2014年10月28日火曜日

ISISの資金源のからくり 闇取引の実態はどうなっているのか どうしたら阻止できるのか


ISIS関連のニュースですが、この古美術品盗掘密輸による現金化のお話は知られていないのでは。一体誰が買うのでしょうか。しかも昨日今日始まったわけではない、ということはすでに数十年にわたる流通のしくみができている? それよりも原油を安く買っているのは誰なのか、許しがたいですが、ISISIを助けるルートをひとつずつつぶす経済戦に勝たなければなりませんね。

Opinion: How ISIS Funds Terror Through Black Market Antiquities Trade

http://news.usni.org/2014/10/27/isis-funds-terror-black-market-antiquities-trade
By: Brig. Gen. Russell D. Howard U.S. Army (retired), Jonathan Prohov and Marc Elliott
Published: October 27, 2014 11:15 AM
Updated: October 27, 2014 11:17 AM


連合軍が空爆でイラク・シリアイスラム国(ISISまたはISIL)の進撃を食い止めようとする中、当のISISは軍事作戦とともにかけがえのない歴史的遺物を発掘し、闇市場で売却し作戦資金を調達している。これに対してテロ組織の資金源を断つ従来の方法が使えない。

ISISは不正取引で多様な収入源を確保しており、民間企業がうらやむほどで、ISISの不正取引、人の移動、武器、石油含む物品は関心の的だ。不正な資金調達は海外からの資金援助以上に頼りになる安定的収入源でISISは財政的に自立している。しかし、ユネスコが確認した古美術品の不正取引は報道陣や政策決定層から無視された格好だ。ISISはこの方法で数千万ドルの資金を得ている。

ISISは肥沃な三日月地帯の文化財を略奪し利益をあげることに驚くべき巧みさを示している。不正取引はISISの二番目の収入源となっている。一番は石油で、米財務省の試算では一日当たり100万ドルを計上している。この収入源はISISにとって重要で、米主導の連合軍がISIS支配下の油田・精製施設を目標に攻撃を加えており、トルコもついに石油闇取引を摘発することにしたところだ。

最新報道によると一層巧妙な略奪行為があるようだ。シリアとイラクの現地筋から考古学者マイケル・ダンティ Michael Danti が聞いたのはISIS支配地域では盗掘が二番目に多い職業となっているという。ISISはイスラム法を都合よく解釈し略奪行為を正当化し、イスラム法の税金khumsで戦利品あるいは埋蔵物の価値の五分の一相当を現在の統治勢力に支払うことになっているのをISISは略奪品の価値の2割から5割の税率と解釈して適用している。

略奪や密輸行為はいまに始まったものではない。イラク国内の組織犯罪は古美術品の不正取引で以前から利益を上げていたし、2003年に米軍侵攻が始まると過激派は略奪集団と組んで巨大な不正取引産業を形成した。以前からの略奪グループや密輸ネットワークも再度勢いを盛り返しており、一部はイラク国内のアルカイダと直接つながっている。ISISはアルカイダの進化形だ。

.
文化財保存地点の攻撃は過激派にとって有効な戦略で、古代の聖像を「消毒」するとし、価値ある墳墓や大型像をISISは破壊しまくっている。破壊の前に内部の価値ある文化財を略奪しており、美術品売却で利益を上げ、さらに文化財破壊でメディア報道されれば組織の宣伝になる。

戦闘が続いているため、ISISが美術品密輸でどれだけの利益を確保しているか不明だが、モスルで関係者が逮捕された事案から組織の収入構造や利益の一端が浮かび上がった。ISISがシリア国内で活動を開始した2012年から2014年に同組織が一番信頼を置いていた使者の逮捕までにシリアのアルナブク al-Nabuk 地方だけで36百万ドル相当の古美術品密輸がISISの財源に加わったという。

またISISは組織犯罪の手口で美術品をレバノン、ヨルダン、トルコの各国へ運び、引き換えに現金や武器を調達している。美術品はさらに国際取引業者の手にわたる。レバノンではISISは盗掘美術品を一覧にして注文に応じる体制で、L.L.ビーンの通信販売みたいだ。

ISISは従来のテロ集団の資金調達方法の先を行っており、個人寄付やマネーロンダリングを摘発してきた手法が利用できない。元財務省のマシュー・レヴィットMatthew Levittは「ISILの現地犯罪事業への対抗策は極めて限られている」と言う。もともと古美術品取引市場は規制が困難で、平時でもそうなので盗掘をやめさせる取り締まりは事実上機能していない。このままでは世界有数の文化財が盗まれるままで、しかもその売上げが忌まわしいテロリスト集団の財源になるのを座してみるだけだ。■

ペンタゴンの気候変動対応戦略



気候変動戦略と言うには中身が貧弱な気がしますが、軍も対応を迫られるのは必至ということなのでしょうか。温度上昇で一番影響が出るのが極地に出現する作戦水域だと思うのですが。BRACは基地に経済を依存する地方には死活的な話題で時あたかも中間選挙の年ですから特に敏感なのでしょうね。

