2022年11月6日日曜日

北朝鮮の7回目核実験が実施されたら---さらに核融合爆弾実験に進展したら....考えられる域内安全保障環境の変化

  

North Korean Missile Launch. Image Credit: Creative Commons.

 

韓の情報機関は北朝鮮が核実験を行いそうだとほのめかしている。北朝鮮がミサイル実験を繰り返し行ったため、憶測が広がっている。北朝鮮はこれまで核実験を6回行っている。2017年以降は弾頭実験を行っていない。北朝鮮の最高指導者金正恩は、ドナルド・トランプ米大統領や韓国の文在寅大統領との外交を円滑に進めるため実験を停止した。

 交渉が失敗したのは、金正恩がトランプに真剣な譲歩を示さなかったことが一因だ。北朝鮮は、核兵器を放棄する交渉は望んでいない。米国は交渉したいが、核を含む交渉を望んでいる。北はその気がなく、代わりに執拗な実験によって、自国を核兵器国として受け入れるよう米国、韓国、日本強要しようとしている。

 今年行われたミサイル発射実験やその他挑発行為の論理的な次のステップは、核実験だ。その目的は、7回目の核実験に向けた地ならしかもしれない。

 

次の核実験のねらいは

北朝鮮の核兵器は現在、かなり確立され、機能している。つまり、北朝鮮は原爆を製造し、ミサイルが再突入する技術を有しているると、外部アナリストは確信している。北朝鮮は北東アジアの都市以外に、おそらく米国本土も攻撃できる。最重要の技術的障壁を越えたのだ。おそらく弾頭30から50発と数百基のミサイルを保有している。

 これまでの核実験による地殻変動から、1945年に広島に投下された原爆の10倍の威力を持つ原爆を保有している可能性がある。また、核分裂による原子爆弾に限定している可能性も高い。この基本的な核技術が、北朝鮮の核弾頭の収量(連鎖反応によるエネルギー放出量)を制限している。

 したがって、北朝鮮が再び核実験を行う場合、最も重要な問題は、平壌が核融合兵器にステップアップできるかどうかだ。そうなれば、北朝鮮の核兵器による都市攻撃の破壊力は飛躍的に高まる。この種の兵器が韓国や日本の都市に複数回使用されれば、社会秩序は崩壊し、国家が崩壊する可能性さえある。北朝鮮の核兵器に対して、さらに過激でリスクの高い対応を求める圧力が高まるだろう。

 

北朝鮮の核実験にどう対応すべきか

これまでと同様、北朝鮮の核実験に対応する選択肢は限られている。

 過去6回の実験は抑止できなかった。7回目もおそらく阻止できないだろう。軍事攻撃以外の方法でこれを阻止できるかは不明である。もちろん、韓国や日本、米国の都市が危険にさらされることになり、非常に危険である。米国はキューバ危機以来、核拡散を防ぐため武力による威嚇を本格的に実施したことがない。今回も同様だろう。北朝鮮の核と不本意ながらも共存することを学ぶことになりそうだ。

 しかし、対応が皆無なわけではないし、問題が悪化するにつれて対応案も過激になっていくだろう。北朝鮮が核兵器やミサイルを作れば作るほど、容赦なく無謀にも甚大な破壊力を持つ兵器を開発し、特に韓国と日本でこれまで考えられなかったようなオプションを検討する動機付けになる。理想的なのは、北の核開発計画に上限を設け、何らかの検証や監視を含む取引を北と交渉することだ。しかし、その可能性は極めて低く、軍事的なオプションの議論が強まるだろう。

 核融合実験が起きれば、危険度はさらに増し、次のような危険なオプションが考えられる。

- 大規模なミサイル防衛の強化。ミサイル防衛は残念ながらうまく機能しないし、北朝鮮もその能力を知っている。しかし、何もしないよりはましである。韓国と日本の都市はミサイル攻撃に裸同然であり、北朝鮮の核融合兵器は脆弱性をさらに強める。

- 韓国と日本の核武装。韓国でこの議論が見られる。米国は反対しているが、韓国人の70%は支持している。7回目の核実験、特に核融合兵器の実験になれば、その割合はさらに高くなる。

- 北朝鮮の港を封鎖する。これは、上の防御的な2つの行動より攻撃的な行動だ。キューバ・ミサイル危機の際の米国の戦略であり、キューバ侵攻の代替案だった。北朝鮮が巨大な破壊力を持つ兵器の製造を断固として止めなければ、部品や材料の流入を阻止することが選択肢として出てくる。北朝鮮経済への制裁は、この流入を阻止するためのものだが、中国やロシアが効果的に執行していない。

