2022年11月8日火曜日

サイドワインダーミサイルは70年前に生まれていた....画期的すぎる構想が当時軽視されていたのは驚き



対空戦の転換期に開発されたAIM-9サイドワインダーは、世界初の赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルで、ドッグファイトだけでなく、戦闘機の設計、製造、戦争での使用方法をも変えた。しかし、何と言っても驚くべきことは、この画期的なミサイルが米軍の支援を受けて開発されたのではなく、むしろ米軍を無視して開発されたことだ。 

 第二次世界大戦の空戦は、大胆なパイロットが敵に接近し、搭載された様々な銃火器で敵を攻撃するのが主流であった。空対空ロケットは、第一次世界大戦では観測気球に対して、第二次世界大戦では爆撃機に対して限定的に使用され効果を発揮したものの、無誘導兵器であり、射程と効果は極めて限定的であった。 


 

 
 

空対空ミサイルは、レーダー誘導から生まれた 

第二次世界大戦の終わりには、レーダーの出現で誘導空対空ミサイルの登場が現実味を帯びてきた。1947年になると、イギリスとアメリカは、イギリスのフェアリー・ファイアーフラッシュやアメリカのAAM-A-1ファイヤーバードなど、レーダー誘導型新兵器を次々と開発していった。初期の空対空ミサイルは、複雑で、製造は困難で高価だった。 

 しかし、物理学者ウィリアム・B・マクリーンWilliam B. Mcleanは、モハベ砂漠にある米海軍兵器試験場(NOTS)の物理学者として、新兵器開発には関わっていなかったが、当時の通説の一歩先を見ていた。海軍の無関心と同僚の嫌がらせにもかかわらず、彼はそれを証明しようと動き出した。 

 

ウィリアム・B・マクリーンとAIM-9サイドワインダーミサイル。 

 

マクリーンの道楽作業場 

初期のレーダー誘導型ミサイル契約の1年前、ウィリアム・B・マクリーンのチームは、赤外線(熱)に反応する設計の硫化鉛製の近接信管を研究していた。赤外線を感知し爆発する信管を作れば、熱感知で飛行中に進路を修正する誘導装置を開発できるかもしれないと考えた。 

 一つ問題があった。マクリーンには、この種の兵器を設計した経験がなかったのだ。 

 マクリーンはカリフォルニア工科大学で学士と修士、博士号を取得し、アイオワ大学でフェローとして原子物理学を学び、1941年に国立標準化機構で兵器信管の設計を担当した。1946年に熱探知ミサイルの構想が頭の中で具体化し始めた時、マクリーンはチャイナレイクの海軍兵器試験場(現在の海軍兵器センター)で1年ほど働いただけであった。 

 お察しの通り、チャイナレイクの上層部は、信管担当の男が新しい空対空ミサイルの作り方について壮大なアイデアを出しても、興味を示さなかったのである。 

 しかし、マクリーンは、自分の構想にはチャンスがあると信じて疑わず、仲間もいた。ただ、マクリーンは、この構想を熱く語り、自分だけでなく、部下たちも熱中し、あちこちで時間を盗んでは、この構想のために時間を使うようになった。しかし、「時間の無駄だ」と言われ、評判は良くなかった。その結果、この物理学者たちのオフィスは「マクレーンの道楽作業場」と呼ばれるようになった。 

1951年5月7日、カリフォルニア州の海軍兵器試験場チャイナレイクで、ダグラスF3D-1スカイナイトの翼下に設置された初期のアメリカ海軍向けサイドワインダー-1ミサイル(U.S. Navy Museum of Aviation) 

 

複雑なものを作るのは簡単だが単純なものを作るのは難しい 

 

マクリーンたちの赤外線誘導ミサイルは、以前からあちこちで研究が続けられたものの延長で、ようやくテストができる形になった。そしてついに、5インチ空対地ロケットのボディに収まるほど小型の、世界初の赤外線誘導システムを完成させた。 

 「可能性の検討に3年近くを費やした」とマクリーンは回想する。「複雑なものを作るのは簡単だが、単純なものを作るのは難しい」。 

 このシステムでは、ロケットの先端に取り付けられた透明なノーズコーン内で、毎分4,200回転でジャイロ的に回転する放物面鏡が使用された。鏡が回転すると、赤外線信号が回転軸から反射する距離を測定し、ロケットが目標に到達するまでどの程度のズレが有るか角度で判断する仕組みだ。このシステムは、マクリーンが近接信管に使っていたのと同じ硫化鉛検出器を中心点に使っていた。電磁石でガイドフィンを回転させ、ロケット(現在のミサイル)を制御するシステムである。 

 
 

 

最新のAIM-9Lサイドワインダーミサイルの誘導部。 

 

MiGキルを経験し、後に宇宙飛行士になった海軍パイロットのウォーリー・シラーは、当時この珍しい装置を 「ガラス製ドーム状の装置...人工の目玉」と表現している。 

 「当時、喫煙者だった私は、手に1本持っていた。部屋を横切ると、眼球が私を追跡しているのに気づいた」とシラーは回想している。 

 マクリーンたちが設計に取り入れた最も重要な技術的成果は、標的を直接狙うのではなく、標的がミサイルの軌道と交差する位置に照準を合わせることで、実用化されつつあった高速ジェットエンジン搭載戦闘機への命中を可能にしたことであろう。 

 

マムシが獲物を狩るように飛行機を狩る 

1950年、マクリーンはこの兵器を、モハベ砂漠に生息する毒蛇の名をとってサイドワインダーと名づけた。この蛇は頭の両側に温度感受性器官があり、赤外線感知で温血動物の獲物を捕らえる非常に有能なハンターである。 

 マクリーンのサイドワインダーは、敵機との交戦に新しいアプローチを提供しただけでなく、レーダー誘導型ミサイルよりシンプルな設計になった。 

 サイドワインダーミサイル原型は、長さ10フィート、幅5インチ、重さ160ポンドと、やや荒削りな仕上がりになっている。これは、イギリスのファイヤーフラッシュの約半分、アメリカのファイヤーバードの3分の1以下の重さで、可動部品が24個と少なく、製造コストが安く、信頼性も高い。 

