2014年10月19日日曜日

☆ ロッキード・スカンクワークスが発表した小型核融合炉技術の概要



(ターミナル1共通記事)以下ご紹介する記事はインパクトがあり、興奮させられます。本当に核融合が実現するのかぜひ知りたいものです。さっそく航空機や艦船に搭載した場合を想像する向きもあるでしょうが、まず実用に耐える核融合発電が運転する様子を見たいですね。それをスカンクワークスが発表したというのはどういう意味があるのでしょう。当面要注意な話題です。翻って日本ではなんといっても反核ですから頭から融合炉も否定されてしまうのでしょうか。本当に使える技術なら世界を大きく変える可能性があり、日本は鎖国している余裕があるのでしょうか。真偽はともかく興奮しませんか。


Skunk Works Reveals Compact Fusion Reactor Details

Lockheed Martin aims to develop compact reactor prototype in five years, production unit in 10
Oct 20, 2014Guy Norris | Aviation Week & Space Technology
ロッキード・マーティンのスカンクワークスといえば極秘研究で有名だが、ひっそりと研究してきた核エネルギーの利用方法は世界のエネルギー事情を変える可能性を秘めている。
  1. 小型核融合炉compact fusion reactor (CFR)と命名され、これまでより安全で、廃棄物が少なく出力ははるかに大きい。現在の核動力は核分裂で原子を割りエネルギーを得る。これに対し核融合では原子を組み合わせ安定を高めてから余剰エネルギーを放出する。
  2. ロッキード提案は小型ながら拡大可能で惑星間宇宙船、輸送船、都市発電などの用途に最適だという。大型の核動力航空機の構想が復活し、事実上無給油で飛行が可能となるかもしれない。この構想が50年以上前に一度中止されたのは危険性と核分裂炉関連の複雑な構造のためだった。
  3. ところで核融合は新規の概念ではない。1920年代以降、核融合が宇宙旅行の動力源に想定されていたが、実用に耐える装置が完成していなかった。各種研究機関や企業が世界中で核融合を実現しようとしたが、実験レベルを超える装置は存在していない。困難な課題にブレイクスルーが実現しようとしているようで、パラダイムシフトが世界のエネルギー事情に発生すると予想される中、ロッキードは事業提携先、資金、研究人員を集めるべく自社プロジェクトを公表した。
プラズマが放出する中性子(紫色)が熱を反応炉側壁から発電タービンに伝えるCredit: Lockheed Martin
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  1. 同社は2013年にもCFRの一部を公表したが、今回は詳細を公開した。Aviation Weekは単独取材をスカンクワークスでの実験(「T4と呼称)で許された。主管するのは航空工学エンジニアのトーマス・マクガイア Thomas McGuire でスカンクワークスの中で革命的技術開発事業部Revolutionary Technology Programs とぴったりの名称の部門に所属。現在のは格納容器の開発中で大きさはビジネスジェット機のエンジンぐらいだ。センサー類、注入器、ターボポンプがついて、内部を真空にし、大量のバッテリーで接続したステンレススチール製の格納容器を見ていると、これまで何十年も核物理学で難題だったものががこれで解けるとは見えない。融合反応の制御方法は未解明のままだった。.
  2. 「NASAの研究課題で火星に早く到達する方法を模索してました」とマクガイアマサチューセッツ工科大で博士号を取得)は語る。核融合動力の宇宙推進関連の文献を調べたが、失望したという。「そこで自分で各構想を検討し、問題点を一つに集約して問題が恩恵になるように置き換えてみたわけです。すると一歩先に進み、ここロッキードで完全に新しいものに変わり、これを今テストしているところです」
  3. ロッキード構想のブレイクスルー内容を理解するには融合の原理とともに融合反応の制御で反応炉で得るエネルギー量と炉の大きさがどう変わるかを知っておくとよい。まず核分裂の燃料は水素アイソトープ重水素hydrogen isotopes deuterium と三重水素トリチウム tritiumが原料で、まず格納容器にガスとして注入される。そこにエネルギーを加えるとガスはイオンと電子に分かれプラズマが発生する。
  4. 超高温度のプラズマを制御するのは強力な磁場でこれにより容器側面にプラズマが接触するのを防ぐ。またプラズマ閉じ込め状態が十分でないと、イオン同士が衝突し融合していく。この過程で発生するのがヘリウム-4で、中性子を解放し、中性子がエネルギーを磁場を通じて運んでいく。中性子が反応炉の側面を加熱し、熱交換器を通じタービン発電機を運転する。
  5. これまでは融合炉にはプラズマ制御装置としてトカマクtokamakと呼ぶ装置が使われてきた。これは1950年代にソ連物理学が発明したもので、地場でプラズマを環状帯 torus あるいは指輪の形に保持し、反応の維持には別の電磁石でプラズマ内部の電流を誘導した。この方法での課題は生まれるエネルギー量が融合反応の維持に必要なエネルギー量とほぼ同じとなることだ。
超電導磁石を入れたリング多数が反応炉内のプラズマを封じ込める

