2022年9月24日土曜日

主張 台湾を締め出してきた国連は今こそ方向転換を

 

 

 

2350万人の台湾人を代表する権利を有するのは民主的な選挙で選ばれた台湾政府だけであり、国際舞台で発言権を与えるべき時が来た

 

 

 中華人民共和国は先月、台湾に対する侵略を新たな高みへと引き上げ、インド太平洋地域に深刻な影響を及ぼした。ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問は、中国による前例のない大規模な合同軍事訓練に遭遇することになった。台湾海峡の現状を一方的に覆そうとする露骨な試みで、中国は地域経済に重要な空路と海路を寸断し、台湾領空と近海にミサイルを発射した。このような侵略行為は、民主主義と権威主義間の闘争として理解するべきであり、国連はこの闘争を無視することはできない。

 中国の軍事演習は、国際紛争は平和的手段で解決されるべきとする国連憲章に明確に違反する。しかし、それ以上に有害なのは、国連内での台湾への長年にわたる法廷闘争だ。中国はプロパガンダを国際社会へ強要するため、国連と専門機関に台湾の参加を事実上禁止し、裏で不当な影響力を行使してきた。今月ニューヨークで開催された国連総会では、台湾専門家、ジャーナリスト、学生は出席を拒否された。また、台湾の身分証明書を持つ旅行者は世界各地の国連施設への立ち入りを不当に妨げられている。

 台湾にとって不公平なことではあるが、排除がもたらす結果はさらに大きい。台湾は国際社会における責任あるステークホルダーであり、サプライチェーンの安全保障、気候変動、Covid-19パンデミック対策など、世界的な関心事で信頼できるパートナーとしての確固たる実績がある。実際、台湾は世界②貢献できると自負しており、貢献の対象はたくさんある。必要なのは機会だけだ。しかし、残念ながら、世界保健機関(WHO)の「Covid-19」対策から国際民間航空機関(ICAO)の航空安全対策に至るまで、台湾は世界から排除されており、台湾の専門知識を活用する機会も失われている。

 このような事態を招いたのは、中国が国連総会決議2758号といわゆる「一つの中国」原則を意図的に混同し、台湾が中国の一部であると偽っているためだ。2758号決議は台湾について触れていない。1971年のこの文書は、国連加盟国「中国」は誰が代表するかという問題を決めただけで、台湾に対する中国の主権主張を支持することも、台湾を国連で代表とするかとも決めていないのである。台湾が中国の一部であったことはない、というのが事実だ。国連のような国際機関がこの現実を認めたのは、とうに過去のことである。

 何十年もの間、国連は中国の政治的圧力に屈し、偽情報での政策決定を許してきた。しかし、歴史にはこのような宥和政策がもたらす荒廃の例が数多くあり、修正主義的な政権は、逃げ切れると思えば近隣諸国に軍事行動を起こしがちである。ロシアのウクライナ侵攻では、事前に軍事演習がエスカレートしていたことを思い起こすとよい。中国が台湾住民を代弁し発言する権利を有するなどという虚構に従うのは、台湾に対してだけでなく、危険な紛争への道を歩むことを助長するのみである。

 インド太平洋地域で中国の無責任な挑発に脅かされているのは、台湾だけではない。南シナ海からヒマラヤに至るまで、中国は近年、主権を盾に近隣諸国に対して攻撃的な行動を一層強めている。中国の権威主義的な弾圧が香港で終わらなかったように、中国の拡張主義が台湾で終わることはない。最悪の事態を防ぐために、今、行動を起こさなければならない。

 世界各地で民主主義に対する権威主義的な攻撃が増加している事態に直面し、国連は創設の原則に立ち返り、台湾の有意義な参加を歓迎すべきである。台湾は国際社会に貢献する用意があり、台湾海峡およびインド太平洋地域全体の平和と安定の維持に全力を尽くす覚悟がある。民主的に選出された台湾政府のみに2,350万人の台湾人を代表する権利があり、国際舞台で台湾人の声を届けるべき時が来ている。■

 

Time to End Taiwan’s Isolation from the United Nations

 

September 23, 2022  Topic: Taiwan  Region: Asia  Tags: TaiwanChinaUnited NationsSovereigntyOne China Policy

by Bi-khim Hsiao

 

 

Bi-khim Hsiao is the Taiwan government’s representative to the United States.蕭美琴は米国における台湾政府代表。


