2017年12月10日日曜日

日曜特集 MiG-31ファイヤーフォックスのすべて

あなたはシャーロック・ホームズやホーンブロワー提督がお好きですか。そうでなければ今回の記事をお読みにならない方がいいでしょう。読んでも理解できない向きはコメントをお寄せにならないようお願いします。英国人が同じ記事を書いたらもっとおもしろくなるのでしょうかね。

 

The Story Of The MiG-31 “Firefox”: All You Need To Know About The Most Awesome (Fictional) Advanced High-Speed Interceptor Ever

MiG-31「ファイヤーフォックス」の物語:世界最高峰の(架空の)高速迎撃機のすべて

Dec 01 2017 - 0 Comments

 

  1. MiG-31について誤った情報が流布しているようなので訂正したい。
  2. クレイグ・トーマスが1977年に発表した小説「ファイヤーフォックス」はクリント・イーストウッド監督主演でテクノスリラーアクションとして映画化され、1982年に公開された。
  3. 航空好きなら一度は見たことがあるのではないか。
  4. 映画ではソ連のMiG-31(МиГ-31)を盗むプロットを中心にNATO名「ファイヤーフォックス」のステルス迎撃機はマッハ6飛行可能としていた。
  5. 機体外形は小説と映画で大きく異なる。小説版はMiG-25フォックスバットに似ており、これはその後本当のMiG-31フォックスハウンドで現実になった。映画版は当時噂のあった「ステルス戦闘機」のイメージに影響を受け未来的デザインになっている。
  6. 物語全体は実現性とは無縁だったが興味深いのはMiG-31の想定性能だ。(小説執筆時、映画化の時点で不可能だった内容がその後に実現している)敵レーダーから探知されず極超音速飛行するファイヤーフォックスではパイロットの脳波の思考制御で兵装運用していた。ただしロシア語による思考にのみ反応するのだった。機体にはカメラ多数が装備されパイロットは後方の様子も把握できた。
  7. MiG-31は試作機が二機製造された。一号機はミッチェル・ガント少佐(扮クリント・イーストウッド)がソ連から盗み出し追跡を振り切る。北極海の氷上に着陸し、潜水艦から補給を受けた。二号機が盗まれたファイヤーフォックスを追跡して接近したがドッグファイトでガント少佐が勝利した。
The MiG-31s involved in the dogfight. (Credit: Warner Bros)

  1. 映画版の機体をデザインしたカート・ベスウィックが自らファイヤーフォックスの詳細情報サイトを開設している。カートは技術諸元の「白書」もイラストにつけて公開しているが、「すべて映画からあるいは自分で作った情報なので真剣に取りすぎないでほしい。この形状では明らかに極超音速は無理であくまでも映画の世界」と伝えてきた。
  2. 白書から興味を惹かれる部分を抜き出し解説してみた。

開発の背景

  1. MiG-31ファイヤーフォックスの根本目的は西側が開発中のすべての機材を迎撃可能な戦闘機開発にあった。想定したのはSR-71ブラックバード、U-2BTR-1D-21無人機だった。冷戦は最高潮で、「相手を正直にふるまわせるため」米国はソ連上空でスパイ飛行していた。マッハ3.5のロッキードD-21無人機を「母機」SR-71から発射することがソ連の現実の悩みだった。米側は高度100千フィートから同無人機の運用に成功しており、ミコヤン-グレヴィッチはこれを標的に設定した。MiG-25フォックスバットの知見が使われ最高水準の機体が生まれた。ファイヤーフォックスは航空技術の最高峰であり、米国はこのことを認識していた。
  2. MiG-31予算は増大の一途で試作型2機以外の製造は期待薄となった。チタン加工法だけで当初の予算想定を超過する規模だったが関係者は構わず進めた。なによりも米国による上空飛行を許さないとの決意が強かった。ファイヤーフォックスは究極の高速高高度飛行迎撃機として設計されたのだ。

