2020年4月15日水曜日

自衛艦に衝突した中国漁船の背後に中国の特異な地政学的野望がある



3月30日、東シナ海公海で海上自衛隊の駆逐艦が中国漁船と衝突した。台湾の沿岸警備隊も中国漁船と同様の衝突事案に遭遇している。中国海警がヴィエトナム漁船に衝突し沈没させた事件が数日前にパラセル諸島海域で発生していた。中国は何を企んでいるのか。
 SF界の巨匠ロバート・ハインラインが読者にこう警句を与えていた。
 敵の行動を愚行と片付けてはいけない。理解に苦しむ行動を相手が取るのは背後に悪意があるからであり、自然発生したわけではない。初期段階は無難な説明を探してもよい。ハインラインには悪いが、筆者は若干手を入れたい。見方が狭すぎる。愚行や意図的な悪意以外の選択肢もある。能力不足、役所仕事の延長、純粋な事故で人の考えや行動に歪みが生まれる。ハインラインはすべて愚かさに分類した。
こんなのはどうか。敵意ある行動をすべて人的エラーで片付けるな。これならハインラインの智慧の本質のまま現実に対応できる。
 そこで今回の日中海上衝突事件を見てみよう。偶然事故の可能性はある。発生時間は夜間で海域は混雑していた。2017年の米海軍衝突事件の教訓から第一線の軍艦の乗員でさえ、過労や訓練不足で危険を招くことがあるとわかる。技術が進歩しても人的エラーの撲滅は不可能だ。日本側あるいは中国の乗員、または双方が暗闇の中衝突したのかもしれない。
 ハインラインの命題に修正が必要だ。「敵意の存在を排除してもいけない」というのはどうか。
 相手が中国共産党(CCP)であればなおさらだ。中国政府は民兵を漁船団に編入し、海洋戦略の一環としてきた。海上民兵は非正規海軍部隊の扱いだ。人民解放軍海軍(PLAN)と海警が正規部隊として拡充されてきた。中国が海上民兵を実際に投入したのは1974年のことで、南ヴィエトナムからパラセル諸島を奪い、短期ながら流血の事態を発生させた。民兵の乗る漁船を海警が支援する形式は南シナ海で2009年から続いている。中国政府は「譲る余地のない国家主権」を広大な南シナ海で主張しており、条約で他国が保有する海域もここに含めている。非正規部隊は2012年にフィリピン海軍とスカボロー礁でにらみ合いを演じ、フィリピンの排他的経済水域に深く入り込んだ。CCPが認めた海域に漁船団が大挙入り、現地国の海軍沿岸警備隊が退去を求めても怖いもの知らずだ。現地で抗議の声が上がれば、海警が民兵の支援にやってくる。事態がこじれればPLANが支援する構図だ。
 民兵は共産中国にとって弱小国対応用の戦略的先兵の扱いだ。相手は弱小国に限らない。尖閣諸島で民兵の乗る漁船や海警艦船はこの10年で当たり前の光景になっている。そのあげく、CCP高官は尖閣の共同管理を提案している始末だ。その先に同諸島の占拠があるのは明らかだ。中国の揚陸作戦能力を恐れ日本も海上、航空の両自衛隊のプレゼンスを同地区で強化してきた。日本の主権を守りつつ侵略は抑止するという考えだ。陸上自衛隊も島しょ移動型の「動的統合防衛部隊」として南西諸島部侵攻を排除する作戦構想を打ち立てた。
 こうした動きはPLA指揮官に都合がよい。日本が中国に匹敵するプレゼンスをしても中国軍は数の上でまだ優位だ。海警、海上民兵、PLANの組み合わせがあれば汗を流さずに紛糾する海域で大きなプレゼンスを実現できる。他方で日本の海上保安庁、海上自衛隊は歩調を合わせるのに苦労を強いられる。ただでさえ隻数が限られるのに多数を現地派遣することになる。常時配備すれば乗員、装備でしわ寄せが避けられない。艦船の保守整備に時間が割けられなくなる。PLAは現地にプレゼンスを置き日本の疲労困憊を待てばよい。
 この方式は中国の伝統的戦略と合致する。孫子は敵に「緊張・疲労」を発生させる配備、欺瞞の策を推奨した。敵を疲弊させた方が勝者だ、と孫子は述べた。消耗した敵に一撃を加えれば決定的な打撃となる。島しょ部防衛に当たる日本がこの立場で、長期間に渡り高密度の作戦を維持する必要がある。
