2022年5月4日水曜日

NGAD,F/A-XXなど次世代機に搭載が予想される新技術をまとめてみた


者がもしアメリカの次期制空戦闘機(21世紀で最も厳しい戦闘地帯の上空を支配する航空機)の開発を任されたら、どう実行するだろうか?どんなシステム、能力、最先端技術で新しい戦闘機をつくるだろうか?


 これは、空軍の次世代制空機(NGAD)や海軍のF/A-XXのような極秘開発計画でアメリカの防衛関連企業に実際に投げかけられている質問だ。

Original artwork courtesy of Rodrigo Avella. Follow him on Instagram for more incredible aviation renders.


 F-35共用戦闘機は、各部局の異なるニーズを満たそうとしていると広く批判されているが、同戦闘機は、全く異なる取得プロセスで開発されている。まず、空軍と海軍は、NGADで協力して開発されたサブシステムを共有するものの、別々の機材を配備する見込みである。このためアメリカの次期制空戦闘機として登場するプラットフォームでは空母任務は期待できないことはほぼ間違いない。

 しかし、この話を進める前に、素晴らしい画像を提供してくれたロドリゴ・アヴェラの素晴らしいアートワークと、その他の画像に謝意を表する必要がある。作品は本人のウェブサイトでご覧ください。また、TwitterやInstagramのフォローもお忘れなく。

編集部注:以下の記事はあくまで仮定の話ですが、取り上げたプログラムや技術はすべて公表されています。


 アメリカの次期戦闘機に搭載される機能や技術について、さまざまな憶測が飛び交っているが、一部は公式発表で裏付けされているとはいえ、詳細は明らかになっていない。

 そこで筆者は、伝説の戦闘機F-22ラプターに代わる新たな空の王者として、現在実用化されている、あるいは開発中の最新・最先端のシステムで、妥当な時間枠で機体に搭載可能なものを組み合わせて、独自の制空戦闘機の設計を始めてみた。言い換えれば、この新しいジェット機は今後5年から10年以内に飛行開始する必要があるため、極超音速飛行用のコンテナ型常温核融合や完全デュアルサイクルのスクラムジェット推進システムの採用は合理的ではない...しかし、GEのXA100などの先進ジェットエンジンは、戦闘機に未搭載だが現在テスト中なので、採用してもいいだろう。

 また、現在公開されているプログラムではないものの、技術的には確実に新型戦闘機に搭載される可能性のある、やや仮説的なコンセプトも採用する(アクティブフローコントロールなど...後ほど取り上げる)。

 言い換えれば、まだ実現していないシステムも、NGAD開発で動作させる前提で、リストに含まれている可能性がある。

 この取り組みでは、実際のプログラム、実際の科学、そして実際の研究から多くを学びますが、結果はもちろん現実のものではない。空軍の次期戦闘機に搭載される技術の内訳ではないが、NGADが最終的に公開された後、今回の推論が新機能を正しく理解できていたかを見るのは非常に興味深い。

 早速だが...筆者なら、最高の技術を使って、空軍の次期戦闘機をこんな感じで作る。

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 新型戦闘機には、空を完全に支配する能力が必要だが、必ずしも高性能戦闘機に期待するような方法でそれを実現しなくてもよい。目視範囲を超えるセンサーと非常に高性能な長距離空対空兵器の出現により、アクロバティックな近接戦闘の時代は終わったと広く考えられている。言い換えれば、新しい戦闘機には、Su-35やF-22ラプターのような接近戦の能力は必要ないが、世界で最高性能の戦闘機に勝ちながら、紛争空域で高い生存能力を持つ必要がある。

 デルタ翼は、F-16(F-16XL)やF-22ラプター(FB-22)の能力向上実験と同様に、ヨーロッパの多くの最新戦闘機で成功裏に使用されてきた。デルタ翼の追加面積は、揚力を劇的に増加させ、積載能力と航続距離を向上させながら、燃料のスペースを提供し、航続距離や滞空時間をさらに増加させる。他のステルス機と同様に、低視認性を優先するため武器を機体内部に搭載するが、F-22よりわずかに大きな胴体で、内部収納の拡大が可能になる。ただし、この機体も無人機で攻撃する恩恵を享受するだろう。

 アクティブ・フロー・コントロールを推進システムに活用することで、戦闘機が依存している制御面の多くを不要にすることができる。F-22やF-35のようなステルス戦闘機は、早期警戒システムの低スペクトル・レーダー・アレイで探知できるが、B-2スピリットやB-21レイダーの全翼機デザインは、防空システムによる検出を遅らせるのに役立つ。

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 GEとプラット&ホイットニーの両社がテスト中の先進新型アダプティブ・サイクルエンジン(それぞれXA100とXA101)は、次期制空戦闘機のニーズを満たす有力な候補だ。新型エンジンは、従来型よりも大きな推力とパワーを生み出すと同時に、燃料経済性と熱管理の面で大きな飛躍をもたらし、発電容量も拡大する。

 XA100はアフターバーナーで45,000ポンド推力を発揮し、2基を搭載した場合、90,000ポンド(F-22ラプターのプラット&ホイットニーF119-PW-100ターボファンエンジン2基より2万ポンド多い)の推力を得られる。しかし、これは同エンジンの抜きん出た性能の一部に過ぎない。


fighter engineGE-XA100 engine prototype (GE)


 XA100は、パイロットの入力を解釈し、各種「モード」で動作する。パイロットが戦闘中にエンジン性能を最大限に発揮させたい場合は、スロットルを強く傾ければ、エンジンのマネジメントシステムが、燃焼量が多い高推力モードに切り替える。逆にパトロール中は、燃費や滞空時間を伸ばす高効率の低燃費モードで待機する。GEの最新のエンジンテストでは、F-35で既存のプラット&ホイットニーF135-PW-100と比べて、飛行プロファイルの大部分で推力が20%向上し、燃費が50%も向上することが確認された。また、同様に重要な点として、従来型エンジンに比べて熱管理能力が2倍になる。