2022年9月23日金曜日

エンブラエルKC-390を米空軍仕様に改装すべくL3Harrisがタッグを組んだ

L3HarrisとEmbraerは、ブラジル空軍が運用中のEmbraerのKC-390タンカーを米空軍のAgile Combat Employmentコンセプトに使用可能とする改造計画を発表した (Embraer)



界10大防衛企業の1つであるL3Harrisとブラジルの航空宇宙企業エンブラエルは、KC-390ミレニアムを原型に米空軍への販売を目指し「アジャイルタンカー」を共同制作すると発表した。

 メリーランド州ナショナルハーバーで本日開始の空軍協会の「Air Space & Cyber」会議に先立つ声明で、両社は、JADC2(Joint All Domain Command and Control)の要件をサポートするため、KC-390に空中給油能力と近代的な通信装置を加えることで同意したと述べている。

 この改修には、紛争地域での作戦を維持するシステムも含まれるという。

 L3Harrisとエンブラエルは、強化版KC-390は、単独攻撃に弱い中央の航空基地への依存を減らすため、地域全体に分散させたネットワークを確立する空軍のAgile Combat Employmentコンセプトをサポートできる機体になると述べている。

 L3HarrisのCEOクリストファー・キュバシックChristopher Kubasikは、「米空軍の戦略立案部門は、機動的な戦闘配置には、競合する物流環境における航空優勢への分散型アプローチをサポートするために最適化された給油プラットフォームが必要だと述べています」「エンブラエルと協力しマルチミッション型KC-390に新機能を開発・統合することで、コスト効率が高く、迅速な現場投入を実現するソリューションを提供し、当社の信頼できる破壊的アプローチを具体化できます」と述べた。

 KC-390の既存の機能には、空中給油用の可変速ドローグや、燃料を受け取り、短い滑走路や即席の滑走路から離着陸する能力が含まれる。ブラジル空軍はKC-390を供用中で、2023年にポルトガルが、2024年にハンガリーがそれぞれ使用を開始する。

 エンブラエルは2018年、同機の新市場開拓のためにボーイングとの協業を模索し、その結果、米国企業がKC-390プログラムの株式49%を取得することになった。両社は当時、ボーイングが42億ドルでエンブラエルの商業・サービス事業の80%の株式を取得する戦略的パートナーシップも追求していた。

 しかし、2020年にボーイングが提携から離脱し、計画は破綻した。■

L3Harris, Embraer team up on KC-390 tanker, eye US Air Force sales

By Stephen Losey

 Sep 19, 11:04 PM


 

2022年9月22日木曜日

水陸両用版C-130MACの実機実証は2023年に。US-2導入も匂わせるAFSOC。他方で中国はAG-600の開発を続けているが....

 

AFSOC

 

 

 

広大な海域で中国と戦う可能性から、水陸両用版C-130が現実となる可能性が出てきた

 

 

軍特殊作戦司令部(AFSOC)のトップは、特殊作戦用のMC-130JコマンドーIIマルチミッション戦術輸送機の水陸両用版が来年に飛行すると、火曜日に述べた。

 ジェームズ・スライフ中将 Lt. Gen. James Slifeは、メリーランド州ナショナルハーバーで開催された航空宇宙軍協会(AFA)の航空・宇宙・サイバー会議で、「議会での23(2023年度)予算プロセスの結果を待っている」と記者団に述べた。「来年に飛行実証が行われると予想している」。

 

デジタル・プルービング・グラウンドでのMC-130JコマンドーII水陸両用改造型の予想図。 (AFSOC photo)

 

これは、昨年のスライフ中将発言と異なる。Defense Newsによると、スライフ中将は昨年9月、メディア懇談会で「来年12月31日までに実証を実施すると確信を持って言える」と述べていた。スライフ中将は、飛行デモは単機で行われる可能性が高く、機体性能のデジタル技術モデルを検証することが目的と強調していた。

 本誌はAFSOCに連絡を取り、何が変わったのか説明を求めており、追加情報があれば記事を更新する。とはいえ、同機のユニークな能力は、飛行試験段階への移行を目指しており、その正当性は月日を追うごとに明らかになってきている。

 中国の脅威へ懸念が高まる中、米軍特殊作戦司令部(SOCOM)は、潜在的な紛争地域の僻地部分に人員や機材を移動させる方法を模索している。離着水できると多くの利点がある。MC-130は、短距離で離着陸できる性能のため、魅力的なプラットフォームになっている。

 

