2021年8月9日月曜日

連綿と使われ続けるM2機関銃は第二次大戦前に完成していた。当面後継装備は現れない模様....銃器の世界は航空機と大違いですね。

 

 

 

 

く戦闘に供用されているM2ブラウニング機関銃の開発は第一次世界大戦にさかのぼる。当時は飛行機が次第に兵装を充実させ、戦車が西部戦線に登場し、実戦で威力を徐々に現しはじめるとそれまでの小銃や小型火砲では歯が立たないことが明白になった。

 

当時の米軍の.30-06スプリングフィールド銃は威力があったものの装甲を改良した敵機に威力が限られた。米軍は射程と火力の両立を実現し確実にドイツ機を撃破可能な新型銃を求めた。そこで当時の米国で最高の銃火器の権威に相談した。それがジョン・モーゼス・ブラウニングだった。

 

ブラウニングは長年使われてきた.30-60弾倉をもとに新型大重量弾薬の実現を模索した。.30-60弾を拡大し大型弾倉.50ブラウニング式機関銃弾(BMG)が生まれた。この.50BMGは十分な威力と精度を大距離でも発揮した。当時の記録を破る長射程射撃を.50BMGが実現した。

 

.50BMG弾を発射するためブラウニングは実証済の機関銃M1917に目を向け、拡大し改良を加えたことで生まれた機関銃をテストに回した。この機関銃がその後正式採用されたが、その時点では水冷式で極めて重い銃になった。とくに高さが大きい設計は固定式発射を前提とし、航空機への搭載には不向きだった。

 

そこで設計を大戦間に再検討した。新設計では水冷式を空冷式に変更し、今日まで使われるM2ブラウニング機関銃が生まれた。

 

M2は地上部隊掃討用、対空射撃で第二次大戦中に実戦デビューし、その後装甲兵員輸送車両や低空飛行する敵機のエンジンブロックを狙うまでになった。

 

M2別名「マジュース」は重機関銃で米軍がその後の各戦役で使っており、今日に至る。威力と長射程が評価されている。

 

米国と合わせ海外でもM2の生産が数百万丁にのぼるのはブラウニングの原設計の優秀さを物語るものだ。登場してからの変更点はごくわずかしかなく、標準形となったのはM2A1だ。閃光抑制器がつき取扱いが楽になった。また新設計の銃弾倉は取外しが簡単になり、連続射撃で有利となった。

 

M2は戦闘中に実績を重ね、装甲、非装甲の標的相手の射撃、砲座に固定、非固定双方で使われてきた。マジュースが新型銃に交代する兆候はなく、今後も供用を続けそうだ。■

 

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Ripped to Shreds: Nothing Will Protect You from a M2 Machine Gun

by Caleb Larson

August 6, 2021  Topic: M2 Heavy Machine Gun  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: M2 Heavy Machine GunMachine GunsMilitaryGuns

 

Caleb Larson is a defense writer with the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture. This article is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


新興企業ハーミウスに大胆な資金投入で極超音速機の新技術実現をねらう米空軍の姿勢に注目。大人のお金の使い方だろう。

A concept image of the Hermeus Quarterhorse hypersonic aircraft.

ハーミウスのクォーターホース極超音速機の想像図. HERMEUS

 

  • 今回はターミナル1 ターミナル2共通記事です

空軍はベンチャーキャピタルファンド数社と60百万ドルをジョージアの新興企業に投じ、極超音速旅客機の軍用版の実現を狙う。

 

空軍はハーミウス Hermeus に7月30日に60百万ドルの契約を交付した。空軍で民生技術の軍事利用を実現すべく設立したAFWERXが仲介する事業としては最大規模になった。

 

空軍の研究開発トップ、ヘザー・プリングル少将は「極超音速機の推進システムには画期的な意義があり、前世紀に自動車がもたらしたように移動形態が大きく変わる」と述べた。

 

ハーミウスが製造するのは再利用可能な極超音速機で、従来の極超音速試験機はすべて使い捨てだったため大きく異なる機体となる。

 

