2022年5月24日火曜日

遼寧CSGが東シナ海へ移動、米タイ海軍演習など先週末のこの地域の海軍活動のまとめ

 

遼寧空母打撃群の艦艇  May 22, 2022. Japanese MoD Photo

国の遼寧空母打撃群は、2週間以上にわたる太平洋とフィリピン海での訓練を終え、現在は東シナ海で活動していると、防衛省が週末に発表した。

日本政府は金曜日と土曜日の報道発表で、空母打撃群が土曜日に宮古海峡を通過したと発表した。

遼寧 CSG は、空母 CNS 遼寧(16)、055 型駆逐艦 CNS 南昌(101)、052D 型駆逐艦 CNS 西寧(117)、CNS ウルムチ(118)、CNS 成都(120)、 052C 型駆逐艦 CNS  鄭州;(151)、054A 型フリゲート CNS 湘潭(531)、901 型高速戦闘支援 艦 CNS呼倫湖(901) の8隻で構成。

防衛省統合幕僚監部JSOは金曜日の午前9時、人民解放軍海軍(PLAN)駆逐艦が宮古島の北東約110キロメートルを北西に移動し、その後宮古海峡を通って東シナ海に出航したの観測したと発表した。JSOは、写真を掲載した。海上自衛隊の支援艦「あまくさ」(AMS-4303)と沖縄の那覇基地にある第 5 航空集団の海上自衛隊 P-3C オライオンが PLAN 艦船を監視した。

土曜日、PLANフリゲート艦が宮古島の東約170kmを北西に航行しているのが確認されたと、JSOは日曜日に別のニュースリリースで発表した。艦番号と画像から、湘潭と判明した。その後、午後3時、宮古島の東180kmを西に航行する艦番号と画像から南昌とが目撃された。同日午後5時に空母遼寧、駆逐艦「西寧」「ウルムチ」「成都」、高速戦闘支援艦「胡潤湖」に対応するペナントと画像を持つ5隻が目撃された。その後、全7隻が一緒に宮古海峡を通り、東シナ海に出た。

駆逐艦JSあさひ(DD-119)、JSまきなみ(DD-112)、補給艦JSはまな(AOE-424)がPLANの艦船を発見した。支援艦あまくさ(AMS-4303)と沖縄の那覇基地にある第 5 艦隊航空団の P-3C オリオン海上哨戒機 が監視を行った。

 

 

2022年5月22日、中国遼寧空母打撃群が東シナ海へ移動した

遼寧CSGは5月2日に宮古海峡から太平洋に移動し、5月4日から太平洋とフィリピン海で空母飛行作戦を実施している。この間、遼寧に随伴する7隻の艦船は、空母と一緒にいなかった。艦船数隻は、空母が飛行作戦を行う間、定期的に離脱し、空母に再集合した。

その他の動きとしては、日曜日にはるさめ(DD-102)が第42次海賊対策派遣水域として、佐世保からアデン湾に向けて出港した。同艦は、現在、海賊対処任務を遂行中のさみだれ(DD-106)の交替で派遣される。日本は2009年から海上自衛隊の艦艇と航空機を同地域に派遣し、アデン湾における日本や外国の商船を保護している。

タイでは月曜日、米海軍とタイ海軍(RTN)が第 28 回年次協力海上即応訓練(CARAT)を開始した。米第 7 艦隊の報道発表が伝えている。

「タイ海軍の副司令官ピサル・ミースリー中将Vice Adm. Pisal Meesriはニュースリリースで、「タイ海軍は同演習を、自軍の人員の知識、能力、経験を深める上で非常に価値のあるものと考えています。参加する各部隊が、専門知識の共有、実地訓練、海域での訓練から利益を得られると確信しています」と語った。

両国海軍は、部隊間のコミュニケーションを磨く戦術を含む、複数の演習を行う。

第7艦隊によると、同演習では、両国海軍の目視範囲外の目標を追跡・追撃する能力を高めることを目的にP-8による海上領域認識追跡や、捜索・救助訓練に加え、ヘリコプターのクロスデッキ着艦を実践している。

第7艦隊はニュースリリースで、沿海域戦闘艦 USS ジャクソン(LCS-6)と司令任務部隊(CTF)72 所属の P-8A ポセイドンが、サタヒップとサムイ島の国際海域と領海内で演習に参加すると述べた。

タスクフォース(CTF)72は、タイ海軍の艦船や航空機と一緒に、相互運用性の構築と関係強化に重点を置いた訓練を行う。タイ海軍のフリゲート、HTMS Bangpakong (FFG 456)、HTMS Kraburi (FFG 457)、HTMS Naresuan (FFG 421) が参加する。■

Chinese Carrier Strike Group Now Operating in East China Sea - USNI News


By: Dzirhan Mahadzir

May 23, 2022 2:36 PM

 

 

 

 



2022年5月23日月曜日

クアッド首脳会談 四カ国がめざす目標とは、安全保障は重要分野だがクアッドは安全保障同盟ではない

 

 

クアッドに必要なのは、よりハードなエッジだ

クアッドは安全保障の課題を優先すべき段階に来た

 

