2022年6月10日金曜日

ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月9日) プーチンが自らをピョートル大帝に例える/ウクライナ劣勢/ヴェネズエラ大統領が不穏な動き

 UKRAINE-RUSSIA-CONFLICT

 

西側諸国の野砲装備が流入し、ウクライナはロシアの猛攻に耐えられるようになったとはいえ、数で劣り、戦力が不足気味だ。

 

 

クライナは、NATOや対ロシア戦の他の支援勢力から、当初要望した155mm砲の約90%を受け取っている。それでも、オレクシー・レズニコフOleksii Reznikov国防相によれば、戦争継続には、今後2週間で重火器がさらに必要になるという。

 「ウクライナにはどうしても重火器が必要で、しかも非常に早く」とレズニコフは6月9日述べた。「すでに相当数の武器を受領し、市場で調達し、製造し、ウクライナ軍に引き渡した。この数は、ヨーロッパのどの軍隊に対する防衛作戦なら十分だったろう。しかし、ロシアに対しては違う」。

 ロシアはドンバス地方への大規模な陸上攻撃でほとんど進展がないものの、ウクライナ軍は大損失を被っており、進行中の戦闘では圧倒的に劣勢・劣勢だ。ウクライナと西側機関による新しい情報評価では、ウクライナは40対1で劣勢で、砲兵では20対1で劣勢と、6月9日のThe Independent紙が報じた。

 具体的には、NATO標準の多連装ロケットシステムと十分な弾薬に加え、ウクライナにあるソ連時代の武器と弾薬をNATOの最新型に交換し、重装甲車も「これなしでは有効な反撃は不可能」なため数百台追加するようレズニコフは要求している。

 「ソ連の装備は時代遅れで、戦闘に備えられないと考えるべきだ」とレズニコフは述べた。「一方、パートナーからは軽装甲車しか提供されておらず、武器が付属しているわけではありません」という。

 最後にレズニコフは、2月の敵対行為開始以来、ウクライナ指導部は戦闘機とミサイル防衛システムの提供を繰り返し訴えた。そして、これまでの安全保障支援に感謝し、この3カ月でウクライナのもとに殺到した武器や車両を列挙した。

 侵攻以来、少なくとも5型式の155mm砲がウクライナ軍に配備された。最新は、ポーランドのAHSクラブ自走式追尾榴弾砲だ。M777とFH70牽引榴弾砲、フランス製CAESAR車輪付き自走砲、M109A3追跡砲プラットフォームが配備されている。合計150基の砲兵システムがウクライナに到着したと、レズニコフは述べた。残る10%の155mm砲は、2週間以内に配備される。

 ウクライナは155ミリ弾薬も十分に保有している。レズニコフによると、2月24日の侵攻前に手元にあったソ連時代の大口径砲弾の量より10%多くなっているという。西側が供給する弾丸は精度が高いため、少量で大きな効果を発揮する。

 レズニコフによると、ウクライナはソ連時代の多連装ロケット弾を数万発保有しており、東部と南部での残虐な戦闘に従事する前線部隊に供給してロシアと競い合っているという。

 レズニコフによれば、ウクライナでは、M113装甲兵員輸送車の派生型、オーストラリアのブッシュマスター地雷防護車、イギリスのマスティフ装甲装輪車、ハスキー装輪戦術車、ウルフハウンド重戦術支援車など、西側諸国から装甲車約250台が活躍している。

 「MANPADS(スティンガー、スターストリーク、ミストラル、ピオルン、グロムなど)、ATGM(NLAW、ジャベリン、ミランなど)、擲弾筒(パンザーファウスト、カールグスタフ、AT4、RGW-90 HH / MATADORなどについては言うまでもありません」。「ご存じのように、その数は数千に及びます」

 「これは完全なリストに程遠い」とレズニコフはし、「他の最新兵器システムについては、まだ話すには早すぎる。後で話す。しかし、敵はすぐにその効果を肌で感じるだろう」

 

最新情報

警告:以下の最新情報の中には、生々しい内容が含まれています。

 ウクライナの南部と東部を食い荒らすロシア軍に対抗するには、さらなる火力が必要だというのがレズニコフの意見だ。戦場での惨憺たる損失や、ウクライナ征服のため掲げた目標のほとんどを達成できなかった作戦にもかかわらず、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は全く臆病になっていない。木曜日のテレビインタビューで、彼は自らをピョートル大帝になぞらえ、ウクライナをロシアに「返還」するための戦争を、18世紀初頭にピョートルがスウェーデンに向けた20年にわたる大北方戦争になぞらえた。

「ピョートル大帝は21年間も大北方戦争を展開した。スウェーデンと戦争をして、スウェーデンからロシア帰属のものを奪回した。ヨーロッパはスウェーデンのものと見ていたが。今度は祖国をとりもどそう(微笑)」とピョートル大帝の生誕350年を記念した博物館の展示会で、プーチンは述べた。