空軍との契約によりハーミウスは技術開発を加速化しマッハ5飛行可能な旅客型の実現をめざす。完成すればニューヨーク=ロンドン間を90分で移動可能となる。

 

「当社の技術開発に資金を投じることで空軍が実用に耐える装備の実現を目指していることは明らか」と同社CEOにして設立者AJ・ピプリカが発言している。

 

今回の戦略的な資金投入合意によりハーミウスが軍とのつながりがさらに深まった。同社へは昨年1.5百万ドル相当の契約が空軍から交付されており、政府高官を世界各地に運ぶ研究がはじまっている。

 

ハーミウスは2018年に元ジェネレーション・オービットの技術者4名が設立し、まず無人実証機クォータホースの完成をめざしている。

 

今回の空軍からの契約金で同社はクォーターホースの試験飛行を18カ月後に実現できる見通しがついた。契約で同社はテスト要員を20201年中に50名にまで増やすことになっており、テスト日程を約1年短縮させる。

 

「人員投入を増やし加速化させつつ垂直統合も進めていく」とピプリカは語り、「これで内製化が進み、日程管理、コスト管理等を強化できる。全体ロードマップを大きく加速できる」としている。

 

今回の空軍契約の交付でハーミウスに今後3年間の戦略的目標が定まり、そのひとつにクォーターホース3機を完成させテスト飛行を開始することがある。テスト飛行には目標がふたつある。マッハ5飛行および機体を繰り返し飛行させることだ。

 

同社設立者でCOOのスカイラー・シュフォードは「機体を完成させエンジン技術のテストを全飛行域で行うのが目標だ」とする。

 

クォーターホースにはジェネラルエレクトリックJ85エンジン一基を搭載する。これはT-38練習機と同じエンジンでさらに高速域用のエンジンをハーミウスが開発中だ。

 

「エンジンと機体の一体化が社内でできることでシステム統合が迅速に進められる」と同社の内情に詳しい筋が開設する。

 

クォーターホースは「今後登場する機体へのつなぎの役目」とシュフォードは述べており、同社は「より大型の旅客機」の実現をめざしている。■

 

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US Air Force, Venture Firms Make $60 Million Bet on Hypersonic Aircraft Startup

BY MARCUS WEISGERBER

GLOBAL BUSINESS EDITOR

AUGUST 5, 2021

 

参考:ハーミウスのウェブサイトhttps://www.hermeus.com/

 

2021年8月8日日曜日

E-2Dは2025年生産終了するが、今後30年の供用期間を通じ性能向上を続ける。日本向け機材製造も続き、計13機を導入する。

 


E-2Dアドバンストホークアイ(VAW-120所属)が空中給油を受ける US Navy Photo

 

E-2Dの生産はあと四年で終るが、米海軍は同機を今後30年は稼働させたいとする。

 

性能改修でコックピット関連エイビオニクス、ミッションシステム各種、通信能力、サイバー保安体制が強化され、「艦隊の目」を2040年代以降も活躍できる状態にする、とNAVAIR PMA-231で空中指揮統制システムズを主管するピート・アロビオ大佐が述べている。

 

E-2Dホークアイ艦載戦術戦闘管理・空中早期警戒指揮統制機はノースロップ・グラマンのE-2Cを近代化した派生型だ。

 

「現時点では中心はE-2Dのミッション実行能力を向上させることだ」とアロビオ大佐は海軍連盟主催のカンファレンスで述べた。

 

E-2D改修は「デルタシステムソフトウェア・コンフィグレーション」(DSSC)の機能向上として進めており、開発開始から機内搭載まで4年の予定とアロビオは紹介している。現在はDSSC3のヴァージョン3.1の今年末導入をめざす。DSSC3.1では統合戦術無線交信システム(JTRS)やリンク16を導入し、DoDが求める2021年サイバー保安体制標準をE-2Dで満たすという。

 

「標的情報のリンク、相互調整、分散、評価を先端的水準で行う」(アロビオ)

 

DSSCは二年おきに更新され、2023年度にヴァージョン4が導入されるとデータ融合機能、GPS、レーダーの性能向上が実現する。

 