- 北朝鮮ミサイル基地への空爆。韓国の現大統領が今年初めにこれを提案した。これは非常にリスクが高い。防ごうとしている戦争そのものに火をつけかねない。しかし、韓国が絶望的な状況に追い込まれていることの表れである。

 以上のオプションは全部ひどい。いずれも大規模なエスカレーションを意味する。しかし、減速を断固拒否する北朝鮮のため、よりタカ派的な戦術の議論が活発になろう。7回目の核実験が熱核爆弾による大規模収量を伴う核実験となれば、パラノイアはさらに増大するだろう。北朝鮮、そして制裁を行わず受動的に支援している中国とロシアが責められることになる。■

 

North Korea Could Soon Test a Nuclear Weapon: The Before and After - 19FortyFive

ByRobert Kelly

 

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is now a 1945 Contributing Editor as well. 


2022年11月5日土曜日

インドネシアF-15EX購入で支払い能力にボーイングが懸念。総額1兆円。同国は分割払いを主張。

 


米空軍第48戦闘航空団が、英サフォーク州ブランドン近郊の英空軍レイケンヒースの米軍基地からNAT合同演習「ポイントブランク」に参加すべく、ボーイングF15-Eストライクイーグル戦闘機が離陸した。Photographer: Simon Dawson/Bloomberg , Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

 

ーイングが提案した、インドネシアへの新型F-15戦闘機36機と装備品の売却は、資金調達をめぐる暗礁に乗り上げていると、関係者が語った。

 ボーイング幹部は今週ジャカルタに飛び、インドネシア政府関係者とこの取引で協議したと、関係者は述べた。

 ボーイングは、東南アジア最大の経済大国インドネシアが購入資金を調達できるか懸念しており、インドネシア側は分割払いを主張している、と関係者は語った。会議は決定的な成果なしで終わり、今年末までの契約締結はおそらく延期されるだろう、と言う。 

 地政学的に、この発注は、同地域の重要なパートナー強化する意味で、アメリカの国益に極めて重要である。国務省は2月に売却を承認しており、機体の評価額は約95億ドル(約1兆円)。また、取引では約44億ドルの関連機器も別にある。

 ボーイング広報は、インドネシアの空軍および国防省の「高官と有意義で生産的な会話を続けている」と述べ、ブルームバーグ・ニュースに対し、米国およびインドネシア政府にさらなるコメントを求めていると伝えてきた。インドネシア国防省には、コメントを求めたが返答はなかった。

 インドネシアは今年初め、ダッソー・エイヴィエーションSAとラファール戦闘機42機(81億ドル相当)の契約に調印している。

 先月末、インドネシアのプラボウォ・スビアント国防相は、ボーイングとの交渉が進行中であると述べた。また、資金調達に関する課題も示唆した。

 プラボウォは当時、地元記者とのメディアブリーフィングで、「一度に購入することはできないが、分割払いが必要と明確に要請した」と述べた。「政府は常に経済発展などを優先しています」。"

 インドネシアにとって、F-15購入は軍の近代化の一部である。しかし、パンデミックによる財政圧迫、インフレの高騰、インフラ・プロジェクトの完了を考えると、軍隊は財源で他部門と競わなければならないことになる。■

Boeing’s $14 Billion Indonesia Jet Deal Stalls Over Financing - BNN Bloomberg

Anurag Kotoky and Faris Mokhtar, Bloomberg News

 


F-35機数よりパイロット数が少ない---英国の苦しい国防の実態。さらにインフレが悪影響を与える。

 

Credit: U.S. Air Force

 

国のF-35共用戦闘機の機数がパイロット数を上回っていると、ベン・ウォレス国防長官が述べ、軍のパイロット訓練の問題に光を当てている。

 

11月1日、ウォレスは上院の国際関係・防衛委員会に証拠を提出し、英軍のF-35部隊は、パイロット訓練教官が不足している一方で、教官を生み出すパイロット母体も十分にいない「キャッチ22」状態だと述べた。

「パイロット数よりF-35の機数の方が多い」とウォレスは述べ、パイロット供給のパイプラインは「私が望むよう姿でない」と付け加えた。

英国はロッキード・マーチンF-35Bを26機保有しており、23機が英国に、3機は試験・評価作業で米国に駐機している。さらに22機が発注中である。

10月の国会議員からの質問への回答では、回転翼機パイロットの訓練に7年近く、高速ジェット機のパイロットに5年かかっていることが明らかにされた。

ここまで長いスケジュールは、新たに資格を得たパイロットが作戦転換ユニットで第一線機の訓練を開始するまでの長い待ち時間でさらに悪化し、F-35パイロットは12カ月も待たされている。