エンジン

  1. ファイヤーフォックスのエンジンはツマンスキ Tumansky RJ-15BD-600高バイパス比アフターバーナー付きターボジェット双発で推力は各50千ポンドだった。これはMiG-25フォックスバットで開発したエンジンを大幅に改良したものでSR-71ブラックバードの P&W J58(32,000lb)を上回った。
  2. エンジンには六基のソユーズ・コマノフ固体燃料ロケットブースターも付き、主エンジンを助けて15,900ポンドの追加推力を生んだ。重量満載時の離陸を補助したほか、高速加速効果も生んだ。テストパイロットがエンジンのフレームアウトが発生する高高度で作動させたこともあった。試作型一号機は131,079フィートまで上昇し、以前の世界記録Ye-266M123,492 ft.を更新した。
  3. コンプレッサーのブレイドはチタン製でロシア航空機産業で初の試みだった。燃料は冷却後にエンジンに供給され機体冷却にも役立てた。この技術についてはロシア情報部が入手したSR-71のシステムが参考になった。
  4. RJ-15BD-600は驚異の推力重量比を実現し、高高度でも空気取り入れ効率を維持してマッハ6を実現した。ただし燃料消費が高くなるため最高速度の長時間維持は不可能だった。巡航速度はマッハ3.8から4.8の間で実用高度は 95,000フィートから105,000フィートの間だった。
The Firefox at the rendezvous with a submarine in the arctic (Warner Bros).

機体

  1. 機体は大部分がチタンとSS-118ステンレススチール・ニッケル合金でフォックスバット後期型と同様だった。MiG-31はチタンを大幅に取り入れたソ連初の機体で、1970年代中頃までにソ連の製造技術はチタン工法を習熟していた。ただし、レーダー吸収剤の追加により機体表面の高温化が問題となった
  2. この解決策の一つとして機体のアスペクト比と前後縁は切り詰められロッキードF-104スターファイターと酷似した。機首とエンジンナセルは滑らかな平面とし空気摩擦を最小にしながら抗力を減らした。リベットは表面を滑らかにされ、機体表面に突出部はなく、センサー等は機体内部に搭載された。機体表面の高温化に対応し主翼内に拡張可能な結合構造が採用された。兵装搭載はすべて内部とし、ミサイルは引き込み式発射装置を左右に配置した。熱対策が各種試されたが、結局巨大ヒートシンクで解決し、MiG-25と方向が違っていた。
  3. 機体に「ステルス」特性もあったが、高速と高高度飛行を前面に立ててどちらを優先すべきかで議論の種となった。ステルス性には三段の対策がなされた。まず機体構造は角ばりレーダー波反射をねらった。さらに表面にレーダー吸収剤(RAM)が施され当時の米国の技術と同じだった。次にMiGには電子対抗装置(ECM)で敵早期警戒をジャミングできた。ただし、ツマンスキエンジンの冷却だけはどうしようもなく熱追尾ミサイルの格好の標的となる点は同機最大の弱点といわれた。

エイビオニクス

  1. ファイヤーフォックスは思考制御による兵装運用を初めて効果的に実施した機体だった。機構は簡易かつ地味な構造で、ヘルメットを中央コンピューターに光ファイバーで接続していた。パイロットが兵器選択を考えると(ロシア語で)、その通りにミサイルを発射する仕組みで、EEGフィードバックと呼ばれた。操縦は思考とは別で、兵装運用だけに応用した。当時はフライバイワイヤは新技術とみなされていたが、思考制御は革命的だった。ミコヤン-グレヴィッチは合成開口レーダーも開発し偵察ミッションにも柔軟に使われた。
The MiG-31 Firefox had a range of 3,000 miles. (Warner Bros).

 

ファイヤーフォックスのその後

  1. クレイグ・トーマスの小説版のファイヤーフォックスのその後の経緯とは異なる。あれだけ苦労して盗み出した機体が(次作「ファイヤーフォックスダウン」で)墜落してしまうとはあまりにも荒唐無稽なためだ。代わりに判明している事実に従ってその後の経緯を伝える。映画では実寸大のファイヤーフォックスのモックアップがエドワーズ空軍基地周辺で使った。そこで同機の「経緯」を以下の通りだ。「ソ連から盗んだ機体を米軍幹部はどうするだろうか」と考えてみた。まず機体は映画の最後でアラスカに向かい飛行したので北部カリフォーニアに秘密基地があると考えるとビールAFBが設備が整い立地も遠隔地だ。(実際に同基地でSR-71TR-1が運用されていた) 同基地で初期点検と研究がなされただろう。その後、グルームレイクに移動し、ロシア製軍事装備を運用する「レッド・ハット」飛行隊に加わったはずだ。
  2. 機体は大部分が分解されリバースエンジニアリングされたはずだ。最終的にエドワーズAFBに併設したドライデンフライトリサーチセンターに移動し、高速飛行テストと合金技術の研究用に使われその生涯を終えたはずだ。思考制御方式が関心を呼んだことは間違いない。そこからの可能性は無限で、おそらくF-22ラプターも今とは大きく異なる方向に進んでいただろう。