その後のDSSC5で「空母打撃群がA2/AD環境で戦力を発揮するため不可欠な性能向上が加わる」としつつ、内容は大部分が機密情報のため紹介できないとした。

 

「E-2Dには当初想定以上の期待が寄せられており、現在進行中の課題の多くに対応すべくこれまでのアーキテクチャを一新する」(アロビオ大佐)

 

さらにソフトウェア改修の六番目パッケージで統合全次元指揮統制(JADC2)システムや海軍作戦実行アーキテクチャとの相互運用体制が実現する。

 

「E2-Dの生産はまだ続いている。まだ新規製造機体のにおいが残っているが、機内のアーキテクチャや各種システム、コックピット周りの部品等はスマートフォン以前の2005年当時の設計だ」

 

特に機内搭載ミッションコンピュータやディスプレイを敵のサイバー攻撃に対し強化することが最重要事項だ。

 

ホークアイコクピット・テック・リフレッシュHETCRではエイビオニクスを最新の水準に引き上げ、パイロットにヘッドアップディスプレイを導入する。

 

戦域戦闘IDとミッションコンピュータのディプレイはオープンシステムアーキテクチャで今後のソフトウェアアップグレードパッケージの搭載が容易になるとアロビオ大佐は説明している。

 

要求内容にないが、海軍では「改良型着艦モード」ILMをE-2Dにも導入し着艦作業を部分的だが自動化できないか検討している。F/A-18E/FやF-35Cでは「マジックカーペット」と呼ぶ精密着艦が実現している。

 

E-2Dでは機体がフライバイワイヤでなく、機体上部に大型レーダーを搭載していることもありILM導入は簡単ではないことをアロビオ大佐も認める。だが空中給油を受けE-2Dミッションが今後最大9時間になれば、悪天候や夜間の着艦で疲労のたまった乗員には朗報となろう。アロビオもILMは「要求されていないが、艦隊の運用部隊からはナンバーワンの要望になる」という。

 

米海軍はE-2Dを48機運用中で2021年末までに4機が配備される。

 

常時22機を投入可能な状態に維持するのを2021年7月1日までに実現する目標が2月に達成され、予定を5カ月前倒しできたとアロビオは述べた。

 

ミッション投入可能なE-2Dは基本的に訓練に使い、パイロットに二地点間飛行、空母発着艦を習熟させているが、早期警戒任務についていない。

 

「完全な状態のミッション実施になれば戦いに勝つことにつながる」「機体には基本システムが11通りあり、完全に作動して初めて任務が達成できる」(アロビオ)

 

次の目標は完全な形でミッション実施可能な状態の機体を常時22機艦隊に配備することでこれを9月1日までに実現する。2月以降は平均で29機がミッション投入可能な状態となっている。

 

E-2Dが50機ほどそろえば、9飛行隊、一個予備飛行隊の整備が可能となり、各隊は5機を配備する。すでに5個飛行隊でE-2Cからの機種転換が進んでおり、2027年度で機体転換が完了する。うち二個飛行隊に空中給油対応のE-2Dが配備される。

 

現在26機のE-2Cが訓練専用で稼働中だが2026年度末までに姿を消す。

 

E-2Dの要求は86機のう78機分の予算が海軍に認められており、2025年までに全機完成する。

 

日本が発注した9機のうち3機が自衛隊に引き渡し済みだ。先に発注した4機は稼働中だ。

 

フランスは12月に3機のE-2D購入で合意しており、2027年度に引き渡す。台湾エジプトも導入交渉中とアロビオは紹介している。四か国は旧型E-2Cを運用中だ。■


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Navy Plans Upgrades to Fly E-2Ds into the 2040s - USNI News

By: Dan Parsons

August 3, 2021 10:02 PM • Updated: August 4, 2021 1:57 PM


B-21に輸出の可能性が浮上。輸出先想定5か国に日本も。 実現すればクアッドで共通装備となるのだが、その可能性は?

