2021年8月23日月曜日

航空自衛隊機カブールへ派遣。一方、米国は戦後三回目の民間予備機を動員し、避難民などの国外脱出を助ける。カブール空港の状況など現地からの情報をご覧ください。

航空自衛隊はC-2、C-130Hを合計3機派遣することになりました。現地情報が混とんとしており危険なミッションになりそうです。再び空虚な政争の材料とすることなく、現地残留邦人や大使館等で日本に協力した現地人を無事脱出させることができるよう祈りましょう。ただし、大使館員が真っ先に脱出したというのはいかがなものなんでしょうか。


USMC

イラク帰還の米海兵隊員がマーチ航空予備基地(カリフォーニア)に到着した。機体はチャーター機。2004年



米軍がこれまで運用されることが少なかった民間エアライン・チャーター会社の機材利用に踏み出した。各社は機材を提供し、有事の作戦要求にこたえる。アフガニスタン脱出作戦が展開中である。20社程度が民間予備航空機部隊に加わり機材乗員を24時間程度提供するがハミド・カルザイ国際空港へ直行せず、中間地点まで運ばれた避難民を最終目的地へピストン輸送することなる。


ペンタゴン発表ではロイド・オースティン国防長官が米輸送軍団 (TRANSCOM)に命じ民間予備航空機部隊Civil Reserve Air Fleet (CRAF)の第一段階を発令する。動員されるのはアメリカンエアラインズデルタエアラインズアトラスエアオムニエアの各社で各社三機を提供する。さらにユナイテッドエアラインズが4機を提供するほか、ハワイアンエアラインズは2機を出す。米軍関係者は合計18機の型式に触れていない。


国防総省、商務省はCRAFを1951年発足させた。ベルリン空輸作戦の経験がその前にあり、民間機を臨時に活用する制度が生まれた。


エアライン、チャーター会社がCRAFに加入しており、TRANSCOMが契約相手となる。加入は完全自発的とされっるが、加盟会社は英字の米軍人員貨物輸送時に優先利用される。


各社機材は性能により国内専用あるいは国際輸送に割り振られる。「国際部門のCRAFに加わる会社は最低でもCRAF任務達成可能な機材が4割あることが条件」と空軍は述べている。CRAF加盟会社は各機に乗員チーム4組を準備する必要がある。米軍では加盟会社は点検整備や安全運航基準も満たす必要があるとする。


2021年8月時点で24社がCRAFに加わっており、提供機材は450機に上る。このうち413機は国際運行に耐える機材で、残る37機は国内専用となる。機数は毎月変動する。また加盟会社数も変動する。何もなければ機材は通常の民生輸送を続ける。


予備機を今回投入するが三段階に分かれる。第一段階が現在進行中で今回のアフガニスタン脱出支援のように地域内緊急事態に対応する。第二段階では投入機数が増え、大規模な戦闘や国家動員体制に備える。


「通告後に加盟会社がCRAF向け機材提供を24-72時間以内に実現することなっており、時間数は段階ごとに異なる」と空軍は説明している。TRANSCOMは空軍の航空機動軍団(AMC)を通じ提供CRAF機材の運用を統括するが、各エアラインがあくまでも自社機材の運用に責任を有する。


予備機材が投入されたのは過去2回しかない。初回投入は1990年の湾岸戦争時で二回目は2003年の米主導イラク作戦の際だった。だがCRAF機材は演習によく動員されている。


「CRAF動員により国防総省は民間航空機の機動性を利用でき米市民や関係人員の国外脱出を進める国務省を支援できる。特別移民査証を有するもののほかリスクが高い個人を脱出させる」とペンタゴンは公式声明を発表。「CRAF機材はハミド・カルザイ国際空港には乗り入れず、臨時安全地帯からの移動に投入される。CRAF動員により空輸能力は軍本来の能力を超える規模となり、軍用機はカブールでの運用に集中できる」


昨日の報道ではチャーター会社でCRAF加盟企業が「警告命令」を受け取り、機体提供が迫っていることを知らされたとある。チャーター便はすでに米軍のカブール空輸の大きな柱で、17千名(大部分が米国人以外)を週末にカブールから脱出させたという。


