2022年9月17日土曜日

ファン限定 F-14が正常進化していたらこんな機体になっていた---スーパートムキャットの姿を大胆に想像

 

 

スーパーホーネットが作られなかったら、グラマンの次世代型トムキャットが現実になっていたかもしれない。今回は素晴らしいレンダリング画像でそれを科学的に再現してみた

 

 

ラマンF-14トムキャットは、アメリカ海軍戦闘機として退役して10年以上経った今も、人々の注目をしっかりと集めている。筆者が「ターキー・バード」について書いた記事が何年も前ながらいまだに人気で、読者からのメールが絶えない。「作られなかったスーパートムキャット」である。この記事を書いたのは5年以上前になるが、今回、Hangar B Productionsの航空宇宙アーティスト、アダム・バーチの協力を得て、F-23やF-32で行ったように、この機体が製造されていたらどう見えたかを科学的に再現してみた。また、ボーイングのF-15ストライクイーグル同様に、2010年代の理論的なアップグレードも考えてみた。

 射出座席のストラップを締め、操縦桿を握り、スロットルを開け、敬礼をして、もうひとつの航空宇宙史の世界へ向かおう。

 まずは、筆者が以前に書いたスーパートムキャット21の裏話から始める必要がある。詳細や時系列について議論している部分もあるが、一般的には以下のような考え方でST21は誕生した。

 我々の現実では、F/A-18E/Fスーパーホーネットは、A-12アベンジャー計画という大失敗により、21世紀の海軍の主力戦闘機となった。大幅なコスト超過と重量増、そして大幅な遅延の末、当時のディック・チェイニー国防長官はステルス空母搭載の全翼機型攻撃機を中止し、NAVAIRの将来の在庫に大きな穴を開けてしまった。

 1991年のことで、冷戦が終わったばかりで、世界最大の常備軍を蹴散らしたばかりであった。議会は何十年もの間、リスクの高い、非常に積極的な防衛計画に口を出していたが、もうたくさんだった。「平和の配当」論が台頭し、国防予算は減少の一途だった。

 A-6E TRAMイントルーダーの退役が迫り、A-12計画の中止で生じた空白に、航空機メーカーが既存機材をベースにした「論理的成長」のデザインを出し始めた(中には何年も前のコンセプトを焼き直し、更新したものさえあった)。メーカーが、ほとんど全く新しい航空機を既存の機種のように見せ、しかも親しみやすい「進化型」の呼称を与えれば、議会はその製品を実績あるプラットフォームの低リスク・低コストのアップグレードと見なし、調達が前進するのではと考えた。

 同時に海軍のNATFプログラム(米空軍のAdvanced Tactical Fighterプログラムに相当)も計画されていたが、その開発費用とスケジュールは膨大なものとなり、またステルス戦闘機A-12「フライング・ドリト」で起こったことを考えれば、もっとシンプルな機体が必要なのは明らかであった。結局、この「ローリスク」で「身近な」設計思想が、最終的にF/A-18E/Fスーパーホーネットの開発・調達で機能することになった。しかし、一部には、このコンセプトが間違った機体に適用されたと考えた向きもある。

 スーパートムキャット21は、A-12計画の崩壊後にグラマンが行ったクイックストライクと呼ぶ以前の提案から生まれた(情報筋によれば、実際にはクイックストライクの前に提案されていたが、後に蒸し返されたという)。クイック・ストライクは、F-14DのAPG-71レーダー(オリジナルのAWG-9レーダーがベース)の地上攻撃モードのアップグレードや、AGM-84E SLAMやAGM-88 HARMといったスタンドオフ兵器の搭載能力とともに、アメリカ空軍のLANTIRNシステムに似たハイエンドの航法と照準ポッドを与えて、既存のF-14をアップグレードするものだった。


 

グラマンが想定したトムキャットのロードマップ。 Grumman

 

 クイック・ストライクは、A-12のハイエンド版というよりも、イントルーダーの遅れを安価に取り戻すのが目的で、当時就役していたF-14BやD型に対し技術的な飛躍が不十分と見なされていた。また、マクドネル・ダグラスで安価でクリーンな次世代ホーネットの設計が進んでいるとの噂もあり、クイックストライクは魅力を高めるには至らなかった。そこでグラマンは、スーパートムキャット21(ST21)と呼ぶ真の「スーパートムキャット」で海軍に帰ってきたのである。

 前述したように、これはNATFが実現しないと明らかになりつつあるのと同時期の出来事であった。つまり、イントルーダーの穴を埋めるのがクイックストライクであるのに対し、ST21はNATFの穴も埋め、ステルスやその他多くの最先端技術、ハイリスク技術がなくても、同じ任務をこなすことができるとした。 

 

 

グラマンF-14スーパートキャット21型。現在、ニューヨーク州ガーデンシティの航空博物館に展示されている。ST21の大まかな配置がわかる Public Domain via "GE Geoff"

 

 

 スーパートムキャット21は、F-14Dに各種改良を施す、既存F-14の機体を再製造する、あるいは新規製造で発注も可能としていた。おそらく、F-14Dと同じように、両方の選択肢を組み合わせ使用されたことだろう。最後の新造トムキャットは1992年にニューヨーク州ベスページの生産ラインから搬出されており、スーパートムキャット21が検討されていた時点で、F-14の在庫が長かったり、生産ラインが長期間停止していたわけではない。