  1. そこで発展型の融合炉として国際熱核融合実験炉 International Thermonuclear Experimental Reactor (ITER) がフランスのカダラッシェCadarache, Franceに建造され、500MW出力となる予定だった。しかしプラズマは2020年代末まで形成されず、十分な出力が得られるのは2040年代以降の見込みだ。
  2. トカマクの問題は「保持できるプラズマの量が限られることで、これをベータリミット beta limit と呼んでいます」とマクガイアは説明してくれた。プラズマの圧力を電磁圧力に換算すると、平均的なトカマクのベータリミットは低く「閉じ込め圧の5%程度」だという。環状帯を自転車のタイヤに例えると、「大きくしすぎると、最終的に封じ込め用タイヤが破裂しますので、安全運転のために近づけない方がよい」とマクガイアは言う。この問題とは別にトカマクでの物理原則では巨大な規模と莫大なコストが必要だ。ITERは建造費500億ドルで完成すると高さ100フィート、総重量23,000トンとなる。.
  3. CFRではこの問題を回避すべく全く違う方法でプラズマ封じ込めをする。プラズマをチューブ状の輪の中に封じ込めるのではなく、超電導コイルで磁場配列を形成しここにプラズマを反応炉全体に保持する。超電導磁石が各コイルの中にあり、外部に磁場を形成する。「自転車タイヤではなく壁側面に広がるチューブとしたわけです」とマグガイアは言う。「このシステムだと自動調整式のフィードバックがはたらき、プラズマが離散しようとすると磁場が強くなりプラズマを引き戻し封じ込める。CFRのベータリミット比は1となる見込みで、「100%以上も狙う」という。
  4. 決定的に違うのは同じサイズならCFRでトカマクの10倍の出力を得られることだ。つまりCFRは10分の一にできることになる。この寸法上の変化は生産加工と価格で大きく地図を塗る変える可能性があるとマクガイアは説明する。「ここに将来の経済を塗り変える開発の可能性があります」と言い、「大きさが10分の一というのがカギです。物理学ではそれでも十分であり、当社がこの技術が有効だと信じる理由はこれまで十分に安定した構成を実現してきたためです」 安定性を確保できた理由の一つが超電導コイルの配列位置であり磁場ラインの形状だ。「当社の例ではいつも均衡をとってきました。そこで圧力を弱めると、プラズマは小さくなり、常時磁場の中に納まっていました」という。
  5. 全体としてロッキード案は「これまでの成果の良い点をたくさん採用している」とし、ベータを高くする機器構成、環状に配置しプラズマを封じ込めるようにした磁場ライン、軸対象ミラーを実現した技術簡素化があるという。このうち軸対象ミラーは各容器の端近くに強力な磁場を置くことで形成され、CFRの軸から抜け出るプラズマ粒子の多くを反射するものである。「また再循環もありこれはポリウェル Polywell 構想と似ています」といい、核融合で有望なもう一つの構想に触れている。ポリウェル融合炉では電極で電磁場を作り、電子を閉じ込め、負の電圧をつくることで陽イオンを集める。その結果としてイオンがどんどん負電圧に集まる際に衝突と融合を実現する構想だ。
  6. ロッキード開発チームは開発は初期段階であり、課題が残っており、試作機の制作はまだ先だという。ただしマクガイアは進展は速いだろうと見る。スカンクワークスの考え方がその背景にあり、「ここで働く人は仕事がすごく早い」と言う。「試作品は五世代で完成させたい。予定通り毎年設計製造試験のサイクルを一年でこなせば、5になりますね」 試作品は点火状態を実証し、注入が終わっても10秒間の安定状態を維持するのが目標で、「その意味では全出力運転ではないですが、物理的な作動状態はすべてお見せできるでしょう」
  7. 5年後には生産型が登場する見込みだ。「これは大規模な作業になりますね」と言い、商業生産に移すとなると素材関連や熱転送、ガスタービンの専門企業の関与を想定しているという。まず100 MW クラスで米国の住宅向けなら80千戸相当に十分な電力を供給でき、「船も動かせる」という。
  8. ロッキードの予測では25 kg 未満の燃料で年間運転が可能とみる。燃料の供給は心配がない。重水素は海水から生成し、無限にあるといってよく、三重水素トリチウムはリチウムから「繁殖させる」のだという。「すでに世界規模の反応炉向けに十分な供給量を確保できるリチウムを採掘していますのでトリチウムを過剰生産することを避けて安全を確保できます。トリチウムは空中に広がると健康上のリスクがうまれますが、少量なら安全です。また反応炉の運転には少量で十分です。なぜなら化学反応より百万倍強力ですからね」
  9. 第一世代の反応炉も運転の最終段階で放射性廃棄物を生むが、汚染度は現時点の核分裂系よりはるかに少ないとマクガイアは予想する。「まず長期間残留する放射性物質はありません。核分裂では永遠に残る放射性廃棄物がでますが、核融合では100年というところでしょうか。」
  10. また核融合の放射能汚染レベルも今後の素材研究で改善されると見ている。「鶏と卵のどっちが先か、と言う状況で、運転型核融合システムが完成するまでは素材研究に回せる資金がないでしょうね。そのため第一世代から時間をかけて改良していくという考え方です」 使用済みのCFR用鋼材は「砂漠に埋め立てるので今日の医療廃棄物と同じ扱いです。それでも核分裂系とは大きな違いがあります」
  11. 運用が開始されれば多面的な恩恵が生まれる。たとえばメルトダウンののリスクがない。「放射性トリチウムの量はごくわずかで、数グラム単位ですのでもし外部に漏れても被害は最小限です。さらに核拡散のリスクが少ないです。トリチウムは核兵器にも使用されますが、想定する使用量をはるかにうわまわる在庫がすでにあります」という。
  12. 事前シミュレーションと実験結果から「非常に有望で可能性がある」ことが判明したとマクガイアは言う。「最新結果では磁性化イオンの封じ込め実験をし、初期測定で正しく作動していることがわかりました。次はプラズマ封じ込めを開始します。今回当社のプロジェクトを公開したのは、チーム作りでもっと大きな課題にとりかかるためです。当社には外部支援が必要であり、外部人材も巻き込みたいと思います。これは世界規模の事業であり、その中で主導的な立場をとれるのをうれしく思います」
Video ロッキード・マーティンの小型核融合研究開発の状況をビデオでご覧ください。: AviationWeek.com/CFR
From the Archives 原子力動力の航空機についての1958年記事を検索できます。AviationWeek.com/Archives
Digital Extra スカンクワークスのCFR主任技術員トーマス・マクガイアはこんな人: AviationWeek.com/McGuire