2017年、オーストラリア、インド、日本、米国の4カ国が「クアッド」と呼ばれる非公式対話を再開したとき、多くが懐疑的だった。結局のところ、オーストラリアが2008年に対中関係を守るため撤退を決めたことがきっかけでクアッドは休止しており、各国がまとまるとは到底思えなかったのである。5年近くが経ち、クアッドは明らかな進展を遂げた。日米の指導者の交代や、ロシア・ウクライナ戦争などで内部対立を乗り越えてきた。さらに、クアッドは知名度を上げ、重要な新技術、COVID-19ワクチン、人道支援など、活動範囲を広げてきた。ホワイトハウスは、クアッドを「インド太平洋における重要問題を扱う第一の地域グループ」と表現している。

 

 とはいえ、4カ国の首脳が5月24日に日本で2回目の首脳会談を行うにあたり、同グループにはもっと多くの課題がある。技術、健康、サイバーセキュリティ、気候変動などの問題でクアッドは大きく進展したが、安全保障の中核的目標を達成するため、さらに多くの課題がある。これまでのところ、クアッドは、安全保障に関連よりも、技術や公衆衛生など、安全保障以外の重要な機能や安全保障に隣接する機能を優先してきた。しかし、その効果を持続させるためには、クアッドは、地域的な軍事紛争や自然災害など動きの速い危機に対応を可能とし、その成果に対する期待を管理する必要がある。

 また、インド太平洋地域における安全保障上の共通懸念について、さらに協力の必要がある。クアッドは有意義な進展を遂げてきたが、中国の主張が強まっているため、一層の緊急行動が求められている。ロシアによるウクライナへのいわれのない攻撃は、クアッドの重要性をさらに高め、アジアにおいても短中期的に同様の侵略の可能性と、その抑止または対応の必要性を強く印象づけるものであった。中国が台湾やインド、東シナ海や南シナ海で企てる可能性に懸念が強まり、地域の平和と安定を確保するというグループの使命はさらに重要になっている。今こそ、クアッドがポテンシャルを発揮する時なのだ。5月の首脳会議では、インド太平洋経済枠組みなどの多国間経済プロジェクトやスリランカの不安定な情勢、中国のソロモン諸島との合意など、議題があるが、安全保障での協力を加速させる重要な機会にもなる。

 

勢いをつける

2017年の復活以来、クアッドは大きく前進を遂げした。ジョー・バイデン米大統領が就任して16カ月間で、組織的なアイデンティティを獲得した。以前は、比較的若い官僚レベルの会合と、単発の海軍演習を行っただけだった。今では、首脳、閣僚、高官、専門家などさまざまな立場の人が集まり、共通の立場を示す共同声明も定期的に発表している。5年前にはこれは考えられなかった。2021年3月に4カ国首脳が初めて仮想会談し、2021年9月にはCOVID-19が流行する中、世界でも珍しい対面の首脳会談を開催したことで、グループの強化が加速した。2022年3月、ロシア・ウクライナ戦争が勃発すると、再び仮想首脳会議を開催し、世界の大局を協議する前例となった。

 また、4カ国政府は、様々な問題に対する正式な協力体制を確立し、グループの範囲を拡大した。当初は、4カ国の関連機関の実務担当者が集まるワーキンググループを設置し、重要技術や新興国技術、COVID-19ワクチン、気候変動などに取り組んだ。政府内・政府間で協議、調整の必要性を認識し、非公式な定期会議と正式な官僚インフラの中間に位置するものとなった。しかし、その後、クアッド はさらに多くのワーキンググループを追加し、現在ではサプライチェーンの回復力、地域インフラ、STEM研究とイノベーション、人道支援と災害救援、クリーンエナジー、海上安全保障、サイバーセキュリティ、テロ対策、宇宙とさまざまな問題を網羅している。

 クアッドの各国政府はまた、インド太平洋地域のさまざまな政策課題に対する解決策を提供するために、このグループを利用しようとしてきた。例えば、野心的な公衆衛生イニシアチブでは、米国の技術、日本の資金、インドの生産能力、オーストラリアの物流を組み合わせ、COVID-19ワクチンをインド太平洋地域に提供し、カンボジアやタイなどの国々にワクチンを提供している。クアッドは最近、科学技術の協力と能力構築を目的としたSTEMフェローシップを発表した。また、地域政府が緊急事態に迅速かつ効果的に対応できるよう、災害救援・人道支援メカニズムも設立した。これ以外に、地域のインフラマップやグリーン・シッピングなど、有望な取り組みが初期段階にある。

 長い道のりではあるが、クアッドは安全保障の課題でも一定の成果を上げている。中国がもたらす戦略的リスクについて最高レベルの協議を行い、広義のインド太平洋における海洋安全保障から、アフガニスタンの不安定、ミャンマーの軍事クーデター、北朝鮮の核開発願望に至るまで、様々な問題について議論してきた。2021年9月には4カ国の情報機関トップが4カ国の戦略的情報フォーラムに参加し、2022年初めには4カ国のサイバーセキュリティーのシニアコーディネーターがオーストラリアで会議を開いた。マラバール海戦演習は、インドと米国の海軍部隊の相互運用性を高めるために始まった二国間演習で、現在は4カ国の海軍が定期的に参加している。対潜戦演習には、カナダや韓国など他のパートナー国も参加することが多い。また、クアッドは、軍事協力のため追加的な能力を構築するために、フランスや英国とも臨時の軍事演習を実施している。