 ウクライナ軍は、NATO諸国が送ってきた155mm砲システムの多くで訓練を必要としている。ドイツのグラーフェンヴェール訓練場で、米国とノルウェーの部隊からM109A3自走榴弾砲に関する指導を受けている。最近、ノルウェー軍が手書き教材を使ってウクライナの部隊を訓練している写真が公開された。エンジンの種類は2ストロークV8、450馬力、燃料はディーゼル、前進・後退のギアも手書きで書かれている。

 ロイド・オースティン米国防長官が、ウクライナへの攻撃用ヘリコプターの提供を約束したチェコ共和国に公に謝意を表明して2週間が経過した。チェコのMi-24/35ハインド・ヘリコプターが、ウクライナへの譲渡に向け準備されている。

 戦場での通信システムは、信号が敵軍に探知されれば、攻撃の格好のターゲットとなる。ロシア側は暗号化されていない商用技術を使用しているため、ウクライナ側が盗聴し、ターゲットにされており苦しんでいる。同様の懸念は、ウクライナがSpaceX社のStarlink衛星通信端末を導入していることでもわかるが、Politicoの新しいレポートによれば、これらのシステムは戦場で効果を上げている。    Starlink端末は、砲撃の調整、爆弾を投下する無人航空機の位置決め、司令官から部隊への命令伝達、部隊と家族間の連絡に使用されているとPoliticoは報じた。

 The War Zoneは、この新しい商業衛星通信システムを戦闘に投入することの利点とリスク、そして厳密に軍事的な派生物の出現について、より深く掘り下げる予定。

 ソ連時代の主力戦車T-72の輸出版であるT-72M1が、ウクライナ陸軍に配備された。この戦車はブルガリアのアポロエンジニアリング社が改修したもので、ブルガリアがウクライナにこっそり戦車を渡したか、このT-72M1がポーランドなどの第三国を経由したかのどちらかだろう。

 戦車といえば、ロシアの主力戦車の壮絶な爆発がまたもやドローンカメラに収められた。ドネツク州マリンカ付近でウクライナ第54機械化旅団の砲撃により破壊されたものだ。

 このようなロシア戦車への容赦ない残忍な攻撃は、対人兵器から車両を保護する創造的な解決策をジャンクヤードで生み出した。最新のものは、砂利を詰めた金属製の籠を車体に吊り下げたロシア製戦車で、どうやら飛んでくるミサイルに対する追の防御としているようだ。このような即席の防御が現代の対戦車兵器に有効かは疑問だ。

 ロシア軍によるウクライナ軍への攻撃の映像が次々と公開され、ロシア軍が長距離間接射撃を監視するため無人航空機の利用を増やしていることがわかる。6月9日にツイッターに投稿された映像では、バクムート地区のウクライナ軍陣地へKUB-BLA弾による攻撃を、無人機と思しき映像がとらえている。

 別のロシアUASは、バフムート地区でウクライナの2S7ピオン203mm追跡砲車両への多連装ロケットシステムの攻撃を撮影している。

 ウクライナ東部には携帯型防空システム(MANPADS)やその他の防空システムが氾濫しているため、前線に向かうウクライナ軍に詰め寄るMi-8ヘリコプターの映像が示すように、双方はジェット機やヘリコプターをできるだけ低く、できるだけ速く飛行させている。

 木曜日に公開されたロシア機の映像では、ロシア空軍の戦闘機とヘリコプターがウクライナ上空であらゆる任務をこなしている。また、ロケット弾を無差別に打ち込むKa-52のコックピット風景もある。

 ウクライナ空軍は依然として戦闘中だ。一部のジェット機は損傷を受け、現役を退いた機体や寄贈された機体から部品を調達し、再び戦場に飛び立たせている。また、ロシアの防空網に対抗して愛国的な色に塗られた機体もある。

 ウクライナ軍は、市販の無人偵察機を改造して爆弾投下に使い続けている。この戦術は、人員や非装甲車両などのソフトターゲットに対しては効果的がある。また、無人機を高く飛ばせば、敵の兵士に見えないし、聞こえないので、心理的効果も大きい。また、無人機の撃墜や防御も困難となる。

 第一次世界大戦のツィマーマン電報のような奇妙な反響で、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は木曜日に、今年後半にロシア軍を自国に招へいすると提案した。ロシア国営テレビの司会者オルガ・スカベエワは、「丘の上のアメリカの都市に近い場所でロシアが強力な何かを展開する時が来た」と言った。オルテガ大統領は、ロシアに加えて、ベネズエラ、ホンジュラス、グアテマラ、ドミニカ共和国、キューバ、メキシコ、エルサルバドル、アメリカの「陸海空軍部隊」の駐留許可を延長する命令に署名したことに注目したい。ともかく、このレトリックはキューバ・ミサイル危機を想起させ、ロシアが西半球で忠誠心を武器化しようとする恐怖を呼び起こす。■

 

Ukraine Situation Report: Kyiv Pleads For Weapons As Putin Channels Peter The Great

BYDAN PARSONSJUN 9, 2022 8:04 PM

THE WAR ZONE

 