 

Public Domain via "GE Geoff"

 

ST21は、トムキャットの特質を際立たせ、欠点を軽減するような、非常に論理的な機能を多く盛り込んでいたはずだ。これらは、ほとんどがすでに利用可能、あるいは比較的成熟した技術であった。その結果、グラマンは1990年代半ばにST21の納入を開始できていたはずだ。


Hangar B Productions

 

改造案はすべて文書化されており、主な内容は以下の通り。

  • F110-GE-429ターボファンエンジン。推力29Kポンドの同エンジンは、後のF-16やストライク・イーグルに搭載され、トムキャット用に長い排気管を備えているが、ST21の超航続性能(燃料消費が激しいアフターバーナーなしでMach1以上)は、空対空装備品を搭載している間実現していたはずだ。M1.2-1.4程度の超低速巡航は可能だったはずだ。

  • 拡大され、再形成されたリーディングエッジグローブで、各2,200lbsの燃料貯蔵量を追加

  • 胴体下にはフォード・エアロスペース(現ロッキード・マーチン)のナイトアウル照準ポッド/FLIRとナビゲーションポッドを搭載

  • 視認性を高める一枚板のウィンドスクリーン。

  • FLIR画像を投影する広角ラスタースキャンHUD。

  • グラスコックピットで新型ミッションコンピューターとグラフィックプロセッサー 

  • 機内酸素生成システム(OBOGS)

  • F-15EのAN/APG-70を移植し、さらにアップグレードしたAN/APG-71レーダー。F-14Dに搭載されたAN/APG-71より範囲と能力が拡大されたAWG-9の発展型。

  • デジタル・フライト・コントロール・システム(DFCS)。

  • 300ガロン外部タンクを搭載可能な湿式主翼パイロン。

  • ナセルハードポイントに425ガロンの外部タンクを搭載可能。既存のタンクサイズは280ガロン。

  • 拡大したマルチセグメント・ファウラーフラップ。

  • 主翼前縁のスラットの拡大・延長。

  • 着艦時の容量を9kポンドから16kポンドに増加。

  • 接近速度の低減と低速域での制御性の向上。

  • AIM-120 AMRAAMと最新のスタンドオフ兵器を統合。

  • AN/ALE-47カウンターメジャー・ディスペンサーをアップグレード。BOLカウンターメジャー・ディスペンサーをミッション構成オプションとしてアウトボード・パイロンに統合。

 

 他にも、目立たないが多くの特徴が含まれていた。例えば、油圧系や環境制御システムの再設計、性能、安定性、整備性を向上させる飛行制御や空力の小さな変更など。また、ST21の総重量は増加し、もともと非常に頑丈な着陸装置が若干強化されていた可能性がある。F-14Dのレーダー警報と電子対策は、当初は小さな更新で引き継がれたが、将来のアップグレードの焦点になっていただろう。

 ST21は、マルチロール戦闘機中で特に強力な戦闘機であっただろう。内外部の燃料容量を大幅に拡大して、航続距離と滞空時間は飛躍的に伸びただろう。空対空戦闘機としての超高速航行、AIM-120能力、F-14Dから移植した最新の赤外線捜索・追跡(IRST)システムおよびテレビカメラセット(TCS)で、ST21はトムキャットを制空戦闘機および艦隊防衛の新しい領域へと押し上げていただろう。実際、同様の長距離目標探知・識別能力を有する戦闘機は、世界で唯一の存在になっていたはずだ。

 エンジン、スラット、デジタル飛行制御システム、ウィンドスクリーン、HUDのアップグレードや、スポイラーを含む他の制御面の微調整により、より手強い近接戦闘機となったであろう。航法/攻撃ポッドのセットアップにより、F-15E同様の低高度、全天候型の精密攻撃能力を提供することができたはずだ。スタンドオフ兵器の統合は、空母の戦術対応範囲を劇的に拡大し、新兵器はトムキャットの大型積載能力に完全に適合していただろう。AIM-54 Phoenix長距離空対空ミサイルは、ST21の強力なセンサー群を活用するため、再びアップグレードされ、より長く使用されていたかもしれない。

 このように、ST21は、当時入手可能な技術に根ざしつつも、多くが夢見たトムキャットの姿を表現している。多くの点で、技術がトムキャットの機体設計にようやく追いついた。ST21は、将来のアップグレードに余地を多く残し、その結果、個々の能力と戦力増強能力をさらに別のレベルへと引き上げることができたはずだ。

 

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

The Super Tomcat 21. , Hangar B Productions

 

 1990年代初頭、グラマンではNATFを含まない将来のロードマップとして、トムキャットの抜本的な改良案を検討していた。この機体は、NATFの先進技術を活用しトムキャットを全面的に再設計するもので、マクドネル・ダグラスがスーパーホーネットで行った内容を大幅に超える、高価な新造機となる可能性があった。