2014年10月18日土曜日

ISISはジェット戦闘機を運用しているのか 米中央軍は否定するが....


ISISがミグ戦闘機を運用中との報道が出て、中央軍がすかさず記者会見でこれを否定していますが、ほっておけば本当にISISが限定的とはいえ空軍力を使う日がやってきそうです。状況がどんどん進展していく中、日本ものんびりと遠い世界のことと無関心ではいられませんね。

U.S. Central Command Casts Doubts On Claims ISIS Operating Captured MiGs

By: Dave Majumdar
Published: October 17, 2014 4:35 PM
Updated: October 17, 2014 4:35 PM
U.S. Central Command Commander General Lloyd J. Austin III on Oct. 17, 2014. Defense Department Photo
米中央軍司令官ロイド・オースティンIII大将、10月17日
Defense Department Photo

米中央軍はイラク・シリアイスラム国(ISISあるいはISIL)が軍用機を運用中とする証拠はないと発表。

  1. 「ISILがジェット機で地上作戦を支援しているとの報告は現場から入っていない。またこれを確認できない」と米陸軍ロイド・オースティン大将Gen. Lloyd Austinがペンタゴン記者会見で発言した。「パイロットが脱走しISILに加わったとの情報もない」

  1. シリア人権監視団Syrian Observatory on Human Rights (SOHR)はISISがソ連製戦闘機3機(ミコヤンMiG-21フィッシュベッドとMiG-23フロッガー)を入手したという。もしISISが独自に航空機を運用すれば、テロ集団で前例がない。

  1. SOHRによれば操縦士はイラク脱走者かISISが新たに訓練したものであるという。「イラク軍から脱走した将校がイスラム国に加わり、戦員を訓練し操縦できるようになった」とSOHRは報告している。

  1. 「訓練過程はアル・ジャラ al Jarrah 空軍基地で行われている。同基地はアレッポ Aleppo 東部にありシリア内のイスラム国で最重要基地と見られる」

  1. しかしテロリスト集団に軍用機の運用力はあるのか。軍用機を飛ばすには訓練を積んだ搭乗員以外に支援部隊や整備施設が必要だ。ISISは全て整備していないとみられる。

  1. まして最小限の支援インフラで新規に乗員訓練は容易ではない。ソ連時代の頑丈なハードウェアでもこれは変わらない。通常なら戦闘機パイロット養成は2年間かかる。しかしテロリスト集団が自殺攻撃に使う程度の訓練を施す可能性はあるが、ありえないだろう。

  1. それでもアルジャラ飛行場で航空機運用目撃されているとSOHRが公表している。

  1. 目撃談では戦闘機各機は低空飛行していたという。SOHR報告はイスラム国戦闘員がアレッポとアルラッカ al Raqqa で政府軍基地を占領し、機材を入手したとしている。「イスラム国が各機に搭載するミサイルまで取得しているかは不明」(SOHR報告)■


X-37Bが秘密ミッションを完了し675日の軌道飛行から帰還


謎の無人シャトルX-37Bが長期間軌道飛行から無事帰還しました。相変わらず米空軍は秘密を守っていますが、今後に使える技術が実用化されればいいですね。しかしこれだけ長期間の無人飛行で自律的に地上に戻ってくるというのはすごい技術だと思います。

USAF’s Secretive X-37B Lands Successfully

Oct 17, 2014Guy Norris | AWIN First

USAF
LOS ANGELES—米空軍のX-37B宇宙機がヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア州)に10月17日着陸し、軌道飛行675日の新記録を樹立した。
  1. 今回のミッションは第三回目で米空軍はX-37Bを2機運用中。前回のミッションは469日飛行しヴァンデンバーグに2012年6月に帰還している。
  2. 全長29フィートのX-37Bはボーイング製で主翼のついた形状はスペースシャトルを縮小したようにみえる。初回飛行2010年4月以降の毎回の目的は非公表。空軍は極秘宇宙配備ISR情報収集監視偵察装置のテストをしている、衛星を捕獲、破壊するテストをしているとの観測を否定している。空軍の説明はあくまでも飛行技術の実験というもの。
  3. 評価対象の技術分野には高性能誘導、航法、制御技術、耐熱システムズ、エイビオニクス、高温耐久密閉構造、一体型再利用可能の絶縁、軽量電子機械式飛行システムズおよび自律式軌道飛行・再突入・着陸システムズがあると説明。
  4. 長期間の軌道飛行の目的は謎のままだが、初回ミッションの軌道が地上から追跡されていた。三回目のミッションの軌道高度は前回より低くなって218マイル、飛行経路は北緯43度5分から南緯43度5分の間と報道されている。
  5. ところで今回がヴァンデンバーグ基地を利用する最後のミッションになりそうだ。四回目ミッションはフロリダのケネディ宇宙船た0のシャトル運用施設を利用すると空軍は以前に発言している。ボーイングは同施設の改良にすでにとりかかっており、年末までにX-37B運用が可能となる。■

