2021年2月14日日曜日

英国の弱み 世界第5位の経済でも大国にふさわしい軍事力の維持は不可能になってきた。さらにブレグジットで悪影響が生まれている。

 英国の弱み ここでも経済の実態が国防力整備を厳しくしています。

 

国は大国の地位を維持したいが、ない袖は振れない。

 

「英国」と「国防予算」が合わさると気が滅入る響きになる。英国軍は縮小の一途で、新型装備導入計画は全く非現実的で、逆に英国の軍事力に悪影響が生まれると、政府会計検査部門が指摘している。

 

現在実施中の装備計画10年計画は1,810億ポンド(2,345億ドル)の予算だが、今後10年の防衛ニーズに全く足りないと英政府の国家監査局(NAO)が発表した報告書にある。

 

NAO試算では装備計画で29億ポンド(38億ドル)が不足とある。最悪の場合、130億ポンド(171億ドル)足りなくなる。

 

 

NAOは予算不足の事例を取り上げ、軍事力への悪影響を測った。「例えば、RFAアーガスが医療訓練、ヘリコプター訓練の場となっているが、2024年に退役する予定」と判明した。「海軍は掃海機能も2030年代初頭に喪失する。海軍はこのため2019-2029年整備計画で対応が必要と把握していたにもかかわらず、後継装備の調達予算は計画に含まれていない」

 

掃海で新技術をさぐる研究費はあるのだが、他の問題は野放しで、早期警戒機では規模が十分でない。「英空軍はE-3セントリー退役予定を2022年12月に前倒ししたが、これでは後継機の就役まで9ヶ月が空白となる。2020年1月からセントリーは6機から3機になっており、空軍はこれで19億ポンド(25億ドル)の予算節約になるとしたが、戦力へ影響が生まれる中で、実施の手順は未決定のままだ」

 

国防省は国防力の必要規模を十分把握しておらず、英空軍向けF-35ステルス戦闘機調達や英海軍のクイーンエリザベス級空母の試算ができていない。「2015年度SDSR(戦略国防安全保障検討)ではF-35は138機調達する意向とあったが、2019-2029年整備計画ではそのうち48機分の試算しか言及がない。各機は現在生産中だ」とNAOは指摘した。「HMSクイーンエリザベスが2021年に運用開始してから、F-35の必要機数を決めるとある」

 

「国防省は戦闘航空機材調達事業の一環でこうした決定を下す。また空母打撃群で航空戦力を最大活用する方法でも決定を迫られる。後者に関し国防省はHMSクイーンエリザベスが2020年に海上公試を完了すれば支援経費の規模を把握できる」

 

きびしい予算でその他にも問題が発生している。例として退役英海軍原子力潜水艦20隻で原子炉処理予算が確保できず放置されたままだ。他方で、ブレグジットで英ポンド安になっており、海外製装備品はF-35含め価格上昇している。

 

英国は手も足も出なくなる。英国軍は米軍のような構造となっており、高額装備の空母、ステルス戦闘機、原子力潜水艦にトライデントICBMミサイルを搭載しそろえている。だが、世界第5位ないし6位(インドが四位になった)の経済規模の英国が軍に僅かな予算しか回せないのが現状だ。■

 

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Not Enough Pounds: Why Britain Cannot Pay for a First-Class Military

February 13, 2021  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  Tags: NATOUKRussiaMilitaryTechnologyDefense

by Michael Peck

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter, Facebook. or on his Web site. This article first appeared in March 2020 and is being republished due to reader interest


歴史に残らなかった機体22 イリューシンのIl-40は進化の枝から外れたジェット強襲機になってしまった

 歴史に残らなかった機体22

Il-2、Il-10と強襲機の成功作を生んだので、そのままジェット化したような機体ですが、戦術作戦の前提が変わってしまい、強襲機そのものが不要になった時点で登場したかわいそうな機体といってよいでしょう。しかし、奇妙な機体ですね

 

 

二次世界大戦が終わると、画期的かつ実験的な各種機体が戦勝国から登場した。ジェット時代に入ると、特にソ連と米国から奇妙な機体が続出した。

 

ジェット時代に技術課題は山積していた。ジェットエンジンは飛躍的に進歩したが、機体設計は別だった。初期の機体はマッハ1超の速力に最適化され、逆に低速での操縦が大変だった。

 

