウクライナが発電所の送電線や変圧器、切り替え装置を破壊している可能性を示唆した。

 「ウクライナは、プーチンの野望の戦争の代償を一般市民に支払わせようとしているのです」と、この情報筋は匿名を条件に述べた。「これまで一般市民はほとんど被害を受けていませんが、ウクライナは、ウクライナや西側/NATOの兵器からプーチン大統領が自国民を守る能力があるという国内のコンセンサスを損なうため、温度設定を上げています」。

 プーチン大統領は、ウクライナがKNPPを攻撃しようとしたと主張するだけでなく、ウクライナがクルスクに侵攻することを許した失敗についても言及した。「これらは法執行機関の責任範囲の問題です」と、閣議で述べた。「これは別の話題です。本日報告があったように、地方自治体と政府、法執行機関間の連携が確立されていることを願っています。また、これが我々の目標達成にも良い影響をもたらすでしょう。繰り返すつもりはありませんが、それは明白なことです」。


国境付近のロシア各州での対応

 さらに、ウクライナからの攻撃(主に砲撃や無人機による)を受けているベルゴロド州、ブリャンスク州、クルスク州の知事たちからもプーチン大統領は話を聞いた。

 ウクライナによる攻撃を受けているロシアの地域では、これらの攻撃に対処するため、地域防衛連隊(TDR)と呼ばれる民間自警団を結成している。

 ベルゴロド州知事ヴィヤチェスラフ・グラドコフは同州のTDRには現在約6,000人が参加しているとプーチンに述べた。

 同知事はプーチン「ベルゴロド州の状況は依然として厳しい」と述べ、「1週間で19人の民間人が負傷した」と付け加え、「ウクライナ軍による攻撃によるベルゴロド州の農業関連企業への被害額は、およそ30億ルーブル(3300万ドル)に上る」と述べた。

 ブリャンスク州知事のアレクサンドル・ボゴミャスは、同州の地域防衛軍は空挺軍少将が指揮していると述べた。また、ウクライナ軍がブリャンスク州に侵攻しようとしたという報告は阻止されたと付け加えた。

 「ウクライナの破壊工作および偵察部隊との衝突現場での状況は安定化している」と彼は述べた。

 領土の喪失に加え、ロシアはクルスク州、ベルゴロド州、ブリャンスク州の国境状況に対処するために約3000万ドルを割り当てる準備を進めている。そのうちの約3分の1は住民への直接支援に充てられる予定。また、プーチン大統領は、クルスクを離れる住民に1,600ドルを支給する措置も支持した。


モディ首相がウクライナ入り

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、インドのナレンドラ・モディ首相が金曜日、ウクライナに到着した。これは、キーウが「ロシアとの戦争における潜在的な和解協議に非西洋諸国を関与させる」ための継続中の外交努力の一環である。

 同紙は、モディ首相の訪問は、「紛争に対して中立的な立場を取る国の指導者による、戦時下における最も注目度の高い訪問」であると報じた。

 ウクライナ政府当局者は、インドが仲介役を担うことは想定していないとしながらも、モディ首相訪問は、戦争中の自国への歓迎すべき支援の表明であると述べた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、インドの指導者による訪問は、1991年のウクライナ独立以来初、である。■



Fuel Supplies To Russian Troops, Crimea Strangled By Destruction Of Ship

The Conro Trader was the last of three vessels that ferry large quantities of fuel across the Kerch Strait.

Howard Altman

Posted on Aug 23, 2024 6:10 PM EDT


https://www.twz.com/news-features/fuel-supplies-to-russian-troops-crimea-strangled-by-destruction-of-ship


2024年8月23日金曜日

ロッキードのSR-72の製造が極秘裏に進んでいる可能性が浮上。米空軍はハーミウスのクォーターホース開発と二股掛けで次期高性能ISR機材を調達するねらいか。(Sandboxx News/Business Insider)

