2017年11月29日水曜日

世界9か国の核兵器保有数は合計15,000発!


世界に核兵器が多数あるから自国も保有して何が悪いのかと北朝鮮は言うのでしょうが、首をかしげるのは韓国にも核兵器保有の意見が出ていることです。南北統一すれば北の核が手に入ると能天気な意見もあるようですが。ま、それはともかく核廃絶を主張し大統領になったばかりのオバマがなぜ平和賞を取れたんでしょうか。好き嫌いがはっきりしてすみません。ABC分析するまでもなく核兵器の大多数を米ロニ国が保有しているので廃絶するなら(無理と思います)米ロがまず核兵器が不要な世界を作って自ら核兵器を減らすのが筋ではないですか。


Here's how many nukes each nuclear country in the world has

核兵器保有国、核爆弾の合計数は?

14,955 nuclear weapons worldwide




  • 北朝鮮核兵器開発を止めるのがトランプ政権の優先事項だ
  • だがその他8カ国が合計15千発の核兵器を保有している


ドナルド・ドナルドは大統領に就任以来、北朝鮮核兵器に焦点をあてるものの金正恩に開発を止める気配はない。トランプは中国に圧力もかけて説得させようとしている。
だが米国含むその他合計8カ国が核兵器を長年整備しているのが現実だ。
第二次大戦で日本へ原子爆弾を投下したのが唯一の核兵器使用例だが戦後数年でロシアが核兵器開発を開始し、その後、英国、フランス、中国が追随した。
1960年代にはこのまま多数国が核兵器を保有すれば世界が安全でなくなるのは明らかになった。このため不拡散条約が1968年に生まれ、核兵器、核技術の普及拡散の防止を狙った。イスラエル、北朝鮮のように非加盟国もある。
条約はおおむね成功しているが、核兵器の実戦投入で可能性が消えないまま世界平和は脅かされたままだ。
では世界に何発の核兵器があるのか。どの国が保有しているのか。米科学者連盟のまとめを引用する。

北朝鮮:60発

  • 米国は北朝鮮の核兵器開発をやめさせようとしている。1994年にビル・クリントン大統領がまとめた合意枠組みは不発におわった。北朝鮮にだまされたのだ。
  • 平壌はNPTを2003年脱退し、三年後に初の核実験を実施した。以後、兵器開発を続けており、ブッシュ、オバマ、トランプ各政権の働き掛けも功を奏さず進展を遅らす兆候はない。
  • 北朝鮮は既に核兵器60発を保有しているとの推定がある。

イスラエル:80発

イスラエル政府は公式には核兵器保有を否定も肯定もしない態度をとる。だが同国の核兵器整備は公然の秘密だ。 

  • 1986年に核技術者Mordechai Vanunuが内部告発しイスラエルの核開発を明らかにした。イスラエルの秘密裏の核兵器開発を助けたのは米英両国である。

インド:130発

  • インドは隣国パキスタンと敵対している。緊張を高めているのは両国ともに核保有国のためだ。ただし、二十年にわたり両国は核の応酬に至るエスカレーションを避けている。
  • インドは2003年に先制不使用を宣言し、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を投入しないと表明した。中国にも同様の政策がある。
  • インドが核兵器開発に踏み切ったのは中国の侵攻を恐れた1960年代だった。米国が制裁措置を課したが、現在は解除している。

パキスタン:140発

  • インドの先制不使用宣言と逆にパキスタンは核の一次使用を放棄していない。
  • 1971年のインド-パキスタン戦争でインド核兵器の脅威を感じたパキスタン自国開発を急いだ。
  • 2014年に戦術核兵器の開発を開始し、小型化が進めば水上艦艇や潜水艦から運用が可能となり、従来型核兵器より簡単に使用できるようになる。
  • 報道ではパキスタンは核の三本柱の完成に近づいており、核ミサイルを陸海空から発射できるようになる。

英国:215発

  • その他核保有国と同様に英国も核兵器は防衛目的に必要と主張する。
  • 同国の核抑止力はトライデントでヴァンガード級潜水艦4隻にトライデントIID5ミサイル16発を搭載し、各ミサイルに核弾頭8発を装備している。
  • 2010年から15年にかけ弾頭数を40j発減らし120にしており、削減しながら最小限の核戦力は維持したいとする。

中国:270発
    • 中国初の核兵器は1964年に完成した。インド同様に非先制使用方針を述べているが、国際社会にはこれを疑わしく受け取る向きがある。
    • 中国は核弾頭数を機密情報としており正確な数は不明だ。NPT加盟国だが、近年一層野心的になっていることで周辺各国を懸念させている。
    • 例として2018年に中国は次世代大陸間弾道ミサイルを発表する予定で、弾頭10個を搭載し世界各地の攻撃能力があるといわれる。2016年には別の長距離ミサイルが発表され、グアム攻撃が可能と判明し米国防関連に衝撃が走った。