ソ連国営航空宇宙企業イリューシンは地上部隊支援の強襲機をジェットエンジンで実現する課題に取り組んでいた。ここから生まれたのがIl-40で、軍の採用は確実と信じていた。

 

 

Il-40はある意味で古典的な地上攻撃機の設計だった。操縦士・銃手の搭乗員二名は装甲ポッドに保護され、地上火砲から護られた。さらにコックピットも防弾ガラスをつけ、パイロット座席後部、ヘッドレストも装甲入りだった。パイロットの視界は良好だった。

 

兵装は極めて通常のものだった。主翼に合計四箇所の小型爆弾倉がつき、小型爆弾を投下する想定で、さらに主翼下に追加燃料タンク、無誘導ロケット弾あるいは追加爆弾を搭載する想定だった。

 

さらに23ミリ自動機関砲を6門機首に搭載した。だが、これがIl-40の大きな欠陥につながった。

 

23ミリ自動機関砲を同時発射すると相当の噴煙が発生する。また機首に搭載したため、ガスがジェットエンジンの空気取り入れ口に吸い込まれた。

 

空気を取り入れ圧縮してエンジンの燃焼室に送るはずが、同機の場合は機関砲を発射するたびに排気噴煙を取り入れてしまった。

 

これによりエンジンがフレームアウトする不具合が生まれ、さらに問題を悪化させたのは機関砲の取り付け場所で、6門の大閃光でパイロットの視界が奪われた。

 

そこで機関砲の取り付け場所の変更が検討され、機体下部に搭載する案、空気取り入れ口を機首まで延長する案が提示され、これで同機は二重銃身のショットガンを思わせる形状になった。最終的に設計変更も効果を認められず、Il-40は量産されることはなかった。■

 

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Russia's Il-40 Ground Attack Jet Was Perfect—Except for One Fatal Flaw

February 11, 2021  Topic: History  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitarySoviet UnionRussiaCold WarGround Attack JetIl-40

https://nationalinterest.org/blog/reboot/russias-il-40-ground-attack-jet-was-perfect%E2%80%94except-one-fatal-flaw-178058

by Caleb Larson

 

 

Caleb Larson is a defense writer for the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

This article first appeared in November 2020.

Image: Pinterest


2021年2月13日土曜日

AC-130が、30年間撃墜されていない背景に湾岸戦争のスピリット03の尊い犠牲の教訓があった。

あなたの知らない戦史(7)1991年湾岸戦争で散ったAC-130H  

ロリダのまぶしい陽光の中、ハールバートフィールド基地の記念碑にひと束のブーケが捧げられた。2021年1月29日、第一特殊作戦航空団が砂漠の嵐作戦中に発生した空軍最大の人員喪失事件の日が今年もやってきた。

 

30年前の1991年1月31日、カフジの戦いでAC-130Hスペクター・ガンシップ、コールサイン・スピリット03がイラクの地対空ミサイルで撃墜された。

 

搭乗員14名全員が戦死し、空軍将官のひとりは各自の犠牲がAC-130の新時代を開いたと述べている。新技術や戦術の導入でその後の戦闘で同機喪失は皆無となった。

 

「スピリット03搭乗員の尊い犠牲で、AC-130改良が始まり新世紀が到来した」とマーク・ヒックス退役少将が2014年夏号のAir Commando Journalに記した。ヒックスは経験豊かな元ガンシップ・パイロットだ。スピリット03撃墜後に出た風説をヒックスは否定している。

 

No enemy has downed an Air Force AC-130 gunship in 30 years. Here’s whyスピリット03慰霊祭が2021年1月29日にフロリダ州ハールバートフィールド基地で執り行われた。スピリット03はAC-130Hガンシップのコールサインでカフジの戦いで撃墜され14名の乗員全員が戦死し、砂漠の嵐作戦中最大の空軍喪失事案となった。(Air Force photo / Senior Airman Miranda Mahoney)

 

 

まず何が起こったかを見てみよう。1991年1月29日、イラク軍がクウェイトから南方のサウジアラビア国境の町カフジを攻撃してきた。襲撃部隊は戦車40両と500名の規模とスピリット03撃墜の記録を2012年の Air Commando Journal に記したAC-130歴42年の砂漠の嵐帰還兵ビル・ウォルター上級曹長が述べている。

 