 ロッキード・マーティンの極超音速偵察機SR-72は極秘裏に製造されている可能性があることが、新たな証拠から示唆されている


  • ロッキード・マーティンの極超音速機SR-72が空軍予算の削減で、空を飛べなくなっている

  • SR-72はSR-71ブラックバードの後継機で、ロッキードは2022年以来、約3億3500万ドルをつぎこんでいる

  • 新たな証拠から、同機が今も秘密裏に開発中である可能性が出てきた


ッキード・マーティンの謎の極超音速機SR-72は、実用化に向けて着々と進んでいるように見えるが、このプログラムは米空軍のより広範な予算難の影響を受けないわけではない。

 Sandboxx Newsは、伝説のSR-71ブラックバードの後継機となるロッキード・マーティンの極超音速機SR-72の極秘開発と、それほど遠くない将来の就役に向けた潜在的な道筋について取り上げてきた。

 そして今、この奇抜な新型航空機プログラムが、複合的な予算不足に直面していることを示す新たな証拠が明るみに出た。これは、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、ステルス爆撃機、制空戦闘機など、注目度の高い多数の新規事業への資金調達方法を模索する空軍にとって、さらに事態を複雑にする可能性がある。

 SR-72はかつて、マッハ6以上の速度で飛行し、攻撃能力を備えた偵察機だと喧伝されていた。つまり、この高性能ジェット機は、前身機のように写真撮影だけに限定されることなく、極めて短い時間枠で、迎撃の可能性を最小限に抑えながら直接的に標的に対処できる能力を備えているということだ。

 最近の『Aviation Week』誌の報道によると、「高度に複雑な設計とシステム統合」を伴うロッキード・マーティンの極秘プログラムは、2024年第2四半期に予算をさらに4500万ドル上回った。ロッキード社の米国証券取引委員会への四半期ごとの提出書類によると、この不明瞭なプログラムに関連する同社の損失総額は、2022年以降、3億3500万ドルに上る。同書類では、同社が「前倒し調達コスト」に直面しているため、損失は今後も発生し続ける可能性があると推測している。

 これはすべて、Aviation Weekの防衛・宇宙担当編集者、スティーブ・トリムブルが「契約前の投資」と表現する、ロッキードによる投資を指している。また、同社は国防総省がこのプラットフォームの価値を認めるだけでなく、ロッキードが開発損失を回収できるだけの生産艦隊に対して十分な支払いに応じるだろうという考えに基づいて、開発資金を自己調達し続けていることも示唆している。

 これは、高額な航空機を開発するにあたってはかなり異例なアプローチのように思えるかもしれないが、歴史的に見れば、ロッキード・マーティンの伝説的なスカンクワークスでは、決して珍しいことではない。

 スカンクワークスの創設者ケリー・ジョンソンと、その後継者ベン・リッチによる書籍には、D-21超音速無人偵察機(ISR)など、スカンクワークスによるいくつかのプログラムについて記されている。これらのプログラムは、米軍や情報機関が使用する可能性が高いとロッキードが考えた優れたアイデアから始まり、その後開発が進められ、国防総省の意思決定者に提案された。


 しかし、より頻繁に、ケリー・ジョンソンのような人物と国防省高官の間で交わされる秘密の会話が開発努力を後押しし、スカンクワークスの集団意識が解決策を見つけ出す可能性に期待が寄せられた。

 有名な話だが、ジョンソンはこの方法でアメリカ初のジェット戦闘機を設計し、納入した。XP-80の正式な設計作業は、同社がジェット戦闘機の契約を獲得する4か月も前から開始されていした。

 しかし、官僚的監督と設計サイクルの長期化が常態化している現代において、最終的に空軍が費用を負担するという確固たる証拠がなければ、ロッキード・マーティンがSR-72の実現に全力を傾けることはなかったはずだ。同社の財務記録は、その可能性を裏付けている。

 「契約前費用の回収可能性を監視していきます。これは、プログラムの今後の段階に関する顧客の決定によって影響を受ける可能性があります」と、ロッキードは提出書類でこのプログラムについて述べている。

 SR-72の取り組みは2018年初頭から極秘裏に進められているようだが、今回の損失の発表と、ロッキード・マーティンのスカンクワークス施設の急速な拡大と人員増加を併せて考えると、テスト用ではなく、おそらく実戦配備を目的とした新型の極秘航空機の製造を示唆していると考えられる。


SR-72とは何なのか?

