2022年5月18日水曜日

日本が英主導テンペストに接近し、米側の思惑が外れるのか、それともやはり米国がゴリ押ししてくるのか

 Japan F-3 fighter

 

アメリカは日本の次期戦闘機事業に加わる機会を逸したのか。報道では日本が今年中に英国のテンペスト事業に加わるとあるが...

本のメディアは、日本側が次世代戦闘機F-Xの製造で、アメリカではなくイギリスと提携を考えていると伝えている。どうやら、BAEシステムズが最も有力なパートナーに選ばれたようだ。この計画は、2035年頃に新型戦闘機を配備する目標で、、英国のテンペスト未来戦闘航空システム(FCAS)と同じスケジュールだ。

最新の決定は今月初めの日英米のハイレベル会合でなされたようだ。岸田文雄首相は5月5日、英国のボリス・ジョンソン首相と英国で会談し、年内に「将来の戦闘機プログラムについて協力することで基本合意した」と報じられた。前日には、岸信夫防衛大臣がロイド・オースティン米国防長官と会談し、次期戦闘機も議題に上ったようだ。

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テンペストのモックアップがファンボロ国際航空ショーに展示去れた。2018年。BAE Systems

報道によれば、日本側はBAEシステムズと、日本の次世代戦闘機における役割の拡大で交渉を始めている。英各社は、推進装置の開発を支援し、新型機へ採用をめざす新世代の空対空ミサイルでの提携で日本と合意している。

さらなる二国間協力には、英国防省による日本の新型空対空ミサイル計画(JNAAM)への支援も含まれる。同兵器は、MBDAミーティアの可視距離外空対空ミサイル(BVRAAM)に関する英国の専門知識と、日本が開発した高性能無線周波数(RF)シーカーの組み合わせが予想されている。

BAEシステムズが戦闘機の開発パートナーになれば非常に重要なステップとなる。だが、米国の防衛関連企業、特にロッキード・マーティンには悪い知らせとなる。2020年末、防衛省はロッキードをパートナー候補として発表した。しかし、その後、技術移転をめぐり双方に意見の相違が出ているようだ。

日本が不満としているのは、供用開始後のアップグレード方法のようだ。具体的な内容は不明だが、ロッキードがソフトウェアやハードウェア更新で主導権を取る想定の可能性があり、日本側の自律性を制限する。

三菱重工業(MHI)は、新型機開発でF-2と同様に主契約者の役割を担う。その他業界パートナーとして、IHIがパワープラントを担当し、ロールス・ロイスとパートナーシップを組んでいる。昨年、2020年初頭にフルスケール実証機用動力システムの共同作業を開始すると発表された。ロールス・ロイスは、テンペストのパワープラントも製造する。

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テンペストの推進系の説明図。Rolls-Royce

 

以前の日本報道で、テンペストとF-Xはエンジンだけでなく、「エアインテーク...と排気口付近」も共有し、ステルスに最適化されるとあった。両部分は、ステルスの品質と性能を実現する点で、難易度が最高のエンジニアリング要素だ。

日英両国が合意すれば、三菱重工など日本の産業パートナーがテンペスト計画に正式参加する道が開かれる。中型から大型のステルス双発戦闘機となるテンペストは、日本の要求内容と合致するように思われる。英空軍も2035年までにタイフーンをテンペストで置き換える計画を立てており、日本の目論見と合致する。

イギリスとBAEシステムズにとって、テンペスト・プログラムに国際的なパートナーを迎えることは、コストを下げ、全般リスクの軽減効果が生まれる。

チーム・テンペストには、すでにイタリアの防衛請負業者レオナルドとヨーロッパのミサイル・コンソーシアムMBDAも参加しており、スウェーデンも加わる。しかし、イタリアもスウェーデン両国は、同機を購入すると公式発表していない。

一方、日本にとっては、「チーム・テンペスト」に参加して得られるものが多い。ステルス有人戦闘機だけにとどまらないからだ。このプログラムは最終的に、忠実なウイングマン型無人機、センサー、空中発射兵器、支援アーキテクチャを含む第6世代の「システム・オブ・システムズ」空戦能力の実戦配備を目標としている。

 

