2018年3月26日月曜日

★2017年版世界軍事力ランキング発表 最強の25か国とは----日本は何位?

軍事力データを並べると意外なことがわかりますね。なぜこれだけの軍事費で済んでしまうのかと思える半面、日本がなぜこんな格下のチンピラ国家に脅かされなくてはいけないのか等々。皆さんも考えてみてください。



These are the 25 most powerful militaries in the world — and there's a clear winner 軍事力上位25か国とは----あの国は何位?



Feb. 26, 2018, 8:49 AM


US Marines Syria artillery howitzerUS Marines with the 11th Marine Expeditionary Unit fire an M777 Howitzer during a fire mission in northern Syria as part of Operation Inherent Resolve, March 24, 2017.Photo By: Lance Cpl. Zachery Laning

ナルド・トランプ大統領は任期初年度の軍事力増強を自慢するが、軍事力整備に忙しいのは米国だけではない。2012年から2016年にかけての武器装備の追加は1990年以来最高規模になっている。


武器取引から戦力増大をめざしている国ががわかるものの、軍事力の国別比較はむずかしい。そこでGlobal FIrepowerがの2017年度軍事力ランキングでは50もの要素から計算した戦力指数で133か国を採点した。


このランキングでは各国が保有する武器の種類の多さとともに人員に焦点を当てている。同時に考慮されたのが地理条件、補給能力、国内産業、天然資源だ。


Navy sailors russiaRussian sailors at a farewell ceremony for nuclear-powered cruiser Peter the Great heading to military exercises at sea, in Severomorsk, Russia, March 30, 2010.Lev Fedoseyev/Reuters


核保有国はボーナス得点が付くが核兵器の保有量は考慮に入らない。


さらに陸続きの国では海軍力がなくても減点されていないが、商船隊がないため減点されている。
Countries with navies are penalized if there is a lack of diversity in their naval assets.
海軍保有国も艦艇が偏っていると減点対象となった。


NATO加盟国は理屈の上では共有できる対象があるためボーナス加点をわずかにうけるが、総じて対象国の政治軍事上の指導体制は考慮に入っていない。


「バランスがカギとなる。大規模で強力な戦闘部隊が陸海空に展開し背後に強靭な経済力と防衛可能な国土があり効率の良いインフラが整備されていれば一国の総合戦闘力が高いと言える」とランキングが述べている。


以下、世界最強の軍事力を有する25か国のランキングだ。


25. アルジェリア



戦力指数: 0.4366
総人口: 40,263,711
総兵員数: 792,350
航空機総数 strength: 502
戦闘機: 89
戦車: 2,405
海軍艦艇総数: 85
国防予算 106億ドル


24. サウジアラビア



戦力指数: 0.4302
総人口: 28,160,273
総兵員数: 256,000
航空機総数 : 790
戦闘機: 177
戦車: 1,142
海軍艦艇総数: 55
国防予算 567億ドル


23. 北朝鮮



戦力指数: 0.4218
総人口: 25,115,311
総兵員数: 6,445,000
航空機総数 : 944
戦闘機: 458
戦車: 5,025
海軍艦艇総数: 967
国防予算 75億ドル


22. オーストラリア



戦力指数: 0.4072
総人口: 22,992,654
総兵員数: 81,000
航空機総数 : 465
戦闘機: 78
戦車: 59
海軍艦艇総数: 47 (空母2)
国防予算 241億ドル


21. イラン



戦力指数: 0.3933
総人口: 82,801,633
総兵員数: 934,000
航空機総数 : 477
戦闘機: 137
戦車: 1,616
海軍艦艇総数: 398
国防予算 63億ドル


20. タイランド



戦力指数: 0.3892
総人口: 68,200,824
総兵員数: 627,425
航空機総数 : 555
戦闘機: 76
戦車: 737
海軍艦艇総数: 81 (空母1)
国防予算 54億ドル


19. ポーランド



戦力指数: 0.3831
総人口: 38,523,261
総兵員数: 184,650
航空機総数: 465
戦闘機: 99
戦車: 1,065
海軍艦艇総数: 83
国防予算 94億ドル