 現代のジェットエンジンが発する熱は、実は搭載システムのパワーを制限する要因になっている。しかし、GEのXA100のようなアダプティブサイクル・エンジンは、熱をうまく管理することで、高度な対抗手段や指向性エナジー兵器で必要となる余電力を確保できる。

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 おそらく、筆者の戦闘機設計が現在の戦闘機と最も異なる点は、アクティブ・フロー・コントロールを推力ベクトル制御と同時に組み込むことで、操縦性を犠牲にせずレーダーを反射する制御面や垂直安定板を劇的に減らす努力だろう。フラップやエルロンなどの従来の可動部品なしに、航空機の方向転換を可能にする。

 アメリカ航空宇宙学会が発表したこの技術には、航空機のジェットエンジン排気を胴体の特定の穴に通して、飛行中の航空機の軌道を変えるアプローチもある。これは基本的に、宇宙船が軌道上で位置を調整するのと同じで、非常に高度かつ高速な方法だ。しかし、航空機に使用すると、はるかに精密かつ強力な実行が必要となる。応用物理紀要Journal of Applied Physicsに別のアプローチが掲載され、航空機の胴体と翼表面に電極を配列して使用する提案がある。電極は、特定の間隔と場所で放電を発生させ、近くの空気を加熱し、空気密度を変化させ、その結果、航空機の飛行に影響を与える。


6th generation fighters

アクティブ・フロー・コントロールは空気の流れを利用する

 AFC構想には、何十年も前からのものもある。AV-8Bハリアーでは、垂直離着陸時に同様の原理で動作するリアクションコントロールシステムを長い間使用してきたが、航空機の主要推進系から大きなパワーを奪うことなく、実現可能なアプローチとなったのはつい最近のことだ。また、XA100の熱管理の改善では、余剰電力を利用したシステムも可能になる。

 推力ベクトル制御(TVC)は、航空機のエンジンの推力を、パイロットがノズルで文字通り(機体とは関係なく)方向付ける。F-22は180度(上下)だが、Su-35のような360度TVCを持つジェット機もある。AFCの効果によっては、360度TVCのノズルを使い、最小限の制御面で航空機の制御を補正できる。

 AFCは可動部品が少ないため、メンテナンスコストの削減や、ステルス性を損なう機体継ぎ目や隙間の削減が期待できる。尾翼が必要なら、YF-23のようなステルス性の高い角度付き尾翼を組み込むばよい。

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 現代のステルス機は、レーダーを反射する設計を採用し、電磁波を受信機に直接返すのではなく、機体からそらすように設計されている。しかし、これらのデザインだけでは、最新のジェット機を本当の意味で「ステルス」にならない。さらに、レーダー吸収材(RAM)で覆われているため、レーダー反射を劇的に減少させることができる。

 アメリカの戦闘機に使われているRAMは、入ってくる電磁エネルギー(レーダー波)を70〜80%以上吸収するという評価がある。しかし、その維持には費用と時間がかかり、F-22やF-35の運用経費が莫大になっている。また、現在のレーダー吸収材は、熱による損傷を非常に受けやすく、超音速で問題となる。実際、F-35Cでは尾翼のレーダー吸収材が破損の危険性があるため、超音速飛行は60秒以下のショートスプリントに制限されている。

 昨年、ノースカロライナ州立大学のChengying "Cheryl" Xu率いる研究チームが、戦術戦闘機への応用が可能な新しいセラミックベースのレーダー吸収材料の開発を発表した。この新形態のRAMは、さらに多くの電磁エネルギーを吸収し(90%以上)、同時に耐水性があり、砂よりも硬く、華氏3200度の高温に耐えると言われる。現代のレーダー吸収材は480度程度で壊れ始める。SR-71の場合、マッハ3以上の速度で飛行すると、950度になった。

 この素材を使うことで、超音速飛行を長時間維持しながら、各戦闘機のメンテナンスの必要性を劇的に減らすことができる。新型ジェット機は、他のステルス化設計要素との組み合わせにより、前世代機を上回るステルス性と性能を発揮する。



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 今日、F-35共用戦闘機が搭載するノースロップ・グラマンの AN/APG-81 アクティブ電子走査アレイ(AESA)火器管制レーダーシステムは、世界最高性能と一般に認識されている。このシステムは、F-35に比類ない状況認識能力を提供するだけでなく、電子戦の一部になる必要な能力を備えている。

 しかし、英国と日本がそれぞれ第6世代戦闘機計画で共同開発している新システムは、同レーダーの能力を上回るものを目指している。

 機首のレーダーディッシュを小型レーダーモジュール数百個に置き換えたAESAレーダーのように、新しいシステム(Jaguarの名称で開発中)は、モジュールあたりのプロセッサ数を増やす一方で、受信した信号をよりデータへ変換することで信号劣化が軽減すると期待されている。

 このシステムは従来のレーダーの1万倍ものデータを吸収し、処理が可能となる。2020年に英空軍が行った主張によると、このシステムは1秒間に大量のデータを処理するため、都市全体のインターネット利用を管理可能とある。

Comprehensive Information


 F-35共用戦闘機のAN/AAQ-37電気光学分散アパーチャシステムは、機体各所にある6つの高解像度赤外線センサーで構成し、戦場を360度完全に見渡せる。このシステムは、付近を飛ぶ他の航空機や飛来するミサイルを識別・追跡し、夜間運用時にはヘルメットのビューイングシステムで自機を覗き込むことも可能だ。