対ISIS作戦名称は「不滅の意思」



勢いが止まらないISISですが、地上ではイラク保安隊が無様な様子を示し、頼みの綱は勇猛果敢なクルド人生力だけということでしょうか。作戦名称がやっと決まったのももともとやりたくなかった作戦だからでしょうね。ISIS封じ込めには戦略の仕切り直しが必要なようですね。報道では『不動の決意』としているようですね。ちょっと訳が難しいと思います。

Campaign Against Islamic State Named 'Operation Inherent Resolve'

Oct. 15, 2014 - 02:11PM   |  
By JEFF SCHOGOL   |   Comments

イスラム国との戦闘に作戦名称がついた。「不滅の意思」作戦“Operation Inherent Resolve”である。
  1. 統合参謀本部の発表はイラクその後シリアのイスラム国勢力を標的にした作戦開始から10週間後となった。
  2. ウォールストリートジャーナルは10月3日付で米軍上層部は一度「不滅の意思」の名称を却下したと報道。語感が平凡だったと軍関係者が漏らしていた。
  3. 中央軍によれば名称は「合衆国および同盟各国による断固とした決意および深い責任感が同地域と全世界に対してあり、テロリスト集団ISILがイラク、同地域さらに広く国際社会にもたらす脅威を撲滅する目的を示す。同時に有志連合国が地域内友好国と密接に行動し、すべての国家の持つ外交・情報・軍事力でISILを最終的に除去する意思と献身ぶりを象徴する名称でもある」
  4. 15日午前現在で米国主導の連合軍は空爆510回を実施しており、このうち294回がイラク、216回はシリア向けだったことが国防総省報道官エリッサ・スミス海軍中佐から発表されている。このうち米国の実施は445回でイラク274回、シリア171回だった。
  5. 最近の米国による航空攻撃はトルコ国境に近いシリアのクルド人居住地コバニ Kobani に集中しており、クルド人民防衛隊がイスラム国の蛮行から防御しようと奮闘中である。米関係者はコバニ陥落の可能性を警告しており、B-1爆撃機まで投入してコバニ近郊の陣地を攻撃している。
  6. ただし爆弾投下、巡航ミサイル発射でもイスラム国がイラク西部アンバー地方を引き続き支配している事実にかわりなく、バグダッド近くまで侵攻しようとするのを食い止められない。
  7. それでも退役空軍将官チャールズ・ウォルド Charles Wald にいわせれば空爆作戦は効果があり今後も継続すべきという。
  8. ウォルドは空爆作戦でイスラム国を寸断し攻撃力を弱めるには時間が必要であると発言している。ウォルドは不朽の自由作戦でアフガニスタンの航空作戦を統括した経験がある。
  9. 特殊作戦部隊を展開し空爆と連携させる以外の地上兵力の投入にウォルドは反対の姿勢だ。
  10. 「地上兵力投入が必要と言う主張が完全に間違っている。boots on the ground とは「体制変更のための作戦を展開には地面が必要だ」と言っているのと同じだ。まず、対象となる体制が存在しない。二番目に戦う相手の法的な実態が存在しない。
  11. 三番目に地上部隊が必要となっても陸軍の通常部隊である必要はない。JFACs(Joint Forward Air Controllers統合前線航空管制官)であったりJTACs(Joint Terminal Attack Controllers統合最終攻撃地点統制官)でいい。所属は陸軍でも特殊兵科でも、空軍でもCIAでもよい。何らかの措置で現地で生き残る必要はあるでしょう」■


2014年10月17日金曜日

E-2D新型ホークアイがIOC獲得


海軍が進めるNIFC-CA構想で大きく期待されるE-2Dが初期作戦能力を獲得したというニュースです。機体スペースがない同機にさらに空中給油までやらせるのはいかがなものでしょうかね。(ポッドでするんでしょうが) 

Navy Declares IOC For E-2D Advanced Hawkeye

By: Dave Majumdar
Published: October 16, 2014 3:30 PM
Updated: October 16, 2014 3:30 PM
An E-2D Hawkeye assigned to the Tiger Tails of Carrier Airborne Early Warning Squadron (VAW) 125 launches off the flight deck of the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71). US Navy Photo
艦載空中早期警戒飛行帯VAW-125のE-2Dホークアイが セオドア・ロウズベルト USS Theodore Roosevelt (CVN-71)から発進しようとしている。US Navy Photo

NAVAL STATION NORFOLK — 米海軍はノースロップ・グラマンE-2D発展型ホークアイが初期作戦能力(IOC)を獲得したと発表。最初の飛行隊は空母早期警戒機飛行隊VAW-125でノーフォーク海軍基地(ヴァージニア州)で運用する。
  1. 今回のIOCでUSSセオドア・ロウズベルト(CVN-71)が再就役(2015年)する時点で海軍は5機種を運用することになる。.
  2. 海軍にはすでに15機のE-2Dが納入されており、今後も断続的に引き渡しがある。50機が発注済みで、最終的に75機を導入すると2027年になり、その時点でE-2Cは全機退役している。.
  3. E-2Dの位置づけは重要で、構築中の海軍統合火器管制対空対抗手段Naval Integrated Fire Control-Counter Air (NIFC-CA) でネット接続の中心となる。セオドア・ロウズベルト空母打撃群はNIFC-CA運用可能となる。
  4. 今年早々に海軍はNIFC-CA機能の実証としてロッキード・マーティンAPY-9UHFレーダーでLink-16と協調交戦能力Cooperative Engagement Capability (CEC) のデータリンクでボーイングF/A-18とイージス艦に目標情報を流し、レイセオン製スタンダードSM-6艦対空ミサイルを発射させている。
  5. 将来はE-2Dに戦術標的ネットワーク技術 Tactical Targeting Network Technologies (TTNT) によるデータリンクを搭載し、帯域と有効距離を大幅に拡大する。来年にも新型データリンクをE-2Dに搭載するとレモン大佐は言う。
  6. 他方でホークアイに空中給油能力を付与する作業も進行中だ。レモン大佐によれば給油能力が加わるのは2020年になるという。■