Hagel Debuts DoD Climate-Change Strategy

Rising Sea Levels Could Affect BRAC Decisions

Oct. 13, 2014 - 01:39PM   |  
By PAUL McLEARY   |   Comments
http://www.defensenews.com/article/20141013/SHOWSCOUT04/310130024/Hagel-Debuts-DoD-Climate-Change-Strategy
513197487
チャック・ヘイゲル国防長官が気候変動への対応策づくりを発表したのは13日に開かれた米州国防相会議(リマ)の席上。(Saul Loeb / AFP)
WASHINGTON —リマで開催された米州国防大臣会合 Conference of the Defense Ministers of the Americasで米国防長官チャック・ヘイゲルが気候変動へのペンタゴン対応戦略案を明らかにした。
関連してペンタゴンが「国防総省版気候変動対応ロードマップ」 “DoD Climate Change Adaptation Roadmap.”を発表し、海面水位の上昇、気候パターンの変化、食糧・飲料水の欠乏等が発生する中で同省が企画立案を今後どう進めるかを示している。
編集に関与した関係者からはヘイゲル長官が就任直後から「気候変動の安全保障への影響に高い優先順位」を付けて、「広範な安全保障の各段階で優先順位を高くすべき」と位置づけたという。
文書では気候変動を「軍活動に大きく影響し、軍が民間各局の支援に回る機会が増える、人道援助・災害援助への出動が自然災害の発生増に応じて増えるだろう」としている。
注目すべきは米海軍の沿岸部基地施設が「海面上昇の前に無力で浸水の危険があり、干ばつ、自然発火、気温の極端な変化が訓練活動そのものを困難にする。補給網も影響を受け、現在以上に過酷な気候条件でも重要な補給を維持する工夫が必要となる。従来から軍事活動は天候条件に左右されてきたが、気候変動により軍事作戦の実施方法を変更・縮小する必要が出るかもしれない」
ただしペンタゴン関係者からは同報告書はすべての沿海部基地施設が基地再編 BRAC 検討で閉鎖されるのではなく、海面上昇による洪水の可能性を考慮すべきと主張したにすぎないと追加説明があった。
「気候変動は注目するトレンドの一つで今後の作戦環境を決定する要素となる」とペンタゴン関係者はまとめる。
同関係者からはペンタゴンの作戦立案者は「将来の作戦の実施場所を想定し、実施条件の変化を考える」ため戦略に盛り込む必要があると説明する。
CNA研究所 CNA Corp の相談役で軍事諮問委員会のシェリー・グッドマン Sherri Goodmanによれば「国防総省版気候変動適応ロードマップで最高位の優先順位がつくのは作戦遂行上不可欠な基地施設へのリスクを減らすことで、大幅な海面水位上昇、大規模な暴風雨、洪水から守ると同時に北極での緊急事態に対応し、気候変動で猛威を増すはずの自然災害への人道援助、緊急対応の実務想定と関連能力整備です」としている。■


2014年10月27日月曜日

スウェーデン謎の潜水艇捜索はロシアとの緊張増大の最新事例


ロシア軍の活動が目立って活発になっています。これは北欧でのお話ですが、太平洋でも警戒が必要なことは言うまでもありません。日本の沿岸部に小型潜航艇が来るとしたら北朝鮮をまず疑うところですが、ロシアの新型ハードウェアは相当高性能になっているようです。他山の石と達観しているわけにいかないでしょう。

Sub Search Highlights Growing Unease With Russia

Oct. 25, 2014 - 05:11PM   |  
By GERARD O’DWYER   |   Comments
SWEDEN-MILITARY-SUBMARINE-RUSSIA-SEARCH
謎の潜水艦を追うスウェーデン海軍の海防艦ヴィスビュー、捜索5日目の10月21日ミシンゲン湾にて。スウェーデンは捜索を10月24日に打ち切った。 (FREDRIK SANDBERG/ / AFP/Getty Images)