 2018年、レイセオンはノースロップ・グラマンからAN/AAQ-37 DASシステム生産を引き継ぎ、画像解像度の向上と異なるフィードのステッチングを提供し、次世代戦闘機はこの方向性をさらに進める必要がある。現在、改良型DASシステムの開発プログラムは公開されていないが、前回のDAS更新から4年が経過しており、計算能力とセンサーの改善により、現在の「空のクォーターバック」F-35を上回る状況認識能力が新しい戦闘機に搭載されることは理にかなっている。

(U.S. Air Force)


 無人機との併用により、ミッションのハードウェアを簡単に変更できるが(詳細は後述)、筆者たちの新しい戦闘機プログラムに関わる有人機と無人機では、ハードウェアとソフトウェア双方でモジュラーアプローチの採用が必要となる。モジュール構造により、各種システムを共有できるようになり、開発・試験コストを全面削減し、維持コストも削減できる。

 モジュール設計アーキテクチャは、現在の戦闘機設計よりも低い価格で、より頻繁なアップデートを可能にする。しかし、重要なのは、モジュール構造アプローチの恩恵を十分に受けるためには、航空機のソフトウェアが対応できる設計にすることだ。

 この問題で、空軍参謀長のCQブラウン大将が触れ、NGADのミッション・システムが機体の飛行制御ソフトウェアから完全に独立すると強調している。これまでの戦闘機では、飛行制御とミッション・システムが絡み合っていたため、ミッション・システムを変更した場合、航空機の安全性や戦闘能力を損なわないようにするため、飛行システムで高価で長時間のテストが必要だった。だが、2つのシステムを分離することで、航空機の基本機能に影響を与えずに、ミッションシステムに変更を加えることが可能になった。

 このようにハードとソフトをモジュール化することで、標準的な適合要件を満たせば、各社が開発した新技術を迅速に導入することが可能になる。

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 NGADは、単体の機体ではなく、支援用UAV(無人航空機)を含む「システム・ファミリー」として以前から理解されている。XQ-58Aヴァルキリーのような低価格無人機は、この役割に非常に有効であるが、筆者は今年初めにフランク・ケンドール空軍長官が行った発言に傾く。長官は、NGADとB-21の無人機ウィングマンの目標価格ポイントは、有人機コストの約半分になると主張した。現在、NGADのコストは戦闘機1機あたり2億ドル程度と見積もられているので、無人機版の単価は1億ドル程度となる。

 1億ドルといえば、現在のF-35Aの単価より高い。つまり、支援機は、予算をオーバーさせずに、アメリカの既存機と同様のステルス性能を提供できるはずだ。こうした無人機は生産とメンテナンスのコストを低く抑えるため、制御システムや構造部品で可能な限り共通性を持たせるべきだが、まったく別のペイロードに対応できるはずだ。

 これらの無人機では以下3点を、専門分野ごとに設計開発の必要がある。

  1. 空中戦

  2. 地上戦

  3. センサーリーチと電子戦

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 空戦用無人機には、ロッキード・マーチンが開発中の長距離空対空ミサイルAIM-260 JATMやレイセオンの長距離交戦兵器(LREW)と、同社のペレグリンミサイルを組み合わせ搭載することになる。ペレグリンミサイルは、同様の性能を持つにもかかわらず、現在のAIM-9Xよりも低コストで、設置スペースもはるかに小さい。地対空戦機には、AGM-179 JAGM、新型AARGM-ERレーダー探知ミサイル、AGM-158C LRASM(長距離対艦ミサイル)など、さまざまな空対地・対艦弾を搭載する必要がある。

 センサーとEW用機は、現在F-35が搭載するAN/APG-81アクティブ電子走査アレイ(AESA)火器管制レーダーと、EA-18Gグラウラー用に開発中の次世代ジャマーポッドを電子戦任務に搭載する。AN/APG-81を空戦用と対地攻撃用無人機に搭載すると高価で重いことが判明した場合、レイセオンの軽量で安価な窒化ガリウムAESAが代用品となる。各ドローンに火器管制レーダーを搭載するのは実現可能であり、無人機を戦闘で喪失しても、ミッションの達成が確実になる。

 パイロットは、ミッションのパラメータに応じて、空戦、地上戦、EWの能力を必要に応じ追加し、ペアを組む無人機を交換するだけで、ミッションに応じた装備になる。各無人機は、Skyborgや同様のシステムを通じてパイロットの指示を受け、人工知能を活用してパイロットと暗号化データリンクを通じて複雑なコマンドを実行する。

 新型アダプティブサイクルエンジンが、必要なパワーを提供できるかは不明だが、遠くない将来、航空機に応用されるのは間違いない。

 ステルス性が向上しても、新型戦闘機は、その他航空機や地上から発射される敵ミサイルの脅威に直面する。21世紀のバトルゾーンで生存能力を確保するため、アメリカの新型戦闘機は、チャフ・フレアシステムを強化する高度対抗策を必要とする。

 まず指向性エナジー兵器、つまりレーザーだろう。これは、飛来するミサイルを過熱し、爆発させるか、あるいは目標に接近できなくなるまで加熱することができる。このようなシステムは何十年前から開発されており、空軍研究所の自己防衛型高エナジーレーザー実証(SHiELD)プログラムが最も有力な選択肢を生み出している。2019年の地上試験で空中発射ミサイル多数の撃墜に成功し、2024年に飛行試験を開始する。SHIELDでは、ポッド内蔵型レーザー防衛システムに焦点を当てているが、システム本体は新型戦闘機の機体に統合されるだろう。


navy tech lasersUS Patent office


 新型戦闘機に標準搭載されるもうひとつのあまり知られていないシステムは、2018年の海軍特許の形で、"System and Method for Laser-Induced Plasma for Infrared Homing Missile Countermeasure" という、著しくセクシーでないタイトルのものだ。この技術は、基本的にプラズマホログラムの「レーザー誘起プラズマフィラメント」を投影し、航空機の赤外線シグネチャーを再現し、熱探査ミサイルを混乱させることができる。