 厳密にはクアッドの活動ではないが、過去2年間、加盟国間の関係は、新協定を通じ強化されてきた。例えば、日本とオーストラリアは、互いの国土に軍隊を駐留させることを可能にする相互アクセス協定を締結した。インドとオーストラリアは暫定的な自由貿易協定に調印した。ニューデリーは近年、貿易協定に抵抗し、特に中国を含む15カ国の貿易協定の地域包括的経済連携から2019年に離脱していた。最も劇的なのは、オーストラリア、英国、米国が、潜水艦の原子力推進技術の交換やその他重要な先端技術の共有を促進するため、AUKUSと呼ばれる安全保障パートナーシップを締結したことだ。AUKUS の軍事的、地政学的意味は極めて大きい。この協定は、豪州の軍事作戦の潜在的範囲を広げるだけでなく、米豪の防衛技術関係を今後数十年にわたり緊密にするものとなる。

 二国間の安全保障関係も強固になった。現在、4カ国は互いに、2国間の安全保障上の条約や取り決めを結んでいる。その中には、毎年の首脳会談、外務大臣と国防大臣によるいわゆる2+2対話、軍事スタッフ会談、陸・空・海兵隊による軍事演習、兵站共有協定、リエゾン、情報共有、海上安全保障、サイバーセキュリティ、テロ対策、防衛技術に関する対話が含まれる。しかし、東南アジア諸国など地域的な軍事競争を懸念する国々との緊張を避けたいこともあり、全体としてクアッドの安全保障協力の進展は速くはない。

 

クアッドのポテンシャルを生かす

4カ国協議は、安全保障分野で逆風にさらされている。例えば、ウクライナ紛争は、グループ内の相違を浮き彫りにした。日本とオーストラリアは、米国とNATO同盟国に近い立場でロシアの侵略を非難し、モスクワに制裁を加えている。しかし、インドは、ロシアの軍備装備品に依存し続けていること、インドにとって重要な問題でロシアを中国側に押しやる懸念があること、ウクライナからインド人数万人を避難させる必要があるため、より慎重で両義的なアプローチを取っている。しかし、ウクライナ紛争により、クアッドメンバー間の緊張を高めるどころか、四カ国首脳の違いを議論するプラットフォームが生まれた。2022年3月のクアッドバーチャル・サミットでは、四カ国の首脳が危機とインド太平洋への影響について見解を共有した。 

 このグループはまた、豪州、インド、日本だけでなく、域内の資源と能力の制約という課題に4カ国共同で立ち向かうプラットフォームを提供した。米国は、国家防衛戦略やインド太平洋戦略などの重要な戦略文書で積極的な地域課題を示しているが、米国の国防予算の増加は限定されており、インド太平洋における造船能力や軍事資源で懸念を生じている。また、低所得国に投資する米国の国際開発金融公社など、中国に対抗する米国の能力を高める取り組みも、当初想定より小規模なものにとどまっている。米国の対外軍事援助は、中東と中南米へのレガシー・コミットメントと新たに生まれたウクライナの優先事項が資源の大部分を占め、アジア太平洋地域向けは控えめなものである。こうした制約から、ワシントン、キャンベラ、東京、ニューデリーでより多くの負担を分担する必要性が高まっている。

 クアッドでこうした制約を克服できるかは、公約を実行できる頑丈さがグループにあるかにかかっている。クアッドは、加盟国に対して有用性を示し、地域社会に対しては地域問題の解決能力があるのを示すために、効果的な組織であると証明しなければならない。そうでないと、中国が増長し、地域は中国に従わざるを得なくなる。北クアッドやAUKUSを含む米国のインド太平洋戦略は、欧州におけるNATOの設立と拡張に強い類似性を持っており、これを阻止しなければならないと北京は主張している。しかし、クアッドは、インド太平洋の安全と安定に対して、より緩やかな連合と協調に基づく、負担分担のアプローチを具現化している。そして、この地域の国々を自らの意思に従わせるのではなく、選択肢を提供しようとしている。

 

これからの道筋

今後数ヶ月で、クアッドは既存のイニシアティブを強化し、実現するとともに、他の有志パートナーや組織と関わりを多様化することに焦点を当てる必要がある。その代わりに、他の国々をそのニーズと快適さのレベルに基づいて既存のクアッド活動に参加させたり、地域の安全保障と回復力を強化するイニシアチブに参加させたりすることが可能だ。

 また、クアッド四カ国は柔軟に対応し、メンバー間のシームレスな協力で動きの速い世界情勢に備えなければならない。例えば、感染力の強いCOVID-19の亜種が出現し、規制のハードルが高くなったことで、世界的なワクチン構想の焦点を特定の国やワクチンオプションに絞る必要が出てきた。クアッドはまた、危機がグループの優先順位を変化させる可能性を考慮する必要がある。たとえば、中国のゼロCOVID政策や、ロシア・ウクライナ戦争によるエナジー、肥料、穀物の供給制限で引き起こされたサプライチェーンの制約は、過度の依存から生じる経済的脆弱性に関する既存の懸念を強めています。これらの重なり合う激動は、クアッドにとってのグローバルサプライチェーンの重要性を浮き彫りにし、それを補強するための努力は、加盟国の経済的・戦略的関係に長期的な影響を与える可能性がある。

