2018年1月11日木曜日

米空軍ISR「フライトプラン」でわかる今後の動向

Air Force ISR ‘Flight Plan,’ Industry Day Coming: Stealth, Space, Cyber, & AI 米空軍ISRの「フライトプラン」が業界向けに発表され、ステルス、宇宙、サイバー、AIの活用をうたう


B-21爆撃機はステルス偵察機、情報収集機として敵領空内に深く侵入する

 By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 05, 2018 at 1:00 PM

CAPITOL HILL: 米空軍がハイテク開発のロードマップ「フライトプラン」を情報収集監視偵察の強化にむけてまとめている。無人機を際限なく調達して一層多くの情報を収集し、解析要員を限りなく雇用することは不可能とISR担当参謀次長ヴェラリン・「ダッシュ」・ジェイミソン中将 Lt. Gen. Veralinn “Dash” Jamiesonが説明している。新戦略では衛星、サイバー空間、F-35やB-21のような高性能航空機材、さらにインターネット上の一般公開情報に加え、人工知能も動員して莫大な量の情報分析に役立てるとある。
Air Force photo
ジェイミソン中将

構想では五か年国防計画 Five-Year Defense Plan (FYDP) への予算投入を2035年まで重視するとジェイミソン中将が説明。文書として完成するのは今春だが2月2日業界向けイベントでその先に説明する。
「ISRフライトプランでは情報収集監視偵察活動を宇宙、航空、サイバーの各分野でどう進めるかを検討する」とジェイミソン中将は空軍協会ミッチェル研究所主催のイベントで記者団に語った。
「DoD以外でどんな手段が他に使えるのかという点が最重要」とジェイミソンはペンタゴンの調達制度で開発されている「精巧なまでに」特化した高価格装備に言及している。
武装したMQ-9リーパー
多任務同時実施 Multi-Mission
ジェイミソン中将はマイク・ホームズ大将 Gen. Mike Holmes(航空戦闘軍団)と一緒に新技術の迅速な実戦化を目指しているという。戦闘航空軍団は戦闘機とISR部隊両方を運用しているがジェイミソンとしては境界線をあいまいにして同じ機体でミッションを両方実施させたいと考える。多用途機材なのに一つだけミッションをさせる余裕はないという。
新しい方法論で新装備をめざす。F-35共用打撃戦闘機が第一線に入りつつあり、B-21レイダー爆撃機の開発は時間がかかるがステルススパイ機として敵領空に侵入できる機材になり、敵脅威の位置と標的を捕捉し味方に伝えてくれるはずだ。「次世代長距離センサー機材が『爆撃機』と呼ばれる」とミッチェル研究所を率いるディヴィッド・デプチュラ退役空軍中将は語る。「いまだにF-35やF-22を戦闘機と言う人がいるが、実はちがう」
同時に空軍は既存装備に新用途を見つけられるはずとジェイミソン中将は言う。MQ-1プレデターやMQ-9リーパーに偵察ミッションやヘルファイヤーミサイル攻撃をさせる。だが空軍の定めた機材別任務命令Air Tasking Order (ATO)制定ではいまだに無人機をISRまたはCAS(近接航空支援)用と定義しているが、無人機で両方を一度に実施できる。

Army TRADOC graphic
最新版の多ドメイン戦闘の概念図改訂版では第七領域として「戦略的深部攻撃」を加え陸軍の担当範囲を超えつつ空軍の担当でもないとしている。「攻撃」を航空攻撃、ロケット攻撃、からサイバー攻撃まで広範囲にとらえており、従来の地理区分上の戦闘帯を超えている。