ただし、避難民処理の能力不足や補給面、手続き面で障害が発生しており、カタールのアルウデイド航空基地のハンガー内ではアフガン避難民多数がすし詰めになっている。避難民は足止めされ別地点に移送されることになっていた。アルウデイド基地での滞留は先週悪化し、ハミド・カルザイ国際空港の出発便が8時間にわたり停止となる措置が8月19日から20日にかけ発生したほどだ。


米国はドイツのラムステイン航空基地へ避難民を搬送しており、さらにカタール、クウェイトが到着地点に加わった。ラムステイン行のフライトでは妊婦が産気づき米空軍第86救命隊が機内で出産を助けた。C-17Aはアフガニスタン国外脱出のイメージと結びついた。


米政府は各国と協議中で避難民受け入れを一時的にせよ求めている。すでに承諾した国もある。ただし、肝心のフライトがまだ実現していない。


CRAF機材の投入で補給面のストレスが減るかもしれない。米軍機はもっと危険なカブールでの運用に集中できそうだ。またハミド・カルザイ国際空港の混雑度も緩和されよう。ランプが不足し一本しかない滑走路を活用せざるを得ず、機体多数が地上待機を迫られている。


これとは別にハミド・カルザイ国際空港へたどり着くのは難問だ。空港を一歩出ると状況は混とんとしており、死の影もあり、保安上の懸念は日一日と増えている。昨日も米国務省から米国民に不特定の保安上の脅威のため空港へ近寄らないよう通達があり、米政府から連絡がある場合に限り空港へ移動してよいとある。その後の報道でISISの一派がアフガニスタンにおり、避難作戦を標的とするテロ攻撃を準備中とある。


こうした状況でフランス・英国の部隊はカブール市内で外国人および高リスクのアフガニスタン国民を空港へ誘導している。ドイツ軍もヘリコプターで同様の支援を提供すると発表した。米軍もカブールで同様の作戦を一例実施した。ペンタゴンは引き続き部隊増派の予定はないとしている。


こうしてみると予定した撤収作戦を米軍が実施可能となるのはまだ数週間先のようだ。とはいえ、この段階でCRAFの投入のみを決めた理由が理解できない。カブールが陥落すれば米政府のため働いていたアフガン国民数千名がタリバンの報復の対象となり、国外脱出が必要となることは以前から想定できていた。8月31日のデッドラインで撤収を完了させる必要があり、CRAF動員が遅れたことは理解に苦しむ。


同時に各国国民をハミド・カルザイ国際空港から妨害なく脱出させられるかはタリバン次第だ。タリバンは権力掌握をねらっているが、国内に武装抵抗の動きも出てきた。米軍は反タリバン勢力を空爆で支援するか明言を避けている。

 

今回のCRAF機材動員はアフガニスタン脱出を迅速かつ円滑に進めるための選択であることは明らかだが、今なぜこれを必要なのかは今後説明が必要だろう。■

 

What The Civil Reserve Air Fleet Is And Why It's Been Activated For The Third Time In 70 Years

 

The fleet can dramatically bolster the Pentagon's own air transport capabilities and that is what it will do for the evacuation of Afghanistan.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 22, 2021

 

 

Contact the author: joe@thedrive.com



 

タリバンが捕獲した航空機等装備品は脅威にならないとしながら、落ち着いたら空爆で破壊を目指しそうな米軍の今後の動きに注目だ。

  

アフガニスタン・カンダハール基地のフライトラインに駐機中のA-29に向かうアフガン軍パイロット。Sept. 10, 2017, at Kandahar Airfield, Afghanistan. (Staff Sgt. Alexander W. Riedel/U.S. Air Force)

 

リバンがカンダハール飛行場を占拠すると、機体とポーズをとる戦闘員の写真がソーシャルメディアにすぐ現れた。米製ブラックホークやソ連時代のMi-17ヘリコプターの姿が写っていた。

 

次にマザリシャリフ空港を占拠し、さらに写真が流出し、A-29攻撃機やMD-530多用途ヘリコプターの姿が写っていた。

 

そしてアフガニスタン全土がタリバン支配下になると、今や問題はタリバンがアフガン空軍機材を入手するかではなく、何に使うのかになってきた。また米軍はどんな手を打つのだろうか。

 

アフガン空軍の保有機材211機のうち167機の固定翼機回転翼機が6月30日時点で稼働状態にあったとアフガニスタン再建担当特別監査官報告にある。

 