ウォレスは、F-35パイロットの不足が空母運用の再開に影響しており、F-35飛行隊の海上運用が制限される可能性があると付け加えた。

英国は依然として、2023年第2四半期にF-35の第2前線部隊として809海軍航空隊を編成する計画だが、財政難のため第1トランクの納入スケジュールは遅々としている。

9月、国防相は、高速ジェット機訓練に使用されるホークT2機でロールス・ロイス/サフランのアドゥールエンジンに問題があるため、高速ジェット機訓練が最大3年遅れる可能性があることを明らかにした。  

閣僚は、RAFは最前線の作戦行動に対応でき、資格を持つ航空機乗務員が十分いると主張しているが、保有時間と訓練時間を短縮するため、他の訓練提供者を検討する措置をとっているという。 

検討中の選択肢には、米国で行われる欧州・北大西洋合同ジェット機パイロット訓練プログラムに訓練生を派遣することや、訓練スループットを高めるため英国とカタールの共同訓練ユニットの使用を前倒しすることも含まれる。 

また、Operational Conversion Unitのシラバスを短縮し、シンセティック・トレーニングを活用する作業も進行中だ。 

今後については、特にロシアのウクライナ侵攻以来、防衛が英国政府の資金調達の優先順位を上げたことには満足しているという。しかし、新首相に就任したリシ・スナックが、前任のリズ・トラスが提案した国内総生産3%という国防費目標をどう見るかについては、不明だ。

ウォレスは、政府が新規建造艦艇など大規模プロジェクトの実現を目指すなかで、インフレが国防費に与える影響が「私の最大の敵」だ語った。ウォレスの希望は、国防が為替レートやインフレの変動から隔離され、昨年発表された統合的レビューと国防指針の目的を達成するため十分な資金を受け取ることにある。■

UK Has More F-35s Than Pilots To Fly Them | Aviation Week Network

Tony Osborne November 02, 2022

 

 

Tony Osborne

Based in London, Tony covers European defense programs. Prior to joining Aviation Week in November 2012, Tony was at Shephard Media Group where he was deputy editor for Rotorhub and Defence Helicopter magazines.


イタリア空軍がKC-46Bを6機導入へ。KC-767は全廃

 Main image: KC-46A (USAF). In the boxes: Italian Air Force KC-767A (image credit: Author)

 

 

イタリアがボーイングKC-46Aオペレーターになる。新型ペガサスはKC-767Bの呼称へ。

 

 

タリア政府が今夏発表した2022年-2024年のDPPD(Documento Programmatico Pluriennale della Difesa)、つまりイタリア軍の戦力維持と近代化に必要な資金を示す文書では、イタリア空軍のいわゆる大型マルチロール輸送能力を高めるため、KC-46タンカーを2機新しく導入するとともに運用中のKC-767Aタンカー4機を同水準までアップグレードする防衛省(MOD)の意思が示されていた。

 

DPPDではこの調達に関する追加的な詳細の説明がなかった。しかし2022年11月2日、国防総局・国家軍備総局(SEGREDIFESA)の航空軍備総局(ARMAEREO)は、「イタリア空軍ヘビー・マルチロール・タンカー機材の更新・強化・統合後方支援」に関する予備報告書を公表した。

 

報告書によると、2機のKC-767Aを新規調達し、これらと既存4機を最新の構成規格(KC-46A)にアップグレードするとした当初の計画は、プロジェクトを評価する役割を担う特別委員会により実現不可能だとわかった。目標を達成する唯一の実行可能な解決策は、現在米空軍が運用中のと同じ規格の新しい航空機(文書ではKC-767Bと呼び、これがイタリア空軍の新タンカーの名称となることが示されている)6機を購入することとある。

実は、KC-767Aをペガサス規格にアップグレードすることは、当初から困難な作業であったようだ。KC-767Aは、民間のB-767-200ER(Extended Range)をベースに、KC-10と同様の第6世代フライングブームと3つのホース&ドローグステーション(WARPs:Wing Air Refueling Pods)を装備している。ボーイング767の派生型でありながらKC-46Aペガサスは胴体のストレッチ、エンジン、コックピット、翼、ブームの違いがあり、共通点もあるものの、ほとんど全く別のタンカーと言える。レセプタクル装備機とIFR(In-Flight Refueling)プローブを装備機の両方に給油できる。また、タンカー自身がレセプタクルを装備しており、他のタンカーから給油を受け、航続距離(あるいは滞空時間)を延ばすことも可能だ。

