2017年6月6日火曜日

パリ航空ショー開幕近づく F-35Aデビュー等の話題



Aviation Week & Space Technology

Paris Air Show: A Showcase For Defense Competition

パリ航空ショーは防衛メーカーがしのぎを削る場になる
Defense companies vie for attention in a crowded market
防衛メーカーは競合の中で関心をどれだけ集められるか

May 24, 2017 Jen DiMascio, James Drew, Lara Seligman and Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology

  1. F-35をショーでデビューさせるかでなかなか結論が出なかったことに今日の防衛装備市場を取り巻く現状が見える。派手に展示しても調達や世界各地で高まる競争が変わるわけではない。
  2. 今年のパリ航空ショーでの防衛部門は流動的だろう。国防予算は米国や欧州で増額傾向が始まっている。原油価格が上がらない中でも中東各国は装備調達の大盤振る舞いを続けている。だが世界で防衛産業基盤が強化される中、競争の激化を皆が感じている。
  3. 世界最大級の武器輸入国インドを見てほしい。過去五年はロシアが武器供給先トップで68%の需要を満たしていた。米国、イスラエルが残り21%を供給していた。だがインドは今や新規供給先として韓国、やスペインを加えている。また同国が進めるメイドインインディア構想で将来は低価格戦闘機、ミサイル、電子製品等の国産化をめざしている。
  4. 米産業界にとって各地で競争を意味する。「米製装備の品質は比類ないとはいえ、顧客は適正な内容で価格面で有利な製品を検討し、技術移転、納期、対応を吟味しています」と米航空宇宙産業連盟Aerospace Industries Association (AIA)の副会頭レミー・ネイサンは指摘。ドナルド・トランプ大統領により税制改革、インフラ投資促進、規制緩和、国家予算変更が提唱されているので米製装備も価格面で訴求力をつけられるとネイサンは述べる。
  5. この環境を念頭に各社はパリに集まる各国の防衛大臣48名に焦点を合わせる。公式代表団は300を数え、うち150が87か国の軍部代表だ。ショーの会長エメリック・ダルシモレによれば大統領就任したばかりのエマニュエル・マクロンが首相(6月18日投票予定)をともなって恒例の展示会詣でをするという。関係者は明らかにしないが別の国家元首もショーにやってくる。
F-35Aのパリデビュー
  1. 今回はロッキード・マーティンもF-35Aを初展示する。
  2. 3月にフランス航空宇宙産業連盟(GIFAS)関係者が訪米している。二年前にはフランス側は第五世代戦闘機がファンボロ―航空ショーでデビューし、F-35Bが空中ホバリングしてショーで強く印象を集めたことを念頭に、仏側はステルス戦闘機の展示決定が時間切れになることを恐れていた。結局ロッキード・マーティン社パイロットが米空軍所属F-35Aをアクロバット飛行させることになったが発表まで相当の時間がかかった。
  3. 今回の展示飛行ではロッキードは第五世代戦闘機の操縦性を公開し、F-35では第四世代機の推力と性能に勝てないとの見方を崩す一環にしたいはずだ。JSFに疑問がついたのは模擬空戦でF-16に勝てなかったとの2015年7月のブログ記事がきっかけだった。
  4. ロッキードは受注増で80百万ドルの大台を割る機体単価を実現しようとしているが新規発注国は少ない。第五世代戦闘機に長距離精密誘導兵器を搭載してロシア脅威に対抗する意向を表明したポーランドが注目される。
  5. ショー主催者側は今年は盛会になるとみており、シャレ―やホールは昨年10月で売り切れた。45カ国から出展企業団体2,300が集まる。展示機材は150機で毎日飛行展示を2時間程度行うと主催者は述べている。
各国の初展示機材
  1. 今回パリでデビューする他の機体には三菱航空機のMRJ、川崎P-1があり、ともにヨーロッパ大陸では初のお披露目となる。このうちP-1は英国のロイヤルインターナショナルエアタトゥーで2015年に登場している。エンブラエルはKC-390輸送機を持ち込む予定でこれも昨年のファンボロー航空ショーでデビュー済みだ。
  2. 今回はロシア軍用機の出展は望み薄だという。実施中の経済制裁のためだがスホイ・スーパージェットはおそらく出展されるという。
  3. ウクライナのアントノフはサウジアラビアの資金提供を受けたAn-132を展示しそうだ。サウジアラビア空軍が同機を運用する。
  4. トルコ航空宇宙産業(TAI)はターボプロップ練習機フルクスHurkusおよびT625ヘリコプターのモックアップを展示する。同社はBAEシステムズとTF-X戦闘機の共同開発で合意しており、同国のF-35調達が不透明になる可能性が出てきた。
  5. 世界規模で開発先が再編される兆しを一番よく示しているのが米空軍のめざすT-X練習機構想で米企業各社が海外提携先と組んでいる。空軍は350機を導入しT-38練習機の後継機としたいとするが、選定に残った企業は最終的に1,000機の需要を見込めるはずだ。今年末までに選定結果が発表される。
  6. このため競合各社がショーに姿を現すはずだ。ボーイング/SAABのT-X、ロッキード・マーティン/韓国航空宇宙産業のT-50、DRS/レオナルドのT-100の各機だ。TAIもシエラネヴァダ/TAIのフリーダム練習機モックアップを展示しそうだ。
  7. エアバスはA400M輸送機のヨーロッパ内売り込みで苦労しており、戦術性能の実現がまず必要だ。
  8. エアバスはX6大型ヘリコプターの開発見直し案を出してくるとみられる。同ヘリは前回2015年のパリ航空ショーで正式に開発開始を発表されていた。同機のコンセプトは2020年代初頭の初飛行をめざし、トラブル続きのH225ヘリコプターに代わるものとなる。フランス陸軍はタイガーHAD攻撃ヘリを展示するだろう。
  9. 当然ながらダッソーはラファール戦闘機を売り込みたいはずだ。昨年は同機に大きな都市となり、インドが36機、カタールが24機の購入を決めた。
  10. ボーイングも着々と準備中だ。海外販売の成功でF-15およびF-18戦闘機の生産は2020年代まで継続が決まった。これだけの期間があれば同時に両機種の高性能版の売り込みも可能となる。同時にチヌーク、アパッチ両ヘリコプターの耐用年数延長にも期待する。さらにサウジアラビアがP-8ポセイドン哨戒機導入に関心ありと突然発表し同社を元気づけた。
兵器・中小サプライヤー
  1. 兵器類も輸出で大きな要素だ。米製ミサイル等の販売はこの五年間で774%と急増して2016年は30億ドル規模になった。2011年は3.47億ドルだった。(デロイトの分析による)ミサイルで強いレイセオンは自社製品を展示するはずだ。
  2. そしてAIAのネイサン副会頭はサプライヤー企業にも配慮している。「こういった『不可欠な輸出企業』はサプライチェーンで輸出価値の56%を生んでいるにも関わらずその姿が認知されにくいのですが、装備の開発、製造、維持に重要な存在です。主要装備すべてに数千単位の部品やサブシステムがあり、中小企業がサプライチェーン内で活動することで成り立っています。輸出競争力促進は一次契約企業より小企業に大きな役割を認めるべきです」
強化された保安体制と飛行空域の制限
  1. 今年のパリ航空ショー主催側は保安措置も強化しており、フランス国内でこの2年間で発生した数々のテロ事件を意識している。セキュリティチェックを厳しくし、パリ北方のルブウルジェ空港をヨーロッパ最大の航空宇宙展示会場に変身させる。「トラック攻撃に対する備えも万全です」とダルシモレは述べており、さらにフランス空軍も無人機攻撃に備え会場付近の空域を防御する。
  2. 保安関係者は1,000名超となり、軍・警察も会期中の会場防御に備える。会期は6月19日から25日まで。
  3. 保安体制引き上げの背景にはパリで続いた襲撃事件以外にフランス各地での事件が影を落としており、歩行者86名の命を奪ったニースでの車両暴走事件は昨年7月の出来事だった。会場入場者は手荷物携帯品のX線検査を通る必要がある。
  4. ショーを取り仕切るギル・フルニエによれば飛行展示も難題だという。空域利用で制約が強くなり会場付近の住宅地への配慮がその原因だ。一般公開日にフランス空軍の曲技チームのパトルイユ・ドゥ・フランスが飛行するが、飛行時間が10分短縮、編隊飛行も制約を受ける。見栄えのよい曲技飛行には広い空域が必要だが、今回は利用できないという。■