うち何機がタリバンに捕獲されたか国防総省から発表は出ていない。一部はアフガン空軍パイロットが国外へ移動させているものの総数も把握できていない。

 

ペンタゴンでの記者会見でハンク・テイラー少将(統合参謀本部地域作戦副部長)がこれ以上の機材の捕獲を防ぐべく米軍が何らかの行動を取る情報はないと8月16日述べている。

 

アフガニスタン従軍経験のあるブラドレー・バウマンはブラックホークパイロットで今回の米軍撤退を苦々しく思い、Defense Newsに対し、「ハンヴィー数百両、火砲その他装備に加え航空機も捕獲されたのは間違いない」「米軍に困った事態になる。こうした装備の予算を出したことだけでなく、タリバンが利用するからだ」と述べた。

 

バイデン政権は最高優先順位をアフガニスタンからの米国人脱出に置くべき、とバウマンは言い、アフガニスタンに残留する米製装備をことごとく破壊すべきであり、アフガン空軍の機材も同様だと述べた。

 

「今これを実行すれば、タリバンもカブール空港の撤収作戦への妨害をやめるはず。米国人全員が国外に出て、同時に協力してくれたアフガン国民も脱出させられる」

 

「これがすんだら、タリバンの捕獲機材すべてを破壊すればよい。絶対これを実行すべきだ」

アフガン空軍はA-29攻撃機を23機、C-130輸送機4機と軍用仕様のセスナ・キャラバン33機を運用していたことが特別監査官報告書でわかる。

 

ヘリコプターは150機ほどで、UH-60ブラックホーク多用途ヘリのほか、武装型MD-530に加えソ連製Mi-17もある。

 

中でも最も威力があるのがA-29スーパートゥカーノで、ブラジルのエンブラエルが製造し米企業シエラネヴァダが米製センサーや兵装の統合を担当した。

 

ジェット戦闘機並みの速力、機動性はないものの、A-29はゲリラ戦に最適化し、低速低空飛行で地上標的を狙う。同機は比較的未熟なパイロットでも操縦でき厳しい環境でも飛べる。

 

こうした特徴からアフガン空軍に最適の機材であるが、米軍に脅威を与えないと戦闘航空軍団を率いるマーク・ケリー大将は評している。

 

「M16銃からA-29まで敵の手に落ちた装備に心配があることは理解できるが、実際にどう使われるかは不明だ」とケリー大将はDefense News取材の8月16日に述べていた。「ただしA-29は最先端技術の機体ではない」「同機の性能やコンピュータ処理能力はこちら側を心配せせる内容ではない」

 

タリバンが捕獲機材を売却するとしても、ロシアや中国を利する機密技術を搭載した機材は皆無だとTealグループの航空宇宙アナリストのリチャード・アブラフィアは解説している。「ロシアや中国にとってスーパートゥカーノや初期型のブラックホークの入手は簡単だが、搭載技術はきわめてローテクだ。」

 

捕獲機材を運用したくてもタリバンには数々の障害が横たわる。

 

まずタリバンには訓練を受けたパイロットが不足しており、各機の装備を使いこなせず、兵装の運用ができないとケリー大将は指摘する。「それでも飛行させるのは可能だろう」「だが地上攻撃の前に自分たちの安全が危険となる」

 

最終的にタリバンも訓練を受けたパイロットを確保するだろうが、「こちら側の真剣な脅威になるとは思えない」とケリー大将は評した。

 

タリバンにはもっと大きな障害があり、それはコストであり、専門知識であり、機体維持に必要な補給支援活動、飛行前後の活動であり、保守管理や必要部品の調達だ。だが、解決が不可能な課題ではないとバウマンも指摘する。「タリバンがパイロットを見つける可能性があり、こうしたパイロットが寝返る可能性もある」「米国に反する外国が援助する可能性もある」

 

これに対しアブラフィアは搭載兵装がアフガニスタン市民あるいはその他国の住民に向けられればタリバンの目指す国内統治の効果を下げることになると指摘。

 

「いったん間違えば9/11以前の状況に戻り、テロ集団が同国に集まる」「現時点で組織化された抵抗運動は同国内に存在しない。またタリバンも周辺国に戦闘を挑もうとしていないが、もし挑戦すれば難航するだろう」