 

米海軍による最新のAIM-9Xの説明資料 

 

マクリーンがパーソンズ将軍に自作を見せた1950年当時、世界初の商用コンピュータUNIVAC Iメインフレームの登場はまだ1年先で、しかも重量は1万6千ポンド以上だった。マクリーンが発明した自己誘導型エンジンハンティング飛行ロボットは、スーパーグルーやラジアルタイヤより古くから存在していた。マクリーンのサイドワインダーは、クライスラーが自動車のパワーステアリングを発明する前に、電磁石で自分で操縦していた。問題は...海軍がまだ納得していないことだった。 

 
 

 

シボレーがこんな広告をしている間に、マクリーンは赤外線誘導の飛行ロボットを作ってしまったのだ。 

 

NASのジェット推進研究所で最も長く所長をしていたウィリアム・H・ピッカリング博士は、1985年にサイドワインダーとその発明者についてこう書いている。 

 「技術的な問題は解決可能であった。技術的な問題は解決できたが、官僚的な問題はより困難だった。ビルは、サイドワインダーが有用な兵器システムであることを海軍に納得させる課題に直面した」と回想している。 

 「NOTS科学諮問委員会メンバーとして、ビルは海軍を差し置いてサイドワインダーを作ったと言っても過言ではない」。 

 この年、マクリーンはマンハッタン計画で働いただけでなく、1945年に広島に原爆を投下したエノラ・ゲイB-29に実際に搭乗した兵器担当のウィリアム "ディーク "パーソンズ提督に自分の発明を披露していた。パーソンズ提督は、それまでマクリーンを嘲笑していたにもかかわらず、この兵器が持つ驚くべき可能性をすぐ見抜いた。 

 
 

サイドワインダー、台湾海峡上空での初陣 

3年以内に最初のAIM-9Aサイドワインダーミサイルが試射され、1956年にはAIM-9Bの呼称で最初の量産型サイドワインダーが艦隊に配備された。 

そのわずか2年後、サイドワインダーは中国軍との大規模な空中戦で、台湾人パイロットの手で初の戦果を挙げる。 

 中国はMiG-15とMiG-17を126機台湾海峡に送り込み、台湾はアメリカ製のF-86セーバー48機で迎え撃った。セーバーには新型のAIM-9サイドワインダーミサイルが搭載されていた。戦闘が始まると、中国戦闘機はセーバーの低い運用限界を利用し、数百フィート以内に接近して砲撃を行うため、より高い高度に挑戦した。 

 しかし、セーバーはサイドワインダーミサイルの一斉発射を行い、9000フィートの距離からミグ6機を撃墜した。中国機が高度を下げると、さらに3機がセイバーの機銃で撃墜された。 

 中国機は急いで退却し、この小競り合いでセイバーは一機も失われなかった。マクリーンが着想を形にし始めてわずか12年で、地球の反対側で紛争の流れを変えてしまったのである。 

 駆逐艦の名前となった当時の海軍作戦部長アーレイ・A・バーク提督は、原爆以来「海軍にこれほど貢献したものはない」と言ったという。 

 伝説のミサイルの最新型はAIM-9Xと呼ばれ、24カ国に配備されている。■ 

 
 

Alex Hollings | November 3, 2022 

 
 

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University. 

 
 

2022年11月7日月曜日

米戦略軍司令官が対中衝突についてここまで不吉な見方を示している....

 

U.S. Air Force photo by Airmen Alysa Knott


リチャード海軍大将が中国との「大抗争が来る」、 米国の抑止力について「船はゆっくり沈む」と発言。

 

国との大規模衝突が「そこまで来ている」と、米戦略軍司令官が警告した。

ロシアのウクライナ戦争は、米国にとって中国との長期紛争への「ウォームアップ」だと、戦略軍司令官は示唆している。

チャールズ・A・リチャード海軍大将Admiral Charles A. Richardは、米国は近い将来に発生する中国との長期紛争を予期し、それに備えるべきだと警告している。中国軍による台湾への追加敵対行動で引き起こされる可能性がある。米国防総省の統合戦闘司令部11個の一つ米戦略司令部は、米国の核三本柱を担う。   

発言は、11月3日に開催されたNaval Submarine Leagueの2022 Annual Symposium & Industry Update's Awards Luncheonでリチャード大将が公に行ったもので、その後国防総省が公表した。 

リチャード大将は、ウクライナ戦争は、中国と米国の「非常に長い」紛争の前哨戦で、米国の通常兵器および核抑止力の水準が徐々に低下していると強調した。


2020年9月21日、ルイジアナ州バークスデール空軍基地を訪問したリチャード米戦略軍司令官チャールズ・A・リチャード大将にB-52Hストラトフォートレスを披露するティモシー・M・レイ空軍グローバルストライクコマンド司令官。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jacob B. Wrightsman)

「ウクライナ危機はウォームアップに過ぎない」とリチャード大将は言う。「大きなもの(=中国との衝突)がやってくる。長い間試されてこなかった方法で試されるのは、そう先のことではないだろう」。

中国との紛争に備えるため、米国の防衛戦略や抑止力を早急に見直す必要があるとリチャード大将は主張し、これは2月に始まったロシアのウクライナへの全面侵攻と次元が異なるの紛争になるだろうと述べた。

「米国の防衛方法を、急速かつ根本的に変えていかなければならない」と述べた。

リチャード大将は、中国を軍事的に抑止するアメリカの能力については、全体として暗い評価を下した。

「中国に対する抑止力レベルを評価すると、船はゆっくりと沈んでいる。ゆっくりだが、基本的に彼ら(中国)はこちらより早く戦場に戦力を投入しているのだから、沈んでいるのだ。このままカーブが続くと、こちらの作戦計画がいかに優れているか、指揮官がいかに優れているか、馬がいかに優れているかと関係なく、十分な数の馬を確保すできなくなる。非常に近い将来の問題だ」。