2020年10月27日、フロリダ州ハールバートフィールドで行われたアジャイルフラッグ21-1で、第9特殊作戦飛行隊に所属するMC-130JコマンドーIIがタキシングした。 (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Joseph Pick)

 

中国との紛争では、従来型の航空・海上輸送では到達できない遠方へ米軍部隊を分散して活動させることになりそうだ。海兵隊司令官デイヴィッド・バーガー大将David Bergerのフォースデザイン2030コンセプトでは、中国兵器が届く範囲に部隊を事前配置するのを基本としている。月曜日には、ケネス・ウィルスバック空軍大将が、中国が補給線を遮断してくる想定で、地域全体に物資をあらかじめ配置しておくことと語った。

 水上での離着陸は、こうした問題や懸念に対処できる可能性がある。MC-130Jには、数十年にわたる進化と、航法、通信、生存能力の強化のための巨額の資金が投入されている。そのため、例えば、C-130を浮き輪に乗せて飛行艇にすれば明らかにトレードオフとなるが、MC-130でそのような機体を実現すると、非常に高価で時間がかかると考えられる。

新型地形追従型レーダー「サイレントナイト」を搭載したMC-130J。MC-130Jは、高度に改良された絶大な能力を持つ機体だ。 (Lockheed Martin)

 

スライフ中将は、MC-130J Commando II Amphibious Capability(MAC)と名付けられた機体について、「すべてのモデリングとシミュレーションを行い、一般的な設計レイアウトに落ち着きました」と述べている。「選択した設計が安定したものであり、運用可能であると確認するため、波動タンク・モデリングを進めている」。

 AFSOCは、空軍研究本部(AFRL)の戦略的開発計画・実験(SDPE)部門と協力し、「プラットフォームの海上の特殊作戦のサポートを改善するために」MACを開発していると、AFSOCは2021年9月のメディアリリースで述べていた。

 「MAC能力の開発は、各種努力の集大成です」と、AFSOC科学・システム・技術・イノベーション(SST&I)副部長のジョン・トランタム中佐 Lt. Col. Josh Tranthamは当時述べていた。「この能力により、空軍は侵入、脱出、人員回収の配置とアクセスを増やすことができ、さらに将来の競争と紛争で強化されたロジスティック能力を提供できます」。

 しかし、この能力の恩恵を受けるのはAFSOCだけではない、とトランタム中佐は述べている。

 「MACは、各軍や同盟国、パートナー国の様々なC-130プラットフォームで使用できると考えています。さらに、その他革新的なツールと水陸両用機の運用を拡大することで、将来の戦場において、戦略的な競争相手に複雑なジレンマを提供することになるでしょう」。

 

MACコンフィギュレーションの1つの動作のレンダリング。(AFSOC)

 

AFSOCによると、波動水槽テストに加え、AFSOCと民間部門パートナーは、「デジタルプルービンググラウンド」(DPG)として知られる仮想環境のデジタル設計、仮想現実モデリング(VR)、コンピュータ支援設計(CAD)でMAC試作機をテストしており、デジタルシミュレーション、テスト、高速プロトタイピングと物理プロトタイプテスト用の高度製造利用の道を開いている、という。

 スライフ中将は、モデリングとシミュレーションは「すべて順調」と語った。「それは、デジタル設計の素晴らしさであり、C-130のデジタルモデルでこれらすべてを行っている」と続けた。「これまでの波動水槽テストでは、選択した設計案は、予想どおりの性能を発揮している」。

 Signal Magazineによると、空軍はC-130に「水陸両用の改造」を行っていると、スライフ中将は今月初め、AFAのWarfighters in Actionで発言していたとある。「浮き輪ではありません。水陸双方で着陸する能力を持つことになります。

 「双胴船、ポンツーン、または機体底面の船体追加と一連のテストのすべて検討した。そして、抗力、重量、海面性能のトレードオフを最適化するデザインに落ち着きました」。

 

 

ロッキードからは相当前に水陸両用型C-130コンセプトが出ていた。Lockheed

C-130をフロートに乗せるアイデアは、このロッキード・マーチンのレンダリングに見られるように、何年も前からあった。Lockheed Martin

 

MACが海上の特殊作戦にもたらす効果を楽しみにする一方で、スライフ中将はMACにできること、できないことを現実的に考えている。例えば、MACは即座に運用できない、と火曜日に述べた。

 「水陸両用能力は現場で取り付け可能だが、特定の出撃のために装着して離陸するようなことはない」とスライフ中将は述べている。「少し時間がかかるだろう」とスライフ中将は言う。「設置するためデポに行く必要はない。部隊レベルのメンテナンスでこの機能を インストールすできるだろう」。