2017年6月5日月曜日

つまらない今年のシャングリラ対話


今回のシャングリラ対話は時事問題に傾き、スケールが小さくなっている気がしますがいかがでしょう。中国も参加しているようですが、西側の意見に反論もあったのでは。本来の開かれたフォーラムという位置づけが現実問題の前に見えなくなっているようですね。

Global allies call for continued US patrols in South China Sea

同盟各国が南シナ海における米パトロールの継続を求めている
By: Mike Yeo, June 4, 2017 (Photo Credit: Roslan Rahman/AFP via Getty Images)

SINGAPORE — 恒例のシャングリラ対話、アジア安全保障サミットの講演者から米海軍による南シナ海での航行の自由作戦継続を求める声が相次いだ中、各国参加者の心中では南シナ海の対立問題で懸念が広がっている。
  1. 政策スピーチではオーストラリア、日本の国防トップがそれぞれ米軍が国際法により認められた空間で今後も作戦を継続するとの米国防長官ジム・マティスの発言を支持すると述べた。
  2. 主催は国際戦略研究所(IISS)(Asia)で政府、非政府両部門の国防安全保障専門家が世界各地から集まり、アジア地域内で最大のサミットとなった。
  3. マティス長官は米軍が「国際法が許す場面すべてで飛行、航行、作戦を今後も継続し、決意のともに南シナ海以遠での作戦プレゼンスを示していく」と述べ、「該当地域内の作戦は共有する権益とともに国際法が認める自由を今後も守っていこうとうするわれわれの決意であり意欲のあらわれだ」とした。
  4. これに同調したのが日本の防衛相稲田朋美で航行の自由作戦を行う米海軍への支持をあらためて表明し、「開かれた自由で平和な国際海上航行の秩序を守ろうとする米国の決意のあらわれ」と評した。
  5. 稲田大臣はスピーチで東シナ海、南シナ海双方で領有権をめぐる緊張が続くことに光を当てたが、国名はあげず、「ある国の公船が定期的に日本領海を侵しており」一方で「南シナ海に置いて軍事目的に使うべく拠点整備を続けている」と述べた。
  6. 稲田大臣の次に登壇したオーストラリア国防大臣マリーズ・ペインからオーストラリアも「権利行使を認める権利を強く支持する」と述べ、オーストラリア軍艦船航空機も作戦行動を「過去数十年同様に南シナ海で続けて航行とともに上空飛行の自由の権利を一貫して守る」と述べた。
  7. オーストラリア空軍はゲイトウェイ作戦としてロッキード・マーティンAP-3Cオライオン一機をマレーシアのバターワースに年間4回から8回派遣し二週間間隔で上空飛行を行っている。
  8. オーストラリア国防省によれば上空飛行はオーストラリアによる東南アジア域内安全保障と安定性確保策の一環とし、海上警戒飛行は北インド洋と南シナ海双方で行っているという。
  9. マティス長官と稲田大臣からは昨年下された国際法廷によるフィリピン提訴の中国の南シナ海活動に法的な根拠がないとの結果内容を強調し、関係該当国は法の判断を守るよう求め、紛糾の解決にはこれを出発点とするべきと主張した。ただし中国は司法手続きに参加を拒否し、裁定内容は無視すると公言している。
  10. パトロール航行の必要を重視するのは閣僚級参加者だけではない。IISS-Asiaのシャングリラ対話上級専門職ウィリアム・チュンは米国が「航行の自由作戦の執行を続ける必要がある」と報道陣に指摘し、パトロール航行が7か月間実施されていなかったことに注意を喚起した。駆逐艦USSデューイが5月24日にミスチーフ礁から12カイリ内を航行して再び実施されたがトランプ政権下で初の航行の自由作戦パトロールになった。■