中国は過去数年間、海軍への大規模投資、新しい高性能ドローン構想、戦闘機の近代化、あらゆる種類の新しいミサイルなど、ハイエンド軍事技術や装備を急速に導入・投資してきた。この10年間で、事実上、軍のあらゆる面で大幅見直しが行われた。米国の国防当局は、中国の兵器と技術開発の加速が地域の安定と米国にもたらす脅威の警告を発してきた。このため、中国は特定の分野で米国を上回ることはないにしても、同等に近づいてきている。さらに、中国との大規模紛争が発生した場合、米軍にはロジスティクスの面で作戦上の大きな課題が顕在化するだろう。

中国で3隻目の空母「003型福建」が進水した。この空母は、発艦にスキージャンプではなくカタパルトを採用し、ソ連時代の設計を基にした従来艦よりはるかに大型化し、能力も大幅向上している。

リチャード米戦略軍総司令官が特に懸念するのは、中国への核抑止力の効果であり、中国による台湾全面侵攻を阻止する役割だ。ロシアや北朝鮮の新たな核の脅威は、「核の威圧がどのようなものか、それにどう立ち向かうべきか、どう立ち向かってはいけないかを鮮明に示している」と主張する。

リチャード大将の評価は、米国は自国の核抑止力を強化するだけでなく、敵対国が将来の紛争で核兵器を使用する脅威を与え続ける事態に備える必要を示唆している。例えば、ロシア軍指導者がウクライナで戦術核兵器使用を検討した証拠が米政府を警戒させ、核兵器使用に関するクレムリンのレトリックが誇張以上のものである可能性を示している。また、北朝鮮が新たな核実験を行うとの懸念が米政府関係者に高まっている。さらに、米国の公式報告によると、中国の核弾道ミサイルは規模を拡大している。 

また、中国とロシアが、部分軌道極超音速能力や核搭載長距離魚雷など、従来の抑止の定義を変える新しい戦略兵器を開発している可能性でも懸念が持たれている。 

核抑止力を超えて、競合相手と歩調を合わせて近代化を進めるためには、米軍は新技術や能力を迅速に開発し、実用化する必要があるとリチャード大将は述べている。

「コロンビア級やB-21、LRSOを予定通りに導入できない事態を緩和するという話ではなく、かつての質問、つまり何が必要なのか、という話に戻らなければならない。それはお金ですか?人でしょうか?当局が必要なのか?どんなリスクがあるのか?そうやって1969年までに月へ到達した。その一部でも取り戻す必要があります。さもなければ、中国は私たちを追い抜こうとしており、ロシアはどこにも動かないままだ」。

オハイオ級SSBNが耐用年数を迎える中、コロンビア級SSBNの調達は、米国の核抑止力にとって絶対的な最優先事項である。 (U.S. Navy illustration/Released)

調達のスピードアップのために、過去から学ぶことも解決策のひとつになり得ると、リチャード大将は指摘する。例えば、1960年に導入された巡航ミサイル「AGM-28ハウンド・ドッグ」の例だ。

1950年代後半、ソ連の統合防空システムでB-52が効果がなくなるまで来ていることを知った空軍は、ほとんどナプキンに書いたような要求から、「巡航ミサイル」が必要だと考えた。さらに、スタンドオフ兵器を想定した。

水中戦力など、軍事的に米国が中国に優位性を保っている分野もある。しかし、ここでも調達の遅れやメンテナンスの問題が、両国の差を縮める長期的な問題となる可能性がある。

2020年3月5日、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地で慣熟飛行を終え、B-2スピリットステルス爆撃機から離れる米戦略軍司令官チャールズ・リチャード米海軍大将 (U.S. Air Force Photo by Airman 1st Class Thomas Johns)

リチャード大将は、米国の海中戦力は「まだ..唯一の真の非対称的優位性」かもしれないが、「整備問題を解決し、新規建設を進めるという意味で、ペースを上げなければ...戦略的抑止力と国防の維持に良い状態に置くことはできないだろう」と認めている。 

リチャード大将発言は、中国の軍事力の増大がもたらす脅威に関して、米国高官から聞いた中で最も深刻なものであることは間違いない。前任者から聞いたが、米国は中国への競争力を失いつつある中で、戦争が起こると宣言していることは、驚くべきことだ。確かに、こうした発言の背景には、投資や予算上の動機が常にあり得るが、今回はそれが主な原動力だとする明白な兆候はない。同大将の発言は驚くほど率直なものに見えたが、誰もが自分の基準でそれを判断することができる。

提督の言葉は、戦略的な勢いが中国に有利な方向に変化し続け、しかも加速度的に進行していることを示すもう一つの指標といえよう。■

 

Extremely Ominous Warning About China From US Strategic Command Chief

BYOLIVER PARKEN, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED NOV 6, 2022 4:23 PM

THE WAR ZONE


ウクライナによる小型無人装備での水上艦艇襲撃事件から米海軍も警戒すべきなのだが....

 

  • Black Sea Fleet

 

セヴァストポリ港に停泊するロシア黒海艦隊「アドミラル・マカロフ」。(Ulf Mauder/Picture Alliance via Getty Images).