 現実には、ST21が調達されていたとしても、ASF-14のような形でST21後継機が開発される可能性は低かった。しかし、もし海軍が1990年代半ばにST21としてトムキャット・プラットフォームに大型投資を再開していれば、ボーイングがF-15SAやF-15QA、F-15XでF-15のラインに注入したのと同様の中期アップグレードを行う可能性が非常に高かったと思われる。これはおそらく、既存のST21機体を比較的経済的な方法で新技術アップグレードすることを意味する。

 こうした推測をもとに、2010年代までにST21がどのような機体に成長していたかを、慎重に、現実的に、そして合理的にまとめてみた。この機体を「スーパートムキャット2010」(ST2010)と名付けた。

 

Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions


 このアップグレードは、既存のST21を次のように拡張する想定だ。

  • アクティブ電子走査型アレイ(AESA)レーダー。F-14は、アメリカの戦闘機で最大のレーダー開口部を持つ。そのため、ST2010は世界の戦闘機の中で最も強力なAESAを搭載する。イーグルが使用しているAN/APG-63(V)3の改良型で、現在F-15Eが搭載しているAN/APG-82と同様にマルチモード機能を強化し、アンテナ配列を大きくしたものが、この要件を満たす最も可能性の高いシステムだっただろう。レドームは、AESAレーダーを搭載するため若干のデザイン変更となった。

  • スーパーホーネットに搭載されているAN/APX-111(V)「ピザボックス」IFF(Identification Friend or Foe)インタロゲータ/トランスポンダを、ST2010の機首の同じ位置に取り付けた。

  • 両クルーステーションには、デジタル・ジョイント・ヘルメット・マウント・キューイング・システム(D-JHMCS II)ヘルメット・マウント・ディスプレイ(暗視機能付き)が装備されている。AIM-9Xの全機能を搭載。

  • コックピットディスプレイをアップグレードし、RIOセクションの大型ディスプレイを強化。

  • スナイパーアドバンスドターゲティングポッドは、フォードエアロスペースのナイトアウルターゲティングポッドや、当時使用中のものを置き換えたものだ。航法ポッドはミッションの必要性に応じ保持または取り外される。

  • 視線を越えるSATCOM受信機能により、脅威、ブルーフォース追跡、重要な任務情報をリアルタイムでスーパートムキャットに送信できる。さらに、情報の一部をLink16接続で、見通し内の各種プラットフォームへ送信できる。EA-18G Growlerはこの機能を搭載しており、現在は第2世代になっている。

  • ミサイル接近警報システム(MAWS)。機首上部、機首下部ポッド、前縁グローブ、機体上部、機体下部、ST2010のツインテール上部に開口部を持ち、飛来するミサイルやその他脅威を総合的に状況把握できるシステム(将来的にはDASアップグレード可能)、機体の防御システムと連動している。

  • AN/ALE-47の消耗品対策能力を拡大。

  • ST2010の胴体下「トンネル」後部付近のハウジングに、完全統合された曳航式光ファイバーデコイを搭載。

  • デジタル飛行制御システムにより、操縦面と上部スピードブレーキ面のたわみを利用してスピードブレーキ機能を実行。

  • AN/AAS-44赤外線捜索・追跡システムをIRST-21に変更。

  • ミッション・コンピュータとグラフィック・ディスプレイ・プロセッサを更新。

  • 小口径爆弾、JSOW、SLAM-ER、WCMD、レーザーJDAMなど、最新のスタンドオフ兵器を統合。

  • デジタル電子戦システム 最新の完全統合型デジタル電子戦および脅威認識スイートで、対抗措置、曳航式デコイ、AESA電子戦モードなども制御する。RIOの大型ディスプレイにセンサー、電子戦装置、データリンク、衛星データリンクの情報を表示し、状況認識を最大限まで高め、ミッションマネージャーとして活動できる。


Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions

Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions

Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions

Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions

 

 ST2010では、戦闘能力より、戦力増強のプラットフォームとして何ができるかのほうが重要だ。この機体は、アメリカの戦闘機史上、最も強力なセンサー群を搭載する。最大のAESAアレイ、最新の赤外線サーチ&トラックセンサー、国防総省のネットワーク資産から脅威データやその他の情報を衛星経由で受信する能力、独自の高感度電子監視・戦争システムを持ち、ST2010はそのラインオブサイト内の低能力のその他プラットフォームにもデータをすべて流すことができる。このコンセプトは、アメリカ空軍がタロン・ヘイト・プログラムの一環としてF-15C/Dに適用しているため、それほどユニークなものではない。

 ST2010は、先進的なデジタル電子戦争システムだけでなく、消耗品対策、光ファイバーデコイ、大型コックピットディスプレイ、360度ミサイル接近警報システム(MAWS)などにより、前世代機より生存性が向上している。また、両コックピットにデジタルジョイント・ヘルメットマウント・キューイングシステムを搭載し、AIM-9Xの全機能を備えていることも特徴である。

Hypothetical Super Tomcat 2010, Hangar B Productions

 

 また、ナイトアウル照準ポッドをスナイパー・アドバンスト照準ポッドに交換し、JSOW、SDB、AIM-9X、AIM-120Dなど最新のスタンドオフ兵器を搭載できることも論理的な追加事項のひとつだ。ST2010は、大型ペイロードを搭載する重量物運搬車としての用途も考慮されている。ST2010は、極超音速兵器の運用機として、また、より伝統的な任務を遂行する上で、大きな有用性を見出すことができる。しかし、ST2010の仮想アップグレードは、運動性能だけでなく、高速飛行するセンサーやネットワーク・プラットフォームとして機能することを再度強調しておく必要がある。

