2022年10月22日土曜日

苦戦中のロシアが大規模ダム爆破を画策? ウクライナが環境テロ活動を警戒。その他ウクライナ戦の最新状況(現地時間10月20日現在)

 

Ukrainian military photo

ドニプロ川のカホフカ水力発電所ダムを爆破すれば、「大規模災害」が発生するとウクライナ大統領が発言

シアがウクライナ南部ケルソン州のドニプロ川のカホフカ水力発電所に爆発物を設置し、「大規模災害」を引き起こすつもりだと、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が木曜日に発言した。

「ロシアがカホフカ水力発電所に爆発物を設置したという情報がある」と、ゼレンスキー大統領は10月20日欧州理事会での演説で述べたと、キーウ・インディペンデント紙は報じている。

ゼレンスキー発言は、戦争研究所(ISW)が以前発表した、ロシア軍が「発電所に偽旗攻撃を行う情報条件を整えている」との評価と一致する。「ロシア軍は、ダムを破壊しドニプロ川右岸からの撤退をカバーし、ウクライナの渡河前進を阻止または遅らせることができると考えているのだろう」。

キーウ・インディペンデント紙によると、同ダムは「約1800万立方メートルの水を蓄えている」。「破壊されれば、州都ケルソンを含む80以上の集落が水没する」と、ゼレンスキーは述べた。大統領は「数十万人が影響を受ける可能性がある」とし、国際的な観測が必要であると付け加えた。

ゼレンスキーは木曜日、自身のテレグラムチャンネルで、ロシアがダムを爆破する動きを示しているのは、ウクライナ南部を保持できなためと述べた。

ゼレンスキーは「今、世界中が、ロシアの新たなテロ攻撃を防ぐため強力かつ迅速に行動しなければならない」と述べた。「ダム破壊は大規模災害を意味する。このテロ行為により、ドニプロ川からクリミアへの水供給も止まる可能性がある。カホフスカヤHPPダムが破壊されれば、北クリミア運河は消滅する」。

「ロシアがこのようなテロ攻撃を準備しているとしたら、そのようなシナリオを真剣に検討しているとしたら、それはテロリストが、ケルソンだけでなく、クリミアを含む我が国南部全体を保持できないことをはっきりと認識しているためだ」。

ダム上部の道路は、以前、ウクライナがケルソンでのロシアの物流を妨害するために攻撃したことがある。

しかし、ダムの爆破は全く別の話だ。ゼレンスキーは、プーチン大統領の核兵器による威嚇と比較した。

「私たちは今、ヨーロッパ人、世界の指導者、国際機関など、みんなで一緒に、カホフスカヤHPPへのテロ攻撃は大量破壊兵器使用と同じ意味を持つことをテロ国家に明らかにしなければなりません。ロシアには適切な結果がもたらされるはずだ。世界は予防的に反応しなければならない。これが今、重要なことだ。安全保障上の脅威への予防的対応の原則が、ようやく国際政治の基本原則の1つになる」。

英国国防省は最新評価で、ロシアは「幅1000mの川を渡り部隊と装備を整然と撤収させる重要課題」に直面している、と述べている。

キーウ・インディペンデント紙によると、ロシアがケルソン市防衛を決定した場合、動員された予備兵のみで行う可能性があるとウクライナ参謀本部は見ている。

最新情報

クリミアになぜイラン軍人がいるのか

イランの無人機技術者と訓練生がクリミアに「少数」いるが、「イラン無人機を操縦し、キーウへの攻撃を含め、ウクライナ全域への攻撃に使っている」のは、ロシア軍であると国家安全保障会議のジョン・カービー報道官が木曜日記者団に語った。

イラン訓練生は、ロシア人がイラン製無人機の操作を習得するためクリミアに滞在していた。カービー報道官は、最初の操作やシステムに失敗があった、と述べた。

イランの無人機、特にシャヘドShahed-136は、ロシアがケルチ橋攻撃の報復として、ウクライナの民間人標的への攻撃で一層使用されるようになってきている。国防総省は木曜日、カービー報道官の評価に同意し、イランが世界中にテロを広げるもう一つの例だと述べた。

国防総省の最高報道官であるパット・ライダー空軍准将は、木曜日に記者団に対し、「我々は、中東地域だけでなく、今度はウクライナでも、イランがテロの輸出に加担していることを見続けている」と述べた。「多くの点で、これらの無人機は恐怖を作り出す心理的な武器として使われているが、戦略的な観点からは、地上のロシア軍が領土を失い続けるか、せいぜい地面を維持する程度であるという事実を変えることはできない」。

 

10月17日、ウクライナのキーウで、神風ドローンに襲われた住宅で捜索・救助活動を行っている消防隊。 (Photo by Yevhenii Zavhorodnii/Global Images Ukraine via Getty Images)

イラン政府関係者はここに来てロシアにドローン多数と、「数百発」の短距離弾道ミサイルを売却したと認めている。

国防総省はこれまで、イランがロシアに数百機の無人機を提供したと述べているがイランは否定している。イランがロシアに無人機を提供したことを否定していることについて、ライダー准将はぶっきらぼうに言った。

「彼らが嘘をついているのは明らかだ」と彼は言った。

ライダー准将によると、ロシアは精密弾の在庫が枯渇しているため、イランや北朝鮮に接触している。「弾薬の追加を求め、イランの場合は明らかにドローンを求めている。今後も続けるかどうかは、イランやロシアが対処すべきことですが、私たちは注視していきます」。

最近のロシアの無人機の乱射は、ウクライナへの防空設備の追加提供に拍車をかけるかとの質問に対して、ライダー准将は、「ウクライナは、無人機多数を撃墜しており効果を上げている」と答えた。