 

国外脱出相次ぐ

 

軍用機の多くが国外脱出しており、タリバンが手にできるのは少数機に限られる。

 

土曜日夜にアフガン空軍固定翼機、ヘリコプターがそれぞれ3機と2機タジキスタンに到着し、ヘリコプターには143名が乗っていた。タジキスタンは各機に着陸許可を与えたとニューヨークタイムズが報じた。

 

アフガン空軍はウズベキスタンへも脱出している。

8月16日にウズベキスタン検察庁は機種不詳の固定翼機22機、ヘリコプター24機で空軍隊員等585名が8月14日15日の二日間で到着したと発表している。

 

同庁からはA-29だけで3機が着陸許可を8月15日に申請し、ウズベク空軍のMiG-29がエスコートしていたが、MiG-29とA-29で空中衝突が発生したとの発表も出ている。両機パイロットとも脱出し無事だった。■

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The Taliban have access to US military aircraft. Now what happens?

 

By: Valerie Insinna 

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2021年8月22日日曜日

核兵器だけじゃない。北朝鮮の化学兵器の脅威をもっと真剣にとらえるべき。本当に面倒な国になっている原因は目的のためには手段を問わないとする思考方法にあるのではないか。

 

NK News

 

朝鮮には5000トンもの化学兵器貯蔵量があり、有事に使用する可能性は高い。

北朝鮮の化学兵器は核兵器の影に隠れることが多くなっている。しかし、危険度は高いままだ。朝鮮人民軍(KPA)が劣勢になれば、化学兵器の投入が一層重要になる。北朝鮮が化学兵器を使用する可能性はほぼ確実で、群衆制御から致死性の高い神経ガスまでの使用が想定される。

 

化学兵器を前線で使えば、局地的戦術的な優位性を実現できる。また航空基地を攻撃すれば敵戦力を無力化できる。北朝鮮にはミサイルや火砲が豊富にあるので、遠隔地攻撃も可能だ。北朝鮮が化学兵器攻撃を非武装地帯からプサンまで南朝鮮全域を対象に展開する事態が発生しそうだ。

 

有事となれば、KPAの化学兵器脅威の除去は運搬手段が多数あることから不可能になる。

 

北朝鮮の化学兵器使用原則

 

北朝鮮は大量破壊兵器の定義を独自に解釈している。核兵器は戦略抑止力と位置付け、金王朝の存続を守るカギだ。北の核兵器は戦時シナリオでは投入想定がないようだ。使用すれば南朝鮮と米国が北朝鮮政権を崩壊させる動きに出るからだ。

 

これに対し化学兵器投入は実際に想定がある。北朝鮮軍は化学戦環境下での運用を日頃から訓練しており、化学防護装備や検知装置は国産調達している。その一部がシリアで発見されている。

 

化学兵器で期待される効果として、まず敵防衛体制の制圧があり、KPAは米韓連合軍に勝利を収めるつもりだ。化学防護服を着用すれば兵員の動きは鈍くなり、防衛体制は分散して化学兵器の効果を最小化しようとする。北朝鮮は化学兵器を初期段階で投入して、戦闘の行方を有利に進めようとするだろう。戦闘が続けば、不確実性が高まり、化学兵器の投入効果は減るどころか逆効果にもなりかねない。

 

北朝鮮が保有する化学兵器の種類

 

北朝鮮は広範な種類の化学物質をそろえており、任務に応じて選択するものと思われる。化学兵器の効果は一時的な無力化から致死性までそれぞれだ。

 

南朝鮮国防部の2012年推定では北朝鮮は2,500トンないし5,000トンの化学兵器を保有しているとある。年間生産は平時で4,500トン、戦時で12,000トンとの推定だ。

 

北朝鮮の化学兵器は五種類に分類される。騒擾対策、窒息性、血液剤、水疱性、神経性だ。このうち、騒擾対策用にはアダムサイト(DM)、CN、CSの各ガスがある。こうしたガスは「催涙」ガスの特徴があり、群衆を解散させるものの健康な成人なら致死性はない。

 

これと別に窒息性ガスがあるといわれ、呼吸系に悪影響を与える効果がある。吸気が短時間でも病院治療が必要となる。より長く吸気すれば死に至る。KPAは塩素ガス、ホスゲンガスを使用するとみられる。