2014年10月15日水曜日

オーストラリアOTHレーダーの性能改修が完了 マレーシア航空370便は探知していたのか




Australia’s Jindalee Radar System Gets Performance Boost

Sep 22, 2014
Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology
人口23百万人のオーストラリアは国防装備の整備で慎重になる。資金不足、専門人材の手薄さが避けて通れないからだ。
  1. そのオーストラリアが数十年にわたり取り組んできたのがジンダリーJindalee超水平線レーダーシステムだ。
  2. 大幅改修がこのたび完成した。アウトバック奥地に巨大なアンテナ群が3つあり、高周波無線ビームを電離層に放射し、3,000 km 先を監視する。改修で動作速度、感度、精密度が上がり、オーストラリア空軍(RAAF)の指揮統制システムに組み込んだ
  3. さらに2015年の再改修の準備が進み、RAAFは2040年ごろまで利用する。
  4. オーストラリアはジンダリーの多くを明らかにせず、作動原理の以上の情報は出てこない。しかしAviation Weekの取材に国防資材機構Defense Material Organization (DMO) は今回の改修内容および次の目標を語ってくれが、依然として性能は数値で明らかにしていない。
  5. 直近の改修は第五段階で、国防相デイビッド・ジョンストンが5月28日に目標性能を達成と発表した。実は目標水準は昨年末に達成とDMOのマイク・ウォーキントン准将 Air Commo. Mike Walkingtonは述べた。
  6. 完成は予定より2年遅れたがほぼ全部が予算内で実現できたとウィルキントンは言う。実施主体はロッキード・マーティンBAEシステムズのオーストラリア事業体で、国防科学技術機構 Defense Science & Technology Organizationが支援した。予算規模は非公表。
 
オーストラリアはジンダレーレーダーを三か所、各奥地に配備している。昨年完了した改修工事でレーダー有効範囲は変わっていないとされるが、実際の距離は相当拡大しているだろう。Credit: Australian Defense Ministry
  1. これにより西オーストラリアにあるラヴァートン Lavertonおよびクイーンズランド州ロングリーチ Longreachの各レーダー施設が国内中央部アリススプリングス Alice Springsと同じ性能水準になった。
  2. 第五段階は高速電子装置を多用し、アレイはこれまでより多くデータを集め、アデレイド近郊のRAAFエディンバラ空軍基地(オーストラリア南部)に送信し、同基地から各レーダーを操作する。基地との間の帯域幅は大幅に拡大された。
  3. エディンバラで生情報からトラックデータを抽出し、ニューカッスル(ニューサウルウェールズ州)のRAAFウィリアムタウン空軍基地に送信する。同基地でボーイングの指揮統制システム、ヴィジレアVigilareにデータを送り、戦術航空情報に統合する。ジンダレーは以前からヴィジレアに接続されているが、統合度が向上したとウォーキントンは述べる。
  4. 感度を上げたジンダレーはノイズと目標を仕分けて、大きさで分類する。位置も割り出し、速度と方位が従来より正確に把握できるらしい。
  5. 国防省はジェット練習機または300トンクラス哨戒艇まで探知可能としているが、実際の性能はこれ以上かもしれない。
  6. センサーはドップラー効果で目標探知するが、電離層の予測不可能な変動により、ビーム反射が不鮮明・不安定になるとはいえ、有効距離は相当大きい。数千キロメートルの距離で反射するエネルギーは極小だが、アレイを巨大にして対応する。アリススプリングスの送信用アレイは全長2.8km。
ジンダレーレーダー施設の設置場所と有効範囲