 欺瞞ではCCPの設立者毛沢東の思想がPLAに染み込んでおり、戦役で欺瞞はつきもの、これで十分と言う水準は存在しないとある。毛は孫子思想を参考に敵を完敗させるには「通常」「特別」双方の部隊が必要とka考えた。通常部隊が正面で戦い、特別部隊は敵の弱点をつき、通常部隊を優位にする。「戦いにおいて、双方の部隊の組み合わせは無限にある」(孫子) PLAはこれで敵を劣勢に追い込む。
 PLANが通常部隊、海警・海上民兵は特別部隊だ。平時には特別部隊が前面に立ち、通常部隊は待機し、有事に通常部隊が活躍する。双方に保護の傘を差し伸べるのが沿岸配備のミサイル部隊や航空部隊で、双方あるいはいずれかの部隊がトラブルとなれば火力を提供する。この陸上装備がPLAには第二の特別部隊となり、残りを補助できる。孫子、毛ともにしたり顔であろう。
 欺瞞理論の大家バートン・ホェーリーがCCPの東シナ海戦略が日本に与える危険性をこう説明している。「欺瞞作戦の構成要素は常に2つだ。本心を偽る、隠すかのいずれかだ」とし、本心を偽り相手に真実を見えなくさせながら、本心を隠し虚偽を示す。敵に真実と違うイメージを植え付ければ成功だ。戦術、作戦、戦略の各段階で優位性が強まる。
 ホェーリーは隠蔽策の例として「リパッケージ」を上げる。これは「偽装して真実を隠すことで、物事を別の言い方に変更してしまうこと」だという。揚陸部隊のリパッケージ策としてPLA海兵隊を海警艦艇や漁船に乗せる可能性がある。尖閣諸島周辺を巡行する非正規部隊が正規部隊の攻撃効果を与えるかもしれない。中国が尖閣諸島周辺での作戦を強化して悪意を隠すかもしれない。これはここ十年で実行されている。この結果としてCCPは尖閣諸島の統治権をめぐる対立に軍事力を使わず解決を模索しているとの印象が生まれる。ホェーリーは中国は海警や民兵で通常さを装うはずという。尖閣諸島近辺で中国ののプレゼンスを普通に日本に感じさせられれば、決定的な一撃を突然与えるチャンスがひろがる。
「おとり」も欺瞞作戦の典型とホェーリーは述べる。「注意を反らせ虚偽の姿を示すこと」で、中国は尖閣諸島から日本の関心を反らすため、別の場所で手をうつ、あるいは同時進行でなにかはじめるかもしれない。海上自衛隊艦船への衝突もこの一環の可能性がある。おとり作戦は特別部隊の役目で、尖閣諸島への日本の目をそらせなくても、日本に資源投入を続けさせればよい。孫子・毛の伝統を引き継ぎ、民兵・海警隊員で現場に日本部隊を釘付けできれば中国が決定的な一撃を加える前に優位な状況が生まれる。
 中国の欺瞞作戦の目的は日本の海上部隊を消耗させ、自己満足させ、本来の主戦場から注意を反らせることにある。その後、一発発射するわけだ。
 今回の中国漁船が海上民兵だったのか日本が解明していないのなら全力をあげて答を出すべきだ。仮に答えがイエスなら、中国は東シナ海で企んでいることがわかる。逆に関係なかったら、それでおわりだ。中国は周辺海域で海上交通を活発にするのには戦略的な意味がある。一部船舶は日本側艦船と接近し、誤った行動につながることもあろう。日本は防御姿勢を強めるしかない。CCP首脳部は現時点は中国に有利と理解しているのかもしれない。米海軍が西太平洋に配備中の空母2隻がパンデミックで戦力を発揮できなくなっており、米海軍のトップも混乱している。
 敵を孤立させることが限定戦に先立ち必要となる。対決の前に事態を簡単にしておき、戦力バランスを自軍に有利にすれば、決定的な勝利を短期間で実現できる可能性が増える。日米同盟は外交面で健全だが、軍事的にほころびがあると中国が判断する可能性もある。米国がウィルス対策に追われ、艦船や航空機を投入できなくなっているからだ。絶好の機会が来たと中国が判断する可能性がある。機会が消える前に行動を取る誘惑に駆られる可能性がある。誘惑がこのまま残るのかはわからない。
ハインラインのCCP向け警句にも修正が必要だ。悪意の存在で説明がつく中国共産党の行為を人的エラーのせいにすべきではない。だが、人的エラーを排除してもいけない。ここ数年の中国政府の悪行を習近平一味のしわざと証明できれば勝ち目が増える。この解決方法なら安全だし、警戒態勢を維持できる。

注意せよ、日本!