多ドメイン Multi-Domain
既存、将来双方の機材でミッションを多様に行わせる以外に、ジェイミソン中将は空中ISR機材に宇宙やサイバー空間で集めた情報を統合させたいと考えている。このためチャンス・「ソルティ」・サルツマン准将Brig. Gen. Chance “Salty” Saltzmanの協力を得る。准将は空軍が新しく提唱する多ドメイン指揮統制Multi-Domain Command & Controlの実現でカギを握る人物だ。
MDC2は空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将本人が高い優先度を置く構想で、単一ネットワークで空軍が運用する三つのドメインである空中、宇宙、サイバー空間内のセンサー、攻撃、支援の各機材を接続することがねらいだ。これを陸軍の多ドメイン戦闘Multi-Domain Battle構想にリンクさせる。陸空軍それぞれの多ドメイン構想ではあらかじめ担当分野を定めているが攻撃を仕掛ける敵への対応では担当にこだわらずすべてを統合していく。
次世代統合作戦の調整には大量の情報を収集、共有し活用することが必要だ。「多ドメイン指揮統制機能とはデータ融合で戦術面より上に情報を取り出すことと見ている」とジェイミソン中将は報道陣に語った。
ロッキード・マーティンのMDC2 ウォーゲーム
データ駆動 Data-Driven
多ドメイン指揮統制の一部としてジェイミソン中将は「来年再来年に」空軍がISR要員と情報処理技術部門をまとめて「データから意思決定へ」のソフトウェア実験を行うと述べた。ねらいは生データを意思決定権者に役立つ情報に変換する作業の整流化だ。
現在の情報入手は運用機材やセンサーの種類に依存することが多いとジェイミソンは述べる。分析官が手動で大量の情報から有益な情報を苦労して仕分けしており、無用な情報の山となることもある。そうではなく、空軍は「情報を武器と見て」収集方法を考慮の上、機材や兵器と同様に活用する必要があると説く。
フロントエンドではISR作業を指揮官の実際の必要に応じてカスタム化を進めるとジェイミソンは説明。例として「MQ-9に『プラグアンドプレイで各種センサーを使い分ける』オープンミッションシステムがある」と述べた。
バックエンドの解決策の一つが人工知能の利用で情報分析官が大量の情報を処理するのを助けることだ。巨大データセットで特定のパターンや異常を見つけるのはマシンラーニングやビッグデータ処理の得意分野だで、担当官に時間を作り人間の創造性と直感を最大現活用させる。そのほかにもペンタゴンのプロジェクト・メイヴン Project Maven(アルゴリズム戦機能横断チーム)とも新規の情報解析ツールの作成で共同作業しているという。

「着任すると参謀総長と次世代ISR機能の実現に向けてどうすべきか率直に話し合いました。これまでは手動作業がとても多くこのままの状態は維持できないのです」(ジェイムソン中将)■

2018年1月10日水曜日

★最新型SM-3ブロックIIAの日本導入決まる


ブロックIIAの米艦艇導入は今年開始ということですから、日本への導入も最優先で考えてもらっているということですか。イージスアショアより先にイージス艦への搭載になるのでしょうか。


Japan cleared to buy advanced SM-3

日本による高性能型SM-3調達が承認

By: Aaron Mehta    

WASHINGTON – 米国務省が日本によるスタンダードミサイル-3(SM-3)ブロックIIA四発総額推定133.3百万ドル購入を承認した。
 SM-3ブロックIIAは日米共同開発の中距離弾道ミサイル防衛装備で海外軍事販売による調達要請が国務省により承認されたこと自体は驚くべきことではない。議会でも反対にあう可能性は考えにくい。
 同ミサイルは昨2月にハワイで初の迎撃テストを行い、イージス駆逐艦またはイージスアショアで運用する。
 製造は主にレイセオンのツーソン工場(アリゾナ)とBAEシステムズミネアポリス施設で行う。最終価格は交渉結果で決まるので前述の133.3百万ドルは変更の可能性がある。
 国務省関係者が日本のSM-3導入の主な理由は北朝鮮だと背景を語ってくれた。
「主要同盟国の政治経済安定と発展がアジア太平洋で今後も継続する手段となる」と同関係者は述べる。「また日本の米国との共同作戦運用をミサイル防衛で高め、同地区内の米軍部隊への防御も強化される」
年夏に日本防衛トップ関係者はワシントンを訪問し弾道ミサイル防衛へ予算投入を増加させると確約しており、9月には日本がイージスアショアの設置場所を検討中との報道が浮上していた。■