中国の核脅威の拡大も要注意であるのを忘れていないか



米ロはこれまで苦労して戦略核兵器の抑制を目指し、今や相当の水準まで進んでいるのですが、中国は全く関係ない顔をして核兵器を大幅に拡張する方向に進んでいるわけです。北朝鮮ではあれだけ騒いでおきながら日本を既に照準に収めている中国の核戦力には声を上げないメディアの姿勢もいかがかと思います。現在はまだ小規模なのがこれから拡大するという今だからこそ早く認識すべきと思うのですが。南シナ海、尖閣といい中国が既存秩序を壊そうとする勢力であるのは歴史的に見ても明らかで毅然とした対応が西側に求められています。

 


The Big China Nuclear Threat No One Is Talking About

だれも口にしていない大規模な中国の核脅威


June 2, 2017

  1. 中国の軍事政策が大きく変化している。核実験に成功した1964年以来、中国は比較的小規模の核戦力を維持し、敵の人口密集地を標的にしてきた。
  2. 通常兵器では米国のような一等装備を備えた敵に「戦い勝利する」目標で近代化を図ってきたが中国の核兵力は推定264発と米ロ両国が新START条約で保有する各1,550発よりはるかに小規模だ。
  3. 小規模核戦力は中国独自の抑止理論に基づくものであり、核の先制使用はしないとの考え方が背景にある。だが技術開発により中国は核兵力増強に向かいそうだ。
  4. まず核運用の三本柱が中国で初めて確立した。核兵器保有国ながら中国はこれまで単弾頭の陸上発射弾道ミサイルに依存してきた。だだし晋級(094型)原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)で抑止力を海中に展開できるようになった。中国は晋級潜水艦4隻を就役中で、少なくとももう一隻を建造する。晋級SSBNはミサイル発射管12本にJL-2潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)を搭載する。射程は7,500キロだ。一部報道ではJL-2は複数独立再突入弾頭(MIRV)を2個から8個搭載するとしており、晋級一隻で核弾頭480個を搭載することになる。
  5. さらにペンタゴンによれば次世代SSBN096型の配備が2020年代にはじまりJL-3SLBMを搭載するという。報道では096型は発射管24本を搭載するとしている。中国が096型を5隻建造しJL-3がすべて単弾頭型だと想定すれば核弾頭120発が必要となり、中国の推定保有核弾頭の半分に相当する。これに094型の核弾頭も加えると中国の海洋核抑止力は核戦力の75パーセントに上る。
  6. だが陸上配備弾道ミサイルにも核弾頭は必要だ。中国は陸上配備弾道ミサイルのMIRV化を進めている。今年初めの報道でDF-5CミサイルをMIRV弾頭でテストしている。DF-5Cの保有数は不明だが、ペンタゴンはDF-5A、DF-5Bミサイル合わせて20発と推定している。このうち半数がDF-5Bと仮定し、各ミサイルが弾頭3個を装着すれば計130発で、中国核戦力の半数相当となる。さらに新型ICBMのDF-41開発が進行中で弾頭数は10発に増える。この新型ミサイルが10本製造されすべて10個弾頭を搭載すればさらに100発の弾頭になる。既存のDF-5BやDF-5Cとあわせると230発、つまり87パーセント相当になる。
  7. たしかに数字には一部誇張がある。中国がミサイルを大量製造しないかもしれないし、ミサイルすべてをMIRV化しないかもしれない。また弾頭の一部はおとりの可能性が高い。それでも技術の進展で中国は今後大幅に核弾頭数を増やしそうだ。
  8. 核分裂物質の高度濃縮ウラニウムとプルトニウムで核爆弾の中心部を形成するが増産は容易である。中国には高濃度ウラニウムが14-18トン、兵器転用可能プルトニウムが1.2-2.3トンあると推定される。これだけで核爆弾750発から1,600発が製造できる。もっと多いかもしれない。すべては爆弾の設計次第だ。また民生部門の原子力利用で核分裂物質はさらに入手できる。中国の核産業界で知見が高いHui Zhangによれば2020年までに年間に分離作業量(SWU)3百万の濃縮能力が実現するとしており、年間7百個の爆弾に相当する高濃度ウラニウムが核エネルギーを利用しながら入手できることになる。
  9. とはいえ中国が核戦力規模を一夜にして拡大することではない。歴史通りなら中国は慎重かつ順序を追って核戦力を増強するはずだ。ただ中国の核戦力が今後拡大するのは確実で米国の核政策、核兵器管理戦略はこの点を考慮せざるを得なくなるはずだ。

