2014年11月9日日曜日

F-35主翼生産ラインがイスラエルで生産開始 米イ関係の象徴として重要な存在



Accent on US-Israel Alliance as IAI, Lockheed Launch F-35 Wing Line

Facility To Build 811 Wing Sets Under $2.5B Industrial Deal

Nov. 4, 2014 - 06:06PM   |  
By BARBARA OPALL-ROME   |   Comments

An F-35 production line for wings was inaugurated by Israel Aerospace Industries. From left, Yaacov Rozmann, director of operations for the Lahav Division; Patrick Dewar, Lockheed Martin International executive vice president; US Lt. Gen. Christopher Bogdan, the Pentagon's chief executive for the F-35 program; Dan Shapiro, Washington's Israel ambassador; IAI Chairman Rafi Maor; Israel Defense Minister Moshe Ya'alon; and Haim Katz, a member of parliament and head of the IAI workers union.
イスラエル航空宇宙工業でF-35主翼の生産ラインが開所式を迎えた。写真左から、ヤーコフ・ロズマン(ラハヴ事業部)、パトリック・デワー(ロッキード・マーティン国際事業部)、クリストファー・ボグデン米空軍中将(ペンタゴンF-35開発室)、ダン・シャピロ米大使、ラフィ・マオルIAI会長、モシェ・ヤーロン(イスラエル国防相)、ハイム・カッツ国会議員(IAI労働組合委員長) (Israel Ministry of Defense)

BEN-GURION AIRPORT, ISRAEL —合衆国とイスラエル双方が10年以上にわたる国防産業協力の一里塚とたたえるのが国営イスラエル航空宇宙産業(IAI)によるロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機用の主翼生産ラインの操業開始だ。

  1. 25億ドル総額といわれる産業協力案件として新工場がIAIのラハヴ事業部 Lahav Division に竣工し、月産4基で2030年までに811セットを生産する。.
  2. イスラエル製主翼は米空軍とイスラエル空軍向け機体の他に将来の輸出機体に装着すると当地の業界筋は見ている。生産は既に開始されており、イスラエル製主翼の一号は来年中ごろにロッキードへ納入される。
  3. 本案件は総額40億ドルとロッキードが確約したイスラエル向け事業の大きな部分となり、イスラエルは2010年にF-35飛行隊の編成を決定していた。イスラエル国防省は事業規模は50億ドルに膨れると見ており、すでに調達機数は44機に増えている。
  4. ロッキード・マーティンで国際事業を担当する執行副社長パトリック・デワーPatrick Dewarによれば重要な主翼生産でIAIを信頼できるのはこれまで30年にわたるF-16とT-38事業の実績があるからだという。
  5. F-16Iでは同社は10億ドルまで調達規模を拡大しているのは「IAIが最高の製品を作ってくれるからで、同社を購入先に選択した」からだという。.
  6. さらに次のレベルで「双方の作業分担」の決定をし、両国の空軍部隊に支援業務を行っていくという。
  7. この動きに呼応してクリストファー・ボグデン空軍中将(ペンタゴンF-35開発室長)からF-35は米空軍、イスラエル空軍にとって今後の戦略的な重要装備であると発言している。
  8. 同中将が提案しているブロック購入にイスラエルを参画させる交渉が始まっており、実現すれば両国が複数年調達による経済効果として費用節約できるという。
  9. IAIは低率初期生産第9ロット、第10ロットで商談中だが、関係者は等しく単一発注にまとめられることを期待している。
  10. 「発注機材はそれぞれでコスト削減効果をもたらす。イスラエル国内の手続き規制でこれが可能なのか結論を待っている」(ボグデン)
  11. ロッキードの機体単価は115百万ドルだが、ボグデンはフライアウェイ価格は95百万ドルだとくぎを刺しており、2019年までに85百万ドル以下に下がると発言。「その単価でエンジン、ロッキード社の利潤も含む」
  12. IAI会長ラフィ・マオルRafi Maorは同社がすでに数千万ドルを設備、自動化、高度生産技術に投資してロッキードとF-35関係者の要望に応じているとし、IAIがロッキードF-16事業で精査印した主翼や主要部材は100万飛行時間超の実績を残していると強調している。
  13. 新工場によりIAIは主翼生産で世界トップクラスになると同会長は発言。「イスラエル空軍はF-35運用で世界の先陣を切ることになり、当社は同機の生産に関与することを光栄に思います」」 マオルは退役イスラエル空軍将校である。
  14. ラハヴ事業部で部長代行を務めるヤーコフ・ロズマンYaacov RozmannによればIAIは昨年夏の段階で新工場立ち上げができたのだが、ガザ紛争により先送りされたのだという。
  15. 開所式は当初は質素な予定でボグデン中将だけが目立つ存在のはずだったが、土壇場でイスラエルの国防相モシェ・ヤーロンMoshe Ya’alon と駐イスラエル米国大使ダン・シャピロDan Shapiroの出席が決まり、ボグデンの影が薄くなった。
  16. バラク・オバマ大統領とベンジャミン・ネタニヤフ首相との間で政策を巡る意見対立と緊張が高まる中で、今回の式典は両国を結ぶ関係がゆるぎないものであることを示す効果がある。■