緊急 南北高官会談をどう読むべきか

今回の会談が時間稼ぎなのか、それとも新しい可能性に道を拓くのか画注目です。しかし、金正恩のイニシアチブが大きく働いているのが気になるところですね。「悪」との共存に耐えられないと考える向きは減っていくのか、それとも事態が急変してふたたび緊張が高まるのか、予断を許さない半島情勢です。しかも「慰安婦」合意の検証結果(これ自体が矛盾した内容でしたが)も同日にソウルで発表されたのは韓国のねらいこそ正気を疑われかねないものになっています。著者は核拡散防止等を目指す民間シンクタンク Ploughshares Fundの主宰者。


North and South Korea Have a Breakthrough. What Next?

南北朝鮮に突破口が生まれた。次は何か
Ri Son Gwon shakes hands with South Korean counterpart Cho Myoung-gyon after their meeting at the truce village of Panmunjom, January 9, 2018. Reuters/Korea Pool

January 9, 2018


1月9日、南北朝鮮は高レベル協議を二年ぶりに非武装地帯で開催した。主要議題は北朝鮮の平昌冬季五輪(2月9日-25日)参加だったが、広範な対話への含みはあきらかだ。
タカ派は協議は「罠」で「くさび」として韓国を米国から引き離す狙いがあると警戒するが、今回の話し合いで核戦争寸前の状況から一歩後退するので歓迎する。開戦を食い止める能力は韓国に十分にあり、同時に米国と強い軍事同盟関係を維持している。
ドナルド・トランプ大統領は南北対話を支持している。ニッキ・ヘイリー米国連大使は金正恩が正月メッセージで韓国へ対話提案を突然し冷笑していたのだが。
トランプも当初はヘイリーと同意見でツイッターで「こっちにも核ボタンはあり、もっと大きく強力だ。しかもこちらのボタンは実際に作動する」と述べ、精神状態への疑いを広く招いた。事実マイケル・ウルフの新著Fire and Furyではトランプの北朝鮮核攻撃の脅かしのエピソードに触れている。
だがトランプはその後、トーンを変え南北協議支持にまわり、自身の功績とまで主張。「会談対話が南北で実現するのは強くしっかりした北に対するこちらの総合「力」があってこそだ。話し合いはいいことだ」
会談からすでに進展が生まれている。北朝鮮はフィギュアスケート男女ペアを参加させると同意し、国際オリンピック委員会は選手登録を延長し南北対話を助ける。開会式では南北朝鮮選手団が一緒に行進する。会談数日前に南北ホットラインが再開した。米国も韓国の要望に応じ大規模米韓演習はオリンピック閉幕まで行わないこととした。
会談は翌日も継続し、北朝鮮は李善権Ri Son-gwon「祖国平和再統一委員会」委員長を送り込み、韓国は統一相趙明均Cho Myoung-gyonを参加させている。両国が副大臣が団長だ。韓国報道機関は今回の協議から金剛山観光やケソン工業団地の再開、離散家族再会へ期待する。両国代表団はすでに各問題で長く交渉の経験がある。
米国内タカ派には今回の協議をチェンバレンのミュンヘン会談に例える動きもあり懸念を深めているが、米政府関係者に南北協議そのものへの反対はない。先週金曜日、レックス・ティラーソン国務長官は協議は「北朝鮮から話し合いたいとの姿勢のあらわれ」と述べ、トランプも日曜日に「まず両国はオリンピックを話す。出発点だ。大きなスタートだ」とツイートした。