Zachary Keck is the former managing editor of the National Interest. You can find him on Twitter: @ZacharyKeck.
Image: Soldiers of the People’s Liberation Army of China at Moscow’s 2015 Victory Day parade. Kremlin.ru

2017年6月4日日曜日

もし戦わば(15) ロシア、中国が同時に開戦してきたら米国に勝ち目はあるのか



要は世界秩序を破壊したいと考える勢力が一方にあり、残りの世界は現状維持が一番都合委がよいと考えているのです。ロシア、中国とも実力を把握せず空威張りしており、あるいは米国の没落を真剣に信じ時期が来るのを虎視眈々と待っているのでしょう。エッセイでは太平洋地区の主要同盟国たる日本に対する不信感が見られますが、南シナ海というより太平洋地区での繁栄の条件を守るため日本が何もしないはずはなく、むしろ時の政権によりますが、積極的に米国と共同戦線を張るはずなので、論調には違和感があります。読者の皆さんはどう感じますか。

Wikimedia Commons

Could U.S. Win War Against Russia and China? 

米国はロシア、中国と同時に戦えるのか

 
ROBERT FARLEY
中国とロシアが共同して太平洋とヨーロッパで同時に攻勢をしかけてきたらどうなるか。
  1. 米国はすでに「二正面戦」構想として同時に二大勢力を相手にした戦闘は断念している。イランやイラクと戦いながら北朝鮮を封じ込めるべく国防総省の調達部門は補給体制や基地設置戦略を冷戦後の世界に展開してきたが、それはソ連との対決がもはやあり得ないと判断したためだった。米国の構想放棄には国際社会の仕組みが変わり中国の台頭やテロリストのネットワークが巧妙に世界に広がったことも一因だ。
  2. だが米国が一度に二つの戦争をたたく必要が生まれたら、しかも相手が北朝鮮やイラン以上の敵の場合はどうなるか。中国とロシアが相互調整して同時に太平洋と欧州で戦火を開いたらどうなるだろうか。
政治調整Political Coordination
  1. 北京とモスクワが一連の危機状態を巧妙に作り出し、米軍の反応を別々に引き出す作戦に出たらどうなるか。可能性が高いのは両国の一方が都合よくすでに発生ずみの危機状態を拡大し地域内で利益を求める状況だ。例としてモスクワがバルト海諸国に手を伸ばす状態が考えられる。米国が南シナ海で足元を奪われていれば好機になる。
  2. いずれにせよ、モスクワあるいは北京が手を下せば開戦となるだろう。米国は各地での現状維持で利益を得ているのであり、外交手段、経済手段で政治上の目的の達成を目指すことが得策である。米国が戦争につながる状況を作り出せば、ロシアあるいは中国が引き金を引くだろう。
柔軟性Flexibility
  1. 良い面は欧州や太平洋の戦闘で必要になる条件が別になっていることだ。第二次大戦時と同様に米陸軍がヨーロッパを守り、海軍は太平洋に集中するだろう。米空軍は両戦線で支援にまわるはずだ。
  2. ロシアには北大西洋でNATO軍と戦う実力がない。つまり米国とNATO同盟国がうまく装備を配分すればロシアの海上交通路を遮断でき(同時にロシア海軍の封じ込めも)、その間に米海軍は太平洋に専念できる。戦闘状態がどれだけ長引くかによりまたどこまで事前警告があるかによるが、米国は米陸軍装備の相当量をヨーロッパに輸送し本格戦闘に投入できるだろう。
  3. 米空母、潜水艦、水上艦は太平洋やインド洋に集中配備し、中国のA2/AD接近阻止領域拒否体制に対抗するほか、中国の通商路を遮断する。ステルス爆撃機など長距離航空機材等は両戦線で必要に応じ投入する。
  4. 米軍はいずれかの戦線で決定的な勝利を早く達成するプレッシャーを受けるだろう。このため米国は航空宇宙ならびにサイバーに注力し戦略的かつ政治的に意味のある勝利をどちらか一方でまず確保してから残る戦線に注力するはずだ。在欧米軍の戦力を見れば米軍は太平洋方面をまず優先するのではないか。
同盟関係の実態Alliance Structure
  1. 太平洋地区での米国の同盟構造は欧州とは大きく異なる。現在、欧州同盟国の防衛努力不足が懸念されているが、米国がNATO同盟関係を犠牲にしてまでロシアに戦いを挑む理由はない。米国が戦火を開き、ドイツ、フランス、ポーランド、英国が加わるはずだ。米国以外のNATO加盟国だけでもロシアに対して相当の優位性を発揮できる。ロシアがバルト海諸国を占拠してもNATO空軍力により相当の代償を払うはずで、占拠も長く保持できないだろう。米海軍と米空軍が支援にまわり協調作戦をすればロシアを撃退する優位性がNATO加盟各国に生まれる。米核戦力もロシアに戦術・戦略核兵器を使わせない保険となる。
  2. だが太平洋では米国の状況はもっと困難だ。日本やインドも南シナ海に権益を有しても、だからと言って参戦の保証にはならない。(中立を宣言するのではないか) 有事の同盟関係は紛争の固有条件により左右される。フィリピン、ヴィエトナム、韓国、日本または台湾が中国の標的になる。残る各国は米国の圧力があっても傍観を決め込むかもしれない。そうなると米国は西太平洋制圧を自国だけで進める状況に追い込まれるかもしれない。
結語Parting Shots
  1. 米国には大規模戦闘を二つ同時に戦い勝利を収める力があるが、最低でもロシアないし中国を勝てないと達観させられるだろう。米国がこの目的を達成できるのはあくまでも世界最強の軍を維持しているからであり、極めて強力な軍事同盟を主導しているからに他ならない。さらにロシア、中国はともに独自の軍事上の問題に直面しているため、米国は軍事力の一部をどちらかに集中させ、残りの軍事力で別の相手に対応できる。
  2. ただし、この状況が永遠に続く保証はない。米国も優位性を無期限に維持できず、長期的にはどこまで関与すべきかを慎重に検討せざるを得なくなる。同時に国際秩序を作ってきたのは米国であり、各地の有力国の繁栄がこの秩序で生まれているのだ。したがって当面は各国の支援を期待してよい。■

Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money , Information Dissemination  and the Diplomat .
This appeared last summer and is being reposted due to reader interest.


