2024年6月25日火曜日

東アジア東南アジアで潜水艦の調達が加速中。各国別の状況をまとめてみた。だが、そもそも潜水艦を求める動きの背景の理由とは

 Breaking Defenseがアジア太平洋地区での潜水艦調達のブームを短くまとめています。もっとなっているのが中国の軍拡であることに注目すべきでしょう。潜水艦運用は選択肢としては魅力的ですが、運用には相当のレベルの技術と経験が必要ですので、一部国にとってはハードルが高いと言わざるを得ません。この動きがあと20年後にどんな結果を生んでいるかが楽しみですね



Taiwan Unveils First Domestic Submarine to Fend Off China

2023年9月28日木曜日、台湾・高雄のCSBC Corp.で行われたイベントで公開された台湾海軍のハイクン潜水艦。台湾は、中国による侵略を食い止める準備として、自国建造で初の潜水艦を公開した。(I-Hwa Cheng/Bloomberg via Getty Images)




今年、新しい潜水艦を進水させる地域内の同盟国がある一方で、購入計画を立てている同盟国もある


国の潜水艦艦隊の増強やAUKUSの議論が長引く中、東アジア諸国が潜水艦への投資を続けている。地域で緊張が高まる中、ライバルに対抗し、自国の国益を守るため、潜水艦を増設したり、取得する動き我見k著だ。

 こうした計画の多くは以前から動き出していたが、東アジアの安全保障の見通しが悪化するにつれ、その関心は強まるばかりだ。北東アジアと東南アジアによる大規模な投資によって、この地域は「海底戦争開発の温床」となっていると、国際戦略研究所(IISS)は2月に発表した最新の軍事バランス報告書で述べている。

 世界最大の群島国が存在するこの地域では、潜水艦はシーレーンの制海権と防衛に役立つため、特別な関心を集めている。差別化を図る海軍にとって、潜水艦は威信の問題であったり、近隣諸国と歩調を合わせる手段であったりする。IISSの報告書によれば、この地域のある国々は「既存の能力を向上させるため」に、また「政治的な不確実性に対する保険として、海軍の海中兵力を増強するため」に、新たな潜水艦を望んでいる国もある。これらの国が運用している、あるいは建造している潜水艦の能力はさまざまだが、海へのアクセスによって定義される地域において、これらは大きな意味を持つ増強である。

 北東アジアでは、アメリカの最も親密なパートナー数カ国が、先進的な潜水艦を海に投入している。その中で最も注目を集めたのは、台湾初のハイクン級潜水艦だ。2月下旬の海上公試開始まで港湾受け入れ試験が行われた。今年後半に台湾海軍に引き渡され、2025年に就役する予定だ。

 ハイクンは台湾初の国産潜水艦で、中国がサプライヤーを威嚇したために何年もかけて建造された。2027年までにもう1隻建造し、合計8隻建造を目指している。(台湾は現在、1980年代にオランダが建造した潜水艦2隻と、第二次世界大戦時にアメリカが建造した潜水艦2隻を保有している)。

 ディーゼルエレクトリックのハイクンは魚雷発射管を6基持ち、米国が設計したMk48魚雷とハープーン対艦ミサイルを発射できる。これらの武器は、米国製の戦闘システムやセンサーと対になっている。政府関係者は、戦争が勃発した場合に台湾を包囲することが確実な中国の軍艦を撃沈できるかを重視する台湾の意向を反映し、後のモデルは潜水艦発射対艦ミサイルを搭載する可能性があると述べている。

 3月上旬、日本は最新の「たいげい」型ディーゼル電気攻撃潜水艦、3番艦「じんげい」を就役させた。日本は2020年以降、毎年「たいげい」級潜水艦を進水させている。これは日本の造船能力を証明するものであり、22隻の潜水艦を維持しながら、比較的短い耐用年数で潜水艦を退役させることを可能にしている。初代「たいげい」は、「じんげい」が導入されたのと同日に試験潜水艦に転用された。


Japan Maritime Self-Defence Force Commemorates 70th Anniversary

2022年11月6日、横須賀沖の相模湾で行われた海上自衛隊創設70周年記念国際艦隊観閲式に参加する海上自衛隊うずしお型潜水艦。(加藤一生 - Pool/Getty Images)


 日本の新型潜水艦は、第二次世界大戦以降に建造された潜水艦の中で最大であり、よりステルス性の高い設計や優れたセンサー、ハープーン対艦ミサイルも発射可能な6連装魚雷発射管など、多くの改良が施されている。前の「そうりゅう」クラスの最後の2隻と同様に、「たいげい」クラスの潜水艦はリチウムイオン電池を搭載している。リチウムイオン電池は、従来の鉛蓄電池より耐久性が長く、充電速度が速く、より大きな加速が可能だ。リチウムイオンバッテリーは価格も高く、安全に使用するのは難しい。

 この10年間に数隻のたいげい級が建造されるが、川崎重工業はすでに次のクラスのディーゼル電気潜水艦に取り組んでいる。2022年12月に発表された日本の防衛力整備計画によると、これらの潜水艦には、日本の新しいスタンドオフ・ミサイル用の垂直発射システムが搭載される見込みだ。

 韓国もまた、数十年にわたり潜水艦の拡張を今年も続け、4月に最新のディーゼル電気攻撃型潜水艦、韓国海軍新型潜水艦「シン・チェホ」を進水させた。この潜水艦は土山安昌浩(アン・チャンホ)級第1バッチの3番目で最後の潜水艦であり、今後さらに2つのバッチで3隻の建造が予定されている。(このクラスは、1990年代から攻撃型潜水艦を製造してきたプログラムの第3段階であり、ソウルは20隻以上の潜水艦を保有することになる)。