2002年に発注し、2011年から2012年にかけ納入されたKC-767Aは、ローマ近郊のプラティカ・ディ・マーレ空軍基地の14°ストーモ(飛行隊)に所属し、8°グルッポ(飛行隊)が飛行しているが、下取りでボーイングに返還されることになる。

新型タンカー計画は11億2千万ユーロ(5年間の総合後方支援と、FMSによる自己防衛・通信システム、戦術データリンク、任務計画プラットフォームなどの重要装備の購入を含む)で、2023年4月開始され2035年終了の予定だ。

KC-767B/KC-46Aの導入は、KC-767のオペレータ日本がKC-46ペガサスを選択したのと同じアプローチだ。■

Italy Will Buy Six KC-46 Tankers To Replace Its KC-767As - The Aviationist

November 3, 2022 Italian Air Force, Military Aviation

DAVID CENCIOTTI

About David Cenciotti

David Cenciotti is a journalist based in Rome, Italy. He is the Founder and Editor of “The Aviationist”, one of the world’s most famous and read military aviation blogs. Since 1996, he has written for major worldwide magazines, including Air Forces Monthly, Combat Aircraft, and many others, covering aviation, defense, war, industry, intelligence, crime and cyberwar. He has reported from the U.S., Europe, Australia and Syria, and flown several combat planes with different air forces. He is a former 2nd Lt. of the Italian Air Force, a private pilot and a graduate in Computer Engineering. He has written five books and contributed to many more ones.


ウクライナ前経済相に聞く。経済復興コストの概算、戦後復興。ウクライナ経済が戦時中に変貌の兆し。今冬を乗り越えるのが正念場。戦後も国際支援が必要。

 

War in Ukraine. Image Credit: Creative Commons.

ウクライナは戦場でロシア侵攻を退ける目覚ましい成果を上げているが、プーチンの猛攻により、人命、都市、農地が大規模に破壊されている

地上では、ロシア軍が各地の民家を略奪し、地雷と砲撃で広大な農地を使用不能にしている。さらに、モスクワは盗んだ穀物を海外に輸出し、7月にトルコが世界的な飢饉を回避する取引を行うまで、ウクライナ自身の出荷を封鎖していた。

工場、燃料や穀物の貯蔵所、鉄道の分岐点、ショッピングモールなど商業施設を狙うミサイル攻撃が経済を疲弊させている。長距離ミサイルの在庫が少なくなっても、モスクワは10月にウクライナのエネルギー部門をねらい、安価なイランの神風無人機で戦略的空襲を行い、何百万人もの暖房、水、電気を中断させ、1270億ドルの損害を与えたと伝えられている。

ウクライナ経済が35%縮小する予測でのその他の戦争関連要因としては、難民流出による人口減少770万人(約18%)、通貨切り下げ、インフレ率40%、ロシアによるマリウポリやケルソンといった港湾都市の占領などがある。これらにより、ウクライナ人が生計を立て、キーウが基本サービスを維持する十分な税収を得ることは難しく、また国家存続を賭けた戦争の代償を払わなければならない。

幸い、ウクライナは武器だけでなく、経済・人道支援を受けている。2022年末までにワシントンから130億ドル、2023年は毎月15億ドルの援助が予定されている。欧州機関は、動きは鈍いものの、2022年末までに90億ドル支出するとしている。しかし、これはウクライナ再建に必要な年間380億ドルには及ばない。

戦場で勝利をおさめたとしてもキーウはここまでの破壊からどう立ち直るのか。プーチンの侵攻を撃破するだけでなく、国土の復興にどこまでの費用がかかるのか。

 

To answer those questions, in October, I spoke over Zoom with Tymofiy Mylovanov, president of the Kyiv School of Economics since 2016, former minister of Economic Development, Trade, and Agriculture, and a professor at the University of Pittsburgh in various capacities since 2010. Mylovanov flew back into Kyiv hours before Russian forces massed in Belarus began rolling towards the Ukrainian capital. Since then, he’s focused his efforts on obtaining international assistance for Ukraine.