ホームズ教授はハインラインがお好みのようですね。このブログのオーナーも同様です。TANSTAAFL!(この記事は以下を再構成したものです。)

 

Is China Getting Ready for an East China Sea Showdown?

April 11, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaEast China SeaU.S. NavyA2/adTaiwan

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific, a fixture on the Navy Professional Reading List. The views voiced here are his alone.



2020年4月12日日曜日

メディアにショック、米国人過半数が中国ウィルス名称に違和感なし。

ウィルス流行で社会も生活も変わってしまいました。今回の騒動がどこから発生したかは明らかです。米国では中国への集団訴訟もあり、大統領も歯に衣着せぬ発言をしています。同じ調査を日本でしたらどうなるか、性善説の日本ではウィルス流行は自然現象と見る向きが多いのでしょうか。いえ、国民はそこまで無知ではないです。中国人がWHOトップとなり、発生地名称が使えなくなったのをいいことにメディアは人種差別だの、レイシストだの言いたい放題で、中国を擁護していますが、もう少ししたら中国共産党やWHOへの批判が一斉にでるか、注目です。

国成人の大多数が「中国ウイルス」の名称が適正と考えている。世論調査で判明した。メディアは反対に、ドナルド・トランプ大統領がこの表現を使うのを批判している。

ハリス世論調査で米国人50%以上がトランプ大統領の使う「中国ウィルス」に強く共感すると回答している。▶調査結果は全国メディアが「中国ウィルス」示す反応と大きく乖離している。▶MSNBCアンカーのジョン・ハイルマンはトランプが「中国ウィルス」と呼ぶのは「人種差別主義そのものでありレイシストと自ら認めるものだ」と3月に放送で語った。▶CNNのジル・フィリポヴィックも「中国ウィルス」は「外国人排斥のレイシズム」とし、ヨーロッパで黒死病の原因としてユダヤ人へ濡れ衣を着せた史実と比較した。▶だが米国一般の見方は違う。

ハリス社の世論調査は3月から4月にかけ3回行われ、トランプ大統領に賛同する米国民はそれぞれ52%、54%、52%だった。▶直近のハリス調査は成人1,993名を対象に4月3日から5日にかけ行われ、圧倒的多数の米国民がウィルス流行は中国政府の責任と見ていると回答。これは病理学調査の結果とも合致する。

中国政府があと3週間早く行動していればCOVID-19の流行は95%予防できたとの調査結果もある。▶「中国はウィルス被害を他国に賠償すべき」と考える米国人は58%と最新のハリス調査にある。■

この記事は以下を再構成したものです。

Poll: Most Americans Are Okay With Calling the Coronavirus the "China Virus"

CCP-19 would be better.
April 11, 2020  Topic: Politics  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCOVID-19CoronavirusAmericaTrump

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2020年4月11日土曜日

歴史に残る機体24 ロッキードF-80


チのジェット戦闘機への対抗手段として開発されながら、朝鮮戦争で初投入されたF-80はどこまで戦力になったのだろうか。
 1950年11月8日、直線翼のジェット機4機編隊が北朝鮮新義州の飛行場を急襲した。F-80シューティングスター各機は機首搭載の50口径機関銃で飛行場を掃射すると対空火砲が周りで炸裂した。
シューティングスター各機は数ヶ月前に現地到着したばかりだった。北 朝鮮軍は圧倒的戦力で南を侵攻し、その後国連軍が事態を一転させた。第51航空団所属のF-80は米軍占領下の平壌から中国国境付近に飛び、残存する北朝鮮軍に攻撃を加えていた。
 3回目の通過飛行を終えたエヴァンス・スティーブンス少佐、ウィングマンのラッセル・ブラウン中尉は高度20千フィートへ上昇し、残る僚機の援護にあたった。すると、ブラウンが約10機の戦闘機が高高度からこちらへ突進してくるのに気づいた。
 歴史初のジェット戦闘機の空中戦で、米側は速力が劣る機材を使っていた。