ウクライナ空軍は、最初のドローンが撃墜された9月13日以降、水曜日の朝の時点で223機のイラン製ドローンShahed-136を撃墜したと主張している。ガーディアン紙は、比較的安価なイラン製ドローンを倒すため防空システムを使うと高コストになると報じている。

ライダー准将は、ウクライナが撃墜したドローンの具体的な機数、またはその他の方法で阻止した数を示すことはできないが、その結果、ロシアはおそらく「目標を攻撃する能力という点では目標を達成していない」と述べた。

それでも、「明らかに大混乱を引き起こし、破壊を引き起こし、罪のない市民を殺しており、深刻な脅威であり、我々はウクライナが必要とする能力を提供するため協力し続けるだろう」と述べた。

一方、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、ロシアへの無人機譲渡をめぐりイランに新たな制裁を加えた欧州連合に謝意を表明した。

米国は、こうした装備品の移転をめぐり、イランとロシアへ追加制裁も検討している。

公式の否定に反して、ロシア国防省高官が、ロシアがウクライナでイラン製の「神風」ドローンを使用していたことを偶然にも認めた。

Business Insiderによると、NGO戦略技術分析センター所長ルスラン・プホフRuslan Pukhovは、昨日ロシアのビジネスニュースポータルRBCの「What It Means」という番組のライブインタビュー冒頭で、マイクが入っていることに気づかず話していたようだ。

「ボートを揺らさないように。イラン製無人機に焦点を合わさないよう頼む。古典的な事例だ。結果は見えるが、話にしてはいけない、いいね。皆イラン製だとわかっているが、当局が認めていない」。

その後、プホフはこの件についてすっとぼけた。

「もしかしたら、言ったかな......言ってないかもしれない。仕組まれたことかもしれない。覚えてない。COVIDの後で頭が混乱しているんだ...... 」。

戦場の他の場所で、ISWは、ロシア軍がハリコフ州北西部の本格侵略で失った領土の再奪還をねらう中、ウクライナはケルソン州北西部で攻勢を続けていると発表した。

以下は、ISWの最新評価から得られた重要ポイント。

  • ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの10月19日の戒厳令準備宣言は、将来の動員や国内制限のための枠組みを作りながら、ロシア軍が行う必要がある、あるいはすでに行っている活動を正当化するための、主に法的劇場であることを意味している

  • ワグネルの資金提供者エフゲニー・プリゴジンは、自身とワグネルグループ軍を従来のロシア軍から切り離そうとしている

  • ロシア軍は、ハリコフ州北東部で失った領土を奪還するため、限定攻撃を継続的に実施している

  • ロシア軍とウクライナ軍は、クレミンナ-スヴァトベ地域で攻撃を継続したと伝えられる。

  • ロシア情報では、ウクライナ軍が北西部のケルソン州で再び攻勢をかけている

  • プーチン大統領は10月19日、ロシア軍関係者が抱える支払いに関する懸念に対処するための法令を可決し、今後の支払い問題については、セルゲイ・ショイグ国防相とアントン・シルアノフ財務相に責任を負わせることを決定した

  • ロシア議会は、ロシア当局が将来起こりうる動員の波において、部分動員の国内影響を最小限に抑えることができる法的措置を提案している

  • ロシア軍当局は、ロシア占領地のウクライナ人住民をロシア軍のため労働や戦闘に強制動員している

 

その他

ベラルーシの動き

ウクライナの北の国境では、ベラルーシにロシア軍の集中が進んでいるようだ。国防総省のライダー報道官は、以前The War Zoneに語ったことを繰り返した。「現在のところ、前線で潜在的な、差し迫った軍事行動の兆候はないが、注視はしていく」と述べた。

 ベラルーシ軍関係者は、ウクライナの同盟国であることが証明ずみのポーランドが、ウクライナに戦争の準備をしていると奇妙な警告を発した。

 ワシントンD.C.のポーランド大使館の防衛・航空担当補佐官パヴェウ・マルツェダ大佐は、そのような発言は「ベラルーシのプロパガンダだ!」とThe War Zoneにメールで伝え、内容を否定した。「ポーランドは隣国を攻撃したことはないし、これからもしない!」と。

プーチンが軍訓練キャンプを訪問

 ウクライナに対する全面戦争の239日目に、プーチン大統領は、モスクワの南東約100マイルにあるリャザンの軍事訓練基地を訪れ、西部戦線に向け準備する動員兵と会談した。

 黒いジャケットに身を包んだプーチン大統領は、装備品を点検し、兵士たちと談笑した後、耳あてをつけて地面にうつぶせになり、ライフルで何発か撃った。

 プーチンは新兵との会話の中で、「住むところや経済的な問題はないのか」と質問した。すると、意外な答えが返ってきた。

 「ない」というのだ。

 ワシントンポスト紙のロシア特派員メアリー・イリューシナによると、プーチンが軍事基地を訪れたのは、ウクライナ全面侵攻を開始した2月24日以来初めてという。

ウクライナはドイツで訓練

 プーチンが動員された予備兵で隊列を埋めようとする一方で、ウクライナは約5000人の軍隊を訓練でドイツに派遣している。これは、約1万5千人のウクライナ人兵士を訓練する幅広い取り組みの一部。

装備品不足を窃盗で補うロシア

 ロシアの戦いを継続させるための軍需物資の入手は大きな課題で、その一端は窃盗によって対処されているようだ。スウェーデンのAftonbladet紙によると、スウェーデンから盗まれた交通カメラが、無人機に使用するためロシアに送られたという。

 ロシアはしばらくの間、ドネスクの町バフムトにあるウクライナ陣地を攻撃してきたが、まだ占領していない。この任務は、ウクライナやアフリカなどでロシアが使う傭兵集団、ワグネルグループに委ねられている。