 

血液剤には水酸化シアンや塩化シアンがある。

 

北朝鮮にはマスタードガスもあり、皮膚に作用し水疱を発生するほか、眼球や鼻などの粘膜も悪影響を受ける。

 

さらに北朝鮮には高度の致死性がある神経ガスもあるといわれ、窒息を起こす。サリン、ソマン、タブン、VM、VXがある。

 

運搬手段

 

北朝鮮にはこうした化学兵器の運搬手段が長距離ミサイルから特殊部隊まで多数ある。南朝鮮以遠も攻撃可能で、理論上はロシアや中国の国境地帯も含まれる。

 

重要なのは戦場使用なら比較的短距離運用で事が足りることだ。朝鮮半島は朝鮮中国国境から南端まで500マイルに満たない。ピョンヤンからDMZまで100マイル、ソウルからDMZも120マイルだ。

 

ロケットやミサイルが北朝鮮が化学兵器投入にまず利用される手段となる。米国防総省の2014年推計では北朝鮮の短距離ミサイル発射装備は100基未満で、そのうちToksa/KN-02は射程75マイルで、スカッドミサイルも最大射程は185マイルから625マイル程度だ。こうした装備品は国境付近に配備する必要がある。

 

だがノドンミサイルは射程800マイルで南朝鮮からさらに日本も標的に収める。

 

野砲も化学兵器発射に利用できる。北朝鮮にはロケット発射機5,100門、自走砲4,400門があるとの推定がある。ロケット砲は122ミリ以上、野砲は152ミリ以上あれば化学砲弾を運用できる。

 

北朝鮮人民空軍は化学兵器運用能力を有するが、機材が老朽化し信頼性が低下しており、南朝鮮の防空網を突破できる可能性は低い。とはいえ、Su-7BMK「フィッター」18機、Su-25「フロッグフット」32機に化学兵器搭載が可能だ。

 

北朝鮮の大規模な特殊部隊には有事に重要な任務が想定されており、化学兵器の運用もある程度行われるだろう。潜入訓練を受けており、化学兵器使用で混乱が生まれそうだ。

 

北朝鮮は探知されずに化学兵器を分散するべく潜水艦や無人機を利用するだろう。さらに未発見トンネルも使い南朝鮮の背後に化学攻撃をしかける想定もある。

 

標的はどこか

 

北朝鮮が化学兵器使用をいとわない理由としてハイテク装備の他国との関係を変えることがある。最重要標的は国境を挟み展開する南朝鮮軍部隊で、地上攻勢支援として化学兵器を投入し突破口を開き、ソウル攻略からその先も狙う。

 

航空基地も攻撃対象で、一時的にせよ航空活動を止めれば、米韓両軍の航空戦力の優位性を無効にできる。テグ航空基地がROK空軍のF-15K戦闘爆撃機の拠点となっており、米軍のクンサン、オサン両基地も北朝鮮ミサイル攻撃の対象になりそうだ。

 

プサンはじめ港湾も攻撃対象で米国の援軍部隊が到着する地点となる。ROK陸軍の補給処を攻撃すれば前線への追加部隊を遅らせる効果が生まれる。

 

北朝鮮特殊部隊が民間を標的にする可能性がある。政治家、重要インフラ他高価値の民間標的が狙われればパニックとなり、政府への信頼も下がる。東京で1995年に発生したサリンガス襲撃事件でも一般市民の士気が下がり、パニックが生まれた。いったんパニックに陥ると市民は厄介な問題となる。道路交通をふさぎ、戦闘から逃避するだろう。

 

さらに朝鮮半島外に展開する米軍施設も化学攻撃の標的になりうる。嘉手納航空基地、三沢航空基地や横田航空基地は日本から米航空戦力を支える重要拠点だ。さらに横須賀基地、厚木基地、佐世保基地も米海軍の重要施設だ。グアムには潜水艦部隊、爆撃機部隊があり、北朝鮮のテポドン長距離ミサイルの射程に入る。

 

結論

 

北朝鮮は化学兵器を本当に使用するだろうか。同国の通常兵力の劣化からガス兵器投入の必要度が高まる。KPAには戦場の行方を左右する決定的な兵器が少なく、まして単独で投入する手段は少ない。

 