 バッチI潜水艦は3,300トンを超える韓国最大の潜水艦で、国産の燃料電池と空気非依存型推進システムの組み合わせなど、多くの先進機能を備える。特筆すべきは、各潜水艦が6基の垂直発射管を持ち、弾道ミサイルを搭載することだ。

 以上3国(3カ国ともアメリカと緊密に連携している)の理由は、近くの脅威から自国の領土を守るという点で似ている。

 巡航ミサイルよりも速く目標に到達でき、一般に陸上ミサイルよりも生存性が高い、ソウルの準弾道ミサイルの開発は、北朝鮮の攻撃を先制したり、対応できるようにすることへの懸念を反映している。平壌は核兵器を急速に拡大し、ミサイル能力を向上させてきた。

 北朝鮮と中国に対する同様の懸念が、日本が敵のミサイル発射施設や海軍部隊を攻撃できるスタンドオフ巡航ミサイルを取得する動機となった。横須賀アジア太平洋研究会議のネットワーク・コーディネーターであるベンジャミン・ブランディンは、「日本の軍隊は依然として自衛に重点を置いている。日本の潜水艦は第1列島線に沿ってパトロールし、中国の潜水艦や水上艦に対して事実上の領域拒否を行うだろう」と言い、「台湾や南シナ海をめぐる米中間の高強度の直接対決」では、日本は領海を現在の3カイリ制限を超えて拡張し、「中国船の通行を拒否する」可能性があると付け加えた。

 台湾も潜水艦を使い中国海軍の作戦を妨害したいだろうが、台湾の他の多額の防衛費獲得と同様、台湾が直面する脅威に対する潜水艦の適合性には疑問がある。批評家たちは、潜水艦は乏しい国防費を食いつぶし、海軍を拡大し対潜水艦戦能力を向上させている中国との紛争では長続きしないと言う。推進派は、潜水艦には抑止効果があり、台湾海峡周辺での中国の海軍活動を混乱させ、台湾東海岸の港の封鎖を防ぐのに役立つと言う。


シーレーンと威信

東南アジアの海軍も新型潜水艦を追求し続けているが、今年1隻を実戦投入したのはシンガポールだけだ。シンガポールは4月にドイツで、インヴィンシブル級ディーゼル電気潜水艦の最後となる4番艦「イニミタブル」を進水させた。同クラスの他の3隻は2019年と2022年にドイツで進水したが、シンガポールに到着したのは1隻のみで、今年後半に予定されている就役に向けて海上試験が行われている。

 新型潜水艦4隻は2028年までに就役する予定で、シンガポールの老朽化したチャレンジャー級とアーチャー級の潜水艦4隻を置き換えることになる。これらの潜水艦はそれぞれ1960年代と1980年代にスウェーデンが建造されたもので、取得時にシンガポール向けに改造されたが、インヴィンシブル級は都市国家周辺の暖かく、浅く、混雑した海域で活動するために特注されている。

 シンガポールによると、新型潜水艦は「高度な自動化システムと独自開発の感知システム」を搭載し、より優れた状況認識と対応能力を可能にする。また、燃料電池を動力源とする空気に依存しない推進システムにより、アーチャー級潜水艦より「約50%長く潜水状態を維持できる」という。新型潜水艦は「広範な任務用ペイロードを搭載」し、8基の魚雷発射管は大型魚雷含む各種兵器を運用することができるだろう。

 この地域の他のいくつかの国々が、今年、新型潜水艦に向けて大きな一歩を踏み出した。


Submarine christening for Singapore in Kiel

218SG型潜水艦はHowaldtswerke-Deutsche Werft AG造船所にある。イニミタブル」と命名され、ティッセンクルップ・マリン・システムズがシンガポール共和国向けに建造した4隻の218SG型潜水艦の最後の1隻となる。(Marcus Brandt/picture alliance via Getty Images)


 2月、フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領は、対外的な脅威に対する防衛へのシフトの中で、海上および航空資産に重点を置く同国の軍事近代化計画の次の段階として、潜水艦購入を承認した。マニラは潜水艦を購入する計画だが、同国海軍はこれまで潜水艦を運用したことがないため、潜水艦を効果的に使用・維持できるまでには、何年もの投資と訓練が必要になる。

 インドネシアは3月、フランスのナバルグループと、インドネシアで建造されるディーゼル電気攻撃型潜水艦スコルペーヌ改良型2隻の契約に調印した。この潜水艦は洋上および浅瀬での作戦用に設計されており、リチウムイオン電池、ミサイル発射も可能な魚雷発射管6基、乗組員の人数を減らす「運用自律性」を備えている、と同社は契約締結時に述べている。インドネシアは、2017年から2021年の間に就役した3隻のナガパサ級潜水艦と、40年以上前に建造されたカクラ級潜水艦の計4隻の潜水艦を保有しており、少なくとも10隻を目指している。

 タイでは、新型潜水艦を建造するための10年にわたる努力が5月にハードルをクリアしたが、まだ数年の作業が必要だ。バンコクは1990年代半ばに新しい潜水艦を探し始め(1951年に最後の潜水艦を退役させた)、最終的に2015年に中国の元級潜水艦を選択した。最大3隻のうちの1隻目の契約は2017年に結ばれた。建造は2018年9月に開始され、2023年までに引き渡される予定だ。