 しかし、そのワグネル軍もウクライナのキットには感心しているようだ。

 そして、戦場は戦争兵器の無残な残骸で埋め尽くされたままだ。

 例えば、ドミトロ・シュムスキーは、対空兵器スティンガーでロシアの巡航ミサイルを1発だけでなく2発も撃墜し、ゼレンスキーに賞賛された。

人質交換で開放されたウクライナ女性の訴え

 人的被害も大きい。最近、ロシアとの捕虜交換で解放されたウクライナ人女性は、常に殴られ、いじめられ、脅かされていたと訴えている。■


Ukraine Situation Report: Russia Rigged Kherson Dam To Explode Zelensky Claims

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED OCT 20, 2022 

THE WAR ZONE


海上保安庁がUAVシーガーディアンの運用を開始。航空自衛隊向けE-2Dは船舶で太平洋を横断、岩国基地から三沢基地にフェリーされる。

  

海上保安庁の「SeaGuardian」無人機の完成予想図。 (General Atomics Aeronautical Systems)

 

 

上保安庁は、MQ-9Bシガーディアン・ドローンの運用を開始し、自衛隊には早期警戒機が船で入国した。

UAVの製造元であるGeneral Atomics Aeronautical Systemsは、海上保安庁が10月19日に海上自衛隊八戸航空基地からシガーディアンの飛行運用を開始したとニュースリリースで発表した。

高高度・長時間飛行が可能な同無人航空機は、「主に日本海や太平洋上空で海上広域捜査(MWAS)を行う。その他、捜索救助、災害対応、海上法執行などの任務が含まれる」という。

北日本の飛行機スポッターからの写真には、海上保安庁のマークと米国の民間登録N467SGをつけたシーガーディアンが写っており、納入前に米国のゼネラル・アトミクス施設で飛行テストに使用された。

GA-ASI社で国際戦略開発担当副社長のロバート・シェフリングは、「シガーディアンはMWASの実施で世界最高峰の資産です。当社は、日本政府の海洋安全保障強化を支援できることを誇りに思います」と述べた。

GA-ASIは2022年4月、海上保安庁が無人航空機取得プログラムにシーガーディアンを選定したと発表していた。選定は、2020年に日本で行われた同機を含む検証試験を受けたものだった。

シーガーディアンが何機発注されたかは不明。

シー・ガーディアンは、逆合成開口レーダーイメージングモードのマルチモード海上表面探査レーダーと、自動識別システム受信機を搭載する。NATOの無人航空機の耐空性規格であるSTANAG-4671に完全準拠しており、民間空域での運用を可能にする衝突回避レーダーも搭載している

 

2022年10月18日、日本の海兵隊岩国航空基地の港に荷揚げされる航空自衛隊に納入されるE-2Dアドバンスドホークアイ。 (Lance Cpl. David Getz/U.S. Marine Corps)

ホークアイは海から納入

一方、航空自衛隊向けのノースロップ・グラマン空中早期警戒機2機が、船で太平洋を横断し、西日本に到着した。

E-2D Advanced Hawkeyesは、米国の対外軍事販売プログラムで日本が13機を発注しており、10月18日に貨物船Ocean Gladiatorで岩国海上戦闘航空基地に隣接する港に到着した。

ホークアイは、海上自衛隊、米海軍、米海兵隊の航空機を運用する岩国航空基地まで陸路で移動する。その後、北日本の三沢に向かう準備をする。

米国防総省のウェブサイト「Defense Visual Information Distribution Service」によると、岩国港は航空基地に併設されており、「海陸間で各種軍事資産をダイナミックに輸送する」ことを可能になっている。

今回の納入で、日本向けE-2Dは5機となった。航空自衛隊は現在、旧式E-2C13機とE-767空中早期警戒機4機を、三沢と浜松で運用している。

E-2Cのうち4機は、沖縄の那覇基地の分遣隊に配属されており、東シナ海で活発化する中国の航空活動を監視するために使用されている。■

Japan starts operations with SeaGuardian drone, receives two Hawkeyes

By Mike Yeo

 Oct 21, 01:29 AM


中国が米国を抜き世界最強国家になる可能性はかなり低い。ここ数年の対中姿勢では中国の実態を捉えた対応が必要だ。

  

China

Image: Screenshot from Chinese State TV.

 

近平国家主席は、最新の中国共産党大会の冒頭で、自身の記録を力強く擁護した。わずかな反対意見にも残忍な弾圧を加えるという彼のプログラムにより、「党が決して質を変えず、色を変えず、味を変えないことを保証する」と述べた。

 要するに、今も昔も独裁者なのだ。

 そして、良いことが待っているとまで言い切った。習近平は中国共産党代表への正式報告をこう締めくくった。「党は過去一世紀にわたる偉大な努力によって、目を見張る成果を上げてきた。我々の新たな努力は、必ずやより素晴らしい成果をもたらすだろう」。

 毛沢東に次ぐ中国最強の指導者である習近平は、中華人民共和国が必ず勝利すると信じているに違いない。しかし、習近平の勝利への期待は時期尚早だ。中国共産党は西側諸国に対する自らの立場を過大評価しており、それが中国を悲惨にさせかねない。

 確かに、中国が世界の主要国になったことは確かだ。しかし、その強さを誇張しないことが重要である。ソ連が粘土であったとすれば、北京ははるかに総合的なパワーを持っているが、中国の素晴らしい国家的建造物は鉄ではなく、むしろ壷の上に築かれている。北京は脆弱で、まだ大国とは言えない。

 しかし、その崩壊が近いとわけではない。課題は無視できない。中国の崩壊が近いと何年も前から予測してきたアナリストがいる。現在、中国の経済的予後と将来的な悪事の能力に関する問題は、研究者を二分している。