18. 台湾



戦力指数: 0.3765
総人口: 23,464,787
総兵員数: 1,932,500
航空機総数 : 850
戦闘機: 286
戦車: 2,005
海軍艦艇総数: 87
国防予算 107億ドル


17. ブラジル



戦力指数: 0.3654
総人口: 205,823,665
総兵員数: 1,987,000
航空機総数 : 697
戦闘機: 43
戦車: 469
海軍艦艇総数: 110
国防予算 245億ドル


16. ヴィエトナム



戦力指数: 0.3587
総人口: 95,261,021
総兵員数: 5,488,500
航空機総数 : 278
戦闘機: 76
Combat 1,545
海軍艦艇総数: 65
国防予算34億ドル


15. イスラエル



戦力指数: 0.3476
総人口: 8,174,527
総兵員数: 718,250
航空機総数 : 652
戦闘機: 243
戦車: 2,620
海軍艦艇総数: 65
国防予算 155億ドル


14. インドネシア



戦力指数: 0.3347
総人口: 258,316,051
総兵員数: 975,750
航空機総数 : 441
戦闘機: 39
戦車: 418
海軍艦艇総数: 221
国防予算 69億ドル


13. パキスタン



戦力指数: 0.3287
総人口: 201,995,540
総兵員数: 919,000
航空機総数 : 951
戦闘機: 301
戦車: 2,924
海軍艦艇総数: 197
国防予算 7 0億ドル


12. 韓国

戦力指数: 0.2741
総人口: 50,924,172
総兵員数: 5,829,750
航空機総数 : 1,477
戦闘機: 406
戦車: 2,654
海軍艦艇総数: 166 (空母1)
国防予算 438億ドル


11. Italy

戦力指数: 0.2694
総人口: 62,007,540
総兵員数: 267,500
航空機総数 : 822
戦闘機: 79
戦車: 200
海軍艦艇総数: 143 (two 空母)
国防予算 340億ドル


10. エジプト



戦力指数: 0.2676
総人口: 94,666,993
総兵員数: 1,329,250
航空機総数 : 1,132
戦闘機: 337
戦車: 4,110
海軍艦艇総数: 319 ( 空母2)
国防予算 44億ドル


9. ドイツ



戦力指数: 0.2609
総人口: 80,722,792
総兵員数: 210,000
航空機総数 : 698
戦闘機: 92
戦車: 543
海軍艦艇総数: 81
国防予算 392億ドル


8. トルコ



戦力指数: 0.2491
総人口: 80,274,604
総兵員数: 743,415
航空機総数 : 1,018
戦闘機: 207
戦車: 2,445
海軍艦艇総数: 194
国防予算 82億ドル


7. 日本



戦力指数: 0.2137
総人口: 126,702,133
総兵員数: 311,875
航空機総数 : 1,594
戦闘機: 288
戦車: 700
海軍艦艇総数: 131 (空母4)
国防予算 438億ドル


6. 英国



戦力指数: 0.2131
総人口: 64,430,428
総兵員数: 232,675
航空機総数 : 856
戦闘機: 88
戦車 249
海軍艦艇総数: 76 (two 空母)
国防予算 457億ドル


5. フランス



戦力指数: 0.1914
総人口: 66,836,154
総兵員数: 387,635
Total aicraft : 1,305
戦闘機 296
戦車: 406
海軍艦艇総数: 118 (空母4)
国防予算 350億ドル


4.インド



戦力指数: 0.1593
総人口: 1,266,883,598
総兵員数: 4,207,250
航空機総数 : 2,102
戦闘機: 676
戦車: 4,426
海軍艦艇総数: 295 (空母3)
国防予算 510億ドル


3. 中国



戦力指数: 0.0945
総人口: 1,373,541,278
総兵員数: 3,712,500
航空機総数 : 2,955
戦闘機: 1,271
戦車: 6,457
海軍艦艇総数: 714 (空母1)
国防予算 1,617億ドル