2014年11月8日土曜日

★★中国ステルスJ-31はF-22.F-35に匹敵する性能があると見る米関係者の声




U.S. Pilots Say New Chinese Stealth Fighter Could Become Equal of F-22, F-35

By: Dave Majumdar
Published: November 5, 2014 12:53 PM • Updated: November 5, 2014 http://news.usni.org/2014/11/05/u-s-pilots-say-new-chinese-stealth-fighter-become-equal-f-22-f-35

An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳

来週に開催の珠海国際航空ショーで中国が公開する瀋陽J-31ステルス戦闘機は米側のステルス戦闘機以上の実力を発揮するのではと複数の米側軍事関係者、業界関係者が見ていることが分かった。

  1. J-31は中国による第五世代ステルス戦闘機の最新版で、ロッキード・マーティンのF-22ラプターあるいはF-35ライトニングII共用打撃戦闘機と同等の性能とされる。

  1. F-35開発に詳しいある米国戦闘機パイロットが USNI News に語る。「開発中でありどうしても高性能機に見える」「わが方の第五世代戦闘機と同等の存在だろう。産業スパイ活動は活発に続けられている」
An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳


  1. J-31そのものがロッキード・マーティンF-35(開発費用総額4,000億ドル)から盗んだ技術で設計されたと信じる者は多い。

  1. 「F-35やF-22によく似ている」と空軍テストパイロットが USNI Newsに語っている。
A U.S. F-35 Joint Strike Fighter. Lockheed Martin Photo
F-35共用打撃戦闘機. Lockheed Martin Photo


  1. F-35に詳しい先のパイロットはF-16ファルコンの操縦経験も豊富で、 USNI News にJ-31は第四世代機であるファルコン、ボーイングF-15イーグル、海軍のF/A-18E/Fの性能を上回ると見る。「四世代機では手に余る存在だろう」

  1. 海外製ハードウェアに詳しい元空軍戦闘機パイロットからは中国との戦争になれば中国が送り出す多数の戦闘機対訓練で優れる米パイロットの戦いになると見ている。「機体よりも機数が心配だ」

  1. 「向こうの機体も兵装もきわめてすぐれている。ただし乗りこなすパイロットの技量はわからない」

  1. 「航空ショーはやはり航空ショーで、性能の水準をはかり知ることはできません。つまり航空ショーでは派手な操縦で関心をたかめて商談に結び付けるのが目的」

  1. 現役米空軍テストパイロットからは実際に中国製ジェット機の性能をはかり知ることは困難との発言があった。

  1. 「まだ実戦化されておらず、まともな評価はだれもできない仕事」

  1. 中国が新型機をどのように運用し、どんな兵装を搭載するのかなど多くの疑問が残っている。中でも中国製レーダーがどこまでの性能になっているか、アメリカ製品と比べてセンサーの感度がどこまであるかが最大の疑問だろう。

An undated photo of the Shenyang-J-31
瀋陽J-31 撮影日不詳

  1. 米産業界はJ-31が珠海ショーで公開されるのは中国が同機を海外に広く販売しようとしているためと見る。

  1. 「J-31の輸出可能性が報じられています。そうだとすれば、機体を見せることで購入意欲が高まるはずです」

  1. 中国の航空宇宙産業では多くの進展がみられる。しかし、ジェットエンジンは弱点のままだ。

  1. 珠海ショーではロシアの高性能型スホイSu-35フランカーEもデビューする。

  1. 伝えられるところでは中国は同機を24機購入する意向だという。

  1. 中国が同機をリバースエンジニアリングし、以前のフランカーの前例を踏襲するのではとの観測が見られた。

  1. 「Su-35を購入するのは無難な急場しのぎ策で、その間にJ-20やJ-31の実戦化を待つのでしょう」と業界筋は見ている。■


今年の珠海航空ショーの注目機体はこれだ



何と言っても注目すべきはJ-31でしょう。F-35のコピーとも輸出を狙う機体との報道もあり、その実態がよくわからない機体です。

China Airshow Will Unveil J-31

Nov. 3, 2014 - 11:47AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

A model of the J-31 fighter is shown at the 2012 Zhuhai airshow
J-31の模型が2012年珠海航空ショーで展示されていた(Wendell Minnick/Staff)