  1. 第五段階で大きく変化したのは処理速度。ジンダレーのような大型レーダーは見通し線を走査するのではなく、タイルと呼ぶ区画を観察する。改修が完了した三基のジンダレー施設は「短時間で今までより大きなタイルを見ることができる」とウォーキントンは語る。ただし、各タイルの処理時間は明らかにしていない。第五段階でデジタル化が進んだが、完全デジタル化ではないとウォーキントンは述べる。アナログ・デジタル変換は瞬時ではなく、アンテナがフェイズドアレーとなり、ビームを包囲核に電子操作してタイル一枚ずつレーダー観察するようだ。二枚以上のタイルを同時に観察できるかという質問に、ウォーキントンは「レーダーは三基ある」とだけ答えた。
  2. ウォーキントンが性能で口にしたのは有効範囲が最低で1,000 km、最高3,000 kmだけだ。この数字は国防省、RAAFが前から発表している。オーストラリアの国防専門家は電離層の状態が良好なら有効範囲は伸びると見る。
  3. 第五段階で感度・精度の向上範囲が相当大きい証拠がある。ひとつ、国防省は次期改良に大きな期待をしていない。ウォーキントンは「探知精度を向上していくべく電離層の状態は常に把握していく」と言っており、ここにデータ抽出の鍵がありそうだ。
  4. もうひとつ、感度が向上したが運営費用は下がっているらしい。各レーダーは従来より低出力で作動し、今後10年の節減効果は100百万オーストラリアドル(93百万ドル)と見込まれる。第五段階で高周波数増幅器は更新されていない。当初の出力で十分ということだ。.
  5. RAAFはジンダレーを常時作動させていない。コスト以外に平時に連続運転の必要がないためだ。しかし低出力運転が可能となり運転時間を延長する可能性が出てきた。.
  6. マレーシア航空370便が行方不明になった直後に、Aviation Week はジンダレーが同機を追尾したか照会している。可能性は低いとわかっていた、夜間の電離層反射は弱くなり超水平線レーダーの効力が落ちるからだが、問題の777機がジンダレーレーダーのタイルの中を飛行していたらと考えたのだ。国防省からは情報は全部マレーシアに渡したと回答があったが、超水平線レーダー施設への言及はなかった。
  7. 第五段階改修は予定より遅れ2003年にジンダレーが稼働状態に入ってから実施された。
  8. ジンダレーの大きな利点はオーストラリアが動員する航空機、艦船を最小限に抑える効果、とオーストラリア戦略政策研究所のアンドリュー・デイヴィスAndrew Davies of the Australian Strategic Policy Institute.は語る。システムからのデータはそのままでは不正確だが、その他の監視システム、ボーイングのウェッジテイル早期警戒レーダー機やロッキードP-3オライオンを使う。また同盟各国のデータも利用できるはずだ。
  9. 答えが期待できない質問にジンダレーで戦闘機を目標へ正確に誘導できるのかというものがある。開発が開始された24年前だったら不可能だと思われていたことが米空軍の発表からうかがわれる。.
  10. 超水平線レーダーの利点はステルス機の探知だ。英王立合同軍組織研究所Royal United Services Instituteのロシア人研究員イゴール・スチャジンIgor Sutyaginは超長波レーダーなら可能との論文を今月に発表した。「より長い波長、デカメーター(10m)バンドのレーダー」としてロシアのレゾナンスーNEならノースロップ・グラマンのB-2等を探知できると主張。ステルス機は超高周波(メートル級バンド)のレーダー探知を回避する設計になっているとスチャジンは言う。
  11. ジンダレーの作動バンドはこれに近い。米国の技術文献によると超長波は実機の物理的な大きさに近づくと、これまでのレーダー断面積削減策は効果がないとしている。
  12. 改修後のジンダレーはゆっくりと始動された。ほぼ二年が初期段階で無駄になり、納期も2年遅れたのは製造に携わった人員が現場を離れたことが大きい。単独で高性能防空システムを構築するのは人材の薄いオーストラリアには難題だ。
  13. 次回の第六段階でも作業員不足の危険がある。そこで国防省は中核人材60名ほどを確保する。
  14. 第六段階の課題には別にレーダー解析ツールの開発があり、波形発生器と受信機の技術改良が期待される。多チャンネルデジタル受信機の開発で機材数を削減する効果が期待され、電離層測深機を改良しソフトウェアツールを開発して長期間使用とするのも課題だ。
  15. 第六段階では技術陳腐化対策を狙う。国防省としては2015年上半期に政府承認を勝ち取り、契約企業各社の入札を絞りたいとする。二年後に契約書の承認を得るとしているが、国防方針の見直しで影響を受けそうだ。
  16. 第六段階では、操作員がタイルの大きさを変更できるようになるだろう。ネットワーク 能力も改良の対象となろう。■

2014年10月14日火曜日

EW: 実戦能力向上に年間追加20億ドル必要との報告書



EWの話題が急に増えてきました。それだけ米国で能力のギャップが認識されていることでしょう。F-35にこれ以上予算を消費されると大変だという危機感もあるのでしょう。かねてから空軍はこの分野で手抜きをしており、海軍に頼らざるを得ない状態ですが、当面このままで続きそうですね。