 

 


弾薬生産に不可欠なレアアース供給を中ロに握られたまま危機感を強める米国

 

Bullets are seen in front of an American-made F-16V fighter during a military exercise in Taiwan on Jan. 15, 2020. (Chiang Ying-ying/AP)

国は弾薬生産に不可欠な鉱物の調達をほぼ全面的に中国(一部ロシア)に依存している。

アンチモンantimonyは徹甲弾や爆薬から核兵器、さらには暗視スコープなど様々な軍事機器の製造に不可欠だ。

アンチモン含むレアアース鉱物の戦略的備蓄で強化が必要と議会が注目している。備蓄対象には、チタン、タングステン、コバルト、リチウムなど、防衛産業に不可欠な鉱物多数が含まれているが、是正措置がないと2025年度までに対応不能になると議会は予想している。

下院軍事委員会が水曜日発表した法案では、アンチモンのサプライチェーンにおける中国支配に初めてメスを入れている。法案に添付の報告書では、10月までに国防備蓄管理部門へアンチモンの状況について委員会に説明し、「鉱物資源の5年間見通しと現在および将来のサプライチェーンの脆弱性」を提供するよう要求している。

「委員会は、最近のロシアや中国との地政学的な動きと、特にアンチモンのサプライチェーンを途絶させる可能性を懸念している」と報告書は指摘。

また、同法案では、国防総省に対して、使用済みバッテリーをリサイクルし、「貴金属、希土類鉱物、戦略的に重要となる元素(コバルトやリチウムなど)をサプライチェーンまたは米国の戦略的埋蔵量に再生する」方針を打ち出すよう求めている。

下院準備小委員会は木曜日に文案を承認する見込みで、軍事委員会は年次国防認可法案の一部として同法案実現を進める。

第二次世界大戦中、日本が中国からアンチモン供給を打ち切ったため、米国はアイダホの金鉱でアンチモンを調達しはじめた。しかし、この鉱山は1997年に生産停止した。

米国地質調査研究所の2020年報告書によると、「アンチモンの国内鉱山は存在しない」とある。「中国は採掘・精製されたアンチモンの最大の生産国で、米国の主要輸入先である」。

報告書では、中国は「世界第2位の生産国ロシアにシェアを奪われている」と指摘しており、タジキスタンが世界第3位のアンチモン供給国として世界市場で地歩を固めてきたという。

過去数十年にわたり、戦略的鉱物の国防備蓄から売却を許可してきた議会にとって、国防備蓄強化の大きな転換点にきた。

冷戦が始まった1952年のピーク時には、備蓄は現在のドル価格で420億ドル近くあった。昨年は8億8800万ドルに急落している。

国防総省は先月、議会に独自の立法案を提出し、備蓄用鉱物の追加調達のため国防承認法案で2億5350万ドルの承認を要請している。

下院軍事委員会のセス・モールトン議員Rep. Seth Moulton(民、マサチューセッツ)は4月、国防予算小委員会に23年度の2億6400万ドルを備蓄用資金として追加提供するよう共和党議員とともに要請した。

「現在の備蓄は大国間競争の必要条件を満たしていない」「国防備蓄は、サプライチェーンが寸断された場合、国防総省が必要とする大半の物資をカバーすることは不可能な水準にある」。■

 

The US is heavily reliant on China and Russia for its ammo supply chain. Congress wants to fix that.

By Bryant Harris

 Jun 9

About Bryant Harris

Bryant Harris is the Congress reporter for Defense News. He has covered the intersection of U.S. foreign policy and national security in Washington since 2014. He previously wrote for Foreign Policy, Al-Monitor, Al Jazeera English and IPS News.


ズムワルト級に弾道ミサイルを搭載すれば、巡洋艦に変更されるのでは....だがPLANは055型に搭載ずみ

 US Navy Zumwalt Class Stealth Destroyer With Lockheed Martin CPS Hypersonic Missile

Click to enlarge. The upgrade will give the Zumwalt Class an impressive new weapons capability. The CPS hypersonic missiles are expected to replace one or both of the main guns.


ムウォルト級駆逐艦は、知名度が最も高く、印象的な軍艦だ。極超音速ミサイル(CPS)を搭載すれば、同艦は比類なき火力を発揮する。



 ズムウォルト級は15,000トンを超える、駆逐艦としては大型の艦だ。同艦は今日の「駆逐艦」の定義からさらに遠ざかる。巡洋艦として再指定されるか注目される。

 ズムウォルト級は、米海軍がその必要性を再評価し、沿岸部作戦を重視するようになった時期に発注され、おおきな批判を受けてきた。確かに高価であり、先進的な艦砲システムの問題から、期待されたほどの武装を備えていないままだった。

 同艦の今回の改良では、超音速ミサイルCPS(Conventional Prompt Strike)を搭載する予定だ。

 従来型抑止力、戦場支配を可能にする

CPSは、非核の戦略的極超音速兵器システムだ。長い射程距離(数百マイルから数千マイル)、驚異的な速度(マッハ5以上、おそらくもっと速い)、高い敏捷性は、米国に新しい能力を提供する。同ミサイルは、迎撃の可能性がほとんどなく、一刻を争う場面で標的を正確に攻撃できる。