ナチのジェット戦闘機への米側対抗手段として
米国初のジェット機はベルP-59エアラコメットで1942年10月初飛行したが一回も作戦投入されていない。エンジンの信頼性が低く、速力も410マイルがやっとで、P-51マスタングに及ばなかった。1943年に連合軍情報部はナチのMe-262は速力540マイルで作戦投入寸前とつかんだ。英国製ターボジェットでジェット戦闘機製造の要請がロッキードに下った。わずか6ヶ月で。
 伝説の航空技術者クラレンス・「ケリー」・ジョンソンがアールデコを思わせる優雅な機体を設計した。完全な秘密体制で試作機はわずか143日で完成し、作業に130名が投入されたが、ジェット機製作とはだれも知らなかった。
 試作機XP-80は時速500マイル超で、当時のピストンエンジン戦闘機の水準を超えた。当初のデハヴィランド製ゴブリンエンジンは強力なアリソンJ33ターボジェットエンジンに換装された。
ただし、主翼は直線翼で尾翼は当時のピストンエンジン戦闘機の形状のままと、音速付近で不利な設計だった。XP-80は燃料ポンプの不良でロッキードの主任テストパイロットのみならず当時のエース、リチャード・ボングの命を奪った。
 Me-262は手強い相手になるはずだったが、ドイツは燃料不足や産業基盤の悪化で戦局を覆せなかった。
 試作型YP-80A4機が1945年にヨーロッパに派遣され第二次大戦が終結した。二機は英国に残り、一機は事故で喪失した。残る二機はイタリアで戦線に投入されたところで大戦が終結し、敵機との遭遇もなかった。
 戦後にロッキードはシューティングスターを1,700機生産し、制式名はF-80に変わった。F-80B型が続き、射出座席を採用し、次のF-80Cではエンジンをさらに強力なJ33-A-35に取り替え時速600マイルとし、翼端燃料タンク(260ガロン)で航続距離が1,200マイルになった。
 米国初の実用ジェット戦闘機は次々に記録更新していった。1946年には米大陸横断飛行をジェット機で初めて実施し、同年に大西洋横断にも成功。特別改装のP-80Rで短期間ながら623マイルの最高速度記録を樹立した。

朝鮮での空戦
北朝鮮のYak-9戦闘機やIl-10強襲機が相手ならシューティングスターは十分に有利でもMiG-15は別だった。
 F-80より先進設計のMiG-15は後退翼で、ロールスロイス・ニーンをリバースエンジニアリングしたVK-1ターボジェットを搭載した。英国政府が同エンジンのソ連売却を1946年に承認したのは驚くべきことだ。MiG-15の速力は670マイルでシューティングスターを上回り、23ミリ機関砲2門、37ミリも1門と重武装だった。
 MiGは中国内戦の最終局面で登場したが、朝鮮で存在が確認されたのは1950年11月1日のことで、中国から飛び立ちF-51マスタング編隊を待ち伏せ攻撃し、一機を撃墜している。大戦時のソ連ベテランパイロットが空中戦で活躍していた。
 冒頭の11月8日に話を戻すと、スティーブンスとブラウンは左へ急転回し、接近する敵機を射撃する態勢に入った。ブラウン機のM3機関銃4門が弾づまりしたが、敵機に数発を命中させた。このMiGは反転降下し、ブラウンが追尾し時速600マイルで地表に向かった。ブラウンがさらに数発命中させると相手は爆発炎上した。ブラウンはぎりぎりで機体を引き起こした。
米側はジェット戦闘機で初の空中戦で撃墜に成功したと主張。
だが、ソ連側戦史では11月8日の記録は全く違う。MiGパイロットのウラジミール・ハリトノフ中尉は米戦闘機一機の待ち伏せを受けたが降下で逃げ切ったと報告している。ロシア記録ではジェット戦闘機同士の初の空戦は11月1日で、MiGのパイロット、セミヨン・ホミニッチ中尉がF-80(フランク・ヴァンシックル中尉操縦)を撃墜したとある。米側記録ではヴァンシックルは地上砲に撃墜された。いずれにせよ、ブラウンの交戦後に海軍のF9Fパンサーがミハイル・グラチェフ大尉操縦のMiG-15を撃墜し、これは双方の記録が一致している。
 ジェット空戦で初の撃墜で主張が食い違うが、MiG-15が速力、操縦性、武装のいずれもF-80をうわまわっていたことで意見の相違はない。米記録ではシューティングスターは17機を空中戦で喪失し、撃墜したMiG-15は6機、その他プロペラ機11機だった。B-29大編隊をF-80、F-84混成100機で護衛したが、MiG30機の待ち伏せを受け、B-29が3機撃墜されたのが1951年4月12日のことだった。
 空軍は急いで最新鋭機F-86セイバーを派遣し、これでMiG-15と互角に戦えるようになった。中国国境近くの「MiG横丁」上空で空中戦が続き、撃墜実績が米側に好転した。F-80は対地攻撃任務に回され5インチロケット弾8本あるいは千ポンド爆弾2発を主翼下に搭載した。
 朝鮮で対空砲火によるシューティングスター喪失は113機に及んだ。例として1952年11月22日、チャールズ・ローリング少佐は国連軍を釘付けしていた砲兵陣地の攻撃中に対空砲の命中弾を受けた。少佐は傷ついた機体を陣地に突入させ、死後に名誉勲章を受けた。
 朝鮮にF-80飛行隊10個が展開したが、1953年までにすべてF-86セイバーあるいはF-84対地攻撃機に転換した。うち、一個飛行隊はマスタング供用に戻った。米軍でのシューティングスター供用が減ると、余剰機は南アメリカ各国の空軍部隊に払い下げられ、60年代70年代まで使用された。
 朝鮮戦線でシューティングスターはすでに旧式化していたが、2形式の機体の原型となった。知名度が低いのはF-94スターファイヤー複座レーダー夜間戦闘機で朝鮮で6機を撃墜し、MiG-15も初の夜間ジェット空戦で撃墜している。
 もう一方が伝説の機体T-33複座ジェット練習機だ。6,500機が生産され、40カ国の空軍部隊で供用された。CIAが進めた1961年のキューバ侵攻ではB-26爆撃機を三機撃墜し、艦船数隻を沈めている。
 20世紀後半に世界各地のパイロット数千名がT-33で訓練を受けた。ボリビアが2017年にT-33供用を終了し、同機の運用に幕が下りた。
 1940年代に急ぎ開発された米国初の実用ジェット戦闘機は予想外の長い供用実績のもととなった。■