同盟弱体化の心配に文在寅大統領は1月5日に「北朝鮮に下手に回ってまで対話を実現するつもりはない。これまでとは違う」と強調していた。保守派の朴槿恵大統領弾劾を受けて当選した文は北朝鮮に接近し懐柔すると公約していた。
北朝鮮に同様の態度を示したのは盧泰愚大統領(2003-08年)で米側にはやはり保守派のジョージ・W・ブッシュ大統領が重しになっていた。盧はブッシュ政権内のタカ派ジョン・ボルトン国連大使やディック・チェイニー副大統領などから目の敵にされていた。
今回も現政権内のタカ派が話合いそのものに反撥していわゆる「血だらけ」軍事対北朝鮮攻撃をリークするかもしれない。作戦は北朝鮮に反撃のチャンスを与えずに「北朝鮮目標を攻撃し平壌を血だらけにしこれまでの行いの代償を支払わせる」。専門家は金正恩の権力基盤が軍事力を背景とするため米攻撃を受けながら反撃の事態が発生しないとは考えにくいと大部分が見ている。
米韓同盟の「くさび」になりかねないのは米軍事行動の構想だ。文大統領は米国による対北朝鮮攻撃リスクを北朝鮮からの攻撃と同等に評価している。「北朝鮮が誤解して核兵器で我が国を脅かす事態あるいは米国が先制攻撃を実施する状況は阻止しなければ」と昨年11月に述べている。
トランプ大統領の精神状態を疑う声が大きくなる中、文他世界各国の指導者は米国指導力のブレに信をおくより自前の外交力の活用で打開策を求めようとしている。
そうなると進行中の南北会談は合同オリンピック選手団や二か月の「オリンピック休戦」より高い次元の意味が生まれそうだ。北朝鮮のオリンピック参加は南の譲歩を引き出して北に有利に働き、国際社会に対して同国の「平和愛好」姿勢を見せつける効果が期待できる。だがそれ以上に今回の突破口からオリンピック閉幕後も北の核・ミサイル問題を正面から話し合う道が開けるのではないか。
現時点ではエスカレーション回避と韓国支援が当座の目標だ。北朝鮮の核・ミサイル問題は米国が加わるまで議題にならないだろう。ジェイムズ・マティス国防長官も1月5日に「南北朝鮮の問題であり当事者でない国は深入りすべきではない」と語っているではないか。
共同軍事演習の実施時期は4月に変更されたが中止ではない。ワシントンが「フリーズにフリーズで対応する」取引(北朝鮮がテストを中止すれば米韓演習も中止する)に合意すれば米朝直接交渉が始まると信じるのであれば危険すぎる。もし北朝鮮が軍事演習の軌道修正含む内容で妥結を目指してこれば、韓国は米国を協議の場に加えるよう主張すべきだ。
果たして米国がテーブルに加わるか、果たして外交で世界最大級の核危機状況が終息するかはすべて米国史上最も予測不可能な大統領の気まぐれな気性と政治生命次第というのが不幸な点だ。■
Joe Cirincione is president of Ploughshares Fund.
Image: Ri Son Gwon shakes hands with South Korean counterpart Cho Myoung-gyon after their meeting at the truce village of Panmunjom, January 9, 2018. Reuters/Korea Pool