    フランス:300発

    • フランスの核開発開始は冷戦中でシャルル・ドゴール大統領は米・NATOと別個に自国防衛能力が必要と判断した。ドゴールが恐れたのはフランスがソ連他の攻撃を受けても誰も救援してくれない事態だった。
    • フランスの核兵器保有規模は世界三位だが、同国は化学兵器生物兵器は保有していないと述べている。NPT加盟国である。
    • 2008年にニコラス・サルコジ大統領が同国の核兵器は「特定目標を想定していない」と発言し、「生命保険だ」と述べた。サルコジは核兵器削減も発表し、「冷戦最盛期の保有量の半分」にすると述べている。

    米国:6,800発

    • 核時代の先陣を切ったのが米国で1942年にフランクリン・ロウズベルト大統領がマンハッタン計画を開始させたことだった。第二次大戦中に米国は広島・長崎への原爆投下で一般市民数万名を殺害し核技術への見方を永久に変えてしまった。
    • 米国はNPT加盟国だが先制不使用の宣言は拒んでいる。
    • 今年初めにジョー・バイデン前副大統領が米核戦力強化への支出を倍増すると発言。「他の核保有国が米国に先に使用する可能性があるなか、安全安心で確実な核武装で攻撃を抑止することが同盟国のためにも必要」と述べ、「このため核装備維持の予算とならび核装備体系近代化の予算を増やした」
    • 近代化で10年間で4,000億ドルが必要との報道がある。ロシアの核戦力拡充に歩調を合わせる狙いもある。
    • トランプもオバマの米核戦力再整備の訴えに同調していた。「近代化と抜本的な再生が必要だ」と述べ、選挙運動中は米核兵器増備を訴えたが、2017年10月には「全く不要」と発言した。

    ロシア: 7,000発

    • 旧ソ連の核兵器開発開始は1940年代で米マンハッタン計画を追随した。冷戦中に米国と軍拡競争を展開したが、旧ソ連圏の核兵器はロシアに返還され多くは解体された。だがロシアは今も膨大な核兵器を保有している。
    • ロシアは核兵器近代化に資金を投入しており、米国同様に核戦力拡充を目指している。オバマ政権はこの動きは世界規模の核軍縮の障害と批判した。「向こうが軍事力拡充を追い求めているので、期待するロシアとの進展が見られなくなった」とオバマはプーチンを批判した。
    • プーチンは10月に世界の核兵器削減の一助となりたいと発言しながら、他国の動きを見れば自国も開発を止めるわけにいかないとした。
    • ロシアは弾頭数こそ世界最大だが、威力が最大とは限らない。
    • 「ロシアは段階的に改良して核戦力を整備してきた」ため10年以上も改良を受けない兵器もあるとArms Control Wonk創設者ジェフリー・ルイスがBusiness Insiderに語っている。
    • 一方でルイスは「米核兵器はフェラーリみたいで美しく複雑で高性能です」と言い、ミニットマンIII型ICBMは登場から年数がたっているが「精巧な機構で驚くべき性能」だという。
    • 「ロシア核兵器は新型だが設計思想は『あと10年で新型ができるから今から超高性能にする必要なし』というものですよ」(ルイス)■

    中国経済が米国を追い抜く日は来ない



    今回も中国経済の虚像に挑戦する論調ですが、バランスシートの概念が分からないと理解が難しいかもしれません。一方で中国統計の疑わしさには言及していないので正しい(会計上の原則で)数字が出れば(誰にもわからないでしょう)さらに中国経済の本当の姿が露呈するはずです。経済を理解しないまま軍事力だけで大国だと言っているのが中国の現状ではないでしょうか。交渉もそれを背景にしていれば、すごいポーカープレイヤーだとなりますね。しかし中国国営企業の債務は政府を上回る規模とすざましいですね。21世紀の課題は中国をいかに「世界秩序」に組み入れるかでしょう。中国はその秩序に抵抗する勢力でこのままでは受け入れられない存在です。北朝鮮問題のように少しずつですが中国にも変化の兆候が見られ、かすかな希望を殺さないようにしたいものです。


    Is China's Economic Power a Paper Tiger?

    中国経済は張子の虎なのか

    中華人民共和国のGDP成長が米国より高いのは事実だが、問題は成長の中身だ。
    A painter contrasts the reddish-pink hue on a painting knife with China's 100 yuan banknote before he works on portraits for Chinese artist and film-maker Zhang Bingjian's "Hall of Fame" project in a studio in Shenzhen, south China's Guangdong province
    November 27, 2017

    1. オバマ政権時に中国の台頭に対し米国の退潮を問題提起があったが、トランプ政権下で人は変わっても同じ主張が出ている。両政権の政策の違いが議論の種だが事実の基本は明らかにしたい。最も重要な点は経済力で中国は米国と肩を並べる存在でなく、追いつく可能性もないことだ。

