2024年10月6日日曜日

KC-10エクステンダー・タンカーが全機退役へ (The War Zone)

 KC-10 Extender tail #86-0036 performs its final mission as it heads of to the 309th Aerospace Maintenance and Regeneration Group at Davis-Monthan Air Force Base, Ariz., following a July 13 ceremony at Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, N.J., that marked the first retirement of 59 Extenders intended for eventual replacement by the KC-46A Pegasus. A total of three KC-10s from the Air Force’s Backup-Aircraft Inventory were congressionally approved for retirement during Fiscal Year 2020. As KC-10s are retired, the 309th AMARG will continue to support the remaining Extenders with spare parts as they are flown for several years while the KC-46A Pegasus is integrated into Air Mobility Command’s Total Force tanker enterprise. For nearly four decades, the KC-10 has helped secure global reach for America, providing in- flight refueling to U.S. and coalition aircraft, from Operations Desert Shield and Desert Storm to Operation Inherent Resolve. The KC- 10 is flown from JBMDL by both the 305th AMW and its associate Air Force Reserve unit, the 514th AMW.  

U.S. Air Force photo by Senior Airman Sean Hetz




トライジェットKC-10エクステンダー・タンカー輸送機の43年のキャリアに幕が下ろされたが、米空軍のタンカー機材構成案はまだ定まっていない



空軍は本日、KC-10エクステンダーに正式に別れを告げ、1981年の初就航以来、タンカーおよび貨物輸送機として活躍してきた同機の功績を称えつつ、その最後の1機を処分場へ送り出した。KC-10の在庫はここ数年で急速に減少していた。


KC-10お別れセレモニーは、カリフォーニア州トラビス空軍基地の格納庫46で行われた。公式スピーチの後、最後のKC-10コールサインGUCCI 10はトラビスからアリゾナ州デービスモンサン空軍基地へ飛行した。トラビス基地のKC-10は1994年以来、第660航空機整備中隊の支援を受けた第6および第9空中給油中隊によって運用されていた。


「グッチ」または「ビッグ・セクシー」という非公式ニックネームを持つKC-10は、民生DC-10-30CFをベースとし、システム共通性の88%を保持していた。空軍は、KC-135ストラトタンカー・ファミリーを補完する「ヘビー・タンカー」としてKC-10を取得し、緊急に必要とされる追加タンカー能力を提供するために迅速に投入できることから選択された。KC-10はこのミッションに特に適していた。DC-10の主翼にある3つの燃料タンクに加え、貨物室床下にある3つの大型燃料タンクにより、KC-135のほぼ2倍、356,000ポンド以上の航空燃料を収容することができた。 KC-135Rのほぼ全機とは異なり、KC-10には独自の給油レセプタクルが装備されていた。つまり、KC-135や他のKC-10から燃料を補給し輸送距離を伸ばすことができた。もう1つの興味深い特徴は、KC-10が燃料を逆送できることで、別の航空機からブームで燃料を送り返すことができた。 


A U.S Air Force KC-10 Extender with the 76th Air Refueling Squadron, 514th Air Mobility Wing, is refueled by a KC-10 crewed by Reserve Citizen Airmen with the 78th Air Refueling Squadron, 514th Air Mobility Wing, over the Atlantic Ocean, Feb. 14, 2018. The 514th is an Air Force Reserve Command unit located at Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst, N.J. (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen)

2018年2月14日、大西洋上空で別のKC-10から燃料を補給される第514航空機動団第76空中給油飛行隊の米空軍KC-10。U.S. Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen Mark Olsen


その他の利点として、KC-10はホース&ドロッグシステムを統合しており、米海軍と海兵隊の航空機、および他のオペレーターが飛行するプローブを装備した機体に給油することができる。さらに20機のKC-10は主翼にポッドを取り付け、複数のプローブ搭載レシーバーで同時に燃料を補給できるようになった。


KC-10は積載のスペシャリストでもあった。重要な二次貨物輸送任務において、エクステンダーは貨物約17万ポンドと最大75人の乗客を約4,400マイルの距離にわたり輸送することができた。貨物輸送と同時に他の航空機への給油が可能なKC-10は、例えば、戦闘機の大洋横断配備を支援するのに理想的であった。米空軍は60機のKC-10Aを購入したが、1987年にルイジアナ州のバークスデール空軍基地で整備中に爆発と火災が発生し、1機が失われた。 