 この契約は当初から不評で、その理由は費用がかかることと、実用的な理由よりもむしろ政治的な理由で結ばれたという認識のためだった。タイは長くアメリカの同盟国であったが、軍事政権が、海軍が好むヨーロッパ設計の艦ではなく、中国艦を購入する決定を下したことは、2014年のタイの軍事クーデターを批判したワシントンへの反撃と見なされた。契約はまた、軍事政権下で拡大した中タイ関係の深化を反映したものであり、現在のタイにとって経済的に大きな意味を持っている。

 批判にもかかわらず、タイ政府は協定を推進してきた。しかし、ドイツ製のエンジンを潜水艦に搭載することが条件であり、ベルリンが中国に売却しないため、何度も延期された。タイと中国はこの問題で何年も揉め、昨年、潜水艦を中国製のフリゲート艦と交換することになったが、5月には代わりに中国製のエンジンを潜水艦に搭載することで合意した。タイ国防相は、新しい取り決めを最終決定するにはまだ1、2ヶ月かかると述べ、政府はその変更を承認しなければならないが、タイ海軍司令官は同艦が3年以内に引き渡されることを期待している。

 東南アジアが潜水艦を追求するのは長期的な傾向で、マレーシアは2009年と2010年に2隻のスコーペーン級を、ベトナムは2014年から2017年にかけて6隻のロシア製キロ級潜水艦を受領している。

 これらの国の中には、直接の脅威に対応して潜水艦を求めた国もある。フィリピンとベトナムは、「潜水艦を求める動機として、(南シナ海における)中国に対する古典的な脅威認識を抱いている可能性が最も高い」との解説がある。

 その他の国々は、より一般的な懸念や、場合によっては威信が動機となっている。シンガポールの政府関係者は、新型潜水艦はシーレーンを確保し、「シンガポールの海へのアクセスを確保する」という「重要な任務」のための「戦略的資産」だと述べている。タイでは、自国の海域を防衛する必要性と同時に、近隣諸国の艦隊の成長に追いつきたいという願望があるとしている。

 潜水艦部隊を新設したり、既存の戦力を拡大する東南アジア諸国のほとんどは、地政学的な不確実性の中での不安感、つまり保険としての潜水艦、そして "ジョーンズに追いつけ追い越せ"という願望が主な動機となっているようだ」との声もある。■



Across the Indo-Pacific, militaries scramble to put more submarines in the water - Breaking Defense

By   CHRISTOPHER WOODY


2024年6月24日月曜日

中国が「ドローン空母」艦艇を建造中でテストに使用? PLAの「学習」マインドを示すものと注目する アナリスト

中国は新興勢力であり、これまでの実績の延長にとらわれず、自由な発想が可能なのでしょう。空母に関しても超大型空母の概念から離れられない米国と違い、とんでもない装備が出現してもおかしくないわけです。一方で、米国のデッドコピーのような大型空母の建造も進めているのですが、これは色々試すと云う精神のあらわれなのでしょう。とはいえ、こうした観測記事で逆に米国に新しい発想をまきおこそうという意図もあるのかもしれません。Breaking Defense記事からご紹介しましょう。

(Photo by Feng Li/Getty Images)

Chinese president Xi Jinping and a PLA Navy honor guard await the King of Bahrain (Photo by Feng Li/Getty Images)



その通りなら、習近平国家主席と部下は、「柔軟で革新的な真の能力を示している」ことになる。革新が全部成功する保証はないが、挑戦する意欲が重要だ」と中国の防衛専門家ディーン・チェンは語る



国がドローン専用と見られる小型空母を上海江蘇造船所で建造している可能性がある。

 同艦は、ミッチェル航空宇宙研究所の上級研究員で元米海軍情報将校のジョン・マイケル・ダームの分析に基づくNaval News報道で今週明らかになった。双胴船で、どんな種類の空母にも似ていない。ダームは本誌へEメールで、同艦が「完成して運用されるまでは、おそらく真の目的はわからないだろう」と認めている。

 しかし彼はまた、もし同艦がドローン空母であれば、「PLAN『青軍』は、これまで我々が船から発進させてきたヘリコプタードローンの代わりに、固定翼ドローンを海上で発射・回収できるようになる」と述べた。同艦は、「固定翼ドローンの運用試験と評価に貢献するかもしれない。これは、最終的に中国の新型075型ユーシェン級強襲揚陸艦にドローンを搭載するのをサポートするかもしれない」と述べた。

 ダームは、中国では「PLAは "赤 "部隊であり、"敵 "または反対勢力は "青"部隊である」と説明した。つまり、実験やテストに使用されるということだろう。

 外国の軍隊を監視する役割を担う国防情報局からは、本誌記事の発表時点で、コメントは得られなかった。

 中国軍の専門家ディーン・チェンは、本誌の取材に対し、「ドローン空母かどうかはわからない」としながらも、仮にそうだとすれば、「PLAが学習する組織であることを改めて思い知らされる」と述べた。それは、権威主義的なPLAを連想させるものではない。

 「PLAは、PLA戦略支援部隊を創設することを選び、多くの官僚権力を怒らせ、戦わせることになった」と彼は電子メールで語った。

 米国平和研究所の中国上級顧問チェンは、中国の習近平指導部とその部下たちは「柔軟で革新的な能力を発揮している。すべての革新が成功するわけではないが、挑戦する意欲が重要だ」。

 在シンガポールの中国国防面に関する専門家、ジャ・イアン・チョンは、新型艦により中国は「技術だけでなく、ドローンを取り入れた戦術や戦略でも多くの実験を行うことができるかもしれない」と述べた。これはある意味で、空母とそれを取り巻く戦術の開発に取り組んだ2020年代と30年代と並行しているのかもしれない。このようなドローン空母の完全な効果は、まだ発見されていない。