    GDPを過大評価していないか

    1. 奇異に思う向きもあろう。中国の国内総生産GDPは数十年にわたり高成長中だ。だが中国は経済が苦境にあることをいつ認めるのか。中国発表の2009年第二四半期のGDP成長率は7.9パーセントだったが世界最大の債務を抱えての高成長だ。経済実態は中国共産党の主張と反対だ。
    2. 人民共和国がGDP成長率で40年間にわたり米国より高かったのは事実だが、問題はその中身だ。中国人の可処分所得は(中国発表の数字で)国民一人当たりGDPの半分に満たない。可処分所得は年間支出金額だが一人当たりGDPは会計上の概念で実経済であまり意味がない。
    3. もっと意味がないのは購買力平価(PPP)によるGDPだ。PPPでは中国国内の物価すべてを米国とそのまま比較する必要があり、無意味な概念だ。この計算の根拠は「一物一価」だが、中国市場の閉鎖性でこの原則はかならずしも通用しない。またPPPは消費者の購買力であるが、中国の消費支出は中国GDPの半分に満たない。購買力調整したGDPは多数の国で通用しない尺度で中国も例外ではない。

    民間純資産

    1. 単純なGDPの方ならよさそうだが最重要指標とは言い難い。各国が国益のために使う資源が国民純資産であり、実際に金銭支出を伴うもので会計上の概念ではない。年間GDPは国富の蓄積につながるはずだ。だが中国ではGDPが資産形成と密接つながっていないのは驚くべきことではない。
    2. クレディスイスが2000年から各国の民間純資産を算定している。データは修正などあり一定しておらず、最新版も確定していると言い難いが、それでも二つの特徴がある。1)中国政府による統計の偏り以上に大きなものはない 2)中国の2012年以降の成果でこの傾向が顕著になっている の二点だ。
    3. 2000年から2012年の中国民間資産は4.66兆ドルから21.7兆ドルへ年間14パーセント近く増加した。同時期の米国は42.3兆ドルから67.5兆ドルへ増加した。米国の優位がさらに伸びたが、米経済の年間成長率は4パーセントにすぎない。中国はらくらくと実績で上回れたはずだ。
    4. ところが状況はその後急変している。2012年末から2017年央までの中国の民間資産は7.3兆ドル伸び、年間成長は9パーセントに達した。これに対し米民間資産は26兆ドル伸びた。米国の経済規模ははるかに大きく、さらに米経済の成長率が高くなってきた。その結果、2017年央の中国民間資産は29兆ドル、米国は93兆ドルになった。連邦準備制度はクレディスイス推計と同意見で米国の家計純資産は96兆ドルとしている。
    5. 端的に言えばGDPは経済実績の完璧な尺度ではなく、民間資産も同様だ。だが資産規模で米中間交渉が変わる。民間資産で64兆ドルもの差がある中では中国が米国を脅かすほどの経済になるとの主張の根拠が怪しい。中国経済の成長が米国を上回るとの主張も民間資産の差がこの4年半で18兆ドルも広がったことで疑わしい。民間資産で見る限り中国は米国からはるか後ろを追う存在だ。

    公共部門

    1. クレディスイスが中国を正しく把握していない可能性もある。そこで二つの疑問が生まれる。まず、米国の優位性が2012年から広がったのは米国の株式市場と不動産バブルが中国のバブルを上回る規模になったためなのか。そうだとしたらバブルが弾ければ差は縮まるのか。これはありうるが、実現しても大きな影響は生まない。民間資産がこれだけの規模になるとグローバル金融危機時でも米国は56兆ドルの差をつけており、これは2014年とほぼ同規模だった。
    2. 民間純資産を阻む制約は「民間」にある。各国の目指す目標に投入する国富の総額を意味し、ここに公共部門も入る。共産党はPRCの巨大銀行システムの債務情報を出そうとしない。米政府も公共部門の資産評価で疑わしいものがあるが、米連邦政府の債務と中国の国家資産はともに巨額で国富の格差を縮める要素だ。
    3. 国営企業資産に関する公式中国データはここ数年一貫性がある。2017年央の資産総額は145兆元(7.4兆ドル)で債務は95兆元(4.8兆ドル)以上だ。ただし国営企業には資産を過大評価し債務を過小表示する傾向がある。したがって先に示した数字は最大値と見るべきだ。
    4. その他の公的債務に中央政府地方政府の借入金がある。国営企業に比べれば小規模であるが、それでも2016年末で4.1兆ドルになった。中国政府発表の数字に変動がないことが信ぴょう性を逆に疑わせている。2017年3月末時点の国際決済銀行(BIS)の推計は1.1兆ドル多い5.3兆ドル(2017年央)だ。
    5. 企業部門に次ぐ大きな国家資産は土地だ。大量売りが入れば土地価格が下がるため広大な規模の不動産の価格鑑定は困難だ。PRCでは政府の役割がいびつなためさらに困難だ。土地売買収入は2016年末時点で3.7兆ドルだった。2017年はこれを上回るとみられるが売買は不安定だ。
    6. 土地価格が低すぎるため企業部門の負債規模も低くおさえられるのだろう。ただし公共部門資産の誤差で正味民間資産が6兆ドル上乗せされ、中国の2017年央の国富は35兆ドルになる。もう少し高いかもしれない。
    7. これに対し米国では連邦政府負債が最大で2017年央で19.8兆ドルだった。州地方政府債務が3兆ドルある。構造は単純で、資産問題だ。
    8. 連邦政府は全米土地の27パーセントを保有し、その他州地方政府が33%を保有する。土地評価は合計125兆ドルだ。連邦準備制度によれば米政府部門の非金融資産は2017年央で14兆ドルとで、その他州地方政府は10兆ドル相当なので米国の純国富は88兆ドル超となる。ただし国有建築物を売却すれば価格低下を招き資産規模も縮小する。
    9. 連邦準備制度の不動産データから計算すると政府部門資産は2017年央で9.1兆ドルになる。これで米公共部門の総勘定は13.6兆ドルの赤字となり、純国富は80兆ドルを下回る。公共部門まで含むと米中の国富の差は縮まるが、それでもまだ大きい。