 とはいえ、パニックは北京の台頭に対する間違った反応であり、特にその反応は明らかに非自由主義的な政策を奨励する傾向があるため、注意が必要だ。中国にとって、成長の鈍化は避けられない。可能性が高いとは言えないまでも、景気後退はあり得るし、高所得国への飛躍も確実と言えない。長期にわたる停滞の可能性はますます高まっている。実際、中国が米国を上回る経済大国になる確信が持てないという分析もある。

 ポスト毛沢東改革後の中国の目覚しい成長は、資本と労働力という巨大な資源の解放を反映していたが、政治的に重要な雇用を提供したこともあり、非効率な国営企業が存続した。その結果、国営企業は依然として経済の大きな足かせとなっている。習近平政権は、国営企業が経済主体に対する党の支配を再強化するため不可欠なツールであると見なしている。

 商業的な差別や虐待によって、外国人投資家多数は、かつて無限の利益をもたらすと考えられていた市場から足を遠のけている。習近平政権の厳格なCOVIDロックダウン政策の継続、賃金上昇、中国政府による規制、米国の政治的圧力も、各企業に中国を見直すよう促している。全体として、中国に対する米国投資家の信頼は過去最低水準にある。中国からの企業流出はまだ見られないが、将来をにらんだ野心的な計画を立てる可能性は低くなっている。

 中国は多額の負債を抱えており、COVIDのロックダウンが続くことも問題を悪化させている。また、COVIDの締め付けが続くことで、若年層の失業が深刻化し、その影響は若年層だけでなく、家族にも及んでいる。若年労働者には、「横着」で「腐らせる」姿勢をとり、志を低く努力を怠る者が増えている。

 ニューヨーク・タイムズ紙が取材した25歳女性は、「中国の感染症対策が3年目に突入し、国外脱出を考える中国人が、少数ながら増えている。その多くは、上海の中流階級や富裕層の住民で、経済を悪化させ、食料や医薬品の入手を制限した市全体の封鎖によって、2カ月近くも閉じ込められてきた。中には......海外とのつながりがあり、中国の世界への扉が閉ざされつつあることを心配している人もいる。また、政府の検閲や監視が強化され、パンデミックが悪化していることに落胆している人もいる」 。

 中国の不動産バブルは今に始まったことではないが、中国政府が長い間推進してきた、もう一つの重要な経済的弱点である。実際、中国に「ゴーストシティ」があることは有名だ。進行中の危機は、財産の3分の2が不動産である都市部の家計と、多くの不動産購入者が未完済の住宅ローンを支払っているため、中産階級に大きな影響を及ぼしている。一部の購入者が住宅ローンのストライキに参加し、不動産市場をさらに不安定にしている。

 

Xi Jinping

President Kagame and President Xi Jinping of China Joint Press Conference | Kigali, 23 July 2018

 

 衰退は、今後加速する。外交関係評議会Council on Foreign RelationのBrad Setserはこう警告している。「中国の不動産危機は、金融リスクもあるが、最終的には経済成長の危機である。新規不動産の開発と建設が、中国の経済活動の4分の1以上を動かしていると推定されるため、不動産市場の一時的低迷が、経済の長期的な低迷につながるのは想像に難くない」。

 アナリストたちは、不動産崩壊が悪名高い「失われた10年」を生んだ1990年代の日本に中国が似ていると見始めている。国営銀行多数が多額の不良債権を抱えており、不動産市場の低迷で苦境に立たされている。実際、中国規制当局は、問題を抱えたデベロッパーに継続的に融資し、進行中のプロジェクトを完了させるよう銀行に命じており、負担の大きい金融機関をさらに疲弊させている。

 それでも、中国政府の一部には、成長を促進するため金融部門へさらなる干渉を提唱する動きがある。中国人民銀行の顧問Wang Yimingは、「商業的な持続可能性を発展させるためには、もっと多くの金融支援が必要である」と主張している。さらに、「伝統産業を支援する本来の金融モデルは...リスク対応能力を高めるため調整される必要がある」と述べた。結局、損失の拡大になる

 大々的に宣伝されている「一帯一路」構想は、国際的な資金流出を招き、そのほとんどが発展途上国で、多くは権威主義的な政府と国家主義的な経済政策を持つ国へ4000億ドル近い融資が行われている。スリランカは、最も最近の例に過ぎない。中国政府はアフリカの17カ国向け債務救済を発表した。

 最大の問題は、中国の経済政策が政治的になっていることだ。中国の生産性向上は1990年代から低下しており、将来の成長見通しを低下させている。しかし、中国政府は民間企業に対する支配を拡大・強化している。ある規制当局者は、法執行には 「非常に鋭い歯が必要だ」と宣言している。基本的な目的は、政権の政治目標を民間企業に押し付けることだ。中国共産党は、アリババ創業者のジャック・マーをはじめとする起業家の巨人たちを公然と屈服させることで、その範囲を拡大した。習近平はまた、「中国の特色ある」社会主義経済といえども、名目上の所得格差への国民の不満を解消するために、「共同繁栄」、すなわち富の再分配を迫っている。

 経験上、国家の干渉が大きければ大きいほど、経済への悪影響は大きくなる。経済学者のプラナブ・バーンハンは、本質的な脅威を指摘している。

 「中国が不利なのは、自由な精神、批判的思考、既存の組織や手法への挑戦、適合性より多様性を奨励できる開放的なシステムの不在だ-創造的革新に必要な要素である。アリババやテンセントなど、世界的に成功を収めている民間の大型技術系企業への国家による推進・指導の現状は、このような観点から検討する価値があると思える。一方では、国家は各社が『国家チャンピオン』になることを望み、他方では、各社が政府の管理、監督、監視の範囲から外れるほど自律的に強力になることは望んでいない」。

 また中国は人口動態の崖に向かっている。予測よりもずっと早く、人口がピークを迎えている。人口が減少し、今世紀末には生産年齢人口が3分の2に減少する可能性があるため、中国が経済的に米国を凌駕することはできないかもしれない。アメリカよりはるかに貧しい中国は、豊かになる前に急速に高齢化している。それが中国の永遠のステータスになるかもしれない。また、農村部住民に女児の堕胎や殺害を奨励した悪名高い「一人っ子政策」の結果、急速な高齢化の一方で、女性不足に悩まされている。

 

 

China

Chinese President Xi Jinping. Image Credit: CCP.

