2018年2月2日金曜日

中国が艦載早期警戒機の開発を進める理由

US stealth jets should be worried about China's new unarmed eye in the sky 米ステルス機が警戒すべき中国の非武装機材はこれだ


Concept art of the KJ-600 Weibo via South China Morning Post

  • KJ-600は空母運用を想定した早期警戒機
  • 同機はステルス機探知可能な電子装備を搭載するはず
  • 同機開発は中国空母が中国領土から離れてた地点での運航を想定している証拠


国が空母運用型の早期警戒機を開発中で搭載レーダーはステルス機探知能力があると軍事観測筋が指摘している。
国営メディアが初の空母搭載早期警戒機KJ-600の開発を今週認めた。この発表は米国がF-35を日本国内ほかアジア太平洋に昨年から展開して中国の防空体制に挑戦している中で行われた。
中国の軍事観測筋によればKJ-600には高性能アクティブ電子スキャンアレイAESAが搭載されF-22やF-35の探知は可能だという。
北京在住の専門家Li Jieは新型機は空中指揮統制機能も提供すると述べる。「AESAでステルス機が遠距離で探知可能となる」
また米国との兵器ギャップが埋まり中国の空母戦闘群の戦闘力が高まる期待が生まれる。(Li)
KJ-600は中国が上海で建造中の空母三号艦から運用されそうだとLiが述べる。同艦は高性能の電磁発艦システム(EMALS)を搭載し、スキージャンプ式ランプの中国空母初期二隻より高速発艦が可能となる。
米国内のウェブサイトEastern Arsenalが昨年にKJ-600について触れており、西安航空機が製造し機体重量25から30トン、双発ターボプロップ機で機体上に大型AESAレーダーを搭載するとしていた。
軍事観測筋によればKJ-600の写真はE-2ホークアイに酷似している。
これも北京の軍事専門家Zhou ChenmingによればKJ-600搭載のレーダーはE-2並みの性能だという。「KJ-600の最大の利点はレーダー、通信ともに高性能化されており、より広い周波数帯で探知し、ステルス機も一定の角度からなら探知可能だ」
現時点の中国空母戦闘群は艦載監視レーダーしかなく有効半径も地球の湾曲で制限される。
シンガポール南洋大学のS・ラジャラトナム国際研究所研究員コリン・コーCollin KohはKJ-600開発は中国が遠方で空母群運用を狙う意図があると述べる。「中国空母群が本国近辺での運航を想定するなら、陸上配備の早期警戒機の支援をあてにできるはずです」
「でも艦載早期警戒機開発をめざすということは人民解放軍海軍の空母戦闘群の運用想定が遠隔地であることを意味します。現在より効果的な早期警戒機能が必要ということですね」
中国の専門家両名はKJ-600が中国空母一号艦二号艦の供用可能性で意見が分かれる。
Liは偵察ヘリコプターがあれば十分としZhouはKC-600に使い切りロケット推進装置を使えばスキージャンプ方式でも発艦可能と見る。■
Read the original article on South China Morning Post. Copyright 2018. Follow South China Morning Post on Twitter.
上に載せたのは想像図ですが、ここまでE-2に似せる必要があるのでしょうか。自動車では平気で外国車のコピーをする国ですが、ここまでとは....ソ連時代のロシアも西側機そっくりの機体を平気で作っていましたねえ

2018年2月1日木曜日

★見えてきたF-22改修の内容。2045年まで(以降も)最強の戦闘機とするために米空軍が考えていること。

The Air Force Has a Plan to Guarantee the F-22 Dominates the Skies Until 2045 (Or Longer) 