 この特許は4年前に申請されているが、現在、航空機用に開発・実用化する取り組みは公表されていない。しかし、この技術はすでに小規模で実証されているため、今後10年間で実用化を目指す機密プログラムとして実現可能のはずだ。

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 ここまで検討して、読者はふたつ認識しているはずだ。一つは、新型戦術機の設計と実戦配備には信じられないほどの労力が必要だということ、もう一つは、その努力を一つの記事にまとめるには、非常に大雑把な表現でなければ不可能だということだ。

 米国は、航空技術の黎明期から軍事航空技術で世界をリードしてきた。世界初の軍用機となった1909年のライト・ミリタリー・フライヤーは、アメリカ陸軍信号隊所属であった。わずか40年足らずで、アメリカ空軍のチャールズ・"チャック"・イェーガー大尉が人類初の音速の壁を越える機を操縦し、そのわずか14年後にはロバート・ホワイト空軍少佐のX-15がマッハ6を超える極超音速の壁を破った。1981年、F-117ナイトホークは、アメリカの航空戦のあり方そのものを変えるステルス革命の先駆けとなり、わずか8年後には世界中を飛び回るB-2スピリットがその後に続いた。

 そして1997年、F-22ラプターが初めて空を飛び、その驚くべき新機能は、新世代の戦闘機の原型となった。

 そして、2020年代の終わりになると、アメリカのNGADとFA-XXは、再びゲームを一変させる可能性を持っている。もし、その期待に応えることができれば、上記のような画期的技術が盛り込まれる可能性は十分にある。■

What kind of fighter could the latest military tech really build? - Sandboxx

Alex Hollings | April 21, 2022

The Air Force is eyeing groundbreaking new engines for the F-35

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.

 

2022年5月3日火曜日

憲法記念日に思う。平和とはダイナミックな裏付けがあって成立する。日豪で深まる安保協力の象徴が豪空軍による空自機への空中給油だ。

  

4月4日から28日にかけ、日豪両国間で技術試験が展開され、オーストラリアのKC-30AがF-2に空中給油を実施した (Japan Air Self-Defense Force)

 

ーストラリアのタンカーが、初めて日本の戦闘機に空中給油した。日豪両国での相互運用性試験の一環となった。

オーストラリア空軍のKC-30Aは、4月4日から日本に派遣され、航空自衛隊の三菱F-2戦闘機と飛行試験技術プログラムに参加した。

KC-30Aは小牧基地から運用された。F-2は、岐阜の航空開発実験団の機体で、単座のF-2Aと双座型F-2Bが使用された。

飛行試験プログラムでは、KC-30AとF-2が各種条件下で安全と互換性を確認した。

F-2がKC-30Aから給油を行い、日中、夕暮れ、夜間とさまざまな条件で飛行し、日本の戦闘機がタンカーブームを使用しての給油を9回繰り返した。

また、F-2が安全に燃料を受け取ることができるように、各種形態で飛行した。パイロンを空にしたクリーンな状態や、燃料タンクや様々な装備を搭載した状態での飛行も含まれた。

日豪両国が公開した飛行試験の写真には、F-2が93式対艦ミサイルとAAM-3空対空ミサイルを搭載している様子が写っている。

オーストラリア空軍第33飛行隊のKC-30Aタンカーが航空自衛隊F-2Aに日本上空での空中給油を実験した。(航空自衛隊)

オーストラリア空軍司令官ダレン・ゴールディ空軍少将Air Vice-Marshal Darren Goldiは、このプログラムは、複雑化・高度化する両国間の交戦を促進するものであると述べました。また、オーストラリア空軍の航空機研究開発部隊と日本の航空開発実験団との2年にわたる緊密な協力関係の集大成と述べた。

「オーストラリア空軍機が航空自衛隊機に空中給油するのは初めてであり、日豪間の特別な戦略的パートナーシップの構築に貢献するものです」と、ゴールディ少将は述べ、今回のプログラムは、今後予定されているピッチブラック22演習における日本の活動にもつながると付け加えた。これは、8月にオーストラリアのノーザンテリトリーで開催される多国籍大規模空戦演習で、今年は、航空自衛隊が初めて参加する。

米国と同盟関係のオーストラリアと日本両国は、二国間の防衛関係の強化を図っている。1月には相互アクセス協定を締結し、演習で両国部隊の相互訪問が容易になった。■

In first, Australian tanker refuels Japanese jet midair

By Mike Yeo

 May 3, 02:15 AM


主張 ドンバスでの戦況にかかわらず、ロシアの敗北はすでに決まっている

 


Ukraine Tanks

ロシア戦車が爆発効果で敵攻撃から防御している Credit: YouTube Screenshot.