B-21 Stealth Bomber Official Artwork

 

B-21次世代ステルス爆撃機は過去50年の西側爆撃機の生産実績を上回る規模の製造となる予定で、米空軍の発注規模が200機超になる可能性が出てきた。さらに同盟国への輸出がとりざたされている。

 

B-21は現有のB-1BおよびB-2に交代し2030年代の第一線運用を想定し、試作型が2022年に初飛行する。現在稼働中の大陸間爆撃機では米国から輸出実績はないが、B-21は長距離戦略爆撃用途以外の任務もこなす想定で、空中早期警戒機、データ中継機、空中給油機、スタンドオフミサイルを運用する攻撃機、レーザー等指向性エナジー兵器搭載機にする構想がある。

 

幅広い活躍を実現しB-21には西側世界で最も威力の高い機材になる期待が寄せられており、特に運用維持経費が現行機より大幅に下がるため海外でも高い需要が見込まれる。時間当たり経費はB-2の四分の一程度になる想定でB-21導入が可能となる国も一定数出現する。生産機数が増え、さらに製造ラインも追加すれば効率がさらに上がり、研究開発費用も増やせるので輸出仕様の実現も容易となる。同盟国での爆撃機運用が実現すれば、中国、ロシア、北朝鮮、イラン等の敵対勢力へ威力を発揮し、輸出の後押しとなる。では、B-21導入可能性がある5か国を順にみてみよう。

 

 

1. オーストラリア 

B-21輸出が可能となればオーストラリアの導入可能性が高い。事実、オーストラリアは同機受け入れ用施設の構築をすでに同国内の米軍基地で始めている。中国を視野に入れたオーストラリアの軍備増強は西側が認めるもので、東南アジアへの西側最前線としての同国の位置に大きな意味があり、オーストラリアがさらに遠方の目標地点の攻撃能力を実現すれば広義の西側目標が実現する。同国はF-111長距離攻撃戦闘機を米国以外で唯一運用していた。オーストラリアは同機を隣国インドネシアの威圧に運用していたが、B-21を導入すればこの用途が復活し、同時に対象地がより広範に広がる。オーストリアが導入するF-35Bによる兵力投射能力を補完する効果が生まれる。オーストラリア北部の各基地や遠隔地点の航空基地への脅威が現実のものとなっているが、B-21があれば緩和効果が期待される。B-21の航続性能ならオーストラリア本国から東アジア東南アジアの大部分が作戦範囲に入る。オーストラリア政府に核兵器導入の構想があるとの報道があり、事実ならB-21の訴求力が増すはずだ。

 

2.イスラエル

イスラエルもB-21導入の可能性が高く、高性能長距離機材として活用する余地が大きい。同国は核兵器保有9か国の一角を占め、B-21はジェリコ2ミサイルやドルフィン級潜水艦と核抑止力を実現するはずだ。より重要なのはB-21はGBU-57など高性能地上貫通兵器の運用能力があることで、現状のイスラエルには同兵器を運用する能力がないが、イランイスラム共和国への軍事オプションが生まれる。B-21がこうした兵器を搭載すればイランの核施設や地下ミサイル基地を無力化できるのが、イスラエルは現時点でこの実施能力は未整備だ。核兵器があるが、適切な運搬ができなければ効果は期待できない。またイラン領空内で長時間にわたり作戦行動可能な機材もなく、F-35やF-15でも不可能な任務をこなせる機材はB-21のみとなる。イスラエルは兵力投射拠点を北アフリカさらにパキスタンにまで拡げる構想を練っており、B-21導入は効果を上げる選択となる。

 

3.日本

日本は攻撃的性格の装備品導入を増やしており、北朝鮮、中国、ロシアを想定した長距離精密誘導ミサイルの実現をめざしているが、B-21導入候補国として浮上してきた。日本の軍事組織は米軍のプレゼンスのもと強い統制調整を受けており、同機の導入を許しても米国にとってリスクは比較的低いはずだ。逆に日本がB-21部隊を編成すれば大きな効果が生まれる。日本が同型機を相当数発注するはずだからだ。第六世代機で有人型無人型の二機種を国内開発をめざす日本にはB-21が唯一の米国からの輸出機材になってもおかしくない。防衛装備販売で日本の対米貿易黒字を減らす効果も期待できる。