A KC-10 Extender assigned to the 305th Air Mobility Wing, McGuire Air Force Base, New Jersey, refuels an F-22 Raptor assigned to Langley Air Force Base, Va., during Razor Talon at Seymour Johnson AFB, N.C., on Feb. 7, 2013. Razor Talon is an Atlantic Coast monthly large force exercise and joint-unit training opportunity to employ cutting edge operational concepts such as AirSea Battle and Maritime Air Support. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Andy M. Kin)ニュージャージー州マクガイア空軍基地の第305航空機動飛行隊に配属されたKC-10がF-22ラプターに給油する。



オランダも同様のKDC-10を2機受領し、機体は現在は商業空中給油分野のパイオニアであるオメガ・エアが運用している。


2023年11月6日、シンガポールのパヤ・レバー基地へ向かう第51戦闘航空団の米空軍F-16Cに給油するオメガのKDC-10タンカー。米空軍 


 働き者のKC-10は、2018年に老朽化が目立ち始め、1機のフライトデッキで煙が発生し、乗員は避難を余儀なくされた。同じ事故では、乗員の脱出用スライドが作動せず、別の故障がすぐに発覚した。この問題は全フリートに影響を及ぼしていることが判明した。同時に、DC-10やMD-11が、民間航空会社から撤退し、貨物輸送会社からも姿を消したことで、KC-10もサポートが難しくなっていた。 

 やがて空軍は、KC-10を退役させる方法を模索していた。軍内部を含む抵抗にもかかわらず、議会は最終的に分割を承認した。 2020年7月、最初の機体がデイビスモンサン空軍基地に到着し、米空軍のKC-10フリートの退役が始まった。米空軍のKC-10は昨年10月5日、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地(PSAB)を出発し、最後の戦闘配備を終えた。KC-10の経歴には、米空軍中央軍(AFCENT)の責任範囲内で30年以上費やされ、不朽の自由やイラクの自由を含む軍事作戦を支援したことが含まれる。


2023年10月5日、サウジアラビアのプリンス・サルタン空軍基地(PSAB)で最後の戦闘配備を行った後、出発を始めるKC-10に敬礼する米空軍兵士。米空軍撮影:Tech.アレクサンダー・フランク曹長 


KC-10が退役した現在も、空軍は将来のタンカー・フリートの選択肢を検討中だ。 KC-10の当面の後継機はKC-46ペガサスだが、この機体はその開発において問題に事欠かず、就役した現在も続いている。 


151019-F-HP195-037 OWENS VALLEY, Calif. (Oct. 19, 2015) Photos of Boeing's KC-46A, lower right, conducting tests of aircraft acceleration and vibration exposure while flying in receiver formation at various speeds and altitudes behind either the KC-10 Extender or the KC-135 Stratotanker. Testing for this phase was coordinated from Edwards Air Force Base, Calif., and conducted above Owens Valley and parts of the western Mojave Desert.KC-10エクステンダーの後ろで給油レシーバー・テストを行うKC-46(右下)と、その後ろで給油の順番を待つKC-135ストラトタンカー。米空軍 U.S. Air Force Photo by Christopher Okula 


以前は、KC-135の後継となるKC-Xと対をなすKC-Yプログラム(最終的にKC-46が選定された)でKC-10後継機を実戦配備する計画があった。


今問題になっているのは、空軍が179機のKC-46の最後の1機を受領した後どうなるかである。KC-46が納入され次第、空軍はさらに75機の空中給油機の導入を始めたいと考えており、以前は「ブリッジ・タンカー」と呼んでいた。ブリッジ・タンカーは、KC-46の増産、ロッキード・マーティンのLMXT、あるいは請負業者ベースのリース・ソリューションになる可能性もあるが、空軍が本当に望むタンカーを手に入れるまでの暫定的な解決策と考えられており、その設計の中核要素として生存性を特徴とする可能性が非常に高い。


ロッキード・マーチンのスカンクワークスによる将来の低視認性タンカーのコンセプト。ロッキード・マーティン 


 この種のタンカーが就航する頃には、冷戦時代のKC-10はさらに時代遅れに見えるだろう。とはいえ、同型機は請負業者が運用する形で有用なサービスを提供している。そうなれば、KC-10の米軍機への給油のキャリアは終わらないかもしれない。■


Final KC-10 Extender Tanker Flies Into Retirement

The flight from Travis Air Force Base in California will bring down the curtain on a 43-year career for the trijet KC-10 Extender tanker-transport.