この記事は以下を再構成したものです。

Meet the F-80: America's First Fighter Jet

It wasn't great but it was a start.
April 9, 2020  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: HistoryNorth KoreaMilitaryTechnologyWorldF-80


2020年4月10日金曜日

SR-72はすでに完成している...?

SR-71ブラックバードは世界最速、最高高度を飛行する性能のまま1990年代末に引退した。多分早すぎたのだろう。

衛星より早い
スパイ機の任務は大部分が衛星偵察に取って代わられたとはいえ、衛星が完璧な解決策とは限らない。衛星が正しい位置につくには最長24時間かかるので、SR-71ブラックバードより遅い。同機ならLAからD.C.までわずか1時間で移動できる。
衛星にはもう一つ弱点がある。攻撃に脆弱だ。衛星の軌道は予測できるため、敵対国家が衛星の飛行経路を追尾し、いったん有事になれば撃墜できる。これは深刻な脆弱性につながる。
無人機が偵察に広範に投入されているが、飛行速度は高速といえず、ステルス性能がないと攻撃に脆弱だ。
しかし恐れる必要はない。ロッキードのスカンクワークスに解決策がある。SR-71の2倍で飛行する新型機だ。
スカンクワークス
実態が不詳のままSR-72の性能で観測を呼んでいる。SR-72はマッハ5以上の極超音速飛行性能を有しているはずだ。
SR-71は飛行前準備からして大変だった(宇宙機打ち上げのようなカウントダウンが必要だった)が、SR-72ではそこまでの準備作業は必要とならないはずだ。
SR-72事業についてオーランド・キャヴァルホ、ロッキード・マーティンの航空部門執行副社長がフォートワースの航空宇宙展示会で以下説明している。
「詳しくお話できないが、スカンクチームはカリフォーニア州パームデールで飛行速度への挑戦に取り組んでいる」とし、「極超音速はステルスと同様の効果がある画期的技術で、ブラックバードの2倍3倍の飛行速度が実現する。保安上の規則によりマッハ5以上とだけお伝えしておく」
SR-72の実態は不明のままだが、ロッキード・マーティン広報資料によればスクラムジェットとタービンエンジンでマッハ5超の速力を実現するとある。機体サイズはSR-71とほぼ同じで2020年代末ごろに供用開始するといわれる。
すでに完成しているのか
SR-71の事案どおりなら、SR-72の存在は供用を開始しても当分知られることはないはずだ。つまり、SR-72はすでに飛行開始している可能性もある。■

この記事は以下を再構成しました。

Could a Mach 5 SR-72 Spy Plane Already Be in the Sky?