 

 

4.インド

インドは対艦攻撃任務に特化した爆撃機調達へ関心を以前示し、ロシアのTu-22M中型爆撃機の導入を一時真剣に検討していた。実際にTu142(Tu-95が原型)を対潜哨戒任務に運用していた。B-21はLRASM(長距離対艦ミサイル)をステルス特性と高性能センサーをあわせ強力な対艦攻撃機材となる。米国もインド洋に爆撃機を展開させており、インドへのB-21販売が俎上にのぼれば承認の可能性は高い。中国の補給路で死活的なインド洋でにらみをきかせることに加え、インドの核抑止力の一環として深部侵攻能力が重宝されるはずだ。インド海軍はP-8対潜哨戒機を導入済みでインド洋上の哨戒活動に投入しているが、一B-21がインド海軍標識を付けて運用される可能性は決して低くない。

 

5.フランス

NATO加盟国でフランスが米国の戦略パートナーとして浮上してきた。実際に同国は同盟内で二番目の軍事力を保有し相当の余裕もある。同国はこれまでシリアでの米作戦を思念し、米仏両国でシリアに地上部隊を展開しており、東アジアでもフランスは西側の軍事対応を主張する米国の立場を支えている。フランスは戦略爆撃機運用の実績が長く、ミラージュIVを冷戦時に配備しており、B-21運用が実現すればロシアの動きを抑止するにとどまらず、中東、西アフリカさらに東アジアでも同じ効果が期待できる。フランスは西側によるイランのミサイル開発の制約を提唱し、太平洋の海外領各地は爆撃機の運用基地として活用する可能性がある。フランスがステルス爆撃機を今から国内開発する可能性は極めて低い。■


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Five Potential Export Clients for America's Upcoming B-21 Stealth Bomber: From India to Australia

August-1st-202

 

2021年8月6日金曜日

「核を嗅ぎ分ける」特殊改装コンスタントフィーニクスが8月5日にバルト海上空で特異なフライトを展開した背景に核事故があったのか?

 An Air Force WC-135 Constant Phoenix aircraft.

USAF

空軍に1機しかないWC-135Wコンスタントフィーニクス「核嗅覚機」が本日8月5日バルト海上空を異例の形で飛行した。同機は通常は飛行中に集めた大気標本から放射線レベルの急上昇を探知するのが役目だが、核実験後や原子力事故後の情報収集や、放射能物質の拡散を追跡することもある。

このWC-135Wは機体番号61-2667でコールサインをジェイク21とし、RAFミルデンホール基地から離陸したのがフライト追跡サイトADS-B Exchangeで判明している。

ADS-B EXCHANGE

WC-135W コンスタントフィーニクス機体番号61-2667の本日のフライト経路をADS-B Exchangeデータで示した。

USAF

WC-135W コンスタントフィーニクス(61-2667)

同機はオランダ、ドイツ、ポーランド上空を通過してから北に転じバルト海上空に到達した。その後バルト海上空を一定のパターンで飛行してから、同じ航路で帰投した。オンラインのフライトデータを見るとバルト海上空を5千から6千フィートで飛行している。だが往復移動では20千から30千フィートだった。

ADS-B Exchangeのデータでは同機は7月28日にネブラスカのオファット空軍基地を出発し、ミルデンホールに7月31日到着している。英国に移動してから本日まで一回も飛行していない。

だがバルト海上空を飛んだコンスタントフィーニクスの目的がはっきりしない。The War Zoneは第16空軍の空軍技術応用センター(AFTAC)に照会し、詳しい情報を求めた。AFTACは機密性の高い組織でWC-135W機上の各種センサーを運用している。同センターの主たるミッション1963年の部分的核兵器実験禁止条約の関係者へ地上核実験が行われていない裏付けを提供することだが、他の核関連イベントも監視している。