Posted on Sep 26, 2024 3:15 PM EDT


https://www.twz.com/air/final-kc-10-extender-tanker-sent-into-retirement


米中央軍がイエメンのフーシ派標的15ヶ所を攻撃(2024年10月4日、The Hill)

 





国防総省によると、米軍は金曜日にイエメンのフーシ派の標的十数か所を攻撃し、イランの代理勢力フーシ派の拠点や兵器システムを攻撃した。 

 米中央軍(Centcom)は、現地時間午後5時頃、フーシの標的15箇所を攻撃した。中東における米国の利益保護を担当する同司令部の声明によれば、標的には「フーシの攻撃的軍事能力」が含まれていた。 

 「航行の自由を守り、米軍、連合軍、商船にとって国際水域をより安全で安心なものにするためにこれらの行動はとられた」と声明は付け加えている。 

 米政府当局者がAP通信に語ったところによると、米軍機と軍艦はフーシの拠点5箇所を空爆したという。 

 フーシ派のメディアによると、空爆はイエメンの首都サヌア、ホデイダの空港、ダマル市の南部、アルバイダ州の南東部を攻撃した。 

 フーシ派メディアはまた、米英軍の攻撃を非難したが、英国は関与していないと述べた。 

 フーシ派反体制派は昨年11月以来、イエメン近海の紅海で国際海運に対する着実な攻撃を開始している。 

 空と海からの攻撃は、イスラエルとハマスの戦争におけるパレスチナ人との連帯のためだと彼らは言うが、アメリカの報復攻撃を受けている。 

 フーシ派の活動は世界貿易を混乱させ、企業はこの地域から船舶を迂回させることを余儀なくされている。 

 フーシ派は今週初め、イエメン上空で別のアメリカ製MQ-9リーパー無人偵察機を撃墜したと主張し、米軍は無人偵察機を失ったことを認めた。 

 フーシ派はまた、紅海で3隻の米艦船を狙った攻撃についても責任を主張している。 

 米政府当局者は、海軍の駆逐艦がフーシ派の無人機2機と6発以上のミサイルを迎撃し、艦船への被害はなかったとAP通信が伝えている。 

 イエメンでのアメリカの攻撃は、テヘランが支援するヒズボラに対するイスラエルのレバノンでの空爆作戦の強化に対抗して、イランが今週イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行った後、地域がエスカレートしているという背景の中で行われた。■


US strikes 15 Houthi targets in Yemen: Pentagon

by Ellen Mitchell - 10/04/24 3:18 PM ET


https://thehill.com/policy/defense/4916574-us-strikes-15-houthi-targets-yemen-pentagon/


2024年10月5日土曜日

米軍の駐留経費負担で米韓が暫定合意 (The Hill)

 



国と韓国は10月4日、韓国による米軍駐留経費の負担を増やす新たな経費負担協定を発表した。 

 国務省のマシュー・ミラー報道官は、8回にわたる交渉の末、韓国との新たな5年間の特別措置協定について合意に達したと述べた。

 韓国の中央日報によれば、新協定は、韓国の米軍への貢献度を8.3%増加させ、物価上昇率が毎年2%前後である限り、インフレ率に連動して毎年さらに増加させる。 

 2026年に韓国は約11億ドルを拠出する。 

 韓国外務省の李在雄(イ・ジェウン)報道官は、拠出金を国防予算の伸びではなくインフレ率に連動させることで、拠出金が高騰する可能性を抑えたと述べた。 

 米国は韓国に2万8000人以上の軍隊を配備しているが、これは主に北朝鮮の侵略から韓国を支援するためである。 

 共和党の大統領候補トランプ前大統領が、民主党候補のハリス副大統領と大接戦を繰り広げているなかでの新たな合意となった。 

 トランプ大統領は、韓国がアメリカ軍の駐留費用負担を増やすことを望むと繰り返し発言し、ウクライナなど紛争中の他国への支援を疑問視する孤立主義的な発言もしている。■



コメント 日本の駐留経費負担の最新の数字は約1兆550億円なので約70億ドルですね。

US, South Korea reach tentative cost-sharing deal for US troops

by Brad Dress - 10/04/24 12:20 PM ET


https://thehill.com/policy/defense/4915752-united-states-south-korea-cost-sharing/


イランの弾道ミサイルによるイスラエル空軍基地の被害状況が明らかに(The War Zone)―意図的に外したのか、そもそも精度が低いのか不明だが、F-35多数を地上で撃破したというイラン主張は虚偽だろう

 Iranian attack on Israeli airbase shows some damage but nothing widespreadScreenshot  