 また、クアッドは安全保障面での関与の深化に焦点を当てるべきだ。インド太平洋地域のその他国は、クアッドの安全保障協力に懸念を抱いているかもしれない。すなわち、連合内の協力関係が緊密化すれば、緊張を悪化させる可能性がある。しかし、この面で進展がないと、加盟国は、抑止力、航行の自由、能力構築、安全保障支援、自然災害や違法漁業などの課題への取り組みへの協力など、地域全体への便宜提供の効果が低くなる。さらに、特に中国に関して、直面する課題の緊急性に鑑み、クアッド自身でも準備の必要がある。中国がソロモン諸島と安全保障協定を締結したことで、豪州や米国の領土に近い場所に海軍基地の設置に道が開かれ、中国の勢力範囲が拡大する可能性がある。インド太平洋地域における中国の軍事的野心の高まりを示す最新事例だが、クアッドの復活より以前から存在していた。

 クアッドは、海洋安全保障など、現在二国間で進んでいる協力を加速させるべきだ。この分野での進展は複雑で、人工衛星、偵察機、無人機、潜水艦のセンサーを通じて海洋領域の認識を高め、情報・情報ネットワークを確立する必要があるが、クアッドが大きく前進し、海洋危機に足元をすくわれない体勢を整えることは十分可能だ。地域の安全保障を向上させるには、4カ国すべてが海上での相互補給、補給、補充を行い、船舶修理の手配をし、哨戒機やヘリコプターなど共通装備を利用することで、作戦範囲を拡大する必要もある。また、不法漁業、海賊、麻薬密輸、拡散などの非伝統的な安全保障上の脅威に対し、情報共有、連携作戦、沿岸警備隊協力の強化を通じて、共同で取り組むことも必要となる。

 しかし、クアッドの安全保障協力は、海洋分野にとどまらないはず。クアッドは、外務省、国家安全保障会議、軍隊を含む重要な公式対話を行っているが、信頼と協力の習慣を強化するために、防衛部門の文民職員間のコンタクト構築が求められる。また、クアッドでは地域内の潜在的な危機を議論し、メンバー相互の期待を前もって示すことが重要である。危機管理のメカニズムや迅速対応部隊を整備し、緊急時対応計画を立て、戦争ゲームに参加することである。そして、地域における強制や敵対的な活動への効果的な対応について戦略を練るのが肝要である。また、クアッドは、インド太平洋の小国向けに軍事支援を強化し、地域の弾力性と安全保障、独立した能力を強化することで、小国の負担を軽減する必要がある。最後に、フランスや英国などの欧州のパートナーや、カナダ、インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、韓国、シンガポール、ベトナムなどのパートナーとの連携を強化し、より広範な国際協力の基礎を築くべきである。

 クアッドは安全保障同盟ではないし、そうなることもない。NATOと異なり、相互の安全保障や資源の共有と定義されるブロックでもない。しかし、世界規模の危機の高まりに直面し、クアッドが協力と協調を模索し、中国がインド太平洋地域で軍事的存在感と自己主張を強めるなか、クアッドが今後数年間にわたり組織と地域を維持しようとすれば、安全保障の課題をより堅固に策定していく必要がある。■

 

The Quad Needs a Harder Edge | Foreign Affairs

It’s Time for the Group to Prioritize Its Security Agenda

By Dhruva Jaishankar and Tanvi Madan

May 19, 2022


ウクライナでロシア軍は「手負いの熊」に。だが「張り子の熊」から軍事大国へ復活の可能性は残る。

 Russian President Vladimir Putin Attends 77th Victory Day With Parade On Red Square

戦勝記念日パレードで赤の広場を行進するロシア軍将校団。 May 9, 2022, in Moscow, Russia. (Contributor/Getty Images)



ノルウェーの国防トップや専門家は、ロシア軍の劣勢ぶり、紛争の長期化、初期の損失分を回復するためロシアに必要な事項を評価している。



クライナ侵攻でロシアの旗色が悪くなっているのを見て、優れていたはずのロシア軍の成績がここまで悪いことにノルウェー軍最高幹部は驚きが隠せない。



 「ロシア軍の状態は、考えていたより悪い。戦車は想定を下回る稼動ぶりだし、兵站にも問題があった」と、ノルウェーの国防長官エイリク・クリストファーセン大将Gen. Eirik Kristoffersenは5月12日、Breaking Defenseのインタビューに答えた。

 しかし、クリストファーセン大将は専門家や他の政府関係者とともに、ウクライナ侵攻から3カ月近くが経過した時点で、紛争はまだ終わったわけではないと警告し、ロシア軍が再集結すると予測し、クレムリンは危険な存在のままと言う。