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BAE Systems

航空自衛隊(JASDF)はこれまでアメリカ製戦闘機に依存しており、防空戦闘機部隊はF-15Jイーグルと、F-35Aステルス戦闘機が中心だ。次世代戦闘機にはアメリカ製装備品との相互運用性が期待されるが、日本がBAEシステムズを採用しても大きな問題にはならないはずだ。イギリスもテンペストを自国のF-35Bと供用する計画だ。

日経によると、アメリカが日本の次世代戦闘機プログラムに残る可能性はまだあるようだ。記事では、開発分担の最終決定は今年後半の予定で、ロッキード・マーチンなどとの長年にわたる関係が、アメリカに有利に働く可能性はまだ残っている。

しかし、現時点では、BAEシステムズに勢いがある。同社が日本の第6世代の航空戦闘プログラムに機会を提供するように見えるが、少なくとも現段階では、米国のライバル各社が同程度に関与する可能性は低い。アメリカの最新の航空優勢戦闘機であったF-22ラプターの入手に日本が興味を示した際に、機密部品と能力の詳細が漏れることを恐れて、要請を断ったことを思い出すとよい。

日本が懸念しているとされる米国との技術移転問題については、詳細は不明だが、日本を含むF-35プログラムの外国パートナー各国は、アップグレードや適応に関し、各国の独立性のレベルに懸念を表明している。一方、海外で運用中のF-35戦闘機が、機密データを収集・保存しているが、米国に転送するプログラムになっていることに不満を持っている。

ただし、日本にとってチーム・テンペストへの参加はリスクも伴う。英国は、同プログラムを自国の戦闘航空戦略の中心要素だと繰り返し強調しているが、非常に高価な事業であり、今でも厳しい英国の防衛予算に相当の負担をかける。英国ではF-35B138機を全機購入するのと並行し、テンペストを十分に取得するのは困難だろう。F-35Bの購入機数を減らしても、テンペストの財政負担を分散させるため、国際パートナーのコミットメントが必要だ。

BAEシステムズと手を組めば、三菱重工のX-2「心神」実験機やIHIで開発中のXF9戦闘機用エンジンの将来が危うくなる。ただし、これらの成果が日英共同プログラムに反映される余地はあり、特にX-2は将来戦闘機の開発用ではなく、専用試験機の想定だった。

政治的には、英国が日本と防衛関係を拡大すれば、急増する中国の領土的野心と軍拡を見据え、英国が戦略と軍事的優先順位をアジア太平洋地域に切り替えていく中で、確実に英国政府も支持を示すだろう。ベン・ウォレス国防相は昨年、インド太平洋地域でのパートナーシップ強化が「戦略的優先事項」と述べ、例として日本とのエンジン協定を指摘していた。

BAEシステムズから見れば、日本が開発費用を分担し、実際に機材を購入してくれれば、チーム・テンペストの今後が確実にさらに強固となると期待しているはずだ。■

 

Did America Just Miss Its Chance To Help Build Japan's Future Fighter?

Reports suggest that Japan may well join the British Team Tempest future fighter program by year-end.

BY

THOMAS NEWDICK

MAY 17, 2022 10:58 AM

THE WAR ZONE



(改訂版)米空軍の新しい戦闘機部隊構成の図式が見えてきた。NGAD、忠実なるウィングマン改CCA、F-15EX削減、F-16改修など

 


 

concept of  F-22 with new upgrades新しいアップグレード版F-22のコンセプト図。センサーポッド、ステルス形状外部燃料タンク、新型空対空ミサイルがわかる。Credit: U.S. Air Force

 

 

空軍の戦闘機部隊の新たな長期ビジョンが徐々に明らかになり、議会が承認すれば、戦術航空機材の構成が大きく変化する可能性が出てきた。

 フランク・ケンドール空軍長官は次世代航空支配(NGAD)プログラムで今後10年間に調達する第6世代戦闘機は、単価「数億ドル」で、自律制御システムの無人機の前衛と2030年代に就役すると4月26日、下院軍事委員会(HASC)で、発言した。

 

 

 

NGAD戦闘機のコストは 「数億ドル」

F-15EX調達は80機へ縮小

 

 空軍は、200機以上残るF-15C/Dの短期的な代替機としてボーイングF-15EX戦闘機を最低144機購入するトランプ政権時代の原案をほぼ半減させ、2024会計年度にイーグルIIを80機発注し調達計画を打ち切る予定だ。