 燃料を満載すれば、非常に長い滞空時間を持ち、ターゲットエリアへの進入・離脱時に自らを完全に保護できる。パイロットは空対空、空対地の脅威に対応し、RIOは航空団や統合軍全体の他の資産を可能にする戦いの「クォーターバック」となる。ST2010のAESAレーダーだけでも、空対空と空対地の機能をシームレスかつ同時に実行することが可能であり、何百マイルもの航続距離を持つレーダーとなる。ST2010は、必要であればミニAWACSとしても機能する。

 最も重要なのは、この10年の前半に成熟したか、成熟に近い状態にあった技術を搭載していることだ。このように、F-14のユニークな特性を生かしたローリスク・ハイリターンのアップグレードにより、大幅な能力アップを図る。

 

This patch would have been reason enough to build the ST21!, Hangar B Productions

 

 つまり、アメリカで最も愛されるジェット戦闘機で、何が可能であったかを示している。結局、海軍はスーパーホーネットという良い機体を手に入れたが、ST21が実現したはずのパフォーマンスやその他の重要特性の点では、比較にならない。もしかしたら、別の世界では、アップグレードされたF/A-18CやST21でデッキが埋め尽くされた原子力空母もあるかもしれない。現実のタイムラインにいる筆者たちにとってはただ熟考するだけであり、アダム・バーチは、壮大で非常に詳細なファッションでレンダリングしてくれた。■

 

筆者注:アダム・バーチに多大なる感謝を捧げます。一緒に仕事をするのにとても素晴らしい人です。この作品では、延々と続くメモや変更依頼など、多くのことに耐えてくれた。これらのデザインを完成させた裏に、およそ150通のメールがあった。本人の素晴らしい芸術的才能と航空宇宙への情熱を、このプロジェクトに注いでくれたことには、感謝してもしきれない。筆者にとって、まさに夢のようなプロジェクトです。

 Hangar-B ProductionsのInstagramとTwitterをフォローして、ウェブサイトもチェックしてみてください。また、この作品に採用されたF-14の標準的な3Dモデルを作成してくれたChris Khunの功績も称えたい。Chrisの作品はこちらでご覧いただけます。

 

This Is What Grumman's Proposed F-14 Super Tomcat 21 Would Have Actually Looked Like

BYTYLER ROGOWAYDEC 1, 2019 5:58 AM

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Contact the author: Tyler@thedrive.com



2022年9月16日金曜日

主張 米国防予算の増加に歯止めをかけ、国内案件に予算を捻出すべきだ。その対象は核兵器、海軍艦艇、F-35だ。

 

 

この国、いや、どの国でも同じだが、いくら国防費をかけても、完璧な安全保障は買えない

 

 

 

国では次年度の開始を控え、国防費が1兆ドルという途方もない額に近づこうとしている。なぜこんな事態になったのかを理解するためには、トランプ政権が発足した2017年1月にまで遡ることが重要である。

 ドナルド・トランプ前大統領は就任と同時に、軍の消耗が激しく、近代的で十分な装備がなく、大規模な即応性の危機に直面しているため、国防費を大幅に引き上げなければならないと主張した。しかし、デイヴィッド・ペトレイアス退役将軍やブルッキングス研究所のマイケル・オハンロンなど専門家が指摘したように、これは誤りであった。即応態勢の危機はなかった。実際、ペトレイアスやオハンロンによれば、トランプが当選したときの米軍の状態は「最高」だった。にもかかわらず、トランプは就任1年目に国防費を710億ドル(11%)増やした。任期を終えるまでに、トランプは国防予算を1000億ドル近く増やし、総額約7400億ドルにした。

 トランプの劇的な歳出増加の結果、多くのアナリストや政治指導者は、2020年に民主党が勝利すれば、国防費は削減されるか、最低でも急成長は止まると考えた。実際、2020年の民主党綱領では、国防予算はすでに高すぎると主張され、当時の候補者ジョー・バイデンは、トランプは国防費に関して財政規律をすべて放棄したと主張していた。

 最終的にバイデンが選挙に勝利し、民主党が議会を掌握すると、多くのアナリストは年間の国防費を10%も削減し、7000億ドル以下に巻き戻すと考えた。この額は、トランプの第3代国家安全保障顧問でネオコンのタカ派、ジョン・ボルトン大使でさえ、国家の安全を確保するのに十分と主張していた額である。

 しかし、常識に反し、これは実現していない。実際、バイデン政権による最初の2年の予算は、トランプの4回の予算より国防費を増加させる結果になりそうだ。

 2021年4月、バイデンは国防費を7410億ドルから7530億ドルに増やすことを提案し、2023年度にはさらに270億ドル増やすと予測した。一方、議会はバイデン提案に250億ドルを追加し、2022年度の国防予算は7780億ドルとなり、トランプの前回予算より370億ドル、バイデンの2023年度の支出予測より70億ドル多くなった。

 