ソーシャルメディアがさっそくとびつき、ロシアの原子力艦艇二隻が今回のフライトに関係していると主張する向きが出たが、関連があるか疑わしい。

今回のフライトのほぼ一週間前にロシア海軍のオスカーII級原子力誘導ミサイル潜水艦オレルがバルト海から北海への移動中に機関故障を起こしていた。

ROYAL DANISH NAVY THIRD SQUADRON VIA FACEBOOK ロシア海軍のオスカーII級原子力誘導ミサイル潜水艦オレルはデンマーク沖合で機関故障に見舞われた。

ロシア海軍も以前のソ連海軍同様に事故を多発させているが、原子力潜水艦オレルの原子炉に問題が発生し放射能漏れが発生した兆候はなく、同艦は自力で航行を続けたものの、推進力喪失の理由は不明だ。また61-2667機が英国に到着したのは同艦で故障が発生した後のことで、同機はその前からミルデンホールに向けて飛行中だった。

ロシアが建造した4隻の原子力砕氷貨物船のうち唯一供用中のセブモルプチがオンライン船舶追跡サイトではフィンランド湾内を航行していたのが判明している。2020年11月ロシア国営原子力企業ロサトムの北海航路局長ヴャチェスラフ・ルクシャは同船のプロペラ四基のひとつが破損したためサンクトペテルブルグの乾ドックに向かうと発表していた。破損の原因は不明だが、同船は今年に入りアンゴラ沖合を航行中だった。

KINBURN VIA WIKIMEDIA

セブモルブチは2020年2月にバルト海を航行していた

セブモルプチの現在の状況はわからず、プロペラ修理を終え公試中の可能性がある。だが、同船の原子炉が原因でトラブルが発生したとの報道は出ていない。61-2667機のフライトはフィンランド湾は対象としておらず、同地より南方海上の飛行経路をとっていた。

バルト海上空のフライトでは天候条件により放射性粒子を捉えるため、さらに北方や東方へ飛ぶことがある。ロシアは原子力推進の核巡航ミサイル、ブレヴェスニクをさらに北東に位置する白海でテストして物議をかもしたのが2019年のことで、開発は北極海のノヴァヤゼムリヤでのテストに変更された。

同地にはロシアの海軍基地数か所があり原子力潜水艦の母港として、民生用原子力発電所、核廃棄物処理場もあり、以前も放射能レベル急上昇の観測結果が得られている。昨年夏にも同じ現象が発生し、原子力発電所あるいは廃棄物処理施設での事故が疑われた。

コンスタントフィーニクス機は世界各地に派遣され空中放射線レベルに異常がないかをAFTACの部分核実験禁止条約に基づき観測していいる。AFTACからは2017年にコンスタントフィーニクスが北極海上空に派遣されたのもこの目的のためだったと説明が出ているが、当時は放射性ヨウ素131が大気中に高レベルで検出され、ロシア北西のコラ半島が発生地とわかった。ヨウ素131は核分裂反応の副産物で、濃度急上昇は核実験あるいは何らかの核事故の発生を示唆する。

61-2667機のフライトが通常の形だったのかはともかく、「核の嗅覚探知」能力が空軍で限られていることがあらためて明らかになった。前述のとおり、WC-135は一機しかなく、もう一機のWC-135C(62-3582)は昨年退役している。

両機とも1960年代の製造機をコンスタントフィーニクス仕様に改装されたもので、現在は運用維持が著しく困難になっている。62-3582では大きな問題がたびたび発生する中で廃止された。61-2667機もオーストラリアのRAAFアンバリー基地で今年初めに機械関係の故障で二カ月にわたり飛行不能状態になっていた。

空軍はKC-135Rの三機をWC-135Rに改装し、コンスタントフィーニクスミッションの実行能力拡張を企画しているが、追加機材がいつ運用可能になるか不明だ。ポッドに収集システムを搭載して別機材での運用もめざしており、無人機で同じ機能を実現する日が来そうだ。

とはいえ、本日の61-2667のバルト海上空飛行には興味が集まり、The War Zoneは追加情報が入り次第、情報を更新する。■

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Curious Mission Flown Over The Baltic Sea By US Air Force Nuke Sniffing Plane