2. ロシア



戦力指数: 0.0929
総人口: 142,355,415
総兵員数: 3,371,027
航空機総数 : 3,794
戦闘機: 806
戦車: 20,216
海軍艦艇総数: 352 (空母1)
国防予算 446億ドル


1. 米国



戦力指数: 0.0857
総人口: 323,995,528
総兵員数: 2,363,675
航空機総数: 13,762
戦闘機: 2,296
戦車: 5,884
海軍艦艇総数: 415 (空母19)
国防予算 5,878億ドル■


2018年3月24日土曜日

TOAW IVは最新の陸戦作戦レベルのウォーゲーム。プレイしてみてわかったこと

久しぶりのゲームレビューです。作戦レベルのウォーゲームhe Operational Art of War IVですがむかしあったAncient Art of War とつながっているのでしょうか。インターフェースは机上軍事演習のようでとてもハードな感じです。Harpoonは面白かったですね。アイスランドをソ連攻撃から守るシナリオが一番面白かったですが、この新しいゲームはどうでしょうか。

I Invaded Grenada in ‘The Operational Art of War IV’ ゲーム「The Operational Art of War IV」でグレナダ侵攻をしてみた

Gamers have their pick of 20th century battles in TrickeySoft's 2017 sim TrickeySoft販売の同ソフトで20世紀の戦闘を再現できる

I Invaded Grenada in ‘The Operational Art of War IV’

March 23, 2018 Robert Beckhusen



番尋常でないシナリオを選んだ。1983年にハドソン・オースティン率いる軍事政権がグレナダ軍少数とキューバ軍事顧問で米海兵隊、陸軍レンジャー部隊、海軍SEALチームの侵攻に抵抗し、その後カリブ海各国が派遣した平和維持部隊と対戦した事例だ。しかも一貫して米空軍が支援していた。
数ターンで終了した。レンジャー部隊がポートサリネスを占拠し幽閉されていた米大学生集団を保護した。この解放がシナリオで重要な目的だ。わがレンジャー部隊と海兵隊は士気が低下したグレナダ軍を中央の山地に閉じ込めた後で制圧した。今回の侵攻作戦はマップ上の数ボックスを移動するだけで終わってした観がある。
これがThe Operational Art of War IV (TOAW IV)で2017年11月にTrickeySoftから発売開始されたコンピュータゲームで、2006年のカルト的前作に続くものだ。シリーズは1990年代にさかのぼる。
TOAW IVにはちょっと変わった点がある。それはゲームの視点で普通のウォーゲームでは三つの「レベル」がある。戦術、作戦、戦略だ。軍事理論では19世紀プロシアの将軍クラウゼヴィッツの大著にならい戦争をこの区分で概念化している。
ウォーゲームのほとんどは戦術レベルでCall of DutyCombat Missionがその例だが、プレイヤーは戦場で敵に攻撃を与える。ミッションでは目標の占拠、敵文書の奪取あるいは塹壕にひそむ敵部隊の掃討となる。戦略ゲームの例がHearts of Ironシリーズで一国の資源全部が関係し戦術は全く関係なくコンピューターがすべてを抽象的にデータとして準備する。
その中間が作戦レベルだ。また中間だからこそウォーゲームではいろいろな要素が含まれることが多い。たとえばHearts of Ironでは戦略と作戦の両方が含まれる。
エジプト軍とイスラエル軍、六日間戦争開始時。TrickeySoft capture