 中国海軍の急速な拡大と近代化という背景でこれらすべてが起こっている。

 このテーマに関する議会調査局の最新報告書は「米軍当局者やその他のオブザーバーは、中国の海軍造船努力のペース、米国の造船産業の能力と比較した中国の造船産業の能力、中国海軍と米海軍の相対的な規模と能力に関する結果としての傾向線について、懸念や警戒を表明している」と、述べている。PLANは、米海軍の292隻に対して370隻以上と、米海軍の規模を大きく上回っている。

 チェンは、PLANがドローンについて、我々と異なる、より革新的な考え方をしている可能性がある、と「憂慮すべき」可能性を指摘した。伝統的に、アメリカはドローンを既存の固定翼機の補完または増強とみなしてきた。■


China's purported 'drone carrier' could be used for testing, shows PLA 'learning' mindset: Analysts - Breaking Defense

By   COLIN CLARK

on May 17, 2024 at 9:39 AM





A-50を空中で撃破していたのはやはりウクライナ国内から発射したペイトリオットミサイルであったことが判明

 



前回お伝えしたようにここに来てロシア法廷はA-50は非武装機で無害の存在なのにウクライナ軍が撃墜したとし、部隊指揮官を欠席のまま訴追することで、ウクライナ軍ミサイル部隊の関与を認めています。そこに今回は米陸軍幹部からペイトリオットミサイルの使用を確認する発言が出たわけです。The War Zone記事からお伝えします。


The Beriev A-50U 'Mainstay' airborne warning and control system (AWACS) aircraft based on the Ilyushin Il-76 transport aircraft belonging to Russian Air Force in the air. 'U' designation stands for extended range and advanced digital radio systems. This aircraft was named after Sergey Atayants - Beriev's chief designer. (Photo by: aviation-images.com/Universal Images Group via Getty Images)

The Beriev A-50U ‘Mainstay’ airborne warning and control system (AWACS) aircraft based on the Ilyushin Il-76 transport aircraft belonging to Russian Air Force in the air. ‘U’ designation stands for extended range and advanced digital radio systems. This aircraft was named after Sergey Atayants – Beriev’s chief designer. (Photo by: aviation-images.com/Universal Images Group via Getty Images).


ロシアのA-50レーダー機はペイトリオット・ミサイルが撃墜したと米陸軍将校が確認


米陸軍大佐は、1月にウクライナのペイトリオットの「SAMbush」でA-50を墜落させたと説明してくれた


国製のペイトリオット防空システムが、1月14日にアゾフ海上空でロシアのA-50メインステイ空中早期警戒管制機(AEW&C)を撃墜した。この高価値の航空機は、ロシアが即座に入手できる数少ない航空機のひとつであり、5週間の間に2機が墜落した。以前、ウクライナの当局者が本誌に確認したところによると、2機目のA-50はソ連時代のS-200(SA-5ガモン)長距離地対空ミサイルで墜落されたという。

 先週開催された米国野戦砲兵協会のファイヤーズ・シンポジウム2024のパネルで、第10陸軍航空・ミサイル防衛司令部参謀次長のロザンナ・クレメンテ大佐は、最初のA-50がドイツが提供したペイトリオット・システムにより墜落したことを確認した。


 クレメンテ大佐は「ウクライナでは今、ペイトリオット大隊が活動している。一部は静的なサイトと重要な国家インフラの防衛に使用されている。そのひとつがSAMbushだ。ドイツから寄贈された非常に機動性の高いペイトリオット・システムを使っている。そのため、彼らは動き回り、システムを稼働し、プロットに近づけ......1月に最初のA-50 C2(コマンド・アンド・コントロール)システムとの交戦すで、そのシステムの運動能力のぎりぎりのところを引き延ばしている」。

 A-50に乗っていた乗組員15名が死亡したと伝えられている。

 クレメンテ大佐はまた、2023年4月にポーランドで行われた米軍を巻き込んだ検証訓練の期間も含め、ウクライナ側が特殊システムでどこまで能力を向上させたかについて、興味深い詳細を述べている。


 クレメンテ大佐によると、移動式ペイトリオットシステムの訓練を担当したドイツ軍関係者は、夜中にウクライナ軍部隊を起こし、模擬空戦を行う場所まで移動させ、また移動させたという。1ヵ月後、部隊はロシア国境沿いでロシアのSu-27を撃墜する最初の待ち伏せを行った。

 当時本誌が報告したように、アゾフ海上のレーダー機にペイトリオットを使用したことは、特にウクライナが同じ防空システムを使用してロシア軍機に対しすでに行っていた対空作戦のパターンに従ったものであったため、可能性が高いと思われた。

 したがって、2023年5月、ウクライナはペイトリオット砲台を前進させ、ロシアの支配空域の奥深くまで到達させ始めた。最も劇的だったのは、ウクライナ北東部と国境を接するロシア領上空でロシア軍機が相次いで撃墜されたことだ。その中に、クレメンテ大佐が言及したSu-27(あるいは別のフランカー型航空機)も含まれていた可能性がある。


ウクライナ空軍のビデオからの画面キャプチャは、ペイトリオット防空システムの側面に描かれた3機のロシア軍ヘリコプターと2機のロシア軍戦闘機の画像を示している。3機のヘリコプターと2機の戦闘機の画像には、2023年5月13日という日付が記されている。ウクライナの防衛産業


 以前はドイツが供給した兵器をロシア領内で使用したことでベルリンとキーウの間に摩擦が生じたが、最近ではドイツ当局はロシア領空内の航空機を標的とするペイトリオットの使用を承認している。