 MACの限界とスライフ中将の水陸両用機への関心にもかかわらず、彼はAFSOCがC-130のキットを超える新しい航空機調達プログラムをすぐに求めることはないだろうと述べた。

 「資源に限定がなければ水陸両用機の開発をすぐ進めれられる。しかし、現実の世界は違う。優秀な水陸両用機はすでに存在しているが、近い将来に新型機開発を進めることはない。既存機体をリースする可能性はある」。

 今年初め、アジア太平洋地域で行われたコープノース演習で、パイロットたちは日本の新明和US-2水陸両用機を検分した。

 

グアムのアンダーセン空軍基地近くのテニアン島沖で行われたコープノース22演習で海に浮かぶ日本の新明和US-2 U.S. Air Force/Senior Airman Joseph P. LeVeille

 

 昨年11月、AFSOC代表団が岩国基地を訪れ、飛行艇と運用コンセプトを詳しく学んだ。その際、海上自衛隊がAFSOCのエリック・ヒル少将Maj. Gen. Eric Hillや第353特殊作戦部隊指揮官に説明を行い、「日米の鉄壁のパートナーシップをさらに強化する」ものと評され、水陸両用機型C-130ハーキュリーズに注目が集まる中、世界でも数少ない水陸両用機に触れることができた。

 スライフ中将が新規設計の水陸両用機の実現に消極的であるのとは対照的に、中国はすでに水陸両用機を開発している。

 クンロンと呼ばれるAG600飛行艇は、2017年に初飛行した。およそ737サイズの機体は、広東省の珠海空港から短期間飛行した。今年初めに更新版が処女飛行を行ったとOverDefense.comは報じている。

 AG600は、中国本土から数百マイル離れた中国の治外法権をサポートする能力のため設計されている。同機は、南シナ海で物議をかもしながらも、増え続けている人工島の支援に使用される予定だ。

 

 

中国の2021年から2025年までの最新5カ年計画では、AG600を「重要プログラム」と位置づけている。救助機が緊急に必要であり、特に南シナ海の遠大な拠点に対応できる装備が戦略的に必要だからだ。しかし、いつものように、このような能力を持つことの軍事的意味合いが中国の説明から漏れている。

 米軍が分散作戦に重点を置くようになれば、水陸両用型C-130はより優先されよう。しかし、それと関係なく、計画通りに進めば、1年以内にC-130フロートプレーンをついに目にすることができるはずだ。■

 

C-130 Seaplane Should Fly In 2023 Says Air Force Special Ops Commander

BYHOWARD ALTMAN| PUBLISHED SEP 21, 2022

THE WAR ZONE

Contact the author: howard@thewarzone.com


プーチンの部分動員令は今週末の住民投票後に西側への力による脅威を正当化する一歩だ。周辺国はロシアに警戒。日本もロシアの隣国であることを忘れてはならない。

 

Youtube Screencap

プーチンは予想通りロシア国民の一部動員を呼びかけ、西側諸国に核の脅威をちらつかせた

 

々から予想されていた動きで、ロシアをウクライナでの戦争にさらに追い込むものだ。ウラジーミル・プーチン大統領は今朝、数十万人を「一部動員」すると発表し、「わが国を破壊したいと願っている」と西側を激しく非難した。テレビ演説で、プーチンは核報復の可能性に触れ、西側諸国などにウクライナに援助しないように警告もした。

「兵役は予備役国民、以前軍隊に所属し、一定の軍事的職業や関連する経験がある者にのみ適用される」とプーチンは述べ、部分動員の影響を受ける対象を説明した。プーチンは、この動きは、「ウクライナ国民を大砲の餌にする」ことを望む西側諸国による脅威への対応であり、ロシアはウクライナに600マイル以上広がる前線を補強するため部隊が必要と主張した。

2月24日にウクライナ全面侵攻が始まって以来、ロシアが一貫して「特別軍事作戦」と説明してきた戦闘で、公式に兵士5,937人を失っている。実際の犠牲者はもっと多いとみられ、ウクライナ軍によれば、ロシア軍と親ロシア派あわせ5万5千人以上の死傷者が出ているという。8月中旬の時点で米国当局は、7万から8万人の死傷者のうち、ロシア軍兵士約2万人が死亡と推定している。