The Operational Art of War IV では作戦を中心としこれまでのゲームより圧倒的に細部にこだわっている。プレイヤーは師団、連隊、大隊をそれぞれマップ上で四角アイコンで表示して移動させる。ボードゲームでの移動と同じだ。ターン制で敵と交互に動かす。地形、天候、補給が重要な要素で前進できるか、足を阻まれるかが変わる。
だがTOAW IVが本当にすごいのは陸上戦の市販ソフトの中で最も興奮させられる内容があることでそれには二つの理由がある。
TOAWシリーズでは20世紀の戦闘を主にあつかい、シナリオには世界大戦時のものもある
TOAW IVにはあまり著名でない武陵衝突事例も含まれ、その例として1972年のトルコによるキプロス侵攻、1995年のロシアによるチェチェン侵攻、ユーゴスラヴィア内戦があるが、さらに架空シナリオとしてヨーロッパでの第三次世界大戦、1962年の米国によるキューバ侵攻もあり、後者ではソ連部隊が実際よりやや強く設定されており侵攻は簡単ではない。
キューバとソ連側のプレイヤーは米軍侵攻を完全に防げないが腕がよければ侵攻軍をシエラマエストラで釘付けにできるだろう。筆者はグレナダ侵攻軍でプレイしたがハドソン・オースティンの政府軍には運がなかった。
同様の内容のゲームを多数知ってしるわけではないがTOAW IVのシナリオ集は作戦レベルに相当こだわっていると断言できる。また1960年代に通用した軍事原則が1940年代でも通用する。さらにさかのぼれば19世紀もあるがゲームのエンジンは正確にモデル化していない。逆に21世紀に限ればCommand: Modern Air / Naval Operationsの方が優れているだろう。このゲームではロシアのカリバー巡航ミサイルがカスピ海からシリアに向けて発射されたりする。
だがTOAW IV は20世紀に関する限りほとんどの場合忠実に再現している。
TOAW IV に興味を覚える二番目の理由はその設定にある。時間の設定だ。
戦闘の勝敗はいかに統制するか並びにテンポ次第だ。ただしターン制のウォーゲームの大部分では時間の再現が弱い。
一般のウォーゲームを見てほしい。プレイヤーがターンで大隊を攻撃に向けると、コンピュータがデータで戦闘を発生させる。
プレイヤーが戦闘に勝利すると、大隊は自動的に敗れた敵がいた場所へ移動する。大隊は「ポイント」を使い果たしもう動けないし攻撃もできないターンは一日に相当する。
これはこれで理屈に合う

第一次大戦中の東部戦線。TrickeySoft capture

だがプレイヤーがここで二番目の大隊を選択して攻撃に向かわせたらどうなるか。あらたに空いた場所の先に移動させて敵に圧力を加えるとする。ターンが終わるまでこれを繰り返し大隊全部を動かす。
一見するとわかりにくいが実はここに概念上の問題がある。
最初の戦闘がいつまで続いたのか。実際には午前中に決着がつかず午後さらに夜に伸びていたかもしれない。だがゲームでは二番目の大隊の「ポイント」が全部残っており移動したり戦闘するのは最初の戦闘が終わってからなのだ。
その結果として一日かかる戦闘もあれば三時間で片が付く戦闘もあり、補給が行き届いて疲れていない部隊なら敵陣内を12時間移動できるだろう。作戦レベルのゲームの大部分でこれが可能だが全力移動だと理屈にあわないこともある。
そこでTOAW IVではややこしいがそれよりはましな仕組みになっている。
ターンは10ラウンドに分かれる。大隊に10ラウンド分の移動を命じると攻撃できなくなる。別の部隊に攻撃を命じるとボックスが画面に出てきて敵兵力を考慮した戦闘時間がわかる。実際には敵部隊が戦闘するつもりなのか、撤退するかで長くかかることもある。
また戦闘をあまりにも早く決着させるかわりにTOAW IVではプレイヤーはターン中に次の戦闘の作戦の立案が可能となっている。5ラウンド分の戦闘は戦場全体で計画可能で「解決」ボタンを押してもまだ5ラウンドを移動や戦闘に使うことが部隊すべてで可能だ。
以上はごく簡単な説明で筆者もゲームの仕組み全体をまだ理解できていない。だが12時間かかるところを3時間ですますのはこのゲームでは不可能だ。The Operational Art of War IV では各ラウンドをうまく立案する必要がある。だから筆者はグラナダを選んだ。最小限の抵抗しかないからで一回目のシナリオとして最適だ。

どうでしょうか、このゲームは以下のURLでダウンロード購入が可能で4500円くらいだそうです。
興味のある方は試されてはどうでしょうか


あなたの知らない戦史シリーズ③ ラオスの秘密基地リマ85をめぐる米軍と北ベトナム軍の攻防戦


あなたの知らない戦史シリーズ③ ラオスの秘密米軍基地を攻略した北ベトナム軍

 