 

米海軍にとってロシア黒海艦隊を大胆に攻撃したウクライナは、爆発物を積む無人艇が大型艦にもたらす脅威は本物であり、無人技術の向上で、さらに悲惨になるとの警告だ

クライナ軍は、無人水上艦によるロシア軍艦への攻撃とされるビデオ映像を公開した。ロシアのフリゲート艦アドミラル・マカロフを損傷させた可能性がある。

 月曜日、軍高官は記者団に対し、国防総省はクリミアのセヴァストポリにあるロシア海軍基地で爆発が起きたと考えていると語ったが、同高官は爆発の原因や被害規模に言及を避けた。 

 また、米国がウクライナに提供した無人沿岸防衛艇がロシア艦船攻撃に使われたかについても言及を避け、アドミラル・マカロフに関する質問はロシア国防省に照会するよう求めた。

 1940 年 11 月の英海軍によるイタリア海軍タラント基地への攻撃は、日本海軍が空母艦載機を発艦させ真珠湾攻撃を行う1年以上前に、空母から発艦した航空機が主力艦を攻撃できることを証明していたように、ウクライナのセバストポリ攻撃は将来の海戦の予行となり得る。

 何十年もの間、米海軍は自爆テロの脅威に警告し続けてきた。2000年10月、アルカイダのテロリストが、爆弾を満載したボートで駆逐艦USSコールの側面に衝突した。爆発で乗組員17人が死亡し、37人が負傷した。

 当時、USSコール艦長であったカーク・リポルド退役海軍大将は、タスク&パーパスに対し、海軍の軍艦に対するこうした攻撃がこれ以上起こらないため、海軍が自爆ボートの脅威を重視しなくなったことを懸念している、と述べた。

 リポルドは、海軍の各艦には、「あらゆる脅威を検討し、戦力防御策や情報と照らし合わせて、我が艦を守る最善の方法は何かを判断する」ことを唯一の任務とする将校が必要であると述べている。

 海軍は他国と戦い勝たなければならないが、中国が遠隔操作ボートで日本にいる米海軍の艦船を攻撃する事態も考えられるので、非対称の脅威にも備える必要があるとリポルドは言う。

 2002年、ポール・ヴァン・ライパー海兵隊中将Lt. Gen. Paul Van Riperは、自爆ボートを使う敵がどれほどの損害をもたらすかを軍首脳に示した。ライパー中将は、「ミレニアム・チャレンジ2002」ウォーゲームでレッドチームを率いていた。10分間の攻撃で、ヴァン・ライパーは自爆ボートの波を放ち、ブルーチーム19隻を沈め、2万人の死傷者を出した。

 残念ながら、「ミレニアム・チャレンジ2002」は、米軍にとって目覚めの一撃とはならなかった。ヴァン・ライパー中将が示した教訓を心に刻むどころか、軍はレッドチームに恣意的な制限を課し、明らかにブルーチームを勝たせることを意図していたのである。その結果、ヴァン・ライパーはレッド・チームのリーダーを途中で辞めた。

 ヴァン・ライパーが自爆ボートによる波状攻撃で米軍を無力化できるのを示したとすれば、イエメンのイランが支援するフーシは、無人ボートも有効な対艦兵器になることを証明した。2017年1月30日、フーシは爆発物を詰めた遠隔操作高速ボートで、サウジのフリゲート艦「アル・マディーナ」を損傷させた。イランがフーシに無人艇を提供した可能性が高いと、ケビン・ドネガン海軍中将Vice Adm. Kevin Doneganは当時、ディフェンス・ニュースに語っている。

 2017年1月から2021年6月まで、フーシは合計24回の海上無人機攻撃で成功または未遂を行ったと考えられていると、ノルウェーのスタバンゲル大学のHåvard HaugstvedtはWar on the Rocksに寄稿している。

 海軍の広報担当者は、月曜日に、イラン、中国、ロシア、その他の敵対国からの無人艇や無人機による攻撃から艦艇を守るため、海軍がどのような措置をとっているかとの質問に対して、海軍は戦力保護措置や将来の作戦について議論せず、仮想シナリオについて推測もしないと、コメントを拒否した。

 中国人民解放軍はロシアとウクライナの戦争を注視しているようだ。中国戦略家は長年、外国の戦争からの教訓を軍事ドクトリンに取り入れている、とワシントンDCのシンクタンク「新アメリカ安全保障センター」の軍事革新専門家、トーマス・シュガート Thomas Shugart退役海軍大佐は述べている。

 「今回のウクライナ無人装備による攻撃で、中国が無人水上艦艇に興味を持つようになるかは分かりませんが、PLAは既にあらゆる種類の無人装備の大規模開発に注力しています。「確かに、このような奇襲は、敵対する施設や部隊への奇襲攻撃に重視するPLAと一致するものです」。

 ミレニアム・チャレンジ2002でレッドチームを率いたヴァン・ライパー退役中将によれば、米軍は無人艇攻撃の意義を十分に理解しておらず、その脅威に対応する最初の一歩を踏み出したに過ぎないという。

 ヴァン・ライパーは、中国を将来の敵と想定することで、米軍はイランなど他の脅威への注力を失っていると指摘し、国防総省は操縦方法や心理作戦の訓練にもっと時間を割く必要があると付け加えた。

 ウクライナの無人機攻撃で明らかになったのは、アメリカが次に直面する敵が、米国の艦艇やその他ハイテク兵器システムに対抗するため、比較的安価な無人兵器システムを投入する可能性が高いということだ。■

 

What the US Navy must learn from Ukraine's bold drone attack on Russia's Black Sea Fleet

BY JEFF SCHOGOL | PUBLISHED NOV 1, 2022 8:42 AM

Jeff Schogol

Jeff Schogol is the senior Pentagon reporter for Task & Purpose. He has covered the military for 15 years. You can email him at schogol@taskandpurpose.com, direct message @JeffSchogol on Twitter, or reach him on WhatsApp and Signal at 703-909-6488. Contact the author here.