 2023年12月には、黒海北西部上空を飛行する戦術ジェット機に対して同様の戦術が用いられた。

 ロシアの無線中継機Il-22Mも同日夜、ウクライナの防空ミサイルと交戦したようで、ロシア空軍基地に戻った後の機体の証拠写真で確認された。ペイトリオット・システムがこの航空機に損害を与えたかどうかは不明だが、その可能性が高いことは確かである。


 どちらの事件もアゾフ海西部で起こったようで、当時本誌が議論したように、ペイトリオットが使用されたのであれば、交戦範囲ぎりぎりの距離であった可能性が高い。

 クレメンテ大佐の証言によれば、ペイトリオット・システムは能力の限界まで使用されただけでなく、特に大胆な戦術的行動として、かなり前方で展開された可能性が高い。

 もちろん、これらすべては、標的となった航空機が交戦時にどこにいたのかにもよる。


 A-50の撃墜は、ウクライナが運用するペイトリオット・システムがこれまでに達成した最も重要な勝利かもしれないが、これはロシア航空宇宙軍に対して行われた高度に的を絞ったキャンペーンの一部であり、戦術機の複数の長距離撃墜が含まれているようだ。

 ウクライナの戦術はまず、ロシア航空兵力を押し返し、直接攻撃や、ウクライナの町に大惨事をもたらしたスタンドオフ滑空弾を使った攻撃の能力を低下させることに成功した。

 ロシアの小規模ながらも重要なAEW&C部隊に向けられた同じアクセス防止戦術は、間違いなく大きな効果をもたらした。結局のところ、これらの航空機はウクライナの支配地域の奥深くまで広がる独自の見下ろし型航空画像を提供している。巡航ミサイルやドローンによる攻撃、低空飛行する戦闘機の出撃などを発見するだけでなく、ロシアの戦闘機や防空砲台に指揮統制や状況認識を提供している。ウクライナ政府関係者によると、レーダー機はロシアの巡航ミサイルやドローンへ攻撃を指示するためにも使用されているという。


 最近、ウクライナのS-300PS(SA-10 Grumble)防空システムにA-50のマークが付けられた写真が掲載されたことは、このソ連時代の地対空ミサイルを使って、航空機を墜落させようとしたことがあったことを示している。


 こうしたことを考えれば、ウクライナが高く評価し、長距離をカバーするペイトリオット防空システムがA-50を狙い任務についていたことは驚くべきことではない。


 1月15日の撃墜は、アゾフ海をパトロールするロシアの航空機の脆弱性を示すことで、ロシア機材を押し戻す効果が期待されたかもしれない。しかし、2月23日、前線からさらに離れた場所で、もう1機が撃墜された。2機目のA-50がクラスノダール地方上空に墜落したことから、「フレンドリー・ファイア(友軍の誤射)」かという憶測が広がった。

 しかし、ウクライナ国防省情報総局(GUR)の責任者であるキリロ・ブダノフKyrylo Budanov中将はその後、2機目のA-50と、別件のTu-22M3バックファイア爆撃機が、ソ連時代の長距離地対空ミサイルシステムS-200によって撃墜されたことを本誌に確認した。


 ウクライナのペイトリオットが関与した他の戦闘は言うに及ばず、A-50が2機撃墜された件については、詳細が明らかになっていない。

 しかし、クレメンテ大佐のコメントは、ウクライナ空軍がこれらの重要なシステムを、時には大胆な方法で使用していることを裏付けている。限られた数のアセットを使って、重要な静的インフラを守るだけでなく、前線へ接近して襲撃し、知名度の高いロシアの航空目標を落とすこともある。これにより、ロシアは自国の存続のため航空戦力の戦術を変更し、その有効性を低下させるだけでなく、数的不利なウクライナに反撃の手段を提供することになる。■


U.S. Army Officer Confirms Russian A-50 Radar Jet Was Shot Down With Patriot Missile

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED JUN 10, 2024 6S:55 PM EDT



就航開始から70年、納入実績が2,700機となったC-130ハーキュリーズ


就役から70年、生産累計2千700機とダブルで記録を更新したハーキュリーズは自由世界の軍事輸送を支える文字通りの力持ちだ。メーカーのロッキード・マーティンの声明文とAlert 5から今回の記事を構成しましたのでご覧ください。



The 2,700th C-130 Hercules has joined the global fleet, marking a significant achievement in tactical airlift. This landmark aircraft is a KC-130J Super Hercules is now part of the U.S. Marine Corps Aerial Refueler Transport Squadron 252 fleet at Marine Corps Air Station Cherry Point, North Carolina.

A KC-130J Super Hercules flies over Marine Corps Air Ground Combat Center, Twentynine Palms, California, Feb. 2, 2021. Marines with Marine Aerial Refueler Transport Squadron 252 (VMGR-252) trained in an unfamiliar environment in order to increase proficiency in critical mission skills such as aerial refueling, complex maneuvers, and logistical support. VMGR-252 is a subordinate unit of 2nd Marine Aircraft Wing, which is the aviation combat element of II Marine Expeditionary Force. (U.S. Marine Corps photo by Sgt. Servante R. Coba)

2,700機目のC-130ハーキュリーズが世界の航空機に加わり、戦術的空輸の世界で重要な功績を刻んだ。2,700機目はKC-130Jスーパーハーキュリーズで、ノースカロライナ州の海兵隊チェリーポイント航空基地の米海兵隊空中給油輸送隊252飛行隊(VMGR-252)に加わった。今回の納入は、C-130の初飛行から今年で70周年という記念すべき年と重なり、多用途な軍用輸送機としての同機の不朽の遺産をさらに際立たせている。