 

 

ロシアはドンバスで勝っても、敗戦している 

 

ウクライナ戦は続いている。9週目に入った今、戦闘は東ウクライナのドンバスに移っている。キーウ周辺の戦闘に比べ、ドンバスからの情報は少なくなっている。これは、初期の待ち伏せスタイルや銃撃戦に比べ、戦闘が運動的かつオープンな形態になっているためだろう。

 大規模な衝突がより多く発生する可能性が高いようだ。ウクライナの死傷者は以前より多くなるだろう。ソーシャルメディア上の戦争映像の多くがウクライナ側のものなので、戦争が不利になったため、目にする機会が減ってきたのだろう。ドンバスの地形はロシア側にとって有利だ。

 しかし、ロシアは東部で戦果を得ても、今回の紛争ですでに多くを失っており、ロシアの国力にとっては破滅的な状況だ。実際、ウクライナが全面勝利する可能性があるという見方もある。しかし、東部と南部の一部を保持しても、それは戦費のほうが遥かに大きい。

 

ウクライナはヨーロッパで最優秀な軍隊になる

 

侵攻の最も豊かな皮肉だ。ウラジーミル・プーチン大統領は、電撃作戦を想定していた。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を親ロシア派とすばやく交代させ、撤退させるつもりだった。西側が動員する前にすべてが終わる。プーチンは、ウクライナはフェイク国だと信じていたようだ。

 代わりに、愛国心に満ちたウクライナの兵士と市民の壁にぶつかった。その結果、欧米とパイプラインができ、戦況を支えられた。ロシアが直面しているのは、十分な装備と訓練を備え、戦闘に慣れ、統率が取れ、国民からの信認が高く、外国の裕福なパトロンに支えられている軍である。ロシアは二度とウクライナを制圧できないだろう。もしロシア軍が今後数カ月で勝利を収めなければ、戦争全体に負けるだろう。

 

NATO拡大は止まらない

 

表向きは、プーチンの侵攻の大きな原動力はNATO拡大だった。これは真実でなく、ロシアのプロパガンダだ。

 確かに、ウクライナは和平交渉の一環でNATO加盟を断念する可能性が高い。しかし、スウェーデンとフィンランドが加盟申請する可能性が高く、ほぼ間違いなく受け入れられる。特にフィンランドの加盟は損失だ。フィンランドはロシアと長い国境を接し、冷戦期に中立を保っていた。フィンランドが中立を放棄するのは、プーチンがソ連以上に危険な存在になったのを示している。

 

ロシアは孤立する

 

和平協定が結ばれれば、ロシアは世界との関係を回復できる。制裁は撤回される。ロシア人エリート層への渡航禁止措置は解除される。戦間期やドイツのファシズム転回を見ればわかるように、敗者を厳しく罰することは、その国の最悪の失地回復論を刺激する危険がある。

 しかし、ロシアとの正常な外交・経済交流が復活するのは、プーチン亡き後になるのはほぼ間違いない。欧米企業はロシア復帰をためらうだろう復帰は強制できない。同様に、渡航禁止措置を終了しても、世界の指導者がロシアのエリート層に会う義務はない。特にロシアの戦争犯罪の証拠が積み重なれば、ロシアは非公式に孤立していくだろう。

 

NATOの新たな目的意識

 

冷戦後の数十年間、NATOは使命を模索していた。9.11以降、NATOはアフガニスタンを筆頭に「域外」作戦を試行した。しかし、作戦は人気がなく、昨年のアフガニスタン撤退時には、誰もが疲れ果て、喜んでいた。フランスのマクロン大統領はNATOは「脳死状態」と呼び、アメリカのドナルド・トランプ前大統領は同盟脱退を考えていた。

 ロシアの侵略が、すべてを変えた。東ヨーロッパのさらに外側に米軍が駐留する可能性が出てきた。ドイツは大幅な防衛力強化を約束した。ブレグジット後のイギリスは、再び大陸と協力するようになった。タッカー・カールソンやグレン・グリーンウォルドのような親プーチン派のアメリカ人評論家は、米世論がウクライナと戦争についたため、失脚してしまった。

 これらの損失や後退は、プーチンがドンバスを征服して得るものよりはるかに大きい。ウクライナは生き残り、ロシアのいじめに抵抗する軍事能力を持つだろう。NATOは成長し、深化する。ロシアは孤立状態に陥り、中国に依存するようになるだろう。これが、迅速で小規模の電撃戦からの非常に大きな成果だ。■

 

 

Russia Has Already Lost the Ukraine War - 19FortyFive

ByRobert Kelly

 

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is now a 1945 Contributing Editor as well. 


ウクライナがロシア警備艇を無人機で撃破したと主張。ウクライナ戦は新技術新戦術の実証地になっている。

 

 

トルコ製TB2無人機でロシア哨戒艇二隻を黒海海上で撃破したとウクライナ軍が発表。

海でロシア海軍ラプター級哨戒艇2隻が破壊される劇的な動画がネット上で共有されている。ウクライナ国防省が公開した映像には、2隻の爆発の中にウクライナが運用するトルコ製無人機「バイラクターTB2」が挟み込まれており、空爆の結果であるとしている。TB2無人機による艦艇の撃沈は、初めてだ。主張されているように、本日未明に2隻の艦船を破壊したのが、TB2ならば、それ自体が重要な出来事である。実戦で無人機が敵艦を沈めた記録はない。

映像はウクライナ国防省のソーシャルメディアに本日未明に投稿され、画像のタイムスタンプは、同日に撮影されたものを示している。同省によると、攻撃は夜明け直後、ウクライナ沿岸20マイルのスネーク島付近で行われた。ウクライナ国境警備隊が開戦時にロシアの降伏要求を拒否し、代わりにロシア海軍の巡洋艦モスクワに「ロシアの軍艦、くたばれ!」という、今では象徴的となった言葉を浴びせたのが同島だった。同事件は、その後、巡洋艦が沈没したことで、伝説に近い地位を得た。

黒海でスネーク島の位置を示す Google Earth

映像を独自に位置特定したところ、少なくとも1隻は同地域で破壊されたことが示唆されている。ウクライナ国防省やウクライナ軍が、流出映像に公式な承認印を押したのは今回が初めてではなく、TB2が関与したのもこれが初めてではない。