TAIPEI — 中国の珠海エアショー関係者がステルスJ-31戦闘機が来週開催の展示会でデビューすることを確認した。
  1. 第10回目となる珠海ショーは正式名称中国国際航空宇宙展示会で11月11日から14日を会期に700社120機が出展する。
  2. J-31は双発で瀋陽航空機Shenyang Aircraft製で出展されれば初の公開となる。機体は単発のロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機と類似しており、中国語軍事ブログでは同機が珠海上空で展示飛行する写真を掲載している。
  3. 人民解放軍空軍(PLAAF)からはJH-7AとJ-10戦闘機のほか、Z-8KAヘリコプターと改良型H-6M中距離爆撃機(巡航ミサイル搭載)が出展される。洪都 Hongdu L-15ファルコン戦闘練習機はまだ出展の予定がないが、同社はすでに中東やアジアの展示会を利用して売込みを図っている。
  4. パキスタン製JF-17戦闘機は2012年に出展されていたが、今回はリストに入っていない。しかし中国航空工業集団AVICはFC-1戦闘機(JF-17の中国版)を出展する。同機は成都航空機パキスタン航空工業の共同事業。
  5. ロシアのSu-35高機動性戦闘機も初の展示となる。中国とロシアは同機を2006年から商談中だが11月末に妥結するかもしれない。
  6. 「24機分の機体と呼びエンジンで契約となると思う」とロシア戦略技術分析センターの専門家ワシリー・カシン Vassily Kashin は語る。「エンジン技術移転の交渉は別個に継続中で、協力分野がこれとは違う形になるだろう」
  7. 同機の搭載するエンジンはステルス機T-50と同じUnited Aircraft Corp製のサトゥルンAL-117Sで、AL-31FNの向上型だが、中国は後者を成都J-10戦闘機に搭載している。

  1. ロシアはSu-27戦闘機の国内生産を中国に1990年代に承認したが、中国がコピー版を勝手に作り始め、瀋陽J-11と呼称した。ロシアはSu-35でも同じことが起こるのを警戒しており、AL-117エンジンもJ-20ステルス機に搭載され別の懸念材料だ。
  2. ラジャラトナム国際関係学研究校(シンガポール)の国防産業専門家リチャード・ビチンガーRichard Bitzingerは「ロシアは中国機に自国エンジンを売却するだろうが、生産技術は別の話」とし、ロシアからの技術移転で中国が同形式のエンジンを製造することは可能性が低いという。
  3. 韓国空軍は出展を取り消した。ブラックイーグル曲芸飛行チームはロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業共作の超音速T-50ゴールデンイーグル9機を使う。韓国国防省は10月30日に中国に重要技術が盗まれることを合衆国政府が恐れているのを理解し、出展を中止したと発表。
  4. 出展していれば合衆国の防衛条約の相手国が珠海航空ショーに軍事装備を出展する初の例となっていた。この件についてロッキード・マーティンでT-50担当の広報エリック・シュナイブルは「出展は望ましくない」と語っていた。
  5. KAIは総額420百万ドルでフィリピン向けにTA-50軽攻撃・練習機12機生産の契約を3月に成立させていた。TA-50改良型では空対空ミサイル空対地ミサイルの搭載も可能。フィリピンと中国は南シナ海の諸島を巡り対立しており、軍事衝突に発展する恐れもある。
  6. 中国からはUAVメーカー各社が自社製品を紹介する。AVICはTianyi-1 (Sky Wing)、 Yilong-1 (Pterodactyl=翼竜)、Haixunzhe (Sea Patroller)を出展する。
  7. このうちSky WingとSea Patrollerは「軍事転用も考えて設計したもの、あるいは別の無人機のコンセプトのテスト用だろう」とみる専門家がロバート・マイケルソンRobert Michelson(Millennial VisionのUAV専門家)だ。
  8. Pterodactylは監視偵察用として開発が始まったが、「ジェネラルアトミックスのプレデター同様に空対地兵器を搭載し、無人機による攻撃の想定をしている」と同上専門家は見る ■

2014年11月7日金曜日

やはり韓国はBAE契約をペンタゴン通じ破棄しました





韓国の話題です。先日お伝えした件、やはり韓国が原契約の破棄を米政府に迫り、結果ロッキードがこのままだと改修契約を獲得しそうというお話です。何かと騒ぎが発生するのがお隣の国の常のようですね