検討が始まったエアフォースツー、緊急時国家指導部司令機の後継機種




A C-32 aircraft taxis at Yokota Air Base, Japan, in 2011.

日本では757が一機も導入されず知名度が低いのですが使い勝手がいい機材なのでしょうね。トランプも選挙運動中に専用機としていました。しかしさすがに老朽化が目立ってきたのでしょう。今から導入するのなら787が一番いいのでは。容積を考えれば777-Xですかね。エアバス機を採用することはあり得ないでしょう。日本政府は777を発注しており、さらにMRJを運用するそうですから、MRJがC-32に相当するのでしょうね。(航続距離が全く違いますが。)

Pentagon Wants to Get Started on New Air Force Two and Doomsday Planes 

ペンタゴンが新型エアフォースツー、緊急時用対応機材の後継機検討に入った


  •  BY MARCUS WEISGERBER

老朽化してきたC-32とE-4Bの後継機は同様の機材か、少なくとも同様の装備を搭載する機材になる

  1. トランプ大統領の批判が新型エアフォースワン購入計画に向けられたがペンタゴンがエアフォースツーとして供用中のボーイング旅客機4機の後継機選定を静かに始めることは許容されそうだ。
  2. トランプ政権初の予算要求案では6百万ドルが事業推進室立ち上げならびに初期検討に計上されており、米空軍のC-32A後継機の検討に入る。C-32はボーイング757を改修した機材で通常は副大統領はじめ主要閣僚・議会関係者を乗せ飛行している。
  3. 同機は大統領が滑走路の関係でVC-25A(747改修機でエアフォースワンのコールサインを用いる)が使えない場所に飛ぶ際にも使われている。
  4. 「C-32A後継機は現行のC-32AをVC-25A並びに次期エアフォースワン代替機として使う前提で現状の性能ギャップを埋める優秀な機材とする必要があります」と空軍は予算要求案で述べている。「C-32A後継機は航続距離、乗客数、国家指導層向け通信能力の面に加え執務環境面でも現状より優れている必要があります」
  5. ペンタゴンは新エアフォースツーを次期エアフォースワンならびに別に進めるE-4B通称「世界最後の日に飛ぶ機体」(大統領、国防長官が核戦争時に使用する飛行司令部)とも親和性を高めたいとする。国防長官はE-4Bを外遊時に使うことが多い。
  6. 同時にトランプ政権予算案では7.8百万ドルでE-4Bと海軍のE-6マーキュリー(これも核戦争時の指揮命令機能を果たす機材)の機能統合の検討を開始し、「統一仕様機材」を目指す。新型機は残存可能空中作戦センターSurvivable Airborne Operations Center機と呼れる。
  7. E-4は1980年から、E-6は1990年代初めから飛んでいる。空軍はまだ機種を指定していないが、「民間機派生型」と呼んでおり、既存機種を原型にする。C-32と一番近いのがボーイング767で空軍は同機を元に新型空中給油機の導入を進めようとしている。757よりわずかに全長が大きい767はワイドボディ機で搭載機器、乗客数が増える。
  8. C-32は整備面でも負担になってきた。2014年には当時の国務長官ジョン・ケリーの太平洋歴訪の最後にハワイで故障した。二か月後にもウィーンで故障している。二回とも長官は民間機での帰国を迫られた。国務長官専用機は2014年に4回故障している。
  9. ボーイングはC-32を空軍に1998年に全4機納入している。757最終号機は2005年4月に上海航空に引き渡され生産終了している。現在同型を運用するエアラインは少なくなり、部品入手が毎年困難になっている。米空軍は2016年3月にボーイングに319百万ドル契約を交付してC-32全機のとC-40(737の軍用仕様)の大修理を2023年までに完了するよう発注している。
  10. 空軍の運用する各機にはきれいな上部白、下部青の塗装以外に衛星通信他ハイテク機器が搭載されている。機内は隔壁で分けられ、前方から乗員の作業部署、長椅子と執務机を備えた小部屋が真ん中に、スタッフの作業部が続き、最後部にスタッフ乗員向けの椅子席が続く。快適とはいえ、贅沢さはなく、新型民間エアライナーの完全フラットシートやプライベート空間とは大きく異なる。■

ISIS「首都」の攻略作戦はまもなく開始される模様


ISIS作戦が順調に進展しているようでそれはそれでいいのですが、この勢力はむしろ地下に潜り脆弱な周辺国の治安を脅かすのではないでしょうか。まるで無法集団のようですが、それこそ自称イスラム国の本質であり、イスラム教を冒とくしているといわれれば何も反論できないでしょう。二度と立ち上がれないように徹底的に粉砕すべきですが、テロとの戦いはこれからも続くでしょう。

 

syriaAFP

PENTAGON OFFICIAL: The assault on the ISIS capital will 'begin in the coming days' ペンタゴン関係者:ISIS首都強襲作戦は「数日以内に開始」