結論

  1. ミコヤン-グレヴィッチ設計局はロシア軍用機の特徴である「荒っぽいやり方」を使い西側の追随を許さない航空機を一貫して実現してきた。同設計局は当時可能な選択肢で多様な方法を試した。西側は同機が開発段階にある段階からこの事を察し、完成した同機を盗み出すことに成功し、あと一機のみ残るMiG-31試作型の破壊にも成功した。
  2. 両機を喪失したため支出済み予算はムダとなり、主要技術陣も他界したため、ミコヤン-グレビッチはファイヤーフォックスの再起を断念した。このため世界最強かつ最高の技術を盛り込んだ機体は二度とこの世にあらわれなかった。以上がファイヤーフォックスの語られることのない側面だ。同機に関する全記録は製造装置含め同機が盗み出された直後に廃棄されており、ロシア航空関係の文献では同機に関する言及は皆無だ。ロシア高官にとってここまでの性能がありながらばつの悪い終わり方になった同機の存在は都合の悪い話になのだろう。■

https://theaviationist.com/2017/12/01/the-story-of-the-mig-31-firefox-all-you-need-to-know-about-the-most-awesome-fictional-advanced-high-speed-interceptor-ever/#5RfQqZwgL5D1TtSg.99 で詳細を読む

2017年12月9日土曜日

★北朝鮮ミサイルを使用不可能にできる巡航ミサイルが登場したが...



This new nonlethal missile could take out North Korea's nukes

人的損害は産まず北朝鮮核兵器だけを使用不可能にするミサイル登場


Alex Lockie Business InsiderDec. 07, 07:01 PM
ワイトハウスに新型巡航ミサイル完成の知らせが届いた。
北朝鮮が発射するミサイルを無効にしながら人命損傷は発生させない
との説明だとNBC Newsが12月4日伝えている。
  • これはボーイングAGM-86B空中発射巡航ミサイルに電子装置対応用高出力高周波放射高性能ミサイルプロジェクト(Champ)を搭載し、B-52等から発射するものだ。
  • Champは高周波パルス放射で前方にある電子装備を無効にする。テストでは標的建築物内の電子製品を機能停止させている。
  • デイヴィッド・デプチュラDavid Deptula退役米空軍中将はイラク航空戦を指揮した経験がありNBCの「Nightlyly News」で新型ミサイルで「かなり確実に」北朝鮮ミサイルを発射台で使用不能にできると語った。「指揮命令所には電子装備が多数あり、高出力高周波にはぜい弱です」

政治家はペンタゴンの慎重な姿勢に不満

  • Champを支持する民間、政府のひとり民主党上院議員マーティン・ハインリックSen. Martin HeinrichはNBCでペンタゴン内部の抵抗が原因で同ミサイルの配備が進んでいない状況を紹介した。
  • 「課題は技術ではなく考え方です」と同議員(上院軍事員会所属)は述べ、「ペンタゴン内部ではとかく完璧を目指す傾向がある」とし、新技術が即座に採用されないと指摘した。
  • ダンカン・ハンター下院議員Rep. Duncan Hunter(共)も同意見だ。国防総省で「物事を通すのは困難」とし、産軍複合体で新技術がなかなか採用されない傾向を嘆く。

Champは有望だが万能兵器ではない


  • それはともかく、Champには従来のミサイル迎撃手段に対して優位性があるが不利な点もある。
  • 迎撃には標的に接近する必要があり、北朝鮮領空に侵入すれば同国は戦争行為と受け止める。
  • 北朝鮮が巡航ミサイルの接近を探知すれば、核兵器搭載ミサイルと判断し自動的に反応してしまうかもしれない。
  • 軍事装備はChampのような電子攻撃の想定で配線や絶縁に冗長性を持たせてあるので、ミサイル発射を不可能にするだけの攻撃力を持たせるのは大変だ。
  • NBC報道によればホワイトハウスはChampの機能説明を受けていると。ドナルド・トランプ大統領の言う北朝鮮への「最大限の圧力」として採用されるのかは不明だ。■


英海軍空母クイーン・エリザベスが艦隊編入、しかし....