 極超音速兵器では米海軍のその他水上艦や潜水艦に搭載される、異なるが密接に関連した変種がある。また、陸上型が米陸軍に配備される。

 ズムウォルト級に搭載されるCPSミサイル数は未定だ。また、既存の155mm砲のマウントは維持されるかどうかも不明だ。砲架に影響を与えずにCPS2基の搭載は可能であり、両方の砲架を取り外せば6~8基となる。ロッキード・マーチンは、砲架のうち1基を保持する提案をしている。


興味深い歴史

過去の軍艦に大型弾道ミサイルを装備する計画には、興味深い類似点がある。1950年代、アメリカ海軍は水上艦艇に当時新開発の大陸間弾道ミサイルを装備することを計画していた。有名な原子力巡洋艦「USSロングビーチ」は、これを念頭に設計された。イタリアは実際に巡洋艦の1隻にこの発射管を搭載した。

 1957年から61年にかけて、イタリア海軍の巡洋艦ジュゼッペ・ガリバルディは、4基のUGM-27ポラリス・ミサイルを搭載する改修を受けた。政治的な変化により、米国ミサイルが供給されることはなかった。イタリアの代替ミサイル、アルファ用とする計画があったが、これも頓挫した。結局、空振りのままであった。

 巡洋艦ジュゼッペ・ガリバルディは、後部砲塔の代わりにポラリスミサイルを4基搭載した。代用ミサイルで試験発射が行われたが、うまくいかなかった。


 

 潜水艦発射弾道ミサイルの成功は、冷戦時代の弾道ミサイル巡洋艦にとって棺桶に釘を打たれるようなものだった。潜水艦への搭載は、米海軍のブロックVバージニア級を筆頭に、注目されているままだ。

 しかし、3隻あるズムワルト級は、より強力で明確な能力を提供する。視覚的に印象的な同艦のフォルムは、意思決定者に影響を与えるかもしれない。


中国は巡洋艦に弾道ミサイルを搭載ずみ

弾道ミサイルを搭載するのは、ズムウォルト級だけではない。中国海軍は、すでに最新の055型レンハイ級巡洋艦にYJ-21ミサイルを搭載している。

 米中両国のミサイルの仕様はまだ不明だが、観察が可能だ。米ミサイルは、特に直径がより大きい。つまり、アメリカの艦船に搭載できるミサイルの数は少なくなる。

 中国のYJ-21ミサイルは、レンハイ級が搭載するユニバーサルVLS(垂直発射システム)に収まる。米Mk.41やMk.57のVLSに搭載できるものよりも、直径も長さも大きい。

 大きな違いは、YJ-21が主に対艦兵器と見なされていることだ。ASBM(対艦弾道ミサイル)は、アメリカ海軍の空母に対抗し中国軍が重点としている。とはいえ、YJ-21がある程度までの陸上攻撃能力を持つことはあり得る。■


US Navy's Hypersonic Missile Will Give Zumwalt Class New Capability - Naval News

H I Sutton  08 Jun 2022



AUTHORS

Posted by : H I Sutton

H I Sutton writes about the secretive and under-reported submarines, seeking out unusual and interesting vessels and technologies involved in fighting beneath the waves. Submarines, capabilities, naval special forces underwater vehicles and the changing world of underwater warfare and seabed warfare. To do this he combines the latest Open Source Intelligence (OSINT) with the traditional art and science of defense analysis. He occasionally writes non-fiction books on these topics and draws analysis-based illustrations to bring the subject to life. In addition, H I Sutton is a naval history buff and data geek. His personal website about these topics is Covert Shores (www.hisutton.com)


2022年6月9日木曜日

ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月8日分)疲労蓄積が隠せないウクライナ軍、品性のないロシア軍がチョルノブイリでなにをしたか (食事中の方はご注意)

  

Ukraine And Russia In Back-And-Forth Battle On Donbas Frontlines

 

ロシアのウクライナ東部と南部での攻撃は、初期の成果をほとんど超えていないものの、ウクライナ軍は数ヶ月にわたる戦闘で疲労困憊している。

 

 

クライナ軍は、東部の都市セベロドネツク周辺で、24時間以上にわたる3方面からの持続的な攻撃にもかかわらず、戦線を維持しており、包囲をめざすロシアの試みは、膠着状態に追い込まれている。

 この1日で、どちらかが大きく前進したとは考えにくい。英国国防省の最新評価では、ロシアはドンバス中心部に兵力を集中させ、北側と南側でウクライナの反撃を退けているという。

 しかし、CBCによれば、東部では数週間の絶え間ない戦闘でウクライナ軍は打ちのめされ、戦線は維持されているものの、士気や戦意は低下している。

 英国国防省によると、6月8日現在、ロシアはウクライナの領土を確保しており、前線は310マイル以上に及び、ロシアとウクライナの双方の領土防衛に負担をかける一方、信頼できる攻撃作戦を行うためには兵員と装備をあらためて確保する必要があるという。