 

 経済成長が鈍化すれば、一人っ子で両親や祖父母を養うことはますます難しくなり、中国は高齢化社会の出費をまかなえなくなる。中国共産党員は3人の子供を持つようにという恥ずかしい呼びかけを含む中国の代償政策は、達成できそうにない。フォーブスのコラムニスト、ミルトン・エズラティは次のように指摘する。

「国連の推計によれば、2040年までに中国の労働人口の絶対数は10%減少し、退職者人口は約50%増加する。その結果、成人1人につき3人の労働者が必要になる。この3人の労働者は、自分自身の消費と他の扶養家族の消費、さらに退職者のニーズの3分の1をまかなう生産をしなければならない。経済の柔軟性はほとんど失われ、限られた人的資源が将来への投資能力を制約することになるだろう」。

 中国政府は長い間、少なくとも毛沢東の狂気と破壊と殺戮の支配が終わった後は、自分たちのシステムは有能で柔軟な統治を提供すると主張してきた。中国の駐米大使、秦剛は自国の政治体制を擁護している。「人民の切実な関心事に関わることは、広範で十分な協議と議論が行われた上で決定される。政策や施策は、国民が望んでいること、国民のニーズに応えるものであるというコンセンサスが得られて初めて導入される。中国では全過程民主主義が機能し、非常にうまく機能していることが証明されている」。

 しかし、習近平の指導スタイルは、こうした利点と矛盾している。習近平は、自分の判断に疑問を持つ者を排除してきた。国政に権力を集中させ、情報の流れを制限し、地方や地域のイニシアティブを阻害する。

 今年に入り、米中経済安全保障委員会での証言で、中国の政策の影響を否定的に評価する学者が何人も出てきた。例えば、サンディエゴ大学のビクター・チョン・シーは、「(習近平)周辺の当局者による情報操作は、政策の誤りを招く可能性がある」と予測した。

 ミドルベリー大学のジェシカ・ティーツは、「中央集権化によって、政策実験で地方の裁量が減少し、地方に適応しない硬直した政策実施、地方公務員の士気低下も起きている」と警告し、その結果「長期のイノベーションと市民の関与が失われる 」と指摘している。

 この制度は、国際的な領域でも不十分である。習近平は外交の手段として対立を過大評価している。この失敗は、「群狼」とCOVID-19外交の両方に表れており、これまでのところ、国際的に失敗している。

 

Communism

Chinese President Xi Jinping with the first lady during the Moscow Victory Day Parade on 9 May 2015.

 

 さらに、前述したように、漢民族優越主義を信奉する中国には同盟国や真の友人がない。貿易・投資や一帯一路は、一部政府には一時的に好感を持たれるかもしれないが、北京の「利権を握る」姿勢が仇となった。ミャンマーの軍部タトマダーでさえ、10年前に半民主主義の実験を開始した際、中国の厳しい抱擁から逃れようとしたが、昨年、新たなクーデターが発生し、その実験が打ち切られた。

 最後に、中国の統治過程が不透明なままで、中央集権化が進み、習近平が高揚していることは、政治的なリスクをはらんでいる。すでに、経済規制の強化やCOVIDの制限による経済的影響について、潜在的な不和、あるいは懸念が指摘されている。内部での議論は依然不透明なままで、習近平は悪い知らせを伝えるため他人を利用している可能性がある。経済的に重大なマイナス要因があり、それが政治的な問題を引き起こす可能性がある。政治問題が進行しているという主張は誇張されているように見えるが、困難が続けば習近平の権威を失墜させかねない。習近平はどこにでもいる人間であるため、失敗の責任を回避することはできないし、不手際につけ込もうとする敵も少なくない。

 実際、国民の反発は、少なくとも一部中国人が中国共産党は繁栄と安全保障という本質的な任務に失敗していると考えていると示唆している。

 北京在住の作家ヘレン・ガオは最近、以下指摘した。「国民の怒りの異常な噴出は、党が約束を守らないからというだけでなく、最近の困難の多くが、党の不規則で無謀な政策の産物であるためだ」。

 政権の残忍な治安維持装置が組織的な抵抗を阻んでいるが、中国の困難がすぐにでも緩和される根拠はほとんどない。経済の停滞、不動産価値の暴落、COVIDの継続的な取り締まりは、さらに広範な怒りを煽り、予測不可能な結果をもたらすだろう。

 もちろん、中国の弱さは他国民や他国への危険を排除するものではない。中国がピークに達した場合、あるいは少なくともアメリカとの距離を縮める場合、中国共産党の高位者はより積極的に、軍事的に反応する可能性があると指摘するアナリストもいる。これは、レーガン大統領がソ連を「脆弱性の窓」と呼んだのと同じ状況を示唆している。

 皮肉なことに、このような見方は、米国はじめとする比較的自由な社会にとって、より長期的な安心感をもたらす。つまり、北京が有利になる機会は限定的で、中国共産党は短期的な問題である。いずれにせよ、アメリカは、今後数年間、中国との競争において、恐怖のかわりに確信を持って進むべきであろう。■

 

China May Never Become a Superpower - 19FortyFive

ByDoug Bandow

 

Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is author of Foreign Follies: America’s New Global Empire. He is a 19FortyFive Contributing Editor. 