 ロッキード・マーチンF-35Aは、F-15C/Dの代替機として唯一可能性がある機体だが、空軍は代わりに、今後2年間で同機の発注計画を34機削減し、2024年度のF-15EX調達完了後に発注を拡大させるとしている。一方、運用開始から33年たつF-15Eは、戦闘機再編で影響を受けない。

 最後に、空軍は戦闘機の削減を、残る機材の大規模なアップグレードで相殺できると考えている。

 議論を呼んだのは、空軍が今後5年間でフェアチャイルド・リパブリックA-10をすべて退役させる計画で、ロッキードF-22のうち実戦に耐えられない33機を退役させる案だ。

 そのかわり、空軍は大規模なアップグレードに資金を投じたいとする。ロッキードF-16の600機以上は、ノースロップ・グラマンのAPG-83アクティブ電子走査アレイレーダーやノースロップ・グラマンの次世代電子戦装備などで、ブロック70/72標準にアップグレードされる。

 一方、150機近くあるF-22の残存機体にも新装備の導入が予定されている。航空戦闘軍団のトップであるマーク・ケリー大将Gen. Mark Kellyは、2007年に行われたF-22で初の公開デモンストレーションを記念して、4月27日にツイートし、いくつかのオプションを暗示した。

 ケリー大将のツイートには、外板翼のパイロンにポッドを取り付け、赤外線捜索・追跡センサー、低レーダー断面燃料タンク、次世代空対空ミサイルを搭載したF-22のコンセプト画像があった。F-22は今年、ロッキードの長距離AIM-260 Joint Advanced Tactical Missileを初めて運用するが、空軍当局者は4月27日の公聴会で、同兵器はまだ開発中と述べた。

 こうした戦闘機材の入れ替えで、2027年度までに戦闘機の定数は16%削減され、現在2,138機ある戦闘機は今後5年間で1,792機まで削減される。

 空軍幹部は、NGADやF-35ブロック4などの新しい戦闘機の能力で、退役機を賄おうとしている。この戦略は、議会の抵抗を受けることが多い。実際、5年間で数百機を退役させる提案だったが、2022年度の空軍の航空機の総在庫は、2018年度実績とほぼ同じになっている。

 同時に、ケンドール長官はF-35のエンジン換装を提案している。プラット・アンド・ホイットニーF135エンジンは仕様を満たしているが、ブロック4の電子アップグレードは、電力と熱管理システムで対応できなくなる危険性がある。プラットは、コンプレッサーの排気を搭載電子機器の冷却に利用する推力43,000ポンドのエンジンを設計した。しかし、2016年のブロック3Fの電子機器は、2倍のブリードエアのオフテイクを必要とする。新設計コアプロセッサー含むブロック4アップグレードでは、コンプレッサーから47kWのオフテイクが必要になる。

 

Boeing F-15EX議会が空軍案を承認すればボーイングF-15EX調達は80機で終了する。Credit: Tech. Sgt. John Raven/U.S. Air Force

 

 

 空軍は、F135をアップグレードするか、先進エンジン技術開発プログラムの製品に換装するかで議論している。候補には、GEエイビエーションのXA100またはプラットのXA101ターボファンがあり、バイパス・フローの適応制御を特徴とし、F135との比較で最低2倍の冷却能力を提供する。

 戦術航空機材構成が再構築される中、空軍指導部は、極秘のNGADプログラムに関する公開討論を若干広げた。

 NGADプラットフォームは、DARPAの下で2015年に始まったAerospace Innovation Initiativeの名称の技術実証プログラムで構築され、2020年までに飛行実証機少なくとも1機を製造している。

 ただし、プログラム内容は、時代とともに変化している。2018年まで、ボーイング、ロッキード、ノースロップグラマンなど元請け企業は、有人型第6世代戦闘機のコンセプトを披露し、低周波レーダーから隠し続けるのが難しい垂直制御面を廃した高度ステルス性が特徴の航空機を開発していた。

 しかし、NGADの開発は、2018年に包括的な見直しが始まると、遅れているように見えた。2019年の長期予算計画文書によると、空軍は2023年度予定だった年間約15〜20億ドルの支出規模の約30億ドルへの拡大を延期し、エンジニアリングおよび製造開発フェーズ開始を示唆していた。