Revealed: 50 Years Ago, a Top-Secret U.S. Base Was Overrun By Elite Vietnamese Commandos 発掘、50年前にトップシークレット米軍基地がエリートベトナム決死隊に占拠された


Valorous TV



March 20, 2018


1968年3月12日、ラオス山頂の極秘米軍基地がベトナム特殊部隊に占拠される事態が発生した。基地にいたCIA、空軍要員18名のうち脱出できたのは6名のみだったが以後30年にわたりこの事件は秘密のベールに包まれた
ラオスでの米軍の作戦行動は禁じられていたためだ。ラオスは内戦で荒廃し王党派の右側勢力がパテトラオ共産主義勢力と対立し後者を北ベトナムが支援していた。北ベトナムはラオスからホーチミン街道経由で南ベトナムに侵入していた。ただし1962年に米国、北ベトナム、ラオス各派は平和条約を調印しラオス国内から自国軍をそれぞれ撤退させた。
ただし北ベトナムは部隊一部のみ撤退させただけで米国も相当の軍事援助を王党派に供与し秘密のうちに大規模空爆作戦をバレルロール作戦として開始した。機材はベトナム、タイ両国内の基地からラオスに入り、CIA運営の契約業者と「エアライン」のエアアメリカが輸送機、観測機をラオス国内で運用した。
CIAは現地で少数派モン族を雇いパテトラオと戦わせた。このためCIAはプーパティPhou Pha Thiの険しい山頂に基地を設営した。ここはモン族の聖地であり同時に北ベトナム国境近くという戦略上の要所でもあった。
同基地はラオス国内に多数設営された「リマ施設」の一つで米軍等の空輸補給を支援する役割があった。施設は海抜5,600フィートに作られ周囲は切り立った崖だった。700メートルの小滑走路がふもとに作られ補給や人員の交代用に使われた。毎週秘密のうちにCH-3ヘリコプター(米空軍第20ヘリコプター飛行隊)が飛んできた。
1966年夏に米空軍は同基地リマ85に新しい役目を思いつく。レーダー航法TACAN拠点として発電機、トランスポンダーを持ち込んだ。GPSの前はTACAN施設が軍用機の目標捕捉を助けており、とくに低視界時に重宝がられた。1967年にはTSQ-81アンテナ・遠隔爆撃支援装備で米軍爆撃機を運用していた。
ハノイはリマ85秘密基地からわずか135マイル先で米軍機を非常に正確に北ベトナム空襲に誘導できた。空爆にはF-105戦闘爆撃機から巨大なB-52まで機材多数が投入されていたため同基地は空爆効果の増大に重要だった。わずか半年でリマ85は北ベトナムとラオス国内の空爆の25パーセントから55パーセントまでを指示誘導するまでになっていた。
ラオス皇太子スワナが米軍要員のラオス国内入りを拒否したため、リマ85配属の米空軍要員は一次的に除隊手続きをしてからリマに赴いた。これは「消毒」と呼ばれ笑いものだった。技術要員は非武装だったがその後小火器を備えた。代わりにCIA支援を受けたモン族武装兵が大隊規模で基地周辺を固めた。またタイ国境警備隊も同山周囲に展開していた。
リマ85は米国一般国民から存在は隠されていたが、パテトラオや北ベトナム正規軍(NVA)には存在と役割は秘密ではなかった。偵察隊が1967年12月に基地防衛体制を探り、1968年1月12日にはAn-2複葉輸送機が主翼下の57㎜ロケット弾と120㎜迫撃砲弾を機体側部の扉から投下してリマ85を攻撃した。モン族4名が死亡した。米軍UH-1一機が緊急発進し輸送機を阻止しようとし、AK-47で一機撃墜に成功した。これはヘリコプター対航空機での撃墜として珍しい事例だ。別のAn-2も地上火災か退避行動をとるのが遅かったため墜落した。
基地は1月30日に迫撃砲攻撃を受け、2月18日にモン族戦闘員がNVA砲火観測員部隊を待ち伏せ攻撃し殺害しており、基地攻撃案を回収した。米軍指導部は同基地が孤立し優勢な敵軍に包囲され攻撃を受けるのが分かっていたがTACAN支援は重要な機能のためウィリアム・サリヴァン大使は撤収命令に難色を示した。十分な防御対策を提供できないまま、基地内の技術要員の安全のため周囲にひそむ共産軍に空爆多数を仕向けた。