South Korea, Pentagon Kill BAE F-16 Upgrade Contract

Nov. 5, 2014 - 08:17PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments

A contract with BAE to upgrade South Korean F-16s has been canceled at the request of Seoul.
A contract with BAE to upgrade South Korean F-16s has been canceled at the request of Seoul. (South Korean Defense Ministry / AFP)

WASHINGTON — 韓国からの要請を受けたペンタゴンがF-16改修事業でBAEとの契約を正式に取り消した。これにより韓国はロッキード・マーティン含む企業に再入札させることになりそうだ。
  1. ペンタゴンが134機のKF-16を対象とした「第一段階」の契約は「便宜上」終了させたと5日に発表。

  1. 本件は有償対外軍事援助のため、合衆国政府が韓国に代わり契約を終了させたが、韓国は二週間前から想定外の価格上昇が第二段階で出ていると抗議をしていた。

  1. メーカーのロッキード・マーティンが絶対的に有利とみられていただけにBAEの契約獲得は大きな突破口とみられていた。第1段階が始まった今年は順調に推移している一方で第二段階の交渉が始まっていた。

  1. 10月になり韓国高官がこっそりと費用上乗せしていると文句を言い始めたのは予想外で、韓国軍事筋は合衆国政府が470百万ドル、BAEが280百万ドルを追加してきたが、当初の合意内容に反すると主張。価格を巡る意見対立は急速に進展し、5日に公式に契約破棄となった。

  1. BAE広報からは同社が決定に「失望」し、原契約の第一段階分の業務は完成ずみと強調する声明を発表している。

  1. 「当社としては政府間協議を通じて固定価格契約で双方が合意した作業内容を実施すると明確にしていた。契約の残り部分も当社なら効率よく費用効果高い形で実施できていたはず」と発表。「残念ながら当事業は韓国の厳しい予算制約の影響を受けてしまった。また米空軍が事業経費全体に控えめな態度を取ったことにも影響を受けた」

  1. そこで大きな勝利をつかむのはロッキードで、BAEと韓国の関係が怪しくなってから同社は裏で動いていた。

  1. ある筋がDefense Newsに語ったところによればロッキードは改修契約の代償に大幅な技術支援をKF-X戦闘機に提供すると申し出ているという。

  1. ロッキード広報はKF-16改修契約の詳細は韓国政府関係者に申し入れるべきものと言いながら、同社としてはいつでも対応の準備があることを明かしている。

  1. 「当社は原メーカーとして唯一の有資格企業であり、世界各地のF-16運用者に最高の価値を提供できる」と同社広報は記し、「今回のF-16改修事業については韓国空軍および合衆国政府に問い合わせてほしい」とする。

  1. 契約破棄の影響は今後にも出そうだ。韓国軍関係者がDefense NewsにBAEは「望ましくない企業」に分類され今後の商談から除外されるリスクを冒していると述べた。

  1. ペンタゴンにとってもばつの悪い状況になる。というのもKF-16C/Dブロック52の二機がBAEのフォートワース工場(テキサス州)にすでに到着しており、ミッションコンピュータの交換を第一段階契約で実施するからだ。

  1. 米政府発表ではペンタゴンはBAEと共同で現行契約を終了させるというが、発生する費用の規模は不明だ。 ■

2014年11月6日木曜日

★J-20戦闘機は手ごわい相手になる予想 スピード、機動性をバランスしたステルス機

h中国の大型ステルス機J-20の最新状況です。ソ連と今の中国を比較する論調でJ-20をTu-22バックファイヤーに比較して厄介な存在だとしていますね。米軍機を本土に近づけないための「長い槍」の役割を中国は期待しているのでしょう。開発ペースが急加速することもあり、今から対策を練っておく必要がありますね。

J-20 Stealth Fighter Design Balances Speed And Agility

Unique J-20 could fit anti-access role
Nov 3, 2014Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology


J-20の外観上の特長のひとつが大型カナード翼だ  Photo via Internet

成都航空機のJ-20ステルス戦闘機は中国の航空宇宙工学の頂点ともいうべき存在だが、その開発の実態は謎に包まれており、試作一号機が突如2010年末に登場したが、その後2012年5月に二号機がデビューしている。二機には2011と2012と言う番号がついており、一緒に飛行しているのが目撃されている。
【試作2号機】 2号機で大きく目立つ違いは機体後部の着陸装置が細くなり、両エンジンの間の機体下部トンネルが深くなっていること。全可動式垂直尾翼の後ろに伸びるブームが長くなり、機体下部の固定式安定板が後部に移された。垂直尾翼の後縁とカナード翼が短縮され、前縁の基部はこれまでの曲線から直線形状になっている。
超音速空気取り入れ口の外壁の上部ラインは曲げられ、着陸装置の格納扉の形状が変わっている。扉が閉まるのは着陸装置が伸びきってからで機首の着陸装置扉も形状を変えている。F-22と同様の一体型フレームなしキャノピーは分割式風防とキャノピーの分割構造に変更され、キャノピーは緊急脱出時に破砕される。赤外線探査追尾装置を収めるとみられる部分が機首下部に追加され、ミサイル接近警告用のセンサーをいれたフェアリングが胴体下についている。
二号機は一号機初飛行の3年後に登場しており、フライトテストで判明した不具合を解消がされているのだろう。現時点でJ-20の実戦化時期は明らかではない。ペンタゴンの最新版議会向け報告では2018年以前には実現しそうもないとしている。.
しかし二号機から当初の基本設計に問題がないことがわかる。試作型全4機は西安のYanliang空軍基地(中国空軍の主要テスト施設)に配備されているらしい。J-20は中国初のステルス戦闘機だが同時に中国最大の戦術機でもあり、その役割が問題だ。
【機体構造】 J-20を観察すると西側、ロシア双方の機体と類似点がないことがわかる。機体の大きさは公開情報の衛星画像から正確に推測されるが、機体の性能特徴は誤って推測されていることがある。さらに搭載するエイビオニクスや素材の情報は不明だ。

J-202号機と初号機の違いとして機体後部で下部の経常が変わり、テイルブームが長くなっている、腹部のひれがやや後方に移っていることがある。二号機の前縁基部が直線になっており、カナード翼と垂直尾翼の端が短くなっている。電子光学センサーの格納部が機首下と機体右側側面に追加されている。Credit: Photo via Internet


J-20の操縦翼面のレイアウトはロッキード・マーティンF-22と大きく異なっているが、胴体のレイアウトはよく似ており、兵装庫が二つ腹部にあり、さらに側面にレール発射式空対空ミサイル(AAMs)をすべて空気取り入れ口の下および外側に取り付けている。両機種とも主着陸装置を兵装庫の後ろに持ち、エンジンは二基が近接している。違うのはJ-20がF-22より全長で 9.5 ft.大きく、兵装庫の大きさはほぼ同じだが、燃料搭載量が違う。