シリア上空のロシア機危険飛行行為はF-22をスパイのためと米空軍が説明

シリア上空での危険な事態について以前はロシア発の情報としてお伝えしていましたが、米軍側の見解が出てきました。やはりものごとは両面から見ないと実態がわかりませんね。


Aerospace Daily & Defense Report

Is Russia Spying On U.S. Stealth Fighters In Syria?

ロシアはシリアで米ステルス機をスパイしているのか

米空軍F-22ラプターがKC-10エクステンダーから空中給油を受け離れていく。不朽の決意作戦の一環としてシリア上空で。昨年撮影: USAF

Jan 5, 2018Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report
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シア軍パイロットがイラク、シリアの航空作戦を利用して米軍機とくにステルスF-22ラプターの情報収集に励んでいる。
対イスラム国戦で米軍作戦の情報と戦術が「宝の山」のように手に入ったはずとヴェラリン・ジェイミソン中将(ISR担当空軍参謀次長)が議会で1月4日明らかにした。米軍機とシリア上空で隣り合わせに飛行する中でロシアは米軍機とその戦術で「貴重な知見」を入手したと中将は強調。
「敵側はこちらを注視しており、こちらから学び、イラク特にシリア上空でこちらの作戦実施方法の宝の山を掘り当てている」
ジェイミソン中将は具体的な機種に触れなかったが、ロシアが米第五世代戦闘機の実戦投入状況を初めて目にしたのは事実だ。F-22はシリアで2014年に初めて実戦投入された。
ロシア機がF-22に異常接近するのは日常茶飯事でロシアは同機の情報を収集している可能性は十分ある。
最近もF-22がロシア機と空中衝突を辛うじて回避した事案があった。12月13日にSu-25二機編隊がユーフラテス川東側の連合軍側空域に侵入した。パトロール中のラプター二機編隊がただちにSu-25を迎撃に入り、チャフやフレアを放出し緊急時防護周波数で数回にわたり空域退去をロシア機に求めた。
うち一機のSu-25がF-22に接近したのでラプターパイロットは「過激な操縦」で空中衝突を回避せざるを得なかったと空軍は説明。また別のSu-35が川を越えて侵入したためラプターが追尾した。このロシア機は連合軍側空域に40分滞空して西方面に戻った。
この12月13日の出来事はかなり危険だったがロシア側が川の西側に留まる口頭合意に違反するのはこれが初ではない。米軍パイロットはイスラム国戦闘員が敗退する中で警戒すべきロシア側の行動が増えていることに気づいていた。Aviation Weekが11月に合同航空作戦センター(CAOC)やアルダフラ基地(UAE)を訪問して確認している。
11月初めからロシア機が米および連合軍の領空に飛来するのが連日6-8回、つまりロシア・シリア側のフライトの1割になったと関係者は述べている。

悪いことばかりではない。シリア作戦で米パイロットもロシアの作戦内容を研究する機会を得たとジェイミソン中将は述べる。特に今回はロシアが精密誘導兵器を投入する過程をつぶさに見られ、航空出撃時間の長さや指揮命令機能、ISRや空中給油の状況を観察できた。■

★韓国が空母保有を表明した背景とは

ちょっとしつこいのですが、韓国が空母機能を追い求める理由について考えてみましょう。日本とは戦略の方向性が違う韓国が日本の方ばかり見ているとしたら大変不幸なことだと思います。韓国がこの構想を現実にするとしたら西側陣営に残る最後の試みになるかもしれません。