北ベトナム第41特殊軍大隊の選りすぐりの決死隊が登頂不可能と思われていたプーパティ山北側を1月22日にひそかに上り、潜入ルートを調査した。3月初めに33名の小隊がチュオン・ムオTruong Muo中尉指揮下で同山付近に集結し工作隊9名が加わった。決死隊はAK-47、SKSカービン銃、爆薬、高性能手りゅう弾、ロケット推進手りゅう弾発射機3丁で武装した。
3月11日午後6時、砲兵隊が掩護射撃しチュオン隊偵察兵がリマ85への進入路を確保した。数時間後にNVA766連隊正規兵とパテトラオ大隊が攻撃開始しモン族民兵を谷間で包囲した。同日午後9時にチュオン隊が断崖を登り始め5つの「細胞」に分かれ多方面から攻撃開始した。第一細胞・第二細胞は指令所に攻撃を集中し、第三・第四細胞はTACAN施設と滑走路の占拠を目指した。第五細胞は予備として待機した。
基地要員が砲撃を報告したがサリバン大使は攻撃規模が圧倒的と判明するまでは撤退を命じないこととした。翌朝午前8時に大使はヘリコプターと航空支援を送り要員退避を守ろうとした。
これは遅すぎた。チュオン隊は午前3時にモン衛兵詰め所を制圧しTSQ-81レーダー、発電機はロケット推進手りゅう弾で破壊した。基地司令クラレンス・バートン少佐他空軍技術要員が被害状況を確認しようと外に出ると銃撃を受け動けなくなった。午前4時までに三個細胞がそれぞれの任務対象を占拠し、装備の一部はチュオンの命令で崖から落とされた。第四班のみ滑走路周辺を守るモン族二個小隊の抵抗を制圧できず攻撃を断念した。
米側生存者は断崖側部の棚に逃げ、手りゅう弾小火器の銃火をあび動きがとれなくなった。ライフルで反撃しながら崖上部の空爆を待った。
夜明けになりエアアメリカのヘリコプターがA-1スカイレイダーの援護で山頂を銃撃した。モン族部隊はCIA指揮を受けNVAからTACAN奪回のため激烈な戦闘を挑んだ。北ベトナム軍小隊が占拠は変わらず米空軍技術要員5名とCIA要員2名がこの間に脱出した。
崖に残っていた空軍要員のうちリチャード・エッチバーガー上級兵曹長は救難ヘリコプターに乗るのを拒み代わりに負傷した同僚を運ばせた。だが兵曹長は銃火を浴び瀕死のまま搬送されたが、共産軍はプーパティ山を制圧しモン族部隊の反攻も撃退した。
リマ85強襲で米軍の北ベトナム・ラオスでの航空作戦は大きく弱体化した。ベトナム側記録では決死隊の被害は死亡一名のみなのにタイ・モン側の少なくとも42名を殺害した。米国人も十数名死亡している。ただしチュオン中尉は帰国後すると英雄として歓迎のかわりに軍法会議にかけられた。TACANを破壊し、技術要員を捕虜として確保せず殺害したことに上官が激怒したのだ。
皮肉にもワシントンとハノイはラオスでのこの戦闘を秘密にすることで協力し合った。北ベトナムにはホーチミン街道をラオス国内経由で維持する必要があり、米軍はそれを阻止したかった。双方が合意違反をしていた事実を一般に明かすことは避けたかった。
悲しい後日談がある。エッチバーガーの死後名誉勲章申請は空軍が却下。ラオスでの米航空作戦を秘密にしておくためだった。ニクソン政権で作戦はエスカレートしペンタゴン文書のリークで事実は明らかになった。米軍はラオス国民一人当たり一トンの爆弾投下したものの共産勢力の1975年の勝利を遅らせただけで阻止できなかった。
30年が経過して米国は秘密基地での戦闘を公式に認めた。エッチバーガーは2010年に名誉勲章を与えられた。その前の2000年代に参戦したベトナム復員軍人が米軍に協力して戦死した隊員の遺体回収をし、バートン少佐の遺体も後日見つかった。
リマ85で発生したような闇の戦闘の記憶を保存しても過去の傷はいえないが、当時の誤りを正しく理解することには役立つし、将来に同じ誤りを繰り返さないためにも当時を振り返ることが重要だ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