長く待ち望まれていた米支援のシリア勢力によるイスラム国の首都ラッカ解放作戦の開始が数日以内に近づいてきたとペンタゴン関係者がワシントン・エクザミナーに伝えている。
  1. 関係者は匿名を条件に「連中はラッカで全滅する。数日以内に強襲作戦が始まるのではないか」と語った。
  2. ペンタゴンは作戦開始日を公式に発表していないものの、部隊はすべて位置についており、シリア民主軍SDFの手に小火器が渡されており、一般市民はラッカから退去し攻撃に巻き込まれないよう告知されている。
  3. 「SDFはラッカ周囲を包囲しており、北と東方面から各3キロ、西から10キロ地点に位置している」とバグダッドで米軍報道官ライアン・ディロン大佐は述べている。
  4. 「シリア民主軍にはラッカ市民をまず退避させるよう命令が出ている」とディロン大佐は報道陣に伝えた。200千名もの住民がすでに市街に脱出し、難民キャンプ等に避難している。
  5. 米側はシリア武装勢力に小火器、弾薬の配給も始めたが、対戦車砲は非対象だ。
  6. ディロン大佐によれば武器配布は慎重に行われており、攻撃対象に応じた装備に限定している。シリア勢力に渡した装備類のリストはトルコも共有しており、NATO加盟国のトルコは米側がクルド陣勢力に武装装備を渡したことに神経を尖らせている。クルド人はトルコではテロリスト扱いだ。
  7. 米主導の連合軍はここにきて空爆も強めており、ISIS戦闘員の拠点を対象にその他建設装備、火砲、指揮命令拠点を対象に60回近く攻撃しているとディロン大佐は述べている。
  8. モスルに残るISIS戦闘員は1,000名を切っており、占拠しているのは6平方マイルほどになっているが、包囲されており脱出経路はない。
  9. 同市中心部には一般市民80千から150千名が閉じ込められており、イラク軍は熾烈な市街戦を覚悟しているようだ。
  10. モスル市民には自動車や二輪車の運転を差し控えるよう告げられている。自動車爆弾犯と間違えられない工夫で、ISISはこの戦術をもっぱら使っている。■
Read the original article on Washington Examiner. Copyright 2017. Follow Washington Examiner on Twitter. 

2017年6月3日土曜日

★航自パイロット2名がルーク基地F-35養成課程を修了!




以下米空軍第944戦闘機隊のホームページ記事からの紹介です。航空自衛隊ということばも米空軍では親しみを持って発音されている様子がうかがえます。
Members from the 944th Operations Group Detachment 2 “Ninjas” and Japan Air Self-Defense Force, pose for a photo May 18 after the graduating JASDF F-35 pilot’s final flight here at Luke Air Force Base, Ariz. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Louis Vega Jr.)

Members from the 944th Operations Group Detachment 2 “Ninjas” and Japan Air Self-Defense Force, pose for a photo May 18 after the graduating JASDF F-35 pilot’s final flight here at Luke Air Force Base, Ariz. (U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Louis Vega Jr.)

 

JASDF pilots graduate Luke’s F-35 program

By Tech. Sgt. Louis Vega Jr., 944th Fighter Wing Public Affairs / Published May 31, 2017

LUKE AIR FORCE BASE, Ariz. -- 5月20日、当基地で航空自衛隊パイロット二名が養成課程を修了し日本初のF-35パイロットとなった。

  1. 航空自衛隊、944戦闘機隊、ロッキード・マーティンが協力して今回の結果達成が実現した。
  2. 「チームとしてゼロからここまで細かく作り上げた。今回のパイロット2名が当地で学んだことを持ち帰り、日本での導入を効果的に進めるよう祈念する」と944FW司令官カート・ガレゴス大佐が祝辞を述べた。
  3. パイロット二名は日本初のF-35A部隊に配属され防衛能力の増強の一助となる。
  4. 養成課程は約7か月で詳しい座学の他、シミュレーター訓練でF-35の細部に詳しくなってから実機操縦に入り空対空戦、対地攻撃も経験した。
  5. 修了式は簡素に944作戦群第二分遣隊が執り行った。
  6. 「航空自衛隊初のF-35パイロットが課程修了したのは日本のF-35運用で大きな一歩だ。当第二分遣隊「ニンジャズ」にも同様に意義深い」と944FW Det.2指揮官ショーン・ホラハン中佐が述べている。「養成課程の立ち上げにはすべての面で集中し、座学、機体整備、飛行運用まですべてを網羅した。その結果、本日航空自衛隊パイロット2名が課程を修了し、人口126百万人の同国初の第五世代戦闘機操縦パイロットになった。誇りをもって両名を友と呼びたい」
  7. 課程修了は予定より二週間早まった。優秀な整備により教官パイロットが訓練を順調に進められたためだ。
  8. 944FWは今後三組の航空自衛隊F-35パイロットを養成する。海外軍事販売事業FMSではF-35整備員の養成もロッキード・マーティン協力により実施する。
  9. 「世界規模の戦略的意義を兼ね備えた事業に参画出来て名誉に思う。来年にも引き続き航空自衛隊パイロット養成をし、その後韓国の友人を迎える」(ホラハン中佐)
  10. ルーク基地には6個飛行隊144機のF-35が配備される予定でFMSによるパイロット養成を日本以外にイスラエル、韓国さらに共同開発国のオーストラリア、イタリア、ノルウェー、トルコ、オランダ、デンマーク、カナダ向けに行う。■