1954年に初めて導入されたC-130ハーキュリーズは、軍事航空界ではどこにでもある主力機となった。比類なき多用途性と頑丈な性能で有名なC-130は、70カ国以上で運用され、兵員輸送や貨物輸送から空中攻撃や医療避難に至るまで、多様な任務をサポートしている。

現在の生産モデルC-130Jスーパーハーキュリーズは、KC-130Jバリアントによる空中給油含む18通りの異なるミッション要件に認定されている。C-130Jスーパーハーキュリーズは、C-130ファミリーの最新型で、出力と効率を向上させたロールス・ロイスAE 2100Dターボプロップ・エンジン、状況認識能力の向上とパイロットの作業負担軽減のためのデジタル・フライト・デッキ、積載量増加のための機体コンポーネントの強化など、先代機より大幅に改良されている。

ロッキード・マーチンのエアモビリティ&マリタイム・ミッション事業部副社長兼ゼネラルマネジャーのロッド・マクリーンは、「ロッキード・マーチンのチームは、この画期的なスーパーハーキュリーズを米海兵隊に納入できることを光栄に思っています。同機は2,700機目のC-130として納入されただけでなく、C-130の特徴である固有の任務と適応性を反映しています」と語った。

スーパー・ハーキュリーズは、常に進化し、絶え間なく革新し、次なるものへの準備を整え、戦術的空輸任務の基準を設定し、未来を形作ることで、主導権を握っている。

2,700機目のC-130ハーキュリーズの納入は、戦術的空輸作戦における同機の永続的な価値を強調している。このプラットフォームの順応性とKC-130Jのような継続的な改良型の導入により、ハーキュリーズは今後何年も軍用航空における主力機であり続けるだろう。■


Herculean Accomplishment: 2,700th Aircraft Delivered! | Lockheed Martin

JUNE 18, 2024


Lockheed Martin delivers 2,700th C-130 Hercules – Alert 5

Posted on June 20, 2024 by alert5




2024年6月23日日曜日

ウクライナ戦の最新状況:ドローン対ドローンの空中戦が展開されており、新しい戦争の姿を示している

 


戦争が新しい戦術や技術のテストの場となることはよくありますが、ウクライナではドローン対策として別のドローンが迎撃したりとドローン同士の戦いが展開されています。ここから次にどんな技術が生まれるのか、注目されますね。The War Zoneがウクライナ戦の最新状況をまとめてくれましたのでお知らせします。(元記事は6月19日に米国で発表されたものであり、ウクライナ現地時間で6月18日までの出来事をまとめているものと思います)


A screencap from the Signum unit’s First Person-View (FPV) drone encounter with a Russian Lancet drone. Via Telegram

wer, which you can see flaming in the video below.


ウクライナ情勢報告: ドローン対ドローンの空中戦が活発化


ウクライナは一人称視点ドローンでロシアのドローンを空から叩き出しており、ドローンの空対空戦闘が過熱してきた


クライナは、部隊の機動性や防衛線の設置、防空システムの構築を非常に困難にするドローンの蔓延に対抗するため、高機動性のFPV(First Person-View)ドローンを使い、ロシアの空中ドローンへの攻撃を強めている。

 「ウクライナのチーム複数が、FPVを使用して敵の偵察ドローンを迎撃するシステムに取り組んでおり、実際に公開されている動画が増えていることから判断すると(常に公表されているのは実際の出来事の半分以下)、進展があるというだけでなく、体系的な現象になりつつある」とウクライナ最高議会ヴェルホヴナラーダの国家安全保障・防衛・情報委員会副委員長のユリイ・マイシャギンが先週、自身のテレグラム・チャンネルで述べた。

 ウクライナの第93機械化旅団「シグナム」は火曜日、ロシアのランセット弾を発見したFPVドローンが、接近していく映像を公開した。FPVがランセットに衝撃を与えた視覚的証拠はないが、ビデオの最後には地上で破壊されたランセットの静止画が映っている。

 このビデオには、空中のランセットの驚くべきクローズアップ映像があり、そのスクリーンショットを下に掲載した。


シグナム部隊のFPVドローンとロシアのランセットとの遭遇のスクリーンショット。テレグラム経由


 「敵の神風ドローンは急降下中に検知され、爆風で損傷し、地上に墜落・分解したが、誰にも被害はなかった」と、シグナムは火曜日にテレグラム・チャンネルに書き込んだ。本誌はこの主張を独自に検証することはできない。

 「ここ数カ月、国防軍が『ランセット』や『オルラン』タイプのUAVに対抗する防空手段として、FPVドローンを効果的に使用し始めたことは、もはや秘密ではありません(私たちは非常によくやっています)」と同部隊は指摘している。

 ウクライナのFPVドローンがランセットを攻撃する動画が先月からソーシャルメディアに出回り始めた。

 ロシア軍部隊から、こうした攻撃で状況認識を低下されていると不満が出始めている。

 「多くの部隊や行動は、このようなISR(諜報・監視・偵察)ドローン(ザラ、スーパーカム、オーラン)に依存している」と、ある兵士はテレグラムで説明した。「空の "目"を破壊することは、私たちを一世代後退させ、敵が3Dで戦争を続けている間、私たちは2Dで戦うことを余儀なくされる。FPVドローンは安価だが、大型ISR専用UAVはそうではない」。

 2022年10月、ウクライナ戦争で最初のドローン対ドローンの交戦がソーシャルメディア上に現れた。

 本誌が長年にわたり訴えてきたように、ドローンを倒す最善の方法は別のドローンを向けることだ。本誌が最初にこのコンセプトを論じて以来、このようなシステムの市場は出現しただけでなく、今や急拡大している。ウクライナがこの種の能力を求めるのはまったく理にかなっており、ニーズは極めて緊急である。同盟国から対ドローン機は供給されていない。