連合軍部隊は数で圧倒され、カフジに後退したが、米海兵隊偵察チーム2個が取り残された。1月30日夜から1月31日朝にかけ、AC-130ガンシップ二機がスピリット01、スピリット02のコールサインでイラク装甲部隊を攻撃したが、強烈な対空砲火をあびた。

 

三機目のAC-130がスピリット03で数時間後に現場に到着し、上空を周回飛行し待機した。スピリット01および02は帰投することとし、03に対空火砲が手強いと伝えたが、3号機は海兵隊前方航空管制官の要請を受け標的策定を続けた。

 

スピリット03はイラク陣地を攻撃したが、 6:00 a.mに燃料残量が少なくなった。それでも搭乗員は標的への砲撃をやめず、ついに「ビンゴ」燃料になった。基地帰還ギリギリの燃料しかないことを意味する。だが、海兵隊航空管制官が海兵隊へ脅威になるロケット発射装備があるとしたので、スピリット03は捜索を始めた。

 

そして事態は急進展した。

 

No enemy has downed an Air Force AC-130 gunship in 30 years. Here’s whyAC-130 が機体を傾け、回転式機関砲の煙が薄暮の中で目視できる。 1988年撮影。 (Air Force photo / Tech. Sgt. Lee Schading)

 

 

なんの警告なくイラクの小型地対空ミサイルが同機の左主翼に命中し、外部燃料タンク近くが出火しはじめた。パイロットのトーマス・ブランド大尉、ポール・ウィーバー少佐は当初は機体を制御できたが、燃焼が広がり、左主翼3分の2が脱落すると機体はスピンしはじめ制御不能となった。大きなGがかかり、機外脱出は不可能のまま、機体はペルシア湾の浅瀬に墜落した。

 

墜落地点を突き止めるのに一ヶ月かかり、この遅れのため当時の状況で憶測を呼んだとヒックスは記している。「憶測に不満、怒りが加わり今も続く伝説が生まれた」

 

伝説の一つがパイロットで、ウィーバー少佐は1989年のパナマ侵攻作戦に加われなかったため実戦現場を見たいとの思いが強すぎたという風評があるとヒックスは記している。また乗員が燃料低下を気にせず海兵隊部隊を守り戦死したというのも伝説だ。

 

ともに真実ではない、とヒックスは述べている。「ともに部分的には正しいが、誤解につながりやすい」とヒックスは書いている。「スピリット03は敵防空装備で撃墜されたが、その時点で訓練内容通りの業務をしていた」

 

乗員の行動に能力不足や無鉄砲な英雄気取りの兆候は見られなかった、とヒックスは記し、敵ロケット砲装備をすぐ探知する必要もなかったとする。乗員が高脅威地区に日昇後も残るのはリスクで説明がつかない。ただ撃墜の背景に訓練、技術、戦術の不足もあった。

 

技術面ではセンサー、火器管制が旧式のままで高度、飛行速度以外は精度が低かったとヒックスは記している。これが戦術に影響し、敵砲火にさらされる危険が増えるフライトパスをとってしまったという。悪いことにスピリット03が敵攻撃にさらされた際のフレア投射装置が旧式でレーザー方式の携帯型地対空ミサイルには対応できなかった。機体防御装備の改良が長年後回しになったつけを払わされた格好だ。だが「砂漠の嵐終了後に改修がおこなわれ、チャフ、フレア放出装置が新型になり、赤外線ミサイル発射警報装置がつき、電子対抗装置も一新した」という。

 

No enemy has downed an Air Force AC-130 gunship in 30 years. Here’s whyAn AC-130 スペクター・ガンシップがフレアを放出している。June 3, 2011, Cannon Air Force Base, New Mexico. (Air Force photo / Airman 1st Class Ericka Engblom)

 

 

ビル・ウォルター上級曹長は Task & Purposeへのメールで砂漠の嵐作戦後のAC-130全機にAN/AAR-44 ミサイル接近警報装置が導入されたと述べている。これは携行式防空装備 (MANPADS) のミサイル発射を探知し、乗員に危険を伝え、フレアを自動放出する機能がある。作動には乗員の介入が不要なので、攻撃下での貴重な数秒を無駄にしなくてすむ。

 

スピリット03撃墜を受け各種技術で改良が進んだとヒックスは記しているが、戦術を変えないままでは効果が限定された。乗員は予測不能な飛行経路をとり、機体を敵に晒す時間を最小限にしながら、戦闘地点付近を高度を上げて飛行し、敵弾命中の確率を下げるようになった。

 