 ロッキード・マーティンは2006年にブラックバードの後継機となる極超音速機の開発に着手した。このプログラムは7年間秘密裏に進められ、2013年にロッキード・マーティンの極超音速プログラムマネージャーと、この7年間このプロジェクトを率いてきたエンジニア、ブラッド・リーランドへのインタビューを含むメディア宣伝活動により、正式に一般に発表された。

 「極超音速航空機と極超音速ミサイルを組み合わせれば、拒否された空域を突破し、大陸のほぼあらゆる場所を1時間以内に攻撃することが可能になる」と、リーランドはロッキード・マーティンのプレスリリースで発言を引用された。プレスリリースはその後削除された。「今後数十年にわたって発生する新たな脅威に対抗するための航空技術の進歩は、速度である。この技術は、ステルス技術が今日の戦闘空間を変えているのと同様に、戦域におけるゲームチェンジャーとなるだろう」。

 この新型高速航空機は、これまで実用化されたことのないタイプのエンジンを使用する。それは、あらゆる意味で、1つのエンジンに2種類(あるいは3種類)のジェットエンジンを搭載したようなものだ。

 リーランドの説明によると、この新しい推進システムは、Pratt & Whitney F100またはGeneral Electric F110のいずれかの従来型ターボファンエンジンをベースとしている。このターボファンエンジンにより、航空機は通常の戦闘機と同様に静止状態から離陸し、超音速まで加速するが、マッハ3に近づくと、エンジンの後半部分が轟音を上げて作動する。

 後半部分は、超音速で流入する空気の莫大な圧力と可変入口設計を利用して、意図的に圧縮用の衝撃波を発生させるデュアルモードラムジェット(デュアルモードスクラムジェットまたは超音速燃焼ラムジェットと呼ばれることもある)であると言われる。

 このエンジンにより、SR-71が記録したマッハ3.2の最高速度をはるかに超え、概念上の極超音速の壁であるマッハ5を超え、さらには映画『トップガン』に登場する架空の戦闘機「ダークスター」(スカンクワークスとの提携により製造されたことで注目された)のマッハ10さえも超える可能性がある。

 この種のエンジン設計は、その後一般的になったが、タービンベース複合サイクル(TBCC)エンジンと呼ばれている。ロッキード・マーティンが航空機の設計を主導する一方で、エンジン開発はアエロジェット・ロケットダインが担当した。

 当初マッハ6以上の航空機として計画されたこの新型機は、当初から攻撃能力を備えた情報、監視、偵察(ISR)機として計画されていた。つまり、この航空機は地上目標を攻撃するための兵器を含む、さまざまなペイロードを搭載できるということです。

 リーランドは、この新型航空機で極超音速ミサイル発射プラットフォームとしての使用に重点を置いていたが、この極超音速航空機には、極超音速で投下または発射するように特別に設計された低コストの弾薬が搭載される可能性が高い。米国が開発中の極超音速ミサイルにはさまざまな種類があるが、いずれも従来の兵器と比較すると非常に高価であると考えられる。

 高速飛行に特有の莫大な圧力と熱により、このような極端な速度で兵器を投下または発射するには、克服すべき大きな技術的課題が存在するが、克服できないものではない。ロッキードは、YF-12(SR-71の兵器化された兄弟機)でマッハ3を超える速度での空対空ミサイルの発射に成功しており、その実現性を証明していた。また、最近では、テキサス大学サンアントニオ校の超高速機および航空宇宙工学のディー・ハワード寄付講座教授であるクリス・コームズ博士が、この武器をはるかに高速で展開する可能性をSandboxx Newsで確認した。コームズ博士は、過去に国防総省と多くの仕事をしてきた。

 しかし、SR-72の攻撃能力の可能性だけが重要な問題なのではありません。地上のあらゆる目標に対して迅速な情報収集能力を持つ航空機は、21世紀の紛争、特に広大な太平洋地域における紛争において、米国にとって不可欠な存在となる。衛星が常に世界を見張っているという世間は思っているようだが、実際には、必要な場所すべてを監視できるだけの衛星が軌道上に存在しているわけではない。また、衛星の軌道は予測可能であるため、衛星の存在を秘密にしておくことは比較的容易はない。