Google Earth/composite




ネバティム空軍基地に数十カ所の着弾地点が確認されているが、イランの弾道ミサイルで目標に命中したのは少数のようだ


スラエルのネヴァティム空軍基地の衛星画像から、イランが10月1日に行った弾道ミサイル乱射による破壊レベルの詳細が明らかになったが、イスラエル空軍のF-35Iアディールステルス戦闘機を破壊したとするテヘランの主張を裏付ける証拠も得られなかった。 

 今週初めにイランが発射した約180発の弾道ミサイルのうち、高度な設計のものも含め、かなりの数がイスラエルに着弾し、イスラエルの広範な対弾道ミサイルの傘を圧倒することに成功した。 

 これは、4月のイランの攻撃とは対照的である。前回の攻撃では、長距離ワンウェイ攻撃ドローンも攻撃に組み込まれていた。今回は弾道ミサイルによるもので、ドローンの性能の低さを考えれば納得がいく。  イランは、今回の攻撃のミサイルは、モサド本部、防空レーダー、2つの重要な空軍基地を含むイスラエルの主要軍事施設に向けたと主張した: ネバティムとテルノフの両基地だ。 このような攻撃で選ばれるだろうと本誌が推測していた標的セットである。 

 ネヴァティム空軍基地は、イランの成功の主張という点では非常に目立つが、その後の衛星画像によって、そこで実際に何が起こったかが明らかになった。 テルノフ空軍基地の画像と同等のものは、今のところ入手できていない。 部分的な雲に覆われているため、空爆以来、高解像度の画像の出力が制限されている。

 


https://horsdoeuvresofbattle.blog/2024/10/04/imint-irans-strike-on-nevatim-airbase/


 イスラエルは、空爆による航空作戦への影響はないと主張している。 一方で、オープンソースの情報・画像アナリストたちは、ネバティムの衛星画像を熟読している。ネバティムには、IAFが誇るF-35と電子支援機、そして空輸機やその他の航空機が配備されている。 

 米国の非営利調査分析機関であるCAN(Center for Naval Analyses)の戦略戦力アナリスト、デッカー・エベレスによれば、これらの画像から「少なくとも33箇所の衝突クレーターがあり、現在雲で隠れている衝突クレーターはもっとありそうだ」という。 

 したがって、衝突の総数はおそらく40に近いとエベレスは主張する。 これは相当な数で、4月のイランの攻撃でネバティムへのミサイル着弾が5回しか確認されなかったことと比較すると、特に注目に値する。 

 イランがネバティム基地で正確に何を狙っていたのか、また、ネバティム基地に着弾した弾頭が特定の格納庫や建物、あるいはその他の特定の地点に命中することを意図したもので、それが失敗したのかどうかについては、完全には明らかになっていない。 

 エベレスは、護岸や戦闘機格納庫を含む周辺に衝撃が「密集」していることを指摘しているが、これは決定的なものではない。 

 それでも、1つの格納庫は明らかに破壊された。 

 イランは機動弾頭を搭載した弾道ミサイルを保有しており、射程の短いタイプによる過去の攻撃は驚くべき精度を示している。 

 しかし、より複雑なミサイルでより長距離を正確に攻撃することは、より困難な命題であることは間違いない。 

 ネバティム基地に対する最新のミサイル弾幕が実際に何を達成したかを分析したエベレスは、その答えは"たいしたことはない"と結論づけた。 

 「ほとんどの着弾地点は完全に外れたか、基地周辺の誘導路を直撃している。給油機の格納庫と2、3の建屋には命中した。基地の南端にある支援ビルは確かに被弾し、その一部が破壊された。基地の東側にある別のビルも被弾し、大きな被害を受けた可能性が高い。また、航空機保管エリア周辺にも多数の衝撃が密集しているが、これらの航空機は野外に駐機しているため、もはや活動していない可能性がある」。 

 イランが20機を破壊したという貴重なF-35については、機体を格納するシェルターの列に隣接するいくつかのクレーターに被害が限定されているようだが、機体を隠している部分に限定的な被害が発生した可能性もある。 

 イスラエル空軍 シェルターの1つは、屋根に小さな穴が開いており、おそらく直撃弾によるダメージを受けたようだ。 

 ここで何が起こったのかは不明だが、エベレスは爆発に失敗した弾頭の可能性を示唆している。 

 仮にもっと多くの弾頭がシェルターに命中して爆発していたとしても、F-35の大半はミサイル攻撃の前にほぼ確実に空中にいたため、いずれにせよ生存していた可能性が高い。 