 「今のロシアは手負いの熊だ」「プーチンには核が残っており、非常に危険だ」。

 プーチンが核兵器を投入しないと仮定するクリストファーセンは比較的冷静に、「ロシアにこの時点で核兵器を使う意志や動機があるとは思えない、敷居はまだ高い」と述べ、ウクライナ情勢に短期間には終わりが見えないとする。

 クリストファーセン大将は、ウクライナの強力な防衛力により、ウクライナ情勢は「長びく戦闘」になると予測している。5月16日にフィンランドのミッコ・ハウタラMikko Hautala駐米大使も同じく、紛争は「長期戦」「膠着状態」になると述べ、「率直に言って、この状況が打破する政治的展開の見通しが立たない」と述べた

 問題は、「ロシア側に、この戦争は今ある資源では勝ち目がないという政治認識が少なくとも今は見られない」ことだとハウタラ大使は言う。そして、「その認識がいつ生まれるかわからない。しかし、私自身の評価では、ロシアはまだ今回の紛争を断念できない。勝ち目がないため、何か別の方法を見つけなければという認識が生まれるまで、多くの時間と、残念ながら多くの犠牲が必要になる」。


しかし、もちろん、ロシアは適応していく


世間では、ロシアの通常戦力は張子の熊だと証明され、旧型装備のウクライナ軍に敗れ、物流と士気の課題に悩まされていると見られている。しかし、専門家や欧州の情報筋は、ロシアの軍事力に関して自己満足に陥るなと、一様に警告を発している。

 国防総省出身で、新アメリカ安全保障センターのヨーロッパ専門家であるジム・タウンゼントJim Townsendは、「最大の過ちは、ロシアを過小評価し、回復復帰することはないと考えることだ」と述べた。タウンゼントは、第二次世界大戦でロシアがドイツ軍にいったん敗退した後、復讐に燃えて戻ってきたことを指摘する。

 「ロシアが回復し、軍事大国として再登場する事態に備えなければならない。時間はかかるかもしれないが、彼らはあきらめないだろう。フィンランドはそれを知っているからこそ、リスクを冒してまでNATOに加盟しようとしている」。

 しかし、ウクライナでのロシア軍のように、空洞化している軍隊を再建するのは難しいと、欧州政策分析センターのスティーブン・ホレルSteven Horrell上級研究員は言う。

 「兵站とメンテナンスに問題があるのは明らかで、腐敗と独裁の結果が表れている」とホレルは言う。「戦闘中に修復するのは難しい。このほかにも、訓練や下士官の不足、中隊や現場将校に必要な戦術的判断の権限がほとんどないなど、システム上の問題がある」「これらは、紛争中に解決できる問題ではありません」「組織的で根本的な欠陥がある場合、戦時中に適応し学ぶことは非常に困難だ」。

 タウンゼントは、ロシアは「何らかの調整」ができるとしながらも、戦場に大きな変化は出ていないと指摘した。

 「戦場で結果が出る前に、多くの変化、しかも深い変化が必要だ」とタウンゼントは続けた。「新兵の士気や訓練から、基本的な装備、豆や弾丸を補給する兵站、トップへの連鎖に至るまで、多岐にわたります。インテル、ドローン、航空支援などの統合は、あまりに広範すぎ、すぐに変更できません」。


クリストファーセン:ロシア軍再建には5年から10年必要


状況を複雑にしているのは、ロシアが失った物資を補充できるのかという問題だ。軍需品の在庫を十分に確保することは、軍隊にとって課題であり、ロシアは供給量を大幅拡大したため装備品在庫が著しく不足していると米国は評価している。

 また、米国主導の制裁により、縮小しているロシアの防衛産業にとって、主要部品の入手は不可能となる可能性がある。

 国防総省のジョン・カービー報道官は5月10日、「ロシアがかなりの速さで精密誘導ミサイルを使い果たしていると評価している」と語った。「プーチン氏にとって精密誘導弾の構成部品の入手が難しくなり、防衛産業で対応が困難になっているのは、制裁の効果が発揮されているからだ」。

 ロシアの通常戦力について聞かれたクリストファーセン大将も「いろいろな見積もりを見たが、これまで失ったものを補充するだけでも5年から10年かかると思う」と答えている。

 この数字にホレルも同意しているが、その結果、ロシアは戦術を変更してくる可能性があると警告している。

ホレルは、ロシアが通常戦力の再建に長い時間を要する場合、近い将来から中期的にどのような行動をとるか、より警戒する必要があると指摘し、「ハイブリッド型能力・活動」が増加する可能性があると予測する。

 「近代化に必要なリソースが乏しいため、極超音速のようなこちらの注意を引くハイエンド能力に重点を置いてくるかもしれない」と述べた。「しかし、ここでも問題は発生するはずだ。とはいえ確率が低いといっても影響が大きくでる脅威には、こちらもリソースを投入して対処が必要となる」。

 最終的に、ロシアがウクライナ紛争を自ら評価すれば、「ほとんど最初からやり直さなければならない」とタウンゼントは指摘する。「そして、そうするだろう」。■


Russia’s military is now a ‘wounded bear.’ Can it revive itself?