 2022年10月1日に始まる2023年度で、バイデン政権は国防費のエスカレーションを続けている。国防費は8,130億ドルである。この増加は、インフレ率の上昇(2023年度予算では国防総省のインフレ率を2.3%と想定)や、別途予算が組まれているウクライナ戦争とは無関係である。

 バイデンの予測より430億ドル(6%)の増加であっても、バイデンは党内の国防予算タカ派を満足させるには十分ではなかった。上院と下院の各軍事委員会は、バイデン案に450億ドルと370億ドルをすでに追加している。これにより、2023年度の国防費は8500億ドル以上となり、トランプが最初に編成した2017年度国防予算を2000億ドル以上も上回ることになる。この数字には、国防総省が毎年費やす軍人の退職金の償却費1000億ドルや、退役軍人庁が毎年費やしている3000億ドル以上の経費も含まれていない。インフレ調整、あるいは米国がウクライナに送り、今後も送り続ける装備品の交換のため、数十億ドルの追加が必要である。

 国防費は裁量予算の大きな割合を占めているため、気候変動、学生の債務免除、インフラ、インフレ上昇など他の優先事項に集中したいのであれば、最終的には国防費を抑制する必要がある。ジェームズ・インホフ上院議員(共和党)、ジャレッド・ゴールデン下院議員(民主党)、マイケル・ターナー下院議員(共和党)、エレイン・ルリア下院議員(民主党)など、上下両院の軍事委員会の国防タカ派は、中国やロシアの脅威が増している今、それを行う時ではないと主張するだろう。 しかし、中国の年間国防予算は増加しているとはいえ、2970億ドルだ。ロシアは660億ドルに過ぎない。ある試算によれば、米国はすでに世界の他の国々を合わせたのとほぼ同じ規模の国防費を費やしている。

 さらに、中国やロシアが米国の国益に対して軍事行動を起こした場合、米国には中国やロシアと異なり、それを支援する同盟国がある。例えば太平洋地域では、米国はインド、オーストラリア、日本を含むQUADの一員であり、3カ国合計で年間2000億ドル近い防衛費を費やしている。ヨーロッパでは、米国はNATO同盟を結んでおり、加盟29カ国はロシアよりはるかに多くの防衛費を費やしている。英国、ドイツ、フランスという欧州における米国の3大同盟国だけでも、ロシアの2倍以上の国防費を毎年支出している。

 国防予算削減は国家安全保障を脅かすと言う人もいるかもしれないが、この国が、あるいはどの国がいくら国防費を費やしても、完璧な安全は買えないというのが実情だ。冷戦の最中でも、大統領は、軍が国家を守るために不可欠だと主張するすべてのプログラムに資金を提供することは拒否した。例えば、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、州間高速道路システムのような国内プログラムにはすべて資金を提供し、バランス予算案の残りを軍に与えた。その結果、アイゼンハワー政権の終わりには、国防費は朝鮮戦争時の水準から40%減少した。

 同様に、レーガン大統領は1期目に国防費を大幅に増やしたが、2期目には深刻化する財政赤字に対処するため、国防費を10%削減した。マーク・ミーリー将軍やマイク・マレン元議長など、現役退役軍人でさえ、赤字の増大は国家安全保障に対する脅威であり、赤字削減プログラムの一環として国防費を削減する必要があると主張しているだ。

 国防総省は運営を改善し、無駄を省くことに加え、国家安全保障を脅かさずに特定のプログラムを削減できる。国防総省が大幅な削減を行える主要な分野は少なくとも3つある。まず、核兵器だ。トランプ大統領は、核三本柱の3つすべてを近代化し、新たに2種類の戦術核兵器を製造することを提案した。バイデン大統領は、戦術核兵器を1種類のみ中止する提案をしたが、3本柱すべてを近代化したいとしている。元国防長官で核兵器の専門家であるウィリアム・ペリーが推奨するように、戦術核兵器と陸上兵器の両方を中止すれば、10年間で3000億ドル近くを節約することができる。

 第二に、大統領は、沿岸戦闘艦(LCS)のような無関係で旧型となった海軍の艦船を退役させ、節約分を新しい近代的な艦船の建造に充てるべきだ。24 隻の LCS を退役させれば36 億ドルの節約になる。さらに、戦争の英雄で元海軍飛行士の故ジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)の助言に従い、130億ドルのフォード級空母のような大型空母の建造をやめるべきだろう。また、海兵隊が水陸両用上陸作戦を放棄する新戦略をとっているので、キャスリーン・ヒックス国防副長官が推奨するように、海軍は大型揚陸強襲艦を削減できる。

 3つ目は、F-35戦闘機の生産を現在の年間85機から、年間50機以下に減速することである。そうすることで、年間50億ドルを節約できるだけでなく、エンジニア陣はF-35の問題をより効果的に解決できるようになる。下院軍事委員会の委員長アダム・スミス議員(民主党、ワシントン州)は、このまま製造を続けるのはネズミの穴に金を流し込むようなものだと主張している。

 バイデン政権と議会は、上記重要3分野の国防予算を削減するべきだ。そうすることは、国のためになり、国家安全保障を危険にさらさず、米国は、一般のアメリカ国民を助ける別の重要プログラムへの資金供給が可能になる。■

 

The Case for Reducing Defense Spending | The National Interest

by Lawrence J. Korb

September 9, 2022  Topic: Defense Spending  Region: Americas  Tags: Defense SpendingMilitaryGreat Power CompetitionU.S. MilitaryF-35

 

Lawrence J. Korb is a senior fellow at the Center for American Progress and a former Assistant Secretary of Defense.