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2022年10月21日金曜日

B-21のロールアウトは12月2日に決定、契約交付から7年での完成は「第六世代機」として驚きだ。

 



B-21 in Ellsworth AFB hangar

A rendering of the still-to-be unveiled B-21 Raider. (US Air Force)


B-21の実機はこれまで公にされていない

空軍はついに、秘密裏に開発を進めてきたB-21レイダーのロールアウト日程を決定し、ノースロップ・グラマンが本日、新型ステルス爆撃機を12月2日に発表すると明らかにした。

ノースロップはツイッターで発表し、爆撃機の宣伝でよく使われる白いシーツに隠された機体を紹介するドラマチックなビデオで「世界初の第6世代航空機を公開する」と約束した。

このイベントは、B-21を製造するカリフォーニア州パームデールにあるノースロップ・グラマン施設で行われる。本日午後、ペンタゴンでのブリーフィングで、ペンタゴン報道官のパット・ライダー准将は、ノースロップがこのイベントの招待客リストの決定と招待状の配送を担当すると明らかにした。

「前回米国が新型爆撃機を導入したのは30年以上前だ。「B-21レイダーは、将来の高度な競争環境において、各種作戦に投入できる強力な戦闘能力を我が国に提供する」。

新型機のロールアウトは、防衛専門誌の世界以外では通常大きなニュースにはならないが、B-21の公開は、ペンタゴン指導者が出席し、米国民の関心を呼ぶ一世代に一度のイベントであることはたしかだ。

B-21では、空軍やノースロップ・グラマンがイメージ図を公開しているが、重要な設計上の特徴を秘匿するため慎重に作成されたものだ。実機は一度も公開されたことがない。

先月、空軍の調達担当幹部アンドリュー・ハンターは、12月の第1週にロールアウトが行われると確認した。その後のニュースリリースでノースロップは、イベントはB-21の「独占的な眺め」を提供すると述べた。つまり、新型爆撃機を直接見ることができる幸運な人々は、特定の角度からしか見ることができないかもしれず、空軍とノースロップは見物人が同機設計で秘密情報を得ることを防げる、とほのめかした。

同爆撃機は極秘扱いのため、多くの詳細はまだ秘密のままである。

2015年にノースロップがボーイング=ロッキード・マーチンのチームを抑え長距離打撃爆撃機の契約を獲得したとき、空軍当局は、同機の開発はコストプラス・インセンティブ料金契約で行われ、その後の生産は固定価格契約になると確認した。開発段階での費用は2010年ドル価格で214億ドル、B-21の1機あたりの平均費用は2010ドル価格で5億5000万ドル以下と予測されていた。しかし、国防総省は同機プログラムに関連する実際のコストデータの公開を厳しく制限している。

これまでのところ、ノースロップは6機のB-21を生産しており、2023年に初飛行を予定していると明らかにしている。3月、当時のRapid Capabilities OfficeディレクターRandall WaldenはAir Force Magazineに、B-21爆撃機の1機目が生産ラインから校正施設に移動し、そこで機体構造が空軍の要求を満たしているかどうかのテストを受けると述べた。

「着陸装置もある。車輪もついている。翼がある。本当に爆撃機のように見える」とウォルデンは同誌に語った。

空軍は2023年度にB-21に50億ドル(調達資金17億ドルを含む)を要求しているが、何機の爆撃機を購入するかは明らかにしない。空軍は少なくとも100機のB-21を購入する予定だ。

サウスダコタ州のエルズワース空軍基地が最初のB-21運用基地になる予定で、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地とテキサス州のダイス空軍基地がそれに続くと見られる。■


The Air Force has finally set a date to reveal the enigmatic B-21 bomber - Breaking Defense


By   VALERIE INSINNA

on October 20, 2022


ロシア機が英スパイ機にミサイルを「誤射」していた。9月、黒海上空で。

 

 

Russian Su-27 Released Missile During Intercept Of British RC-135 Spy Plane

Crown Copyright

 

 

この事件を受け英空軍のRC-135は、黒海上空の任務にタイフーン戦闘機で護衛されるようになった

 

国防省は、ロシアのSu-27フランカーが英国空軍のRC-135Wリベットジョイント電子偵察機と遭遇し、ミサイルを「発射」したと明らかにした。この事件は、ロシア軍とNATOの間で緊張が高まる黒海上空で発生し、過去には英軍艦が接近遭遇したこともある。しかし、ミサイルが誤って発射されたかどうかにかかわらず、致命的なエスカレーションにつながった可能性は考えられる。いずれにせよ、英空軍のRC-135は、この事件の結果、黒海上空を飛行する際にタイフーン戦闘機に護衛されることになった。

 

 

NATOの同盟国との演習から戻り、イギリスのワディントン空軍に着陸する第51飛行隊のRC-135Wリベット・ジョイント(シリアルZZ664)。9月29日に黒海で発生した事件の関係機と思われる。Crown Copyright


ベン・ウォレス国防大臣は本日、下院で9月29日に黒海上空の国際空域で発生した事件の詳細を説明した。しかし、この事件の多くは依然不明である。「発射された」という言葉は、ミサイルがレールからきれいに発射されたのか、それとも何らかの方法で発射され、誘導も動力もないまま落下したのか、わからないことを意味する。