 

答えを求め、2016年からキーウ経済大学で学長、経済発展・貿易・農業大臣、2010年からピッツバーグ大学教授を歴任したティモフィー・ミロバノフTymofiy Mylovanovと、10月にズームで会談した。ベラルーシに集結したロシア軍がウクライナ首都に向かう数時間前に、マイロヴァノフはキーウに飛行機で戻ってきた。それ以来、ウクライナへの国際支援の確保に力を注いでいる。

注:以下インタビューは分かりやすく、簡潔にするため編集した。括弧内に追加を記載している。

セバスチャン・ロブラン ウクライナには大規模な復興が必要です。その費用はどのくらいになるのでしょうか。

ティモフィー・ミロヴァノフ:キーウのレストランにいたのですが、店内で軍への寄付を募っており、満席でした。こんなビジネスが盛んなのは、ある意味、超現実的です。国民は戦争に適応しているのです。しかし、GDPの20%から40%は破壊されています。しかも、農地の多くは荒らされてしまった。

ウクライナ経済は、第二次世界大戦中のイギリスのようなものだと考えるべきでしょう。戦時中はもちろん、戦後も世界の支援が必要です。

 

第二次世界大戦中の米国による対英援助と戦後援助

2022年ドル価値

レンドリース援助(1941-1945)314億ドル(寄付)6000億ドル

英米借款(1946年)37億ドル、金利2%(2006年完済)600億ドル

マーシャルプラン(1948-1951)33億ドル(寄付)400億ドル

現在、軍事費は2022年予算の約半分、来年も半分です。戦前の経済規模を維持することはできない。年間300億ドルから500億ドル相当の経済支援が必要でしょう。

SR:ロシアの長距離ミサイルや無人機による戦略爆撃は、実際にウクライナ経済にどこまでの打撃を与えているのでしょうか。

TM:経済的損失は1000億ドルになっており、そのうち3分の1はインフラの戦略的損害と推測しています。ロシアは経済の未来を否定しようとしているので、エネルギー、物流の拠点、鉄道の拠点、一部の製造施設、冶金などを攻撃しているのです。

SR:ウクライナではどのような支援が最も必要なのでしょうか?

TM:外貨です。蓄財のほとんどを軍事費に費やしています。自国通貨(フリヴナ)をいくらでも刷ることはできますが、輸入しなければならないので、流動性の問題にはならないのです。そうすれば、ハイパーインフレ(高インフレにより貨幣の価値が壊滅的に低下すること)や経済危機を回避できるのです。

SR:ウクライナの労働市場にどのような影響を与えているのでしょうか。

TM:ミクロ経済規模では、驚くほど機敏で、多くのイノベーションが起こっています。Zoom、Teams、Webexなどのインターネットベースの会議のおかげで、インターネットを通じ提供できるITの仕事や専門的なサービスに人々が移行し、再スキルアップしているため、教育会社は史上最高の利益を上げています。

SR: それが外貨獲得につながるのですね。

TM: そうです。彼らは教育やサイバーセキュリティの仕事をしていて、欧米企業から報酬を得ています。寄付をしてくれるところもあります。ウクライナ国外の企業にコンサルティングサービスを提供しているところもあります。

SR:構造的に、ウクライナの戦後経済は、労働力の配分や国際的なビジネスパートナーシップなどで、どのように変化しそうですか?

TM:専門家の多くは冶金部門に携わっていました。工場はまだありますが、マリウポル(5月にウクライナ軍が最後の抵抗を行った場所)の有名なAzovstal工場のように、ほとんど破壊されています。

農業は回復していくでしょうが、土地の20~30%が地雷で汚染されている問題があります。地雷で農民や子どもたちの命が奪われるようなことは避けたい。地雷を除去するのは非常に高価で、1ヘクタールあたり5万〜7万5,000ドルかかるので割に合いません。そのため、人々は革新的な方法を模索しています。ロボット型の農業機械ができるかもしれません。無人地雷除去車など、軍事的な技術革新を非軍事的に応用したものに使い道があります。そして、経験を持つ退役軍人はすべて、民間市場に戻ってくるでしょう。

SR: ウクライナは現在、欧州連合へ加盟を目指しています。その進捗はいかがですか。

TM:正式なプロセスが進行中です。基準を満たさなければなりません。私の考えでは、ウクライナはハンガリーと同じか、それ以上にEU基準に適合しています。しかし、加盟は政治プロセスであり、それほど時間がかからないことを望んでいます。

SR:また、加盟はウクライナ経済にどんな影響を与えるのでしょうか?