歴史のIF(3)冷戦初期の米空軍はソ連をこのように核攻撃するつもりだった


歴史のIF(3)です。まだICBMが戦力になっていなかった1950年代-1960年代初頭は有人爆撃機が飛び回るという構想だったのでしょう。米空軍も被害は覚悟でソ連空軍力をまず除去するつもりだったようですね。ただし放射性降下物の被害などは考慮外だったらしく壮大な破壊絵図を想定していたはずです。

This Was America's Secret Cold War Strategy to Nuke Russia Back to the Stone Age 冷戦時の核戦争計画はロシアを石器時代に戻す構想だった


May 30, 2017

  1. 冷戦が核戦争になっていたら米国とソ連両国は完全に廃墟になっていたはずだ。
  2. ロシアのどの都市が破壊対象だったのか、その理由がわかってきた。米政府が1950年代の戦略空軍(SAC)による目標リストを開示しており、それによると米国には爆撃機、ミサイルで共産圏全般を核攻撃する意図があったのがわかる。
  3. 「SACはソ連圏で東ドイツから中国まで都市1,200か所を目標とし、優先順位も決めていた」とNGO団体国家安全保障アーカイブが解説している。同団体は機密解除文書の開示を請求した。「モスクワ、レニングラードが優先目標第一位第二位だった。モスクワには179か所の指定爆撃地点(DGZ)があり、レニングラードは145か所で、「人口密集地」の標的も含まれていた」
  4. ただし攻撃案は過剰爆撃や恐怖をあおる爆撃ではなかった。少なくとも理論上は。核の狂気の裏には一定の方法論があった。SACの設定した優先順位はソ連空軍力の破壊が第一で、ソ連爆撃機(ICBMがまだ未整備の1960年代のこと)が米本土、欧州の攻撃に出撃できなくする狙いがあった。空軍基地1,100か所が優先攻撃目標となり、Tu-16爆撃機基地が最上位だった。ソ連空軍力を破壊した後はソ連産業基盤が次の攻撃目標だった。
  5. また一般国民も標的だった。SAC標的リストでは1956年版でまた1959年度核兵器攻撃案で意図的に人口密集地を入れている。
  6. SAC戦争案では「系統だった破壊をソ連圏の大都市工業地帯に想定し、北京、モスクワ、レニングラード、東ベルリン、ワルシャワを筆頭に都市圏を狙うとしていた」と同団体研究員が解説している。「意図的に大都市圏を標的にすることは今日の国際規範に合わない」
  7. 文書は800ページにわたり標的リストをABC順に乗せている。SAC立案部門は1959年にB-52、B-47合計2,130機を動員するほか、RB-47偵察機、F-101戦闘機を援護に充てる想定だった。さらに核弾頭付きの巡航ミサイル、爆撃機発射ミサイルが376発あり、一部だが初期の大陸間弾道ミサイルもあった。1959年ではミサイルの命中率は有人爆撃機より劣るとし(ICBMが開発中のため)、あくまでも爆撃機が攻撃の中心だった。
  8. SACはソ連空軍力を早期に排除する方針で水爆投下は空中ではなく地上で爆発させていただろう。空中爆発の方が熱、放射線の被害は大きくなるが、最大限の爆発効果でソ連空軍の壊滅が重要とされた。その場合、予想外の副次効果は避けられなかったはずだ。「地上爆発で生じる放射線効果や降下物で友軍や同盟国にも影響が及ぶため反対する意見も考慮されたものの、空軍力による勝利を求める動きがすべてに優先していた」とSAC自身が研究内容で認めている。
  9. ただしSACはソ連空軍力を極めて広範囲にとらえており、指揮命令所の他産業中心地もソ連空軍作戦を支えるとして含めていた。そのため軍事司令部、航空機ミサイル工場、核兵器研究所や石油精製所がすべて網羅されていた。
  10. 核時代の空軍力とはいえSAC戦略は第二次大戦中のドイツ、日本爆撃作戦に通じるものがあった。ソ連空軍や関連産業施設の攻撃構想はB-17やB-29の作戦同様で、当時のSAC上層部は戦中の関係者が多く、司令官カーティス・リメイもその一人だった)長期戦を覚悟する傾向が見られ、まるでソ連は初期攻撃を受けても爆撃機、核兵器の生産を大量に続けけられると見ているようだった。ミサイルがあまりにも信頼性が低く、頼れるのは有人爆撃機機だけとの考え方はあたかも今日の無人機対有人機論争を思い起こさせる。
  11. SAC攻撃構想は道理にかなっていたのだろうか。答えを知る必要が生まれなかったのは人類全体にとって幸運なことと言わざるを得ない。■
Michael Peck, a frequent contributor to the National Interest, is a defense and historical writer based in Oregon. His work has appeared in Foreign Policy, WarIsBoring and many other fine publications. He can be found on Twitter and Facebook.
This first appeared in December 2015.