    米国の選択肢

    1. 土地価格の算定は不正確だ。資産価格は簡単に富が変動することを意味する。クレディスイスの民間資産推計データでも修正が入る。だがクレディスイス、米財務省、連邦準備制度理事会、BIS、さらに中国政府から意味のあるデータがわかる。
    2. 米国は純国富で中国を45兆ドル上回り、差に縮まる様子は今のところない。民間資産だけ見ても差は縮まっていない。これはBISの債務情報によるものではなく、中国政府発表の数字を基にした計算によるものでもない。つまり中国のGDP高成長は意味のない数字だ。少なくとも2010年代初頭において。
    3. 米国が中国と東アジアで覇権を競う、またはグローバル規模で主導権を維持するのであれば、国富の格差は意味がない。資産面の優位性は圧倒的に米国にあり、今後もそのままだろう。■
    Derek M. Scissors is a resident scholar at the American Enterprise Institute, where he focuses on the Chinese and Indian economies and on U.S. economic relations with Asia. He is concurrently chief economist of the China Beige Book.


    2017年11月28日火曜日

    中国J-31がSUV広告に登場

    この自動車メーカーですが本当に新規企業らしくよくわかりません。解放軍が設立した企業なのでしょうか。解放軍はかなりの数の企業を傘下に置いています。もっとも軍で正式採用されたわけではないのでメーカーとの交渉で実現したのでしょうね。それでなければ戦闘機を広告に出すのは同なのでしょう。お金だけ出せばなんでもありなのでしょうか。いずれにせよともに食指は動きませんが、J-31についてはいつどこで脅威にならないとも限らず情報収集は必要でしょうね。F-22やF-35が一般企業のイメージ広告に出たことはあったのでしょうかね。

    China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars

    中国のステルス戦闘機が自動車販売の引き立て役になっている

    J-31 meets SUV

    China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars
    WIB AIR November 27, 2017 Robert Beckhusen


    技術の結晶で未来イメージの中国のJ-31ステルス戦闘機の画像がSUVの広告に登場した。
    J-31が中国の新興自動車メーカーHanteng AutosのSUVモデルX5の広告で姿を見せている。
    広告では塗装が赤のSUV(「産業力」と「国力」を象徴)をジェット機とともに見せている。
    すると新興企業が自社SUVを国家主義や軍と結びつけるマーケティングを展開しているのか。さらに興味を惹かれるのはやはり国営瀋陽航空機が開発したJ-31(FC-31)はステルス機で中国軍に正式採用もされていない中で異例の登場だ。
    Above, at top and below — the J-31 as car salesman. Photos via Chinese Internet

    J-31モックアップが空母遼寧に乗せられたことはある。イランやパキスタンのような海外顧客を狙ったのだろう。だが今度は同機が多用途車の販売を助けるわけだ。ただJ-31は顧客がまだないことが問題だ。

    J-31はF-35共用打撃戦闘機の競合機種だ。機体サイズはほぼ同じでJ-31はステルス性で劣り、JSFのエイビオニクス、通信装備も搭載していない。ただしJ-31二号機が2016年12月に初飛行しており、新型赤外線センサーを搭載してやや大型になっているのが確認されている。今のところJ-31はこの試作型二機しか存在が確認されていない。

    ただ公平を期すと、J-31は双発機である点がF-35と異なる。また中国機にはF-35Bの揚力ファンは内蔵していない。F-35ではこのために他の二型式でも設計上の妥協が必要となった。中国がF-35の設計資料を入手したといわれ、F-35の設計上の難点を回避してJ-31を製造したのではないかと言われている。
    J-31試作二号機は一号機と異なり無煙エンジンも採用して、ステルス性にも寄与する。正式採用されれば空対空ミサイル12発と重武装の航空優勢戦闘機を目指すとみられる。だがまず採用国を見つける必要がある。中国海軍は可能性がある。あるいはF-35は手が出ないが競合上必要だと思う国だろう。
    いずれにせよ将来の導入国には製品保証がついていることを祈ろう。■

    ★★F-3を目指す最新26DMUから浮かび上がる設計思想



    ラプターみたいな想像図ですね。米記者による図のためでしょうか。2030年代以降の投入を考えると先送りは困るのですが、これだけの規模の新型戦闘機開発事業は今後はなかなか現れないはずなので、当然海外メーカーも注目しているのでしょう。国産開発、共同開発それぞれ優劣はありますが、合理的な決断を期待したいところです。F-3には無人機の運用能力も必要となるのでしょうね。

    Aviation Week & Space Technology

    Japan Refines Design For Indigenous Future Fighter

    日本が次期国産戦闘機に磨きを入れる
    A Japanese combat aircraft may have become more conventional
    日本製戦闘機は通常の姿になったようだ