本日のウクライナ国防省によるツイートは、前回のスネーク島事件に言及し、ウクライナ軍総司令官ヴァレリー・ザルジニー大将Gen. Valery Zaluzhnyの言葉を引用している。「ウクライナのバイラクターTB2は、本日夜明けにロシアの巡視艇2隻を悲惨な目に合わせた。ヘビ島のヘビが新しい娯楽施設を手に入れた」

映像に映る巡視艇を、ウクライナ国防省は、プロジェクト03160ラプター級艦艇とし、高速沿岸艦艇で、スウェーデンのCB90級高速突撃艦と外観とコンセプトが非常に似ていると主張しているラプター級は最高速度が48ノットといわれるが、海上状態に大きく左右される。

全長約55フィートのラプター級は、特殊作戦や河川任務に適し、最大20人の兵士を輸送する。標準武装は、遠隔操作の14.5mmコルド重機関銃と7.62mm機関銃2丁で以前から攻撃作戦に使用されている。

プロジェクト03160ラプター級哨戒艇 Andrewrabbott/Wikimedia Commons

TB2はウクライナ戦争を象徴する武器になり、プロパガンダ工作でその存在が浮き彫りになっている。哨戒艇破壊の映像は、TB2の電気光学センサーの情報と一致するように見える。ただし、この事件でTB2の使用を別個に検証できず、他のプラットフォームが実行した可能性は否定できない。

TB2は、トルコ製小型レーザー誘導爆弾MAMシリーズで武装し、映像では主翼下に同爆弾が見られるが、ストック映像の可能性が非常に高い。

ウクライナには2019年に納入が始まったが、現在何機のTB2が空軍と海軍で運用されているかは不明だ。これまでの戦闘で消耗が激しく、ロシア側はTB2の撃墜を盛んに主張しており、少なくとも7機の破壊が確認されている。

また、ウクライナは海岸から発射した対戦車ミサイルでラプター級の撃破に成功したと主張していたが、当該艦艇の撃沈は確認されていない。

一方、ロシア海軍のスラバ級巡洋艦モスクワは、国産の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」で撃沈したとウクライナ軍と米国防当局が発表した。しかし、同艦沈没の正確な経緯は不明なままだ。また、TB2が同艦の追尾や照準情報の提供などに関与していたとの未確認情報もある。しかし、スネーク島付近でTB2が活動し、ターゲットを攻撃した事実は、同機がモスクワ事件に関与した可能性を示唆している。同様に、ロシア=ウクライナ国境地帯で報告されている攻撃でTB2が使用されている可能性もある。

また、アゾフ海のロシア占領下のベルジャンスク港で炎上したロシア海軍のプロジェクト1171リゲーター級揚陸艦サラトフ(当初はオルスクと報道)の破壊にTB2が使用された可能性が指摘されている。これも証拠はなく、偶発的な火災の犠牲となった可能性が高いように見える。

ロシアの哨戒艦2隻がどのように撃沈されたかの詳細はともかく、モスクワと同様に今回の損失はウクライナにとって重要なプロパガンダと士気高揚の効果がある。今回の事件は、黒海におけるロシアの海軍活動がウクライナに脅かされる可能性を改めて明らかにしただけでなく、攻撃がスネーク島付近で行われた事実も重要だ。

最後に、ラプター級巡視艇は空爆に対応する装備は備えていないが、TB2が黒海で攻撃した能力は、ロシアが懸念すべきもので、モスクワの防空能力を失い悪化したはずのギャップを示唆する。スネーク島にも、短距離ミサイルや対空砲など地上防空装備を設置しているはずだが、ウクライナは最近、砲撃で少なくとも一部を破壊したと主張している。

つまるところ、ラプターのような防空能力が限られた小型水上戦闘艦艇を安全に運用するためには、友軍の制空権確保が必要だと示している。また、海軍環境における武装無人装備の拡散と、それが各種艦艇にもたらす脅威も示している。本日の事件の詳細が明らかになるのを待つが、沿岸域での海軍作戦で、高性能の対ドローン防衛装備の開発投入の緊急性が高まるのは避けられない。■

 

Ukraine Claims TB2 Drones Sunk Russian Patrol Boats Off Snake Island (Updated)

BY

THOMAS NEWDICK

MAY 2, 2022 1:05 PM

THE WAR ZONE

 

 



2022年5月2日月曜日

完全デジタル設計をうたうT-7A完全仕様の一号機がロールアウト! 海軍仕様B型はじめ、軽戦闘機として輸出も有望視されているが....

 T-7A Red Hawk Jet

CombatAir

 

米空軍の新型高性能ジェット練習機がセントルイスでロールアウトして重要な一歩を踏み出した。

 

ーイングは、アメリカ空軍向けT-7Aレッドホークの最初の機体を、EMD(Engineering and Manufacturing Development)プログラムのフェーズでロールアウトした。同機は、60年以上前に初飛行したT-38タロン以来の新型ジェット練習機となる。今回の機体は、初の本格仕様機で、先に完成していた2機は、社内デモ機であった。

 

 

 本日、ミズーリ州セントルイスのボーイング工場で行われたロールアウト式典では、空軍関係者が、T-7Aが訓練にもたらす画期的な特性に注目した。ボーイングは、初の完全デジタル設計機としてT-7Aを351機納入する予定で、今回の機体は来年、サンアントニオのランドルフ共用基地に納入する最初の機体となる。

空軍関係者と来賓がEMD仕様のT-7A一号機のロールアウトに招待された Boeing Screencap

 

 ボーイングの防衛・宇宙・セキュリティ部門社長兼CEOであるテッド・コルバートTed Colbertは、「我々は、デジタル技術を駆使した次世代航空機を米空軍に納入できることに興奮し、光栄に思っています」「この航空機は、ボーイングおよびサプライヤー、パートナー各社がデジタルエンジニアリング革命をリードしている姿を示す具体例となりました。T-7Aは、今後数十年にわたり、パイロット養成に従事します」と述べた。