 ウクライナ軍は最近、南部ケルソン地域で反撃し、イングレット川東岸に足場を取り戻すなど、一定の成果を上げている。

 AP通信によると、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国民への夜の演説で、ロシア軍はこの1日、ドンバス地方で目立った前進はないと述べたという。

 「ドンバスの絶対的で英雄的な防衛は続いている」とゼレンスキー大統領は述べ、ロシア軍はウクライナの抵抗が続くのに驚き、追加人員と装備で強化中と付け加えた。

 また、ケルソン地方でのロシア軍の進撃も、ウクライナの防衛の前に停滞しているという。ウクライナ軍は、特に戦略的に重要な港湾都市ミコライフ付近で反撃を開始できた。オックスフォード大学のサミュエル・ラマニ教授(国際関係論)によれば、ロシアはこうした攻撃から防衛するため、ザポリジャーからケルソン地方に兵力を移動させたという。

 セベロドネツクとリシヤンスク付近のドネツク川をロシアが横断すると予想されている。ウクライナ軍はこの動きを予知し、橋を爆破し、相手に川を渡らせるか、自分たちで橋を架けることを強要しているようだが、これが最近悲惨な結果を招いている。 

 また、ロシアは戦争初期に占領したケルソンでソフトパワー攻勢を強めている。ロシア連邦がソ連から主権と独立を宣言したことを記念する「ロシアの日」を6月12日に控え、占領軍は同市住民にロシアパスポートの配布を開始した。

 占領地ではロシア・ルーブルが法定通貨として導入され、ロシア語を話す教師がロシアのカリキュラムと言葉で生徒を指導している。ゼレンスキー大統領は、このようなロシアの侵略の促進につながり、正当化する戦術を繰り返し警告してきた。大統領はウクライナ国民に、ロシアのパスポートの受け取りを拒否するよう促している。

 

最新情報

2月24日の侵攻以来、ウクライナで破壊されたロシア軍の車両や重火器の目視確認数が、6月8日に2,500台に達した。侵攻前は世界第2位の陸軍と言われたロシア軍には、厳しい数字だ。

 ロシアの装甲車両は、誘導弾、無誘導対人ロケット弾、大砲、その他重火器で武装したウクライナ軍によって、壊滅的な被害を受け続けている。このロシアのBMP-3歩兵戦闘車両は、スウェーデン製無誘導単発対戦車兵器AT-4の餌食になったようだ。

 ウクライナに投入されたうちで最も近代的な戦車とされるロシアのT-90は、ウクライナ軍が無傷で捕獲し、砲身を元の持ち主に向けようとしている。

 ウクライナは最近もロシアの固定翼無人機Orlan-10を墜落させたが、同機は驚くほど無傷で回収されており、ウクライナ軍が飛行中の機体を混乱させたり破損させたりする比較的高度な電子的手段を有していることをうかがえる。無人航空機は、偵察、砲兵隊の索敵、敵の陣地や車両への投下などに非常に有効であると証明されており、電子式のいわゆる「ドローン砲」は、数種類と性能を持つ装備が紛争の両陣営で見られる。

 こうした損失を補うため、ロシアはモンゴルの北にあるバイカル湖畔のイルクーツクからウクライナまで、多連装ロケットシステム(MLRS)や152mm榴弾砲をさらに移送することにした。

 ウクライナ軍には新しい装備が続々と登場している。6月8日、おそらく初めて目撃されたBM-27ウラガンMLRSは、チェコ製のタトラ型装甲車に搭載されていた。

 ソ連のBM-27 220mmMLRSをウクライナ用に改良したもので、最新のデジタル射撃統制システムを搭載し、標準弾薬で約22マイルの射程を持つ。

 その他、BMP-1TS歩兵戦闘車がウクライナ航空強襲軍で使用されているのが目撃された。Twitterアカウント「Ukraine Weapons Tracker」によると、同車両はウクライナ仕様のBMP-1で、30mm砲、対戦車誘導ミサイル、PK機関銃、AGS-17グレネードランチャーなどを搭載した戦闘モジュールを後付けしているという。

 ウクライナ議会のキラ・ルディックKira Rudik議員は、英国はロシア海軍が封鎖中のウクライナ港湾を「封鎖解除」するために、ブリムストーン地上発射ミサイルの追加供与を特別に約束したと述べている。同ミサイルは、海や陸の標的を攻撃するため使用できます。この短距離全天候型ミサイルでは、以前ウクライナ・ウルカインでトラック搭載のランチャーから発射されているのが目撃されていた。

 ルディク議員はまた、ウクライナはロシアのミサイル(おそらくロケット砲と巡航ミサイル)から都市を守るために、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」の購入に前向きとも語った。米国は、ウクライナが同システムを調達することに問題はないという。