不要な通信手順を減らし、航法装置の機能を改良し、暗視ゴーグルを導入した他、酸素マスクをつけたままで高高度飛行に対応した。AC-130機内は与圧していない。

 

「火器管制機能とセンサー機能の向上で本当に助かったが、あくまでも戦術面を重視し、意味のある結果を求めるためだだった」(ヒックス)

 

ウォルターも同様の意見だ。

「教訓の本質は飛行中は常時攻撃を受ける覚悟がいることだ。スピリット03搭乗員はこの点で訓練を受けていたとはいえ、太陽が上る状態でMANPADSミサイルの目視照準を回避するのは無理だっただろう」「ミサイル接近が見えていたら、回避行動とデコイフレアが現場にいた他の2機同様に防御してくれたのではないか。残念ながらミサイルを見つけた乗員は皆無だった」

 

とはいえ、過剰対応も防ぐべきだとヒックスは警句を鳴らす。スピリット03喪失を受けAC-130部隊に昼間のミッションを放棄するものがあらわれたという。低速のスペクターは日中は敵に狙われやすい。だが昼間ミッションを中止したため、アフガニスタンで航空支援を受けられず地上部隊に死傷者が発生した。砂漠の嵐作戦の前年にスペクターが作戦投入されていた事実をヒックスは指摘しており、また夜間飛行が完全に安全と言い切れないという。

 

だがスピリット03後にもAC-130の被害が発生している。1994年に、第16特殊作戦飛行隊のスペクターがケニア沖合に墜落した。機関砲の高性能弾薬が発射前に機内爆発したためで、乗員8名が即死、9人目も負傷がもとでその後死亡している。この痛い犠牲の教訓をもとに以後30年間にわたりAC-130はテロ戦闘に数千時間も投入されながら、戦闘中喪失が皆無となっている。

 

スペクター全機は2015年に退役したが、スプーキー、スティンガーII、ゴーストライダーの各型がスピリット03撃墜の教訓を活かし、活動を続けている。

 

「AC-130部隊は準備不足のまま砂漠の嵐作戦に投入された。その後は平時活動に戻り、容易な環境のもと、近代化改修も後回しにされていたが、スピリット03喪失の衝撃が牽引力となり、戦術方法の再編でAC-130はアフガニスタン、イラク双方で黄金時代を迎えた」とヒックスが記している。

 

「一連の事態がスピリット03喪失につながり、長時間の研究結果がAC-130搭乗員の訓練シラバスにつながっている。あの運命の日の教訓が乗員訓練に生かされていることこそスピリット03の遺産だ」

 

スピリット03の乗員全員は以下の通り。

Maj. Paul Weaver

Capt. Thomas Bland Jr.

Capt. Arthur Galvan

Capt. William Grimm

Capt. Dixon Walters, Jr.

Senior Master Sgt. Paul Buege

Senior Master Sgt. James May II

Tech. Sgt. Robert Hodges

Tech Sgt. John Oelschlager

Staff Sgt. John Blessinger

Staff Sgt. Timothy Harrison

Staff Sgt. Damon Kanuha

Staff Sgt. Mark Schmauss

Sgt. Barry Clark

 

 

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No enemy has downed an Air Force AC-130 gunship in 30 years. Here's why

No enemy has downed an Air Force AC-130 gunship in 30 years. Here’s why

“The lessons passed on to crews trained since that fateful day are the true legacy of Spirit 03.”

BY DAVID ROZA FEBRUARY 05, 2021

David Roza covers the Air Force and anything Star Wars-related. He joined Task & Purpose in 2019, after covering local news in Maine and then FDA policy in Washington D.C. He loves referring to himself in the third-person, but he loves hearing the stories of individual airmen and their families even more. He also holds the unpopular opinion that Imperial stormtroopers are actually excellent marksmen. 