    Nov 23, 2017Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology


    1. 日本が目指す国産戦闘機は長距離航続力を重視する方向に変更したようだ。平成26年度の設計案26DMU(デジタルモックアップ)が最新版だ。
    2. 平成30年中に国産開発、国際共同開発のいずれかを選択する予定だ。次世代戦闘機は三菱重工F-2の2030年代退役に備える狙いがあるが、防衛省は事業先送りも匂わせている。
    26DMUの特徴
    1. 26DMUの姿がこれまでも部分的に現れているが防衛省の公開セミナーで出た想像図で明確になった。以前の25DMUとの大きな違いは翼幅が縮まりアスペクト比が高くなったことだ。
    2. 26DMUの後縁形状は以前は後方だったが今度は前方角がつく。この変更で翼付け根の琴線が延長されているようでこれもアスペクト比を増やす。高アスペクト比で航続距離は伸びるが、超音速飛行では抗力が増える効果が出る。
    3. 防衛省は航続距離と長時間飛行性能で妥協しないようだ。防衛装備庁(ALTA)で次世代戦闘機を主管する土井博史は2016年にAviation Weekに当時未発表の26DMUは長距離飛行性能を重視しその他性能は中程度で甘受すると語っていた。
    4. 25DMUからこの設計思想が採用されたのは分析結果で長距離性能が重要と分かったためだ。この効果が空戦性能より重視された。
    5. 25DMUで長距離ミサイル6発の機内搭載が示され26DMUも継承している。MBDAのメテオと短距離ミサイルの混合搭載が考えられ、長距離交戦の想定だ。25DMUでは機関銃一門も想定した。
    6. 想像だが、26DMUで機体構造や推進系の改良で主翼変更による巡航時空力特性の劣化を補うのだろう。技術陣はF-2よりファスナーではなく接着剤の大幅採用で10%の重量削減を狙う。
    7. 26DMUの各フィンは鋭くなり延長されている。尾翼も変更された他、主翼後縁部に可動部分が二か所と以前の一か所より増えた。
    X-2の成果
    1. 他方で次期戦闘機技術の実証機X-2は目標を達成した。三菱重工が同機を初飛行させたのは2016年4月でその後同機はALTAに引き渡された。当初はフライトテスト50回予定だったが、データが良好のため一部を割愛できたと関係者が同上セミナーで述べていた。結局34回で各1時間で完結した。
    2. 同上関係者はレーダー特性がすぐれていたというがそれ以上の言及は避けた。IHIのXF5エンジンも高迎え角でも性能は予想以上だったという。
    3. X-2はステルス、高機動性、低速での取り扱いの実証が主な目的だった。推力偏向エンジンノズルを搭載し、高迎え角はXF5に難易度が高かったがエンジンは難なく作動したと同上関係者は述べた。推力も想定より若干高かった。その他の条件でもエンジン推力は予想以上だった。X-2の最高速度記録は高度6千メートル(20千フィート)でマッハ0.8だった。
    4. X-2で迎え角がどこまで試されたかは不明だが、同上関係者によれば米独共同開発X-31実験機が1992年に70度を試している。その状態で飛行すると運動エネルギーが急速に失われ、空戦時に不利だが、巧みに操縦すればミサイル回避も可能でドップラー手法でレーダー追尾もかわせる。■

    2017年11月27日月曜日

    B-1の投入頻度が高まっていることに注目



    「死の白鳥」問題はTu-160「白鳥」と混同した韓国記者の記事を朝日新聞がそのまま紹介したた背景がわかりました。思い込みは怖いですね。B-1は「ボーンズ B-ONE-s」と呼ぶべきでしょうね。報道機関にはB1の誤った記述を早急にあらためてもらいたいものです。

    B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions 多用されるB-1爆撃機がミッション回数記録を更新

    Lancers are driving a sharp increase in Pacific show-of-force flights 太平洋でランサーが示威飛行を急増させている。

    B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions
    WIB AIR July 10, 2017 Robert Beckhusen

    1. 北朝鮮がICBMの初発射に成功した直後に、米空軍B-1ランサー2機はグアムから離陸し、同国近くまで進出した。韓国と日本の戦闘機を従えて。
    2. 7月7日、8日には同型2機がペンタゴンが「示威行動」と呼ぶミッションを実施した。
    3. 太平洋で爆撃機フライトが急増していること自体は目新しいことではない。ランサーはアンダーセン空軍基地から飛んで威力を見せつけることが増えているのはAir Force Magazineが示している通りで2016年は合計73回もあった。これは前年比62パーセント増だ。
    4. 今年は2016年実績を上回るの確実だ。「倍増してもおかしくない」とスティーブン・ウィリアムズ准将Brig. Gen. Stephen Williamsが同誌に語っている。
    5. B-1はB-2スピリット、B-52ストラトフォートレスと並ぶ空軍が運用中の爆撃機三種のひとつだが、他機種と違うのはB-1に核運用能力がないことだ。このため空軍はランサーをしきりに投入しており、イラク、アフガニスタン、リビアで頻繁に飛んでいる。
    A B-1 Lancer takes off from Andersen Air Force Base on June 20, 2017. U.S. Air Force photo