しかし、ウクライナがロシアによる占領からかなりの面積の領土を取り戻し続けていることから、モスクワにとって戦争がうまく進展していないこと、長期化し低迷している紛争で軍が消耗していることは明らかだ。今回の部分動員は、こうした現実の反映だ。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相によると、プーチンの法令により、同日から約30万人のロシア人が召集される。軍隊経験のある特殊技能者、特に戦闘経験者が特に必要とされている。同時に、すでにウクライナで戦っている契約兵は、部分動員が終了するまで、任務が延長される。この措置がいつまで続くかは不明であり、同様に、ロシアがこれらの追加要員を基本的なレベルとしても、どれだけ迅速に訓練し装備できるかも疑問だ。

今回の決定は、特別軍事作戦という概念の誤りを補強するものであり、戦争が国民の大部分にとって直接の関心事となるにつれ、ロシア国民全体に大きな影響が出てくると思われる。注目すべきは、プーチンが宣戦布告や国家総動員の表明を断念したことだ。これは、ロシアが新たな戦争態勢に入ったと見せず、いかなる種類の動員でも反動を少なくするため、国内向けに計算された可能性も非常に高い。

この決定を前にして、ロシアのコメンテーターや社会全体が、戦闘の進め方に幻滅を深めている兆候がたくさんある。実際、動員令の影響を受ける人々には、国外に出ようとしている、あるいは発表前にそうしていたとの報告も複数ある。未確認情報だが、ロシア国内の鉄道、航空会社とも、兵役年齢の男性へのチケット発行を拒否しているといわれ、兵役回避を目指す層の選択肢はさらに狭まる。これに対し、ラトビアのEdgars Rinkēvičs外相は、動員から逃れるロシア人への避難所の提供は拒否すると表明した。

ロシア国外では、本日の発表は、クレムリンの最新のウクライナでの冒険が失敗に終わったことのあらたな証拠として政府関係者や政策立案者間で飛びまわっている。

ウクライナ大統領顧問のミハイロ・ポドリャクMykhailo Podolyakは、プーチン大統領の決定を「予想できた一歩」とし、ドイツではロベルト・ハベック副首相vice-chancellor Robert Habeckが「ロシアがまた悪い、間違った一歩を踏み出した」と非難した。オランダのマーク・ルッテ Mark Rutte首相は、動員令は「パニックの兆候」と述べた。

ジョー・バイデン大統領は本日、国連総会演説で、核戦争は「勝つことはできないし、決して戦ってはならない」とプーチンに警告し、そもそもロシアはウクライナに侵攻し、国連加盟国の基本理念を「恥知らずにも」破ったと非難した。バイデンは、クレムリンの主張と逆に、ロシアを脅かしている国はなく、現在の紛争を始めた責任はロシアにあるとも付け加えた。

英国では、ベン・ウォレス国防長官Secretary of Defense Ben Wallace が、部分動員はプーチンのこれまでの保証に反するものだと強調した。「プーチンが部分動員はしないという約束を破り、ウクライナの一部を不法に併合したことは、侵略が失敗していることを認めている」。

プーチンは、ウクライナでの軍事作戦を強化するため新たな措置を発表するとともに、ウクライナ軍に提供された数十億ドル相当の軍事支援を含む欧米の関与を阻止するため核による妨害行為を呼び掛けた。

プーチンは、ロシアの核戦力に言及し、ロシア領土に対する西側の脅威と称するものに「対応するための多数の武器」があると述べた。プーチンは、ウクライナ最前線でロシア軍が欧米の軍事作戦に直面していると根拠なく主張した。

「これはハッタリではない」とプーチンは付け加え、「利用できるすべての手段」を使うと述べた。ロシア大統領はまた、西側が核による脅迫を利用していると非難し、「攻撃的な反ロシア政策で、西側はすべての線を越えている」と述べた。プーチンはさらに「核兵器で我々を脅迫しようとしている勢力は、風向きが彼らの方向にも向くことを知るべきだ」と述べた。

核による脅迫の証拠として、プーチンは、ウクライナのザポリジャー原子力発電所への砲撃が「西側によって奨励されたもの」と指摘した。また、「NATO諸国の上級代表」が「ロシアに大量破壊兵器、つまり核兵器を使用する可能性と容認性」を発言したとさえ主張した。