HELSINKI — クリミア半島を巡るロシアとヨーロッパの対立が6か月以上となる中、今回のスウェーデン事件はバルト海近隣諸国がロシアに神経をとがらす事態を改めて浮き彫りにした。
  1. 各国政府とロシアとの緊張が今月に入り高まるきっかけになったのはスウェーデン海軍がロシア海軍と思われる潜航中の船体をストックホルム近郊で捜索したことだ。
  2. さらに10月23日には、デンマーク空軍所属F-16とスウェーデンのグリペン戦闘機がデンマーク、スウェーデン国境近くを飛行しエストニア領空に侵入したイリューシンIL-20情報収集機を追尾。同機は最終的にNATO空域からポルトガル空軍F-16にエスコートされて退去した。ポルトガルはリトアニアのNATO空軍基地を利用している。
  3. スウェーデン海軍の捜索活動は冷戦終結後で最大規模になった。きっかけは10月18日に沿岸近くで異常な動きがあると民間から報告されたことだった。スウェーデンは10月24日に捜索を縮小した。
  4. スウェーデン海軍は暗号電文がロシア軍の「救難信号」周波数で発信されるのを傍受したとの報道を否定した。
  5. 報道によればストックホルム近郊の島しょ部からカリニングラードに発信されているが、同地にはロシア海軍のバルト海艦隊の司令部がある。
  6. ロシアはスウェーデンに自国の「潜水艦部隊は全隻その動向を把握」していると発表。スウェーデン領海に侵入したロシア海軍艦船は存在しない、とも伝えた。
  7. さらにロシア国防省から国籍不明の「水中艦艇」とはオランダのウォーラス級潜水艦ブルインヴィスBruinvisで、スウェーデン領海を通過しエストニアのタリンへ移動していたと伝えてきた。オランダ国防省は直ちに否定している。
  8. バルト海ではロシア潜水艦がたびたび目撃されており、ラトビア海軍はキロ級潜水艦とCC-750支援艦を同国領海から10カイリ外で9月に撮影している。8月には同じラトビア海軍が海防艦ステレグシュチイStereguschiyとキロ級潜水艦一隻を識別したが、同国の排他的経済水域から2カイリ未満の地点だった。
  9. ロシア海軍がフィンランド海洋調査船の進路を妨害する事件が10月11日に発生しており、発生地点はスウェーデン側のバルト海の国際水域だった。
  10. 北欧諸国の各海軍トップはロシアが露骨に軍事力を誇示するのはNATOがバルト海で演習を強化しているのと関係があると見ている。
  11. 「NATOとロシアはともにバルト海で軍事活動レベルを引き上げている」と、フィンランドの国防トップ・ジェローム・インドベルグ大将 Gen. Jerome Lindbergは語る。「ロシアが活発になっており、NATOもバルト海のパトロールを増やしている。以前は航空機が数機の規模だったが4倍5倍になりバルト海全体に作戦区域が拡大している」
  12. 各国政府(スウェーデン、ノルウェー、エストニア、リトアニア)はこれ以上脅威が増加すれば国防支出を増額し、相互協力体制をとることとしている。
  13. スウェーデンの捜索活動の背景には100件以上の民間目撃があり、荒い写真で半分潜水した「物体」他が報告されていると同国海軍少将アンダース・グレンシュタッド少将Rear Adm. Anders Grenstad が述べている。
  14. スウェーデン海軍は捜索し、位置をつきとめ、武器を使用してでも「外国の」潜水艇を浮上させると少将はいい、さらに外国艦が遭難しているとの情報はない、と断言していた。
  15. スウェーデン海軍は2012年から軍事制限地区の海岸監視を強化しており、「外国による水中活動」や「外国船」が海図作成や軍事監視装置の設置、あるいは沿岸の防備状況を偵察する可能性があるとしていた。
  16. 捜索活動は10月23日に規模縮小している。一週間にわたる捜索で「外国船」を発見できなかったためだ。
  17. スウェーデン海軍は同時にロシアのタンカー・コンコルドの動向を監視し、沿岸警備隊が同船の「ジグザグ」航行を発見している。これはスウェーデン沿岸で待ち合わせをする際のパターン。
  18. スウェーデン沿岸警備隊によれば同船の所有者はSCF Novoshipでリベリア船籍で、バルト海のロシア側プリモルスクPrimorskへ向け航行しているという。
  19. ロシアと北欧諸国の緊張が高まりは冷戦時代への逆戻りだとベルギーの政治アナリスト、イェンス・ケスラーJens Kesslerは言う。
  20. 「当時はロシアのバルト海艦隊、北方艦隊は定期的に開発したばかりの水中艦のステルス性をテストしており、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの各海軍の対潜防衛網を試すゲームをしている。領空侵犯も頻繁で北欧各国の空軍の頭痛の種だった」
  21. 今回スウェーデン海軍が水中の「外国船」を島しょ部で見つけられなかったのは、船体の大きさに加え同地へのアクセスが難しいことがあるとケスラーは言う。「藁の中で針金を見つけるのと同じだ。スウェーデン沿岸には3万の島があり、海底地形は大きく変化している。本当に潜航艇が潜んでいたら、またロシアの新型トリトンNN型なら、数週間も探知から隠れるのは可能」
  22. スウェーデン軍が「外国による水中活動」に反応したのはいかなる国境侵犯に対して迅速かつ効果的に対応する意図を「非常に明確に」示したものと国防トップ、スベルカ・ゴランソン大将Gen. Sverker Göransonは語る。
  23. 「今回は情報を基にした作戦だが目標は潜航中の対象を浮上させることで、必要なら武力行使もいとわない」とゴランソンは以前発言していた。
  24. 一方、ノルウェーは自国国境付近でロシア部隊増強の様子を監視中で、北方艦隊がコラ半島にK-560セヴェロドヴィンスク Severodvinsk 新型ステルス巡航ミサイル潜水艦の4号艦を第11潜水艦戦隊の母港ブロシャヤ・ロパトカ Bloshaya Lopatkaに配備した。同地はノルウェー国境から61キロメートル地点。■

2014年10月26日日曜日

無人潜航艇UUVは潜水艦不足の解決策


先週は潜水艦連盟の総会があり、水中戦の話題がたくさん出てきました。UUVの実用化を急ぐ背景には潜水艦の建造が間に合わないことがあるのでしょうね。台湾がUUVで中国に対してA2/ADを展開すると言うシナリオは非現実的でしょうか。日本もこの分野の研究を進めていますので、実用化を目指すのであれば早晩日米の協議の議題になるでしょうね。

CNO Greenert Bullish on Unmanned Underwater Vehicles

By: Dave Majumdar
Published: October 23, 2014 4:31 PM
Updated: October 23, 2014 4:31 PM
An artist's conception of a large unmanned underwater vehicle (UUV).
大型無人潜水艇UUVの想像図

米海軍制服組トップから自律型無人攻撃機の登場はまだ先だが、自律型無人水中艇unmanned underwater vehicles (UUV) は非常に実用的だろうと発言があった。
  1. 海軍作戦部長ジョン・グリナート大将 Adm. Jon Greenert が10月23日に海軍潜水艦連盟主催の講演で発言した。
  2. グリナートが無人攻撃機の実現に悲観的なのは自律的に武器を投下する作業が複雑なためだ。
  3. これに対して潜水艦では話が違うとする。「潜水艦の建造隻数は限られている。この分野を進めるべきだ」とした。.
  4. 年間二隻のヴァージニア級原潜を建造しても、攻撃潜水艦部隊は今後縮小を免れない。ロサンジェルス級が退役をはじめるからだ。
  5. グリナートの主張は秘密のうちに開発中の技術を海軍に応用できるはずというもの。2010年代末までに自律型大口径水中無人潜航艇を各種任務に投入したいとする。
  6. 「あまりにも複雑な地点には投入は無理としてもこの方向を模索するべきだ」とした。■