帝国海軍の潜水艦運用を反面教師に、海自潜水艦部隊は効果的な作戦形態を実現し、米国とともに中国への対抗を狙う存在になった。歴史は生きている

 

上自衛隊の潜水艦乗組員は帝国海軍の潜水艦運用実績から教訓を学び、反面教師とみなしている。

史上最悪の潜水艦部隊の候補はいろいろあるが、筆者は日本帝国海軍(IJN)をノミネートしたい。潜水艦が広く使われるようになり百年以上となるが、優秀な戦果をあげた艦とそうでない艦に二分される。「浮かぶ棺桶」とまで酷評されたもの、幸運に恵まれた艦がある。国家の目指した戦略や政治面の目標を台無しにした艦もある。

 

 

潜航可能艦の発想は昔からあったが、初めて戦闘投入された可潜装備は手動で進む奇妙な装備タートルで英海軍艦船の爆破を目指した。独立戦争のことである。だが、19世紀末になり、バッテリー、電気モーター、内燃機関の各技術が成熟して実用化の道が開いた。

 

各技術を組み合わせディーゼル電気推進方式が確立され、潜水艦は静かに深く電気モーターで進み、海上ではディーゼルで充電しながら航行するハイブリッド方式となった。英海軍は1900年にジョン・フィリップ・ホランド設計の初期型潜水艇5隻を発注し、水中戦の新しい歴史が始まった。

 

近代的な潜水艦はゆうに一世紀を超え存在し、幾多もの設計、建造施設、海軍部隊が関わり海上に展開した。だが、各人の資質が異なっているように、潜水艦も優秀艦から目を覆いたくなるような艦まで多岐にわたる。ではどう評価し、どの艦が他より卓越していたと言えるのだろうか。

 

では、水中戦の効果をつぎの基準三点で評価するのはいかがか。軍事思想の大家カール・フォン・クラウゼビッツは軍事力には物質、人的の各面があると主張した。軍事力とは力と意思の組み合わせであるとした。各装備や運用効果を測る際には意思の力が重要となる。また、技量、熱意、肉体精神両面の強靭さを含めても良い。こうした資質が揺るぎない決意を強い軍事力に変貌させる。

 

実戦投入された潜水艦部隊をこの尺度で評価してみよう。

 

任務をどこまで実行し、上官ならびに政治の期待に応えたかを見れば、潜水艦部隊の優劣を決めるのが可能となる。こうした尺度で見るとまず英海軍のK級潜水艦は可潜式蒸気船であり、嘲笑の対象だ。

 

哨戒に出港したまま、帰還しなかった潜水艦もある。設計上の欠陥、機関の故障、乗組員の誤作動あるいはその組み合わせが原因だ。攻撃型原子力潜水艦USSスラッシャー、USSスコーピオンの事例が頭に浮かぶ向きもあろう。ともに謎のまま海底に沈んだのは半世紀も前のことだ。ロシアのオスカーII級クルスクは2000年に沈没し、アルゼンチンのディーゼル艦ARAサンフアンは2017年大西洋の深海に沈んだ。

 

だがもっと大きな視点で見よう。個別艦の成功、失敗ではない。クラウゼビッツの言うように個別の戦術結果は政治意思の表明に過ぎない。

 

そこで日本の帝国海軍だ。第二次大戦時のIJN潜水艦部隊には数々の恥辱の歴史が続いた。だが日本潜水艦の建造に欠陥があったわけではない。海軍史でも米ゲイトー級艦隊型潜水艦と遜色ない性能との評価がある。米海軍は同級を投入し日本帝国を打破すべく、各地の海上交通を寸断し、日本は物資輸送がままならなくなった。

 

また日本の潜水艦乗員の運用水準が低かったわけでもない。戦術レベルや勇猛さも同様で、その逆だ。同国の水上艦部隊や航空部隊同様に潜水艦部隊もプロとして卓越していた。人的側面でも同様だ。IJN潜水艦部隊は米太平洋艦隊の潜水艦部隊SUBPACと同等の水準にあった。潜水艦部隊の芳しくない戦果は東京の帝国海軍、陸軍の最高司令部の統率力が原因だ。米潜水艦部隊による貨物船損害が続いても無関心のまま、司令部はIJN潜水艦を米輸送力攻撃にむける策には関心を示さなかった。

 

最後の基準が戦略で、日本潜水艦部隊には最悪の結果となった。SUBPACの各艦は真珠湾で主力水上艦が攻撃被害から回復しない間から大打撃を与えていた。米潜水艦乗員に「バブルヘッズ」の愛称がつき、日本の輸送航路を襲撃し、結果として日本国内産業を疲弊させ、相当の部隊を出動させた。米潜水艦はその目的を果たした。1944-45年の日本の継戦能力はあらゆる面で衰退の一途をたどった。

 