By   AARON MEHTA

on May 20, 2022, at 6:19 AM


中国経済のデススパイラルが始まった。経済の実態を強権政治・検閲では隠蔽できない。大陸に大混乱が発生し、世界は大迷惑を受けるのか。

  Chinese Economy.       REUTERS/Florence Lo/Illustration

中国経済 が大変な事態に入ってきた

ーロン・マスクは、「中国が米国の2倍、おそらく3倍の経済規模になり、世界は非常に不気味になる」とポッドキャスト「All-In with Chamath, Jason, Sacks & Friedberg」で、述べた。

一見、マスクは正しく見える。中国は急速にアメリカに追いついてきた。昨年、中国経済は8.1%成長し、国内総生産17兆4600億ドルを生み出した。アメリカ経済は23兆0000億ドルで、5.7%の成長率にとどまった。

マスクはアメリカを代表するビジョナリーだが、このビジョンは的外れだ。中国経済がアメリカを追い越すことは、少なくとも今世紀中には発生しない。

イーロン・マスクは、外挿法で予測をしている。たいていの場合外挿はうまくいくが、今回は違う。

なぜうまくいかないのか?

中国の経済、さらに国全体が、変曲点を通過中だ。最も基本的なのは人口動態だ。中国の人口は減少の一途だ。最も直接的な変曲点は経済で、中国は縮小傾向にある。しかし、中国は膨大な債務を返済するため成長が必要だ。

人口動態から見てみよう。西安交通大学の人口統計学者によると、中国は45年後に人口が半分になる。今世紀末には、中国は現在の3分の1程度の人口になる可能性がある。

中国は歴史上最も急激な人口減少に直面している。2015年の一人っ子政策から2021年の三人子政策への変更など、人口減少を回避しようと躍起だが、出生率は向上していない。

ここまで急激な人口低下は、中国経済がアメリカを抜いてトップになるには、人口減少が経済パフォーマンスを低下させる前、例えば10年以内に米国を抜く必要を意味する。しかし、今後10年の間に中国経済が崩壊する可能性の方が高い。

すでに苦境に立たされている。4月、経済は明らかに収縮を示した。工業生産高は前年同月比2.9%減。小売売上高は11.1%減。新車販売台数は47.6%減と急減した。

北京の「ダイナミック・ゼロ・COVID」政策による徹底的な締め付けにより、国民経済の中心である中国東部の大部分が実質的に停止している。交通量は港湾や空港の能力をはるかに下回り、河川やトラックの交通量は約40%減と大幅に減少している。

生産していないのに出荷はできない。工場は閉鎖されるか、苦境に立たされている。政治的に優遇されている企業でさえ、大打撃を受けている。上海にあるテスラのギガファクトリー3は、COVIDのロックダウンのため3週間閉鎖されている。現在、部品不足のため、わずか45%の生産能力で稼働している。

中国政府が誤った疾病管理政策を捨てれば、いずれは経済的なダメージを回復できる。しかし、前代未聞の債務超過から逃れることはできない。中国がどれほどの負債を抱えているかは誰も知らないが、国内総生産(GDP)の350%というのが妥当なところだろう。悪名高い「隠れ借金」があり、数字はもっと高いかもしれない。

負債がいくらあるにせよ、清算を迎えている。2008年の危機では、主に負債で賄われたインフラ投資で経済を過剰刺激することで、景気後退を回避した。今や、中国は負債を返すか、他の手段で事態を解決しなければならない。

多くの人は、対外債務は多くないので、危機は簡単に解決できると考えている。しかし、この種の危機は、歴史が示すように、解決が最も困難であり、海外の銀行家ではなく、国内関係者が苦しむ必要がある。中国政府は社会の安定を懸念して、清算を遅らせようとしている。つまり、この問題の解決は、はるかに長い時間がかかるということだ。

一方、負債を抱える不動産部門は修復不可能な状態だ。特に昨年9月から、不動産開発会社が支払いを怠り、債務不履行に陥っている。中国最大の不動産開発会社だった恒大集団は、3050億ドルという巨額債務を抱え、政府の全面支援を受けても、苦境に立たされている。当面は事実上救済されるが、中小デベロッパーは破綻している。現在第4位のデベロッパー融創Sunac Chinaは、債券支払いが滞り、他の債券支払いも見込めないと発表したばかりだ。

表面的には、この状況は対処できる。4月の主要70都市の新築住宅価格は前月比0.2%の下落にとどまった。しかし、市場は「凍結状態」、つまり、買い手と売り手の価格差が大きすぎて取引が成立しない状態だった。

J Capital ResearchのAnne Stevenson-Yangは、水曜日に "CBS Eye on the World "で、「価格崩壊はまだ起きていない」と述べた。「中国政府はデベロッパーにこっそり大量の資金を投入し、在庫を市場に出さず、30%、40%、50%の値下がりを防いでいる状態だ」。

政府介入で価格維持ができても、販売の強制はできない。先月の不動産販売額は前年同月比46.6%減で、2006年8月以来の大幅な落ち込みとなった。

デベロッパーは調整している。4月の床面積でみた新築着工件数は、前年同月比44.2%減となった。その結果、建設資材需要が激減した。

経済の先行きを占う上で不動産市場には、良い兆候と言えない。不動産がGDPに占める割合は25%から30%で中国人の家計資産の約70%は不動産に縛られている。中国では、マンションは資産ではなく、金融資産に相当するものとなっている。