2014年10月25日土曜日

日米共同演習オリエントシールドにアパッチE型投入



本件、陸上自衛隊発表が9月に概要を発表していますね。「日米共同訓練(国内における米陸軍との実動訓練)」として11月7日まで北海道で実施するとの音です。空海につづき、陸でも共同作戦体制がすすめられているようですすね。ストライカー戦闘車両が日本に来たことはあるのでしょうか。陸のことはよくわからずすみません。

US Army Helos Set for Joint Exercise in Japan

Oct. 22, 2014 - 07:35PM   |  
By JOE GOULD   |   Comments
Apache Flight Ops
オリエントシールド演習にE型アパッチが加わる。艦上運用可能でリムパックではUSSペリリューから発艦していた。(MC3 Dustin Knight/ / Navy)
WASHINGTON — 米陸軍のストライカー戦闘旅団が日本で来週から合同演習に参加する。陸軍が進めるパシフィックパスウェイズPacific Pathwaysによる三回目の移動で陸軍航空戦力が演習に参加するのはこれが初めてとなる。
  1. 日米合同演習ではAH-64アパッチ4機、UH-60ブラックホーク4機、HH-60ペイヴホーク3機が参加し、航空強襲ミッションをストライカー戦闘装甲車23両とともに実施すると米関係者が伝えている。
  2. これまではオリエントシールド Orient Shield 演習として陸上自衛隊のヘリコプターがキャンプ座間配備の米軍ブラックホークと参加していた。
  3. 今回投入するのはアパッチE型で艦上運用が可能、先行してリムパックにも参加している。
  4. 演習開始は10月27日で、北部方面隊第7機甲師団第11普通連隊1,300名と米軍850名(大部分は歩兵第2師団第二ストライカー旅団所属、ワシントン州ルイス・マッコード統合基地より参加)が投入される。米軍部隊は9月以来順次到着しており、その前にはインドネシアとマレーシアでそれぞれ共同演習(ガルーダシールド、ケリスストライク)をパシフィックパスウェイズの一環で実施していた。
  5. オリエントシールド演習は1982年から始り、今年は軽歩兵の分隊規模で市街戦の訓練も含まれるという。
  6. 今回ストライカー部隊を派遣するが米陸軍はパシフィックパスウェイズによる派遣を今後も増やす意向で、2015年には三個旅団をローテーションで三回派遣する。■


ISIS:イラク政府軍の能力不足解消はいつ解決するか


米軍としてはあれだけ装備も訓練も与えたのに、とあきれているでしょうね。イラクをまず奪回する、というのが大戦略のはずなので、イラク自体がしっかりしないと先に進めません。ここは冷静に戦力を蓄え、何よりも自国の領土保全が大切と言う意識をもってもらうのでしょうか。これができなければいよいよ地上軍派遣と言う中間選挙前には誰も話したくない選択に迫られることになってしまいます。

US Official: Iraq Army Not Ready To Repel Islamic State

Oct. 23, 2014 - 08:45PM   |  
By JIM MICHAELS   |   Comments
IRAQ-UNREST-ARMY-GRADUATION
イラク中央クタで軍事教練を卒業したイラク政府志願兵 (Haidar Hamdani / Getty Images)

MACDILL AIR FORCE BASE, FLA. — 米軍の空爆とイラク地上部隊でイスラム国による攻勢が鈍ったとはいえ、イラクが反攻体制を整え領土奪回には数か月必要、と米軍関係者が23日語った。
  1. この関係者によるとイラク治安維持部隊は米軍空爆の助けを借りて限定的な反攻を数回仕掛けたという。
  2. この関係者はイラク情勢を記者団に説明したが、イラク戦略を公式に説明する資格がなく匿名を条件にした。イラク軍再建に必要な所要期間をはっきり示さなかったが、一年以内とほのめかした。
  3. イスラム国のモスル攻略(6月)でイラク4個師団が崩壊し、イスラム国による侵攻のきっかけになった。
  4. 米軍が空爆を開始してからイラク軍はバグダッド周辺の防御を固め、モスルダムを奪還し、その他の地方へのイスラム国の侵攻を食い止めている。
  5. 領土奪回の前に治安部隊再建が必要とペンタゴンは認めるが、これまで合衆国は数十億ドルを武器調達、訓練に支出している。だが2011年の米軍イラク撤退後に治安部隊の実力は低下したとペンタゴンは見ている。
  6. その背景にマリキ前政権が自身の取り巻きを軍事最高指導部に任命したことや、訓練を削減したことがあると米軍は説明する。
  7. イラクでは数百名の米軍事顧問団がイラク軍司令部で活動しているが、前線の戦闘には参加していない。■

2014年10月24日金曜日

米海軍:次期攻撃型原潜の建造準備に入る


ヴァージニア級建造が続く中、次世代の攻撃型原潜の準備が始まっているようです。潜航中の潜水艦から無人機を発進させるのには弾道ミサイルと同様に圧縮空気で泡を作り、水面上で機体を展開するのでしょうか。相当小さいサイズでしょうが、潜水艦が空も活動領域に加えようとしているのですね。