South Korea May Turn Its Assault Ships into F-35 Armed Aircraft Carriers

韓国が強襲揚陸艦をF-35運用空母に変えようとしているが
January 5, 2018


国は保有する強襲揚陸艦を空母に転用するのか。聯合通信配信の記事では韓国軍関係者が14千トンの独島級揚陸強襲艦でF-35B搭載を検討中という。
「軍上層部がF-35Bを小規模導入し就役済み艦、建造予定艦での運用を検討した」と記事が匿名軍事筋の話を伝えており、「知る限りでは構想は同艦の戦略価値を最大限にする意味で重要視されている」とも述べたという。別の匿名筋は「F-35B運用が独島や新造艦で可能なのか検討を継続する」という。
独島級は一隻が就役中でもう一隻の建造に入っている。初号艦は2005年進水し2007年に就役した。その時点で韓国は三隻を建造するつもりだったが予算制約で二隻になり、一時は二号艦予算も削除されたが現在は回復している。満載排水量は18千トンではヘリコプター15機と海兵隊員720名を搭載する。
韓国は共用打撃戦闘機開発に関与しており、F-35A40機導入を2014年に67.5億ドルで決定した。ただしF-35BSTOVL型が独島級での運用に必要だ。このため韓国が聯合通信記事通りに案を実現するのならF-35Bを追加調達し揚陸強襲艦を固定翼機運用に改装する必要がある。
どこかで聞いた話との感覚になるのは日本が全く同じことを計画中との報道があるためだ。日本が巨大ないずも級ヘリコプター駆逐艦2隻を改装するとの記事はたくさん出ており、やはりF-35Bを運用するとある。
いずも級でF-35B運用を可能にする改装が先に報道されており、匿名筋によると「飛行甲板の端にカーブ付きランプを追加し、飛行甲板の熱耐性を引き上げ、航空管制能力を強化する」のが内容だという。聯合通信記事も同様に独島級の飛行甲板をF-35Bの高温度排気に耐える形にするとしている。いずもと独島のちがいは排水量だ。National Interestに多く寄稿しているロバート・ファーレイは「14千トンの独島級はいずも小さく、性能は低くなる。独島は大改修でF-35B運用が可能となるはずで、二号艦でも大幅改修が必要だ」と解説している。ただ決定的な欠陥ではなく独島より若干大きいだけの軽空母は存在する。それでもファーレイは独島級が小型空母に転用されれば揚陸能力はあきらぜるを得ないと書いている。
ここで重要な疑問が生まれる。なぜ日韓両区が疑似空母の取得に急ぐのか、他の重要機能を犠牲にしてまで急ぐ理由は何か。つまるところ日本も韓国も外洋海軍力で兵力投射を遠距離地点に行おうとしているのではない。日本政府は中国が陸上航空基地を開戦当初に攻撃する前提で小型空母が必要と考えている。ファーレイの指摘のようにSTOVL機なら奇襲先制攻撃を受けても有効活用できるのだ。
聯合通信記事は韓国にとっての必要が明確に示していないが、日本報道が出てすぐに表れたことから自国の面子が相当大きな意味をもっているようだ。日本の意思決定でも同様に見栄が大きな要素になっている。と言うのは記事が出てきたタイミングは中国初の国産空母の完成が近づく中で出てきたためだ。皮肉なのは空母に将来があるのかと疑問を呈するものが米国で多くなっていることで、アジアで中国、ロシア、インド、日本、韓国が空母取得に走る中で、急ぐ背景に本当に意味の戦略的考察があるのか明らかではない。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.