 このことが、現代もISR航空機を数多く開発する原動力となり、当初は「グローバル・ウォー・オン・テラー(世界対テロ戦争)」のマスコット的存在であったMQ-1プレデターから、ノースロップ・グラマンが開発したRQ-180のように、まだ正式名称が明らかになっていない非常に変わった機体まで、各種航空機が開発されてきた。

 しかし、ここ数十年にわたってアメリカが偵察機に莫大な投資を行ってきたにもかかわらず、これらのプラットフォーム(我々が認識しているもの)はすべて亜音速で飛行するため、タイムリーな情報収集は地域性と機体の可用性に左右される。例えば、MQ-9は24時間以上空中に留まることができるが、標準巡航速度は時速230マイル(約370キロ)に過ぎず、ニューヨークからボストンまで1時間以上、全米横断には10時間以上かかる。

 一方、マッハ6、すなわち時速約4,600マイルで飛行する極超音速機であれば、ニューヨークからボストンまでは5分以内、ニューヨークからロサンゼルスまでは30分で飛行することができる。


SR-72の生産への道は2018年に始まった

 Sandboxx Newsが以前に報道したように、2017年6月、ロッキード・マーティンの副社長兼スカンクワークス事業部長のロブ・ワイスは、SR-72用のタービンベースの複合サイクル極超音速推進システムのテストが完了し、同氏がSR-72飛行研究機材(FRV)と表現したものの開発に「近づいている」とメディアに語った。

 この単発エンジンの技術実証機は「F-22ラプターと同程度の大きさ」と言われ、従来型ターボファンエンジンによる離陸、超音速までの加速、そしてターボファンエンジンから特殊なデュアルモード・スクラムジェットエンジンへの切り替えを行い、マッハ6をはるかに超える最高速度を達成する能力を実証することが目的だった。

 2017年9月までに、スカンクワークスが本拠を置くカリフォーニア州パームデール上空を飛行するこの飛行研究機材を目撃したという証言が浮上し始めた。

 航空専門誌『Aviation Week』は、これらのSR-72 FRVの報告を、当時ロッキード・マーティンの航空部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデントであったオーランド・カルバリョに伝えたが、同氏はこの報告を否定しなかった。

「詳細を申し上げることはできませんが、カリフォーニア州パームデールのスカンクワークスチームは、スピードへのコミットメントを倍増させているとだけ申し上げておきましょう」とカルバリョは述べた。

 2018年2月、ロッキード・マーティンの上級幹部で先進開発プログラム戦略・顧客要件担当副社長のジャック・オバニオンは、米国航空宇宙学会SciTechフォーラムで、SR-72 FRVはすでに飛行していると述べた。その後、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、「この航空機は、信頼性の高いエンジン始動により、極超音速でも機敏に飛行できる」と語った。

 しかし、SR-72の宣伝列車が駅を発車した矢先、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンが演説を行い、それ以来、現代の極超音速軍拡競争の幕開けとして知られるようになった。その演説の中で、プーチン大統領は、2種類のマッハ5以上のミサイルシステムを含む、ロシアの新型「終末兵器」が続々と実戦配備されることを発表した。

 プーチン演説のほぼ直後、ロッキード・マーティンは、同社のウェブサイトから話題沸騰のSR-72プログラムに関する記述をすべて削除し、上級幹部のコメントの引用もすぐに途絶えた。同社は、この計画の中止や中断の理由について一切発表していない。少なくとも公には、SR-72が存在しなかったかのように、通常業務を淡々とこなしている。以前の報道で、この劇的な変化は、プーチン大統領の発表を受けて国防総省が機密会計に介入し、機密保持の必要性が再認識された結果ではないかと推測されていた。

 しかし、今では、非公開の場で何か大きなことが進行中であったことが分かっている。翌年末までに、ロッキード・マーティンは巨大な新工場(のちに648棟となる)の起工式を行い、この新施設に勤務するスタッフの大量採用はそれよりも早くから始まっていた。