2018年3月23日金曜日

頂上会談が実現してもトランプが北朝鮮開戦に踏み切るとしたらこうなったとき

4月から5月にかけて朝鮮半島が再び世界の注目を集めそうです。すでに平和は確実(北朝鮮の勝利)を信じる向きが多いと思いますが安全保障の世界はそんなに簡単に考えておらずあらゆる事態を想定していはずです。したがって米国が北朝鮮を壊滅する軍事行動に出ないとの保証はどこにもありません。

5 Ways Trump Could Stumble into a War with North Korea それでもトランプが北朝鮮と開戦する想定5例

Former U.S. Ambassador to the United Nations John Bolton speaks during CPAC 2018 Feb. 22, 2018, in National Harbor, Maryland. The American Conservative Union hosted its annual Conservative Political Action Conference to discuss conservative agenda. (Credit: Alex Wong/Getty Images)
KTLA


March 17, 2018


ナルド・トランプが金正恩提案を受け入れ5月にも会談するとはいえ、朝鮮半島は依然として世界で最も危険な地だ。南北朝鮮の首脳会談は先に4月に板門店で開かれトランプ-金会談がその翌月に実現すれば短時間とはいえ緊張緩和になるのは間違いない。韓国の冬季五輪での微笑や握手をみれば南北が新しい太陽政策に向かうのがわかる。
だが現実はともすれば自ら作り出した幸せの絶頂から簡単にひきずりおとす。米国・同盟国軍が核装備した北朝鮮と武力対決する可能性は依然として残っている。北朝鮮に関する限りすべての点で単純な処理はなく、すべてが悪い方向に向かうこともありうる。
では朝鮮半島で戦火が開かれる事態として以下の五つの場合を見てみよう。
1. ジョン・ボルトンが国家安全保障担当補佐官に任命される
ワシントンポストでは3月16日付記事でトランプ大統領がH・R・マクマスター中将を安全保障担当補佐官の職から解くと決定したとある。前国務省非拡散担当大使で超タカ派のジョン・ボルトンはマクマスター後継者のリストに入っているのは明らかだ。マクマスターは北朝鮮に関しては決してハト派でなく、金正恩の知性をからかったともいわれる。だがボルトンとは違う。ボルトンなら500ポンド爆弾4発を投下させるところをせいぜい2発落とすのが相違点だ。
ボルトンが正式に就任して大統領執務室でトランプの横に立てば国家安全保障会議の毎週の会議を取り仕切り北朝鮮の核兵器開発を中止させるべく米軍に予防攻撃させそうだ。実は同じ失敗をサダム・フセインに対し今世紀初めに実行させている。大統領に攻撃を進言するのは確実だ。
ボルトンはビル・クリントン政権時代から北朝鮮問題を楽しんでおり、20年たったが考え方に変化はない。ウォールストリートジャーナルの昨年のコラムで本人は平壌を先制攻撃を主張を19世紀の砲艦外交にたとえている。もちろん砲艦には何百万人も殺傷する能力はない。
ボルトンは「完璧なまでに合理的で米国は現状の北朝鮮核兵器が生む『必要性』を先制攻撃により対応してよい」と書いていた。現時点ではTVで目立ちたい元関係者の罪のない主張だがホワイトハウス入りし同じ提言をすれば無害とはとても言えなくなる。
2. トランプが怒りに駆られ会談を蹴る
トランプ大統領は歴史に残る成果を必死に求めており、ほかの大統領がみんな失敗したところで成功したい。北朝鮮の核問題の解決だ。韓国政府特使がホワイトハウスに到着し金正恩の平和のメッセージを伝えると本人は有頂天になり、その時点以来頂上会談をさばいて北朝鮮非核化の実現にこぎつける能力に自信を持っている。報道陣から金正恩が核装備を取引対象にするつもりがあるのかを聞かれたトランプは北朝鮮の提案に「誠意」を見ると答えている。