ロシアとウクライナは、ザポリジャー原発の砲撃で互いに非難しているが、「NATOの上級代表」のどの発言に言及しているのかは、すぐには分からない。西側の核の脅威というプーチンの曖昧な主張は、西側の指導者たち、そしてウクライナに、ロシアも「様々な破壊手段を保有しており、場合によってはNATO諸国よりも近代的だ」と思い出させるための策略として展開されたようである。この最後の発言は、2019年に大々的に発表され、その後、プーチンが強い関心を寄せている、いわゆる「超兵器」に言及しているように見える。そのひとつ原子力巡航ミサイル「9M730ブレビストニク」の新たな実験が迫っているとの憶測が、衛星画像から多く聞かれる。

「我が国の領土保全が脅かされた場合、もちろん、ロシアと国民を守るために、使えるあらゆる手段を用いる」とプーチンは述べた。

ここで興味深いのは、ロシア領土への言及だ。通常、動員をかけるには、ロシア領土が攻撃を受ける完全な戦争状態が必要だ。そのため、動員の呼びかけは、まずモスクワがウクライナ国内のロシアや親ロシア勢力が占領している地域を併合し、その口実を得ることに頼るだろうと多くのオブザーバーは予想していた。今回の部分動員はこれを回避するためだろうが、いずれにせよ各地域で「住民投票」が実施されそうだ。

プーチンは演説で、ロシア併合の是非を問う住民投票をクレムリンが「全面的に支持する」と述べた。今週末には、占領下のドネツク、ルハンスク、ケルソン、ザポリジャで、ロシアの代理勢力により住民投票が行われる。

2022年9月20日撮影、学校の壁に掲げられた、自称ドネツク人民共和国(DNR)が書いたロシア語で「プーチンはわれらの大統領」というスローガンの写真。ハルキウ州イジュム近郊のマラ・コミュシュヴァハの学校は、ロシア軍が仮設病院としていた。Photo by YEVHEN TITOV/AFP via Getty Images

こうした地域のうち、ロシアはすでに、ドンバス地方のルハンスクとドネツクを独立国家とみなしており、これらは2014年から親ロシア派に一部占拠されている。ドネツク州の約6割は親ロシア派のドネツク人民共和国(DPR)が支配している。ルハンスク人民共和国(LPR)は全地域の支配を維持してきたが、ここ数日で、ウクライナ軍がここでも領土を奪還している。

南部では、ケルソンとザポリジャの領有権がはるかに激しく争われている。

表向きは住民投票のようだが、親ロシア派がロシア連邦加盟を要求する可能性が高い。正式に併合されれば、ロシア国内での総動員の道が開かれる可能性がある。そうなれば、モスクワは自国領土が(ウクライナや、おそらくは「西側の軍事行動」により)攻撃を受けているという「証拠」も手に入れることになる。そうなれば、核兵器の使用や威嚇を含む、より強力なロシアの反応へ扉が開かれる。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の回答は、国民投票に焦点を当てたものであった。「この騒音や他の発表によって、我々の立場が変わることはない」とゼレンスキー大統領は述べた。キーウはすでに、そのような国民投票は「見せかけ」であり、ロシアによる脅威を「排除」すると再宣言している。これらの地域がロシア領とされたとしてもキーウ軍はそれらの解放のために努力を続けるという。

最新情報

ロシアと国境を接するNATO諸国は、自軍の警戒態勢を強化している。

リトアニアでは、アルビダス・アヌサウスカス国防相Minister of Defense Arvydas Anušauskasが、カリーニングラード島でのロシアの軍事活動の可能性を考慮し、同国の即応部隊を厳戒態勢に置くと発表した。

NATO外では、ロシアのウクライナ侵攻を受けて加盟を申請したフィンランドが、近隣のロシア情勢を注視しているとアンティ・カイッコネン国防相Minister of Defense Antti Kaikkonenが述べた。「フィンランド周辺では、軍事的状況は安定しており、落ち着いていると言える」とカイッコネンは述べ、「我防衛軍は十分に備え、状況は厳密に監視している 」と付け加えた。

一方ロシアは、ウクライナ第二の都市ハルキウを標的としたミサイル攻撃を含む、ウクライナ標的へ砲撃を続けている。ミサイル数発は住宅を直撃し、少なくとも1人が負傷、さらに多くの人が瓦礫の下敷きになったという。

ハルキウ市長のイゴール・テレホフ Igor Terekhovによると、4発のミサイルがホロドノゴルスキー地区を襲い、住宅2棟、建築現場、市民インフラを直撃したという。

ウクライナへの戦車供与の議論は続いているが、ウクライナには他にも各種戦闘車両が、別々の供給元から送られてきている。IVECO VTLM Linceは、この夏からイタリアの在庫から供給され始めた軽戦術多用途車だ。興味深いことに、Linceはロシア軍で使用されているIVECO LMV Rysのイタリア軍バージョンで、一部の車両がウクライナに鹵獲されている。