 


日米防衛トップ会談、中露海軍の日本周辺での動き、インド太平洋で展開中の国際演習など今週の海を巡る動き

 

ロイド・オースティン国防長官は、浜田靖一防衛大臣を迎え、ペンタゴンで会談を行った(2022年9月14日、ワシントンD.C. )。 (DoD photo by Lisa Ferdinando)

 

 

イド・オースティン国防長官と浜田靖一防衛相は14日、8月の浜田氏就任後初の防衛長官会談で、同盟関係へのコミットメントを再確認した。

 

オースティン長官は歓迎あいさつで、「日米同盟はインド太平洋の平和と繁栄の礎であり、両国は深い友情と信頼で結ばれている」と述べした。日米両国は共通の利益を持ち、自由で開かれたインド太平洋とルールに基づく国際秩序というビジョンを共有していると、長官は付け加えた。

 

「しかし、中国の最近の攻撃的な行動とロシアのウクライナへのいわれなき侵攻は、そのビジョンへの深刻な挑戦だ」とオースティン長官は述べた。「したがって、はっきりさせておこう。台湾海峡や日本近海における中国の強圧的な行動は、挑発的であり、不安定化させ、前代未聞のものだ」。

 

浜田防衛相は、「ロシアのウクライナへの侵略、中国の弾道ミサイルの日本近海への着弾、中国とロシアの日本周辺での合同演習など、日米同盟にとって懸念される出来事が次々と起きている。世界のいかなる場所でも、現状を変えようとする一方的な試みは決して容認できない」と述べた。

 

オースティン長官は、日本の防衛への米国の揺るぎないコミットメントを再確認した。ここには、「通常戦力と核戦力の全範囲を用いた」信頼性と弾力性のある拡大抑止への米国のコミットメントを含む。浜田防衛相は、核戦力を含む拡大抑止が信頼性と回復力を維持できるようオースティン長官と協力すると述べた。

 

防衛省発表によると、両氏は95分にわたり、さまざまな議題を議論した。両防衛トップは、中国による先月の弾道ミサイル発射やロシアのウクライナ侵攻を批判し、台湾海峡の静穏維持がいかに重要かを強調した。

 

「北朝鮮の核・ミサイル問題については、8月のミサイル警戒演習(パシフィック・ドラゴン)における日米韓の演習を歓迎した。両名は、北朝鮮の挑発的な行動に協調して迅速に対応するため、日米二国間及び日米韓三国間の協力を一層緊密化することを確認した」と発表した。

 

合同海軍パトロール二回目など中露海軍の動き

 

一方、ロシア国防省は2日、ロシアと中国が太平洋で海軍の合同パトロールを実施中と発表した。同省は発表の中で、「国際軍事協力プログラムの実施の一環として、ロシア海軍と中国人民解放軍海軍の艦艇は、太平洋で2回目の合同パトロールを行っている」と述べ、パトロールの任務は、ロシアと中国の海軍協力を強化し、アジア太平洋地域の平和と安定を維持し、海域を監視し、ロシアと中国の海洋経済活動を保護するためと付け加えた。

 

ロシア海軍の艦艇には、駆逐艦「マルシャルシャポシニコフ」Marshal Shaposhnikov(543)、コルベット「ソベルシェヌイ」Sovershennyy(333)、「グロムキ」Gromkiy(335)、「ロシア連邦英雄アルダー・テュデンツァポフ」Aldar Tsydenzhapov(339)、補給艦「ペチャンガ」などが含まれている。人民解放軍は、駆逐艦CNS 南昌Nanchang(101)、フリゲート艦CNS 塩城Yancheng(546)、補給艦 CNS 東平湖Dongpinghu(902) で構成されている。

 

中国の三隻は、9 月 7日終了したロシアの Vostok 2022 戦略訓練に参加した。PLAN艦船は、Sovershennyy、Gromkiy、ロシア連邦の英雄Aldar Tsydenzhapovとともに、9月3日に日本海で訓練と実射を行い、翌日ラペルーズ(宗谷)海峡を東に航行した。ロシアと中国の艦艇が合同で海軍のパトロールを行うのは、昨年10月に続き2回目だ。

 

同時に、別のロシアとPLANの船が日本周辺で活動しており、防衛省によると、PLAN水路調査船が木曜日に日本の領海を侵犯した。現地時間の同日午前3時30分に、大隅諸島の種子島の南南東の日本の連続水域を西向きに航行するシューパン級調査船が目撃された。その後、午前7時20分に屋久島の南で日本領海に入り、午前10時52分に口永良部島の西で日本の領海を出た。海上自衛隊鹿屋基地の海上自衛隊護衛艦「いなずま」(DD-105)と第1航空団のP-1海上哨戒機(MPA)がPLAN艦を監視している。日本のメディアは、東京がこの件で外交的な抗議を行ったと報じている。

 