増え続けるSR-72関連の書類

 2022年第2四半期、ロッキードは包括的な見直しを終えたばかりの機密扱いの航空学プログラムについて、2億2500万ドルの税引き前損失を報告した。しかしその3か月後、ロッキード・マーティンの書類によると、この取り組みの顧客が契約の範囲と価格を修正する「覚書」に署名したことが明らかになった。これは、実際には契約が締結されている(おそらく固定価格インセンティブ契約)ことを意味し、ロッキード・マーティンがこれらのコスト超過を単独で負担する必要はないことを示唆している。予算超過が続き、現在では3億3500万ドルに達していることから、このプログラムの総予算ははるかに多いと推測される。

 しかし、米空軍向けに極秘裏に開発されている航空機を示唆する証拠はこれだけではない。実際、このプログラムは開発や試作段階を越えて成熟し、本格的な生産段階に入っていることを示す多くの証拠がある。 特に、カリフォーニア州パームデールにあるスカンクワークス本部の巨大な新生産施設、通称「ビルディング648」の建設がある。この施設では、何千人ものが…何かの製造に従事している。

 2021年8月、648号棟の建設が完了した。ロッキード・マーティンは、この215,000平方フィートの巨大建造物を、新しい生産ラインを立ち上げるために必要な時間と資金の大幅な投資を削減することを目的とした「インテリジェントで柔軟な工場」と謳っている。これは、高度な人工知能、拡張現実、そして「Combined Operation: Bolting and Robotic AutoDrill systems(COBRA)」として知られる大型で多機能なロボットを使用することで実現されると、ロッキード・マーティンは説明している。

 スカンクワークスが当時明らかにしたように、これらの新しいロボットの機能性は、X-59A Quiet Supersonic Transport testbed(X-59A 超音速輸送機テストベッド、通称QueSST)につながる技術テストベッドの製造で実証済みであった。しかし、その他の公開情報によると、スカンクワークスは648号棟で技術デモンストレーターを製造する以上のことを行っている。

 SR-72が姿を消した2018年2月から2023年9月の間に、ロッキード・マーティンは航空部門である先進開発プログラム部門の規模を75%も拡大し、5年間で2,300人以上の新規雇用を行い、キャリアページには数百件の求人情報が現在も掲載されている。

 また、スカンクワークス関係者による、何らかの低率生産が進行中であることを示す発言もある。

「 スカンクワークスでは低率生産が行われていると言って差し支えないでしょう」と、スカンクワークス総責任者のジョン・クラークは2022年に報道陣に語った。「私たちは複数の活動に携わっています。ですが、具体的に何をしているかを明らかにすることはできないでしょう。セキュリティ上の問題が生じる可能性があるからです。しかし、パームデールでは低率生産活動が行われています」

 さらに、クラークは、スカンクワークスは迅速な試作品製造能力で有名かもしれないが、秘密主義の組織であるスカンクワークスは、SR-71やF-117のような先進的な機体の製造センターとして常に機能してきたと述べ、スカンクワークスで働く自分のチームは、特殊な試作品の製造のみに専念しているのではなく、高性能な実用機も製造していると改めて強調した。

 「私は、単に1機だけのX-planeを作る以上のことをしているという考え方を強化しようと努めてきました」とクラークは語った。「航空工学の経営陣と協力することで、スカンクワークスを歴史的に成長させてきた方法で成長させるための、より多くの自由が私にもたらされました」


SR-72は間もなくベールを脱ぐのか?

 昨年末の「Defense & Aerospace Air Power Podcast」のエピソードで、Defense & Aerospace Reportの編集長Vago Muradianは、高高度ステルス偵察機RQ-180について言及した。この機体は、近年、飛行中の写真が数回撮影されているにもかかわらず、その存在を米国政府が認めていないほど極秘の機体だ。高高度飛行可能なRQ-180(正式名称は不明)は、今後数年のうちに、米国の老朽化したU-2偵察機やRQ-4グローバルホークに取って代わるものと見られている。

 しかし、ムラディアンはそこで話を止めなかった。

 「しかし、もうひとつ、スカンクワークスが生み出した、はるかに高性能な偵察機に関するプログラムがあります。それはロッキード・マーティンの航空機です。すでに納品されたものもありますが、そのプログラムには課題があったという記事もあります」と彼は述べた。