J-20の内部燃料搭載量がF-22より4割多いと見るのは妥当な評価だろう。機体が長い分だけ縦横比がよくなり、遷音速時に抗力効果が出る。
機体は大きいがJ-20の空虚重量はF-22とほぼ同じかもしれない。これはF-22の搭載するF119エンジンより出力が小さいエンジンを積んでいるためで、さらに二次元的推力方向変更式ノズルを搭載していないことが大きい。J-20試作型はUnited Engine Corp. (UEC) 製 AL-31Fを搭載していると見られるが、F-22との推力の差は大きい。F-22では中間推力運転時でJ-20がアフターバーナー点火時とほぼ同じ推力がある。ただしUECのAL-31/117S/117を今後搭載すれば差は縮むと見られる。
ノズルが丸く、機体後部の形状もF-22に比べればステルス性が劣ると見られるが、これはスホイT-50でも同じだ。これは高速飛行可能な機体ではレーダー断面積を犠牲にしてもいいとの賢明な判断なのかもしれない。一方カナード翼はステルス性能に逆効果だという人もいる。
【空力特性】 成都航空機のJ-10設計者 Song Wencong が2001年に発表した論文でJ-20の空力特性を説明している。論文ではデルタ翼、カナード付きで前縁部の基部を延長したLerx構造で相互作用を論じている。J-20の機体はJ-10より幅が広く、カナードと主翼は位置が離れている。しかし同論文によればLerxとカナードを共に使うことで揚力係数が最大になり、カナードと主翼を近くに配置した場合では得られない効果だという。
論文ではステルス機で斜め配置の尾翼構造にも言及している。固定式で角度をつけた尾翼は高迎え角の場合強力な交差流にさらされる。その結果、尾翼には強いモーメントが生まれ、尾翼が斜めになっているため、ピッチアップの力も加わるという。この解決方法として同論文では小型の全可動面の採用を提言している。J-20はスホイT-50と一定の方向では安定性を欠く点で共通しているが、J-20では尾翼を全可動式にすることでアクティブ制御を可能としている。また論文ではカナード構造により失速しても推力方向変更を使わずに確実に回復できるとする。
【エンジン】 論文では次世代戦闘機には超音速巡航飛行が必要ととし、超音速時の抗力削減の必要を強調している。ただしJ-20の超音速巡航飛行のカギはエンジンで、中国はロシアがSu-35SやT-50で開発中の技術を模倣しようとするだろう。UECの117Sエンジン(Su-35S用)はAL-31Fの推力32,000 lbより強力なうえ、デジタル制御方式となっている。T-50ノ117エンジンは117Sと似るが、さらに33,000 lb. へ増加しているとUECはいい、高温限界点が引き上げられ最高出力をアフターバーナーなしで持続できるという。ただし、J-20に117エンジンを搭載してもF-22の推力重力比にはかなわない。
【武装】 J-20の武装搭載方法はF-22と似ているが、兵装庫が短く狭い点がことなり、SD-10AAMサイズだと4発しか入らない。しかし、翼折り畳み式ミサイルなら十分収まる大きさのようだし、中国はロシアから Kh-58UShKE マッハ4級の対レーダーミサイル購入を交渉中と言われている。同ミサイルはT-50も機体内部に搭載する。
側部ミサイル格納庫はF-22と違い、ミサイルレールを引き延ばしてから扉が閉まる設計で、目撃されたミサイルには低アスペクト比の翼と折りたたみ式尾翼がついていたという。機関銃の搭載は見られていないし、想定されていないようだ。
このためJ-20は空対空戦闘機として重点を前方ステルス性能におき、高速度で効率を発揮する空力特性をもたせ、航続距離が長く、中程度の機内ペイロードを持たせ、防御用に適度の機動性をもたせた設計だ。開発の余地が相当あり、現行エンジンはとくに改良が必要だが、中国はハイローミックスの戦闘機配備を考えていることがわかる。
【作戦構想】 機体の成り立ちは中国の地理的条件から生まれた接近阻止領域拒否戦略に合致しており、中国がシナ海と周辺の島しょ部分にの軍事、地理上の野望の焦点をあわせていることに符合する。合衆国がこれから配備する戦術戦闘機は戦闘半径600マイルと中国本土の目標に到達できないし、同盟各国も同じ装備の整備を進めているのが現状だ。
そのため作戦の実施にどうしても必要な二機種が空中給油機と情報収取監視偵察(ISR)機だ。米空軍司令官レベルが好む「分散統制」構想でISR機材は統制通信機能も有する。しかし、給油機もISR機も防御能力がなく、戦闘空中待機combat air patrol (CAP)戦闘機による援護は長距離では実施が困難だ。
J-20の主要任務はステルス性とスピードでCAPを突破し、重要な給油機とISR機を追い散らすことだろう。長い航続距離で「長い槍」の利点を発揮し、J-20の有効飛行半径内では空中でのレーダー支援が不可能となる。
また対レーダーミサイルの搭載でJ-20にはある程度までの対艦攻撃が可能となる。中国の新型対艦高速ミサイルCM-400AKGおよびYJ-12はJ-20の兵装庫に入らないが、主翼下に取り付け可能だろう。また兵装庫も拡大されるかもしれない。.
こうして見ると同機はソ連時代のTu-22M2/3バックファイヤー爆撃機に匹敵する存在かもしれない。対抗する側にとっては手ごわい敵となる。
J-20
F-22
全長 (ft.)
66.8
62
翼幅(ft.)
44.2
44.5
主翼面積(sq. ft.)
840
840
機体空虚重量(lb.)
42,750
43,340
機体内燃料(lb.)
25,000
18,000
離陸重量、通常時(lb.)
70,750
64,840
最大推力(lb.)
55,000
70,000
最大戦闘時推力重量比
0.94
1.25
戦闘時推力重量比
0.59
0.93
戦闘時主翼吊り下げ重量lb./sq. ft.
69
66.5
Sources: Lockheed Martin, AW&ST analysis



2014年11月5日水曜日

イスラム国が海上に活動を広げる日はやってくるのか


なぜかイスラム国に関するニュースは処刑など一部に限られているようですが、戦略思考を強化する意味でもこのブログでは周辺ニュースも含めお伝えすることにします。今のところ下の懸念は現実のものになっていませんが、海を舞台とした破壊活動はいつ起こってもおかしくないでしょう。ソマリアの海賊と連携したら、対策部隊を派遣中の日本もイスラム国都の対決を余儀なくされますね。

Is Islamic State Group Getting Into the Piracy Business?