 空軍の参謀総長を務めたデビッド・ゴールドファイン大将(退役)は、有人型「第6世代戦闘機」がNGADシステム構成に含まれるか確認を一貫して拒否していた。その代わりゴールドファインは、NGADプログラムでは重要技術5点を開発し、単独機材にまとめる意図はないと繰り返し述べていた。この発言は、NGADファミリーの中心に侵攻型制空戦闘機があることを否定しなかったが、肯定するものでもなかった。

 しかし、空軍の新指導部は、こうした曖昧さを解消している。HASCに提出された文書で、ケンドール長官と空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将の共同声明は明確だ。「本システム・ファミリーは、第6世代の有人機、無人戦闘機、費用対効果の高いセンサー、武器、通信システムの組み合わせを含む」。

 ケンドール長官は、2030年代にNGADを実戦配備する期待があると述べたが、民主党ドナルド・ノークロスRep. Donald Norcross (D-N.J.)とビッキー・ハーツラーRep. Vicky Hartzler (R-Mo.)(共和党)の下院議員二名は、プログラムの遅れを取り上げた。その後4月27日のHASC戦術空陸軍小委員会公聴会でハーツラー議員の質問に答えて、空軍の計画・プログラム担当副参謀長デイヴィッド・ネイホム中将 Lt. Gen. David Nahomは、大日程は大きく変わっておらず、プログラムは順調と述べた。

 NGADの開発スケジュールに関するヒントは、空軍が新しく発表した5カ年支出計画にある。13億6000万ドルのステップアップが2025年度に計画されており、2024年度の16億6000万ドル支出計画から30億2000万ドルへ予算増となる。

 NGADプログラムの中心となる第6世代戦闘機は、最も高価な戦術機となる予想だ。ケンドール長官が挙げた1機「数億ドル」という価格は、侵攻型制空機の単価を約3億ドルと推定した米議会予算局の2018年予測に沿ったものだ。

 ここまで機体価格が高くなるため、空軍は戦闘機部隊構成を別のアプローチに移行させようとしている。

 「将来に向けて手頃な価格のミックスが必要であり、問題はどうこれを実現するかだ」「そのため、より安価で攻撃能力を持つ無人戦闘機構想を導入する」(ケンドール長官)。

 一方、空軍では、戦闘飛行隊を有人・無人機でどう構成するかを議論している。新しく出てきた連携型戦闘航空機材「Collaborative Combat Aircraft」(旧称忠実なるウィングマン「Loyal Wingman」)は、スカイボーグやボーイング社のMQ-28ゴーストバット Ghost Bat(オーストラリア)などで開発された自律技術を基に構築される。ただし、これは「かなり先の話」とブラウン大将は発言。

 ケンドール長官は、無人機の単価は有人機の約半分とはいえ150百万ドル以上になると予想していると述べた。空軍が短期的にF-15、F-16、F-35とNGADの4機種の混合構成に焦点を当てるのはそのためだ。■

 

New Leadership Reimagines US Air Force Fighter Fleet Structure | Aviation Week Network

Steve Trimble Brian Everstine April 29, 2022

 

Steve Trimble

Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.


国政選挙直前にPLANスパイ艦の国防重要施設へ異常接近で、一気に議論が湧くオーストラリア


人民解放軍海軍の情報収集艦815型Haiwangxingがオーストラリア大陸棚北西で活動を展開していた(Australian MoD)

PLAN艦艇が、潜水艦通信用VLF通信施設がある西オーストラリアの海軍基地から17マイル以内を通過し、オーストラリアに波紋を呼んでいる

戦が予想される国政選挙が8日後に迫る中、ピーター・ダットンPeter Dutton国防相は本日、中国の情報収集艦がオーストラリアの排他的経済水域に侵入し、高度機密施設近くで「海岸線をなめるように航行した」のを「攻撃行為」と呼んだ。

スコット・モリソンScott Morrison首相率いる自由党Liberal Party 政権は過去18ヶ月間、中国の行動を定期的に指摘してきたが、オーストラリアが同艦を「過去1週間ほど」監視していたことを考えれば、ダットン国防相発表のタイミングは、近づく選挙と関連があるとの疑問を生んでいる。