米空軍はF-22を2045年(以降も)空の支配者とすべく改修策を実行する





January 31, 2018


空軍は「アジャイルソフトウェア開発」をF-22ラプターに応用して新型センサー、レーダー、エイビオニクス、高性能兵器等の迅速導入を図る。
ラプターアジャイル性能実現事業Raptor Agile Capability Release (RACR)と呼ぶこの搭載戦略は空軍長官ヘザー・ウィルソン自らが率いて新型ハードウェアソフトウェア改修を迅速に実現し、F-22の優位性を維持するのが目的だ。
F-22では新ソフトウェア3.2B改修に向かっており、戦闘攻撃能力の引き上げを狙い、「AIM-120D及びAIM-9Xの搭載で戦力を向上させる」と空軍広報官エミリー・グラボウスキ大尉 Capt. Emily Grabowskiが語る。
空軍は新装備を3.2B改修テストで試射しておりエグリン、ネリス、ヒル、ティンダルの各空軍基地で評価作業中だ。
空具開発部門は具体的な脅威対象を実名であげていないが、もちろんロシアの防空体制の向上、ロシアと中国の第五世代戦闘機開発が念頭にある。
「迅速に進めてラプターが将来遭遇するであろう脅威に対抗できるようにします。契約形態を変えてリスクを受け入れた形で空軍が求める優先事項に対応していきます。性能は漸増させていきます」とロッキードでF-22を担当するケン・マーチャントKen Merchant副社長は語る。
グラボウスキ大尉はテスト評価段階は今年夏に完了すると述べている。
「新ソフトウェア、ハードウェアを兵装システムに統合する挑戦では大掛かりなテストが必要です。コードも50万行を超え、ハードウェアをサポートして初めて航空機に投入できるのです」(グラボウスキ)
3.2BでF-22はAIM-120DおよびAIM-9X空対空ミサイル運用が可能となり、同時に対地標的照準技術が向上する。現時点のF-22が搭載するのはAIM-9Xブロック1でソフトウェア改修でAIM-9Xブロック2運用が可能となる。
レイセオンのAIM-9X開発陣によればブロック2で信管が再設計されデジタル点火安全装置が付くことで地上での取扱いとともに飛行中の安全が高まる。ブロック2では電子装置も改良され発射後のルックオン機能でデータリンクで視程外交戦も可能となると同社は説明。
AIM-120Dの発射も可能となる。これは視程外運用可能な高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)で全天候昼夜問わず発射できる「打ちっぱなし」ミサイルでアクティブレーダー誘導方式だとレイセオン資料でわかる。
AIM-120Dは従来のAMRAAMより射程が伸び、GPS誘導、慣性測距装置、双方向データリンクが付くとこれもレイセオン資料が説明している。
マーチャントはアジャイルソフトウェアアプローチはF-22の「最初に探知し、最初に発射し、最初に撃墜する」技術の維持が目的と述べた。
新型システムや技術が利用可能になった段階で順次導入していけばこれまでのような多年度開発と異なり、「オープンアーキテクチャア」戦略の中核部分になると空軍、ロッキード双方の開発部門が強調している。開発部門もコンピュータコードの追加で迅速さが求められているとマーチャントは述べる。「新ソフトウェアは直ちに機体に投入されアジャイルな民生ソフトウェア環境に応用されます」
流れの加速化で2024年予定のF-22中間改修の道が開く。80年代90年代製のポンプ、バルブ、機体を近代化し適正に機能するようにするのが目的だ。
すべてはF-22が2045年さらにその後も優勢でいられるようにするためだ。
さらにF-22と他機種との相互運用性を引き上げる重要な役割がアジャイルソフトウェア改修に期待される。LINK16データリンクでF-22から標的情報を無線を使わずに他機種に送ることが中心だとマーチャント、ブラボウスキ両名が語る。
「こちらの暗号が破られれば交信内容が傍受されます。LINK 16送信なら音声を使わずに情報共有ができます」(マーチャント)F-22に TACLink 16が搭載されればF-22からF-35、 F-16、 F-15等への送受信が可能となるとグラボウスキは説明。
F-22は2005年に作戦投入可能となり、多用途戦闘機としてステルス性能を生かしてレーダー探知を逃れマッハ2飛行を「スーパークルーズ」で実現する。スーパークルーズはアフターバーナーなしで実現する超音速飛行で、F-22のエンジン推力と機体空力特性あっての性能だ。

F-22はプラット&ホイットニーF119-PW-100ターボファンエンジン双発でアフターバーナーも備える。全翼幅44フィートで最大離陸重量は83千ポンド超。■

速報 SM-3ブロックIIA迎撃実験に失敗 



失敗をあざ笑うような報道が出かねませんが、実験は実験です。ただ、SM-3ミサイルが日米共同開発であること、発射したのがイージスアショアであることなど背景をちゃんと報道しているのでしょうか。素人には難しすぎると判断しているとすれば嘆かわしいことです。