このような中国の「お金」は、信頼が失われるにつれて価値を失う。3月に投資家が中国から引き揚げたポートフォリオ資産(株式と債券)は175億ドルという記録的な額だった。米国に本拠を置く国際金融研究所は、資金流出は中国に限られたものであり、新興国市場からの広範な逃避の一部ではない、と指摘した。引き揚げは、2月に明らかになった傾向を引き継いでおり、資本逃避は続いている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が米国金利の引き上げを続ける一方で、中国の中央銀行である中国人民銀行は金利引き上げに対応できないため、この傾向は続くだろう。中国の金融当局は今、窮地に立たされている。経済活性化のため金利を下げざるを得ないが、資本逃避を悪化させる結果になる。

昨年は世界で最も強い通貨の一つであった人民元は、弱くなっており、3ヶ月で約7%下落している。先月は中国通貨にとって過去最悪の事態となった。

共産党には構造改革を実施する気がなく、最後の手段をとっている。「ロックダウンは、人々にこのことを知らせないようにし、人々が不満を持たないようにすることに関係している」と、『China Alone: The Emergence from and Potential Return to Isolation』の著者Stevenson-Yangは言う。「これは中国が典型的に行っていることで、実際に問題に対処するのではなく、情報を流出させないようにしている。そして、時間が経つにつれて、さらに同様のことをより多く行うようになるでしょう」。

北京は検閲に長けているが、経済で清算時期がやってくるのは止められない。中国はデススパイラルの恐怖が市場を支配し、最終的な危機が訪れる「後戻りできない地点」に急速に近づいている。■

The Chinese Economy Is In A Death Spiral

ByGordon ChangPublished3 hours ago

https://www.19fortyfive.com/2022/05/the-chinese-economy-is-in-a-death-spiral/

Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China and The Great U.S.-China Tech War. Follow him on Twitter @GordonGChang. Chang is also a Senior Editor for 1945.

コメント 巨大、強力と言われてきた構図が虚構だったと露呈すれば、一気に中国経済は奈落の底に落ち、21世紀最大の悲劇が展開するでしょう。さらにその影響は国外にも及びますし、持て余した軍事力を行使して一か八かの勝負に出る可能性も出てくるでしょう。欲望に火をつけてしまった社会に地獄が待っているのかはこれから判明します。

 

米国のアマゾンは軍人軍属向けのプライムサービス等を提供している。軍に対する価値観の違いか。日本では? 

Amazon Military Discount 


Amazonミリタリーディスカウントは、Amazon.comがAmazonプライムで退役軍人の日前後に行っているプロモーションだ。しかし、Amazon.comとAmazonプライムのサービスには、軍現役隊員や退役軍人、軍人の家族にも各種特典があるのをご存知か?Amazonの軍関係者向け特典を利用すれば、次の任務で役立つかもしれないし、駐留先でエンターテインメントの選択肢を与えてくれる。


Amazonの軍関係者向け割引

Amazonは、11月の退役軍人の日の前後に、Amazonプライムで軍人と退役軍人向けの割引を提供してきた。2019年の初回の特典では、Amazonプライム年会費*の通常価格から40ドル値引きされ、合計金額は79ドルになっていた。


*米アマゾンのプライム年会費は149ドルと日本より高い水準に設定されています。


広告の内容

同社は2020年、2021年に退役軍人の日の割引を更新しなかったが、再び提供する可能性は常にある。ただし、今のところ、軍人や退役軍人の割引はAmazon.comにない。


Amazonは、検証済みの.eduメールアドレスを使用する学生や、VA障害者支給や社会保障障害者保険(SSDI)受給者以外の、政府支援プログラムの検証済み受給者にもプライム割引を提供している。


アマゾン・プライム・ミリタリー・シッピング

世界中を定期的に移動するおかげで、50州すべてとAPO/FPOボックスへの無料配送は、ミリタリーショッパーに大きなメリットとなる。Amazonが扱う商品の種類が非常に多く、Amazonプライム年会費で送料が無料となるため、Amazonの利用は軍関係者に特に魅力的に映る。

 しかし、欠点もある。「Prime」表示の商品は無料配送される。しかし、だからといって、すべての商品をすべての場所に、送り先に関係なく発送できるわけではない。例えば、液体、化学物質、重いもの、かさばるものなどがだめだし、「Prime」マークがつく商品は、アラスカ、ハワイ、米国領、海外に配送できない。また、リチウムイオン電池を含む商品も、航空便で輸送するため、安全上の問題が生じる可能性があり、発送できないことが多いようだ。

 Amazonプライム会員が、自分の住所に配送されない商品をどうやって見分けられるか?残念ながら、商品をカートに入れ、チェックアウトのプロセスを経ない限り、簡単に見分ける方法はない。商品発送がブロックされている場合、ユーザーはチェックアウト時に "item cannot be shipped to this address" という通知を受け取る。