 「今日は、ボーイングとサーブの長年の仕事、設計、パートナーシップの集大成です」とサーブの社長兼CEO、ミカエル・ヨハンソンMicael Johanssonは「サーブの知識と専門性は、1000人以上のサーブ従業員が関わり、世界クラスの練習機の設計と製造に貢献しました。私たちは一丸となって、訓練用ジェット機とは何か、そしてその製造方法を再定義する野心的なビジョンを掲げ、それに成功しました」と挨拶した。

 ロールアウト式典では、第二次世界大戦の「レッドテイル飛行隊」として知られるアフリカ系アメリカ人飛行士の遺産が、新型練習機の名前とカラーリングに敬意を表して採用されたことが強調された。

ボーイングのメディアリリースで、空軍参謀長   チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将は、「タスキーギ・エアメンは、空軍史で最も有名な部隊の一つであり、T-7Aは先駆者の勇気と技術に敬意を表しています」「T-7Aレッドホークは、障壁を打ち破った飛行士に敬意を表して命名され、塗装された機体です。デジタル技術を駆使した同機は、将来の戦闘機・爆撃機パイロットの多様な訓練を可能にし、今日および明日の国家安全保障環境の要求を満たす高度な訓練システムと能力を提供します」と述べている。

 ボーイングとパートナーを組んだサーブは、デジタル設計、アジャイルソフトウェア、デジタルエンジニアリング技術を活用し、原設計から試験飛行までの時間を短縮したことを誇りにしている。レッドホークは空軍機として初めて「e」の接頭辞が付けられ(一時eT-7とされた)、積極的なデジタル設計思想が採用されたことを表している。

 また、就役後は、オープンアーキテクチャ・ソフトウェアにより、空軍の近代化に歩調を合わせ新しい機能や訓練に対応でき、現行機を上回る高い適応性が期待されている。

 現段階でT-7Aの後部セクションをサーブはリンコーピング工場で製造しているが、同社は、インディアナ州ウェスト・ラファイエット工場で同部品の米国製造を開始する。

 当面は、空軍初の生産仕様T-7Aはセントルイスで地上試験と飛行試験を行った後、サンアントニオ・ランドルフ共用基地に運ばれ、第99飛行訓練飛行隊(FTS)に配備される。同部隊は現在、T-1ジェイホークで輸送機やタンカーのパイロットを訓練しているが、T-1は2025年に退役する。一方、T-7Aは2024年に航空教育訓練本部で初期運用能力を達成する。

 T-7Aの実用化は急ピッチで進んでいるが、遅れに見舞われ、ボーイングは367百万ドル相当の財政的打撃を受けている。ボーイングが昨年、ソフトウェア修正で対処したと発表した「ウィングロック」問題や、COVID-19関連の部品不足による生産遅延など、いくつかの問題が発生していた。その結果、T-7AのマイルストーンC本格生産の決定は2023年度にもちこされた。

 同機では輸出の見込みが取りざたされているが、米空軍には当初想定の351機より多くの機体を購入する余地が残っている。

 昨年末、空軍はT-Xプログラム351機に加え、少なくとも100機、場合によっては数百機の戦術練習機の追加発注を検討していることを明らかにした。新型機は、パイロット訓練以外に、Adversary Airプログラムで攻撃機として、また「戦術的代理機体」として、高価な戦闘機から安価なプラットフォームとして、作戦レベルの訓練の移行を可能にすると思われる。

 空軍は、Advanced Tactical Trainerの要件に合う競合機を検討すると述べているが、レッドホークは、戦闘機訓練を刷新する空軍の幅広い取り組みの一環として、追加発注に非常に適しているように思われる。

 一方、T-7Bと呼ぶレッドホーク改良型が、米海軍の新規ジェット訓練システム(UJTS)の候補に挙がっている。T-7Bは、現行のT-45ゴーショーク練習機の後継機として、レオナルドロッキード・マーチンと競合することになる。

 

 

海軍向けT-7B の想像図. Boeing

 

 また、T-7Aのハイエンドな性能は、軽戦闘機としての用途を可能にし、数十年前のF-5のように海外輸出の可能性を秘めている。

 レッドホークに追加受注の可能性があるのは明らかだ。しかしまず、来年に予定通り納入が開始されれば、T-7Aは空軍の将来のパイロットの訓練方法を変える推進力として、大きな可能性を発揮することを空軍は期待している。■

 

Boeing Unveils First T-7A Red Hawk Training Jet For The Air Force

The Air Force’s new advanced jet trainer achieved an important milestone with the official rollout ceremony in St. Louis today.

BY

THOMAS NEWDICK

APR 28, 2022 2:05 PM

THE WAR ZONE



ウクライナ戦、衛星画像が戦場の様相を変えている一方で、商用衛星の安全に懸念が高まる

 

MAXAR TECHNOLOGIES

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ウクライナ戦で宇宙空間からの情報収集の有益性が実証され、商用サービスが効果を上げている

 

シアがウクライナで敗北するとしたら、衛星画像が決め手となる。ロシア軍の動向を示す画像は、防衛を強化し、ロシアの虚偽や戦争犯罪を暴露し、ウクライナ側の同盟国を活気づけている。しかし、宇宙から得る情報が最近爆発的に増えているため、産業界や軍関係者には、敵勢力が衛星を攻撃する能力を高めているとの懸念が増えている。

 

 

 画像が信頼度を高め、指導者は侵攻の警告を発出できるようになった。侵攻後は、米国や欧州の政策立案者は、ロシア制裁の裏付けに衛星画像を活用している。

 プラネットの共同設立者でCSOのロビー・シングラーRobbie Schinglerは、次のようにDefense Oneに語っている。「今目にしている戦争では新しいテクノロジーが意思決定の様相を変えています」「単に『信じろ、これが起こっていることだ』といえなくなりました。誰でも見られるのです。世界各地のリーダーたちが重要なときに一致団結しての行動が可能になった」と述べている。