写真は、ウクライナ東部のドンバス地方に向かうロシアT-62M戦車を列車輸送しているところであり、ロシアの戦況を象徴している。ロシアがウクライナ戦争のため50年前のT-62を長期保管庫から取り出しているとの噂は5月に表面化し、それ以来、これらのタスクが広く展開されていることが明らかになっている。これまでもお伝えしてきたように、ロシアは戦車約1万台、装甲車約8500台を保有しているとされ、うち約2500台がT-62だ。ロシアがこれらのT-62の供用を復帰させているとすれば、装甲兵器の追加投入が必要な状況を示唆している。■


Ukraine Situation Report: Russia's Partial Mobilization, Nuclear Threats

BYTHOMAS NEWDICK| PUBLISHED SEP 21, 2022 1:09 PM

THE WAR ZONE


2022年9月21日水曜日

米装甲車両がウクライナへ? エイブラムズかストライカーか、それともスワップで東欧の戦車が供与されるのか。いずれにせよウクライナ軍の戦力整備に資する結果が生まれそう

 



An M1 Abrams tank. US Army

 

米国製M1エイブラムス戦車がウクライナへ送られるのではと話題になっているが、他にも選択肢がある

 

 

国国防省高官は本日、米国政府が将来的にウクライナ軍に戦車を譲渡する可能性は確実に存在すると述べた。

 ウクライナ向け戦車に関する米国防総省高官の発言は、本日未明、ウクライナ戦況に関する国防総省の定例記者会見で出たものだ。ウクライナ軍は、4週間ほど前に始まった大規模反攻作戦を続けており、すでに以前占領されていた地域を相当量解放するに至っている。武器、弾薬、その他の資材、米国が供給する227mm誘導多連装ロケットシステム(GMRLS)発射用の高機動砲ロケットシステム(HIMARS)と空から発射するAGM-88高速対射ミサイル(HARM)が満載の海外軍事援助パッケージが成功の鍵で、今の勢いを維持するには、今後も納入が不可欠となる可能性がある。

 VOAのカーラ・バブによると、「戦車は絶対に候補に挙がっている」と米国防省高官は語った。フォーリン・ポリシーのジャック・デッチによれば、米国防省高官は、アメリカ当局が戦車提供に同意する前に、ウクライナ軍がより近代的な西側戦車を維持する能力を示す必要があると述べたという。

 ウクライナ軍には西側戦車部隊を維持する能力があることを証明する必要があるが、これで破談になる可能性は低いと思われる。米国は過去にも、HIMARSの初回納入に先立ち、同様のことを述べていた。ウクライナ軍は、HIMARSや、前述のAGM-88や地上発射型対艦ミサイル「ハープーン」など、より複雑な西側兵器システムを維持・運用する部隊を迅速に習得する能力を示してきた。

 とはいえ、米国政府がどの戦車を譲渡する用意があるのかは不明である。国防省高官の発言でM1エイブラムス戦車がウクライナの戦場に投入される可能性で憶測を呼んでいる。

 確かにM1には輸出可能な構成がいくつかあるが、それでもウクライナ軍が現在運用しているソ連時代の設計や派生型のすべてではないにしても、そのほとんどより新しく、格段に高性能戦車を入手することになる。米軍に残る旧型エイブラムスをダウングレードし、火器管制装置、通信、その他機密システムを取り外す「ドローダウン」をすれば、より迅速にウクライナに送れる可能性がある。

 

 

イラク軍のM1A1Mエイブラムス戦車。エイブラムスの輸出用ダウングレード仕様の1つで、米国で使用中の同型戦車の機能を省いている。US Army

 

 この場合の「ドローダウン」とは、一定条件を満たした場合、アメリカ大統領が米軍在庫から各種資材をそのまま同盟国やパートナーに譲渡することができる権限のことだ。米国政府は、ウクライナ軍に、すでに数十億ドルの軍事支援を実施しており、また、ウクライナ軍に代わり直接購入する支援も行っている。

 戦車に関しては、米国海兵隊がM1、M88装甲回収車、M60戦車型装甲車発射橋(AVLB)の全車両処分を決定したことが記憶に新しい。この過程で、各車両は陸軍に移管されたが、陸軍が車両をどう扱うかは不明であった。陸軍はすでに数千台の旧型M1が保管している。