一方、防衛省統合幕僚監部は、ロシア海軍と PLAN の艦船が別々に日本付近を通過したことを報じるニュースリリースを発表した。統合幕僚監部発表によると、現地時間の日曜日午前8時、ロシア海軍のコルベット2隻が北海道礼文島の北西50キロの海域を東に航行しているのが目撃された。船体番号と画像から、RFS R-29 (916)とRFS R-261 (991)だと確認された。その後、両艦は、高速ミサイル艇「くまたか」(PG-827)と海上自衛隊八戸航空基地所属の第2航空団(P-3Cオリオン)のMPAが監視する中、ラ・ペルーズ海峡を東に航行した。

 

現地時間1日午後2時、中国海軍の駆逐艦2隻が奄美大島と横手島の間の海域を北東に航行し、太平洋に入った。船体番号と画像から、PLAN駆逐艦はCNS長春 Changchun(150)とCNS 鄭州 Zhengzhou(151)であることが確認された。日本の駆逐艦「ふゆづき」(DD-118)と「ゆうぎり」(DD-153)がPLAN艦船を追跡した。水曜日の午前7時、PLAN駆逐艦2隻が宮古海峡を北西に航行し、東シナ海に入ったのが目撃されたと、同日のJSO発表が伝えている。

 

海上自衛隊のインド太平洋派遣部隊

 

一方、海上自衛隊のインド太平洋派遣2022(IPD22)の第一水上部隊を構成する日本のヘリ空母「いずも」(DDH-183)と護衛艦「たかなみ」(DD-110)は、先週、南シナ海で米海軍、カナダ海軍とノーブルレイブン22演習を行った後、インド海軍とベンガル湾で演習を行っている。

 

火曜日に発表された海上自衛隊ニュースリリースによると、日曜日から土曜日まで、海上自衛隊はインド海軍と2022年日印共同海洋演習(JIMEX2022)を行う。その目的は、海上自衛隊の戦術的能力の向上とインド海軍との相互運用性の向上だ。「いずも」と「たかなみ」は、駆逐艦INS Ranvijay(D55)、フリゲート艦INS Sahyadri(F49)、コルベットINS Kadmatt(P29)とINS Kavaratti(P31)、洋上パトロール艦 INS Sukanya(P50)、補給艦 INS Jyoti(A58)および潜水艦と訓練を行う。インド海軍からは、Mig-29K 戦闘機、P-8I ポセイドン海上哨戒機(MPA)、Do-228 MPA も参加している。リリースによると、演習での訓練活動は、対潜水艦戦、水上砲撃戦、防空戦、洋上補給、対空砲撃戦など。

 

IPD22は、2019年から毎年実施されている、6月13日から10月28日までの4か月間にわたるインド太平洋地域全域への海上自衛隊の派遣である。今年は水上部隊2個が含まれ、第1水上部隊には「いずも」と「たかなみ」、第2水上部隊には護衛艦「JSきりさめ」(DD-104)が含まれる。海上自衛隊の潜水艦、P-1 MPA、UP-3Dオリオン電子情報練習機、US-2捜索救難水上機も派遣されるが、潜水艦と航空機は水上部隊の一部との交戦にのみ参加する。第2水上部隊の「きりさめ」は、パプアニューギニアのポートモレスビーを経て9月6日に出港し、現在は9月12日から24日まで行われるオーストラリア海軍のカカドゥ2022(KA22)演習のためダーウィンに寄港中。

 

 

カカドゥ2022演習

 

オーストラリア国防総省のニュースリリースによると、「20カ国以上から15隻以上の艦船、30機以上の航空機、約3,000人の要員が訓練に参加する」という。この発表では、どの艦船と国が参加するのかは明らかにされていなかった。

 

その後、オーストラリア海軍のソーシャルメディア投稿で、参加国名が発表された。オーストラリア、ブルネイ、チリ、クック諸島、フィジー、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、パキスタン、パラオ、フィリピン、サモア、ソロモン諸島、タイ、東ティモール、英国、アラブ首長国連邦、米国、バヌアツだ。

 

オーストラリア艦隊司令官ジョナサン・アーリー少将は、「カカドゥ演習は、地域のパートナーが複合環境下で、治安維持活動からハイエンドの海上戦まで、多国籍の海上活動を行う素晴らしい機会を提供する」と、オーストラリア国防総省のニュースリリースで述べている。

 

フィジー、フランス、インド、インドネシア、マレーシアの数カ国は、この演習への参加を既に発表している。フィジーは、巡視船 RFNS Savenaca(401)で参加し、フィジー海軍のソーシャルメディアによれば、米国沿岸警備隊カッター Oliver Henry(WPC-1140)も参加することある。フランスは、フリゲート Vendémiaire(F734)を派遣し、インドはフリゲート INS Satpura(F48)とインド海軍 P-8I MPA で参加する。

 

このうちサトプラは5月末から太平洋に長期展開中で、環太平洋2022演習へも参加した。ダーウィンに到着する前、同フリゲート艦は、9 月 1 日から 3 日までフィジーに寄港した。

 

インドネシアとマレーシアは、それぞれフリゲート艦を派遣している。KRI Raden Eddy Martadinata (331)と KD Lekiu (FFGH30)がそれぞれ派遣された。Lekiu は日曜日、補給艦 HMAS Stalwart(A304)と洋上補給の演習を行った。■