2022年11月6日日曜日

B-21の戦略的意義。核非核両用の最新鋭機は抑止力の実現でこれから長く活躍が期待され、ステルス機の新世代となる

 

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一世代ぶりで米空軍に登場する新型爆撃機は、航続距離、積載量、戦闘生存能力により、米優位性の鍵となる

国間競争の新時代において、ステルス爆撃機B-21レイダーを予定通り大量配備することは国家的な必須事項だ。B-21は、即応性と殺傷力を備えたグローバルパワーの提供に不可欠だ。B-21が実戦配備されれば、高度な防空システムを突破し敵の最高目標を危険にさらすことが可能となる、二重能力で長距離、生存可能な唯一の兵器大系になる。B-21が、米軍と連合軍の作戦行動の自由を制限する敵の接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力を排除しなければ、スタンドオフ兵器などが主体の戦争で主導権を握り維持することは、はるかに難しく、はるかに時間がかかり、費用対効果もはるかに低くなる。

今日、米国の長距離爆撃機隊は、歴史上で最も古く、最も小さく、最も脆弱だ。B-2を除けば、米爆撃機は激しい戦闘空域を生き残れない。B-21部隊を配備することが、米国が過去の紛争で享受した航続距離と積載量の優位性を維持できる唯一の方法だ。質量は、過去の戦争と同様に、将来の戦争でも重要である。敵に複数のジレンマを同時に与える能力は、戦闘指揮官に複合的な機会を作り出すため不可欠だ。B-21の長距離攻撃は、センサーや指揮統制システムへのサイバー攻撃や電磁スペクトル作戦など非対称的能力と連携し、敵の感知、判断、行動能力を低下させ、戦争霧の中に彼らを閉じ込める。自衛に必要な情報を奪われた敵は、B-21をはじめとする第5、第6世代のプラットフォームで攻撃作戦を維持する能力を体系的に低下され、敗北に向かう。

戦争の長年の原則の中で、奇襲に最も価値がある。奇襲は、衝撃、混乱、優柔不断を引き起こす。奇襲は敵の作戦を低下させ、攻撃側にチャンスをもたらす。予期せぬ方法で敵に立ち向かえば、誤りを強いられ、脆弱性を露呈し、最終的に適時に効果的に反応する敵の能力を鈍らせる。 

米軍爆撃機部隊は、奇襲に投入されてきた伝統がある。ジミー・ドーリットル中佐(当時)が率いた東京空襲がも有名な例だろう。1942年4月18日の空襲は、日本軍にとって完全な奇襲となり、日本本土は作戦上の聖域でないと証明した。ドーリットル空襲は、空母ホーネットから双発B-25を16機飛ばし、日本に大きな心理的打撃を与え、アメリカ国民に必要な士気高揚をもたらした。空襲自体はほとんど損害を与えなかったが、日本政府に計画を変更させ、米空襲を防ぐため貴重な資源を他の場所に向けさせた。当時も今も、航空戦力は国家の不安感を高める。航空機の速度、航続距離、機動性は、敵にとって動きの遅い地上軍や海軍より対抗が難しいからだ。

80年後の今日、ステルス長距離機B-21は、敵対勢力にさらに困難なジレンマをもたらす。B-21レイダーは、これまでに製造された軍用機で生存率が最も高く、殺傷力が高く、最も費用対効果の最も高い機体となる。B-21は、国家安全保障で貴重な投資であり、米軍司令官に敵の作戦上の聖域を否定する能力を提供する。B-21は、敵制空権を奪う能力を米軍司令官に提供し、強力な抑止力となる。抑止が失敗した場合、B-21は地球上のあらゆる標的を数時間以内に攻撃でき、そのリスクは米国のその他軍事手段よりはるかに低い。B-21の保有数が多ければ多いほど、抑止力は大きくなる。

通常兵器と核兵器双方を運用する同機の能力には、経済的価値があり、おそらくそれ以上に重要であろう。「オフセット」戦略の目標は、相手の強みに対応するかわりに、相手に負担(金銭的・地政学的な「コスト」)を課し、相手の意思決定に影響を与えて戦略的行動を変化させることにある。簡単に言えば、攻撃能力を犠牲にしてでも防衛に資源を投入させる。コスト賦課戦略の目標は、技術的優勢と質量で戦争での勝利を確実にすることだけではなく、戦争遂行能力を犠牲にしてまでも防衛コストを押し上げさせて、戦争を抑止することにある。B-21は、敵が反応し適応するより早く、米国の優位性である次世代低観測性技術でこれを達成する。冷戦時代、米国は132機のB-2と100機のB-1の製造を計画し、ソ連の軍事経済を枯渇させ、米国の優れた戦略能力からの防御を強いさせようとした。この戦略は今日も変わらない。

B-2スピリットは、ステルス性、航続距離、攻撃力を新しいレベルに引き上げたが、21機しか生産されず、運用と保守のコストを押し上げている。空軍は少なくとも100機のB-21製造を想定している。 Tech. Sgt. Hailey Haux

あらゆる抑止戦略同様に、最終目標は敵の目から見て戦争を魅力的でなく、安価でなく、勝ち目のないものにすることにある。歴史的に、爆撃機は米国指導者が国家安全保障の危機時に行使できる柔軟かつ目に見える手段だ。爆撃機は、米国の決意を示すため、例えば国境付近を飛行させるなど「柔軟化」でき、地上軍や海軍より速く危機に投入できる。また、前方に拠点を置く地上軍や海軍と異なり、爆撃機は遠方基地から活動でき、敵の先制攻撃への阻害要因にもなる。 

敵のジレンマをさらに複雑にするのは、B-21が通常兵器と核兵器双方を運搬できる点だ。B-21部隊に対抗するコストは、革命的な兵器システムB-21を開発し、製造し、維持するコストをはるかに上回る。投資に対する見返りは計り知れないものがある。

戦力投射での課題

2011年にボブ・ゲイツ国防長官が当時「LRS-Bomber」と名付けたプログラムを承認し世界は変わったが、レイダーの必要性は高まる一方である。中国は、インド太平洋地域の経済的・軍事的リーダーとしての地位を強く主張し、その野心を支えるため、軍備の能力と容量を急速に拡大している。空母3隻、低視認性航空機、長距離空対空ミサイル、DF-21や部分軌道爆撃システム含む極超音速ミサイルを配備している。

米国同様に、中国も太平洋という地理的な「堀」を享受している。この固有の優位性に加え、中国は、敵対者が西太平洋第2列島線内で軍事力を運用し維持する自由を否定する積極策を展開してきた。デイブ・オクマネクDave Ochmanekがランド研究所RANDの論文「Determining the Military Capabilities Most Needed to Counter China and Russia」で指摘しているように、「中国とロシアの接近阻止領域拒否能力は、米軍と同盟軍の距離を置き、既成事実を押し付けるのに十分な期間、米軍と同盟軍の活動を抑制するため明確に設計されている」のである。紛争が激化する環境は、インド太平洋における米国の兵力投射能力に大きな課題を突きつけている。