ウォレスは、この事件で「非武装のRAF RC-135 Rivet Joint」は、イギリスのワディントン空軍基地から飛行し、ロシアのSu-27の2機と合計約90分間「相互作用」したと説明した。国際空域でのこの種の飛行ではごく普通の手順だ。しかし、うちの1機が「リベットジョイント付近で目視範囲を越えてミサイルを発射した」。

 この最後の点の表現も少し不思議で、大臣が目視範囲を超えたミサイルの発射を説明しているのか、それともRC-135Wとの関係で目視範囲を超えたミサイルが発射されたのか、あるいはその両方なのかが不明だ。

 

 

RC-135W リベットジョイントに関する英国空軍の公式ファクトシート。Crown Copyright


英国防相は、RC-135Wとその乗員がどの程度危険にさらされていたのかについても、明らかにできないが、「潜在的に危険な交戦」と烙印を押している。同時に、「意図的なエスカレーション」とは考えられないと述べており、他の可能性を軽視しているようだ。

 米空軍が飛ばすリベット・ジョイントは、極めて強力な電子・信号情報収集プラットフォームだ。レーダーなどの各種信号発信機の種類や位置などの情報を吸い上げ、敵対国や潜在的な敵対国の防空、指揮統制などの能力を詳細に示す電子戦闘指令を構築するのに役立つような装備が施されている。また、通信傍受も行う。そのため、黒海やクリミア半島などにおけるロシア活動を監視する重要な役割を担っている。

 ミサイルの種類は明らかにされていない。もしロシア機がSu-27(より近代的なフランカーではなく)であれば、旧式の空対空兵器、主にセミアクティブ・レーダーまたは赤外線誘導による中・長距離型のR-27(AA-10アラモ)ファミリー、および赤外線シーカーによる短距離型のR-73(AA-11アーチャー)だけであることはほぼ間違いない。

 

 

2014年6月、バルト海上空の国際空域で、RAFタイフーンから離れるロシアのSu-27フランカーがバンクする。このロシアの戦闘機は、レーダーと赤外線誘導のR-27とヒートシーキングのR-73空対空ミサイルを搭載している。Crown Copyright

しかし、このミサイルが実際にモーターを作動させたかどうかはわからない。しかし、モーターと弾頭を搭載していたことはほぼ間違いないだろう。もしそうであれば、たとえ意図せず発射されたとしても、これらの兵器はRC-135Wを空から打ち落としていた可能性がある。

 ロシアが英国に説明したのは、この最後の一線だ。

 ウォレス国防相によると、ロシアはミサイル発射を「技術的な不具合」と説明した。前代未聞ではないが、これまでの偶発的なミサイル発射の事件は、技術的な問題ではなく、パイロットのエラーによるものである傾向がある。

 英国防相は次のように述べた。「こちらの分析では故障だった」。

 現段階では、RC-135W乗員がどのようにミサイルの発射を知らせたのか、あるいはその時気づいていたのかどうかもわからない。

 RC-135Wは任務を終え、無事に基地に帰還した。    Flightradar24のデータによると、問題のリベットジョイントはシリアル番号ZZ664で、ミッション時間は10時間30分であった。

 ウォレスは、「懸念は、ロシア国防大臣(セルゲイ・ショイグ)とモスクワの国防参謀長に直接伝えた」と述べた。さらに、「書簡の中で、該当機が非武装で、国際空域を飛行し、事前通知した飛行経路をたどっていたとを明らかにした。ロシア政府から回答があるまで、パトロールを中断することが賢明であると考えた」。

 「10月10日のロシア国防相の回答では、事故の状況について調査を行ったとし、Su-27戦闘機の技術的な不具合であったと述べている。また、事件は国際空域で起きたことを認めている」。

 英国国防省がこの事故について報告した後、RC-135Wによる定期パトロールは、タイフーン戦闘機による護衛付きで再開すると決定された。リベットジョイントと一緒にこの戦闘機がいることは、ここ数日、フライトトラッキングサイトで注目され始めていた。

 ウォレスはまた、この事件に関する情報がイギリスの同盟国と共有されていると認めたが、どのような対策をとったかは不明だ。

 「我々はロシアが今回の事件が国際空域で発生したと認めたことを歓迎し、英国は2019年以降、黒海上の国際空域でRAF リベットジョイントによる定期的なミッションを行っており、今後もそうする」。

 英国防相は、ロシアの軍事活動に関しても警戒の言葉を発し、同国軍が 「ルールは適用されない」と判断するのは 「認められない」と指摘した。

 ミサイル発射が偶発的なものであったことにモスクワとロシアが(少なくとも公の場では)同意しているようだが、Su-27は特に黒海上空で大胆かつ時に危険な迎撃している。

 2020年、Su-27は米空軍のB-52Hに接近し、「ドカーン」または「ヘッドバット」と呼ばれる作戦を、やはり国際空域で実行した。この事件のビデオクリップには、信じられないほどの至近距離でB-52の機首の真正面で、フランカーが同じような操縦をしている様子が映っている。言うまでもなく、国防総省はロシアの行動を非常に厳しく見ている。

 最近では、イギリスも黒海でロシア軍とやりあっていた。昨年6月、英国防省は、黒海を航行中の英国海軍45型駆逐艦「ディフェンダー」に、ロシア軍と国内治安部隊が攻撃的行動を取ったとするロシアの主張を全面否定した。

 ロシア国防省の当初の報道では、ロシア国境警備隊の艦艇とSu-24フェンサー戦闘機が英艦に威嚇射撃を行い、後者が英軍艦の進路上に高爆発性爆弾4個を投下したとされた。後に公開された映像では、ロシア船が発砲しているが、その時ディフェンダーは相当離れたところにいた。