Navy Starting Work on New SSN(X) Nuclear Attack Submarine
By: Dave Majumdar
Published: October 23, 2014 3:45 PM
Updated: October 23, 2014 3:45 PM
Virginia-class attack submarine Pre-commissioning unit (PCU) John Warner (SSN 785) on Sept. 1, 2014. US Navy Photo
ヴァージニア級攻撃潜水艦ジョン・ワーナー(SSN-785)が9月1日に進水式を迎えた US Navy Photo


米海軍は次期原子力攻撃潜水艦の建造準備に着手する。現行のヴァージニア級(SSN-774)の後継艦として戦力化を2044年と想定し、それまでにヴァージニア級最後のブロックVII建造が終わる予定。

  1. 「長期にわたるSSN新型の建造計画を想定している」と海軍海洋システムズ本部で潜水艦計画を取り仕切るデイヴ・ジョンソン少将Rear Adm. Dave Johnson,が海軍潜水艦連盟Naval Submarine League 主催のシンポジウムで発表した。

  1. 「2034年というと、はるか先のようですが、艦体設計開発部門は今からアクションを取る必要があります」

  1. 次期攻撃型潜水艦はSSN(X)の名称でこれから10年のうちに各種案の検討を完了させておく必要がある。

  1. そうなると新型潜水艦の要求性能、設計、新技術の実証に使えるのは正味9年程度となり、ジョンソン少将は小チームを編成し、5年計画で作業を開始させたと発言。このチームは民間産業の意見も取り入れ同艦が作戦を展開する2050年以降の世界での脅威の中身を想定する。

  1. SSN(X)では艦外のシステムとの統合化が求められるとマイク・コナー中将(大西洋潜水艦隊司令官) Vice Adm. Mike Connor, Commander of Submarine Force, Atlantic (COMSUBLANT)は語る。またヴァージニア級とSSN(X)各艦はネットワーク化され超長距離兵器を運用すると予測。

  1. 新型魚雷推進システムの構想があり、ペンシルヴァニア州立大で研究中で魚雷に搭載すれば200カイリ先の目標を攻撃できるという。

  1. 「射程200カイリの魚雷を運用する心の準備ができていないが、これは実現に向かうでしょう」とコナー中将は述べた。また、ヴァージニア級やSSN(X)の攻撃潜水艦の魚雷発射データが外部から入る可能性を示唆している。

  1. そのため潜水艦から無人機を発進させたり、ボーイングP-8ポセイドンのような航空機が活用される。潜水艦が魚雷を発射しても最終段階の誘導は外部から行うかもしれないとコナーは説明した。■


2014年10月23日木曜日

ISISの操縦するミグ2機を撃墜したと主張するシリア政府発表



ISISの軍事運用能力がどこまでになっているのか、(なるのか)予断を許すさないところがあり、これまでのテロリスト集団とのちがいが日増しにあらわれている気がしますがいかがでしょうか。ロシア製ハードウェアは苛酷な環境での使用にも十分かもしれませんしね。

Syrian Military Claims to Have Destroyed Two ISIS MiGs

By: Dave Majumdar
Published: October 22, 2014 11:22 AM
Updated: October 22, 2014 3:58 PM

シリア政府から同国空軍がISISの手に落ちたソ連製MiG戦闘機3機のうち2機を撃墜したと発表。しかしながらこの発表の裏付けがない。
  1. 「SyAF(シリアアラブ空軍)がISISによりアルジャラー空軍基地al-Jarah airbaseで捕獲された戦闘機2機を撃墜した、とフェイスブックにシリア軍が書き込んだ。「SyAF所属スホイ戦闘爆撃機はT4空軍基地から発進しアルジャラ空軍基地でISISが捕獲したジェット機をアレッポ上空で撃墜した」
  2. 旧ソ連はシリアにSu-22フィッターとSu-24フェンサーを供与している。シリア政府はISISの手に落ちた上記基地を2日前に攻撃したとしている。
  3. 反政府勢力のシリア人権監視団Syrian Observatory on Human Rights (SOHR)がISISがMiG-21とMiG-23を運用していると報告したが、合衆国は即座にISISに軍用機運用能力はないと発表している。これに対しISISはL-39練習機兼軽攻撃機を飛行させている写真を意図的に発表している。
  4. SOHRは旧イラク空軍戦闘機パイロットがジェット機を操縦しており、訓練もしているとする。米空軍によればベテランのイラク人パイロットは職務規律が緩く、テロリスト集団内で操縦教官になるのは時間がかかり、実質的に困難と見ている。
  5. ISISの活動環境ではパイロットを新規に訓練しMiG-21やMiG-23のような戦闘機の運用は不可能に近いと見てよい。■


2014年10月22日水曜日

スウェーデンが捜索中の謎の小型潜水艇はロシアのもの?