紛争に勝つため、米軍司令官には、戦場で大規模な効果を可能な限り短時間で生み出す能力とキャパシティが必要だ。A2/AD戦略で中国は陸上および空母艦載攻撃システムの有効性を低下させ、米国の努力を鈍らせる。西太平洋の第一列島線沿いの前進基地への脅威と、海軍空母に増大し続ける移動弾道ミサイルの脅威は、米軍が中国の目標を攻撃するため膨大な距離を克服しなければならないことを意味する。

インド太平洋における中国との戦争は、イラクやアフガニスタンでの戦いと異なり、以下の特徴を有する。 

  • 弾道ミサイルや巡航ミサイル、空軍基地や港湾への激しい攻撃

  • 米国および同盟国の空軍基地や港湾への爆撃機による攻撃

  • 強力化するPLAN水上艦隊、潜水艦隊、海軍航空隊による海軍水上艦および空母への対艦弾道ミサイルおよび巡航ミサイル攻撃

  • 長距離空対空ミサイル(PL-15搭載のJ-20など)を搭載し、米軍のAWACSやタンカー、低生存性の非ステルスミサイル発射機を射程内で威嚇する戦闘機

  • 非ステルス機のアクセスを拒否する長距離防空システム

  • 硬化し地下にある、移動可能な、またはスタンドオフ兵器の届かないターゲット

  • 紛争のすべての段階を通じて、米軍と連合軍を狙う容赦ないサイバー攻撃と情報戦

砂漠の嵐作戦で、誘導爆弾を投下するステルスF-117は、爆撃機が1回の出撃で複数の標的を攻撃し、ゲームチェンジャーを証明した。 Master Sgt. Edward Snyder

数時間以内に戦域に到達し、侵入し、持続できる米国の能力は他にない。中国のミサイル攻撃の密度が薄くなるオーストラリア北部やその他遠隔地にある基地から活動できる米国の能力は、他にない。インド太平洋の「距離の暴力」と中国の地理的な深さを克服し、人民解放軍に聖域を許さない米国または同盟国の能力は他に存在しない。

数は重要だ。奇襲の要素を生み出し、利用するためには、規模に応じた作戦が必要だ。米軍はジレンマを作り出し、敵の優柔不断な態度を利用し、紛争初日から敵の最も価値のある重要目標を迅速に破壊する能力を持たなければならない。ドイツ空軍は、第二次世界大戦中、ジェット戦闘機を導入して連合国空軍に質的な優位を得ようとして、このことを痛感した。ドイツ空軍のMe-262は連合軍戦闘機より100mph以上速かったが、アメリカのP-51とP-47が3万機生産されたのに対し、Me-262は1,430機しか生産されなかった。ドイツが自国の制空権を取り戻すには、Me-262が4対1の割合で優勢でも不十分だった。連合国は、技術的には優れていたものの、はるかに小規模なドイツ軍を、圧倒的な数の差で打ち負かした。つまり 量と質はともに重要である。 質量は、戦争のテンポを支配し、決定する上で重要要素であることに変わりはない。

最低100機のB-21が現在の必要能力である。 空軍関係者は、145機以上が必要になる可能性を認めている。国家防衛戦略が中国を脅威の中心に据えていることを考えれば、米国は2030年代以降に必要となるB-21部隊を調達するため今決断することが重要である。

重要な属性とは

ステルス爆撃機は、航続距離、ペイロード、生存性の3大属性で定義される。各属性は、1回の出撃で複数任務を遂行し、複数標的を攻撃する能力を裏打ちする。長距離、耐久性、大きなペイロードと生存性の組み合わせにより、B-21爆撃機は、海上攻撃、敵の防空網の抑制/破壊(SEAD/DEAD)、戦略攻撃、近接航空支援(CAS)などのA2/AD環境下での複数任務で理想的プラットフォームとなる。これは、B-52がベトナムのジャングルで絨毯爆撃したベトナム戦争時の爆撃機の役割からの抜本的な転換だ。1991年の砂漠の嵐作戦や1999年の対セルビア作戦でも、B-1とB-52は大量の無誘導弾で目標を確実に破壊する戦術を取り続けた。しかし、B-2で初めて採用したGBU-31統合直接攻撃弾(JDAM)は、爆撃機の効率を一変させた。

ステルス戦闘機F-117がレーザー誘導爆弾で砂漠の嵐作戦のゲームチェンジャーになったように、B-2は出撃ごとに最大16発のJDAMを投下し、1999年の航空戦に革命を起こした。第二次世界大戦では数千フィートだった爆弾の精度は、10フィート以下になった。 爆撃機の攻撃は「1機に1つの目標」から「1機に多数の目標」へ変化した。B-2は、1回の出撃で80の目標を攻撃できる。その後、B-1、B-2、B-52はGPS弾を使用し、9・11以降のアフガニスタンやイラクでの作戦で中心的な役割を果たした。JDAMの採用で、戦闘機の任務だった近接航空支援も爆撃機で可能になった。元第8空軍司令官ボブ・エルダー中将は、戦略爆撃機の変身を簡潔に表現している。「その永続的な成功は、固有の柔軟性と適応性の結果である」。"

今日、見通し外のデータリンクを装備し、多種多様な、飛行中に再プログラム可能な兵装を搭載する米国の爆撃機は、文字通り空飛ぶ自動販売機に化している。爆撃機は、1回の出撃でほとんどのニーズを満たすことができる。今日、爆撃機はゼロ照準データで米国本土から離陸し、途中でデータ更新し、数十時間飛行し、敵防空システムの内側または外側から攻撃ができる。大陸間航続距離と空中給油を備えたB-1は、1回の出撃につき24個の2000ポンドJDAMを投下できる。戦闘機も長距離飛できるが、爆撃機1機と同じ効果を得るには戦闘機数機が必要で、さらに多くの空中給油が必要だ。