 攻撃当日の夕方、イスラエル空軍のタンカーはほとんどすべて沖合で飛行しており、基地からスクランブル発進した戦闘機に燃料を補給していたことを示唆している。 

 F-35は、地上で破壊される可能性から救うため、タンカー支援に優先的に使われたはずである。 

 イランが標的とする航空機のなかでも、F-35は政権に最も脅威を与え、IAFが非常に珍重しているため、リストの最上位に位置するだろう。 

 それでも、ミサイルが到達する前にすべてのF-35が基地を空けただろうと主張する者もいる。これは不可能に近い考え方だ。すべての戦闘機、特に非常に複雑な第5世代型戦闘機は、常に膨大な整備を必要とする。 

 機材の一部は、いつでも深い整備や部品待ち、その他の問題のためにダウンしており、飛び立つことは不可能だ。それでも、地上にいるジェット機の一部は、時間があれば、多くの場合、基地周辺のありそうもない場所に移動させ、保護に役立てることができる。 

 ネバティム空軍基地を全体的に見ると、イスラエルに関する限り、良いニュースと悪いニュースがある。 

 基地は多くの攻撃を受けたが、これはイスラエルの弾道ミサイル防衛が少なくともある程度は圧倒されたことを示唆している。 

 これはそれほど驚くべきことではない。 4月の最初の攻撃の後、本誌が繰り返し指摘したように、次の攻撃は新しい戦術を用いるだろうと見られていた。ミサイル防衛を過度に飽和させ、離れた場所にある少数の大きな軍事目標-特に空軍基地-に集中することが、今後の攻撃計画の基礎になる可能性が高い。 

 被害が少なかったのは、遠距離にある空軍基地を標的にすることの本質的な難しさによるものかもしれないし、イランの長射程弾道ミサイルの故障の多さと精度の低さを指し示しているのかもしれない。 

 イランが意図的に、特定の建造物や物体ではなく、標的地域を選んだ可能性は常にある。 

 それでも、この可能性は低いと思われる。また、弾道ミサイル防衛や同盟国のミサイル防衛以外にも、イランのミサイル攻撃から身を守るためのイスラエルの努力も考慮する必要がある。 

 イスラエルはほぼ間違いなく、非キネティックな手段でイランの弾道ミサイル能力を低下させるために、GPSの妨害や「左発射」戦術などの電子戦も採用しているはずだ。 

 今回のネバティム空軍基地とイスラエルは、単に運が良かっただけかもしれない。 しかし、イランは弾道ミサイル多数でイスラエルを攻撃できることを実証した。 

 もし同じミサイルが民間地域を標的にしていたら、人命の損失は非常に深刻なものになっていただろう。 

 もしミサイルが広範囲に及ぶインフラを標的にした場合、その被害も非常に問題になる可能性がある。 

 今、イスラエルが心配しているのは、イランが自国の領土を攻撃できるということだけでなく、イランがミサイルの保有数を増やし、精度を高め、対抗策を取りにくくし、脅威をさらに大きくしていることだ。  また、今回のような大規模な実戦的使用は、すでに急速に開発されている長距離攻撃システムの改良方法に関する重要なデータをイランに提供する。 

 イスラエルはいつでも報復できる態勢にあり、イランは報復すればイスラエルの重要インフラを一掃すると脅しているため、近い将来、また新たな弾幕が張られるかもしれない。■


Clearer Picture Of Damage To Israeli Airbase From Iranian Ballistic Missiles Emerges

Dozens of impact areas have been identified within Israel's Nevatim Airbase but few Iranian ballistic missiles appear to have hit their targets.

Thomas Newdick, Tyler Rogoway

Posted on Oct 4, 2024 7:29 PM EDT

https://www.twz.com/air/clearer-picture-of-damage-to-israeli-airbase-from-iranian-ballistic-missiles-emerges


メディアチェック:レバノン邦人等退避フライトの報道で92パーセントが不正確(本誌調べ)

 ひさしぶりにメディアチェックです。

今回はレバノンから邦人などを退避させた航空自衛隊のC-2が題材です。


C-2 航空自衛隊ホームページより


ではメディア別に見ていきましょう(順不同)


  1. 時事通信ニュースhttps://sp.m.jiji.com/article/show/3354550 C2輸送機 X

  2. NHKhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20241004/k10014601461000.html 航空自衛隊の輸送機2機 

  3. 産経ニュースhttps://www.sankei.com/article/20241004-JNE4LQ5FB5LBLES5QBWYRJIXFI/C2輸送機 x