 低価格帯ドローンによって双方にどれだけの損害がもたらされているかを考えれば、両者のドローン空中戦はこれから洗練されていくだろう。


最新情報


ハリコフ州の戦況

 ウクライナ第二の都市を目指すロシアの攻勢がほぼ停滞しているハリコフ州に、双方の大きな注目が集まっている。

 ハリコフ作戦戦略グループ(OSG)のスポークスマンであるユリイ・ポフフがウクライナ・プラウダ紙に語ったところによると、ハリコフ市の北東約32マイルにある、ヴォフチャンスク市の破壊された骨材工場内にロシア軍数十名が閉じ込められているという。

 この骨材工場はウクライナから頻繁に攻撃を受けている。

 両陣営が通り単位で戦闘を続けているため、街全体が廃墟と化した。

 ロシア軍は通りごとの熾烈な戦闘の間、建物に閉じ込められていた。

 ロシア軍は、6月18日にヴォフチャンスク市内に進攻した。「6月18日に公開されたジオロケーション映像によれば、ロシア軍は最近、ヴォフチャンスク中心部のアグレゲート・プラントの敷地内にわずかに前進した。ヴォフチャンスク市内での戦闘は6月18日も続いており、ロシアのある軍事ブロガーは、ウクライナ軍とロシア軍は『数メートルの距離』に位置することができるため、ヴォフチャンスクの前線はしばしば不明瞭になると主張している。

 戦場の他の場所では、ドネツク、ルハンスク、ザポリツィア各州で戦闘が続いている。

 先週、ジョー・バイデン米大統領が、将来的に防空システムを納入する場合は、どこよりもまずウクライナに納入すると述べたと報じた。そして今、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との記者会見で交わされたその誓いが実現しそうだ。


スイス向けだったペイトリオットミサイルをウクライナへ回す

 スイスの報道機関『Blick』が火曜日に報じたところによると、アメリカはスイスにペイトリオット・アドバンスト・ケイパビリティ(PAC)3ミサイル・セグメント・エンハンスド(MSE)72基を納入する3億3900万ドル契約を延期する予定だという。これは、昨年11月に米国務省が発表した、部品やスペアパーツなどを含む7億ドル規模のスイスの要求の一部であった。

 その代わりに、迎撃ミサイルはウクライナに渡ることになる。昨年秋にアメリカとの調達契約が結ばれた。しかし現在、ウクライナでの戦争が国防総省の計画に水を差している。

 ワシントンとの協定によれば、異例な理由ややむを得ない理由があり、アメリカの国家安全保障上の懸念が影響する場合は、合意した条件から逸脱することも可能なはずと同誌は付け加えた。「アメリカは今、ウクライナ戦争が原因だと主張しているようだ」。

 ブリック記事はペイトリオットやスペアパーツの納入については触れていない。

 火曜日に国務省に問い合わせたが、詳細が明らかになり次第、この記事を更新する。


プーチンと金正恩

 フィナンシャル・タイムズ紙は、平壌を訪問したロシアのプーチン大統領は水曜日、北朝鮮の専制君主金正恩(キム・ジョンウン)に対し、ウクライナ戦争への支援に感謝した、と報じた。プーチンは北朝鮮を訪問し、両国の貿易と軍事関係を深める戦略的パートナーシップに署名した。

 プーチンは協定の内容について詳細は明らかにしなかったが、ウクライナがロシア領内で使用することを許可された、あるいは許可される予定の長距離兵器やF-16戦闘機のNATOからの供給と比較した、と同紙は報じた。ロシアが北朝鮮との軍事関係を拡大すると暗に示唆したのだ。

 本誌が今月初めに報じたように、プーチンはモスクワが長距離兵器を世界中の「地域」に供給する検討中と述べた。北朝鮮はロシアに、対ウクライナ用の短距離弾道ミサイルと100万発以上の砲弾を提供している。

 火曜日、米国務省報道官は、ここ数ヶ月間に、ワシントンは北朝鮮が「ロシアの戦争努力を支援するために、弾道ミサイル数十発と11,000個以上の軍需品のコンテナを不法に移送している」と述べた、とAP通信は報じた。

 ロシア、中国、北朝鮮からの脅威の高まりに直面し、NATOは核兵器(米国経由の共有協定で提供される)をさらに配備することを検討している、と同盟のトップは述べた。


NATOが核兵器配備数を増強し、脅威に対応

 NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は日曜日、テレグラフ紙に対し、核弾頭をより多く保管庫から出すことで、NATOが「核同盟であるという直接的なメッセージを伝える」ことが重要だと語った。

 「どれだけの核弾頭を運用し、どれを保管すべきかについて、運用上の詳細には立ち入らないが、これらの問題について協議する必要がある」とストルテンベルグ事務総長は語った。


デンマークがF-16供与にむけ実務協定を含む軍事援助パッケージを提供

 デンマーク国防省は水曜日、ウクライナに19回目の軍事援助パッケージを提供すると発表した。これには、「デンマークのF-16寄贈を支援するための追加物資」と、キーウの防衛産業への長期投資が含まれる。

 パッケージには、「同盟国との間で、同盟国防衛産業からの購入や寄贈に関する協定を締結する」ことが含まれている。とりわけ、デンマークのF-16寄贈を支援するためのより多くの資材が含まれる。

 この発表には、"軍自身の保有資産からの寄付 "も含まれている。その保有品や支援物資については明記されていない。デンマークは19機のバイパーをウクライナに寄贈することを約束している。