    1. このうち対イスラム国作戦では2016年2月までに3,800発を投下している。
    2. その後、B-52がカタールのアルウデイド航空基地に移動しB-1と交替し、B-1は全デジタル式コックピットへの改修に入った。ランサーの大部分は1980年代製のままになっていた。
    3. 2016年8月にB-1はアンダーセンに到着し、2006年以来久しぶりの同基地配属となった。
    4. グアムから米軍は「連続爆撃機プレゼンス」“Continuous Bomber Presence” (CBP)を実施している。ランサー、ストラトフォートレス、スピリット各機を交代でアンダーセンから発進させ北朝鮮と中国の抑止がねらいだ。
    B-1s lined up at Andersen Air Force Base, Guam in February 2017. U.S. Air Force photo

    1. このうちB-2は試験用機体も入れて20機しかなく老朽化が進んでいる。このためCBPミッションはB-1とB-52に任せることが多い。
    2. B-1はペイロード75千ポンドがあり危険空域を高速ダッシュで脱出できる。このため米大統領は同機を北朝鮮ミサイル陣地の粉砕に投入するとみられる。
    3. B-1は500ポンド爆弾84発または2,000ポンドMk-84爆弾20発を搭載し、長距離攻撃ではAGM-158JASSMミサイル24発で北朝鮮を数百マイル先から攻撃できる。■

    北朝鮮がEMP攻撃をしかけたらどうなるか



    戦略軍に強力なEMP対策をしてあっても前線部隊は事情が違います。たしかにEMP脅威は誇張され気味ですが、一時的でもネットワーク機能が失われれば混乱は必至です。皆さんもネット接続が10分でも切れればパニックになるのでは。となると重要装備から対策すべきなのですが、敵がもっと大きなパルスを発する爆弾を投入すればいたちごっこですね。e爆弾の話題がずっと前にありましたがごく狭い範囲でEMPを発生させる手段の整備がどこまで進んでいるかでしょうね。


    How North Korea Could Win a War Against America: EMP Weapons? 

    北朝鮮はEMP攻撃で米軍に勝てるか

    November 26, 2017


    1. 朝鮮半島で開戦となれば、通常兵器のみを使う場合でも結果は壊滅的となる。核兵器が投入されればもっと悪い結果になり、エスカレートすれば最終戦争になるかもしれない。
    2. 核兵器が大都市に投下された場合の想定は明らかだが、戦術核兵器を見落としている。北朝鮮が米軍の侵攻を戦術核兵器で止めれば、米軍同盟国軍には電磁パルス(EMP)による被害の方が大きくなる可能性がある。EMPは強化対策がない電子装備に甚大な損害を与える。ネットワーク機能や高度センサー類に依存する米軍は脆弱だ。ほとんどが冷戦終結後の装備だ。
    3. 国防アナリストや軍関係者にこの問題の深刻度を口にしたがらない傾向があるのは機密情報のせいもあるがEMP効果の防護ずみ装備が少ないことを知っているからだろう。
    4. 「一部は大丈夫だがそうではないものもある。装備により事情が違う」とデイヴィッド・デプチュラ David Deptula 空軍中将(退役)(現ミッチェル研究所長)がThe National Interestに語っている。
    5. 「この課題は大変だが...EMP対策は非常に高価で、この25年間でコスト削減が最優先の中で対策は重視されていない」
    6. 戦略予算評価センター主任研究員のブライアン・クラーク Bryan Clark はもっと端的だ。
    7. 「装備の多数にEMP強化策はありません。旧式アナログ装備や冷戦期の装備にはあります」「高高度核爆発で低空でEMP効果が起こるかは不確かで、北朝鮮が自軍に被害を起こさずにEMP攻撃を実施するかも不明です」
    8. 同センターのマーク・ガンジンガ―Mark Gunzingerは元B-52パイロットでペンタゴンはEMP攻撃を想定し対策予算を確保すべきだと主張する。
    9. 「過去10年間でDoDは敵の『ハイブリッド』脅威を警戒するようになった。WMD(大量破壊兵器)もここに入る」「このためDoDはWMD環境でも作戦実施できる能力整備に努めている」
    10. 北朝鮮問題に限ればガンジンガーはEMPで北朝鮮軍も影響を免れないが米軍装備の方が一層脆弱だという。
    11. 「可能性が高いかと聞かれれば、そうと言わざるを得ない。軍の装備やネットワークは機能しなくなります。同盟国の側も同様です」
    12. ただし、北朝鮮が大都市など人口稠密部分に核兵器を使用しなくてもEMP効果で連合軍を狙えば、米国は核反撃に向かわざるを得なくなる。
    13. 「もし北米の給配電網に超強力EMP攻撃をだれかが使えばどうなるか。大統領が肩をすくめて『打つ手がない』とこぼす状況はあり得ないでしょう」とジョシュア・H・ポラックThe Nonproliferation Review編集長が語っている。
    14. 「ただし、この話は誇張気味だと思いますよ1.4メガトン爆発でホノルルの街路灯で数個が消えただけでしたし、EMP委員会の暗い予測が本当でも抑止力の投入までいくかどうか。核兵器攻撃を受けて甚大な損害を受ければやはり甚大な損害を狙う反撃が妥当でしょう」
    15. どちらにせよ米国が政権転覆を目指し介入してくれば北朝鮮が躊躇などしなくなるのは確実に思える。
    16. 「仮説にすぎないEMPに核兵器をわざわざ投入するとは思えない。狙うなら都市破壊だろう」とジョセフ・シリンシオンJoseph Cirincioneが以下語っている。
    17. 「EMPは突拍子もない構想です。いったん敵が核兵器を投入すれば、一線を越えたことになり核の応酬を招くことは必至です。米軍司令官が『空中炸裂に過ぎないからこちらも同様に対応しよう』と言うはずがありません。圧倒的な威力で核反撃をしてきます。こちらの側の核兵器と指揮統制機能は核戦争でも作動するようになっており、EMP炸裂ごときで機能不能になるはずがありません」■
    Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
    Image: Reuters.