  4. テレ朝ニュースhttps://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000375927.html 自衛隊の輸送機

  5. 朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASSB44CVHSB4UTFK01RM.html C2輸送機 X

  6. 時事ドットコムhttps://www.jiji.com/jc/article?k=2024100300424&g=soc C2輸送機 X

  7. 日テレニュース https://news.ntv.co.jp/category/international/a31ed4abe2164f83b75de18b7a4d62d8 C2輸送機 X

  8. 東京新聞https://www.tokyo-np.co.jp/article/358520 C2輸送機 X

  9. 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA04D220U4A001C2000000/ C2輸送機 X

  10. 読売新聞https://www.yomiuri.co.jp/world/20241004-OYT1T50135/ 航空自衛隊の輸送機「C2」 X

  11. 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20241001/k00/00m/010/088000c C2輸送機 x

  12. 共同通信 https://nordot.app/1214917032303886949?c=302675738515047521 C2輸送機 X

  13. 乗り物ニュースhttps://trafficnews.jp/post/135347 航空自衛隊のC-2輸送機2機 


テレ朝は本誌のチェックを想定したのか(そんなことはないはずですが)型式名称を伝えないという「高等戦術」を使い、今回のチェックを逃れました。読売新聞の「 」はどういう意味でツケているのでしょうか。従来型メディアが全滅の中、マニア向けの乗りものニュースのみが正確な名称を伝えていました。その他、ここにないメディアで正しく伝えているものがあればご教示ください。前回までのチェックでメディア関係者と思しき読者から縦書きが前提の新聞印刷なので―を省略するのは当然でこんなチェックをすることが非常識とのコメントを頂いておりますが、公式名称がC-2なのに「勝手に」C2に変えてしまい、なんとも思わないところが「非常識」なのではないでしょうか。色々ご意見があろうかと思いますので、ぜひお聞かせください。(メディア関係者の方はご遠慮ください)


そろそろ大手も含めメディアでは安全保障のみならず航空エディターを設けるべきでは。



イスラエルはイランの核施設を攻撃すべきか?バイデン政権、共和党それぞれ懐疑的(The Hill)

 


This satellite photo from Planet Labs PBC shows Iran's Natanz nuclear site near Natanz, Iran, on April 14, 2023. A new underground facility at the Natanz enrichment site may put centrifuges beyond the range of a massive so-called “bunker buster” bomb earlier developed by the U.S. military, according experts and satellite photos analyzed by The Associated Press in May 2023. (Planet Labs PBC via AP)



Planet Labs PBCによる衛星写真は、2023年4月14日、イランのナタンズ近郊にあるイランの核施設を撮影したもの。 専門家とAP通信が2023年5月に分析した衛星写真によると、濃縮施設の新しい地下施設は、米軍の「バンカーバスター」巨大爆弾の射程圏外に遠心分離機を置いている可能性がある。 (Planet Labs PBC via AP


 イスラエルがイランの核施設を攻撃すべきかどうかの議論は、バイデン政権がテヘランのミサイル攻撃に対する同盟国の対応を和らげようとしている中で、ワシントンを動揺させている。 

バイデン大統領は水曜日、イスラエルによるイランの核施設への攻撃に反対を表明した。「イスラエルには応戦する権利があるが、相応の応戦にすべきだ」と彼は記者団に語った。 

しかしワシントンでは、イスラエルが4月のテヘランのミサイル攻撃への対応よりもさらに踏み込んだ対応をとるだろうという認識があり、共和党のタカ派議員たちは核施設は公平な標的だと言っている。 

スティーブ・スカリーズ下院院内総務(共和党)やリンゼー・グラハム上院議員(共和党)ら共和党議員は、バイデン政権がイスラエルを牽制しようとしていると非難している。「イスラエルには自衛権がある。それが何であれ、核施設も含めてだ」とスカリーズは木曜日、フォックス・ニュースで語った。グラハムは声明を発表し、イランとその意図に対する「誤算」とバイデンを批判した。

イラン政権は、宗教的な目的を達成するために核爆弾を作ろうとしているのだ。 「イスラエルに攻撃目標を指示するという考えは、現実を無視している。 ピート・リケッツ上院議員(ネヴァダ州選出)は水曜日に、バイデンは「イスラエルに自国をどう守るか指図する権利はない」と述べ、中東における最近の緊張激化の原因を、イランに対する大統領の "弱腰 "にあると非難した。 マイケル・マッコール下院外交委員長(テキサス州選出)のような他の共和党議員は、「イランとその代理勢力に最大限の圧力をかける」ようバイデンに求めた。 