Britain moves to restore carrier strike capability with warship commissioning 

英海軍:空母打撃能力の再整備へ


Police officers are seen in front of the HMS Queen Elizabeth during its commissioning ceremony on Dec. 7, 2017, in Portsmouth, England. (Matt Cardy/Getty Images)

Police officers are seen in front of the HMS Queen Elizabeth during its commissioning ceremony on Dec. 7, 2017, in Portsmouth, England. (Matt Cardy/Getty Images)

By: Andrew Chuter    14 hours ago

https://www.defensenews.com/naval/2017/12/07/britain-moves-to-restore-carrier-strike-capability-with-warship-commissioning/


LONDON ―英国が空母打撃群の再整備に一歩近づいた。

12月7日、HMSクイーン・エリザベス(排水量65千トン)がポーツマス海軍

基地で正式に英海軍に編入された。

クイーン・エリザベスは完成したが...


  • 同艦はヘリコプター運用試験を来年から始め、2018年後半に米東海岸へ移動し、F-35B運用テストを開始する。英国は同型機を14機発注中。
  • クイーンエリザベスは欧州最大の艦となり、英国は2隻をBAEシステムズ傘下の共同事業体に62億ポンド(83億ドル)で発注している。二番艦HMSプリンスオブウェールズの艦体は完成しており英海軍は2019年に受領する。
  • 常時運用できる空母は一隻となるが、英国には二隻同時に運用できる人員がないのも事実だ。
  • 就任式典で第一海軍卿フィリップ・ジョーンズ大将は「HMSクイーンエリザベスから海軍旗を掲げられ英国は世界有数の軍事力を有する国となった」「空母戦隊は近代化装備で強力となった英海軍の中核であり、兵力投射を海空陸さらにサイバー空間で行い、不確実な世界で軍事力で政治に選択肢を実現する存在になる」と述べた。
  • 同艦の就役で英海軍に空母打撃能力が復活した。以前の保守党政権がインヴィンシブル級軽空母を2010年に全廃して空白になっていた。
  • その間英軍パイロットや海軍関係者は米側と技量を維持してきた。その関係を元にクイーン・エリザベスでも海兵隊のF-35Bが運用される。
  • 英艦艇で米海兵隊F-35を展開するのは英国に十分な数の機体の調達予算が足りないことが原因で、クイーンエリザベス就役後もしばらくこの状態が続く。
  • 英国発注のF-35B全14機は一機除き納入済みで、その一機も数週間以内に引き渡される。
  • 追加発注もロッキード・マーティンと協議中だが英国防省報道官は発注規模で言及を避けた。
  • 英国は海軍、空軍合わせて48機発注を表明しており、最終的に138機を発注するとも述べていたが、発注時期についてはあいまいなままだった。
英艦上で米海兵隊機材を運用する英国の厳しい状況
  • HMSクイーン・エリザベスは米海兵隊所属のF-35BやV-22が運用される光景を就役後9か月にわたり目にすることになりそうだ。
  • 同艦が戦力化する2020年代後半には英国は合計24機で二個飛行隊の搭載を予定する。
  • EU離脱を昨年決めたことで英ポンドはドルに対して安くなり、国防予算に暗い影を落としている。F-35でも影響は免れないと見る向きがある。
  • 米国装備購入費用が国防予算の四分の一になるとの試算もある。
  • 国防省は大蔵省と現在安全保障国防体制の見直しでやり取りを繰り広げ今後10年間で200億ポンドという予算欠陥を論議している。
  • 国防体制見直しですでに予算不足の英海軍は就役艦船数や能力をさらに減らす可能性があると覚悟している。
  • さらに今週に入りハモンド蔵相(国防相を務めた経験あり)が英空軍機の利用は全の利用時の料金を払わない限り断られると通告されたとの報道が出て話題になっている。