トランプは自ら北朝鮮指導者との協議には基準を高く設定している。期待に沿えない結果となれば本来期待する外交の勝利のかわりに写真だけとって終わる意味のない会談になり、大統領は金正恩が譲歩しなかったと憤慨しワシントンに戻るだろう。トランプは金正恩が恭順の態度を示さず自説を曲げなかったと非難し、自ら設定した期待値が実現しなかった理由とするだろう。「やはりこちらが正しかった。北朝鮮指導者との話し合いは時間の無駄だった。だまされただけだった。もう誠意を見せるのはやめよう。マティス将軍、戦闘作戦案が見たい」
3. 平壌がミサイルテスト中止を破る
金正恩政権は核実験ミサイルテストを5月の頂上会議まで凍結すると約束した。これはトランプ政権も評価する譲歩と言える。たとえ凍結中に核・ミサイル開発がそのまま進められてもだ。ミサイル再突入技術やプルトニウム反応炉やウラニウム濃縮作業は続いている。
だがキム一族が甘言をちらつかせるのは今回が初めてではない。金正日が長距離ミサイル発射を凍結したのが1998年だったが2006年に六か国協議が行き詰まると再開した。金正恩も2012年に同様にミサイル発射を自粛したがわずか数週間で衛星打ち上げと称し同じミサイルを使った。北朝鮮の度重なる約束破りにトランプ大統領は寛容になれないように見受けられる。トランプが約束違反を本人への侮辱と受け止めるのは必至だろう。トランプがB-1B爆撃機隊を北朝鮮領空に侵入する命令を出すと見る向きはないが、一方でその可能性が絶対ないとも誰にも言えない。
4. 会談が決裂しキムがトランプの最後通牒をはねつける
トランプ-キム頂上会談が失敗するか北朝鮮が途中で席を蹴れば、トランプは平壌に国連安全保障理事会決議順守を求める最後のチャンスを与えるだろう。クリントン政権やジョージ・W・ブッシュ政権がサダム・フセインに無条件で国連核査察官に協力を求めることで米軍攻撃を回避したように、トランプも金正恩に最後通告を劇的に発表するかもしれない。IAEA査察官を再度受入れ実証可能な形で非核化を進めるかそれとも...というわけだ。
平壌がデッドラインを守らない場合はトランプが対応する。トランプは譲歩するかレッドラインを数週間口にしバラク・オバマとは違う面を示そうと脅威を持ち出すかのどちらかだろう。前者を選択すれば政治面で追い詰められ後者は第二次大戦以来最大の犠牲を生む武力対決につながる。
5. 交渉は成功してもキムが裏をかいたら
クリントン政権が平壌と1994年に枠組み合意に批准した際はこれで核のない朝鮮半島が生まれる、段階的に米朝関係も正常化すると大きく宣伝された。クリントンの期待は実現しなかった。秘密のうちにウラニウム濃縮をした証拠が見つかり平壌も極秘核兵器製造を認めたことで枠組み合意は死んだ。
北朝鮮は合意内容も自分の都合よく曲解することにかけて専門家だ。2002年にこれをした。2008年も同様でブッシュ政権が目指した査閲案をひきのばした。2012年に衛星を打ち上げたのは一方的にミサイル発射をしないと約束してわずか数週間のことだった。非核化交渉が失敗するとしたら、前例から北政権が裏をかくか、抜け穴を利用するためではないか。CIAがキムが実はトランプを出し抜いていたと報告すれば、大統領は力にまかせた全く無慈悲な行動にでてもおかしくない。■
Daniel R. DePetris is a world affairs columnist for Reuters, a frequent contributor to the American Conservative and the National Interest, and a foreign-policy analyst based in New York, NY.