 映像は大企業の行動も変えた。

「法律と関係なく一方的に、各社がロシアビジネスから撤退を選択したことが特徴的」(シングラー)。

 軍事衛星画像が機密扱いが大半なのと異なり、民間プロバイダーには好きなものを公開する自由がある。

 マクサーMaxarの執行副社長兼公共部門アースインテリジェンス担当ゼネラルマネージャー、トニー・フレイジャー Tony Frazier は、GEOINT会議で、「商用画像の公開が重要な特徴」と述べた。

 国防次官(情報担当)のロバート・モーリーRobert Moultrieは、「衛星画像を共有し、協議でき、バイデン政権はロシアの意図と行動の分析結果を迅速に機密解除できた」と述べている。「決断は、最高司令官の大統領が行ったが、流れを変えた」。

 米国の情報機関は新時代に突入し、公開情報を重視し、特にロシアと中国について、米国政府が見ているのと同じ内容を一般も見られるようになった。モーリー次官は、差し迫る侵略を警告した米国の取り組みは「ケーススタディになった」とし、「将来への道を開いた」と述べた。

 軍の指導者には、もっと早い行動を望む者もいる。米軍特殊作戦司令部司令のリチャード・クラーク大将Gen. Richard Clarkは、情報多数が機密扱いのままなのは国家安全保障関連部門が反射的に機密扱いしているためだと指摘した。

 「ウクライナ紛争から、もっと効果的に行動する必要を学べる。しかし、状況はそれぞれ異なる。国として、政府として、守らなければならないこと、守るべきことがある」「とはいえ、機密解除や公表を重視すべきだ」(クラーク大将)。

 しかし、機密扱いを解除し、衛星画像を広く利用できるようになったことで、新しい課題も出てきた。関係者は、人工知能や高周波データなど、宇宙で収集された新しい情報で、新しい優位性が生まれると期待している。

 フレージャーは、マクサーが陸軍第82空挺部隊と共同で行っているスカーレット・ドラゴン・イベント活動を紹介した。戦場の部隊に画像を10分の1の時間で送る方法を学んだという。

 同社は衛星を増設しており、「30〜50センチメートルという非常に高い解像度で画像を収集し続け、さらに重要な各地での撮影を劇的に増加させる」と述べている。アジアの多くを含む熱帯と極圏の間の中緯度地域では、「1日最大15回まで収集する能力があり、他の情報源と組み合わせ持続性を確保できる」(フレイジャー)。

 これから数年間で、衛星データが爆発的に増加する予想がある。例えば、GPSで自位置を発信する部隊の暗号化されていない無線通信がある。GEOINT会議では、無線信号収集を専門とする衛星会社 HawkEye 360のミッションアナリスト、アニー・グラッシーAnnie Glassieが、AIS受信機をオフにした船舶を識別する方法を紹介した。

 同社の最高戦略責任者カリ・A・ビンゲンKari A. Bingenは、「電子戦、指標、発信源、GPSレーダーの妨害、その他が探知可能で、率直に言って、ロシア軍がどこにいて、どこに移動するかの先行指標となる」と語っている。

 人工知能が衛星画像と新データを組み合わせて価値を高めている。ウクライナ国境付近での米欧州司令部の活動もその一例、と衛星画像会社のある幹部は言う。

 「商業画像の役割、データにAIの機械学習能力、そして3Dが、任務のサポートに大きな役割を果たすフィードバックを得た」と、同幹部は述べ、作戦に関連するため匿名とした。

 しかし、世界が自国の軍事編成を追跡できなかった時代に戻りたがる敵国にとって、商業情報衛星が重要なターゲットになると政府関係者や産業界は懸念を強めている。

 「中国とロシアの軍事ドクトリンは、現代戦で宇宙を不可欠と捉えています」と、米宇宙軍最高作戦責任者チャンス・ソルツマン中将 Lt. Gen. Chance Saltzmanは述べた。「我々は、対衛星ミサイル実験で発生した破壊的な破片、(電波)干渉、地上宇宙ノードへのサイバー攻撃、投射物発射など挑発的な軌道上の対衛星攻撃実験を目にしてきた。彼らは米国の政府衛星や商業衛星を標的とする高度方法を開発している」。

 衛星が攻撃されたのか、それとも単に作動しなくなっただけなのか、判別は難しいとソルツマン中将は述べ、このため宇宙からの攻撃は、戦術、作戦、予算面で独自のミッションであるべき理由の1つだという。 

 例えば、衛星への指向性エナジー攻撃は、ほんの数秒しか作動しないので、正確な場所を見る必要があります。軌道上や近接した場所での活動では、帰属の把握が難しく、リアルタイム評価も難しいかもしれません。目撃者がいないなかで、実行犯を特定するのは難しいのです」。

 業界幹部は、政府は民間資産の保護で衛星会社と話し合いを持ち始めていると述べた。

 「今回の事態は、画像通信や各種サービス用のアーキテクチャで業界の重要性を浮き彫りにしました」「その結果、アーキテクチャにどんなリスクがあるのかを明らかにし、そのリスクを軽減するため何が必要なのか、と把握する必要があります」

 同幹部は政府は、紛争で損傷を受けた民間衛星を迅速に交換する方法も話題にし始めた、と言う。しかし、議論の結果が出るのは、先の話だ。■

 

 

As Satellite Images Reshape Conflict, Worries Mount About Keeping Them Safe - Defense One

Radio data collected from space is the next frontier.

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

APRIL 28, 2022