これまでは化学兵器を投入すれば米韓両国から「大量報復」を招くだけと思われてきた。だが、米韓連合軍がKPA撃滅を目指し核兵器除くあらゆる手段を投入してくるはずだ。北朝鮮の視点ではこの状況なら化学兵器使用に政治的な障害はなくなるとみるはずだ。

 

シリア国内での化学兵器使用に西側がうまく対応できていないことからガス兵器の「レッドライン」警告の空虚さを露呈してしまった。シリア住民への化学攻撃と米軍部隊への攻撃はまったくちがうが、はっきりしているのは化学兵器使用のタブーが消えたことだ。

 

北朝鮮の化学兵器の脅威は現実のもので戦時に使用される可能性は高い。有事となれば米韓連合軍の最適戦略は北朝鮮の指揮命令系統を寸断したのちに攻勢をかけることだろう。北朝鮮参謀部が命令を下すのも正確な情報も受け取れなくなれば、化学攻撃の立案も困難になる。国連軍が迅速な行動を取れば、移動速度の低い火砲部隊、ミサイル部隊は絶好の標的となる。

 

北朝鮮の化学兵器の脅威を緩和するのに最大の効果を発揮する手段は撤去交渉だろう。化学兵器すべてといわず大部分の廃棄で説得が成功すれば、有事の民間人、兵員への脅威が減る。さらに朝鮮半島内外にも広がる。だが歴代の米政権は関心を払ってこなかった。北朝鮮から化学兵器が消える日を世界が本当に期待するなら、社交性欠如の同国と協議を今すぐにでも開始すべきだ。■

 

 

Its Not Just Nuclear: North Korea Also Has 5,000 Tons of Chemical Weapons

by Kyle Mizokami

August 21, 2021  Topic: North Korea  Region: East Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyNorth KoreaNuclear WeaponsChemical Weapons

Its Not Just Nuclear: North Korea Also Has 5,000 Tons of Chemical Weapons

 

Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This was originally published in March 2015. 


2021年8月21日土曜日

「中国をビクつかせろ」ケンドール新空軍長官が就任。難航してきた旧式機材の整理も新手法で加速化するか。ケンドールはオバマ政権でDoD調達トップを経験し、ペンタゴン内部を熟知。

 

空軍長官フランク・ケンドールが宇宙軍参謀総長ジョン・W・レイモンド大将(左)、空軍参謀総長CQ・ブラウンジュニア大将、空軍次官ジーナ・オーティスと長官就任後初の打ち合わせを空軍省の各トップとヴァージニア州アーリントンで2021年7月28日に行った。(Eric Dietrich/U.S. Air Force)


空軍文官のトップとして宣誓を済ませたフランク・ケンドールはさっそく予算関係文書に向かった。

 

ペンタゴンで調達業務トップを務めていたケンドールは軍事技術に詳しく、ぎりぎりのところで2023年度空軍予算の修正を命じた。

 

ケンドールはDefense News単独取材の8月13日に狙いは「中国をびくつかせる」最新技術の配備にあるとした。だがこれが実現するかは議会が納得し、既存機材の整理が実現するか次第だ。

 

「空軍にしわ寄せがきている」「本当にしたいのは高い優先順位事業に資源をまわすことだ。だが議会は旧型機の退役をなかなかさせてくれず、難航している」

 

ケンドールはFY23予算で目指す具体的な支出面の変更点について触れたくないとした。空軍参謀総長C・Q・ブラウン大将は空軍には装備近代化で大胆な構想があると述べたものの、さらに野心的な提案が控えていることをほのめかす発言をしていた。

 

ケンドール長官は「中国について長く執着してきた。特に軍事力近代化は米国の安全保障にとって大きな影響がある」と述べた。ケンドールは陸軍で長い経歴を有し、ペンタゴン勤務も長い。オバマ政権下で調達の責任者だった。

 

「復帰後に目指しているのは中国がどんな近代化を狙っているかの情報収集の拡充だ」とし、「予想以上の相手は早く動いているので、気を抜く暇がないほど忙しく立ち向かう必要がある」

 

では中国が脅威を感じそうな技術にはどんなものがあるのか。

 

ケンドールはF-35のブロック4改修をとりあげ、情報処理能力の向上に加え新型兵装やセンサーの追加も可能となる。

 