 「私の理解では、そのプログラムは再調整された。なぜなら、そのプログラムが要求する能力があまりにも野心的なため、次の段階の航空機開発に進むためには、少し再調整が必要だったからだ」とムラディアンは付け加えた。

 現時点では、ムラディアンの主張を裏付けるさらなる確認は得られていないが、彼の主張を信頼に足る情報源と見る向きも多く、また、彼が示したスケジュールは、ロッキード・マーティン社が予想外のコストを負担せざるを得なくなったことと、同社の事業拡大について我々が知る内容の両方と一致しているように思われる。

 ロッキード・マーティンのSR-72計画に関する噂は、航空業界では単なる空想に過ぎないとして一度は退けられたかもしれないが、この取り組みが始まって以来、この航空機を飛ばすために必要な技術は、SFの世界に限りなく近いものから、産業団地で新進気鋭のグループが成し遂げられるようなものへと変化した。これは誇張表現ではない。現在、アトランタを拠点とする新興企業Hermeusは、同社の飛行技術デモ機「クォーターホースMk 1」の地上試験を継続しており、プラットフォームの初飛行は間近に迫っている。


HermeusのQuarterhorse Mk 1は現在地上試験中であり、今後飛行試験が予定されている。Hermeus


 この無人航空機は独自の極超音速への野望を抱いており、推進力についても同様のアプローチでそれを実現しようとしている。Hermeusのキメラタービン複合サイクルエンジンは、J85ターボジェットとラムジェットで構成されており、2年ほど前に高速風洞内でターボジェットからラムジェットへの切り替え能力を実証した。同社はすでに、より大型の「キメラ2」の開発に着手しており、小型のJ85ターボジェットから大型のF100ターボファンに交換した。注目すべきは、ロッキード・マーティンが同様のエンジン設計のタービンベースとして特定したエンジンが1つあることです。

 Hermeusは、双発軍用機Dark Horseの配備に向けて開発を進める中で、毎年新しい技術デモンストレーターを実地配備する。Dark Horseが実用化されるのは、おそらく2030年代に入ってからだろう。これは、SR-72プログラムが暗礁に乗り上げる前にロッキード・マーティンの幹部が提示したスケジュールとほぼ同じである。

 2022年、空軍研究所はISRおよび攻撃任務用に、TBCCに非常に類似した「メイヘム」と呼ばれる機体を実用化するために、3億3400万ドルの開発契約をLeidosと締結した。しかし、その後、運用上の需要が不十分であることを理由に、同社は開発を中止した。その理由としては、国防総省の資金が投入されている類似した有望なプラットフォームがすでに2つ(SR-72とクォーターホース)開発中であることが挙げられる。

 2021年、プラット・アンド・ホイットニーは、従来のターボファンからスクラムジェットへの設計に頼らず、極超音速の壁のすぐ手前の速度を達成する、独自の高速空気呼吸ジェットエンジンシステムの導入に向けた取り組みを発表した。そして2024年1月、GEアエロスペースは、ターボファンエンジンと組み合わせることで、史上最小、最軽量、かつ最も強力なターボブースト・カンタムサイクル(TBCC)エンジンとなる可能性がある、回転爆轟式デュアルモードラムジェットの開発で独自の進展があったことを発表した。

 現時点では、米国がそう遠くない将来に再使用可能な極超音速機を実用化することはほぼ確実と思われる。その航空機がロッキード・マーティン、Hermeus、あるいは他の企業によって製造されるのかどうかは不明だが、現時点での証拠から判断すれば、ロッキードが圧倒的なリードを確保している可能性が高いと思われる。SR-72の低率初期生産がすでに開始されているとすれば、B-21レイダーと同様のスケジュールで、2020年代末に就役する可能性もある。■


Lockheed Martin's hypersonic spy plane, the SR-72, may be in production in secret, emerging evidence suggests

アレックス・ホリングス、 

Sandboxx News

2024年8月22日午前6時38分(日本時間)



https://www.businessinsider.com/lockheed-potentially-developing-sr72-hypersonic-spy-plane-secret-2024-8


ロシア軍の兵站が機能マヒ。ウクライナ軍はクルスクで動き取れなくなったロシア軍へ攻勢をかける。ロシアはこれでも「テロ攻撃」と称し、排除していると喧伝。(8月21日現在の状況。The War Zone)

 



ウクライナ、橋爆破で窮地に陥ったロシア軍へクルスクで前進を試す

Ukraine's probing near a Kursk border town may protend a larger attack in that sector.  