Amazonプライムの 海外ストリーミング配信

Amazonプライムのストリーミングサービスでは、オリジナル作品を含むテレビ番組エピソードや映画作品数千件を提供している。しかし、国により異なる国際ルールとライセンス料により、Amazonプライム含むストリーミングサービスは、海外のすべての場所でコンテンツすべてを表示できない。その代わり、Amazonは一部の軍事基地を除いて、ほとんどのコンテンツを国際ストリーミングから積極的にブロックしている。

 米国外にいる軍人や家族がAmazonプライムのコンテンツにアクセスする方法の1つとして、VPNサービスを使用してインターネットにログオンすることがある。しかし、これらのサービスもAmazonによってブロックされることがある。


Amazonでの軍人と退役軍人の雇用

Amazonのもう一つの利点は、買い物や配送、割引とは関係なく、退役軍人や軍関係者の雇用だ。全米第2位の雇用者であるアマゾンは、あらゆる教育レベルに対応し無限の仕事を提供している。

 同社には、退役軍人、現役を退いた軍人、在宅勤務を希望する軍人の配偶者を受け入れる雇用支援部門もある。

 Amazonは国防総省のSkillBridgeプログラムに参加し、軍人は現役時代の最後の180日間に民間インターンや見習いとして働くことができる。また、米国商工会議所財団と提携してフェローシップを開催している。2021年、アマゾンは、転勤する軍人の配偶者が新しい場所に仕事を移すのを支援するツール「プロジェクト・ジュノ」を展開した。■



Everything You Need to Know About the Amazon Military Discount, Tips and Tricks

19 May 2022

Military.com | By Amy Bushatz


コメント 軍務につくものに手厚く対応するのは米国社会の伝統ですね。初めて米国へ旅したとき、空港でUSOの名称の施設がありなんのことかわからなかったのですが、先の大戦でも港湾やターミナルに移動中の軍関係者向けのラウンジがあったのですね。ひるがえって、自衛隊隊員や家族にこの社会は温かい支援をしているでしょうか。楽天で自衛隊隊員向けのキャンペーンがあるとはきいたことがありませんよね。



 

2022年5月22日日曜日

2年間ゼロのコロナ感染が1週で800万人。ワクチン備蓄は0で金正恩も未注射の北朝鮮はどうなる?

 

 

 

5月20日金曜日に平壌の政権は、新たにCOVID-19の疑い26万例を発表し、8日間で累計200万人に達した。

 

 朝鮮政権は2年以上にわたり、COVID-19症例はゼロと主張してきた。ところが今月初め、政権は最初の症例があったことを認めた。

 症例数は相当の規模に増えてきた。

 南朝鮮の聯合ニュースによれば、金曜日に政権は新たに発症の疑い例26万人分を発表し、8日間の症例数は200万人に達したという。聯合ニュースは北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)を引用し、24時間で26万3370人が「発熱症状を示した」と報じた。

 一方、デイリーNKは、政権が 「最大非常防疫体制」の到来とともに、「疾病管理関連物資の生産拡大」を命じたと報じた。

 咸鏡北道の関係者はデイリーNKに対し、「最大非常防疫体制への移行に伴い、(国家非常防疫司令部は)道内の全工場に対し、マスク、手袋、防護服、防護靴、消毒剤などを生産する『戦闘』への参加を命じた」と述べた。

 北朝鮮にはパンデミックに対処する物資が非常に不足していると、デイリーNKは伝えている。

「SEACの指示に従い、咸鏡北道の党委員会と人民委員会を含むすべての政府機関は、毎日の生産割当を満たすように工場を駆り立てている」。

 聯合ニュースの別の報道によると、北朝鮮の金正恩がCOVID-19の予防接種を受けている可能性は低いと韓国情報機関は見ている。国家情報院(NIS)は非公開セッションで、金正恩が予防接種を受けているとは考えにくいと韓国の国会議員に伝えた。

 北朝鮮にはコロナウイルスワクチンはなく、国際救援機関からの援助申し出を拒否している。しかし、NISは、政権がワクチンの有効性を理解していると見ている。

 NKニュースの別の報道では、北朝鮮のハッカー集団、特にKimsukyグループは、悪質なコードを含む偽のプレスリリースを配布し、感染症に便乗しているという。

 北朝鮮の感染は、バイデン大統領の同地域訪問時に起こっている。聯合ニュースは、今週末の大統領訪韓の間、北朝鮮が話題になると報じている。さらに、北朝鮮が「追加的な挑発を行うと広く予想されている」という。■

 

 

North Korean Outbreak: From Zero Coronavirus Cases to Two Million? | The National Interest

May 20, 2022  Topic: Coronavirus  Region: Asia  Blog 

by Stephen Silver

 

Stephen Silver, a technology writer for The National Interest, is a journalist, essayist and film critic, who is also a contributor to The Philadelphia Inquirer, Philly Voice, Philadelphia Weekly, the Jewish Telegraphic Agency, Living Life Fearless, Backstage magazine, Broad Street Review and Splice Today. The co-founder of the Philadelphia Film Critics Circle, Stephen lives in suburban Philadelphia with his wife and two sons. Follow him on Twitter at @StephenSilver.

Image: Reuters.