コメント 国防力の要は経済であると改めて思い知らされます。

英国に空母建造はそもそも無理だったのでは。英米共同運用は他に

も参考になるはずで、いよいよ一国で部隊運用が全部できない時代に

なってきなのですかね。日米でも同じことができませんかね。潜水艦も

そうですが、自衛艦で米軍機を運用するとか、日本がお金だけ出して

空母を貸し付けるとか。集合安全保障の制約は今はありますが、これから

はどうなるでしょう。まさしく現在の延長線上に未来はないはずです。


2017年12月8日金曜日

主張 中国を次回リムパック演習に招くな(修正)

Why America Should Disinvite China to RIMPAC 2018 

アメリカはRIMPAC2018に中国を招くべきではない理由


December 7, 2017



国を「市場経済」と認めないトランプ政権は、軍事面でも次回Rim of the Pacific
(RIMPAC)演習に中国を招へいすべきではない。


RIMPACは米海軍最大の多国間演習でハワイで隔年開催される。もともとアジア太平洋内の米国友邦国のための機会だった。2012年に初招へい以来中国は毎回参加し来年も参加予定だ。

米国をアジアから駆逐すると公言する中華人民共和国が実際にその意思を示していることを考えると毎回招くのは不思議だ。

情報活動の観点でも中国をRIMPACに参加させるのは得策ではない。

敵に回る可能性のある国がRIMPACで有益な音響特性他電子情報を収集できるからだ。人的情報収集でも艦船を身近で観察し、その他ハードウェア、戦術、運用手順など情報面で優位になる。

米太平洋軍PACOMの報道官は繰り返し中国にRIMPACの機微情報に触れさせていないと説明している。そうかもしれなだが米国は以前も中国の能力を過小評価している。

これだけ情報リスクがあるのが分かっていながら中国海軍招へいをつづけるのにいい訳が聞こえる。すべて中国の行動をよくするためだというのだ。

友好姿勢をこちらから示しても中国には何も恐れる要素はないとの意見もある。多分そうだろうが、アメリカが考えるのとは違う。中国の出方に米国がなにもしないと北京はわかっているのだ。

南シナ海の事実上の支配を強化すべく中国の海軍、海警、「軍事民兵」がベトナム、フィリピンに相変わらずいやがらせをしており、インドネシアにも通知をし、中国は南シナ海を自国の行政管轄区域と宣言している。法執行がその後に来るのだろう。

一方でアジアでの米国の有力同盟国である日本は中国艦船、航空機により東シナ海で嫌がらせを常時受けており、中国は日本領土を奪おうとしている。北京は荒っぽい人種差別ともいえる宣伝活動で日本人を悪の象徴のように宣伝している。

またRIMPAC主催国の米国さえも嫌がらせ対象だ。

USSカウペンスが中国艦艇と衝突しそうになった2013年の出来事を思い返してほしい。また米無人水中機を中国がルソン島近辺で盗んだ2016年の事例はトランプの当選後のことだ。

中国が文明国の振る舞いを見れば自らも同様にふるまうようになるとの主張がある。米国人の態度を見れば中国人も考えを改めるはずとの見方がある。

中国人は単に「時間がかかり」他国のふるまい方を知らないだけ、あるいはそもそもルールに無知なだけとの思い込みがこうした見方の前提にあるようだ。だが現実を見てほしい。中国人は愚かではない。PRCが2012年のRIMPAC初参加以来してきたことを考えてほしい。

米同盟国フィリピンのスカボロー礁を奪取した。南シナ海で人工島七か所を強行造成した。うち三か所に軍用飛行場を、すべてに海軍施設を設置した。

習近平は軍事転用はしないと2015年に米政権へ約束してもこの始末だ。

中国国内の新聞に一週間目を通せば米国への軽蔑にあふれ、米国にアジアからの退場を求めている様子がわかる。

だがそれは「公式政策」ではないという向きがあろう。その通り。中国共産党が好ましくないと考えることは出版されない。

改良された行動でこれなら、悪い行動とは何だろうと思えるはずだ。

ご近所を招くパーティーで、あなたの友人(あなたからも)平気でモノを盗み、友人(あなたも)を恐喝し、人の敷地に車を乗り入れ勝手に駐車し、銃を見せつけてあなたにここから出ていけと毎回口にする隣人を招くようなものだ。

RIMPAC招へいをくりかえすと米国が懇願しているように見える。対中関係を重視しているのか、中国は同様に考えていない。米国の同盟国友邦国がこれを見て失望しないか。