April 7, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SR-71SR-72TechnologySpy PlaneHypersonic
Caleb Larson is a Defense Writer with The National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

2020年4月9日木曜日

トランプ憎しで取材放棄する米メディアの横暴さはなんとかならないのか


これはひどい。何様のつもりなのでしょう。メディアが国民の信用を失っているのは日米共通でしょうが、報道しない自由などと自分勝手な価値観を変えようともしないからでしょう。メディアのビジネスモデルも変わり、もはや裸の王様ですね。既存メディアは解体に向かうべきです。国民は愚かではありません。

ワイトハウスで定例記者会見が中止となった際は民主主義の終焉と騒がれた。記者会見は復活したが、やはり民主主義の終焉と呼ばれている。

女優ジェイン・リンチはツィッターでドナルド・トランプ大統領に連日の報道機関向け背景説明をやめ、報道陣にも取材中止を求めた。▶左翼活動団体 MoveOn.org も大統領の連日の背景説明の取材を中止するよう求めている。▶この流れに便乗する政治分野の専門家も現れた。▶「説明会の生中継はやめたい。情報が誤っているからだ」とリベラル派のMSNBCホスト、レイチェル・マドーが自らの番組で述べた。▶「もうたくさん。アメリカ国民には大統領の説明よりよい内容を聞く権利がある」と民主党の戦略担当マリア・カルドナが記している。「大統領は毎日の報道記者会見を中止し、専門家に場を譲り、アメリカ国民の不安に希望を与えるべきであって、これ以上の恐怖を感じさせるべきではない」▶最悪なのは記者会見終了の動きが本当にメディア大手にあることだ。

ニューヨーク・タイムズ主筆ディーン・バケットがなぜホワイトハウスでの背景説明は取材する価値がないかを説明している。▶「最近はニュース性がほとんどない。もちろん、本紙にはその様子を伝えるべき権利があるが、ニュース性がある場合に限られる」「だがそんな状況は発生していない」▶3月25日付のニューヨーク・タイムズ記事ではメディアがトランプ大統領の記者会見報道を中止する理由は報道すれば「誤った情報」とメディアが呼ぶ内容が拡散するからだという。

タイムズの見解と逆に背景説明は毎回人気を集めている。タイムズ記事の出だしはこうだ。「トランプ大統領は視聴率を集めていることに、一部ジャーナリストや公衆衛生専門家がこれを危険な動きとみなしている」▶ワシントンポストのコラムニスト、マーガレット・サリバンは報道陣向け説明の内容について「相応に調整」する必要があると報道陣に諭し、説明会が政治集会の様相を示しており、大統領の政治目的に利用されているとする。▶「トランプは誤った情報を拡散して自分の政治的利益に使っている。自らを戦時大統領と表現しているが、我が国が厳しい局面にあり自らが導いているとあたかも21世紀のフランクリン・デラノ・ロウズヴェルト(FDR)だといわんばかりだ」(サリバン)

FDRは全国向けラジオ番組を自らの政治的利益に利用しなかった。メディアがホワイトハウスでのコロナウィルス背景説明の取材を中止したいのはトランプの得点につながることを恐れるからだ。

コロナウィルス発生前にホワイトハウスで定期記者会見が中止され大騒ぎした報道機関がこの調子である。記者会見を「民主制度の必要条件」とまで言うメディアまであったのに。▶国民誰もがホワイトハウスの発表を見守る中、国の維持に機能する場にメディアは興味を示さない。どうなっているのか。

ニューヨーク・タイムズ他ホワイトハウスが誤った情報を拡散していると非難しているメディアは中国の宣伝工作をそのまま伝えることになにも問題は感じていないようだ。▶先週もはやりニューヨーク・タイムズはじめ数紙が米国でのウィルス死者数が中国を上回ったとの記事を掲載したが、圧政の姿勢を見せる共産主義政権が発信した情報は信用できない。繰り返し自国国民や世界に嘘をついてきた国である。

しばらく前にもトランプ政権が中国からの旅行者を拒絶する決定したことをさんざん批判する大手メディアが続出したが、この措置は大筋で世界保健機関による提言に沿ったものだった。▶問題はWHOが中国提供の情報に依存していることだ。