    2017年11月26日日曜日

    F-22アフガニスタン実戦デビューの背景にあるもの


    すっかり忘れられた感があるアフガニスタンですが、ここにきて空爆作戦が強化されているようです。その中でF-22が実戦に投入されたとのニュースあり、その背景を見てみましょう。


    The F-22 Mission in Afghanistan: Overkill or Realistic Training? F-22のアフガニスタン投入は過剰装備なのか現実的な訓練だったのか

    A U.S. Air Force F-22 Raptor banks left causing vapor contrails during an aerial demonstration at the Australian International Airshow and Aerospace and Defense Exposition (AVALON) on March 3, 2017, in Geelong, Australia. (U.S. Air Force photo/John Gordinier)米空軍F-22ラプターが左旋回し機体の後ろに水蒸気が見えた。オーストラリア国際航空ショー・航空宇宙防衛装備展示会(AVALON)にて。 March 3, 2017, in Geelong, Australia. (U.S. Air Force photo/John Gordinier)
    POSTED BY: ORIANA PAWLYK NOVEMBER 21, 2017


    F-22が初めて実戦投入されたのはシリアで3年前のことだった。
    1. 第五世代戦闘機はステルス性能で地対空ミサイルの攻撃から逃れる想定だ。だがシリアには米軍機攻撃の意図はなかった。そのため航空優勢を確保する目的で生まれた同機は高高度偵察機あるいは統制機として投入されていた。
    2. ラプターはアフガニスタンで先週日曜日に戦闘デビューし、麻薬工場と思われる施設を小口径爆弾で攻撃したと空軍が発表している。
    3. 外部には過剰兵力で装備の無駄使いとの批判もあるが空軍関係者は付随被害を最小限にする目的のため妥当な投入であり、現実的な状況で同兵器の使用効果を見る演習の意味もあったと弁護している。
    4. 「今回あえてF-22を選択したのは同機に小口径爆弾搭載の能力があり付随被害はあくまでも最小限にする必要があったためで、SDBが同機で使える状態になっていたためだ」と空軍中央軍報道官ダミアン・ピカート中佐がMilitary.comのメール照会に返答してきた。
    5. ラプター投入は当初は奇異に聞こえた。タリバン戦闘員に同機の対応が必要な高度装備は持ないためだ。
    6. F-22にはB-52ストラトフォートレスとアフガン空軍のA-29スーパーツカーノが随行しタリバン収入源を壊滅させる作戦になったとジョン・ニコルソン米陸軍大将Gen. John Nicholson(NATO軍の普及の支援作戦司令官兼米在アフガニスタン軍司令官)が説明している。
    7. ラプターについて大将は「精密攻撃弾運用能力があるため」投入されたと説明。
    8. だが搭載兵装だけの問題ではない。パイロットにも良い訓練になったはずとワシントンDCである国防アナリストが語った。「こちらがアフガニスタンでF-22を使うのはロシアが最新鋭装備をシリアに投入するのと同じ理由です。つまり現実に即した訓練です」と説明してくれた。「双方ともまだ実戦投入していない装備があります。実戦投入すればテスト環境と違う形で実際の作動状況が分かりますし、次の実戦投入に役立ちます」
    9. 米軍が戦闘状況に装備を投入する場合は「一番安上がりな装備を選ぶのではなく、次回必要となる装備を投入するはずです」とアナリストは述べた。
    10. としても機材はいろいろ選択できたはずだ。F/A-18E/FF-15Eの各機もGBU-39小口径弾は運用できる。
    11. 「ただし(米中央軍の)言う通りなら、そうした機材は出払っていたのでしょう。指揮官にとって使える機材があるのに過剰性能だからと言って投入しないのはおかしい」
    12. KC-135ストラトタンカーがカタールのアルウデイド航空基地から、KC-10エクステンダーがアラブ首長国連邦のアルダフラ航空基地から飛びラプターを支援した。アフガニスタンで給油機はF-16も支援した。
    13. 「KC-135はカンダハールからも飛ばしF-16が近接航空支援と攻撃任務をアフガニスタンで展開するのを助けた」(ピカート)
    14. さらに11月20日から21日の夜に空軍は「バグラム基地配備のF-16で麻薬施設を攻撃し、これをカンダハールのKC-135が支援した」
    15. F-22編隊はアルダフラを離陸したが指揮官がアフガニスタン国内の作戦にラプターを再び投入するか注目される。なお、各機はフロリダ州のティンダル空軍基地の所属だ
    16. 一方でF-16やMQ-9リーパーがアフガニスタンで投入される回数が増えている。空軍は8月から9月にかけ計900発を投下したが、昨年同時期は270発だったと空軍実績で判る。
    17. 「今年は2012年以来最多の投下をしている」とニコルソン大将は述べている。「その理由としてアフガニスタン政府軍が攻勢に出ていることがあり、こちらも機材を投入することが多くなっているためだ」「今年の攻勢では空軍力による支援を活発に行っている」とも述べた。■