Image: Reuters

ロサンジェルス級攻撃型潜水艦はいまだに十分な戦力を有する

ロサンジェルス級の量産は米国にとって非常によい投資だったと思います。ヴァージニア級はさらに能力が高いと思われますが、ロシア等の潜水艦技術の進展に対抗できる状態を長く続けるのが肝要ですね。


The Navy's Los Angeles–Class Submarine Is Old (But It Can Take on Any Sub on the Planet) 米海軍ロサンジェルス級は老兵になったがどの艦にも勝てる実力を保持している

January 5, 2018


ロサンジェルス級原子力攻撃潜水艦は冷戦時の米潜水艦として最大の成功をおさめた艦であった。米国は62隻建造し、これを上回るのは第二次大戦中のゲイト―級だけだ。高速かつ強力な武装を搭載した同級は徐々にヴァージニア級攻撃潜水艦に交替されつつある。
ロサンジェルス級は688級とも呼ばれ原設計は1970年代初めだ。一号艦USSロサンジェルス(SSN-688)は1976年建造された。冷戦を背景に年間3隻から5隻のペースで建造が進んだが現在のヴァージニア級は年間2隻だ。建造は20年間に及び、各型が生まれ推進方式、艦首艦尾ソナー、船体素材が改良を受けその時点の最新技術が導入された。
全長360フィート(約110メートル)潜航時排水量6,927トンのロサンジェルス級は先代スタージョン級より全長で20パーセント、排水量が50パーセント大きい。最高速度も増加し、スタージョン級は潜航時26ノットだったがロサンジェルス級は37ノットを出したといわれる。
初期建造はHY-80鋼と艦首ソナーアレイにガラス繊維強化プラスチックを使った。公式発表の最大深度は650フィート(約200メートル)だった。実用深度が950フィート(約290メートル)との情報もある。緊急時の最大深度は1,475フィート(約450メートル)と伝えられている。
涙的型船体を最初に導入したのはスキップジャック級で潜航舵をセイルにつけていた。ロサンジェルス級最終建造23隻では艦首に移して強化セールで北極海での浮上に備えた。ソ連のタイフーン級弾道ミサイル潜水艦が北極海運用を想定したことへの対抗だったらしい。
「世界の戦闘艦艇」によれば各艦にジェネラルエレクトリックS6G加圧水原子炉一基を搭載し蒸気タービンから35千馬力を生み7枚ブレイドのプロペラを回転させる。最終型数隻ではポンプジェットが採用された。緊急時の推進力用にディーゼル発電機とバッテリーも備える。
センサー装備の中心はBQQ-5ソナーで建造年次に従いBQQ-5A(V)1、BQQ-5Cから最終的に BQQ-5Dに変化した。後者はシーウルフ級にも搭載される。側面探知にはAN/BQG-5広開口アレイを使い、パッシブソナー探知にも使う。えい航式ソナーアレイの最新型がTB-29細線えい航アレイだ。艦尾の潜舵でえい航アレイを扱い、同時に7基構造の音響対抗装置も運用する。
武装533ミリ魚雷発射管4本が全艦に共通する。発射管は艦首がソナーアレイを収容するため艦体中央に配置した。発射管から合計26本を運用し、冷戦最高潮のころはMk.48ホーミング魚雷、トマホーク巡航ミサイル、ハープーン対艦ミサイル、CAPTOR機雷を運用していた。最終建造23隻には垂直発射管12基でトマホークミサイルを運用し、この方式はヴァージニア級に継承されトマホークミサイル20本の発射が可能になった。
従来からの海中、水上、打撃戦に加えロサンジェルス級では特殊作戦の支援が可能だった。一部艦はドライドックシェルターを搭載し水中要員移動機で12名のSEAL隊員を展開できた他、ゴム小舟艇4基も搭載した。この任務はオハイオ級巡航ミサイル潜水艦、シーウルフ級に継承され、後者ではUSSジミー・カーターが著名だ。
潜水艦任務の一つとして情報収集が長く実行されているが、1990年代から米潜水艦部隊は米陸軍用語の「戦場情報準備」として地上戦の実施前に情報収集を行っている。海中に対戦相手がないままの米潜水艦は敵国の沿岸ちかくに滞留し電子情報収集や監視活動を行う。ロサンジェルス級はこの任務の最前線に立ち、USSアナポリスには写真撮影用のマストを通常の潜望鏡の代わりにつけていた。
62隻のロサンジェルス級建造は1976年から1996年にかけて続いた。全艦が同時に稼働したことはない。一部初期建造艦は1995年から退役し、核燃料交換の高額費用を回避したが、その時点でも建造は続いていた。現時点で38隻が現役だ。シーウルフ級がわずか三隻で建造中止となったのは建造費の高騰と1990年代の「平和の配当」としてだった。このため688級の後継艦はヴァージニア級になり、現在も建造中だ。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This first appeared in 2016.

2018年1月9日火曜日

Tu-160M2の初飛行は今月中(ロシア副首相)

First test flight of upgraded Tu-160M2 bomber scheduled for January, says deputy PM

改修型Tu-160M2爆撃機の初飛行は1月中に実施、ロシア副首相

The Russian Defense Ministry reported earlier that the serial production of Tu-160M2 bombers should begin in 2023

ロシア国防省はTu-160M2爆撃機は2023年量産開始と述べる
 January 05, 22:06UTC+3



MOSCOW, January 5. /TASS/ ロシアの性能向上型ツボレフTu-160M2戦略爆撃機は2018年1月に予定より早く初飛行に臨む。ドミトリ・ロゴジン Dmitry Rogozin 副首相が1月5日に述べた。
「ツポレフ設計局が同機飛行開始を早期に実現できると約束し、1月末だという」と副首相はフェイスブックで述べていた。
11月にウラジミール・プーチン大統領との打ち合わせでロゴジンは初飛行を二月予定と述べていた。
ロシア国防省はTu-160M2爆撃機の量産は2023年に開始と述べていた。ロシア航空宇宙軍は50機未満の調達に終わる見込みだ。

Tu-160はソ連時代に生まれた戦略ミサイル母機で巡航ミサイルに核弾頭を装着する。Tu-95MSもミサイル母機として減益だが、Tu-160を併用して地上配備ミサイル、潜水艦とともにロシア戦略核部隊を構成する。■