 2014年にロシアがクリミア半島を併合したことをきっかけに、この地域は緊張状態にあった。イギリスは、クリミアに対するロシアの主張を認めていない。2月にクレムリンがウクライナに本格侵攻して以来、クリミアの戦略的重要性は増すばかりだ。実際、リベットジョイントの事故に巻き込まれたSu-27はクリミアで運用されていた可能性が高い。クリミアにはサキなど空軍基地があり、8月に爆発が起き少なくとも10機のロシア海軍機が損傷または破壊された。

 今回の事件は、ロシア軍とNATO同盟国との間でエスカレートする可能性が極めて高く、ウクライナ戦争が続く限りそうなり続ける事実を、劇的に思い起こさせてくれた。今回のミサイル誤作動は、重大な誤算や判断ミスの可能性を高める。

 事件の詳細を英国防省に問い合わせたが、安全保障上の理由で、国防相のコメント以上の情報はないと言われた。詳細が判明した場合には、記事を更新する。■

 

 

Russian Su-27 Released Missile During Intercept Of British RC-135 Spy Plane

 

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 20, 2022 12:20 PM

THE WAR ZONE



2022年上半期のスクランブル回数増加に空母遼寧の活動が寄与していた。統合幕僚監部発表より。

 


2022年5月20日、中国空母「遼寧」(16)から離陸する人民解放軍海軍の空母戦闘機J-15。Japanese MoD Photo

衛省によると、4月から9月の半年間で、航空自衛隊は中国とロシアからの威嚇機を迎撃するため計446回スクランブルをかけた。

迎撃機の多くは、人民解放軍海軍航空母艦CNS遼寧(16)の航空団に所属機だった。

防衛省統合幕僚監部(JSO)が1日発表した2022年度上半期の航空自衛隊の戦闘機スクランブル回数446回で、これに対し前年同期は390回だった。

スクランブルの大部分は中国機が対象で、全体の76%にあたる340回だった。2022年度上半期の中国機へのスクランブルも、前年同時期の合計281回から59回増加した。

航空自衛隊の迎撃を促した中国とロシアの戦闘機の飛行経路。Japanese MoD Image

浜田靖一防衛大臣は先週の記者会見で、中国機に対するスクランブルの回数は近年と比べ増加し、防衛省は今後も中国機の活動を注意深く監視していくと述べた。

2022年度上半期のスクランブル回数中でロシア機は95回で、2021年度上半期の合計102回から減少、2022年度上半期の残りの11回はその他としてまとめられ、詳細は不明。

リリースの付録では、航空自衛隊の航空機がスクランブルを起こした事象がある具体的な事案を20日分挙げている。そのうち11日は、5月3日から5月15日にかけ遼寧から発進したJ-15戦闘機に対応するスクランブルだった。遼寧空母打撃群はこの時期、日本周辺で訓練を実施し、当時の岸信夫防衛相は、遼寧からの戦闘機やヘリコプターが日本周辺で100回以上発艦したと述べている。同空母は当時、台湾に近い係争中の尖閣諸島付近で主に活動していた。

ロシア事案の掲載は2日間だけだった。うち1日は5月24日で、中国のH-6爆撃機4機とロシアのTu-95爆撃機2機による露中共同爆撃機飛行が日本海から東シナ海を経て太平洋に飛び、同じ経路で戻ってきた。同日、ロシアのIL-20偵察機が日本海上空を飛行した。2回目は6月7日で、推定4機のロシア機が日本海上空を飛行した。残りの7日間は、中国の爆撃機、偵察機、ドローンの飛行が混在していた。

2021年12月配備の中国空母「遼寧」(16)から離陸する人民解放軍海軍のJ-15空母戦闘機 PLAN Photo

JSO発表によると、2022年度上半期の航空自衛隊の航空地区ごとのスクランブルの内訳は、北部航空地区が70件、中部航空地区が9件、西部航空地区が58件、南西部航空地区が309件だった。中国とロシアの航空機の飛行パターンを示した地図では、中国機は主に西南日本周辺、日本が管理する係争中の尖閣諸島付近、宮古海峡を飛行し、ロシア機は日本の北方、日本海沿い、南西、宮古海峡を飛行していることが示された。

ロシアと中国の艦船は先週、日本の海峡を通過し、JSOは宮古島の北105マイルの海域で10月10日にPLANの駆逐艦が南下するのを目撃したとのニュースリリースを発表した。日本はそのPLANの艦船をCNS太原 Taiyuan (131)と確認した。同駆逐艦はその後、宮古海峡を南東に航行し、太平洋に出た。海上自衛隊の駆逐艦「いなづま」(DD-105)、補給艦「おうみ」(AOE-426)、海上自衛隊鹿屋基地所属の第1航空団所属のP-1海上哨戒機、那覇基地第5航空団所属の P-3C オライオンMPAがPLAN艦艇を追尾したと発表された。

金曜日にJSO発表のニュースリリースでは、ロシアのコルベットとゴーリン級タグボートが宗谷岬東 100マイルの海域を西に航行しているのを目撃している。艦番号と画像から、コルベットは RFS MPK-82 (375)と判明した。ロシア艦2隻はその後、宗谷海峡を西進し、海上自衛隊の高速艇「くまたか」(PG-827)と海上自衛隊八戸基地所属の第2航空団のP-3Cオライオンが監視した。■

Chinese Aircraft Carrier Deployment Prompted Record Japanese Fighter Scrambles - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

October 17, 2022 4:33 PM


About Dzirhan Mahadzir

Dzirhan Mahadzir is a freelance defense journalist and analyst based in Kuala Lumpur Malaysia. Among the publications he has written for and currently writes for since 1998 includes Defence Review Asia, Jane’s Defence Weekly, Navy International, International Defence Review, Asian Defence Journal, Defence Helicopter, Asian Military Review and the Asia-Pacific Defence Reporter