B-21は、目標に十分接近し低コスト弾薬を使用できるので、「手頃な質量」という全く新しい意味を提供する。空軍グローバル・ストライク司令部計画・プログラム・要件担当のジェイソン・アーマゴスト少将Maj. Gen. Jason Armagostは、将来の装備品は「適切さの一部はコストであり、十分な射撃量が必要だ」と述べ、手頃な質量が重要であることを強調している。

航続距離の価値

爆撃機は大きな機体にもかかわらず、非常に機敏で、短距離機よりも迅速かつ容易に、複雑さを伴わず大陸間で展開できる。例を挙げれば、ノースダコタ州の空軍基地を発進する爆撃機は、空中給油1回でインド太平洋の目標地域に到達できる。

距離は、インド太平洋地域で活動する米軍と連合軍にとって最大の障害だ。長距離で広範囲な効果を発揮できる軍事資産はほとんどない。空母は、対艦ミサイル攻撃の脅威を軽減するたに、中国の海岸線から1,000〜1,500nmの距離を保つ必要があるかもしれない。この場合、空母搭載機の実用性は大きく減少する。空母搭載の戦闘機は、攻撃やその他任務で戦闘半径が短すぎ、この距離を埋められない。さらに、戦闘機では、戦域に素早く侵入し、その後撤退する速度を達成できない。また、高価で、移動性の高い標的、硬化標的、あるいは深く埋まった標的には効果が低い。海上発射や地上発射の長距離極超音速兵器はさらに高価であり、素早く位置を変える移動目標に有効とするためには、飛行中に目標情報を更新する必要がある。B-21は、射程の問題を解決するだけでなく、紛争地域に侵入して持続し、時間に敏感な移動標的を発見して攻撃するためのオプションの拡大を米軍司令官に与える。

大型で柔軟なペイロードの価値

爆撃機は、正確で決定的な効果をもたらす非常に費用対効果の高いプラットフォームだ。敵空域に侵入し持続する能力を有するB-21は、大量兵装と組み合わせて、出撃ごとに複数目標を攻撃破壊するだけでなく、敵防空システムを圧倒して破壊する武器やおとりなどの発射で、その他機材の戦いに貢献できる。

爆撃機内部の兵装庫は、兵器革新者には夢のような場所だ。さらに、兵装庫の大きさで搭載する弾薬の大きさや効果が制限されるため、戦闘機よりも爆撃機用の長距離兵器の開発は容易である。生存性が低いプラットフォームほど、敵の防空に対抗するためスタンドオフ兵器に依存する。つまり、目標に到達するため、より大型の長距離兵器を使用しなければならず、1回あたり攻撃コストが高くなる。指令管制バンカーやイラン核施設など、硬化かつ深く埋まった重要目標を打ち破る能力は、侵入型ステルス爆撃機が投下する特殊弾によってのみ可能だ。

デジタル技術を駆使した最新機材B-21は、新しいソフトウェアやハードウェアを迅速に統合でき、供用期間全体にわたり殺傷力と生存性を確保できる。B-21は、新しい要求に応えるため、急速に進化し、成長できる。

生存能力の価値

敵に聖域を与えないことが、戦争における戦略的必須事項だ。いかなる敵に有害な能力を平然と使用できる贅沢を許してはならない。

非常に高性能な現代の防空システムの普及で、将来の戦闘機材に極めて高い生存能力を持たせる必要がある。高価値目標の多くは、高度な防空システムによって、またアクセスしやすい海岸線ではなく内陸奥深くに配置することで守られている。中国やロシアのような国は、その戦略的深さを利用し、地理的聖域を作り出し、短距離攻撃機や統合防空システムの射程外で発射されるスタンドオフ兵器で届かない地点に置くようになってきている。

このような理由から、現在も、そして今後も、低観測性が航空戦の入場料となる。ステルス性は、敵国境内を含むA2/AD環境下で目標を攻撃する軍用機で必要条件である。1970年代、材料とコンピュータ技術の進歩がステルスを現実にした。約40年がたち、ステルス技術の進歩は、米国軍用機に大きな優位性を与え続けている。ステルスは、センサーから航空機を完全に見えなくするのではない。ステルスは、敵のセンサーが受け取るデータを曖昧とし、敵が十分に速く捕捉できず、うまく交戦できないほど航空機を見えなくする。ステルスは、電子戦やサイバー攻撃など、敵の防空網を欺き、劣化させ、あるいは破壊する他の能力と組み合わせることで、その効果をさらに高める。ステルスは、目標攻撃に必要な支援機の数を減らし、消耗を減らす効果を生む。

スタンドオフ兵器とB-21による侵攻打撃の比較

スタンドオフ兵器は、中国のような敵対者を打ち負かすのに不可欠だ、移動目標には効果が低い。現実的には、データリンクや自律的な機能がない現在のスタンドオフ兵器の飛行時間は、長距離で移動可能なターゲットを攻撃するには長すぎるのだ。さらに、スタンドオフ兵器は、GBU-57大量破壊兵器やGBU-72高性能5K貫通弾含む、硬化かつ深く埋められた標的の攻撃に必要な超大型弾頭を搭載できない。 また、中国領空で生存不可能なレガシー機から発射しても、中国内陸部のターゲットを攻撃する航続距離にも欠ける。

米空母を戦場から遠ざける高機動ミサイルや、米国の宇宙資産を脅かす中国奥地にある対衛星兵器を発見、識別、攻撃するため、紛争地域で効果的に粘着できるのは侵攻型爆撃機だけだ。

B-21のような侵攻型航空機と、照準データの更新を他の情報源に依存するその他長距離兵器との大きな違いは、精度にある。B-21含む侵攻型爆撃機は、紛争中や高度な紛争環境において、有機的に、つまり機外からの支援をほとんど受けずに、キルチェーンを完結できる。しかし、B-21は侵攻型であるため、搭載センサーで自己照準ができ、標的移動で生じる位置の誤差を排除できる。これは大きなな識別能力だ。また、搭載されていない情報を検証し、リアルタイムデータで目標を確実に特定できることも、侵攻型航空機の差別化要因となる。