EW Needs $2B More A Year; ‘Major Deficiencies’ Found By Defense Science Board

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 08, 2014 at 2:30 PM
Paul Kaminskiポール・カミンスキー
WASHINGTON: 国防科学委員会 Defense Science Board (DSB)が極秘検討結果を国防副長官ロバート・ワークに届けた。電子戦に備え、年間20億ドルを追加支出し、上位執行委員会にEW関連支出を監督させるべきとの提言が出ている。
  1. 「過去20年間で電子戦能力が大きく低下しています」とボール・カミンスキー Paul Kaminski が述べている。今回の検討を提案した本人で、報告書は仮題として『21世紀の軍事作戦環境を複雑な電磁環境で考える』となっており、18か月前にカミンスキーが国防科学委員会の座長を務めていた時に開始した作業だ。カミンスキーは1990年代に国防調達を取り仕切った伝説的な人物で、その職位は現在務めるフランク・ケンドール国防次官提案されている執行委員会を束ねるとみられる。また統合参謀本部副議長ジェイムズ・ウィネフェルド提督 Adm. James “Sandy” Winnefeld も参加する見込みだ。
  2. カミンスキーは検討中に「大きな欠陥を見つけた」という。.
  3. 米国はソ連崩壊後一貫してEW軽視を続け、9/11後はアフガニスタン、イラクの低技術脅威を対応の重点とした。その間にF-22ラプターやF-35が予算を食いつぶし、投資が手薄になった。反対にロシア、中国、イラン他は潤沢な予算で技術を進歩させ、米軍のセンサー類、ネットワーク、GPSを妨害、盗聴、欺瞞する能力を確立。電磁環境下でも戦闘を調整する能力が必要とカミンスキーはまとめている。
  4. 「多方面で努力が必要ですが、EW問題はこれまでの軽視もあり解決策は相当高価になるでしょう」とカミンスキーは言い、「予算以外にも上層部がもっと関心を寄せるべきです」
  5. カミンスキーの発言をまとめると、DSBの結論として現状のEW関連投資に20億ドル追加が必要としている。
  6. それだけ追加資金を投入しても「何かを犠牲にすることになるでしょうね。機材調達数を減らし別の支出を増やす、とか」
  7. 厳しい決断は上位組織が下す。ケンドール、ウィネフェルド、各軍代表、関連機関のトップがここに参加する。
  8. では戦略軍の役割はどうなるか。同軍はEWの推進役であるが、作戦担当責任者は実際の推進には権限も予算も足りないと嘆いている。
  9. 「戦略司令部と太平洋軍司令部の役割を拡大する余地はありますね」とカミンスキーは記者に語る。各軍のEW能力を向上させ新戦術と技術を実用化することを想定している。太平洋軍が実施中のNorthern Edge演習がモデルになると見ている。
  10. 「モデル化とシミュレーション、さらにテストと演習が必要です」(カミンスキー) だが、公の席ではこのモデル化とシミュレーションが作戦レベルで弱いと発言していた。演習だけが複雑なモデルの有効性を実証できるのだ。
  11. 訓練が中途半端なことで「意思決定者が電子戦の意義を理解できていない」と、カミンスキーは講演している。またEW開発の努力はあるが各軍バラバラになっている状態で、共同作業や相互運用は存在していない。空軍と海軍が主導するエアシーバトル構想には期待できるが、「統合司令部や地域司令部の意向が強く働いている」とし、特に太平洋軍司令部を意識している。
  12. また、調達業務の仕組みがあまりにも遅すぎるとする。ムーアの法則でコンピュータ処理が18ヶ月で二倍に成長し、ソフトウェアが電磁プロファイルそのものを変えてしまう事態を想定している。
  13. 「ソフトウェアが中心のデジタル世界への移行に高性能電子製品が加わり、世界のパラダイムが変わります」(カミンスキー) 冷戦時ならソ連の新型ハードウェアを発見し、研究の上、公式に「文書で認定された脅威」と分類してから対抗手段を開発、テスト、配備していた。「10年から12年後にその対抗手段を第一線に配備していた」といい、これでは今日には通用しない、成功の可能性はない、と述べた。■

2014年10月13日月曜日

元在韓米軍司令官が冷静な議論を求める:核、ミサイル防衛、安全保障



韓国については感情が表に立った論調が目立ちますが、地政学や安全保障の観点からは冷静な議論が必要なことは言うまでもありません。THAAD配備となれば中国は自国の核ミサイルの威力が削がれるのをおそれているのでしょうが、韓国にとっては中国に慮るのか、自由陣営(最近使われない言葉ですね)の一員として行動するのか厳しい選択に直面しているのでしょう。本当に「無駄な議論」が多くて本質を見逃している気がしますね。地雷の件は良く知っている方からご教示ください。

Former U.S. Commander in Korea: North Korea Could Use More Than Missiles to Deploy Nuclear Weapons

By: John Grady
Published: October 8, 2014 10:23 AM
Updated: October 8, 2014 10:47 AM
2012 North Korean missile test.
2012年の北朝鮮ミサイル発射テスト

北朝鮮の核ミサイル脅威が合衆国、韓国、日本で話題になる中、在韓米軍の元司令官が真の脅威を見過ごしていると警告。「核でソウルを攻撃するなら一番いいのは旧式航空機や無人機、あるいは近隣港湾に船舶を送ること」という。

  1. B.B.ベル退役陸軍大将がヘリテージ財団で発言し、合衆国政府はTHAAD最終段階高高度地域防衛弾道ミサイル防衛システムの韓国配備では拙速を避け、韓国政府に導入が必要な理由を自国民へ説明する時間を与えるべきだと主張。
  2. この問題が韓国で論争の種になっている背景について、同大将は予算、北朝鮮長距離火砲の脅威、中国との関係悪化を恐れる韓国事情、敵視する日本との関係を理由に挙げた。
  3. 同時に合衆国は中国へ圧力をかけ、北朝鮮の核兵力整備の野望を止めさせるべきと発言。「THAADに中国が反対するのは100%確実」ともいう。
  4. ミサイル防衛システムやXバンドレーダー施設は抑止力で防衛手段だとする。ヨーロッパでも提案されイラン核ミサイル対策で期待されたが、現在は先送りになっている。
  5. ベルは北朝鮮が核兵器を恫喝の手段とする以上合衆国は在韓部隊の「統制権」を維持すべきと主張。韓国への統制権移管はジョージ・W・ブッシュ政権中に協議されたが、現実の脅威の前に議論は低調になっている。
  6. 「アメリカが国家統制権を譲ることはありえない」「韓国軍の実力が問題なのではない」とし、北朝鮮の核脅威の現実が問題だという。
  7. なぜ韓国にTHAADや海上配備SM-3が必要なのか。ベルは第一次湾岸戦争でイラクのスカッドミサイルが発射数分でサウジアラビアやイスラエルに着弾した事実をあげる。ミサイルが核、生物、化学だったら、低高度迎撃で地上への影響は甚大と発言。
  8. 「無駄な議論はやめ正しいことをしましょう」と北東アジア内に相互運用可能で統合されたミサイル防衛体制を構築すべきだと主張。仮にミサイルが発射されても直後は、オサン空軍基地か日本かグアムの海軍施設なのか「目標はだれもわからない」。「同盟各国が単独で処理できる問題ではない」
  9. ベルは有事に日韓両国は相互に助け合うとみつつ、相互安全保障取り決めが未締結であると指摘する。
  10. 韓国駐留3万人の米陸軍、空軍のプレゼンスは抑止力であり、早期撤退はありえないと主張。また将来の地雷撤去条約の検討では空中投下型の時限式地雷は削減対象から外せと求めた。■