メディアが権力に疑いの目を持つのは健全であり、そうあるべきだ。ただし、懐疑の目は絶対的な権力にこそ向けられるべきであり、中国共産党政権がまさしくこの例だ。▶にもかかわらずメディアはトランプ政権叩きに集中しており、真実を伝えることは二の次のようだ。

結局、ホワイトハウスの記者会見が減っても民主主義は終焉しない。アメリカ国民多数が家庭にこもり通常より多くの国民が大統領や政権がこの危機をどう乗り越えるかを知りたがっている。▶現政権のパンデミック対応は完璧と言い難いが、メディアが国民多数が見たがっている中で大統領を取材しないとは滑稽千万だ。

実際に大統領に毎日の会見取材を取りやめるメディアがあることをどう思うのか聞いた記者があったが、大統領の反応にはいかにもと思わせるものがあった。▶「アメリカ国民が最終的に決定する。見たくないなら見なければ良い、「メディアが合衆国大統領の肉声を伝えないと判断すれば、民主主義は終わりだね」▶メディアはな現下の国際危機の中で自己修正を行い、失った信用を回復してもらいたいものである。▶だが、大統領のマイクスイッチを切るようでは信頼回復は程遠いと言わざるを得ない。■

この記事は以下を再構成したものです。


Why Is the Media Censoring Trump And Showing Chinese Propaganda?

A double standard is afoot.


April 5, 2020  Topic: Politics  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: Donald TrumpCoronavirusChinaCOVID-19Communist Party Of China


This article by Jarrett Stepman first appeared in The Daily Signal on April 4, 2020.

2020年4月8日水曜日

CSIS主催のアジア太平洋会合がF-3を議論

F-3開発はインド太平洋の観点で見れば日本だけの思惑で実現できる事業ではないようです。また2020年代以降に始まる新たな戦闘機開発事業は少なく、それだけF-3に各国も注目しているのでしょう。CSISはこのフォーラムを今後も続けると思われますので、情報公開が楽しみです。


本が開発を目指す、次期戦闘機がワシントンのシンクタンク主催の非公式意見交換の場で話題となった。日本、米国、英国、オーストラリアの各国関係者が新型機の要求性能や期待内容を話題にした。
戦略国際研究センター(CSIS)が立ち上げた1月の第一回会合に25名程度が参加したという。内訳は政府関係者、企業幹部、4カ国のシンクタンク研究者だったとCSISで米国の同盟国関係をまとめるパトリック・ブチャンが述べている。
同会合は外交用語で「トラック1.5」と呼ばれる作業部会とされ、正式な政府間会合と舞台裏外交の中間の位置づけとブチャンは説明。正式な会合として政府関係者が個人の意見として議論に加われ、チャタムハウスルールで公式表明は回避したという。 
作業部会の司会はCSIC副理事長でアジア担当のマイケル・グリーンだった。グリーンは1980年代から90年代にかけ展開され、誤解と失望に終わったFS-X事業の二の舞は避けたいとの意気込みで作業部会をまとめた。ブチャンは同事業から生まれたF-2は性能不足だったと表現。
FS-X事業での日米協力関係は両国の緊張が高まる1980年代後半に生まれた。そして現在はトランプ政権が在日駐留米軍経費の日本側負担を5倍にする要求を付きつけ日米で摩擦があらわれている。
当時との違いは中国の軍事装備近代化が進展したことで、次期戦闘機の行方にも影を落としている。日米双方とも日本の要求水準を満たせない装備品にしてはいけないと自覚している。
日本政府関係者がそのまま出席することは困難と理解したCSISは作業部会の形にして日本も議論に加われるようにしたとブチャンは説明。第一回会合ではグリーンは質問12項目を参加者に下し、各自は個別装置のボタン操作で秘密のうちに回答した。
CSISは質問項目と回答内容の完全な一覧を今春中に公表する。一例が次期戦闘機の技術互換性だ。参加者に戦闘機が互換性を有するのが望ましいインド太平洋地区の国(米国以外)を上げるよう求めた。回答にはオーストラリア、インド、韓国が入っていた模様だ。参加者の83パーセントがオーストラリア空軍との互換性を望んだとブチャンは述べている。■
 この記事は以下を再構成したものです。

Think Tank Creates Informal Forum For Japan NGF Talks

Steve Trimble April 06, 2020