スコット・モリソン首相は同艦に関して平静を保つコメントを本日発表した。

「我が国は国益のため、中国を常に監視していると断言できる」「オーストラリアの国益に反するこれまでの強行策や発言多数を考えると、今回の動きは友好の行為と表現できないと思う」。

PLAN艦は、西オーストラリア州のエクスマウスに近いハロルド・E・ホルト海軍基地から17海里以内を通過した。同基地は潜水艦用VLF通信施設だ。西海岸の南を通過したことで、オーストラリアが関心を示さざるを得なくなった。 ダットン国防相は記者会見で、「ここまで南下してきたのは、特に攻撃的な行為で、エクスマウスの南に進出した前例がない」と述べた。

オーストラリアン紙の編集者で国防専門家として知名度が高いグレッグ・シェリダンGreg Sheridanは、同紙コラムで、現状ではPLANに効果的に対抗できないと述べている。

オーストラリアの「小型駆逐艦サイズの新型大型哨戒艇には、戦闘に耐える装備は搭載されていない」「8隻ある小型フリゲート艦ANZAC級も同様に、中国の新型艦の前に力不足だ。さらに、任意の地点で本格的な監視できる航空機も不足している」。

カレン・アンドリュースKaren Andrews内務大臣は、同艦はオーストラリアの選挙と並行し航行した可能性を示唆した。「中国は非常に戦略的で、何をいつどうに行うかについて非常に慎重であることは皆が理解している」。

ダットン国防相は、発表に先立ち西オーストラリア州に飛んだのかとの記者の質問には答えず、選挙を理由にした発言であることは否定した。

東調級補助情報艦、Haiwangxing(ネプチューン)は、昨年7月にタリスマンセイバー演習を監視しており、以前からオーストラリア沿岸部に出現していた。取材時、同艦はブルームに向け北上中であった。

アメリカやオーストラリアなどの海軍が自国の支配下に見なす国際水域を通過する際には中国は毎回抗議するが、豪国防省は、「オーストラリアは、国際水域と空域で航行と上空の自由を行使するすべての国の権利を尊重し、他国が同じ権利を尊重するよう期待している」と指摘している。「オーストラリアは、国際水域と空域を航行する権利を尊重する」。

政治が動く

悪化傾向が続くオーストラリアの対中関係は、選挙戦で予想通り話題になっている。世論調査では、モリソンの自由党を野党労働党が上回っている。

キャンベラでは、マリゼ・ペインMarise Payne外務大臣と労働党のペニー・ウォン上院議員Sen. Penny Wongが、ナショナル・プレス・クラブでの国家安全保障討論会で、共に辛辣な言葉を投げかけた。ただし、政治的な点数稼ぎのため、中国含む外交安全保障問題では、党派を超えた強い結束を両名が示した。

ウォン議員は、労働党を率いるアンソニー・アルバネーゼAnthony Albaneseが北京に弱腰との意見に対して、「アルバネーゼ労働党政権がオーストラリアの利益のために後戻りすることはない」と発言した。

ペイン大臣は、対中関係で「いかなる当事者も国際的なルールに違反する強制や圧力にさらされることのない」ものであるべきだと強調した。

ウォン議員はソロモン諸島の騒動について、オーストラリアは気候変動問題で太平洋諸島各国を助けるため努力がさらに必要と強調し、何度も現政権を非難した。ペインは、中国と安全保障条約を締結したばかりのソロモン諸島との関係について、現政権が混乱を招いたとの考えを一蹴した。

興味深いことに、肖千Xiao Qian駐豪中国大使は今日、Sky Newsインタビューに応じ、中国とオーストラリアの「橋渡し役」になりたいと語った。もう一つのコメントは、より的を射たもので、選挙に対する中国の考え方の一端を明らかにした。「どの政党であろうと、私に選択の余地はない。オーストラリア国民が選択し、決定することだ」。■

'Aggressive act': Aussie defense minister knocks Chinese intel ship 'hugging coastline

By   COLIN CLARK

on May 13, 2022 at 9:49 AM

 

これじゃだめだ。ロシア軍がどうしても勝利できない4つの理由。

 