TM:ウクライナはヨーロッパの価値観を支持しており、私たちはヨーロッパ人であると認識されるでしょう。ただし、ヨーロッパからそれほど支持されていないと感じています。また、技術的な面では、良い意味で官僚的な専門家が揃っていますね。

2010年以降、EUはギリシャの法律を改善するため素晴らしい仕事をしました。私たちもそのような恩恵に与ることができたはずです。オリガルヒを取り締まる独占禁止法当局が必要です。私たちはまだ、ソビエト連邦から受け継いだすべての(時代遅れの)法的インフラのままです。例えば、アメリカやヨーロッパなら談合とみなされるものの多くは、ウクライナではそのようにみなされません。証明が非常に難しい罪です。

中央銀行を改革しましたが、どうでしょう。戦時中、一日も仕事を中断していない。しかし、反トラスト当局は、優秀な人材を登用しているにもかかわらず、依然として改革されていないままです。

SR:ウクライナの防衛産業の将来について、外国のハードウェアを採用するか、現地製造するかという厳しい選択を迫られていますが、どのようにお考えですか。

[ウクライナはソ連分離した後もかなりの規模の軍需産業を維持しており、2000年代には戦車やジェット機、さらには未完成の空母に至るまで、ソ連製の兵器を多く海外に輸出していた。しかし、対戦車ミサイル「ストゥグナ」や対艦ミサイル「ネプチューン」、戦闘車両「BTR-4」などの新兵器は成功したものの、防衛物資を大量かつ期限通りに供給することに苦労しており、ソ連型の砲弾も十分に速く生産できないでいる。そのため、キーウは欧米の武器・弾薬への依存度を高めている]。

TM:武器輸出は今のところ終わっています。以前は何十億も稼いだが、今は何も輸出していない。ソ連型の武器は基本的に使い果たしたので、多かれ少なかれNATOに頼っているのです。ですから、NATO兵器の整備方法を学ぶ必要があるのです。技術や整備のプロトコルの問題はあります。これらの兵器の多くは、複数の国で製造された部品を使用しており、長期的に見るとうまくいかないでしょう。ですから、国内産業界にチャンスと需要があり、時間が経つにつれて、より強固なソリューションが普及していくと思います。

また、ソ連型の装備品はなくなってしまいましたが、ロシア軍から多くの装備品が寄贈されています。ロシア軍はNATO諸国より多くの機材を提供しています(NATOの方がより強力で正確ですが)。ですから、ロシアの「トロフィー」機材も整備する必要があるでしょう。

SR:サイバー戦争はどうですか?

TM:銀行、通信セクターがシャットダウンされるとの予想が多かったです。それが大規模に起こらなかった理由には要因が複数あり、特に(2014年以来)以前から準備ができていたことが挙げられます。恥ずかしい程度のサイバー攻撃もありましたが、ほとんど象徴的なものです。より実質的なもの、意味のあるものが何であったかはわかりません。

ロシアは多くのITの才能を失ったと思います。ウクライナには起業家がほとんどおらず、その半数は上級管理職です。しかし、ロシアでは、残っているのはゼロです。

SR:ロシアはこれまで、経済制裁を大方の予想以上に乗り切ってきました。それはいずれ変わるのでしょうか。変わるとしたら、いつ、なぜでしょうか。

TM:私は当初から、時間がかかると主張してきました。ロシアは国際的なサプライチェーンに難があり、プーチンが期待したほどバラ色ではありません。また、ロシアはさまざまな方法でデータ操作しており、失業率は公式数字よりも高くなっています。制裁を回避する能力も限られていますが、それでも常に挑戦しています。

また、インドや中国への石油輸出を切り替えるのもそう簡単ではありません。パイプライン建設に時間がかかる。石油の種類が違う。タンカーで移動しなければならないことも多く、それには保険が必要です(ほとんどが欧米の会社です!)。

私たちの調査によると、これらの開発は2023年の春までに蓄積されるでしょう。つまり、ウクライナがこの冬を乗り切れるかどうかが、決定的なポイントになります。

とはいえ、欧米は最初から資産を差し押さえ、ガス石油の禁輸を直ちに行えば、パニックを起こし経済破綻させることもできたはずなのです。しかし、世界はもっと厳しい制裁を加えることを恐れています。それどころか、一歩一歩、様子を見ているようなもので、それは正しいやり方ではないと思います。

欧米の兵器納入のようなものです。厳しくしないのは政策的な選択です。もし、ウクライナに侵攻前からHIMARSや防空ミサイルを供与されていたら、ブチャやイジウムの大虐殺を避けられたかもしれない。■

Interview With Ukraine's Former Economic Minister: How Much Will It Cost to Defeat Russia and Rebuild Ukraine? - 19FortyFive

BySebastien RoblinPublished5 hours ago

 

Sébastien Roblin writes on the technical, historical and political aspects of international security and conflict for publications including the The National Interest, NBC News, Forbes.com, War is Boring and 19FortyFive.  He holds a Master’s degree from Georgetown University and served with the Peace Corps in China. You can follow his articles on Twitter.