 キーウをはじめ、ここ数日ロシアのミサイル攻撃を受けている都市の住民にとって、防空は最重要事項だ。西側でSS-26ストーンとして知られるイスカンダルM短距離弾道ミサイルが、夜間にロシアのベルゴロド市からハルキウに向け発射されたと伝えられている。

 ウクライナの爆発物処理班は、民間人を殺傷する可能性のある3B30子弾のようなロシアの未爆発兵器を除去するため、時間をかけて作業している。

 6月8日、ミコライフ近くの農地から、米海軍空母に使用するべく設計されたロシアの長距離対艦ミサイルKh-22と見られる残骸が回収された。

 プロジェクト02690の自走式浮きクレーンに搭載された2基のTor地対空ミサイルシステムが、紛争の火種となったロシア占領下のスネーク島に向かうのが目撃された。黒海におけるロシアの洋上支配を確保する上で戦略的な位置を占め、ロシアの長距離防空兵器やスタンドオフ兵器がNATO領域深くまで容易に到達できる可能性のある同島をロシアは確保しようとしてきたが、ウクライナの無人機や戦闘機による執拗な攻撃で実現が遅れている。

 ロシアの侵略が世界の世界秩序に予期せぬ結果をもたらしたもう一つの例として、日本が水曜日にNATOとの軍事協力を強化することに合意した。ロシアの東部辺境と海上の境界線を共有する日本は、ロシアのウクライナ侵攻がヨーロッパだけでなくアジアの安全保障に及ぼす影響を懸念しているようだ。

 チョルノブイリ原発で数週間人質になっていたウクライナ人労働者は、ロシア軍が破損、汚損しただけでなく、文字通り糞をした施設の後始末に当たっている。Business Insiderによると、ロシア軍は4月に、放射能が残り非常に不安定な核施設を避難させる前に、広大な施設のすべてのオフィスで「山」のような大便を排泄したらしい。

 チョルノブイリ・エコセンターの副所長は、「ウンコはケーキの上のアイシングだった」と語ったという。■

 

Ukraine Situation Report: Attacked On Three Sides, Ukrainians Hold The Line In The East

BYDAN PARSONSJUN 8, 2022 6:21 PM

THE WAR ZONE


西側のISRフライトに神経を尖らす中国。カナダ、オーストラリア両国機に露骨ないやがらせ。米空軍はRC-135Uを中国南部沿岸に投入。

 

A US Air Force RC-135U Combat Sent electronic intelligence aircraft photographed at Kadena Air Base on the Japanese Island of Okinawa in 2009.

Toshi Aoki / JP Spotters via Wikimedia

 

戦略性の高い海南島含む中国南方沿岸地方には、防空資産がひしめいている。

 

 

空軍のRC-135Uコンバットセント電子情報機がこの24時間、南シナ海の北端に接する中国南部海岸線の大部分に沿う飛行を行っていた。今回の飛行は、南シナ海地域や太平洋の他の場所で、国際水域を飛行する外国の偵察機や監視機に対する中国戦闘機の嫌がらせが最近増加しているとの報告を受けてのものだ。オーストラリア空軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機が中国のJ-16戦闘機から非常に危険な妨害を受けたことが含まれる。

 シリアルナンバー64-14849のRC-135Uは、オンライン飛行追跡データによると、6月6日に海南島周辺とトンキン湾を含む中国南岸地域付近を飛行した。海南島は人民解放軍海軍(PLAN)の主要拠点であり、弾道ミサイル潜水艦すべての母港としての潜水艦基地など、高度な戦略性を有する玉林海軍基地Yulin Naval Baseがある。

 このルートは、2001年に人民解放軍のJ-8戦闘機と衝突した際に、同じく電子情報収集プラットフォームである米海軍のEP-3E Aries IIが飛行したルートと類似している。

 機体は、2機しかないRC-135Uの1機で、6月3日も同様に中国の中部北部の海岸線に接近する飛行を行った。いずれも沖縄の嘉手納基地から出撃した。

 これらの出撃の正確な目的は定かでない。空軍のRC-135Uは、広範囲の信号その他の電子情報を収集する高度に専門的な機体だ。同様の能力を持つRC-135V/Wリベットジョイントと異なり、RC-135Uは主に国家レベルの技術電子情報(TechELINT)要件の支援に使用される。

 

 

RC-135Uの内部を説明する米空軍資料 USAF

2017年ブリーフィング資料にあるRC-135U搭乗員の役割 USAF

 「技術的なELINTは...レーダー、ビーコン、ジャマー、航法信号のような発信源の信号構造、放出特性、動作モード、発信機能、兵器システムの関連性を記述する」と国家安全保障局の公表資料は述べている。「技術的ELINTの主な目的は、航空機を探知する地上レーダーなど、大きなシステムにおいてエミッタが果たす能力や役割を定義できる信号パラメータを取得し、レーダー探知、対策、または対兵器装置の設計につなげることである。対策の運用を含む全体的なプロセスは、電子戦の一部となる」。