シア軍がウクライナで予想外の失態ぶりを示している。侵攻開始から三ヶ月が経過したが、当初の目標はひとつも達成できていない。

プーチン大統領はロシア軍の実力を誇示しつづけて、ウクライナ東部への攻勢をしかける中で各部隊は期待どおりの働きを示していない。

これまでのロシア軍の戦いぶり

紛争の第1段階で、ロシア軍は首都キーウを占領し、ヴォロディミル・ゼレンスキー政権を倒せなかった。ロシア国境に近いウクライナ第二の都市ハルキウも占領できなかった。

そして、現在進行中の第二段階では、ロシア軍はウクライナ東部での産業基盤ドンバス地方の攻略に失敗した。

ウクライナ南部の戦略的港湾都市マリウポルは、ロシア軍が制圧に近づいていると主張できる唯一の主要都市だ。マリウポルに残るウクライナ守備隊は、広大なアゾフスタル製鉄所内にバリケードを築き、同市の完全制圧を阻む唯一の障害になっている。数週間にわたる戦闘で、街は一面破壊されたセメントの山と化した。

国防総省による最新評価は、ウクライナ東部でのロシアの新攻勢が失敗している主な理由として4点を挙げている。

前進に躊躇

まず、ロシア軍が砲兵隊の先に進撃することはない。ロシア軍は相当の長距離砲撃能力を有しており、地上では効果的に使って、絶え間ない砲撃の圧力に耐えかねたウクライナ軍を撤退させている。しかし、ロシア軍機械化部隊は、砲の射程距離を越え前進し、ウクライナ部隊や戦車の標的になるのを躊躇している。

道路外で戦闘不能

第二に、ロシア機械化部隊は、氷と雪が溶けてできた春の泥のため、舗装道路上で立ち往生している。米国情報機関の評価通り、クレムリンは地面が凍結している2月下旬に侵攻を決定したため、ロシア機械化部隊は容易にオフロードを走行することができたはずだ。

しかし、地面が凍結していたのに、ロシア軍はオフロードで戦闘できないことを示した。その代わりに、機械化されトラックで移動するロシア軍部隊は、1車線しかない舗装道路で移動し、その結果は明らかだった。

FGM-148ジャベリン・ミサイルと次世代軽対戦車兵器(NLAW)で武装したウクライナの特殊部隊や通常部隊の小チームは、ロシアの機械化部隊と補給隊に大打撃を与えた。ウクライナ小部隊で、戦車、装甲人員輸送車、歩兵戦闘車両含む大隊戦術グループ全体を阻止したケースもあった。

悪夢の兵站

第三に、ロシア軍はドンバスでの新規攻勢でも補給問題を解決していない。ロシア軍にとって、脆弱で信頼性の低い補給線は、たえず悩みの種だ。補給隊が前線部隊に弾薬や燃料、食糧を供給できず、前進が続かないことがよくある。ロシアの兵站が悪い理由の多くは、2番目にあげた舗装道路の制約に帰結する。しかし、もう一つの理由は、ロシア軍が大規模戦闘に向けた準備ができていなかったからだ。プーチンがウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と呼び続けるように、この作戦は48時間から72時間続く想定だった。

規律の崩壊

第四に、明らかに最も興味深い理由だが、ロシアの一部の部隊で命令不服従が発生している。地上軍に幻滅が広がっているようで、規律も崩壊している。

平均的なロシアの兵士は、契約兵であれ徴兵兵であれ、意味のない戦争のためウクライナで死にたくはないと考えている。そして、指揮官もNATO装備で完全武装したウクライナ軍の牙城に突入することを望んでいない。国防総省によれば、ロシアの前線部隊は命令に従わず、上級指揮官が前線に向かわざるを得ず、その結果、ウクライナ軍に狙われやすくなっている。


ロシア軍がこうした欠点を克服し、ウクライナ東部で具体的な成果を上げられるかは未知数だ。しかし、これまでの実績を見る限り、プーチン及びその顧問団は期待しない方がいいだろう。 ■


The 4 reasons why the Russian military is failing in Ukraine - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | May 16, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.