Twitter screencapツイッターのスクリーンショット 

テトキノで攻勢をかけることで、ウクライナは推定3000名のロシア軍を挟み撃ちにし、さらに数百平方キロメートルを確保することができる

ルスク侵攻16日目、セイム川以南に3,000人ものロシア軍が閉じ込められている中、ウクライナ軍は同地区の西端に位置するテトキノ近郊で攻撃を開始したと報じられている。

ウクライナ軍はそこから東に押し進めれば、ロシア軍を挟み撃ちにすることができる。「西岸では、ウクライナ軍が攻撃を開始するとすぐに、ロシア軍はすぐに集落に後退し、2つの小さな交差点を爆破した。しかし、「ロシアの南側は完全に開いたままだ。テトキノでのロシアの抵抗は小さかったので、ウクライナ軍はおそらくすぐ2回目の攻撃を開始し、600平方キロメートル以上のロシア領土を追加するだろう」 。

テトキノでのウクライナ軍が模索する攻撃は、クルスクのこのポケットで大きな攻勢を予感させる。(グーグルアース画像)

クレムリンとつながりのあるライバル・テレグラム・チャンネルは、ウクライナはテトキノを「時々」砲撃しているが、まだ国境を越えて前進していない、と別の見方をしている。 ウクライナが3つの橋を爆破したため、ロシア軍はセイム川の南に閉じ込められている。、ロシア軍がこれらの部隊を助けるために建設中の橋が、ウクライナの航空、大砲、無人偵察機の標的になる可能性が高い。

あるロシアの軍事ブロガーは今日、この作戦の難しさについて書いている。「今、ウクライナ軍は、運命に翻弄された我々の英雄的な工兵部隊が建設している橋の撤去に集中している」とルデンコV記者はテレグラムに書いている。「ジャーナリストの間では、ポンツーン建設の撮影は常に二の次だった。しかし今日、この作業は危険極まりない。行進中も、横断歩道を建設している現場も取材されている。

ロシア国防省(MoD)は、セイム川以南の状況にはまだ言及していないが、クルスクのウクライナ軍を撃退していると言い続けている。 

「陸軍航空隊と大砲の支援を受けたセヴァーグループの部隊は、コマロフカ、コレネヴォ、マラヤ・ロクニャ、ルースカヤ・コノペルカ方面で、敵の突撃分遣隊が仕掛けた攻撃を阻止した」とMoDはテレグラムで主張している。「ロシア連邦軍は、ロシア領土の奥深くまで侵入しようとする敵の小型破壊工作・偵察グループを発見し、排除するための偵察・捜索活動を継続している。「さらに、空爆、砲撃、地上部隊は、アパナソフカ、ボルキ、ヴィシニョフカ、コシツァ、ニジニ・クリン、スナゴスト、スヴェルドリコヴォ、カザチヤ・ロクニャ近郊で、ウクライナの第22旅団、第115機械化旅団、第82航空攻撃旅団の人員と兵器を交戦させた」。国防省はまた、ウクライナ侵攻の中継地となっているウクライナのスミー州への空爆を継続していると述べた。

ブリャンスク州知事は、ウクライナによる同州への侵入の試みは阻止されたと述べた。「8月21日、ブリャンスク州のクリモフスキー地区で、ウクライナの破壊工作・偵察グループによるロシア連邦領域への侵入の試みは阻止された」とアレクサンドル・ボゴマズはテレグラムで述べた。「戦闘中、ロシア連邦保安庁ブリャンスク地域司令部の部隊とロシア連邦軍の部隊により、侵入の試みは阻止された。敵は火災による被害を受けた。現在、衝突現場の状況は安定し、地域作戦本部の管理下にある」 攻撃は約20人のウクライナ人によって行われ、「装甲車からの重機関銃射撃に支援された」とロシアのオペレーションZテレグラム・チャンネルは主張した。「武装勢力は我々の国境ポストを砲撃し始め、ロシアの戦闘機が応戦した。衝突は30分ほど続き、敵は損害を被り、何の成果も得られず、自国領内に退却した」。本誌はこれらの主張を独自に検証することはできない。 