日本潜水艦部隊は技量も装備も相当のものだったにもかかわらず、戦果はわずかだった。IJNは逆襲の機会を逸し、米国の動きを止められなかった。極東での戦闘に米海軍は長大な距離を克服する必要があった。補給線は長くなる一方で、それだけ脆弱になったが、南部中部太平洋地区で揚陸作戦の攻勢をかけていた。これはIJN潜水艦に絶好の狩りの機会になったはずだ。それでも日本の潜水艦部隊は米主力艦攻撃を第一とし、支援艦艇の攻撃は二次的とした。米輸送艦部隊は手薄な防御まま、補給拠点から戦闘艦艇間を移動したが、ほとんど襲撃を受けていない。強力な補給体制に支えられた米艦隊は戦闘を常時行える体制となり、日本海軍に勝ち目がなくなっていた。

 

IJN潜水艦部隊は作戦でも戦略でも不活発で、せっかくの装備を活用できず、ここぞという場にも活躍できなかった。実はIJN潜水艦部隊には群を抜く性能があったのだ。戦後に生まれた海上自衛隊(JMSDF)は帝国海軍の歴史を学び、同じ轍を踏まないと決意している。冷戦期に海自潜水艦部隊は共産勢力の封じ込めで重要な役割を果たした。今日でも米日両国による中国との戦略競合で同じ役割を再演している。

 

見方を変えれば、現在の米国は強力な敵だった日本帝国海軍に借りがあるとも言える。歴史の皮肉というべきか。■

 

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How Japan Became Ashamed of Its Imperial Submarine Force (And Learned From It)

February 11, 2021  Topic: History  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanMilitaryTechnologyWorldImperial JapanSubmarine

by James Holmes

https://nationalinterest.org/blog/reboot/how-japan-became-ashamed-its-imperial-submarine-force-and-learned-it-178024

 

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and coauthor of Red Star over the Pacific. The views voiced here are his alone. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.


2021年2月12日金曜日

中国の弱み④ ジェットエンジン技術が追いつかない。リバースエンジニアリング、盗作に走るのは結果だけ求める中国の思考形式の限界を反映している。

 中国の弱み④ 

https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2009%3Anewsml_GM1E5B4126I01&share=true

 

国は海外の兵器技術に過剰依存の傾向がある。国内産業育成に走る中国がロシアからの輸入や米国技術の盗作に頼らる必要のない日が来るだろうか。だがその日は当面やってこない。

 

中国の国防産業界は外国設計の「借用」で悪名高い。特に航空宇宙産業にこれがあてはまる。中国で供用中の戦闘機は大部分が無許可のコピーが原型だ。J-10はイスラエルIAIのラヴィであり、もとをたどれば米国のF-16だ。J-11はロシアSu-27のクローン、JF-17はソ連MiG-21を近代化した機体、J-20にはF-22との類似性があり、J-31はF-35共用打撃戦闘機の技術を借用していると広く信じられている。海外技術の盗用で中国は研究開発費用と時間を節約し、PLAAFは安価に近代化が可能となった。ただし、盗用戦略ではテストデータがなく、産業基盤も揃っていないため肝心な技術に成約が生じる。この例が当てはまるのがエンジンの国産化で、まともなジェットエンジンがいまだに生産できない。

 

技術ミスマッチの根源は技術知識の欠如であり、人財の不足だ。このため、海外システムの摸倣が結果として高い代償につき、多大な時間の消費につながり、結局ゼロから製造工程を整備しなくてはならなくなる。最悪の場合は粗悪部品となり、性能が大幅に低下する。中国は1990年代2000年代にロシアのジェットエンジンをリバースエンジニアリングしたが、結果は極端に低寿命でロシア製より低出力のエンジンだった。現在も中国のジェットエンジンがPLAAF戦闘機材の近代化で足かせとなっており、最新型でも依然として出力不足の傾向だ。問題をさらに複雑にするのがSu-27搭載のAL-31エンジン以上の出力があるエンジンの供与にロシアが慎重になっていることだ。それでも中国には別の打開策もある。

 

オプションとしてまず、国産エンジンの性能を引き上げることがある。2016年に第13次5カ年計画で戦略的新興産業の育成が叫ばれ、国産ジェットエンジン設計の向上とあわせ航空宇宙産業の底上げを狙った。その成果が一部にせよ現れ、J-20試作型に改良版のWS-10エンジンが搭載され、当初のAL-10よりステルス性能、出力が向上したはずだった。しかし、中国国産エンジン関連の情報は不足気味で性能の確認ができない。WS-10初期型が中国製フランカーに搭載されたがAL-31より圧倒的に性能が劣っていた。成都航空宇宙高性能合金技術(CASTC)がターボファン技術で大きな飛躍を可能とし、高温域で高性能を発揮するエンジンに道を開いたが、この成果がPLAAFの現役機材に届くまでまだ時間がかかりそうだ。