Breaking News

Another US Navy ballistic missile intercept reportedly fails in Hawaii

米海軍弾道ミサイル迎撃実験に再び失敗、ハワイで


 By: David B. Larter    


WASHINGTON — ハワイのイージスアショア施設から発射したSM-3ブロックIIAは弾道ミサイル迎撃に失敗したとCNNが報道した。
 事実ならレイセオン製ミサイルで二回目の失敗となる。北朝鮮が核ミサイルでの米本土攻撃能力を着々と整備する中、対応が停滞する。
 ミサイル防衛庁広報官マーク・ライトはコメントを拒んでいる。
 「ミサイル防衛庁及び米海軍がイージスアショアミサイル防衛テスト施設(AAMDTC)から実弾発射テストをスタンダード-ミサイル(SM-3ブロックIIAをハワイ・カウアイの太平洋ミサイル発射施設から31日午前に行った」とだけライトは述べた。
 実験失敗を最初に伝えたのはCNNだった。北朝鮮情勢を考慮して詳しく口外しないよう当局が決めたという。
Officials: US missile defense test failed in Hawaii early Weds. Pentagon not publicly acknowledging key ballistic missile defense test failure & officials tell @barbarastarrcnn there is a decision to not talk about it, in part because of sensitivities surrounding North Korea.
 失敗の原因についてはミサイル本体以外の要素があることに注意すべきだ。標的捕捉・管制用レーダーもあり、海軍のイージスシステムも失敗の原因だった可能性もある。
 SM-3ブロックIIAは6月にも失敗しており、この時は駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ乗員が間違ってミサイルの自爆スイッチを入れてしまった。

 昨年2月の試射ではミサイルは弾道ミサイル標的捕捉に成功している。ミサイルは日米共同開発でレイセオンが製造し北朝鮮等のミサイル脅威の高まりに対応するものだ。■

USSフィッツジェラルドの大修理は本国で工期2年間

 



Navy Destroyer Damaged in Collision Will Take 2 Years to Fix (But Will Get Massive Upgrade) 衝突で損傷を受けた海軍駆逐艦の修理に二年間必要(だが大幅改修も同時に受ける)





January 24, 2018


昨年民間商船との衝突事故で損傷したアーレイ・バーク級駆逐艦USSフィッツジェラルド(DDG-62)はミシシッピ州パスカグーラで修理に入る。横須賀から大型運搬船MVトランシェルフに乗せられパスカグーラに1月19日に到着した。


「フィッツジェラルドはパスカグーラ港で運搬船から降ろされ、海面に移動する」と海軍海上システムズ本部(NAVSEA)が説明している。「その後ハンティントン・インガルス工業造船所内に移す」


修理には相当の工期が必要となるので海軍は乾ドック内で同艦の近代化改修も行う。「復帰作業が広範囲で複雑なため修理期間を活用して船体機械電気関係、指揮統制通信コンピュータ情報関連、戦闘システム関連に加え電子戦装備、レーダー、配電、ガスタービン発電、空調で修理交換を行う」とNAVSEAは述べ、「2019年度に予定されていた改修を今回実施する」


工期はほぼ二年間となる。「2018年に陸上施設で作業を進め、2019年上半期までかかる見込みでその後テスト公試をしてすべての作動を確認し作戦能力を認定する」「復元改修作業の工期は24か月と見ている」(NAVSEA)
ここまでの時間がかかるのは同艦の受けた損傷が大きかったためだ。2017年6月7日、日本近海でフィリピン船籍ACXクリスタルと衝突した。同艦乗員7名が死亡し、フィッツジェラルド右舷上部と喫水線下が大きく損傷した。事故の遠因として乗員が過労気味なうえ艦上訓練に問題があったとされ、艦長は責任を問われている。


海軍は訓練内容の改善とともに乗員の過剰な任務の緩和をはかるが、改善効果が出るのは相当先なので当面の対策も必要だ。■
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

報道はありませんが、本件の補償問題はどうなったんでしょうね。海軍法務部が統一軍法典で処理するのでしょうか。それとも民事交渉? フィリピン船籍ですが日本郵船がからんでいますね。