 


2022年11月4日金曜日

F-35B搭載でアメリカ級揚陸艦を「強襲空母」に転用する実験で自信を深めた米海軍のねらいは中国への対抗だ。

 


USS Tripoli (LHA-7) departs Naval Air Station North Island, Calif., April 7, 2022. US Navy Photo


第7艦隊司令官は金曜日、揚陸強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)で今夏行った実験で、アメリカ級が空母打撃群と連携できるかを探ったと述べた。

カール・トーマス中将Vice Adm. Karl Thomasは、戦略国際問題研究所と米海軍協会共催のイベントで、「トリポリ」は数カ月間、F-35BライトニングII共用打撃戦闘機を搭載し、「強襲空母」コンセプトの実験を行った、と語った。

見学中の機雷対策艦USSパイオニア(MCM-9)の乗組員に1MCを介し話しかける米第7艦隊司令官カール・トーマス中将(2022年6月9日)。US Navy Photo

「ある日はF-35Bが飛行甲板に、ある日はMV-22が、そして別の日は海兵隊が上陸できる。そして、第5世代戦闘機14機が搭載され、信じられないほど高性能なセンサー能力を発揮します。まだ実験段階です。少なくとも、強襲揚陸艦と正規空母の統合を試してみたかったのです。どのようなミッションが可能になるのか」。

トリポリでの実験は、海軍と海兵隊の大型揚陸強襲艦での「ライトニング空母」コンセプトの進化の一部だった。6 月には、USSエイブラハム・リンカン(CVN-72) と USSロナルド・レーガン(CVN-76) とヴァリアントシールド Valiant Shield演習に参加した。

ヴァリアント・シールドについて、トーマス中将は「三艦を一定期間、分散運用した」と述べている。

ヴァリアント・シールドについて、トーマス中将は次のように語ってた。「ヴァリアント・シールドにぴったりと思われるミッションがあります。また、効果を発揮できる地域があると思います。F-35の垂直離陸の特性から、F-35を『遠征前線基地』 "Expeditionary Advanced Base Operations "に配置し、メンテナンスのため艦に戻し、別の場所に移動させることもできます」。「空母と連携して、E2-Dアドバンスト・ホークアイやEA-18Gグラウラーの電子対抗機能も活用できます。まだ実験段階ですが」。

トーマス中将は、同型機を使用している同盟国の例として、イギリス海軍が空母HMSクイーン・エリザベス(R08)で米海兵隊F-35Bとイギリス空軍F-35Bを運用し実験していること、日本がヘリコプター駆逐艦JSいずも(DDH-183)からF-35Bを飛ばしていることを指摘した。

「同盟国協力国は、F-35Bを空母搭載することで実現する能力を確認できます」と述べた。

またトーマス中将は、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォーニア州選出)が今年台湾を訪問した際の北京の反応についても触れた。中将は、この訪問に対抗しての軍事訓練とミサイル発射を 「無責任」と評した。

「台湾関係法を通じ、台湾に防衛力を提供する責任があり、こちらは準備ができていることを確認する必要がある。われわれの願いは、両岸の相違を平和的に解決することだ」と述べた。「しかし、台湾上空へ弾道ミサイルを発射し、海上や航路に着弾させ、一部は日本の排他的経済水域に着弾させたのを見て、無責任という言葉がぴったりだ」。

トーマス中将は、北朝鮮が日本上空に中距離弾道ミサイルを発射したこと、先週日本海で行われた日米韓3カ国による弾道ミサイル演習についても言及した。

「弾道ミサイル防衛は、同盟国協力国を守るためだけでなく、われわれ自身を守るためでもあり、わがほうの艦船は非常に高性能です。そのため、弾道ミサイル防衛能力を持つことは、マルチドメイン能力という点から、巡洋艦・駆逐艦のすべてに望ましいことです」。

'Assault Carrier' Tests Show How Marine F-35Bs Can Operate with Navy Aircraft Carriers, Says 7th Fleet Commander - USNI News

By: Mallory Shelbourne

October 16, 2022 8:25 PM

Mallory Shelbourne is a reporter for USNI News. She previously covered the Navy for Inside Defense and reported on politics for The Hill.