また、ネットワーク化自律装備各種や人工知能も有望だが、各軍で効果的な活用がまだできておらず、取り組むべき課題だとケンドールは指摘。

 

さらに空軍には極秘事業数点がある。

 

「まだ公表していないが進行中の事業があり、ここではお話しできない」「その中でB-21爆撃機は一部公開した。同機は高性能機材となろう。また進行中のものが数点ある」

 

「将来の敵に脅威となる装備について止まることなく考えていく必要がある」

 

空軍長官としてケンドールは空軍、宇宙軍あわせ2,070億ドル予算を管理する立場になる。(ここに挙げた金額にはその他政府官庁の「転嫁」予算380億ドルを含める)バイデン政権の国防予算は伸びがなくなる予想だが、ケンドールは空軍のミッションは実現可能と述べた。

 

「本当に必要なことに集中させてもらえれば、話題に上ることが多い装備品を活用できる」「だが基地の処分はまかりならぬ、必要度が低い機材の処分は認められないとなれば萎縮してしまい、装備近代化の阻害となる」

 

同じ状況をケンドールは以前も経験している。

 

オバマ政権からトランプ政権にかけ、空軍は次世代機、人工知能、全領域指揮統制機能、自律運航装備など新技術向け予算を確保しようと、旧型機の処分を目指した。

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空軍はA-10、U-2、RQ-4グローバルホークの全廃をFY14予算からFY17予算で狙った。だが議会の反対で、その狙いは一部でしか実現していない。

 

最近は空軍も断片的な要求の戦術に変更しており、議会はB-1爆撃機、KC-10給油機、RQ-4グローバルホークの部分的廃止を認めるに至った。ただ、節約効果は限られたものになっている。

 

ケンドールはむしろ機種全体の処分方針への復帰を支援する姿勢を暗示している。

 

「純粋な経済問題としてみれば一機種で全機廃止するほうが良い結果が得られる」「各機材には固定費用がついてくる。なかんずく、運用機数により変動費が生まれる。固定費をなくそうとすれば全機廃止するしかない」

ただし、空軍機材の削減には議会の同意が必要と本人も認識している。

 

ケンドールが議会関係者に示した構想とは複数機種をパッケージにして合意のもと廃止すれば、空軍は機種ごとに説明し同意を取り付ける必要がなくなるというものだ。

 

構想はまだ完成度が低いが、ケンドールは議会関係者のインプットを求めつつ、空軍が機材廃止を政界の同意ある形で進めつつ国内雇用や経済への影響は最小限にしたいと述べた。

 

「狙い通りにいかない場面もあるが、前に進まねば。国家安全保障はひとえに我々の動きにかかっている。逆の選択肢は長期間にかけて貧弱な戦力を有する部隊攻勢に転落することだ」■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

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The new US Air Force secretary wants to 'scare China'

By: Valerie Insinna   

 


2021年8月20日金曜日

アフガニスタン情勢:ロナルド・レーガン搭載のスーパーホーネットもカブール上空で警戒態勢に。空港内から外に出ない米軍部隊と対照的に英仏部隊は空港外でも活動中。一方、米軍撤退は8月31日が期限だが...

 A US Navy F/A-18E/F Super Hornet moves in to refuel over Afghanistan in 2020.

USAF

 

海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネット隊がニミッツ級空母USSロナルド・レーガンを発艦した。同艦は現在北アラビア海を航行中で、ホーネットはカブール上空を24時間パトロールした。ただし、米軍関係者は各機がカブール市街区を低空飛行したとの報道を否定し、米海軍機が進行中の撤収作戦支援で空爆を行う可能性について言及を避けた。

 

ペンタゴン報道官ジョン・カービー、米陸軍ハンク・テイラー中将によるカブール上空に展開する米軍機の動向で最新状況の説明がペンタゴンで聞かれた。その他米軍用機と同様にパキスタン経由で米空軍給油機からの燃料補給を受け、スーパーホーネットはアフガニスタンに展開している。

 

カービーは「現地で低空通過飛行があったとの報道が出ているが、何らかの示威行動であろう。航空作戦の実態についてはテイラー中将が説明に適任」と述べた。カブールの報道陣からソーシャルメディアで戦闘機の低空通過飛行を見たとの投稿があった。その後の報道ではハミド・カルザイ国際空港で進行中の撤収作戦の支援として武力示威したとある。