 

2020年の売却後、鉄道車両に積み込まれる元海兵隊のM1エイブラムス。 USMC

 

 同時に、M1はウクライナ軍にとって、燃料を大量に消費し、複雑な機構のガスタービンエンジンを動力としていることから、メンテナンスとロジスティックスで課題が生まれる可能性がある。西側諸国やソ連時代の戦車の大半は、ディーゼルエンジンを使用している。ウクライナが生産したソ連のT-64やT-80シリーズもガスタービンを搭載していた。しかし、ウクライナ生産のT-84オプロットを含むT-80の後期型や派生型は、タービンを廃止し、よりシンプルでメンテナンスが容易なディーゼルエンジンを採用している。

 

カリフォーニア州シエラ陸軍基地のM1エイブラムス戦車など装甲車両の列をとらえた衛星画像。Google Earth

 

 105mm砲を搭載しているが戦車ではない、車輪付きの8x8 M1128 ストライカー機動砲装備Stryker Mobile Gun System(MGS)の譲渡も、米軍がウクライナ装甲車隊の強化策のひとつになる。米陸軍は昨年、保有するM1128を全数売却すると発表しており、ウクライナ軍への提供は容易にできる。

 エイブラムスより性能は劣るが、運用と維持が簡単で安価な同車両は、ウクライナに適している。また、陸軍がM1128を退役させたことにより、現在米軍に105mm砲搭載車両は存在しないため、弾薬の移管は問題ではない。陸軍の将来型MPF(Mobile Protected Firepower)軽戦車は105mm主砲を搭載する予定であることは注目に値する。

 M1128をウクライナに送ることは、NATO標準の105mm砲を搭載した旧式戦車のウクライナへの移送を促進するなど、米国政府によるもっと大きな後押しの一環となる。例えば、米国製M60A3パットン戦車は、最新のセンサーやその他の機能で大幅にアップグレードされているか、または可能な状態で、NATO諸国多数が保管しており、米国当局がウクライナ軍への引き渡しを支援する可能性がある。

 ドイツが旧式レオパルド1戦車をウクライナに送る、あるいは第三国からのレオパルド1納入を認める可能性が、ここ数カ月話題になっている。しかし、今のところ、ドイツ当局はウクライナへのレオパルド1や他のドイツ製装甲車の譲渡を止めている。

 今日の記者会見で、米国防省高官は、米当局が「主に欧州の国々が、保有中の旧ロシア製戦車の一部をウクライナへ提供しウクライナの戦車を補完するよう相当の努力を払っている」と強調していた。

 このようなことを考えると、NATO加盟国スロベニアが、ドイツから型式不詳の40台受け取る3者間取引の一部の引き換えに、M-55S戦車28両をウクライナに譲渡する計画を発表したことが非常に興味深い。M-55Sは、M-55S1とも呼ばれ、ソ連のT-55を高度に改良したもので、1990年代にスロベニアのSTO RAVNEがイスラエルの防衛関連企業Elbitと共同開発した改良パッケージを搭載する。M-55は、オリジナルの100mm D-10Tに代わりNATO標準の105mm砲を搭載し、火器管制システムや光学系などが近代化され、ERA搭載も可能になった。この取引が進めば、ウクライナへNATO標準の105mm戦車弾薬の供給を開始しなければならなくなる....

 

スロベニアのM-55S戦車。 AndrejS.K via Wikimedia

 

 ウクライナ紛争で、戦車は現代の戦場には適さないといと証明されたのではとの議論が盛んに行われているが、一般に重装甲車両が両陣営で非常に活発に採用され続けていることに変わりない。相手国も消耗品として旧型の装甲車両を使用している中で、旧型装備も有用であることが証明されている。

 そのため、ウクライナ政府の軍事援助において、戦車をはじめとする装甲車両は以前から、そしてこれからも重要な位置を占める。これまでの戦闘で喪失した車両を補充し、ウクライナ地上戦能力を向上させることは、反攻が続く中で、より一層重要な課題となっているのだろう。

 とはいえ、アメリカの戦車がウクライナの手にいつ渡るのか、またどの車両が譲渡されるかは、まだわからない。とはいえ西側の旧式戦車であっても、ウクライナ軍がロシア軍を撃退するため必要な戦力となる可能性はある。■

 

American Tanks For Ukraine Are 'Absolutely On The Table' | The Drive

 

BYJOSEPH TREVITHICKSEP 19, 2022 10:40 PM

THE WAR ZONE