中国の台湾侵攻日程の前倒しを想定し、対応を始めた米海軍が同盟国協力国との連携を強化中

 


 

水陸両用歩兵戦闘車、PLA東部戦域司令部傘下の陸軍旅団は警戒を怠らず、2022年5月7日の渡航・突撃波動形成訓練で上陸準備をした。 PLA Photo

 

 

国が従来の予想より早く台湾と本土を統一する可能性が指摘される中で、米海軍は台湾をめぐる潜在的な紛争の発生を視野に入れていると、海軍最高幹部が水曜日に述べた。

 海軍作戦部長マイク・ギルディ大将Chief of Naval Operations Adm. Mike Gildayは、大西洋評議会主催のイベントで、中国の第20回党大会が米海軍の計画にどう影響するかを見極めようとしていると述べた。

 「習近平主席の発言だけでなく、中国がどう行動し、何をするかが重要だ」。いわゆる「デビッドソンの窓」について聞かれたギルデイは、2021年にフィル・デビッドソン前米インド太平洋軍司令官が議会で、中国は今後6年以内に台湾を占領する能力の実現を望んでいるとの証言を引き合いに出し、こう述べた。

 「2027年の窓といえば、2022年の窓か、あるいは2023年の窓の可能性があると思う。その可能性を排除することはできません。そう言って警戒させるつもりは全くないが、そうなることを望むことはできない」とCNOは付け加えた。

 日曜日の中国共産党の会議で、習近平国家主席は台湾を中国本土に統一する中国の野望を再確認した。翌日、アントニー・ブリンケン国務長官は、中華人民共和国が台湾を占領するために、これまでより速いタイムラインで動いていると述べた。

 米海軍関係者や議員は、デビッドソンが2021年3月に上院軍事委員会で証言し、中国による台湾占領の脅威が差し迫っていると述べて以来、2027年のタイムラインを持ち出している。

 大西洋評議会での対談で、ギルデイは、なぜ即応性がCNOとしての最優先事項なのかも訴えた。

 「空母部隊は10年前の連続配備からまだ回復していない。そのため、各空母を50年供用するため、繰延してきた保守整備の遅れを取り戻しているところだ。ですから、予算節約の意味で、メンテナンスを先送りするつもりはありません」。「また、ミサイルや弾薬等の補給部品、部隊の訓練や即応体制についても同じことが言えます。2017年の衝突事故の教訓もあり、準備と訓練に投入する資金を考え直さなければなりません」。

 ギルディ作戦部長はまた、海軍のプロジェクト・オーバーマッチ構想 Project Overmatch(プラットフォームやシステムをネットワーク接続し、ターゲティングデータを共有・送信できるようにすること)に触れた。

「同盟国協力国の中には、どの国かは申し上げませんが、近い将来、相互運用が可能になると思われる国には、プロジェクト・オーバーマッチの取り組みをお伝えしています。該当国は非常に関心を持っています。海軍上層部はサンディエゴに行き、スモール提督と彼のチーム(Naval Information Warfare Systems Command)を訪ねました」と、ギルデイがプロジェクト・オーバーマッチの取り組みの責任者に任命したダグ・スモール少将Rear Adm. Doug Smallを指した。

 「該当国を含めてパワーが失われることはない。そうでなければ、共に戦うことはできません。ですから、私たちは同盟国協力国とともに、良いペースで前進していると思います。手をこまねいているわけではありません」。

 ギルデイは、米国がどの国とプロジェクト・オーバーマッチの情報を共有しているかについて言及しなかったが、海軍当局は、フランスやイギリスといった国との相互運用性・互換性を繰り返し主張してきた。

 ブラッド・クーパー第5艦隊司令官は、中東での状況把握のためデータ収集に無人システムを投入することを主導しています。

 ギルディ大将は、同盟国協力国とのこうした取り組みで、米国が今後5年以内に無人装備を実用化するのに役立つと述べています。

「クーパー提督が取り組んでいる重要な作戦上の問題には、間違いなく価値があります。単に実験のための実験をしているのではありません。自分たちがしていることから学んでいるのです。しかし、解決しようとしている重要な作戦上の問題は、望むよりも少ない艦船しかない責任領域において、海上領域の認識を高めることです」とCNOは述べた。

「そのため、無人化でギャップを埋め、そこから学んでいます。その結果、同盟国協力国と緊密に協力し、FYDPで能力を発揮できるようになるでしょう」とも述べた。FYDPとは、将来防衛計画 Future Years Defense Programとして知られる国防総省の5年間の予算見通しを指している。■

   

China's Accelerated Timeline to Take Taiwan Pushing Navy in the Pacific, Says CNO Gilday - USNI News

By: Mallory Shelbourne

October 19, 2022 3:05 PM