2016年演習で中国艦船のパールハーパー一般公開日に日本の海軍関係者が乗船を拒否された。演習のルール、良識の双方に反する行為だ。強烈な抗議の代わりに米側はひたすら鎮静化を図った。日本はこの動きを注視していた。

中国政府は差別と封じ込めに反論しRIMPAC完全参加を強く求めてくるだろう。次に中国がRIMPACの共催を主張してくるのは目に見えている。さらに独自にRIMPACに匹敵する演習をはじめるかもしれない。

トランプ政権あるいは国防総省には記録を調べてほしい。2014年、2016年のRIMPACで中国の行動に改善のきざしがあったのか。

そのあとでPLAをRIMPAC2018を招いてよい結果が期待できるのか説明してほしいがかなり難しいはずだ。北朝鮮問題で中国の助けが必要との声が聞こえてきそうだが、平壌には影響力を行使できないと北京は主張している。

RIMPAC2018招へいを取り消すのは簡単だ。中国がやっているように時期が悪いとか検討中と述べればよい。あるいは台湾を招けばよい。民主主義の同盟国であり、参加してしかるべき国だ。

敗も一回なら許される。二回続けて繰り返せば困惑せざるを得ない。

三回になれば米海兵隊将校ではないが「すみません、わざわざ負け戦したいのですか」
と言わざるを得ない■

This first appeared in AsiaTimes here.

米海兵隊の中古AV-8B導入を狙うのはトルコ以外にどこか

Turkey Is Interested in Buying Surplus USMC AV-8B

Harriers, Others Likely To Follow 

米海兵隊使用済みAV-8Bハリアー導入にトルコが関心示す ほかにも追随する国が

出そう

One air force's trash is another air force's treasure as they say! 

捨てる神あれば拾う神あり

TYLER ROGOWAY/AUTHOR
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 6, 2017


F-35B生産が上向く中で米海兵隊AV-8ハリアーの運用に終焉が見えてきた学校相当の耐用年数が残っている。
ペンタゴンは英軍で供用していた74機を予備部品あわせF-35B1.35機分の予算で導入できた。177百万ドルだ。
そのため大量の余剰ハリアーに潤沢な予備部品をつけて
DoDが買い手をさがすことになりそうだ。
独特の短距離離陸垂直着陸(STOVL)能力と性能改修を受けたAV-8B+
には視程外空対空戦闘能力がAIM-120AMRAAMとAPG-65レーダーが
ついてくる。
海外の軍組織には手ごろな値段で調達するチャンスだ。
TYLER ROGOWAY/AUTHOR
Jane'sによればトルコがF-35B調達までのつなぎ機材として
関心を示している。
トルコはF-35A100機を発注中だがB型も20機発注の検討に入っており、
中古AV-8Bの導入は意味があるとはいえ、トルコが具体的に
何機調達を考えているか不明だ。
US NAVY
米軍のハリアーに食指を動かすのはトルコだけにとどまらないだろう。
揚陸戦力の整備を目指す国には安価な買い物になる。
また同機は対地攻撃、対空攻撃共に性能は実証済みだ。
揚陸強襲艦を運用する国もある。オーストラリアにもキャンベラ級があり、
スキージャンプも備えるが固定翼のSTOVL機材は今のところ保有していない。
その他の国にも良い買い物の機会になる。
台湾ならハリアーの性能を有効活用しそうだし、資金潤沢な中東諸国も
弾道ミサイルの餌食になる大型航空基地の必要がない同機に関心を示しそうだ。
TYLER ROGOWAY/AUTHOR
また南シナ海で問題を抱えるベトナムのような諸国もハリアー特有の
性能を活用できる。
他にも近接航空支援や制圧用機材を求める国が値段さえ合えば
飛びつきそうだ。場合によっては南アメリカも商機になる。
まずはトルコの動向に目を配りたい。成約すれば他の国際販売も
視野に入るはずだ。!
る国の廃棄品が別の国の空軍には宝の山になるということで、
まさに捨てる神あれば拾う神ありだ。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

★ズムワルト級は持て余す存在になりそう、米海軍の苦悩が見え隠れします(修正)