最後に、侵攻型爆撃機は、長期作戦で、紛争地域内の目標に直接攻撃またはスタンドオフ、あるいはその両方を組み合わせ、大量の兵器を投入する費用対効果が非常に高い手段だ。 高価値目標を可能な限り迅速に排除することで、統合軍の作戦の回復力と生存率が高まる。例えば、対艦弾道ミサイルDF-21とDF-26に対する爆撃機の攻撃は、海軍の資産への脅威を軽減し、第2列島線内での作戦を可能にする。

核抑止力の基盤 

今日の核抑止力を取り巻く環境は、かつてないほど不確実だ。ウクライナに対するロシアの侵略は、核兵器を使用するとの脅しが特徴だ。イランはこれまで以上に核兵器の開発と配備に固執しており、最近、中国が独自の核三原則を展開するためICBMサイロ・フィールドを建設しているのが明らかになった。最も心配なのは、米国は核条約をロシアとしか結んでおらず、それでさえロシアの大量の戦域核兵器に適用されていないことだ。無条約のため、イランや中国の核兵器の増加は抑制されていない。こうした事実を考えれば、国防総省の最新の「核体制見直し」が、核弾頭搭載の爆撃機、ICBM、SLBM潜水艦からなる「核の三本柱」が今も必要なままであり、予測不可能な将来にわたり米国のソフトパワーとハードパワー双方の重要手段であり続けると判断したことは驚くに当たらない。マーク・ウェルシュ元空軍参謀総長がかつて言ったように、「核抑止力は、他のすべてをかける壁紙」なのだ。

爆撃機は、応答性、敏捷性/柔軟性、可視性から、米国の核抑止力の要だ。ICBMは地下にある静的兵器システムで、待機と発射の2つの動作モードがあり、その中間のモードはない。SSBNは、核兵器を発射する必要があるまで、決して姿を現さない。ICBMやSSBNは目に見えるものではないので、動的に抑止したり、エスカレーションを示す能力は非常に限られる。その抑止力は、いつでも発射できるように常に警戒態勢を維持する能力にある。一方、爆撃機は、通常兵器と核抑止の任務を交互にこなし、危機が拡大する中でダイナミックかつ目に見える形で使用できる。  

核非核両用運用の爆撃機は、三本柱の他の2つより費用対効果が高い。爆撃機の乗員と整備要員は、通常任務と核任務の両方の要件で高度な訓練を受け、熟練している。大統領の指示により、爆撃機部隊は、核ソフトと核兵器を搭載し、数時間で核戦力に迅速変身できる。国家司令部の指示により、全爆撃機群は数日で全世界に公開される警戒態勢に入れる。

爆撃機は、潜水艦やICBMと異なり、米国の決意を目に見える形で示し、また、そうさせたくないときは見えなくできる。さらに、爆撃機は同盟国協力国に拡大抑止を提供する最適な手段であり、核兵器拡散の抑制に役立つ。また、SLBM潜水艦やICBMに比べ、爆撃機は危機の際に安定性を発揮する。弾道ミサイルと異なり、発射後に呼び戻せる。また、発射地点に到着するまで数時間かかるため、意思決定者が状況を打開する時間と影響力を持ち、恐ろしい結果をもたらす致命的なミスのリスクを軽減できるのである。

結語

1991年の砂漠の嵐作戦は、ステルス革命を世界中に知らせた。史上初のステルス攻撃機F-117が高集中の防空網を突破し、サダム・フセインと取り巻きが大切にしていたものの多くを破壊し、バグダッド周辺の聖域は瞬時に姿を消した。F-117は、わずか2パーセントの攻撃任務で、全戦略目標の40パーセントを無損害で除去した。この瞬間から、ステルスは米国の非対称的な優位性の主流となった。

それからわずか9年後、バルカン半島でのアライドフォース作戦では、B-2ステルス機が登場した。B-2はGPS利用のJDAMで標的と交戦した。B-2は出撃回数の1%未満で11%の砲弾を投下し、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地からすべて出撃した。30時間以上の飛行は、ステルス性、航続距離、精度の価値を浮き彫りにした。

中国、ロシア、その他の国も注目した。F-117やB-2による精密攻撃の映像が延々と流れ、米国の優位性を奪う方法を模索し、A2/ADコンプレックスが生み出された。

米国にとって幸運だったのは、空軍と防衛産業各社が、ステルス素材、コーティング、維持の面で進歩し続けたことだ。また、より高度なコンピューティングパワーと精密兵器を開発し、すべてがステルス能力における世界的リーダーとしての地位を米空軍が維持できた。

F-22とF-35は、米国に圧倒的な戦闘能力を生み出した技術革命の代表例だ。B-21は、この進化の次のステップで、さらに優れている。インド太平洋地域では、2022年国家防衛戦略で要求しているように、侵攻型長距離攻撃システムが中国の侵略を抑止し、打ち負かす最善の手段となるため、B-21の必要性はさらに高まる。

B-21を予定通り、大規模配備することは国家的な要請である。長距離爆撃機は、指揮官が最も困難な標的に対して幅広い効果を達成し、兵器とセンサーの密度を射程距離で提供するために存在する。これらの効果は、空軍だけでなく、すべての統合軍の作戦を成功させるため不可欠である。世界レベルでは、米国は現在、唯一、数時間で遠距離で戦争に勝利する効果を達成できる国である。B-21は、戦争を抑止し、抑止が失敗した場合には敵に勝利するための柔軟かつ費用対効果の高い核非核運用手段を、国家指導者に提供する。■

B-21 Raider: The Indispensable Bomber | Air & Space Forces Magazine

By Col. Chris Brunner, USAF (Ret.)

Nov. 3, 2022

Col. Chris Brunner, USAF (Ret.), is a Senior Resident Fellow for Air Power at AFA’s Mitchell Institute for Aerospace Studies.