スウェーデンで怪しい潜水艦(潜水艇)が見つかり大騒動になっています。ロシアがまたもや関与していれば大変なことになりますね。まずUSNIから。


Swedes Could be Searching for Covert Russian Midget Sub

Undated photo of the Soviet-era Project 865 Piranha-class submarine.
ソ連時代のプロジェクト865 ピラニア級小型潜水艦 撮影日付不詳

ストックホルム近くのスウェーデン領海で金曜日に見つかった謎の潜水艦はソ連時代の小型潜航艇でバルト海の母艦から運航されているもので大型ロシア海軍の潜水艦ではない模様だ。
  1. 先週金曜日に「外国水中艦が活動中」との報告を受けたスウェーデン海軍は大規模捜索活動を行っており、パトロール艇多数とヴィスビュVisby型海防艦を動員中。
  2. 捜索範囲は二倍に広げられ、「潜水艦あるいは小型潜水艇で、ダイバーがモペッドのような水中移動手段を使っているか、我が国領海に関係のないダイバーかもしれない」とスウェーデン海軍アンダース・グレンシュタッド少将Rear Adm. Anders Grenstad は話していた。
  3. ロシアは関係を否定しているが、ロシア船籍の貨物船コンコルドConcordがバルト海で怪しい動きをしていること、ロシア緊急チャンネルで暗号通信がロシア海軍のカリニングラード基地宛に送信されたことでロシア小型潜航艇の活動が疑われている
  4. 「スウェーデンが探知したのが小型潜航艇ということは大いに可能性がある。小型潜航艇は大型船舶の船体から気づかれずに発進可能」と21日付のJane’s Defence Weeklyは解説している。
  5. コンコルドはスウェーデン領海でジグザグ航行しているのを目撃されており、回収地点をさがしているようだとJane’sは報道している。「事件が明るみに出るとコンコルドは方位を変え、北東方向、ロシア領海に向けて進んだ」
  6. 同船はエストニア沖合にあり、サンクトペテルブルグ方向に21日午後に向かっているのがMarine Traffic.comで確認できた。
  7. 容疑対象はソ連時代の小型潜航艇で特殊部隊を送り込むために使われるもので、ロシアは輸出しようとしている。
  8. 「ロシアが小型潜航艇に再び関心を寄せており、プロジェクト865ピラニア級Piranha-class(NATO名ロソスLosos)は2隻がバルト海沿岸に配備されていた。同級は非常に静粛で探知されにくく、発信音が低いのが特徴」とJane’s.は書いている。

なるほど、Defense Newsは次のように伝えています。

Swedish Navy Widens Search for Mystery Submarine

Oct. 20, 2014 - 02:28PM   |  
By AGENCE FRANCE-PRESSE   |   Comments
Swedish corvette HMS Stockholm patrols Oct. 20 at Jungfrufjarden in the Stockholm archipelago.
スウェーデンの海防艦HMSストックホルムがストックホルム島しょ部をパトロール中、10月20日  (Anders Wiklund / AFP)
STOCKHOLM —スウェーデン海軍が怪しい外国潜水艦の捜索活動を増強しているが、冷戦時代に逆行するようにロシアを名指しで疑っている。
  1. 捜索範囲は首都ストックホルムの南東方面で近年では最大規模。国民には安全のため接近を禁じ、初の飛行制限も発表。
  2. 9月にはロシアのSu-24戦闘爆撃機が二機でスウェーデン領空を侵犯し、カール・ビルト外相が「ロシアによる深刻な領空侵犯」とこの十年ほどではじめて非難している。
  3. バルト海では冷戦期間を通じて両陣営が海軍部隊を運用していたが、スウェーデンはとくにソ連海軍の動きに注視していた。
  4. よく知られているのは1981年にはカールスクロナ海軍基地付近でソ連潜水艦が座礁した事件だ。
  5. ソ連崩壊後もスウェーデンは外国潜水艦の動きに注意を払っている。
  6. 20日には軍が捜索範囲を広げたため今回探知された艦の所在を巡り観測が高まった。だ。
  7. 捜索範囲の拡大に合わせ軍からは作戦海域から10キロメートル以内への立ち入りを警告するとともに同海域上空の不要不急の飛行を禁止している。
  8. 「人工物」の手がかりが先週金曜日に探知されてから、大規模な探索活動が展開されていた。
  9. 捜索活動が月曜日に入ると、問題の艦がロシアのものとの観測が広がった。
  10. ロシアはは逆に艦はオランダ所属だと主張。
  11. オランダ政府は直ちにこれを否定、自国潜水艦はスウェーデンとの海軍演習終了後に海域を去っていると発表。
  12. スウェーデン国防大学のトーマス・リースTomas Riesは艦がロシア製だとほぼ確信している。
  13. 「ロシアのものだと示す証拠は多いです。その他の国がスウェーデンに小型潜航艇を派遣するとは考えにくいです」
  14. 19日日曜日にスウェーデン軍が写真を発表し、同日にストックホルム東50キロメートル地点で撮影された「外国船」だという。
  15. リースは今回の事件は領空侵犯とは異なる性格だとする。ロシア機の領空侵犯はむしろ外交活動の一環だとする。
  16. 「相手方が秘密のままにしておきたいのは秘密工作活動をスウェーデン領海で行っていたことを示しています」
  17. ウクライナ危機のさなかでヨーロッパ安全保障への影響も危惧される中、スウェーデン事件はバルト海で緊張を増やす。
  18. ラトヴィア外相エドガルス・リンケヴィッチ Edgars Rinkevics はスウェーデン領海で進行中の事態を注視している。
  19. 「バルト海全体の安全保障の構図を塗る変える事態に発展するかもしれない」
Swedish Ministry Defense Handout Photo given to reporters on Saturday of the, “foreign underwater activity.”
スウェーデン国防省が報道陣に18日土曜日に公開した「外国潜水活動」の写真