America's Zumwalt Stealth Destroyers Have a New Mission: Navy Killer

ズムワルト級の新任務は対水上戦に


The National Interest David Axe

December 7, 2017

http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/americas-zumwalt-stealth-destroyers-have-new-mission-navy-23538


米海軍がズムワルト級駆逐艦の任務を対地攻撃から水上戦対応に変更する。

「同級の兵装と艦設計には期待しており、低探知性は水上艦攻撃用に最適と見ている」

とロン・ボクソール少将Rear Adm. Ron Boxall(水上戦部長)が述べている。

ミッション変更を最初に伝えたのは12月はじめの米海軍協会で二番艦マイケル・

マンソーが建造主公試にメイン州を出港したタイミングだった。三番艦リンドン・

B・ジョンソンは建造中だ。

1990年代中ごろの当初想定ではズムワルト級に沿岸部砲撃を主任務にしていた。

海軍は32隻を調達し、155mm砲二門とハイテク誘導砲弾で正確に敵を狙い撃ちし

上陸部隊の露払いを狙った。ズムワルト級は垂直発射管にミサイル80発を搭載する。

だが建造費が増加した。現在の単価は開発経費含め40億ドルだ。あまりの高騰ぶりに

海軍は建造をわずか三隻に縮小し、かわりにアーレイ・バーク級駆逐艦を追加発注した。

一方でズムワルト級で想定したGPS誘導砲弾も価格急増に悩まされた。2016年には

長距離対地攻撃砲弾Long Range Land Attack Projectileは一発100万ドルと

トマホーク巡航ミサイル並みになった。2016年12月に海軍はLRLAP製造をわずか

90発で打ち切り、ズムワルト級主砲で打つ砲弾がなくなった。

海軍は代替砲弾を模索している。

2017年末時点でズムワルト級は艦隊で孤児扱いだ。主力部隊に編入するには

あまりにも隻数が少なく、主武装がないまま明確な目的が与えられていない。

だがボクソール少将の発表でこれが変わる。三隻に対艦攻撃用に最適化できるのか。

ズムワルト級のステルス性能はそれ自体が資産で鋭角な艦体がレーダー反射を

最小に抑え、敵部隊への接近を可能とする。だがズムワルト級は基本は単艦で行動し、

空母戦闘群の誘導役をつとめるはずだ。

困難な課題が残る。予算節約でズムワルト級はハイテク対空装備を撤去されている。

イージスレーダーもスタンダードミサイルもなく、短距離シースパロウミサイルがあるだけだ。

ズムワルトのステルス性能のため単独行動が基本だが対空装備が貧弱なためバーク級駆逐艦を

護衛につけることになろう。

水上戦兵装ではズムワルトには選択肢が残る。海軍は新型対艦ミサイル数種を開発中で

ステルス性のある長距離対艦ミサイルやトマホークの新型も含む。共にズムワルトの

垂直発射菅からの発射が可能だ。■

コメント 

これなら、そもそもズムワルト級は何が目的で建造されたのか

分からなくなりますね。

シーウルフ級とともに迷走した当時の米海軍の記念碑になるのか、

今後建造される新型艦に設計思想がひきつがれるのか、中国がローテクでも

超大型駆逐艦の建造に向かっているのと対照的です。

三番艦は大統領のジョンソンですね。これで近年の大統領でまだ米海軍艦艇に

名を冠していないのはニクソンだけになります。

2017年12月7日木曜日

北朝鮮ICBM発射を監視していた米空軍コブラボール機


ISRの重要性を改めて教えてくれる事例です。RC-135は確かに酷使されており、貴重な機材でもありますが、民間でこれから放出される757や767の中古機を当面活用してはいかがなものでしょうか。

Offutt likely had eyes on North Korean missile launch

北朝鮮ミサイル発射をオマハが監視していた


RC-135S COBRA BALL in flight
By U.S. Air Force [Public domain], via Wikimedia Commons
THE ASSOCIATED PRESS
Dec 6, 2017 Updated 11 hrs ago


朝鮮が大型ミサイルを先週打ち上げたが、オマハが監視体制に
入っていた。ファソン-15はより高高度を飛翔し推力が強化されており、
ニューヨークやワシントンDCに到達可能とされる。