 イランは火曜日、レバノンへの侵攻と、テヘランの重要な代理人である過激派組織ヒズボラの幹部殺害に対抗して、イスラエルに向けて180発のミサイルを発射した。 

 イスラエルはこの攻撃に対し、4月にイスファハン近郊の防空施設を攻撃したときよりも踏み込んだ対応をとると見られている。 

 しかしバイデン政権は、イランの核施設を標的にしたイスラエルの対応が、この地域でのさらなるエスカレーションを引き起こし、米軍が戦闘に巻き込まれる可能性を恐れている。

 「大統領選挙を1カ月後に控えたこの時期に、全面的な地域戦争が勃発することは、バイデン政権が望んでいるような背景ではないと思います」と、インターナショナル・クライシス・グループのマイケル・ハンナ米国プログラム・ディレクターは言う。「バイデン政権が最も深刻な対応から遠ざかろうとしているのは驚くことではない」。 

 ハンナはまた、イスラエルによる攻撃でイランの広大な核施設が破壊される可能性は低く、結果的にテヘランが核兵器製造の決意を固めることになりかねないと述べた。 

 イランの軍事核開発計画は、主にパルチンにあり、テヘラン、ボナブ、ラムサールに研究用原子炉がある。さらにブシェール、フェルドウ、イスファハン、ナタンズにも主要施設がある。 

 「核開発計画は洗練されており、その範囲は広い。その場合でも、核プログラムがすでにいかに高度であるかによって、核プログラムをオフラインにするのとは対照的に、数カ月、あるいは数年遅らせることになると思います」(ハンナ)。 

 そのような行動をとれば、イランは本格的な核兵器化に向けて動き出すかもしれない。国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)によれば、イランは、核兵器製造に必要な兵器級レベル(90%)に達することを意図して、民間原子力発電所の運転に必要な20%以上のウラン濃縮を行っていることが知られている。 

 7月、アントニー・ブリンケン国務長官は、イランが核兵器用の核分裂性物質を製造する能力を持つまで少なくとも1年はかかる代わりに、いわゆる "ブレイクアウト・ポインㇳ"まで「おそらく1、2週間はかかるだろう」と述べた。 

 中東研究所のイラン・プログラム・ディレクターであるアレックス・バタンカによれば、米国はイランの活動を懸念しながらも、核施設を攻撃したことはない。バタンカは本誌にこう語った。「イランの核開発に対する軍事的解決策がすぐに見つかるのなら、とっくの昔にそうなっているはずだ。そうなっていないのは、それが単発の攻撃や1日作戦のようなものではないからだ」。 

 イランの核開発プログラムは広範囲に及んでいるため、イスラエルが単独で核施設を攻撃することは不可能であり、ワシントンの援助が必要である。 

 「米国だけが持っている種類の弾薬が必要だ」とバタンカは言う。  イラン石油施設への攻撃が、バイデン政権にとって望ましい結果のようだ。バイデンは木曜日、イスラエルによるイランの石油備蓄への攻撃を支持することに門戸を開いたままにしておき、2つの同盟国は「それについて議論している」と記者団に語った。 

 バイデンは木曜日、この件について言及を避けた。 

 国防総省のサブリナ・シン副報道官は木曜日、イスラエルとの間で対応をめぐる話し合いが進行中であることを確認するにとどめた。「そして、これらの会話は15分で終わるものではなく、時間をかけて行われるものです」とシンは記者団に語った。 

 彼女は、オースティン国防長官はイスラエルのヨアヴ・ギャラント国防相と「この2週間、ほとんど毎日」話していると付け加えた。 

 オースティンはイランの核施設や油田を攻撃することを支持しているのかとの質問に対し、シンは、イスラエルによる攻撃の可能性がどのようなものかは推測しないと答えた。■


Should Israel attack Iran’s nuclear facilities? Biden, GOP disagree

by Ellen Mitchell - 10/04/24 6:00 AM ET

https://thehill.com/policy/defense/4915057-biden-israel-iran-attack-debate/



2024年10月4日金曜日

フィリピン近海で活動中の中国空母から目を離すな(USNI News)