2017年6月2日金曜日

5月31日、新型空母フォードを米海軍が受領


米海軍としてはやれやれというところでしょう。発電容量を大幅増加させているのは将来のレーザー等新兵器を見越しているのでしょう。フォード級は三隻の予定ですが、途中でニミッツ級と交代していきます。なお、三号艦はエンタープライズとなります。

Sailors man the rails as the Gerald R. Ford returns to Norfolk on April 14, 2017, after conducting builder’s sea trials. The first-of-class ship is the first new U.S. aircraft carrier design in 40 years. Mass Communication 3rd Class Matthew R. Fairchild/NavySailors man the rails as the Gerald R. Ford returns to Norfolk on April 14, 2017, after conducting builder’s sea trials. The first-of-class ship is the first new U.S. aircraft carrier design in 40 years. Mass Communication 3rd Class Matthew R. Fairchild/Navy

At Long Last, Supercarrier Gerald R. Ford Delivered to the Navy ついにスーパー空母ジェラルド・R・フォードが海軍に引き渡された

POSTED BY: HOPE HODGE SECK JUNE 1, 2017


  1. 建造に8年かかり、三隻建造する新型空母の一番艦が海軍に引き渡された。ジェラルド・R・フォードがハンティントン・インガルス工業から5月31日夜に納入され、今年夏の就航に一歩近づいた。
  2. 「大きな意味のある夜になった。ジェラルド・フォードにはほぼ10年間かかりきりだったので」とトム・ムーア中将(海軍海上システムズ本部司令官)が戦略国際研究所に集まった聴衆に6月1日に語っている。「受領前公試は大変うまく行った。海軍は昨夜フォードを受領した」
  3. フォードはニミッツ級10隻に続く新型空母でニミッツ級最終艦ジョージ・H・W・ブッシュは2009年に就航していた。フォード級はニミッツ級とほぼ同じ大きさだが、小型艦橋、エレベーター数削減などの工夫で搭載機数が増えている。
  4. 新技術も数々導入されており、電磁式航空機発進システムEMALSや高性能拘束ギアがテストの遅れや予算超過で話題となっていた。
  5. フォードは2014年引き渡しの当初予定が2016年に変更されていた。だがその後さらに日程は先送りされたのはテストの遅れとともにペンタゴンの兵器試験部門が新技術の成熟度が低いと懸念を表明したためだ。
  6. 新技術でとくにEMALSカタパルトが再びニュースの話題になったのはドナルド・トランプ大統領がTime誌インタビューで新技術は高価格すぎかつうまく作動しないので旧式装備に戻すべきと発言したためだ。
  7. 海軍関係者は二号艦以降で電磁式を蒸気式に戻す予定はないと発言しているが、退任近づく海軍長官レイ・メイバスは昨年末に新技術導入を急ぎすぎたと報道陣に語っていた。「新技術の搭載はもっと時間をかけるべきだった。もともとは当時の国防長官ドナルド・ラムズフェルドが2002年に下した決定だ。この新技術は三隻の新型空母に搭載されるが実効性は未証明のままだった」
  8. 「フォードが艦隊編入されれば威力を証明するはず。しかし如何せん時間がかかりすぎたのは全く新規の技術だからで一番艦に搭載すべきではなかった」(メイバス長官)
  9. このため建造費用が105億ドルから130億ドルに急増している。だがフォード級は艦隊に新戦力となる。
  10. 海軍関係者によればフォードは航空機発艦回数を三分の一増加させ艦内の発電容量は三倍に増えるという。
  11. 海軍は原子炉を50年間燃料交換不要にするつもりだったがこの技術の費用が高すぎるとわかったとムーア中将は明らかにした。それでもフォードは次回燃料交換は2040年まで不要となるという。
  12. 正式就役前に、フォードは来月「試運転」して乗員の習熟度を上げる。さらに入港時に海軍は追加作業を仕上げながら不具合点をつぶす。フォードは2020年に作戦可能となる。
  13. 二号艦ジョン・F・ケネディは建造が最終段階にあり、2020年に引き渡し予定だ。■

以下は米海軍による公式発表です
WASHINGTON (NNS) -- The Navy accepted delivery of the future USS Gerald R. Ford (CVN 78) aircraft carrier in Newport News, Virginia, May 31.

Delivery followed the ship's successful completion of acceptance trials May 26.

"Congratulations to everyone who has helped bring CVN 78 to this historic milestone," said Rear Adm. Brian Antonio, program executive officer for aircraft carriers. "Over the last several years, thousands of people have had a hand in delivering Ford to the Navy -- designing, building and testing the Navy's newest, most capable, most advanced warship. Without a doubt, we would not be here without the hard work and dedication of those from the program office, our engineering teams and those who performed and oversaw construction of this incredible warship. It is because of them that Ford performed so well during acceptance trials, as noted by the Navy's Board of Inspection and Survey."

"Well done to our shipbuilding partners, Ford's crew and everyone who supported them," said Vice Adm. Tom Moore, commander, Naval Sea Systems Command, who also embarked for acceptance trials.

Ford is the lead ship of its class and the first new-design aircraft carrier delivered to the Navy since USS Nimitz (CVN 68) in 1975. It is also the first aircraft carrier to join the fleet since USS George H. W. Bush (CVN 77) delivered in 2009. The future USS Gerald R. Ford honors the 38th president of the United States and pays tribute to his lifetime of service to the nation in the Navy and in the U.S. government.

The next generation of aircraft carrier, the Gerald R. Ford class delivers unprecedented flexibility to the fleet. Due to a larger flight deck, the ability to host more aircraft, additional weapons and aviation fuel storage, and the Electromagnetic Aircraft Launch System and Advanced Arresting Gear, Ford will be able to increase sortie rates by one-third when compared to the Nimitz class. Further, the Navy's newest aircraft carrier generates three times the amount of electricity as previous classes and is designed to rapidly add capabilities as new systems become available over the course of its projected 50-year service life.

Ford will be commissioned into the fleet this summer, formally placing the ship into active service. Following this, there will be a "shakedown" period where the ship will conduct several at-sea events to provide longer underway periods for the ship's crew to operate and train on ship's systems. In addition, planned deferred work will be performed, and any deficiencies identified during trials will be addressed during in-port periods.

Ford is expected to be operational in 2020 following achievement of initial operational capability.



For more news from Naval Sea Systems Command, visit www.navy.mil/local/navsea/.