 

 

民生部門が航空宇宙分野の技術の突破口を開けば、政治面でその後に成果が続くはずだ。国営航空機メーカー各社は政治面で力をつけつつあり、一部企業の首脳陣には裁量権が認められている。一方で、CASTCのような民間企業が優れた結果を実現すると、政治面での影響力が生まれ、既存の国営企業が民間企業と提携関係を樹立するようになるかもしれない。いずれにせよ、CASTCの成果は中国国防産業界ならびにイノベーション分野で深い意味を持ってきそうだ。

 

もっと簡単な方法は外国製戦闘機で高性能エンジンを搭載した機材を調達することで、この例がSu-35をロシアから導入したPLAAFだ。Su-35にはAl-41F1S(ALS-117S)が搭載されており、推力偏向方式を採用した強力なエンジンでAL-31から数段先をゆく技術になっている。中国はAL-117単独での導入を想定したが、ロシアがエンジン単体の輸出を拒み、さらにALS-117の知的財産の保護を強く主張した。

 

しかし、中国の知財遵守の実績はきわめて疑わしく、ALS-117を部分的にリバースエンジニアリングしてくるのは間違いない。ただし、これはそんなに簡単なことではない。ロシア筋は同エンジンの核心技術は分解しないかぎり見られないとしている。さらに中国がWS-10でも手こずった事例を見ると、外国製エンジン設計を入手したからと言って同等性能の製品の即実現には直結しない。

 

さらに中国がロシアの知財保護対策を守ると言いながら、破ればロシアの先端技術の利用を今後一層難しくなりかねない。更にALS-117の中核技術は分解しないとわからないというロシアの言い分が正しければ、リバースエンジニアリングしてもPLAAFにはエンジンの欠けた機材しか手に入らなくなる。そうなると、ALS-117のリバースエンジニアリングで短期的な成果を追求するのは、金の卵を生むガチョウを殺すのと同じだ。ただし、ロシア軍需産業の見通しが暗いため、ロシアとしても中国市場を失う損害を考え別の道に走るかもしれない。

 

たしかにロシアの優位性は縮まりつつあり、中国の技術、産業の基盤が強化される一方、ロシア技術の導入は減りそうだ。中国は自信を深めるだろうが、ロシアとの友好関係にひびが入るリスクが生まれれば、外交面の投資が無駄になりかねない。

 

最後に、中国は民生ジェット産業の発展をバネに軍事用途も一気に発展を目指すかもしれない。民生航空分野の強化が西側企業との協力関係につながれば、中国航空技術の輸出市場も生まれる。ドイツはタービンブレイドの購入を中国から狙っており、ドイツ製品より優秀な出来上がりとなっているからとする。皮肉にも中国はドイツから同技術を習得したのだが。さらに、中国国内の需要に応えれば民生航空機分野で世界最大の規模の中国市場に参入できる。とはいえ、欧米企業は技術移転の厳しい条件で操業を続けているのが現実で、そこに政治圧力や知財窃盗が加わり、西側企業は中国事業への投資に及び腰だ。知的財産の保護が鍵となり、米中関係が冷え、貿易戦争を加熱しかねない。その結果として中国が拡大近代化をめざす産業基盤に損害が生まれかねない。

 

こうした障害にもかかわらず、中国の軍事航空での進展は今後も続くはずで、中国が技術面でいつまでも遅れたままとなる可能性は低い。3Dプリント技術によりジェットエンジンの試作、製造、開発が加速化される日が来るかもしれない。とはいえ、3Dプリント技術はすでに各国で利用されており、航空機部品の製造にも応用されている。が、ジェットエンジンの複雑さを考えると、3Dプリント技術を広く応用するまでまだ数年かかりそうだ。中国は戦闘機用エンジン技術の習得という困難な選択に当面取り組み、空軍機材の戦力向上を狙うのではないか。■

 

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Engine Trouble: Why China Needs a Domestically-Produced Air Force

February 10, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaAir ForceMilitaryTechnologyWorld

by Robert Farley 

 

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This article first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Reuters.