 


米空軍の新しい戦闘機部隊構成の図式が見えてきた。NGAD、忠実なるウィングマン改CCA、F-15EX削減、F-16改修など

ロシア軍がウクライナで予想外の失態ぶりを示している。侵攻開始から三ヶ月が経過したが、当初の目標はひとつも達成できていない。

プーチン大統領はロシア軍の実力を誇示しつづけて、ウクライナ東部への攻勢をしかける中で各部隊は期待どおりの働きを示していない。

 

concept of  F-22 with new upgrades新しいアップグレード版F-22のコンセプト図。センサーポッド、ステルス形状外部燃料タンク、新型空対空ミサイルがわかる。Credit: U.S. Air Force

 

 

空軍の戦闘機部隊の新たな長期ビジョンが徐々に明らかになり、議会が承認すれば、戦術航空機材の構成が大きく変化する可能性が出てきた。

 フランク・ケンドール空軍長官は次世代航空支配(NGAD)プログラムで今後10年間に調達する第6世代戦闘機は、単価「数億ドル」で、自律制御システムの無人機の前衛と2030年代に就役すると4月26日、下院軍事委員会(HASC)で、発言した。

 

 

 

NGAD戦闘機のコストは 「数億ドル」

F-15EX調達は80機へ縮小

 

 空軍は、200機以上残るF-15C/Dの短期的な代替機としてボーイングF-15EX戦闘機を最低144機購入するトランプ政権時代の原案をほぼ半減させ、2024会計年度にイーグルIIを80機発注し調達計画を打ち切る予定だ。

 ロッキード・マーチンF-35Aは、F-15C/Dの代替機として唯一可能性がある機体だが、空軍は代わりに、今後2年間で同機の発注計画を34機削減し、2024年度のF-15EX調達完了後に発注を拡大させるとしている。一方、運用開始から33年たつF-15Eは、戦闘機再編で影響を受けない。

 最後に、空軍は戦闘機の削減を、残る機材の大規模なアップグレードで相殺できると考えている。

 議論を呼んだのは、空軍が今後5年間でフェアチャイルド・リパブリックA-10をすべて退役させる計画で、ロッキードF-22のうち実戦に耐えられない33機を退役させる案だ。

 そのかわり、空軍は大規模なアップグレードに資金を投じたいとする。ロッキードF-16の600機以上は、ノースロップ・グラマンのAPG-83アクティブ電子走査アレイレーダーやノースロップ・グラマンの次世代電子戦装備などで、ブロック70/72標準にアップグレードされる。

 一方、150機近くあるF-22の残存機体にも新装備の導入が予定されている。航空戦闘軍団のトップであるマーク・ケリー大将Gen. Mark Kellyは、2007年に行われたF-22で初の公開デモンストレーションを記念して、4月27日にツイートし、いくつかのオプションを暗示した。

 ケリー大将のツイートには、外板翼のパイロンにポッドを取り付け、赤外線捜索・追跡センサー、低レーダー断面燃料タンク、次世代空対空ミサイルを搭載したF-22のコンセプト画像があった。F-22は今年、ロッキードの長距離AIM-260 Joint Advanced Tactical Missileを初めて運用するが、空軍当局者は4月27日の公聴会で、同兵器はまだ開発中と述べた。

 こうした戦闘機材の入れ替えで、2027年度までに戦闘機の定数は16%削減され、現在2,138機ある戦闘機は今後5年間で1,792機まで削減される。

 空軍幹部は、NGADやF-35ブロック4などの新しい戦闘機の能力で、退役機を賄おうとしている。この戦略は、議会の抵抗を受けることが多い。実際、5年間で数百機を退役させる提案だったが、2022年度の空軍の航空機の総在庫は、2018年度実績とほぼ同じになっている。

 同時に、ケンドール長官はF-35のエンジン換装を提案している。プラット・アンド・ホイットニーF135エンジンは仕様を満たしているが、ブロック4の電子アップグレードは、電力と熱管理システムで対応できなくなる危険性がある。プラットは、コンプレッサーの排気を搭載電子機器の冷却に利用する推力43,000ポンドのエンジンを設計した。しかし、2016年のブロック3Fの電子機器は、2倍のブリードエアのオフテイクを必要とする。新設計コアプロセッサー含むブロック4アップグレードでは、コンプレッサーから47kWのオフテイクが必要になる。

 

Boeing F-15EX議会が空軍案を承認すればボーイングF-15EX調達は80機で終了する。Credit: Tech. Sgt. John Raven/U.S. Air Force

 

 