  • 米軍上層部が素早く把握できたのはオファット基地第55飛行団所属の機材が発射時点で現場近くを飛行していたからだ。
  • 空軍は実施中の作戦について明らかにしない方針だが、航空管制データがインターネットで簡単にアクセスでき55飛行隊のRC-135Sコブラボールミサイル監視機が発射当日にほぼ同じ時間に滞空していたことがわかる。ただし同機のトランスポンダーは位置情報を発信していない。経験豊かな観察者なら同機が西太平洋、北朝鮮近辺で任務飛行していたと解釈できるはずだ。
  • 操縦していたのは第45偵察飛行隊の乗員で第97情報隊が搭乗した。共に第55飛行団所属だ。現在は嘉手納航空基地に展開中だ。
  • コブラボールのセンサーはミサイル発射を視認し聴音で確認できる。発射状況をデジタルカメラで撮影し、ロケットが発信する作動データを入手し、速度、出力、高度、その他重要情報を収集した。情報はただちにペンタゴンと米戦略軍に送られた。
  • 「コブラボールの収集したデータは国家安全保障担当補佐官、国防長官、戦略軍司令官の手元に届く」と偵察機に詳しいロバート・ホプキンスが解説している。「迅速に情報が届くため政府高官の意思決定に役立つ」
  • コブラボールは戦略軍が24時間体制で運用するグローバル作戦センターの情報収集ネットワークの一環をなしている。同センターはオファット空軍基地の地下にある。ネットワークはその他衛星、海軍艦船や地上配置センサーも使う。
  • 「各種情報収集能力のおかげで指導層は状況をよりよく知ることができます」とジェフリー・ルイス(ミドルベリ研究所所長、カリフォーニア州モンテレイ)は解説する。
  • コブラボールは探知監視機能の中核であり、長年稼働している。
  • 冷戦時のコブラボールはオファットにあった戦略航空軍団によりアリューシャン列島シェミヤ島から秘密裏に運航され、ソ連のICBMテストのたびに周回飛行した。
  • 「サイレンが鳴ると乗員は飛び起き機体に乗り込み離陸したものだ」と1960年代末を乗員として過ごしたオマハ在住のキングトン・ホーズが回想する。
  • 当時のパイロットはロケット軌跡をコックピット窓にグリースペンシルで写しその後の解析に役立てていた。
  • 空軍は先週段階でのコブラボールの西太平洋での活動状況が分かる発表をしていないが、5年前の状況は一般公開情報で入手できる。55飛行団幹部が受勲候補の理由を書いており、今回のコブラボールの活動がうかがえる。
  • 2012年11月に、情報筋が北朝鮮(55飛行団公式記録では『不良国家』とだけ記述)がロケット打ち上げ準備中で国連制裁に反し軌道飛翔させようとしていると伝えた。ただちに飛行団はコブラボール二機を日本へ送り、24時間警戒態勢を取らせた。
  • 二機は同時に飛行する必要があり、一機はミサイルの予想軌道の下を飛行し発射の様子を可能な限り早く観察する必要があった。だがその飛行経路だと北朝鮮の対空ミサイルや迎撃機の有効範囲にはいる。
  • ミッションを妨害しようとする予想外の通信問題に乗員はその場で即席対応を迫られたと55飛行団の記録にある。また「広範囲かつ手の込んだ欺瞞策」を北朝鮮が仕掛けてきた。ロケットあh2012年12月12日にコブラボールが偵察活動を始めてから打ち上げられた。
  • 苦労は実を結んだと記録にあり、収集した情報は「それまで最高の水準」で大統領向け情報報告で特記されたという。
  • 飛行隊には空軍協会のジェローム・F・オマリー賞が「年間最高業績偵察機乗員」として授与された。
  • だがミッションをこなす機材は乗員の年齢の倍の年数を経ており、たえず困難に直面している。
  • 北朝鮮、イランで核を巡る緊張が高まる中、ホプキンスはここまで重要な任務を機齢55年の機材にまかせていいのかと懸念を示す。後継機材導入の予定はない。
  • 2016年にRC-135Sコブラボールの三機はミッションで23パーセントが実施できず帰還している。空軍の古参機材でも高い故障率だ。機体外皮の損傷もここにきて増えている。
  • 「コブラボールは一機でも喪失が許されません。代わりの機材はないのです」とホプキンスは訴えている。■

謹告 

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平成29年12月7日 Moneyfreedom拝