  1. 可能性のあるロシアのピラニア級は潜水時390トンで乗員9名で6名の戦闘員を運ぶと米海軍協会の艦艇年鑑は述べている。ディーゼルエレクトリック推進で10日間の航海が可能という
  2. ソ連時代に作られたピラニア級は1980年代に完成し、ロシア艦隊から1997年に除籍されたが、一隻が海外向け販売用に改修されているという。
  3. 別の専門家からはプロジェクト908トリトンIIダイバー運搬艇(LSDV)ではとの声もある。6トンで戦闘ダイバー6名を60カイリ運ぶことができる。
  4. だが捜索が続く中トリトンの可能性は消えつつある。12時間も先行したままだからだ。■

2014年10月21日火曜日

シリア空爆拡大から一か月、分かれる専門家の評価と今後の行方




空爆開始から一か月、期待された大きな変化は発生せず、高価な兵器で安価な車両等を攻撃する事例が報告されていますが、これは泥沼化するのではと冷や汗をかく高官が多いでしょうね。しかしISISに占領された(されかかっている)住民が自ら蜂起しISISの教義に真っ向から立ち向かう日が来るでしょうか。筆者はそう思いませんが。

One Month In, Mixed Reviews on Iraq, Syria Airstrikes

http://www.defensenews.com/article/20141019/DEFREG02/310190006/One-Month-Mixed-Reviews-Iraq-Syria-Airstrikes
Oct. 19, 2014 - 03:03PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments
Syria airstrike
F-22 ラプターがシリア空爆に備え格納庫からタキシ―中。9月23日撮影。民間人被害を懸念して空爆には制約が課せられているのがイラク、シリア作戦の現状だ。 (Tech. Sgt. Russ Scalf / US Air Force)

WASHINGTON —シリア国内のイスラム国(IS)戦闘員を標的にした空爆を9月23日に開始した際に、バラク・オバマ大統領はじめ指導層は作戦は当分継続する見込みと発言していた。
  1. しかし米軍の空爆作戦には空軍力の信奉者含め批判的な見方が日増しに強くなってきた。一方でIS部隊はコバニなど各地で進軍を続けており、戦術変更を求める圧力が強くなっている。
  2. 一ヶ月経過したがシリア、イラクの状況は混沌のままで、合衆国は長期間かつ複雑な戦闘に巻き込まれてた観があることで全員が意見を同じにしている。
  3. ペンタゴンによるとイラク空爆は対ISミッションが始まった8月8日以来10月15日現在で合計294回。これに対しシリアでは9月23日から10月15日までに計229回の空爆を実施している。
  4. 「アフガニスタンでは同じ期間で近接航空支援3回あれば武器投下は一回だった」と軍関係者は明かす。
  5. 8月8日以来の弾薬投下回数は延べ1,300回ほどで、合衆国は同盟各国と一日平均100機出撃のうち25機が一発以上の兵装を投下している。
  6. 数字を聞くと相当の規模と思えるが、空軍力の専門家は不十分とする。「ISISを相手にした不誠実な航空戦」“The Unserious Air War Against ISIS”の題で戦略研究予算評価センターCenter for Strategic and Budgetary Assessments の研究員二名が今回の作戦と類似した1999年の対セルビア軍作戦と比較している。当時は一日平均138回の攻撃を実施しており、今回の対IS作戦より規模が一段大きい。
  7. 著者のマーク・ガンジンガーMark Gunzingerとジョン・スティリオンJohn Stillionは状況が複雑なことは認めつつ空からの攻撃に増強の余地があると主張する。
  8. 「空軍力を出し惜しみするとイラクでもシリアでもイスラム国戦闘員に制圧された領土の奪回は不可能だ」
  9. 退役米空軍中将デイヴィッド・デプチュラ David Deptula は2001年にアフガニスタンの航空作戦を主導したが、この意見に賛成で「問題は空軍力に制約があることではなく、空軍力の活用が不十分なことだ」とする。
  10. 「ISILのいるイラク・シリアの状況はタリバンのいたアフガニスタンと同じではない。今われわれが目にしているのは航空作戦を支援用にしか使ったことのない地上部隊指揮官中心の司令部が主導権を握る最後の戦争だ」
  11. それでは航空作戦をさらに増強すべきか。意見は分かれ、専門家は複雑さを指摘する。
  12. シリア作戦はシリア国内体制の変化をねらうよりもイラクのIS勢力向け支援を断ち切ることが目的で開始されたものだ。
  13. 「短期的にはまずイラクを叩く戦略だ」と作戦遂行に詳しいペンタゴン関係者がDefense Newsに語っている。「イラク軍が反撃しイラクを奪回するのを助ける。シリアではISILの戦闘能力を妨害、除去するのが目的だ」
  14. イラクが中心なら退役陸軍中将デイヴィッド・バーノretired Army Lt. Gen. David Barno(新しいアメリカの安全保障を考えるセンターthe Center for a New American Securityの上級研究員)は対応はやさしいと見る。
  15. 「とても複雑な構造です」と言い、「シリアの方がイラクよりも難易度が高いです.....合衆国にとってシリアは困難で長期にわたり問題となるでしょう」
  16. これが課題2番目のシリアで、合衆国が作戦展開中の地域はすでに内戦で荒らされているのでISとシリア大統領バシャ・アル-アサドの双方に今の段階で主導権を握る意欲がない。
  17. 上記ペンタゴン関係者もアサドを計画立案上は考慮しているが、空爆が間接的にアサドを強くするとの観測は軽視しているという。
  18. 「現在交戦中の各地ではアサド側が敗北ずみで奪還は不可能でしょう」と言うのだ。「そこに軍事力を投入すれば短期的にアサドによい効果となります。しかし長期的にはわれわれは反対勢力をテコ入れしますのでISILだけでなくアサド政権とも対決することになるでしょう」
  19. 三番目の要素は一般市民の死傷者を発生させないことだ。今回の取材では全員同じくIS勢力が民間市民にまぎれこんでいるので合衆国が目標を狩りたて攻撃することへの大きな制約となっていると認めている。
  20. 「軍は最大限に注意し正確・精密に目標捕捉に努めています」と同上ペンタゴン関係者は語る。「これができないと失うものが得るものより多くなります。地元住民の支援は絶対に必要です」
  21. バーノも空軍力から自らを守る方法をISは熟知していると指摘。「それに対し当方は制約を大きくせざるを得ない、一般市民で負傷者を発生させたくないからです」と言う。「このため思い切った作戦が実施できません」
  22. このため目標設定は限定的で、ISR強化を求める向きがあるが、上記ペンタゴン高官は「ISR機材は不足していません」とし、「もしそうなら、爆弾を積んだまま帰還する例が発生しているはず。目標が指定されていなければ投下できませんからね。そんなことは発生していません」
  23. デプチュラも巻き添え被害を恐れる傾向に異議を唱える。真の意味でIS打破に効果的なら一部緩和してもいいのではないか。
  24. 「交戦規則も変更し、下級の指揮権限にも目標攻撃を許すべきで、「誤爆」の可能性が増えますが、効果を引き上げるにはリスクも受け入れないと実現しません」
  25. 「反面で地上戦の効果を増やすためリスクはやむを得ないとの意見が大勢を占めれば継戦決意が高くなり、クルド人部隊やイラク軍から大きな歓迎を受けるでしょう」
  26. もうひとつ大きな疑問は地上戦部隊を投入するまでに空爆がどこまで成果をあげられるのか、と言う点だ。
  27. 重鎮議員のジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)Sen. John McCain, R-Arizやバック・マケオン下院議員(共、カリフォーニア)Rep. Buck McKeon, R-Califはこの問題でペンタゴンを空爆開始当初から追求している。
  28. 「地上部隊を派遣しないと、連合軍を形成できず、占領された地方を奪還するのは不可能」とマケオンは10月9日に発言。
  29. 「地上部隊が必要で、合衆国でなくてもよいが、これがないと勝利はやってこない」とバーノもいい、先月は「空軍力の限界が明らかに示された」とする。
  30. そこで再びデプチュラが登場、問題は空軍力ではなく、その使い方だと主張する。
  31. 「空軍力は雷雨のように使うべきなのに今は小雨のようだ」
  32. 上記ペンタゴン関係者もイラク、シリアで領土保全のため地上部隊の必要を認める。そこで現地軍の訓練を急いでいるところだ、そして現地住民が蜂起し、ISの教義に立ち上がるべきという。
  33. 「空軍力だけでは不十分、軍部隊だけでも不十分です」と言い「ともに広範な戦略構想の要素に過ぎませんし、最終的にもし該当地域の住民がISの思想に反撥しなければ、軍の作戦は成功できないのです」■