Nov. 2, 2014 - 02:38PM   |  
By AWAD MUSTAFA   |   Comments

DUBAI — アラブ首長国連邦が示した懸念はイスラム国戦闘分子がアルシャバブテロ集団と結託し、海上に活動範囲を広げるというもの。ただし、テロ集団と海賊の間に連携が生まれたという証拠はなく、この懸念は真剣に受け止められていない。
  1. 10月29日にUAE外務相シーク・アブドゥラ・ビン・ザイエド・アルナヒャンSheikh Abdullah bin Zayed al-Nahyan がこの懸念を表明し、国際社会に対して警戒を呼びかけた。第四回UAE主催海賊対策会議(会場ドバイ)での発言。
  2. 「イスラム国は犯罪ネットワーク・武器取引ネットワークを広げており、アルシャバブとの連携も深めている。そこで活動範囲が海に広がり、ホルムズ海峡、紅海、アデン湾等の重要地点の安全が脅かされないよう対策が必要だ」とし、「犯罪組織、テロ集団、弱小国の連合に対抗し、各国政府は民間部門とともに行動する必要がある。とくにイスラム国とアルシャバブの提携が現実のものになる事態に備えるべきだ」
  3. 大臣はアルシャバブを単なるテロ集団以上に恐喝集団でもありその活動資金の凍結を図っているとも発言。
  4. またイスラム国を史上最高に資金潤沢なテロ組織と評し、手持ち資金を20億ドル、さらに石油密輸で毎日現金収入が入っていると紹介した。
  5. UAEは反イスラム国のアラブ連合の一員でありシリア上空の航空戦のほか軍事力、情報、財務、イデオロギーの各面で対抗措置を展開中だ。
  6. 「海賊行為の費用を支えているのは一種のヴェンチャーキャピタルです」と解説するのはトッド・チャプマン米国務省政治軍事局筆頭次官補 tTodd Chapman, principal deputy assistant secretary, Bureau of Political-Military Affairs, US State Department だ。
  7. 「襲撃用のボート、エンジン、燃料、乗員に資金を提供して、海上で船舶を捕獲できれば大きな投資配当が入ってくるが、同時にとてもリスクが高い。だがわれわれは海賊行為に投資しても利益が限りなく出ないようにしている」「資金源はソマリア内陸部にあり、強いつながりがあるようだ」
  8. イスラム国に忠誠を誓うテロ集団は多数あるものの、ソマリアの海賊と同国内のテロ集団、さらに国際組織との直接のつながりはまだ見つかっていない、と会議出席の専門家が指摘した。
  9. 「ソマリア海賊についてアルシャバブ他テロ組織と直接のつながりは発覚していない。テロ集団はイデオロギーでつながっており、海賊は犯罪者だ」と国際情報筋は解説する。
  10. 湾岸協力理事会Gulf Cooperation Council (GCC) 事務局長アブデル・ラティフ・アルザヤニl Abdel Latif al-Zayani もUAEの懸念と同じ意見だ。アルザヤニは情報収集と共有を海賊対策に関与する各国間で強化するよう求めた。
  11. 「GCC合同司令部の創設に加え、GCC保安部隊本部がアブダビに置き、GCC内の各機関、また国際・地域内の各組織との連絡を円滑に行う」
  12. 「GCC内の安全保障には油田防衛、石油輸送の安全確保、タンカー運航の保安があり、国家レベルから地域、国際レベルへと広がる性質のものである」■

2014年11月4日火曜日

速報 F-35Cが空母着艦に成功



F-35C Makes First Arrested Landing on Aircraft Carrier

Nov. 3, 2014 - 09:05PM   |  
By STAFF REPORT   |   Comments

The Navy's variant of the Joint Strike Fighter, the F-35C, lands for the first time on an aircraft carrier Nov. 3 off the California coast in this image made from a Navy video.
米海軍向けF-35Cが初の空母着艦に成功。11月3日カリフォーニア沖合で。海軍公表のビデオから作成。 / Navy

F-35CライトニングIIが空母着艦に成功し、共用打撃戦闘機の開発とともに海軍航空運用の歴史で本日は重要な日となった。
  1. 米海軍中佐トニー・ウィルソンCmdr. Tony Wilson の乗機が空母ニミッツに着艦したのは太平洋標準時午後12時18分で、場所はサンディエゴ沖合と海軍が報道発表している。
  2. 再設計の着艦フックは問題なく機能し、F-35Cの艦上開発テストがこれを持ってはじまる。テストは二週間の予定。
  3. 「F-35C開発で本日は大きな記念日になりました。長年にわたる努力と数千名の技能の結集です。アメリカ最新の機体が現在最古の航空母艦USSニミッツに着艦して興奮しています」とウィルソン(第23航空テスト評価飛行隊)は語っている。
  4. ニミッツ艦上にはデイヴィッド・H・バス中将Vice Adm. David H. Buss(海軍航空部隊司令官)が同乗し着艦の様子を見守った。
  5. 開発テスト第一段階ではパタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド州)の2機がカタパルト発艦、拘束フック着艦含む各種運用試験を実施する。整備適合性テストもあり、実際の保守整備の模擬訓練も行う。
  6. そこで得られたデータから運用条件を最適化し将来の艦上運用に備える。艦上運用を2018年までに開始する野が目標。
  7. F-35CはF/A-18E/Fスーパーホーネットを補完する位置づけだ。
  8. 2025年時点の空母航空戦力の構成はF-35C、F/A-18E/F、EA-18Gグラウラー電子攻撃機、E-2Dホークアイ戦闘管理統制機、MH-60R/SヘリコプターとCOD(艦上輸送機)になる。■