 

空港での状態が混乱したままで、米軍他外国軍が周囲を警備する中で暴力事件も発生している状況を考えれば目くじらを立てるべきものではない。低空高速通過飛行を行った戦闘機は敵対勢力の意欲をしぼませる効果も期待したのか。

 

テイラー中将は「近接航空支援能力は現地司令官が必要と判断すれば投入できるよう機材を常時待機させている」と語った。

 

昨日は統合参謀本部議長マーク・ミリー陸軍大将から発言があり、有人無人取り混ぜ機材各種がアフガニスタン上空で同様に飛行任務を展開、あるいは中東地区で緊急事態に待機しているという。スーパーホーネット以外に米空軍がB-52H爆撃機、F-16C/Dヴァイパー、AC-130ガンシップ、MQ-9リーパー無人機が、米海兵隊はAV-8Bハリアージャンプジェットを展開している。

 

C-17A乗員は低空離陸訓練を受けており、地上砲火を避けるための対応だ。カブール空港からこの形で離陸しているのであれば、ハミド・カルザイ国際空港周辺で銃火の使用が続くとの報道も納得できる。タリバン戦闘員が離陸機に発射しているのだろう。

 

この24時間でC-17はさらに13機がカブールに到着し、兵員装備品を搬入した。さらに2000名超を同空港から運び出した。今週から始まった撤収作戦で米軍は約7千名を空輸しており、米国人、米政府に協力したアフガニスタン国民以外にテイラー中将が「国務省と調整のうえ対象とした避難民」がいるという。

 

USMC

ハミド・カルザイ国際空港で避難民に対応する米海兵隊員。Aug. 18, 2021.

 

同空港を舞台に展開中の撤収作戦は順調に進んでいるとペンタゴンは述べているが、8月31日までの完了となるかは不明だ。テイラー中将は「今までのところ保安上の問題や妨害工作は発生していない」と述べた。

 

同時に報道では米国市民等で有効な米国旅券を有する者がタリバンが設けた検問所通過に苦しみ空港にたどりけなくなっているとある。必死に国外脱出を望むアフガン市民の場合はもっと厳しい状態にある。

 

昨日のロイド・オースティン国防長官発言では、米軍部隊には空港敷地外へ展開し、空港へ向かう市民を支援する予定は現時点ではないとした。カービー報道官、テイラー中将も本日同じ内容を口にした。これと反対に英軍仏軍部隊はカブール市内に積極的に展開し、避難民を見つけ次第援助しているとの報道がある。現地では米関係者と同盟国軍の間に緊張が生まれている。

 

こうした状況の中で米軍が撤収飛行をいつ完了できるのか疑問が出てきた。タリバンが外国軍活動の黙認を続けるのか、今後数週間が重要となる。空港には5,200名規模の米軍部隊が展開しており、補給活動も懸念材料となってきた。

 

「ハミド・カルザイ国際空港での燃料補給活動が規模拡大している」とカービー報道官が記者質問に対して発言した。米軍がタリバンから燃料購入する事態が生まれるのかとの質問だ。「米国は自国で確保できる。燃料以外に機材運用も同様だ」

 

カブールの米軍部隊も最終段階で撤収するので、相当量の資材を放棄する可能性がある。とくに撤収を迅速に行う必要がある場合にその可能性が高い。実際に米国務省はCH-46Eシーナイトへリコプター7機を現地で放棄する方針で、米大使館関係者の空港搬送に使った機材だ。

 

ペンタゴンは武装軍用機をカブール上空で警戒飛行に運用中で、すぐにでも近接航空支援に移る体制にあると強調している。あるいは機材、車両、その他資材をハミド・カルザイ国際空港に残した場合に効果的に破壊するのに投入するのか。

 

「こちら側人員や空港作戦に攻撃があれば、強力な兵力で対応するとタリバンに申し入れずみだ」(カービー)

 

今後何が発生するにせよ、ペンタゴンは米軍用機が今後もカブール上空に待機し、不測の事態に備えていることを明示している。■

 

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Navy Fighters Are Flying Armed Overwatch Missions Over Kabul

The Pentagon says American combat aircraft are covering the evacuations, but have not flown shows of force maneuvers or carried out any strikes.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 19, 2021