    ★平壌が核攻撃を受ければこうなる



    国民の命など全く考慮していないとしたら金正恩は恐ろしい人物ですが、思考がそうなってるのでしょうね。北朝鮮国民も選択肢なく追随しているのですが本当に選択肢はないのでしょうか。なし崩し的に核兵器を使う(使える)とは思いませんが、最悪の状況に備える必要はあります。一度に数百万単位で人命が失われた場合、周辺からの救難はほぼ不可能でしょう。経済、社会面でも自国だけでの復興は困難になるはずです。シミュレーションの範囲にとどまることを祈るばかりです。ただ今年になって核戦争の脅威が日本にも現実になったのですが事態が鎮静化すれば消えるものでもなくこれから延々と「現実」の世界に直面する必要があります。

     


    1.5 Million Dead: This Is What Would Happen If America Nuked North Korea's Capitol 

    死亡150万人:北朝鮮首都が核攻撃を受ければこうなる
    November 24, 2017

    北朝鮮は米情報機関にとって難易度最高の対象で、情報収集や解析に普通より長い時間がかかり危険も伴う。協力者を確保するにも年単位の勧誘(時には脅迫)が必要となり、中央情報局や国家情報局でも北朝鮮については情報源に余裕がない。そこで衛星画像の分析や電子情報収集に重点が移り、国家情報局長ダン・コーツDan Coatsが上院情報員会に「得られる情報は極めて限定されている」と明らかにしている。
    ただし一つ確実なことがある。金正恩が核ICBMを米国に向け発射するという常軌を逸したシナリオ実行に踏み切った場合だ。ドナルド・トランプ大統領は「怒りと炎」で米核戦力による報復攻撃に踏み切るのは必至だろう。この可能性があるのかを国防長官ジム・マティス、国家安全保障補佐官H・R・マクマスター、米戦略軍司令官ジョン・ハイテン大将と議論するまでもない。議論するとすれば北朝鮮攻撃の標的をどこに設定するかだ。
    平壌が報復攻撃の標的になるのはまちがいない。金正恩は親族や軍高官と米核攻撃の前に防空壕に逃げ込むだろうが、結果に違いはない。米報復攻撃の狙いは北朝鮮の軍事指揮命令系統の破壊であり、経済体制、政治指導体制も破壊し金正恩に二度と核を使わせないことだ。核兵器そのものも破壊すれば理想的だ。
    アレックス・ウェラーステインのNukeMapアルゴリズムのウェブサイトを利用して米国が平壌中心部を750キロトン爆弾一発で狙った場合(米国最大の核爆弾B83は1.2メガトン)にどんな人的被害が発生するかを検討してみた。平壌は高人口密度都市で、一発で150万人以上が死亡すると出た。国連統計では同国の総人口25.281百万人だが、平壌市内で750キロトン爆弾が爆発すれば総人口の6パーセント近くが消滅することになる。米国で言えば、一回の攻撃で19.27百万人が一度に死亡するのと同じだ。
    負傷者(855,410名)を加えると死傷者合計は2.3百万名になる。
    平壌市内の主要建築物で被害の様相を見よう。平壌北西部にある戦勝祖国解放戦争博物館の来場者、職員は50から90パーセントが数時間あるいは数日、数週間で死亡する。凱旋青年公園では建築物が崩落し生命を奪われるもの死亡者が続出する。大同江の対岸の朝鮮労働者施設も同様だ。熱放射線の到達する外縁でも第三度火傷で四肢切断が必要となろう。これが半径11.1キロで起こることである。平壌市内に金正恩が肝いりで作った高層ビルもすべて崩壊し投資が無駄になる。
    このような人為的な地獄絵図は誰も見たくないはずだ。人命喪失と道義が崩壊になする。世界場いかなる場所でも核攻撃が発生すれば文明に穴が開き、医療技術が進歩したとはいえ21世紀と言えども生命のもろさは石器時代と変わらない。
    北朝鮮は幻想の下で暮らすべきではない。米国都市を核攻撃するなどという無分別さを示せば自国消滅を覚悟すべきである。ドナルド・トランプは迷うことなく報復措置を命じる。今までの大統領とは違うのだ。■
    Daniel DePetris is a fellow at Defense Priorities.
    Image: Reuters
    NukeMapで任意の場所に核爆弾が投下された場合の効果を試せます。