 Chinese carrier Liaoning. JSDF Photo



合幕僚監部の最新発表によると、中国の「遼寧」空母打撃群はフィリピンのミンダナオ島の南東、セレベス海に向かい航行している。 

 一方、米海兵隊は水曜日、海兵隊東南アジア派遣部隊(MRF-SEA)がフィリピンに到着し、6ヶ月間の派遣を開始した。 

 水曜、統合幕僚監部は、海上自衛隊が9月20日以降、空母「遼寧」(16隻)を含むPLAN艦船がフィリピン海で活動していることを確認したと発表した。JPOは先に、9月20日から26日までの遼寧CSGの構成と活動の詳細を記した報告書を発表しており、水曜日の発表では、金曜日から火曜日までのCSGの活動と構成が更新された。 

 発表によると、金曜日から火曜日まで、遼寧は戦闘機の発進と回収を130回、ヘリコプターの離着陸を90回実施し、合計220回の出撃を行い、9月20日以来、合計630回の出撃を行った。 

 リリースによると、火曜日から水曜日にかけて、遼寧とPLAN艦船はフィリピン東の海域を南西に航行した。 

 遼寧CSGの移動地図によると、最後の位置はフィリピン本島ミンダナオ島の南東で、セレベス海に近づいている。 

 リリースによると、駆逐艦「あさひ」(DD-119)と「きりさめ」(DD-104)がCSGを追尾した。「きりさめ」は、9月20日からPLANのCSGを監視していた「あさひ」と交代したようだ。 

 各日の遼寧CSGの位置は、日本が管理するフィリピン海の環礁で、台湾とグアムの中間に位置する沖ノ鳥島からの距離との相対関係で、以下の通りである。 


9月27日金曜日 位置 沖ノ鳥島の南西745マイル 空母 遼寧駆逐艦 CNS Chengdu (120) 

9月28日土曜日 9月28日(土) 位置 沖ノ鳥島の南西459マイル: 遼寧駆逐艦 成都Chengdu 

9月29日 (日) 位置 沖ノ鳥島の南391マイル: 遼寧 

9月30日(月) 位置 沖ノ鳥島の南方689マイル: 遼寧駆逐艦 CNS ウルムチUrumqi (118) 

10月1日(火) 位置:沖ノ鳥島の南西944マイル 空母:遼寧 遼寧巡洋艦 駆逐艦: CNS 鞍山Anshan (103) Urumqi, 成都Chengdu, CNS淮南 Huainan (123) 高速戦闘支援艦: CNS呼伦湖 Hulunhu (901) 


一方、水曜日、海兵隊は、MRF-SEA の 3 年目のローテーション展開の一環として、第 1 海兵遠征軍 (MEF) の米海兵隊員と水兵隊員がフィリピンに到着したとのリリースを発表した。 

 リリースは、MRF-SEAの配備は2025年3月まで続き、東南アジア全域で6回の追加演習と安全保障協力が含まれると付け加えた。 

 これには、フィリピン海兵隊、マレーシア陸軍、インドネシア海兵隊、ブルネイ王国陸軍、シンガポール軍、タイ王国軍との共同訓練も含まれる。 

 「この海兵隊の年次ローテーション配備は、地域の重要な同盟国やパートナーとの協力関係を構築し、効果的な相互運用性を高め、この地域における米海兵隊の戦力を維持し、インド太平洋地域の自由への貢献を目的とするものである」。 

 リリースによると、第13海兵遠征隊(MEU)司令部は、この6ヶ月のローテーションを通してMRF-SEAを指揮し、部隊の規模と構成を変化させ、計画された8つの演習をそれぞれ実施する。 

 第1航空海軍砲撃連絡中隊、I MEF情報グループ、第1海兵師団の各部隊は、各演習の目的を達成し、東南アジアにおける米海兵隊部隊を維持するために、ローテーション部隊と合同する。 

 MRF-SEA司令官のスチュアート・W・グレン大佐はリリースの中で、「東南アジア海兵隊ローテーションフォースは、同盟国やパートナーと共に訓練し活動するためにインド太平洋地域に展開している。 「海兵隊はこの地域と人々の自由を守ることに全力を尽くしています。 MRF-SEAの目的は、パートナー間の共通の価値観と能力を育成・強化し、ルールに基づく国際秩序を維持することだ。


Chinese Aircraft Carrier Operating Near the Philippines

Dzirhan Mahadzir

October 2, 2024 5:06 PM

https://news.usni.org/2024/10/02/chinese-aircraft-carrier-operating-near-the-philippines-u-s-marines-arrive