2014年10月20日月曜日

米海軍 イージス駆逐艦2隻を日本へ追加派遣


BMD対応を日米が強化するとのは脅威対象が引き続き拡大する必要があると日米が理解していることを意味するのでしょう。経ヶ岬レーダーは北朝鮮をにらむ大事な拠点となりますが、反対運動が出ているのはどれだけ安全保障の意味を理解しない人たちがいるかを示していると思います。


Navy Moving Two Additional BMD Destroyers To Japan

By: Sam LaGrone
Published: October 17, 2014 10:38 AM
Updated: October 17, 2014 10:38 AM
USS Benfold (DD 65) is at anchor off Koror, Republic of Palau in 2012. US Navy Photo
USS ベンフォード(DDGー65) パラオ共和国コロール沖にて。2012年. US Navy Photo

米海軍の最新鋭弾道ミサイル防衛駆逐艦二隻が日本に追加派遣され、ると米太平洋艦隊が16日発表。
  1. USSベンフォード Benfold (DDG-65) とUSSミリアス Milius (DDG-69) は母港をサンディエゴからそれぞれ2015年、2017年に横須賀へ変える。
  2. 一方、USSラッセン Lassen(DDG-82)はUSSバリー   Barry(DDG-52)と交代し横須賀の前方配備海軍戦隊 Forward Deployed Naval Forces (FDNF)からメイポート基地(フロリダ州)へ移動する。
  3. 「バリー、ベンフォード、ミリアス各艦は近代化改装で性能はトップクラスとなる」と声明文がうたう。
  4. 上記三隻はアーレー・バーク級駆逐艦でイージス・ベイスライン9改修でBMDに加え通常戦能力が上がる。コンピュータ処理能力の向上で複雑なBMD脅威へ対応し、対空戦・BMDのミッション切り替えが容易になる。
  5. 「各艦は海上自衛隊のイージス艦と共同し、経ヶ岬(京都府)で今年末に稼働開始のTPY-2レーダーも加え米日両国による地域内ミサイル防衛能力の即応性を高める」(太平洋艦隊声明)
  6. ニミッツ級空母USSロナルド・レーガンRonald Reagan(CVN-76が前方配備戦隊に加わり、USSジョージ・ワシントン(CVN-73)に交代する準備が進んでいる。■