2018年1月31日水曜日

黒海上空で(またも)ロシア機が米海軍EP-3に異常接近

Russian Su-27 Fighter Buzzes U.S. Navy EP-3 Aries Over Black Sea

ロシアSu-27戦闘機が米海軍EP-3を黒海上空で嫌がらせ






















A U.S. Navy EP-3E Aries II maritime patrol aircraft. US Navy Photo

 By: Ben Werner
January 29, 2018 1:46 PM

THE PENTAGON — 今週月曜日、黒海上空で米海軍EP-3EエアリーズII電子偵察機がロシアのスホイSu-27戦闘機に極めて近い位置まで接近された。

米第六艦隊は「今回の事案は危険飛行と判断する。Su-27はEP-3の飛行進路前方5フィートに接近し飛行進路前方を横断し、EP-3はSu-27の排気で乱気流の影響を受けた」と声明を発表した。「接近飛行は2時間40分にわたり続いた」

今回の事件を最初に伝えたCNNによればロシア機はEP-3Eに5フィートまで接近したが、海軍報道官は両機の距離は確認しなかった。EP-3EエアリーズIIはミッションを終了して基地に帰投したと報道官は述べている。
黒海では以前から危険な接近事例が発生しており、2014年にロシアはクリミア併合後に黒海地方で軍事力行使を大っぴらに行っている。米偵察機や艦船とロシア機の間で発生が増えている。昨年11月25日にはSu-30フランカーが米海軍P-8Aポセイドンに接近飛行し、ペンタゴンは危険行為と判定した。

5月にはSu-30が別のP-8Aにやはり黒海上空で迎撃してきた。報道ではロシア国防省筋が同機は「歓迎行為」をしただけと発言している。米海軍関係者はこの事案は「安全かつプロとしての仕事」と評していた。

2016年9月には黒海でスホイSu-27フランカーがP-8Aポセイドンの10フィート地点を飛行している。

ロシア戦闘機は米海軍艦船にやはり黒海の国際水域で危険な接近飛行をしている。

昨年2月にロシアSu-24の二機編隊が誘導ミサイル駆逐艦USSポーター(DDG-78)の周囲を飛び、「危険かつプロらしからぬ」行為と米海軍は非難した。2014年4月にもUSSドナルド・クック(DDG-75)にやはりSu-24二機が接近飛行し米軍欧州司令部が「危険かつプロらしからぬロシアの飛行行為に深く憂慮する」と声明を発表していた。

以下は米第六艦隊発表の今回の遭遇事件に関する声明。
2018年1月29日、単機飛行中の米EP-3エアリーズが黒海上空の国際空域でロシアのSU-27一機に迎撃された。この事案は危険飛行と判定する。SU-27機がEP-3の飛行進路に5フィートまで接近して横断したためで、EP-3はSU-27のジェット排気の中を飛行した。迎撃は2時間40分に及んだ。

ロシア軍には国際空域で作戦行動する権利があるが、国際基準に従い行動するべきで安全を第一に事故を防ぐべきで1972年に成立した国際領での危険事態予防合意(INCSEA)も基準の一部だ。危険行為は空中衝突の発生頻度を増す。米軍機は国際法に従い飛行しておりロシアを挑発するようなことはしていなかった。

米軍発表の当時の状況

★北朝鮮崩壊後の対処方法をすでに検討している米国、開戦はあり得ないと信じる韓国

 

予想通り北の方が狡猾な手に出て韓国が手玉に取られる様子が世界にさらけ出されていますが、平和だと錯覚しているのは韓国(政府)だけで世界は依然として北への警戒の念を緩めていません。この記事は韓国にも閲覧されていますが、韓国の読者の意見も聞きたいものです。しかし韓国政権は軍事行動にはすべて反対のようですね。ここまで考え抜いている向きが日本にはないのでは。




What Happens After America Destroys North Korea?