 レーダー等の信号発信機の位置を特定し分類することは、敵対国や潜在的な敵勢力の防空能力に関し正確な「電子戦闘命令」を作成するため不可欠だ。また、RC-135Uは、情報データを機内で処理し、ほぼリアルタイムで情報を送信できるため、有事シナリオにおける戦術レベルの作戦支援や、各種試験・評価のために配備されることもある。

 

 

RC-135Uミッションの説明資料。2017年時点。USAF

 

 

 RC-135Uの機数がもともと少ない中で、太平洋でのコンバットセントの飛行は定期的に行われている。過去には、空軍は東シナ海と南シナ海の一部をカバーする出動に、ダイヤモンド・セントとサファイア・セントというニックネームを適用していた。

2010年実施のRC-135Uコンバットセントによる太平洋でのミッション実績が機密解除となった。 USAF via FOIA

 

 昨年6月には、コンバットセント64-14849が中国南東部の海岸線に沿い非常に類似した任務を遂行し、2001年の事件におけるEP-3Eのルートと比較されることもあった。

 中国の海岸線、特に海南の玉林海軍基地周辺には、RC-135Uのような航空機が関心を持ちそうなレーダーやその他の信号発信機が多数あることは確かだ。その他米軍の情報・監視・偵察(ISR)機では、少なくとも1機の米海軍P-8Aポセイドン海上哨戒機に極秘レーダーポッドが搭載され、過去に同様のルートを飛行しているのを追跡されていた。

 このルートは、南方のウッディ島やパラセル諸島の各種中国装備のデータを収集する機会をRC-135Uに与えた可能性もある。中国共産党は近年、南シナ海での能力と存在感を高めるため、ウッディ島やパラセル諸島で施設を積極的に拡大している。同地域には、以前は人が住めなかった浅瀬や岩礁を利用して作られた要塞のような人工的な前哨基地が点在している。北京政府は同海域のほぼ全域を自国領土と主張しているが、国際社会の大多数はこれに異議を申し立てている。

 

 

中国南方部に展開する中国軍事施設の所在を示す地図。2021年1月時点。DOD

 

 

 昨日、北京大学を通じて、飛行船舶追跡を行うSCS Probing Initiativeのツイートでは、RC-135Uが海岸に最近接近したことにより、国内深部の目標に関するデータを収集できたと推測している。

 RC-135Uの最近の出撃のタイミングは、日常的かどうかは別として、いくつかの理由から注目される。

 

 

RC-135U USAF

 

 

 今週末、オーストラリア政府は、5月に南シナ海上空を飛行中のオーストラリア空軍のP-8Aを中国空軍のJ-16戦闘機が迎撃したことについて、危険な状況であったとする声明を発表した。中国戦闘機はオーストラリア機の進路を横切り、照明弾とチャフを発射し、その過程で損害を与えたと報告されている。

 先週、カナダ当局は、今年4月から5月にかけて、カナダ空軍のCP-140オーロラ海上哨戒機が中国戦闘機から危険な迎撃を受けた一連の事例の詳細を公表した。カナダ軍機は、北朝鮮の国連制裁の遵守状況を監視する任務を支援するため、北方へ飛行していた。

 中国が外国のISRやその他の航空機、特に紛争が絶えない南シナ海の国際水域上空を飛行する航空機に嫌がらせをしているという報告は、目新しいものではない。

 RC-135Uの中国沿岸への出現は、先週行われた台湾を狙ったPLAの大規模な武力行使に続いた。5月30日、台湾の防空識別圏(ADIZ)の南西端に、22機の各種戦闘機含む、空中早期警戒管制機、電子戦機、対潜機、ISR機など中国軍機計30機が飛来した。これは、1月23日に39機の中国軍機が台湾のADIZに出撃して以来、最大の出撃回数となった。

 中国政府は近年、国際空域である台湾ADIZに大量の軍用機を送り込んでいる。大規模な飛行は通常、北京政府が反対する台北当局や国際パートナー(特に米国)の行為に対応するため行われる。5月30日の出撃は、ジョー・バイデン米大統領が「米国は大陸当局による台湾の武力奪取のいかなる試みに対しても防衛する」と発言し、中国政府から猛反発を受け、米政府高官が撤回した数日後に行われた。

 米軍関係者や米情報機関のメンバーは近年、中国共産党が少なくとも2027年までに台湾への軍事介入を成功させるため努力していると考えていると発言している。また、米国当局は、必ずしも北京政府がその時期に作戦を急いで開始することを意味するとは考えていないとも述べている。一方、ロシアのウクライナ侵攻に対する国際的な対応から、中国当局が何を汲み取っているのかという議論も盛んに行われている。北京政府は、ロシアの侵略行為に対する制裁措置を批判しているが、そのため、モスクワに対して限定的なことしか言っていないように見える。

 しかし、今回のRC-135U 64-14849の南シナ海における中国沿岸飛行や、以前の北方での飛行は、中国のレーダーや統合防空システムに関する最新かつ詳細な情報を入手することに米軍が明確な関心を持っていることを示している。■

 

US RC-135U Spy Plane Just Surveilled China's Strategic Southern Coast

 

BYJOSEPH TREVITHICKJUN 6, 2022 6:21 PM

THE WAR ZONE



制裁措置はロシアに対する経済戦争だ。冷戦時を思わすその効果でロシアの軍民両部門は今後苦しむことになりそう

 

Russia Sanctions

Russian military drilling with artillery. Image Credit: Creative Commons.