以前報告したように、ロシアは軍事補給を鉄道に大きく依存しているが、侵攻により鉄道システムの主要部分が崩壊している。このため、クルスクにおけるロシアのロジスティクスに大きな支障をきたしていると、作戦を直接知る情報筋が本誌に語った。「理想的には、輸送基地は前線から40マイル以内だ。そのため、輸送トラックは1日に2往復することができる。しかし、HIMARSの登場によって、ロシア軍は補給拠点を後方に押しやらなければならなくなった。現在、戦術輸送トラックは1日1往復しかできない。

ウクライナがクルスクに乗り込むことができた理由のひとつは、クルスクの軍事作戦を担当するロシアの将軍が「脆弱な国境地帯の保護を任務とする評議会を解体」したからだと『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は報じている。「アレクサンダー・ラピン大佐は、ロシアの国境を守る力と資源は軍だけにあると語ったと、ロシア安全保障局の関係者は語った。」その計画は、「ロシアの脆弱な国境防衛にまた新たな穴をあけた。ウクライナ軍が国境を越えたとき、ロシア軍は混乱していた」。ウクライナはロシアと戦闘中であり、ロシアはドンバスで前進を続けているが、今後6ヶ月の間、両軍とも大規模な攻撃を仕掛ける能力はないとブルームバーグは報じた。 同ニュースは、両軍が膠着状態に向かっていることを示唆する国防情報局(DIA)の新しい評価に基づいている。

ウクライナのジャーナリスト、ジェイソン・ジェイ・スマートは最近クルスクを訪れ、HIMARSの攻撃を目撃したことを含め、見解を述べた。「ほんのしばらくして、ロケット弾が上空に飛んでいく音が聞こえ、白い煙が流れ、10分も経たないうちに、HIMARSシステムが急速にウクライナの奥深く、ほとんどのロシア軍のシステムの射程外まで戻っていった」。これがどこなのか、戦車はどこへ向かっているのかはわからない。 

戦争の別の場面では、ロシアが2度被災したケルチ橋を守るため、水上で防衛策を構築していることが衛星画像からわかった。画像は、ロシアと占領しているクリミア半島を結ぶプーチン自慢の40億ドルの橋に平行する構造物の建設を示している。この構造物は橋の南側に建設されており、ウクライナの無人偵察船が黒海から接近する場所である。ロシアの本格な侵攻が始まって以来、9,600発以上のスタンドオフ・ミサイルと14,000機近くの長距離攻撃ドローンがウクライナに対して使用されたと、ウクライナ軍総司令官オレクサンドル・シルスキー上級大将は述べている。

キエフ・インディペンデント紙によると、シルスキー司令官は、地方・地域当局の会合で、民間人の標的を狙ったミサイルが5,100発以上あったと述べた。 シルスキー司令官はまた、ウクライナの防空ミサイルは2,400発以上、ドローンは9,200機の破壊に成功したと述べた。 

オランダ国防省は、今年後半にウクライナに寄贈されるロビンズ・レーダー・システムズの移動式防空レーダー51台を購入すると発表した。このシステムは小型無人機を探知し、鳥と区別することができる。

ロシア連邦安全保障理事会副議長で元大統領のドミトリー・メドベージェフは、「クルスク地方でのテロ」とツイッターに書き込んだ。「西側諸国は、ウクライナにとって事態をより悪化させた。敵が完全に破壊されるまで交渉はなしだ!」 ■

Ukraine Testing Advance In Kursk Toward Russian Troops Trapped By Blown Bridges

By pushing near the town of Tetkino, Ukraine could place an estimated 3,000 Russian troops in a pincer and clear several hundred more square kilometers of territory.

Howard Altman

Posted on Aug 21, 2024 7:58 PM EDT


https://www.twz.com/news-features/ukraine-testing-advance-in-kursk-toward-russian-troops-trapped-by-blown-bridges