米軍が北朝鮮を崩壊させた後に何が起こるか



January 29, 2018

武装した北朝鮮を軍事的にリスク最小で打倒しつつ北朝鮮並びに同盟側の死傷者を低く抑えることは可能だ。だが戦後の朝鮮をどうするのか、また平和の確立という課題が浮上するはずだ。
平和を勝ち取るのと戦闘で勝利することには根本的な違いがある。必要な段取りも心構えも、準備、技量、経験がことごとく異なる。これらはいずれも軍事標準行動では多く語られておらず、占領軍が平和を築けないことはよくある。
ソ連の東欧占領で生まれたのが「ワルシャワ同盟」の抑圧され陰気な「同盟軍」でソ連の支配力が弱まるとばらばらになった各国だ。
ソ連は中国での共産勢力の勝利を助けイデオロギー上の兄弟関係を気づいたが中国(PRC)が核兵器保有するなど20年もしないうちに互角の関係になってしまった。USSRはPRC抑止を目的に1969年から一部核兵力を割き、USSR崩壊の1991年以降は北朝鮮(DPRK)やヴィエトナム支援の手段が枯渇してしまった。
ロシアはG8各国に失望を与え、国境を力で書き換えることは許されないとの共通理解に反する行為をしたため追放された。現在のロシアは非共産国に戻ったが強力な国力を有し西側主要国と互角の存在である。西側は冷戦に勝利しUSSRをバラバラにするのに成功したもののロシアとの平和構築に失敗した。
DPRKを支えようとPRCが介入したが、北朝鮮はむしろソ連に近く、戦闘は大きな代償につき、DPRKは米国の保護を受けた韓国(ROK)、日本に先を行かれてしまった。さらにDPRKはPRCの防波堤として米国に対抗するのではなく、自ら引き金を引いて国連軍の結束を促し、朝鮮半島の非核化を旗印にした戦いの口火を切りそうになっている。
ニクソン大統領が訪中してほぼ50年、中国共産党(CCP)がPRCを導いてきたがイデオロギーや地政学で双方の違いが明らかになりつつある。PRCはCCPによる世界制覇と戦後の自由な国際秩序に代わる体制の実現を助けようとしている。
トランプ政権がこの度発表した国家安全保障、国防、核戦略の核構想では世界を二大勢力の抗争の場ととらえている。ロシア、そしてもっと能力が高い共産中国で、とくにCCPの経済侵略、商業主義戦略と米国とその同盟国の転覆を狙う姿勢は米国にとって高い優性順位が付く課題だ。
同盟各国もロシアもPRCも自由と民主主義を模索していないことを承知している。この関連でPRCをソ連から引き離したことで生まれた1972年から2000年の間のつかの間の優位性はあたかも第一次大戦後のドイツに再軍備を許したのと同様の大きな間違いだったとわかる。
過去事例の教訓から米国や同盟各国はDPRKの非核化は最終的かつ非可逆的な誠実な執行しか受け付けるべきでない。それが無理なら軍事オプションで同じ結果を実現するしかない。前者ならDPRKは存続の可能性が残るが後者はDPRK体制の終焉を意味する。連合軍が軍事行動を実施した場合、PRCがDPRKⅡ型を作るのは認めることはできない。
もしPRCがロシアとともにDPRK非核化を軍事面あるいは陰で阻止しようと試みれば、連合軍は強い反応を示すだろう。そのような試みで限定戦争あるいはDPRKを陰で助けようとすればロシア、中国は世界市場から遮断され、資産凍結、世界金融制度からの締め出しにつながる。その場合、ロシアと中国は経済不況に陥る。
ではDPRK問題で連合国と完全な協力をするとなればPRCとロシアには非武装緩衝地帯となる新しい国家が生まれる。いかなる形であれ両国が干渉すれば連合国にはDPRKをROKが吸収するドイツ方式をとらざるを得なくなる。
韓国統一省からヒントが出ている。ROKは勝利者になる想定はできないようだ。ドイツ統一の教訓は貴重であり朝鮮統一にも応用できるはずだ。
戦後の統一では連合軍が勝利者となっても国内に戦闘員が出現するのを防ぎながら統治効果を最大店にする工夫が必要だ。まず安定させてから変化のスピードを上げていく。
イラク戦争(2003年のイラクの自由作戦)終結後の悲惨な過ちは侵攻軍がイラクを戦闘終了後直ちに占拠しなかったことだ。侵攻軍はイラク軍を打倒したが人口周密地点すべてを占拠できず略奪や妨害行為を発生焦るままにした。政府機関内の略奪行為や職員逃亡で組織機能が崩壊した。政府機能を一から再建する必要が生まれた。