 

対ロシア技術戦争の行方

ロシアがウクライナ侵攻を開始した直後、米国はじめ各国は、モスクワに対して史上最も積極的な技術的制裁を開始した。

 ある意味で、冷戦時代にロシアの技術を締め上げた努力に類似している。冷戦時代、ソ連を国際的な技術開発から切り離すことが、米国の大戦略の中心だった。ソ連を孤立させるのが、米国による封じ込め政策で一貫した要素の1つだった。

 

冷戦型制裁で崩れるチップの信頼性

トルーマン政権やアイゼンハワー政権は、ロシアを技術から切り離せば、ソ連の経済力、ひいては軍事力に長期的な悪影響を与えられれるとの結論した。今回の制裁措置は、ロシアの科学技術発展を長期的に阻害するねらいがある。

 ウクライナで捕獲・破壊されたロシア製兵器を分析した結果、ロシア製兵器は西側コンピューターチップに強く依存している実態が明らかになった。自立した国で最も自立した産業であっても、統合と相互依存は避けられない。ロシアの軍事力への影響は重要だが、それは本筋ではない。

 ロシアは戦場で失った分を新規生産で補うことは不可能だろう。そのためロシアの戦車製造が遅れても決定的な要素ではないだろう。もっと重要なのは、ロシアの技術的な競争力に出てくる長期的な影響だ。影響は、軍事分野より、民生分野に強く出てくるはずだ。ロシアの航空業界は制裁を受け、今後数カ月はスペアパーツが不足し、メンテナンスに時間がかかるため、大きく打撃を受ける可能性がある。

 

中国が助けてくれるかも

もし中国が、西側諸国との関係を犠牲にしてまでもロシアを支援すると決意すれば、ロシアの技術的な問題の一部を解決できるだろう。しかし、中国は西側制裁の標的になることに強く敏感さを示してきた。中国のテクノロジー企業は世界経済と深く結びついており、世界市場から切り離されては困る。

 中国政府と技術部門の民間企業間の関係は複雑だ。中国政府がロシアを支援したくても、業界を強制的に動かせるかは明らかではない。ロシアと世界の二者択一なら、中国は世界を選んでもおかしくない。最後に、中国はロシアのテクノロジー企業をハッキングし、ロシアの状況を利用することを躊躇していない。

 

ロシアは深みにはまっていく

ロシアは、国際的な知的財産保護義務を放棄することで、自らを苦しめている。短期的には、西側の知的財産を流用するとの約束は、ロシア人にとって非常に魅力的に聞こえるだろう。一挙にモスクワは西側を攻撃し、西側のテクノロジー企業を傷つけ、コネのある企業に利益を分配することができる。しかし、ロシアが頼りにする中国企業は、ロシアによる知的財産権の侵害に対しユーモアのセンスは絶対にないだろうし、モスクワが知的財産保護に無頓着であるとわかったため、中国ハイテク企業はロシア市場に関わることを考え直すかもしれない。

 冷戦時代のソ連への科学的消耗戦は、物理的・知的レベル双方で戦われ、ソ連の学生、科学者、エンジニアが米国や他の西側諸国で学ぶ能力に大きな制限を加えた。米国の政策立案者は、特にハイテク分野で中国人留学生のビザ発給制限を示唆したため、米国の大学多数が中国との協力関係を縮小する措置を取ったのは確かだ。

 ロシア人留学生(約5000人が米国で学んでいる)を米国から追い出す提案をした議員があらわれたが、ほとんどフォローアップがないままだ。前述の航空会社の問題で多くのロシア人にとって海外渡航は物理的に難しくなっているが、正式な方法には制限されてはいない。もちろん、今はデータの流れがはるかに容易で、特定の場所に行くのは、冷戦時代ほど重要ではない。ロシアの学生、科学者、技術者を西側から排除して、リベラルかつコスモポリタンな価値観の基本的な放棄でないとしても、あまり意味がない。

 この戦争の意味についてロシアの考え方は、まだはっきりしない。モスクワは、西側の制裁の規模を予想し、侵略の代償とした上で、利益がコストを上回ると判断したのだろうか。プーチンは、戦争は短期終結し、西側諸国が忘れると考えたのだろうか。それとも、ロシアは制裁を巧みに利用し、国内の能力を高めつつ必要な技術にアクセスするつもりなのだろうか。 短期的には答えが出てこない問題だ。■

 

America Is Using Sanctions to Wage a Technology War on Russia - 19FortyFive

ByRobert Farley

 

Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School at the University of Kentucky. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020).