2014年10月12日日曜日

日米防衛協力ガイドラインの見直しが示す方向性


日米ガイドライン見直し中間報告ですが、日本の報道と微妙に違っているのが読み取れるでしょうか。グローバルと言う言葉は確かに日本でも報道されていますが、その背景にある事実関係と想定を伝えないのはいかがなものでしょうか。報道機関の責任は重大です。国民に正しい情報を伝え、考えさせるという意味で。報道機関の主張は誰も知らなくてもいいのです。正確な報道をお願いしたいところです。

Tokyo and Washington Writing New Guidelines for Military Partnerships

Oct. 8, 2014 - 11:43AM   |  
By PAUL McLEARY   |   Comments

WASHINGTON — 米日関係者が「Vision Statement」の作成で協議中。これは両国の防衛協力分野を定めた1997年の文書に基づき今後の協力を定めるもの、とペンタゴン高官が説明している。
  1. 作業経過を示す資料が日米関係者から東京で発表されたが、協力分野の想定は災害救難、ISR、サイバー、情報共有、技術協力と多岐にわたっている。
  2. 中でも「宇宙とサイバー」が中心だと国務省関係者が匿名で語った。「1997年には想定しなかった分野です」
  3. 日米防衛協力ガイドラインも制定後17年で世界状況が様変わりした。
  4. 拘束力のない合意内容が今年末に公開の見込みだが、「同盟関係の範囲が拡大し、日本が遠く離れた地点でも活動を展開していることが見直しの大きな理由だ」と前出関係者は説明する。アフガニスタンやアフリカの紛争地帯が念頭にある。
  5. 日米で「有事の際の意思決定システムの改良」で意見が一致していると同関係者は言い、新ガイドラインは地球規模のミッションで「両国の役割分担」の大枠になるという。
  6. 中間報告は国防副長官ボブ・ワークがアジア各国歴訪から帰国したタイミングで発表された。ワークはオバマ政権によるアジア太平洋「再均衡」方針が中東情勢や予算削減でも変わることはないと説明したという。
  7. 9月30日の外交関係協議会でワークは中国と領土紛争が発生すれば日本を支援すると強く確認したばかりだ。.
  8. 「日本が尖閣諸島を統治下におく限り、第五条が適用され尖閣占拠の動きが発生すれば迅速に対応する」とし、「その場合軍事行動でいかなる事態にも対応する」と加えた。また、日本は「アジア同盟各国の中心的存在」と表現した。
  9. 合衆国は「アジアは地理的に広大で、作戦上は活発、政治上は持続させるべき対象....政府予算にかかわらず目指すべき方向性を維持する」とも発言。

黒海に派遣された米駆逐艦USSコール


USSコールといえば、アルカイダのテロ攻撃で横腹に大穴を開けられた駆逐艦です。その後本国へ送還され、無事復帰していたのですね。そういえば真珠湾で大破した戦艦群も修理され戦列に復帰していましたね。いずれもやられても黙ってはいないアメリカの精神を具現化していますね。黒海は米ロ対立の現場になっているようです

USS Cole to Enter Black Sea On Friday

By: Sam LaGrone
Published: October 9, 2014 5:15 PM
Updated: October 9, 2014 5:15 PM
USS Cole (DDG 67) makes preparations for getting underway after a scheduled port visit to Haifa, Israel on Sept. 18, 2014. US Navy Photo
USS コール(DDG 67) がハイファ(イスラエル)から出港準備している 2014年9月18日撮影 US Navy Photo

10月10日に誘導ミサイル駆逐艦USSコール Cole (DDG-67)が黒海に派遣され、3月にロシアがクリミア半島を占拠してから継続している示威任務に合流する。
  1. 米第六艦隊から「合衆国は集団安全保障の責任を果たすべくNATO加盟国および関係国に対し地域内の平和と安定に貢献していく。ロシアによるウクライナ干渉がその念頭にある」との声明文がでた。
  2. コールはNATO海軍演習Sea Breaze 2014の終了後に初めて黒海入りする米艦となる。USSロスRoss (DDG -71) が9月12日に黒海から退去してから米艦はいなかった。
  3. クリミア併合が起こってからNATO艦船が黒海にとどまる頻度が増しており、これまでにない事態となっている。特にフランスと合衆国が継続して艦船を派遣しており示威行動を維持してきた。
  4. フランス情報収集艦デピュイ・ド・ロームDupuy de Lôme (A759)は黒海に出入りを繰り返しており、その他フランスはフリゲート艦2隻を順番に黒海へ派遣していいる。
  5. 黒海沿岸に領土を有さない各国は1936年のモントルー条約で黒海に21日以上軍艦を派遣できない。■
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