2018年の展望-KC-46は無事米空軍引き渡しをスタートできるのか

今年の注目の一つがボーイングが苦労しているKC-46ペガサスの納入の動向です。従来と違うコスト構造の契約のため、超過分は同社負担となりボーイングも苦しいはずです。日本向け3機の予算もついており、我々も注視が必要ですね。


The Air Force expects the first delivery from its struggling tanker program this year — but major defects still aren't fixed 米空軍は今年こそ開発が難航する給油機の受領を期待するものの大欠陥がまだ解決されていない


kc46
ボーイングKC-46給油機のテスト機材一号機。 June 2015. Boeing
Jan. 5, 2018, 12:56 PM
  • ボーイングがKC-46給油機引き渡しを予定どおり実現できなかった。同社は10月までに完成機18機を米空軍へ引き渡す義務を負う
  • だが同機には解決を待つ問題が残る
  • KC-46開発は数々の困難につきまとわれてきた


KC-46Aペガサスの初の作戦機材は昨年12月5日に初飛行した。
初飛行までに何回も遅延とコスト超過が開発にのしかかってきたがこの数年間であった。初飛行にはこぎつけたがボーイングは自社設定の2017年末までに米空軍に一号機引き渡しができなかった。
空軍は2018年春までに運用機材一号機の受領を期待し、ボーイングは続いて2018年10月めどに18機を納入する義務を負う。だがAviation Weekによれば大きな不良が未解決だ。
最大の問題は燃料が流れるブームが被給油機を傷つけることだ。
この問題で搭乗員が危険にさらされ、ステルス機のF-22やF-35の低視認性効果が下がる恐れがある。またKC-46もブームがステルス塗装で汚染されれば地上に戻る必要が生まれる。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tanker A-10 Thunderbolt WarthogKC-46ペガサスが A-10サンダーボルト II に1,500ポンドの燃料を補給した。 July 15, 2016. Boeing/John D. Parker
空軍とボーイングが問題解決に取り組んでいるとAviation Weekに述べており、官民合同チームが飛行データを検証しトラブルの発生可能性を評価する。
その評価次第でKC-46で使うカメラの修正の必要性を判断する。ブーム操作員は機体前方からブーム操作にあたるため、カメラは極めて重要だ。旧式給油機で操作員は機体後尾から手動でブームを操作する。カメラに関する方針決定は3月になる。
ボーイング広報によればブームと被給油機の接触は現行給油機でも発生しているという。
ボーイング広報はAviation WeekにKC-46の高周波無線の問題点は解決済みと12月に語った。だが空軍広報官はまだ取り組んでいるとし、1月に解決方法を決定するとしている。
US Air Force KC-46 Pegasus refueling tankerKC-46ペガサスがワシントン州エヴァレットのペインフィールド空港から初飛行に離陸。 September 25, 2015. U.S. Air Force photo/Jet Fabara
無線装置は機体自体をアンテナに使うため、電気火花の発生がある。そのため給油中は火災を恐れ無線は一切使えない。
被給油機から給油ブームを外す際に燃料が流れるブーム問題はカテゴリー2問題に縮小されたと空軍広報係はAviation Weekに述べている。この解決方法が5月に実施されるという。
空軍は実用版KC-46の第一陣は今春納入と見ており、オクラホマのアルタス空軍基地とカンザスのマッコーネル空軍基地で受入れる。
カールトン・エヴァハート空軍大将Gen. Carlton Everhart(航空機動軍団司令官)はAir Force Timesにテストが完了すれば新型給油機納入が始まると述べ、各基地への配備が「迅速に」始まると期待する。
ボーイングは新型給油機開発契約を2011年に獲得し、空軍は445億ドルで179機を調達するとしている。契約ではボーイングは事業費用に自ら責任を有し空軍設定の金額を超えれば空軍の責任分担48.2億ドルを超えれば自社負担となる。2017年末現在で同社は税引前29億ドルをすでに負担している。

ジム・マティス国防長官はこれまでペンタゴンの兵器開発に深く関与していないが、調達部門に厳しい警告を11月に出し、欠陥のあるままのKC-46給油機を受領する「つもりはない」とまで断言している。■