ウクライナ国内で西側が弾薬製造へ

 ノースロップ・グラマンは、ウクライナの資金によって運営されるプロジェクトの下で、ウクライナ国内で中口径弾薬を生産することを計画している、と同社関係者が火曜日にブレイキング・ディフェンスに語った。

 欧州の防衛企業数社は、ウクライナ国内で大規模な製造プログラムを約束している。しかし、ノースロップの共同製造契約は、「ウクライナ国内での製造プロジェクトに関し、米国の防衛関連企業とウクライナ政府との間で公に認められた初めての契約である」と同誌は報じている。

 「ご存知のように、我々はウクライナで中口径弾の製造に取り組んできた。これはウクライナの保有するドルで支払われる最初のプロジェクトだ。革新的なプロセスが見つかれば、戦車弾薬や155ミリ弾、その他にも拡大したいと考えています」とノースロップの防衛システム部門の国際ビジネス担当ディレクター、デイブ・バーテルは語った。


Su-34の生産がほぼストップ

 ロシア航空宇宙軍とつながりのあるファイターボマー・テレグラム・チャンネルは、重要な武器であったSu-34フルバック戦闘爆撃機の生産について苦言を呈している。

 この半年で生産されたのはわずか2機だった。ファイターボマーによれば、ロシア空軍は2日前に2機、4月に2機のフルバックを新たに受領したという。テレグラム・チャンネルは、4月の納入が新型機なのか改修機なのかは不明だと付け加えている。

 「これでは本質を変えることは不可能だ。少なすぎる」。

 オープンソースの追跡グループ「オリックス」によれば、ロシアは約140機のフルバックのうち少なくとも32機を失い、30機が破壊され、2機が損傷したという。

 オリックスは、2機のSu-34は6月14日のウクライナの大規模なドローン攻撃で損傷したと指摘している。これは、この攻撃に関する本誌のレポートを裏付けるものである。


ロシアがA-50の喪失をウクライナによるものと認める

 ウクライナの防空将校の逮捕状を発行することで、ロシアの捜査当局はキーウが2月にロシア領空でA-50メインステイ空中早期警戒管制機(AEW&C)の1機を撃墜したことを確認した。

 モスクワ地方裁判所は、ウクライナのニコライ・ドゥジャマン大佐wp「拘留し欠席予防措置を課すとのロシア連邦調査委員会主要軍事調査部の調査官の請願を認めた」と、同委員会はテレグラム・チャンネルに書いた。大佐はウクライナ軍第138対空ミサイル旅団の司令官である。

 「調査によると、ドゥジャマン大佐は、対象機が戦闘作戦用ではなく、非武装で、ロシア連邦の領空内のみで飛行していることを知りながら、部下人に違法な破壊命令を下した。これらの行為により、10名の乗組員が死亡し、機体が破壊された」。

 ロシア連邦調査委員会は、撃墜に使用された航空機の種類やミサイルの種類を明示していないが、当時お伝えしたように、ウクライナはこの日、メインステイを撃墜したと主張していた。本誌はペイトリオットにより撃墜された可能性を示唆していた。

 ウクライナ情報筋によれば、前線から約100マイル離れた場所での撃墜は、ウクライナ軍とウクライナ情報機関の共同作戦だったという。

 ドゥジャマンは欠席裁判で、刑法第205条第3部「b」の罪を犯したとして起訴された。ロシア連邦刑法205条(人の死をもたらすテロ行為)第3部「b」項の罪を犯したとして欠席裁判で起訴され、連邦で指名手配された。

 なお先週、米陸軍防空将校が1月の事件で、ウクライナがドイツ提供のパトリオット・システムでメインステイを撃墜したと述べていた。

 ロシア南部のアゾフにある石油ターミナルで、ウクライナ無人機による空爆によって引き起こされた火災が、消防士の努力にもかかわらず36時間以上燃え続けていると、ロストフ州のワシーリー・ゴルベフ知事が水曜日に自身のテレグラム・チャンネルで語った。

 「残念ながら、前日にUAVの攻撃によって火災が発生したアゾフの石油貯蔵所の状況は安定させることはできない。「まだ鎮火していない。現地時間午後4時40分)、第2タンクが減圧された。緊急事態省の専門家が消火活動を続けている」。

 ロイター通信によると、ドローンによる攻撃はウクライナ治安局(SBU)によろ行われた。

 炎上中のタンクの写真には、ドローン型の穴のようなものが写っている。

 ウクライナは、MiG-29フルクラム戦闘機の1機が、米国から供与された統合直接攻撃弾(JDAM-ER)精密誘導爆弾でスタンドオフ攻撃を行う映像を初めて公開した。ビデオでは、パイロットが高高度で上昇し、左翼下のパイロンから武器を放つ様子が映っている。スクリーンショットでは、パイロンの前端にGPSアンテナがあり、爆弾のGPS/INSガイダンスを調整してから放出する様子が映っている。5月に、米空軍はJDAM-ERがGPS妨害装置を狙い撃ちできるようにするアドオン・シーカーの調達に取り組んでいると書いた。ロシアのジャミングがJDAM-ERを含む西側から供給されたGPS誘導弾の効果を著しく低下させていることを考えれば、これは大きな進展である。

 ウクライナはまた、フルクラムの1機が米国から寄贈されたAGM-88高速対放射線ミサイル(HARM)を発射するビデオも公開した。ミサイルが飛翔中にパイロットが左にバンクしたため、この交戦の結果はわからない。■


Ukraine Situation Report: Drone-On-Drone Aerial Engagements Ramp-Up

Aerial drone air-to-air combat is heating up with Ukraine pivoting to using its first person-view drones to swat Russian drones out of the sky.

HOWARD ALTMAN

POSTED ON JUN 19, 2024 7:27 PM EDT