 

U.S., Japanese Defense Chiefs Reaffirm Alliance in Pentagon Meeting - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

September 15, 2022 5:51 PM


ロシアは受刑者までウクライナ戦線に動員しようとしている

 Russia Doing ‘The Dirty Dozen’ Recruiting Inmates To Fight In Ukraine


プーチンの側近エフゲニー・プリゴジンが、ロシア受刑者にウクライナでの兵役を売り込む動画のスクリーンショット capture via Twitter


 

務所内の受刑者を説得し戦わせることは、しばしば苦肉の策と見なされ、ハリウッド映画でよく見られる。

 

 

「特攻大作戦ダーティ・ダズン」や「スーサイド・スクワッド」に出てくるようなシーンで、ウラジーミル・プーチンの側近が、受刑者だらけの刑務所の庭で戦闘任務を持ちかけ、低迷するロシア軍の侵攻に貢献することで刑の免除を約束する。

 

ロシアのオリガルヒでプーチン側近さらに、同国の軍事情報機関GRUとつながりのあるエフゲニー・ビクトロビッチ・プリゴジンYevgeny Viktorovich Prigozhinが、ロシア刑務所の受刑者を表向き民間軍事会社のワグナーグループで働くよう勧誘する姿をビデオで見ることができる。ワグナーはクレムリンやGRUとも関係があり、その他類似組織もロシアの近年の戦争すべてで任務に就いている。

 

プリゴジンの受刑者への働きかけは、いささか見当違いかもしれない。オンライン翻訳によると、彼は「戦争は重い」「チェチェンのようなことはない」と言っている。100万人以上のソ連軍が犠牲になった伝説的な残忍な1943年のスターリングラードの戦いより多くの砲弾が発射されていると主張した。ナチスとその同盟国は80万人ほどの死傷者を出した。

 

ハリウッドなら、このようなシーンは、端役の、時には破天荒な、あるいは不名誉な将校が、堅物の犯罪者を、信じられない報酬が期待できる一見不可能な任務を進んで引き受けるチームに形成する任務として描く。「特攻大作戦」では、恩赦と引き換えに、Dデイ直前にフランスでナチス幹部が集まるシャトーに潜入し、破壊するよう12人が依頼された。こうしたミッションは常に極秘であり、隊員にはほぼ間違いなく片道切符である。

 

そのシナリオが白昼堂々と演じられ、撮影され、ソーシャルメディアに投稿されているのである。

 

現実の世界でも、冤罪を晴らしたい囚人にとって兵役は選択肢の一つであった。例えば、ベトナム戦争では、アメリカの犯罪者に兵役に就く選択肢があった。そのバリエーションは、歴史的に見ても多い。ソ連は第二次世界大戦中、ナチスと同じようにシトラフバット(流刑大隊)を組織した。ディルレヴァンガー旅団は、殺人やその他の重大犯罪で有罪判決を受けた者を集めたワッフェンSS部隊で、特に悪名高く、多くの戦争犯罪の直接の原因になった。

 

ロシア軍に採用され、過去の犯罪に対する恩赦申し出を受けている兵士たちは、爆発的で死ぬか死ぬかの任務に就くためではなく、この場合、ロシア自身が作り出した肉挽き機に送り込まれるのである。

 

退役陸軍大将で前米国陸軍欧州軍司令官マーク・ハートリングMark Hertlingは、この動きを「正式な友愛」と呼んだ。

 

ビデオの中でプリゴジンは、兵役に就いた受刑者が守らるべき規則を明示している。最初の「罪」は脱走で、これはどの軍隊でもある。ただし、降伏や捕虜になることは許されないとのソ連時代の掟がある。ワグナーに徴兵された最初の受刑者40人は、彼とウクライナの塹壕を襲撃し、戦死者3名と7人の負傷者を出した。

 

「誰も牢屋には戻れない」と彼は言う。「6カ月兵役に就けば、自由になれる。ウクライナに着いて、自分には合わないと思った者は処刑する」。

 

アルコールと薬物の乱用は、徴兵者がその毒に溺れない限り、問題ない。略奪や性的暴行はアウトだが、性的虐待で投獄された者は「間違いは起こるもの」と免責される。そして、任務を明確に説明する。

 

「ほしいのは攻撃部隊だけだ」

 

徴兵制への依存は何も新しくないが、ロシアが未訓練の兵士で隊を補充する必要性に迫られているのは、モスクワがいかに絶望的になっているかを示しているようだ。ロシアは2月のウクライナ侵攻に先立ち、数十万人の兵力を確保していたはずだ。おそらく数万人の兵士を失い、補充する必要がある上に、指定期間を終えた兵士がいるため、権力者は明らかに、見つけられる限りの新人を漁るよう迫られている。

 

恐ろしい売り込みを受け、受刑囚で何人が取引に応じたかが興味深いところだ。■

 

 

Russia Doing ‘The Dirty Dozen’ Recruiting Inmates To Fight In Ukraine

BYDAN PARSONSSEP 14, 2022 9:02 PM

THE WAR ZONE

https://www.thedrive.com/the-war-zone/russia-doing-the-dirty-dozen-recruiting-inmates-to-fight-in-ukraine