連合軍臨時行政府も悲惨な間違いをしている。イラクの軍、保安部隊、情報部隊やバース党の解体がそれであり、イラク政府の民営化を命じたこともその例だ。無政府状態の市場が生まれ、生活は「厳しく、残虐で、短く」なった
失業し、無休状態の兵士や元政府職員が行ったのは軍装備の盗難で武装集団を作ることで新しく手に入れた自由と無職の身を利用して盗み、強奪、反乱を繰り広げることで、これが今日まで続いている。
イラクと好対照なのが西ドイツで東関係者や軍幹部をうまくたぶらかそうと東ドイツ通貨マルクを好条件で交換した。この取引で組織だった抵抗は東ドイツでは見られなかった。
ROKには豊かな経済があり同様にDPRK関係者にもDPRKウォンの有利な交換率で釣る方法がある。再統一ため交換レートを水増ししても米国がアフガニスタン、イラクで経験した内乱状態が防止できるのなら、わずかな代償にすぎない。
ではDPRK関係者軍当局に現在の職位を多少名前を変えても継承できる保証を与えたらどうなるか。これも多少の負担が生じるが、国内の治安回復には効果が高いだろう。DPRK住民にROKの社会保障制度を享受させるのも経済安定化に重要な対策となろう。
私有財産権がROK対DPRKの決定的な要素になる。新たに自由を手に入れた住民にこれをどう理解させるのか。戦前は使用権しかもっていなかった住民に居住住宅の権利を与える。住宅など保有していなかった住民には建築次第新居を与える証明書を与える。ROKは大規模住宅建築の展開で雇用を創出する経済力がある。
全住民に住宅所有権を与えればROKは簡単に全員を資産保有者にできる。同様に産業界、商業界、農園他を協同組合化し、加盟員を株主にする。行政上は極めて複雑な内容だが、ROK行政組織の能力で十分実施可能なはずだ。
全員を所有者にできれば理論上は素晴らしいが、実践では住民の大部分に教育期間が必要で市場原理や財産をどう守り増やすか教える必要がある。
ロシアの私有財産化での教訓はこうした工程では貧窮した住民が資産を最低価格で売却するのを防ぐ必要を示している。ロシアではこうした売却で寡頭勢力の出現を許し、中産階級の整備を阻害してしまった。
資産所有権の移転を旧DRPK住民に行う際は何らかの制限を課すべきだろう。これで急速な売却処分を防ぎ、物価急騰も避けれるはずだ。
資産を保有しながら一定収入がある階層が生まれるまで教育が必要でこれには時間がかかる。市場原理の導入はあくまでもゆっくりと進める必要がある。時間がたつのは早く感じられるが、中産階級が出現すれば民主主義の基盤となる。
DPRK住民をROK政治体制に組み込むのが難題だ。現時点でROKではDPRKから脱出した住民に市民権を与え、政治参加に何ら制限を加えていないようだ。統一で新たな有権者が出現して特定政党に全員が同調すればROK政治体制を崩壊させかねない。
移行期間中に各政党に「割り当て」を設定しながら旧DPRK住民を組織化するのいい案だろう。つまりDPRK住民をROK政治体制の安定化につなげるよう急に全員を有権者にするのを避けるのである。70年待ったのだから10年くらい待っても問題ないだろう。米国史ではユタ州の事例が政治体制を不安定化させない工夫として参考になるだろう。
地政学も深刻だ。PRCとロシアが安全保障上で心配になるのは当然だ。ROK軍部隊を現在の軍事境界線以北へ進駐させない対応が必要になるかも知れない。ロシアとPRCとの国境線に小規模の警戒部隊を配備するのは合理的な条件になろう。ただし米国、日本、ロシア、PRCがROK国境線を保障する必要が生まれる。
ROKに潘基文(前国連事務総長)のような優秀な人物があれば、自らの手で有望な解決策で各国にも満足のいく方法が見つからるはずだ。
最後に、DPRK内の「ロケット科学者」、核工学、生物化学兵器専門家はROKで雇用する必要が生まれるだろう。ただ厳しく監視し兵器拡散を回避する必要がある。
平和を勝ち取るため連合軍各国はROKとともに軍事オプションを真剣に検討する必要がある。米国はアフガニスタン、イラク、シリアの再来は望まない。連合国は朝鮮半島再建は住民の手にまかすべきである
鮮戦争は恐ろしい悲劇だった。今度こそ朝鮮半島の住民の手による成功を支援し事態を終結させよう。国際社会は一世紀後にこの効果を評価するはずだ。
Danny Lam is a Senior Contributor to Warrior Maven
This article originally appeared on Warrior Maven.