 空軍は、F135をアップグレードするか、先進エンジン技術開発プログラムの製品に換装するかで議論している。候補には、GEエイビエーションのXA100またはプラットのXA101ターボファンがあり、バイパス・フローの適応制御を特徴とし、F135との比較で最低2倍の冷却能力を提供する。

 戦術航空機材構成が再構築される中、空軍指導部は、極秘のNGADプログラムに関する公開討論を若干広げた。

 NGADプラットフォームは、DARPAの下で2015年に始まったAerospace Innovation Initiativeの名称の技術実証プログラムで構築され、2020年までに飛行実証機少なくとも1機を製造している。

 ただし、プログラム内容は、時代とともに変化している。2018年まで、ボーイング、ロッキード、ノースロップグラマンなど元請け企業は、有人型第6世代戦闘機のコンセプトを披露し、低周波レーダーから隠し続けるのが難しい垂直制御面を廃した高度ステルス性が特徴の航空機を開発していた。

 しかし、NGADの開発は、2018年に包括的な見直しが始まると、遅れているように見えた。2019年の長期予算計画文書によると、空軍は2023年度予定だった年間約15〜20億ドルの支出規模の約30億ドルへの拡大を延期し、エンジニアリングおよび製造開発フェーズ開始を示唆していた。

 空軍の参謀総長を務めたデビッド・ゴールドファイン大将(退役)は、有人型「第6世代戦闘機」がNGADシステム構成に含まれるか確認を一貫して拒否していた。その代わりゴールドファインは、NGADプログラムでは重要技術5点を開発し、単独機材にまとめる意図はないと繰り返し述べていた。この発言は、NGADファミリーの中心に侵攻型制空戦闘機があることを否定しなかったが、肯定するものでもなかった。

 しかし、空軍の新指導部は、こうした曖昧さを解消している。HASCに提出された文書で、ケンドール長官と空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将の共同声明は明確だ。「本システム・ファミリーは、第6世代の有人機、無人戦闘機、費用対効果の高いセンサー、武器、通信システムの組み合わせを含む」。

 ケンドール長官は、2030年代にNGADを実戦配備する期待があると述べたが、民主党ドナルド・ノークロスRep. Donald Norcross (D-N.J.)とビッキー・ハーツラーRep. Vicky Hartzler (R-Mo.)(共和党)の下院議員二名は、プログラムの遅れを取り上げた。その後4月27日のHASC戦術空陸軍小委員会公聴会でハーツラー議員の質問に答えて、空軍の計画・プログラム担当副参謀長デイヴィッド・ネイホム中将 Lt. Gen. David Nahomは、大日程は大きく変わっておらず、プログラムは順調と述べた。

 NGADの開発スケジュールに関するヒントは、空軍が新しく発表した5カ年支出計画にある。13億6000万ドルのステップアップが2025年度に計画されており、2024年度の16億6000万ドル支出計画から30億2000万ドルへ予算増となる。

 NGADプログラムの中心となる第6世代戦闘機は、最も高価な戦術機となる予想だ。ケンドール長官が挙げた1機「数億ドル」という価格は、侵攻型制空機の単価を約3億ドルと推定した米議会予算局の2018年予測に沿ったものだ。

 ここまで機体価格が高くなるため、空軍は戦闘機部隊構成を別のアプローチに移行させようとしている。

 「将来に向けて手頃な価格のミックスが必要であり、問題はどうこれを実現するかだ」「そのため、より安価で攻撃能力を持つ無人戦闘機構想を導入する」(ケンドール長官)。

 一方、空軍では、戦闘飛行隊を有人・無人機でどう構成するかを議論している。新しく出てきた連携型戦闘航空機材「Collaborative Combat Aircraft」(旧称忠実なるウィングマン「Loyal Wingman」)は、スカイボーグやボーイング社のMQ-28ゴーストバット Ghost Bat(オーストラリア)などで開発された自律技術を基に構築される。ただし、これは「かなり先の話」とブラウン大将は発言。

 ケンドール長官は、無人機の単価は有人機の約半分とはいえ150百万ドル以上になると予想していると述べた。空軍が短期的にF-15、F-16、F-35とNGADの4機種の混合構成に焦点を当てるのはそのためだ。■

 

New Leadership Reimagines US Air Force Fighter Fleet Structure | Aviation Week Network

Steve Trimble Brian Everstine April 29, 2022

 

Steve Trimble

Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.