The Air Force only has one Constant Phoenix jet, which is used to collect air samples that could show evidence of nuclear testing or accidents.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 5, 2021



米陸軍がめざす次世代装備5種類をご紹介。冷戦時装備がこれから姿を消し、対中・ロ戦を想定した新型戦力に変身していくのか。

 

 

 

 

米陸軍は高威力の装備品数々を運用中だが、ハイテクのロシア軍や中国軍との対決に備え、さらに戦車からミサイルまで新型装備品の実戦化に取り組んでいる。

 

その結果、エイブラムズ戦車やアパッチヘリコプターなど冷戦時の装備品が徐々に姿を消していくことになる。こうした米軍事力の象徴の代わりに新世代装備品が主流となるはずだ。

 

今回は中でも注目の装備品をご紹介する。

 

1. 次世代戦闘車両 

 

陸軍装甲部隊ではM1エイブラムズ戦車、M2ブラドレイ歩兵戦闘車両が主役の座をつとめてきた。ともに改良を繰り返し、最新のM1A2ではセンサー性能と電子装備が1980年代製より向上しているとはいえ、ともに40年前の設計思想でフルダ渓谷でソ連戦車隊を撃破するべく作られた車両だ。対戦闘員の「小規模戦」がここ20年続き、装甲の厚さは地上部隊で重要性を失ったが、ロシアや中国が相手の「大規模戦」に備える中で戦車に改めて重要性が生まれている。

 

陸軍の次世代戦闘車両事業では21世紀の装甲車両として新型主力戦車、歩兵戦闘車両、自力推進砲、ロボット戦車まで想定する。防衛産業はすでに新型車両構想の売り込みを始めており、BAEはスウェーデン製CV90歩兵車両を提案している。どの車両を採用するにせよ、ここ40年の技術面の進展を反映した内容になるはずだ。アクティブ防御で対戦車ミサイルの効果を減じる、戦術情報ネットワーク化、無人装備も新型車両の機能の一部となるはずだ。またDARPAのX車両技術開発事業ではもっと未来的な発想で、想像図(下)は砂漠走行用バギーに見えるほどだ。

 

DARPA

 

2.機動性短距離防空装備 Maneuver-Short-Range Air Defense(MSHORAD)

 

米空軍の護衛を受け、タリバンなどローテク敵勢力に立ち向かった米陸軍の戦術防空体制は冷戦時のままだった。だが、無人機が普及し、ロシア、中国の航空戦力が脅威となると地上部隊に空はもはや安全な場所でなくなる。そこで、陸軍はつなぎ解決策としてスティンガー対空ミサイルをストライカー軽装甲車両に装備した。だが、陸軍は指向性エナジー兵器(レーザー)をストライカーに導入する計画を有する。これにより標的にもっと迅速に対応でき、しかも電力供給が続く限り弾薬切れになることがなくなる。

 

3. ロボット戦車 

 

SF小説の世界だったが、米陸軍は任意有人操縦戦闘車両の実現をめざす。ロボット試験車両が完成している。遠隔操縦武装車両M113兵員輸送車で、自律運用トラックの開発も進め、無人で補給品を運ぶ機能の実現を目指す。

 

4.  将来型垂直輸送機

 

冷戦時のM1戦車が姿を消すようにアパッチ、ブラックホークのヘリコプターも交代する。将来型垂直輸送機では新型ヘリコプターのファミリーとして攻撃偵察型の実用化もめざす。

 

5. 長距離火砲

 

空軍の航空支援を当たり前にとらえ、陸軍の野砲はロシアより遅れをとってしまった。ロシアが新型りゅう弾砲を導入しているが、大口径火砲として射程20マイルのM109A6パラディン155mm自走りゅう弾砲があるが、陸軍は千マイル有効な新型砲の実用化をめざす。実際の射程は数百マイル程度だろうが、従来より大幅な長距離火力を導入すれば敵部隊の動きを制することが可能となる。■

 

World War III: The U.S. Army's Future Weapons Will Be Crazy Advanced

by Michael Peck

 

August 4, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyU.S. ArmyArmy

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Flickr