韓国がBAEへF-16改修契約破棄を脅かす---韓国とのビジネスは欧州企業には無理なのか



S. Korea Threatens To Turn to Lockheed for KF-16 Upgrades

Nov. 1, 2014 - 04:11PM   |  
By JUNG SUNG-KI and AARON MEHTA   |   Comments

New Deal? South Korean officials said unexpected price hikes to upgrade KF-16 fighters have raised the possibility of switching from BAE and seeking a new contract with Lockheed Martin to do the work.
韓国政府関係者は予想外の価格上乗せでKF-16戦闘機改修はBAE都の契約を破棄し、ロッキード・マーティンに鞍替えする可能性が高まってきたという。(South Korean Defense Ministry/ / AFP)

SEOUL AND WASHINGTON — 韓国のKF-16改修でBAEとの契約が暗礁に乗り上げている。韓国は同社に当初水準まで価格を引き下げろと主張している。
  1. 値下げに応じなければ2012年入札で敗れたロッキード・マーティンと契約すると国防調達計画庁 Defense Acquisition Program Administration (DAPA) の上層部は述べる。BAEのアメリカ事業部との契約は17億ドルで妥結していた。
  2. 合衆国の対外有償軍事援助制度によりBAEは計134機のKF-16戦闘機のソフトウェア、ハードウェアを改修する。契約は二段階構成で最初の部分は実行中だ。
  3. DAPAは10月になり契約第二段階に追加費用が加算されていると公表し、合衆国政府470百万ドル、BAE280百万ドルの上乗せをがあると主張。
  4. DAPA航空機調達局長ペク・ヨンヒュン Baek Yoon-hyung准将は10月20日Defense NewsにBAEから追加分を95百万ドルだけ下げるとの連絡が入ったと明らかにしたが、これでは十分ではなく、米空軍はなおも追加分の値下げに応じようとしないと語った。現契約にない金額を請求するのなら別の業者を探す、と准将は語る。
  5. そこでロッキード・マーティンが登場する。業界筋によれば同社はすでにDAPAと商談をはじめており、国産KF-Xの技術支援も含めた契約案を提示しているという。
  6. 契約破棄となるとBAEには風評被害以外に悪材料となるが、DAPA長官 リーヨンジョーLee Yong-geo lは法律措置をほのめかし、国会で10月27日に「契約破棄の場合の法律対応を検討中」と発言している。
  7. DAPA筋はBAEの追加費用請求を契約違反と判断すれば、同社の保証金を差し押さえるという。BAEは「不適企業」とされ、今後の防衛入札で参加は難しくなる。
  8. ロッキード・マーティン広報は「噂や仮説には対応しない」としつつ「当社製品F-16の使用国との関係を大切にし、今後のニーズに応えていく」と発表。
  9. 他方BAEは同社による解決策が韓国には最適かつ最も柔軟で費用効果が優れていると弁護にまわっている。
  10. さらに「当社は一貫して米韓両政府が昨年合意した内容による固定価格制で実施に努めてきた。当社は両国政府の協議結果を待ち、第二段階実施に移る」と発表。
  11. ペンタゴン報道官は論評を避けている。
  12. BAEが契約を獲得した際は大成果と見られた。F-16はロッキード・マーティン製品で、世界各地ロッキードがで改修点検を一手に引き受けていた。
  13. これでロッキードが今後のF-16関連契約でも敗退する予測が流れた中で、リチャード・アボウラフィア(Tealグループのアナリスト)は元々の契約企業が外部企業に敗れるのは「部分的健忘症」とする見解を出した。
  14. 「他社の機体の改修事業を請け負うのは名案に聞こえるが、通常はうまくいかない。原メーカーに圧倒的に有利で機体構造の知識がはるかに豊かだ」(アボウラフィア)
  15. 他の要素もある。業界筋はロッキードと韓国産業界の強いつながりを指摘し、韓国航空宇宙工業とはT-50練習機の実績があり、F-35も採択された。
  16. 「ヨーロッパ各社に忠告したいがヘリコプターや水上艦艇を除き韓国案件でロッキードに勝てる可能性はない。お金の無駄です」と業界筋が述べている。■